説明

昇圧型スイッチング電源装置

【課題】本発明は、高効率化、小型化、低ノイズ、コストダウンの実現が可能な昇圧型スイッチング電源装置の提供を目的とする。
【解決手段】本願発明に係る昇圧型スイッチング電源装置101は、カソードがプラス出力端子12に接続された整流ダイオードDrと、プラス出力端子12とマイナス出力端子13−2の間に接続された平滑コンデンサCsと、プラス入力端子11から整流ダイオードDrのアノードに向けて順に直列に接続されたインダクタL(iは正整数:1≦i≦n)及びコンデンサCが直列に接続されたn組のペアと、それぞれのインダクタLの一端とマイナス入力端子13−1の間に接続されたn個のスイッチング素子Sと、それぞれのコンデンサCの一端とカソードが接続され、プラス入力端子11とアノードが接続されたn個のクランプダイオードDと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低電圧入力・高電圧出力の昇圧型スイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光、燃料電池、風力に代表されるクリーンエネルギーを利用する分散型発電システムにおいては、低い入力直流電圧から高い出力直流電圧に変換する昇圧回路が極めて重要である。そのため、低い入力直流電圧から高い出力直流電圧に変換する昇圧回路として、昇圧型スイッチングDC−DCコンバータ方式、トランス方式、タップ・インダクタ方式、多段接続方式などの種々の方式が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−271101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昇圧型スイッチングDC−DCコンバータを用いる場合、スイッチがオンの時間を長くする、すなわちスイッチの時比率を大きくすることで、昇圧比を大きくしている。このため、スイッチがオンの時間が長くなり、入力電流のピークが大きくなり、回路損失が増えるため、変換効率が低下していた。
【0005】
トランス又はタップ・インダクタを用いる場合、昇圧比を大きくとるためにはトランス又はタップ・インダクタのコアサイズを大きくしなければならないため、大型化する。1次側巻線と2次側巻線の巻数比を大きく設けると、巻線間の漏れインダクタンスが大きくなっていた。このため、サージが発生し、サージを削減する付加回路が必要となる。そうすると、変換効率が悪くなり、ノイズが発生する。
【0006】
多段接続方式を採用する場合、回路構成が複雑になるため、コストがかかっていた。また、スイッチング素子に加わる電圧が出力電圧と等しくなるため、スイッチング素子にかかる電圧ストレスが大きかった。
【0007】
上記の原因によって、高効率化、小型化、低ノイズ、コストダウンの実現が容易でなかった。そこで、本発明は、高効率化、小型化、低ノイズ、コストダウンの実現が可能な昇圧型スイッチング電源装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明に係る昇圧型スイッチング電源装置は、昇圧型スイッチングDC−DCコンバータをベースとし、ダイオードとコンデンサを追加することにより、高い昇圧比を容易に実現することを特徴とする。
さらに、追加したコンデンサのマイナス入力端子側にスイッチング素子を接続することで、スイッチに印加される電圧を出力電圧よりも低くすることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明に係る昇圧型スイッチング電源装置は、カソードがプラス出力端子に接続された整流ダイオードDrと、マイナス出力端子と接続されているマイナス入力端子と、前記プラス出力端子と前記マイナス出力端子の間に接続された平滑コンデンサCsと、プラス入力端子から前記整流ダイオードDrのアノードに向けて順に直列に接続されたインダクタL(iは正整数:1≦i≦n)及びコンデンサCが直列に接続されたn組のペアと、それぞれの前記インダクタLの一端であって前記整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端と前記マイナス入力端子の間に接続されたn個のスイッチング素子Sと、それぞれの前記コンデンサCの一端であって前記整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端とカソードが接続され、前記プラス入力端子とアノードが接続されたn個のクランプダイオードDと、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本願発明に係る昇圧型スイッチング電源装置は、カソードがプラス出力端子に接続された整流ダイオードDrと、マイナス出力端子と接続されているマイナス入力端子と、前記プラス出力端子と前記マイナス出力端子の間に接続された平滑コンデンサCsと、一端がプラス入力端子に接続されたインダクタLと、前記インダクタLの他端から前記整流ダイオードDrのアノードに向けて順に直列に接続されたコンデンサC(iは正整数:1≦i≦n)及びインダクタLが直列に接続されたn組のペアと、前記インダクタLの一端であって前記整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端と前記マイナス入力端子の間に接続されたスイッチング素子Sと、それぞれの前記インダクタLの一端であって前記整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端と前記マイナス端子の間に接続されたn個のスイッチング素子Sと、それぞれの前記コンデンサCの一端であって前記整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端とカソードが接続され、前記プラス入力端子とアノードが接続されたn個のクランプダイオードDと、を備えることを特徴とする。
【0011】
インダクタL及びコンデンサCのペアを設けることで昇圧比を高めるので、簡易な構成で昇圧比を高めることができる。また、スイッチング素子Sにかかる電圧ストレスを出力電圧Voよりも小さくすることができ、低い耐圧のスイッチング素子を用いることができる。したがって、昇圧型スイッチング電源装置のコストダウンが可能となる。
インダクタL及びコンデンサCのペアの増減によって昇圧比が可変になるので、小さな時比率で大きな昇圧比を得ることができる。これにより、入力電流リプルの低減が可能になり、変換効率を高めるとともに、昇圧型スイッチング電源装置を低ノイズ化することができる。また、出力電圧リプルの低減も可能になるため、整流回路の構成を小さくして、昇圧型スイッチング電源装置を小型化することもできる。また、時比率を小さくすることで、フィードバック回路などの回路を安定させることができる。
よって、本発明により、高効率化、小型化、低ノイズ、コストダウンの実現が可能な昇圧型スイッチング電源装置を提供することができる。
【0012】
本願発明に係る昇圧型スイッチング電源装置では、n個の前記クランプダイオードDのアノードは、それぞれ、前記プラス入力端子とは異なるi番目のプラス入力端子に接続することができる。
【0013】
本発明により、それぞれのクランプダイオードDのアノードに直流電源の正極を接続して直流電流を入力させることができる。当該直流電源同士を直列に接続することで、昇圧比をさらに高めることができる。これにより、スイッチング素子の時比率をさらに小さくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高効率化、小型化、低ノイズ、コストダウンの実現が可能な昇圧型スイッチング電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。
【図2】入力電流の時間変化の一例を示す。
【図3】出力電圧の時間変化の一例を示す。
【図4】実施形態1に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。
【図5】実施形態1に係る昇圧型スイッチング電源装置の電圧利得比の一例を示す。
【図6】スイッチング素子Sにかかる電圧ストレスの測定結果であり、(a)は出力電圧Voを示し、(b)はスイッチング素子Sのゲート・ソース電圧を示し、(c)はスイッチング素子Sのドレイン・ソース電圧を示す。
【図7】実施形態2に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。
【図8】n=2の場合の実施形態2に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。
【図9】実施形態3に係る昇圧型スイッチング電源装置を示す。
【図10】実施形態4に係る昇圧型スイッチング電源装置を示す。
【図11】n=2の場合の実施形態4に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。
【図12】実施形態5に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。
【図13】実施形態5に係る昇圧型スイッチング電源装置の電圧利得比の一例を示す。
【図14】実施形態6に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。
【図15】n=2の場合の実施形態6に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。
【図16】実施形態7に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。
【図17】実施形態8に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。
【図18】n=2の場合の実施形態8に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0017】
図1に、昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。図1に示す昇圧型スイッチング電源装置100は、昇圧型スイッチングDC−DCコンバータであり、整流ダイオードDrと、平滑コンデンサCsと、インダクタLと、スイッチング素子Sