説明

昆虫忌避剤としてのプレガン酸アミド

本発明は、両方とも昆虫および節足動物に対する忌避剤などの、皮膚のための局所的処理剤として有用である、置換されたプレガン酸アミドおよびそれらの組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2006年9月30日出願の米国仮特許出願第60/722,663号明細書、および2006年9月30日出願の米国仮特許出願第60/722,806号明細書の優先権を主張するものであり、それらそれぞれが、全ての目的のために本明細書の一部としてその全体が援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、置換されたプレガン酸アミド(puleganic amide)およびそれらの組成物に関する。かかる化合物および組成物の用途には、昆虫または節足動物に対する忌避剤などの、皮膚の局所的処理剤としての使用が含まれる。
【背景技術】
【0003】
昆虫忌避剤は、ヒト−昆虫ベクター接触を減らし、それによって、虫刺されに関連した全身の不快感だけでなくベクター媒介病感染の発生率を最小限にする手段として全世界的に使用されている。
【0004】
市販の局所昆虫忌避剤中の最もよく知られそして最も広く使用される活性成分は、合成ベンズアミド誘導体、N,N−ジエチルトルアミド(DEET)である。しかしながら、DEETは、不快な臭いおよび皮膚上でのベタつき感などの、望ましくないと感じられる幾つかの特性を示す。
【0005】
昆虫忌避剤としてのDEETの代替品は、ネペタラクトン[非特許文献1に記載されているように]およびジヒドロネペタラクトン(ハラハン(Hallahan)によって特許文献1および特許文献2に記載されているように)などの、キャットミント油から誘導することができる物質中に見いだされてきた。それにもかかわらず、低コストのそして効果のある昆虫忌避剤、特に天然源から誘導することができるものを提供する継続する必要性が存在する。
【0006】
【特許文献1】国際公開第03/79786号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第03/225,290号明細書
【非特許文献1】アイスナー(Eisner)著、Science 146(1964)、1318−1320ページ
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、本発明は、式I
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、RおよびRはそれぞれ独立して、
a)H、CH、C
b)C〜C20直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
c)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなるC〜C20直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
d)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、非置換または置換されたC〜C20芳香族基、ならびに
e)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、O、NおよびSよりなる群から選択されたヘテロ原子を含んでなる非置換または置換されたC〜C20芳香族基
よりなる群から選択され、
ただし、RおよびRは両方が水素であることはなく、また、RおよびRは場合により一緒になって環式または二環式アルカニルもしくはアルケニル基を形成してもよいが、そのように形成されるプレガン酸アミドはN−メチル−N−フェニルプレガン酸アミドであることはない]
の図式構造によって一般に表される置換されたプレガン酸アミドを提供する。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、式Iの化合物を含んでなる組成物に関する。本組成物は式Iの化合物に加えて、担体、化粧用もしくは治療用添加剤、およびジヒドロネペタラクンなどの追加の昆虫/節足動物忌避剤のうちの1つもしくはそれ以上を含んでなってもよい。
【0011】
さらなる実施形態では、本発明は、上記の式Iの化合物またはその組成物に昆虫および/または節足動物を曝すことを含んでなる昆虫および/または節足動物の忌避方法に関する。
【0012】
さらに別の実施形態では、本発明は、(a)担体および化粧用もしくは治療用添加剤の一方もしくは両方を(b)上記の式Iによって一般に表される化合物と混合することによる、ヒトまたは家畜動物の皮膚、皮、髪、羽毛もしくは毛皮または他の表面に適用できる組成物の製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
プレガン酸アミドはネペタラクトンの誘導体として製造することができるが、昆虫および/または節足動物を忌避する目的のための、その使用、およびその誘導体の使用はこれまで報告されてこなかった。結果として、本発明はプレガン酸アミド、プレガン酸アミドの組成物に、ならびに昆虫および節足動物に対する忌避剤などの皮膚のための局所的処理剤としてのプレガン酸アミドおよびそれらの組成物の使用に関する。
【0014】
プレガン酸(Puleganic acid)は、該用語が本明細書で用いられるとき、2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタンカルボン酸であり、式IVの構造によって一般に表される。
【0015】
【化2】

【0016】
中間体として本発明での使用に好適なプレガン酸は、ネペタラクトンを出発原料として使用して製造されてもよい。式II
【0017】
【化3】

【0018】
の構造によって一般に表されるネペタラクトンは、種ネペタカタリア(Nepeta Cataria)などの、ネペタ(キャットミント)植物の精油から得られてもよい。ネペタ植物の葉、ネペタラクトンのような原材料の好ましい源は、大量に存在し、それから容易に精製されてもよい。キャットミント植物の精油は、葉状植物材料の水蒸気蒸留によって得られてもよく、ネペタラクトンの主な異性体の1つ、トランス,シス−ネペタラクトン(式IIaに示される)は、キャットミント油から石油エーテル−ヘキサンを用いる結晶化によって精製することができる。
【0019】
トランス,シス−ネペタラクトン(IIa)に加えて、ネペタラクトンの別の主な異性体はシス,トランス−ネペタラクトン(式IIbに示される)であり、それは、7−炭素(上記の式IIの番号付けスキームによる)、シクロペンチル環上のメチルを有する炭素において(S)−配置を有する。
【0020】
【化4】

【0021】
水素化されるとき、ネペタラクトンはプレガン酸とジヒドロネペタラクトン(「DHN」)との混合物を生み出す。式IIIの構造によって一般に表されるDHNは、単一ジアステレオマーとしてかジアステレオマーの組み合わせとしてかのどちらかで存在するかもしれない。
【0022】
【化5】

【0023】
9Sジヒドロネペタラクトン立体異性体の構造は下に示される。
【0024】
【化6】

【0025】
プレガン酸がネペタラクトンの水素化によって形成される反応は、次の通り、反応のスキーム(I)によって一般に表されてもよい。
【0026】
【化7】

【0027】
ネペタラクトンの水素化は、触媒、すなわち、反応の速度に影響を及ぼすが反応平衡には影響を及ぼさず、そして化学的に変化せずに反応物から出てくる物質の存在下に達成されてもよい。好ましい実施形態では、担持された金属水素化触媒が使用される。この水素化反応に好適な触媒、担体および反応条件は、マンザー(Manzer)、米国特許出願公開第03/225,290号明細書[2003年12月4日(全ての目的のために本明細書の一部として全体が援用される)]に、特にそれの段落33から130および表1に記載されている。多量のプレガン酸をもたらす模範的な触媒には、白金−およびイリジウム−ベース触媒が含まれる。マンガーは、例えば、反応のスキーム(II)に一般に示されるような、ジヒドロネペタラクトン(IIIa)およびプレガン酸(IVa)へのトランス,シス−ネペタラクトン(IIa)の還元が得られるかもしれない触媒および条件を実証している。
【0028】
【化8】

【0029】
プレガン酸は、ネペタラクトンの水素化から得られた生成物の混合物から液/液炭酸水素塩抽出、引き続く酸性化によって精製されてもよい。この抽出に好適な有機溶媒には、ジクロロメタンおよびクロロホルムが含まれる。
【0030】
本発明のプレガン酸アミドは、単一の立体異性体としてまたは立体異性体の組み合わせとしてプレガン酸ジアステレオマーから誘導することができる。ネペタラクトンは自然界に見いだされる個別の立体化学異性体として存在するかもしれないので、ネペタラクトン水素化から誘導されるプレガン酸もまた、式IVa〜IVdによって一般に表されるものなどの、ジアステレオマーとして存在するかもしれない。
【0031】
【化9】

【0032】
5炭素(式IVでの番号付けスキームによる、すなわち、シクロペンチル環上のメチルを有する炭素)においてS配置を有する、図IVa〜IVdで上に示されるプレガン酸の立体異性体に加えて、5炭素でR配置を有するプレガン酸の立体異性体もまた、プレガン酸アミドを製造するための中間体として本発明で有用である。例えば、プレガン酸アミド(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタンカルボキサミド)は、トランス,シス−ネペタラクトン(IIa)の水素化で形成されるプレガン酸立体異性体IVaから誘導される。
【0033】
カルボン酸をカルボキサミドへ変換するための方法は周知であり、例えば、リチャード C.ラロック(Richard C.Larock)著、「包括的な有機変換(Comprehensive Organic Transformations)」、ニューヨーク、VCHパブリッシャーズ社(VCH Publishers,Inc.)、1989年、972−976ページに記載されている。プレガン酸アミド(式Ia)は、反応(III)に示されるように、プレガン酸の酸塩化物のアミンとの反応によってプレガン酸(式IVa)から形成されてもよい。
【0034】
【化10】

【0035】
使用されるアミンはまた、(2S)−メチル−と(2R)−メチル−ピペリジン・エナンチオマーとの組み合わせであるラセミ体として実施例2に使用される2−メチルピペリジンなどの、立体中心を含有し、そしてキラルであることもできる。反応(III)に表されるカップリング手順でのかかるアミンの使用は、ジアステレオマーのプレガン酸アミドを生み出す。
【0036】
プレガン酸アミドは、中間反応体プレガン酸から炭酸水素塩液/液抽出によって精製されてもよい。有機層の分離、引き続く溶媒の蒸発は、粗プレガン酸アミド生成物を与える。さらなる精製は、W.C.スチル(W.C.Still)ら著、「中程度分割ありの分取分離のための迅速クロマトグラフィー技法(Rapid Chromatographic Technique for Preparative Separations with Moderate Resolution)」、J.Org.Chemistry 43(14)(1978)、2923−2925ページに記載されているような、シリカゲル・クロマトグラフィーによるフラッシュを用いて可能である。
【0037】
プレガン酸の2つのアミドが公知である:プレガン酸アミド(2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタンカルボン酸アミド)[ウォ−ラック(Wallach)著、「テルペンおよびエーテル油(Terpenes and Ethereal Oils)、CXI.I.、カーベノライドおよびプレゲノライド(Carvenolide and Pulegenolide)」、Justus Liebigs Ann.Chem.392(1913)、49−59ページ]、ならびにN−メチル−N−フェニルプレガン酸アミド[カラン(Curran)著、J.Org.Chem.56(1991)、4335−4337ページ、およびカラン著、Tetrahedron 50(1994)、7343−7366ページ]。
【0038】
本発明での使用に好適なプレガン酸アミド化合物は、次の構造式I
【0039】
【化11】

【0040】
[式中、RおよびRはそれぞれ独立して、
1)H、CH、C
2)C〜C20、好ましくはC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
3)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなるC〜C20、好ましくはC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
4)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、非置換または置換されたC〜C20、好ましくはC〜C12芳香族基、ならびに
5)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、O、NおよびSよりなる群から選択されたヘテロ原子を含んでなる非置換または置換されたC〜C20、好ましくはC〜C12芳香族基
よりなる群から選択され、
ただし、RおよびRは両方が水素であることはなく、また、RおよびRは場合により一緒になって環式または二環式アルカニルもしくはアルケニル基を形成してもよいが、そのように形成されるプレガン酸アミドがN−メチル−N−フェニルプレガン酸アミドであることはない]
によって一般に表されてもよい。
【0041】
好ましい実施形態では、本発明の置換されたプレガン酸アミドは、N,N−ジエチル−(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタンカルボキサミド、または[(±)−2−メチルピペリジニル]−(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタン−カルボキサミドよりなる群から選択される。
【0042】
上に示されるように、ネペタラクトン、ジヒドロネペタラクトン、プレガン酸およびプレガン酸アミドは全てジアステレオマー形態で存在してもよい。結果として、それとは反対に記述されない限り、「プレガン酸アミド」、「プレガン酸」、「ネペタラクトン」もしくは「ジヒドロネペタラクトン」などの、その名称による化合物への言及、または立体化学的に不明瞭な構造への言及は、それの任意の単一の立体異性体への、および/またはこれらの化合物の立体異性体のいずれかの任意の組み合わせへの、および/またはこれらの化合物の立体異性体の全てへの包括的な言及であると解釈される。全体混合物に対して、任意の個々の立体異性体、または混合物の任意のサブ群のモルまたは質量含有率が可変であり得る立体異性体の混合物がこのように形成されるかもしれない。
【0043】
本発明は、上記のようなプレガン酸アミドに、プレガン酸アミドを含んでなる組成物に、およびプレガン酸アミドおよびそれらの組成物の使用に関する。上記のプレガン酸アミド化合物を含む本発明の調製品と、本発明に従ってかかる化合物から調製されてもよい組成物、調合物および他の材料と、それらの混合物とは全て、多様な目的のために使用されてもよい。これらの目的には、例えば、様々な昆虫または節足動物種の忌避に有効な量での活性成分としての使用、芳香性化合物そのものとしてのもしくは香気組成物中の成分としての使用、または皮膚のための局所的処理剤としての使用が含まれる。
【0044】
例えば、本明細書の調製品は、昆虫または節足動物の宿主として働く、ヒトもしくは家畜動物などの哺乳類の皮膚、皮、髪、毛皮、羽毛または他の表面に局所的な方法で適用されてもよい。これらなどの生きている生物宿主は、刺咬性のハエ、ツツガムシ、ノミ、蚊、ダニおよびシラミなどの吸血昆虫および節足動物の昆虫許容食餌源として働くかもしれない。
【0045】
本明細書の調製品はまた、例えば成長中のもしくは収穫された植物もしくは作物などの食餌源、または建物もしくは構造体などの望ましい生息場所、または布もしくは織物から製造されてもよいものなどの他のタイプの保護物品を含む、昆虫または節足動物の無生物宿主に適用されてもまたはそれに組み入れられてもよい。かかる無生物宿主には、例えば、穀物などの食品が貯蔵される、フラウアまたはビーン・ビートルまたはゾウムシなどの昆虫にとって魅力的な生息場所または食餌源であるかもしれない、塔、サイロ、ビン、ホッパー、箱および袋が含まれるかもしれない。本明細書の調製品は、容器もしくは物品にまたはそこへのアクセスの任意のポイントに本調製品を適用することによってかかる昆虫を忌避するために使用されてもよい。
【0046】
本明細書の調製品はまた、芳香性化合物そのものとして、または香気組成物中の成分として心地よい香りまたは芳香を与えるためにヒトの皮膚および/または髪に適用されてもよく、本明細書の調製品はまた、ボディウォッシュ、リンス、コンディショナー、トナー、ローション、スプラッシュ、スプレーまたはユーザーによって個人的に適用される他のタイプの化粧品の形態でヒトの皮膚および/または髪への適用による皮膚のための局所的処理剤として使用されてもよい。
【0047】
忌避性物質は、生物であろうと無生物であろうと、昆虫または節足動物をそれらの好ましい宿主から忌避するか、またはそれらの宿主をあるやり方で受け入れられない状態にする。ほとんどの忌避剤は活性毒物ではなく、むしろ望ましい昆虫/節足動物宿主、またはそれらの宿主に関連した状態を、魅力のないまたは不快感を与えるものにする。典型的には、忌避剤は、宿主に、その上にもしくはその回りに局所的に適用することができるか、または宿主が存在するすぐ近くの3次元空間に昆虫/節足動物が近づくかまたは留まるのを阻止するために宿主中へ組み入れることができる。いずれにしても、忌避剤の効果は、昆虫/節足動物に宿主を拒絶させること、またはそれらが宿主から外へおよび宿主から忌避されるようにすることであり、それによって生物宿主への「食付き」の頻度を最小限にするか、または昆虫/節足動物が無生物宿主に引き起こす損傷の量を最小限にする。忌避剤はガス(嗅覚)、液体、または固体(味覚)の形態にあってもよい。
【0048】
多くの忌避剤が極性および非極性の両領域をそれらの構造に含有するので、全体的な忌避有効性に重要である一特性は表面活性である。第2の特性は揮発性である。忌避剤は、食付きからの生物宿主の保護または損傷からの無生物宿主の保護によって測定されるように、宿主の表面、その上またはその近くからの活性成分の蒸発がその有効性に重要な寄与をする独特なクラスの化合物である。
【0049】
忌避性物質の効能の態様は、それが適用された表面上方のまたは周りの空域における物質の濃度が昆虫または節足動物、特に飛行昆虫を忌避するのに十分である程度である。忌避剤の濃度の望ましいレベルは、主として蒸発から空域において得られるが、蒸発の速度は、表面中への任意の吸収の速度によって影響を受け、表面中へのおよび表面を通っての浸透は、このようにほとんど常に表面からの忌避剤の損失の望ましくない様式である。この考察は、忌避性物質がその同一表面上に存在する他の化学物質と望ましくもなく反応するかもしれない、合成材料から製造された無生物宿主の表面からの忌避剤の損失に適用されるように生物宿主の皮膚または他の表面中への吸収による忌避剤の損失に等しく適用される。希釈もしくは吸収などの物理的作用による忌避性物質の濃度の損失、または反応などの化学的作用による濃度の損失は、表面上の直接濃度が重要な因子である、這う昆虫/節足動物の忌避性の場合には等しく望ましくない。
【0050】
昆虫/節足動物忌避活性物としての使用のための物質を選択するときに、物質の固有の揮発性は従って一般に重要な考慮事項である。しかしながら、様々な戦略が、揮発性を下げず、好ましくは揮発性を上げながら活性物の持続性を上げるという試みのために必要とされるときに利用可能である。例えば、活性物は、それが適用されたまたは発散する表面上での持続性を上げるためにポリマーおよび不活性成分と共に調合することができる。しかしながら、調合物中の不活性成分の存在は調合物において活性物を希釈し、望ましくもなく速い蒸発による活性物の損失は従って、有効であるには余りにも少ない活性物を単に適用するというリスクとバランスさせなければならない。あるいはまた、活性成分は表面または物品からの損失の速度をコントロールするためにマイクロカプセル中に含有されてもよく、表面上でまたは物品中でゆっくり分解する前駆体分子が活性成分の放出の速度をコントロールするために使用されてもよく、または相乗剤が調合組成物からの活性物の蒸発を連続的に促進するために使用されてもよい。
【0051】
生物宿主の皮膚または他の表面への適用を意図される活性成分の放出は、例えば、皮膚に栄養分を与えるタンパク質中に活性成分がカプセル化されるかまたは包まれる、サブミクロンカプセル化によって成し遂げられてもよい。タンパク質は、例えば、約20重量%濃度で使用されてもよい。忌避剤の適用物は、水性ローションか、スプレー用途向け水かのどちらか中に懸濁されてもよい多くのこれらのタンパク質カプセルを含有する。皮膚との接触後に、タンパク質カプセルは崩壊し始め、カプセル化された活性物を放出する。本プロセスは、各微視的カプセルが使い尽くされ、次に、表面と接触しそしてその活性成分を放出する新しいカプセルによって相次いで置き換えられながら続行する。本プロセスは1適用について24時間かかってもよい。タンパク質は皮膚に非常に効果的に付着するので、これらの調合物は発汗(スウェット−オフ)と他の源からの水による希釈とに対して非常に耐性を示す。
【0052】
本発明の調製品の明確な利点の1つは、それらが全て、上記のように、生物または無生物宿主の表面上に、その上方にそしてその周りに活性成分の望ましくも高いレベルの濃度を得るための使用にとってそれらを好適にする相対的揮発性によって特徴づけられることである。これらの調製品の1つもしくはそれ以上が、組成物中の活性物、または活性調合物としてかかる目的のために使用されてもよく、組成物で本調製品は、例えば、液体、エアゾール、ゲル、エアロゲル、泡または粉末(噴霧可能な粉末もしくは散粉など)の形態での表面への組成物の湿式または乾式適用に好適な担体と混合される。好適な担体には、様々な商業的に入手可能な有機および無機液体、固体、もしくは半固体担体または様々な化粧品を調合するのに使用できる担体調合物のうちのいずれか1つが含まれる。ヒトの皮膚または他の表面への適用用の組成物を調合するとき、皮膚科学的に許容される担体を選択することが重要である。本明細書での使用に好適な担体には、水、アルコール、シリコーン、ペトロラタム、ラノリンが含まれてもよく、または液体脂肪族炭化水素(例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカンおよびそれらの類似物)もしくは液体芳香族炭化水素が含まれてもよい。
【0053】
他の有用な液体炭化水素の例には、石炭の蒸留と、石油の分留によって得られる灯油をはじめとする、様々なタイプおよび品位の石油化学ストックの蒸留とによって生産されるオイルが挙げられる。好適な石油系オイルには、農業スプレー油(例えば、石油の蒸留における中間留分からなる、そしてわずかに揮発性であるにすぎない、いわゆる軽および中間スプレー油)と一般に言われるものが含まれる。かかる油は通常高度に精製され、微量の不飽和化合物を含有するにすぎないかもしれない。さらに、かかる油は一般にパラフィン油であり、従って水および乳化剤で乳化させ、より低い濃度に希釈し、スプレーとして使用することができる。パラフィン油に似た、木材パルプのサルフェート蒸解から得られるトールオイルも同様に使用することができる。他の有機液体担体には、α−ピネン、ジテルペン、テルピネオールなどのような液体テルペン炭化水素およびテルペンアルコールが含まれ得る。
【0054】
他の好適な担体には、シリコーン、ペトロラタム、ラノリン、液体炭化水素、農業スプレー油、パラフィン油、トールオイル、液体テルペン炭化水素およびテルペンアルコール、脂肪族および芳香族アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、鉱油、高級アルコール、細分された有機および無機固体材料が含まれる。上述の液体炭化水素に加えて、担体は、活性成分を最終使用用途向けに水に分散させる、そして水で希釈するために使用することができる通常の乳化剤を含有することができる。さらに他の液体担体には、脂肪族および芳香族アルコール、エステル、アルデヒド、およびケトンなどの有機溶媒が含まれ得る。脂肪族一価アルコールには、メチル、エチル、ノルマル−プロピル、イソプロピル、ノルマル−ブチル、第二ブチル、および第三ブチルアルコールが含まれる。好適なアルコールには、グリコール(エチレンおよびプロピレングリコールなどの)およびピナコールが含まれる。好適な多価アルコールには、グリセロール、アラビトール、エリスリトール、ソルビトールなどが含まれる。最後に、好適な環式アルコールには、シクロペンチルおよびシクロヘキシルアルコールが含まれる。
【0055】
通常の芳香族および脂肪族エステル、アルデヒドおよびケトンは、担体として使用することができ、場合により上述のアルコールと組み合わせて使用される。さらに他の液体担体には、鉱油および高級アルコール(セチルアルコールなどの)などの比較的高沸点の石油製品が含まれる。さらに、通常のまたはいわゆる「安定剤」(例えば第三ブチルスルフィニルジメチルジチオカーボネート)を、本発明に従って製造されるような組成物に使用される担体と併せて、またはその成分として使用することができる。
【0056】
隙間あり層状構造を有する多数の粘土と、化学組成、結晶化度および層状モルフォロジーの点でかかる粘土に似ている合成無機材料とが、担体としての本明細書での使用に好適である。隙間あり層状構造を有する好適な粘土には、スメクタイト、カオリン、モスコバイト、バーミキュライト、金雲母、脆雲母、およびクリソタイル、ならびにそれらの混合物が含まれる。スメクタイト粘土およびカオリン粘土が好ましい。スメクタイト粘土には、モンモリロナイト、バイデル石、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコン石などが含まれる。カオリン粘土には、カオリナイト、デッカイト(deckite)、ナックライト(nacrite)、アンチゴライトなどが含まれる。モンモリロナイトが最も好ましい。平均粒度は0.5〜50マイクロメートルの範囲である。
【0057】
昆虫/節足動物忌避性組成物、特に生物宿主の皮膚または他の表面に適用されるべきであるものの望ましい特性には、低毒性、浸水または発汗による損失に対する抵抗性、低臭もしくは無臭または少なくとも心地よい香り、適用の容易さ、および乾燥した粘着性のない表面フィルムの迅速な形成が含まれる。これらの特性を有する組成物は、皮膚、皮、髪、毛皮、羽毛または他の表面を、宿主から昆虫/節足動物を忌避するのに有効な量の組成物と接触させることによって、昆虫/節足動物が湧いている家畜動物(例えばノミが湧いている犬、シラミが湧いている家禽、またはノサシバエもしくはダニが湧いている牛)、または昆虫/節足動物への避けられない暴露に悩んでいるヒトの処置を可能にする。
【0058】
昆虫/節足動物による攻撃にさらされる表面(生物宿主の皮膚、皮、髪、毛皮、もしくは羽毛、または植物もしくは作物の柄、茎、葉もしくは花など)上への有効量の忌避性組成物の適用は、組成物を空気中へ分散させることによって、または組成物を液ミストとして分散させることによって、または粉末もしくはダスト中へ組み入れられて成し遂げられてもよく、これは、組成物が宿主の所望の表面上に落ちることを可能にするであろう。本明細書の調製品を噴霧の形態での適用のために逸散性媒体と組み合わせることによって忌避性組成物を調合することもまた望ましいかもしれない。かかる組成物は、圧縮ガス、または機械ポンプスプレーを用いて活性成分を雰囲気中へ分散させるように適応させられたエアゾール、噴霧可能な液体または噴霧可能な粉末組成物であってもよい。同様に、湿ったまたは乾いた形態での(例えば、脆い固体としての)宿主への液体/半固体/固体忌避剤の直接散布も、宿主の表面を有効量の忌避剤と接触させる有用な方法である。
【0059】
さらに、本明細書の調製品を、組成物で防虫性を有することが知られている1つもしくはそれ以上の他の化合物と組み合わせて相乗効果を達成することもまた望ましいかもしれない。かかる目的のために組み合わせることができる好適な防虫性化合物には、ネペタラクトン、ネペタラクタム、ジヒドロネペタラクトンおよびそれらの誘導体、ジヒドロネペタラクタムおよびそれらの誘導体、ベンジル、安息香酸ベンジル、2,3,4,5−ビス(ブチル−2−エン)テトラヒドロフルフラール、ブトキシポリプロピレングリコール、N−ブチルアセトアニリド、6,6−ジメチル−5,6−ジヒドロ−1,4−ピロン−2−カルボン酸ノルマル−ブチル、アジピン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、コハク酸ジ−ノルマル−ブチル−6、N,N−ジエチル−メタ−トルアミド、ジメチルカルベート(carbate)、フタル酸ジメチル、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、イソシンコメロン酸ジ−ノルマル−プロピル、2−フェニルシクロヘキサノール、p−メタン−3,8−ジオール、およびノルマル−プロピルN,N−ジエチルスクシアマートが含まれる。
【0060】
本明細書の調製品の1つもしくはそれ以上に加えて、昆虫/節足動物忌避性組成物はまた、1つもしくはそれ以上の精油および/または精油の活性成分を含んでもよい。精油には、植物から得られそして植物の香りおよび他の固有特性を有する任意のタイプの揮発性油が含まれる。有用な精油の例には、苦扁桃油、アニス油、バジル油、ベイ油、カラウェー油、カルダモン油、シダー油、セロリ油、カモミール油、桂皮油、シトロネラ油、丁子油、コリアンダー油、クミン油、ジラ油、ユーカリ油、ウィキョウ油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、レモン油、ライム油、ハッカ油、パセリ油、ペパーミント油、コショウ油、バラ油、スペアミント油(メントール)、橙皮油、タイム油、ウコン油、およびウィンターグリーンの油が挙げられる。精油中の活性成分の例は、シトロネラール、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸プロピル、シトロネロール、サフロール、およびリモネンである。
【0061】
本明細書の調製品によって忌避されるかもしれない昆虫および節足動物には、成虫状態(非成虫状態には幼虫および蛹が含まれる)で頭部、胸部、および腹部、3対の脚、ならびに、しばしば(しかし必ずしもそうとは限らない)2対の膜質翼へのボディの分割によって特徴づけられる無脊椎動物の大群の任意のメンバーが含まれる。それ故この定義には、様々な刺咬性の昆虫(例えばアリ、ハチ、ツツガムシ、ノミ、蚊、ダニ、カリバチ)、刺咬性のハエ[例えばブヨ、グリーンヘッド蠅、サシバエ、ノサシバエ(ハエマトビア・イリタンス(haematobia irritans)]、木食い虫(例えばシロアリ)、害虫(例えばイエバエ、ゴキブリ、シラミ、ローチ、ダンゴムシ)、ならびに家庭害虫(例えばフラウアおよびビーン・ビートル、イエダニ、蛾、セイヨウシミ、ゾウムシ)が含まれる。
【0062】
別の実施形態では、本明細書の調製品は、芳香性材料としてまたは芳香性組成物中の活性物として使用されても、そしてヒトまたはペット用のコロン水または香水でのように、ヒトまたは動物の皮膚または髪に、心地よい香りまたは芳香をそれらに与えるために局所的やり方で適用されてもよい。あるいはまた、心地よい香りまたは芳香は、昆虫/節足動物忌避剤としての本明細書の調製品の使用によって得られてもよく、ここで、本調製品は忌避性ならびに心地よい香りまたは芳香の両方を同時に与える二重の特性を有する。
【0063】
さらなる実施形態では、他の基本目的に向けられる製品の昆虫/節足動物忌避性および/または芳香は、本発明の調製品がその中に存在することによって改善されるであろう。それらの他の製品には、例えば、ボディウォッシュ、リンス、ローション、スプラッシュ、トニックまたはトナー、バスおよびシャワーゲル、泡製品(例えば髭剃りクリーム)、メーキャップ、脱臭剤、シャンプー、ヘアラッカー/ヘアリンス、パーソナルソープ組成物(例えばハンドソープおよびバス/シャワーソープ)または他のパーソナルケア処理剤もしくは苦痛緩和剤、ならびに洗剤および溶媒などのクリーニング剤、ならびに空気清浄剤および臭気除去剤が含まれる。かかる製品は、例えば、噴霧可能な液体、エアゾール、泡、クリーム、軟膏、ゲル、ペースト、粉末または脆い固体の形態で製造されてもよい。かかる製品の製造方法は従って、本明細書の調製品を、容易に吹き付けられる液体担体;エアゾールまたは泡のための高圧ガス;クリーム、軟膏、ゲルまたはペーストのための粘稠な担体;または粉末もしくは脆い固体のための乾燥もしくは半固体担体などの、記載されるような物理的形態での送出を容易にするための好適な担体または他の不活性成分と混合することを含むであろう。
【0064】
上記の製品のどれもまた、他の治療上もしくは化粧上活性な添加剤またはパーソナルケア業界で典型的であるような補足成分を含有してもよい。これらの例には、殺菌・殺カビ剤、日光遮断剤、日焼け防止剤、ビタミン、なめし剤、植物抽出物、抗炎症剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、レチノイド、α−ヒドロキシ酸、消毒剤、抗生物質、抗菌剤、抗ヒスタミン剤;増粘剤、緩衝剤、キレート剤、防腐剤、ゲル化剤、安定剤、界面活性剤、エモリエント、着色剤、アロエ、ワックス、および浸透エンハンサーなどの添加剤;ならびにそれらの任意の2つもしくはそれ以上の混合物が挙げられる。
【0065】
本明細書の調製品が、昆虫/節足動物忌避効果を生み出すために、または改善された芳香を与えるために組み入れられてもよい無生物宿主には、織物および繊維商品、衣類、衛生商品、カーペット、リンネル、テントなどの屋外または軍装備品、防水布、リュックサックまたは蚊帳、ろうそく、紙、ペイント、インク、家具などの木材製品、プラスチックおよび他のポリマーなどのような物品または商品が含まれる。
【0066】
本明細書の調製品は、希釈、混合、濃厚化、乳化、瓶詰めおよび加圧などの、化粧品業界で公知の同じ方法のいずれかによって、生物宿主への適用のための組成物として調合されてもまたは組成物中へ組み入れられてもよい。本明細書の調製品は、製造中に混合することによって、または吹き付けもしくは浸漬などのポスト製造工程によって、無生物宿主として働く物品中へ組み入れられてもよい。
【0067】
本明細書の調製品は、昆虫/節足動物忌避剤、芳香または他の皮膚処理剤などの、ある特定の目的のための用法に有効である量で、担体などの他の成分と組成物中で混合されてもよい。組成物中に含有される、本明細書に記載されるようなプレガン酸アミドの量は一般に、最終製品の重量を基準として約80重量%を超えないであろうが、より多量がある種の用途では用いられてもよく、この量は制限的ではない。より好ましくは、プレガン酸アミドの好適な量は、全組成物または物品の総重量を基準として、少なくとも約0.001重量%、好ましくは約0.01重量%、約50重量%以下、より好ましくは約0.01重量%〜約20重量パーセントであろう。具体的な組成物は、意図される用途に依存するであろう。
【0068】
プレガン酸アミドの使用に関連する他の組成物、材料および方法は、それらのそれぞれが全ての目的のために本明細書の一部として全体が援用される、米国特許出願公開第2003/062,357号明細書、米国特許出願公開第2003/079,786号明細書、米国特許出願公開第2003/191,047号明細書、および米国特許出願公開第2006/148,842号明細書に開示されている。
【0069】
本発明は、以下の具体的な実施形態においてさらに説明されるが、それらによって限定されない。
【実施例】
【0070】
一般的な手順
用いられる省略形の意味は次の通りである。「mL」はミリリットルを意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「g」はグラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「kPa」はキロパスカルを意味し、「MP」は融点を意味し、「NMR」は核磁気共鳴を意味し、「HPLC−MS」は高性能液体クロマトグラフィー−質量分析を意味し、「GCMS」はガスクロマトグラフィー−質量分析を意味し、「℃」は度摂氏を意味し、「RT」は室温(おおよそ25℃)を意味し、「hr」は時間を意味し、そして「ATP」はアデノシン三リン酸を意味する。
【0071】
全ての無機塩および有機溶媒は、無水テトラヒドロフラン(THF)を例外として、VWRサイエンティフィック(ペンシルバニア州ウェスト・チェスター)(VWR Scientific(West Chester,PA))から入手した。実施例で使用される全ての他の試薬は、シグマ−アルドリッチ・ケミカル(ウィスコンシン州ミルウォーキー)(Sigma−Aldrich Chemical(Milwaukee,WI))から入手し、受け取ったまま使用した。pHの測定は、マイクロ・エッセンシャル・ラボラトリー社(ニューヨーク州ブルックリン)(Micro Essential Laboratory,Inc.(Brooklyn,NY))製のピーハイドリオン(pHydrion)紙で行った。プレガン酸アミド生成物は、酢酸エチル/ヘキサンを溶出液として使用するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、精製された生成物は、NMR分光法によって特徴づけられた。NMRスペクトルは、ケンブリッジ・アイソトープ・ラボラトリーズ社(マサチューセッツ州アンドーバー)(Cambridge Isotope Laboratories,Inc.(Andover,MA)から入手した重水素化溶媒を使用してブルッカーDRXアドバンス(Bruker DRX Advance)(500MHz H、125MHz 13C;ブルッカー・バイオスピン社、マサチューセッツ州ビルリカ(Bruker Biospin Corp.,Billerica,MA))で得た。
【0072】
対照および試験忌避剤の合成に関係する全ての反応および操作は、標準実験室ドラフトにて標準実験室ガラス器具で実施した。
【0073】
トランス,シス−ネペタラクトンの精製
おおよそ75%トランス,シス−ネペタラクトン(IIa)を含有するキャットミント油(60g)(バージェ、ニュージャージー州ブルームフィールド(Berje;Bloomfield,NJ);ロット番号22941)を500mL丸底フラスコ中へ入れ、室温で撹拌しながら石油エーテル(200mL)で処理した。0℃に冷却すると、白色固体が溶液から沈澱し、フラスコの底部に沈降した。白色固体を濾過し、石油エーテルで洗浄し、0℃に冷却し、真空下に乾燥させた。得られた白色固体生成物(30g、50%収率)は、NMR分析によってトランス,シス−ネペタラクトンであると測定され、27〜29℃の融点(27.5〜29℃の融点、サカン(Sakan)ら著、Tetrahedron Lett.1965、4097−4101ページから得られる)を与えた。
【0074】
プレガン酸の合成
(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタンカルボン酸(プレガン酸、式IV)
【0075】
【化12】

【0076】
を次の通り合成する。トランス,シス−ネペタラクトン(30.0g)を95%エタノール/5%イソプロパノール(300mL)に溶解させ、5%Pt/C(触媒、6.0g)と共にフィッシャー−ポーター(Fisher−Porter)ボトルに入れた。チューブを2回排気し、Hでバックフィルし、次にHを30psig(206.9kPa)に装入した。室温で19時間撹拌した後、チューブをガス抜きし、内容物をセライト上で濾過して触媒を除去した。溶媒を減圧下に除去し、生じた残留物をヘキサン(100mL)と飽和炭酸水素ナトリウム溶液(150mL)とに分配させた。水層を濃塩酸でpH=1.0に酸性化した。混合物を次にジクロロメタン(50mL)で3回抽出し、組み合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。減圧下での溶媒の除去はプレガン酸を無色透明オイルとしてもたらした(21.0g、68%収率)。得られた生成物のNMR分析は、式IIIに描かれるプレガン酸、(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタンカルボン酸構造と一致した。
【0077】
実施例1
【0078】
【化13】

【0079】
プレガン酸(IV)(1.0g)を窒素下に100mL丸底フラスコ中のジクロロメタン(10mL)に溶解させ、氷浴で0℃に冷却した。トリエチルアミン(0.82mL)を該溶液に加え、注射器による塩化チオニル(0.43mL)のゆっくりした滴加がこれに続いた。別に、ジエチルアミン(0.73mL)を窒素下に100mL丸底フラスコ中のジクロロメタン(5mL)に加え、0℃に冷却した。第1フラスコ中のプレガン酸−トリエチルアミン−塩化チオニル溶液を、窒素下に0℃でカニューレによりジエチルアミン溶液に滴加した。滴加が完了した後、生じた溶液を0℃で30分間撹拌し、次に室温に暖めた。30分後に、反応溶液を回転エバポレーターで濃縮し、生じた残留物をジクロロメタン(25mL)と10%クエン酸溶液(25mL)とに分配させた。層を分液漏斗により分離し、水層をジクロロメタン(25mL)で再抽出した。組み合わせたジクロロメタン層を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。減圧下での溶媒の除去は、N,N−ジエチル−プレガン酸アミドを淡黄色オイルとしてもたらした(0.95g、79%収率)。得られた生成物のNMRおよびGCMS分析は、高純度での構造表現Iaで描かれるN,N−ジエチル−(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタンカルボキサミド構造と一致した。
【0080】
実施例2
【0081】
【化14】

【0082】
ジエチルアミンの代わりにラセミの2−メチルピペリジン(0.70mL)を使用して実施例1に記載された同一手順を用い、それは(±)−2−メチルピペリジニル−プレガン酸アミドを無色透明オイルとしてもたらした(1.32g、86%収率)。粗反応生成物の精製は、得られた粗反応生成物のジクロロメタン(6mL)への溶解、これに続く飽和炭酸ナトリウム水溶液(10mL)での液−液抽出によって実施した。分離した有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を回転エバポレーターで除去して純N−ヘキシル−プレガン酸アミドを白色固体としてもたらした(381mg、26%収率)。得られた生成物のNMRおよびGCMS分析は、[(±)−2−メチルピペリジニル]−(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタン−カルボキサミドと一致した。
【0083】
実施例3
実施例1および2の生成物を、インビトロ着陸(landing)アッセイでネッタイシマカ(Aedes aegypti mosquitoes)に抗する防虫性について評価した。この方法では、チャンバーは、それぞれバウンドルッチェ(Baudruche)(動物腸)膜でカバーされた、5ウェルを含有した。各ウェルをクエン酸ナトリウム(凝固を防ぐための)とATP(26mLの血液当たり72mgのATP二ナトリウム塩)とを含有するウシ血液で満たし、37℃に加熱した。1つの試験検体または対照を含有する25μL容量のイソプロピルアルコール(IPA)を各膜に適用した。濃度はIPA中1.0w/v%であった。ネガティブコントロールはニートのIPAであり、ポジティブコントロールはDEETの1.0w/v%溶液であった。
【0084】
5分後に、おおよそ250匹の4日齢雌ネッタイシマカをチャンバー中へ導入した。各処理について膜を探査する蚊の数を、20分にわたって2分間隔で記録した。ジエチルプレガン酸アミド(Ia)および2−メチル−ピペリジンプレガン酸アミド(Ib)についての結果を、それぞれ、図1および2に示し、各データは5反復実験の平均を表す。
【0085】
実施例4
【0086】
【化15】

【0087】
ジエチルアミンの代わりにメチルアミン(2.95mLのTHF中の2M溶液)を使用して実施例1に記載された同一手順を用い、それはN−メチル−プレガン酸アミドをオイルとしてもたらした(1.07g、82%収率)。粗反応生成物のNMR分析は、プレガン酸が存在することを示唆した。シリカゲル・クロマトグラフィーによる粗反応生成物の精製は、純N−メチル−プレガン酸アミドを白色固体としてもたらした(204mg、19%収率)。精製された生成物のGCMS、HPLC−MSおよびNMRによる分析は、N−メチル−(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタン−カルボキサミドの構造表現(上に示される)と一致した(実測MP=133℃)。
【0088】
実施例5
【0089】
【化16】

【0090】
ジエチルアミンの代わりにプロピルアミン(0.5mL)を使用して実施例1に記載された同一手順を用い、それはプロピルプレガン酸アミドをオイルとしてもたらした(1.24g、89%収率)。粗反応生成物のNMR分析は、プレガン酸が存在することを示唆した。シリカゲル・クロマトグラフィーによる粗反応生成物の精製は、純N−プロピル−プレガン酸アミドを白色固体としてもたらした(265mg、21%収率)。精製された生成物のGCMS、HPLC−MSおよびNMRによる分析は、N−プロピル−(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタン−カルボキサミドの構造表現(上に示される)と一致した(実測MP=110℃)。
【0091】
実施例6
【0092】
【化17】

【0093】
ジエチルアミンの代わりにヘキシルアミン(0.8mL)を使用して実施例1に記載された同一手順を用い、それはN−ヘキシル−プレガン酸アミドをオイルとしてもたらした(1.49g、83%収率)。粗反応生成物のNMR分析は、プレガン酸が存在することを示唆した。粗反応生成物の精製は、得られた粗反応生成物のジクロロメタン(6mL)への溶解、これに続く飽和炭酸ナトリウム水溶液(10mL)での液−液抽出によって実施した。分離した有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を回転エバポレーターで除去して純N−ヘキシルプレガン酸アミドを白色固体としてもたらした(485mg、33%収率)。精製された生成物のGCMS、HPLC−MSおよびNMRによる分析は、N−ヘキシル−(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタン−カルボキサミドの構造表現(上に示される)と一致した(実測MP=50.5℃)。
【0094】
実施例7
【0095】
【化18】

【0096】
ジエチルアミンの代わりにベンジルアミン(0.64mL)を使用して実施例1に記載された同一手順を用い、それはN−ベンジル−プレガン酸アミドをオイルとしてもたらした(1.52g、87%収率)。粗反応生成物のNMR分析は、プレガン酸が存在することを示唆した。シリカゲル・クロマトグラフィーによる粗反応生成物の精製は、純N−ベンジル−プレガン酸アミドを白色固体としてもたらした(550mg、36%収率)。精製された生成物のGCMS、HPLC−MSおよびNMRによる分析は、N−ベンジル−(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタン−カルボキサミドの構造表現(上に示される)と一致した(実測MP=114℃)。
【0097】
実施例8
【0098】
【化19】

【0099】
ジエチルアミンの代わりにアリルアミン(0.34mL)を使用して実施例1に記載された同一手順を用い、それはN−アリル−プレガン酸アミドをオイルとしてもたらした(1.23g、85%収率)。粗反応生成物のNMR分析は、プレガン酸が存在することを示唆した。シリカゲル・クロマトグラフィーによる粗反応生成物の精製は、純N−アリル−プレガン酸アミドを白色固体としてもたらした(310mg、25%収率)。精製された生成物のGCMS、HPLC−MSおよびNMRによる分析は、N−アリル−(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタン−カルボキサミドの構造表現(上に示される)と一致した(実測MP=89.5℃)。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1−2】本明細書に記載される、インビトロ着陸アッセイ手順で、ネッタイシマカの探査挙動へのそれらの影響について表示対照に対して本発明の表示化合物の試験結果を示す。横軸目盛は分単位での時間を示し、縦軸目盛は蚊の着陸の平均数を示す。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式I
【化1】


[式中、RおよびRはそれぞれ独立して、
a)H、CH、C
b)C〜C20直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
c)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなるC〜C20直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
d)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、非置換または置換されたC〜C20芳香族基、ならびに
e)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、O、NおよびSよりなる群から選択されたヘテロ原子を含んでなる非置換または置換されたC〜C20芳香族基
よりなる群から選択され、
ただし、RおよびRは両方が水素であることはなく、また、RおよびRは場合により一緒になって環式または二環式アルカニルもしくはアルケニル基を形成してもよいが、そのように形成されるプレガン酸アミドはN−メチル−N−フェニルプレガン酸アミドであることはない]
の構造によって一般に表される化合物。
【請求項2】
およびRがそれぞれ独立して、
1)C〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
2)O、NおよびSよりなる群から選択されたヘテロ原子を含んでなるC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
3)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、非置換または置換されたC〜C12芳香族基、ならびに
4)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、O、NおよびSよりなる群から選択されたヘテロ原子を含んでなる非置換または置換されたC〜C12芳香族基
よりなる群から選択され、
およびRが場合により一緒になって環式または二環式アルカニルもしくはアルケニル基を形成してもよく、
ただし、そのように形成されるプレガン酸アミドがN−メチル−N−フェニルプレガン酸アミドであることはない
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
N,N−ジエチル−(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタンカルボキサミドまたは[(±)−2−メチルピペリジニル]−(1S,2R,5S)−2−イソプロピル−5−メチルシクロペンタン−カルボキサミドである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式Iの化合物の単一の立体異性体であるかまたは式Iの化合物の立体異性体の組み合わせである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
シクロペンチル環上のメチルを有する炭素においてS配置を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
(a)担体および化粧用もしくは治療用添加剤の一方もしくは両方と、
(b)次式I
【化2】


[式中、RおよびRはそれぞれ独立して、
a)H、CH、C
b)C〜C20直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
c)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなるC〜C20直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
d)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、非置換または置換されたC〜C20芳香族基、ならびに
e)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、O、NおよびSよりなる群から選択されたヘテロ原子を含んでなる非置換または置換されたC〜C20芳香族基
よりなる群から選択され、
ただし、RおよびRは両方が水素であることはなく、また、RおよびRは場合により一緒になって環式または二環式アルカニルもしくはアルケニル基を形成してもよいが、そのように形成されるプレガン酸アミドがN−メチル−N−フェニルプレガン酸アミドである場合を除く]
の構造によって一般に表される化合物と
を含んでなる組成物。
【請求項7】
式Iの化合物が該化合物の単一の立体異性体であるか、または該化合物の立体異性体の混合物である請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
式Iの化合物がシクロペンチル環上のメチルを有する炭素においてS配置を有する請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
ジヒドロネペタラクトンをさらに含んでなる請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
精油をさらに含んでなる請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
添加剤が殺菌・殺カビ剤、日光遮断剤、日焼け防止剤、ビタミン、なめし剤、植物抽出物、抗炎症剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、レチノイド、α−ヒドロキシ酸、消毒剤、抗生物質、抗菌剤、抗ヒスタミン剤、増粘剤、緩衝剤、キレート剤、防腐剤、ゲル化剤、安定剤、界面活性剤、エモリエント、着色剤、アロエ、ワックス、および浸透エンハンサーよりなる群の任意の1つもしくはそれ以上のメンバーを含んでなる請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
式Iの化合物を組成物の総重量の約0.001重量%〜約80重量%の量で含んでなる請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
噴霧可能な液体、エアゾール、泡、クリーム、軟膏、ゲル、ペースト、粉末または脆い固体の形態にある請求項6に記載の組成物。
【請求項14】
次式I
【化3】


[式中、RおよびRはそれぞれ独立して、
a)H、CH、C
b)C〜C20直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
c)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなるC〜C20直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
d)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、非置換または置換されたC〜C20芳香族基、ならびに
e)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、O、NおよびSよりなる群から選択されたヘテロ原子を含んでなる非置換または置換されたC〜C20芳香族基
よりなる群から選択され、
ただし、RおよびRは両方が水素であることはなく、また、RおよびRは場合により一緒になって環式または二環式アルカニルもしくはアルケニル基を形成してもよいが、そのように形成されるプレガン酸アミドがN−メチル−N−フェニルプレガン酸アミドであることはない]
の構造によって一般に表される化合物に昆虫または節足動物を曝すことを含んでなる昆虫または節足動物の忌避方法。
【請求項15】
式Iの化合物が該化合物の単一の立体異性体であるか、または該化合物の立体異性体の混合物である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式Iの化合物がシクロペンチル環上のメチルを有する炭素においてS配置を有する請求項14に記載の方法。
【請求項17】
式Iの化合物を組成物の総重量の約0.001重量%〜約80重量%の量で含んでなる組成物に昆虫または節足動物を曝すことを含んでなる請求項14に記載の方法。
【請求項18】
組成物が担体または化粧用もしくは治療用添加剤の一方もしくは両方を含んでなる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
組成物がジヒドロネペタラクトンをさらに含んでなる請求項17に記載の方法。
【請求項20】
組成物が精油をさらに含んでなる請求項17に記載の方法。
【請求項21】
組成物が殺菌・殺カビ剤、日光遮断剤、日焼け防止剤、ビタミン、なめし剤、植物抽出物、抗炎症剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、レチノイド、α−ヒドロキシ酸、消毒剤、抗生物質、抗菌剤、抗ヒスタミン剤、増粘剤、緩衝剤、キレート剤、防腐剤、ゲル化剤、安定剤、界面活性剤、エモリエント、着色剤、アロエ、ワックス、および浸透エンハンサーよりなる群の任意の1つもしくはそれ以上のメンバーから選択された添加剤を含んでなる請求項17に記載の方法。
【請求項22】
吸血昆虫または節足動物を化合物に曝すことを含んでなる請求項14に記載の方法。
【請求項23】
吸血昆虫または節足動物を組成物に曝すことを含んでなる請求項17に記載の方法。
【請求項24】
刺咬性のハエ、ツツガムシ、ノミ、蚊、ダニおよびシラミよりなる群から選択される昆虫または節足動物を化合物に曝すことを含んでなる請求項14に記載の方法。
【請求項25】
刺咬性のハエ、ツツガムシ、ノミ、蚊、ダニおよびシラミよりなる群から選択される昆虫または節足動物を組成物に曝すことを含んでなる請求項17に記載の方法。
【請求項26】
化合物を昆虫または節足動物の宿主の皮膚、皮、髪、羽毛もしくは毛皮または他の表面に適用することを含んでなる請求項14に記載の方法。
【請求項27】
組成物を昆虫または節足動物の宿主の皮膚、皮、髪、羽毛もしくは毛皮または他の表面に適用することを含んでなる請求項17に記載の方法。
【請求項28】
(a)担体および化粧用もしくは治療用添加剤の一方もしくは両方を(b)次式I
【化4】


[式中、RおよびRはそれぞれ独立して、
a)H、CH、C
b)C〜C20直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
c)O、NおよびSよりなる群から選択されるヘテロ原子を含んでなるC〜C20直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基、
d)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、非置換または置換されたC〜C20芳香族基、ならびに
e)置換基がC〜C12直鎖状、分岐状または環式アルカンもしくはアルケン基よりなる群から選択される、O、NおよびSよりなる群から選択されたヘテロ原子を含んでなる非置換または置換されたC〜C20芳香族基
よりなる群から選択され、
ただし、RおよびRは両方が水素であることはなく、また、RおよびRは場合により一緒になって環式または二環式アルカニルもしくはアルケニル基を形成してもよいが、そのように形成されるプレガン酸アミドがN−メチル−N−フェニルプレガン酸アミドであることはない]
の構造によって一般に表される化合物と混合することを含んでなる、ヒトまたは家畜動物の皮膚、皮、髪、羽毛もしくは毛皮または他の表面に適用できる組成物の製造方法。
【請求項29】
式Iの化合物が該化合物の単一の立体異性体であるか、または該化合物の立体異性体の混合物である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
式Iの化合物がシクロペンチル環上のメチルを有する炭素においてS配置を有する請求項28に記載の方法。
【請求項31】
式Iの化合物をネペタラクトンから製造する工程をさらに含んでなる請求項28に記載の方法。
【請求項32】
組成物がジヒドロネペタラクトンをさらに含んでなる請求項28に記載の方法。
【請求項33】
組成物が殺菌・殺カビ剤、日光遮断剤、日焼け防止剤、ビタミン、なめし剤、植物抽出物、抗炎症剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、レチノイド、α−ヒドロキシ酸、消毒剤、抗生物質、抗菌剤、抗ヒスタミン剤、増粘剤、緩衝剤、キレート剤、防腐剤、ゲル化剤、安定剤、界面活性剤、エモリエント、着色剤、アロエ、ワックス、および浸透エンハンサーよりなる群の任意の1つもしくはそれ以上のメンバーから選択された添加剤をさらに含んでなる請求項28に記載の方法。
【請求項34】
組成物が式Iの化合物を組成物の総重量の約0.001重量%〜約80重量%の量で含んでなる請求項28に記載の方法。
【請求項35】
組成物を噴霧可能な液体、エアゾール、泡、クリーム、軟膏、ゲル、ペースト、粉末または脆い固体の形態に製造する工程をさらに含んでなる請求項28に記載の方法。

【公表番号】特表2009−510101(P2009−510101A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533665(P2008−533665)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/038092
【国際公開番号】WO2007/041307
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】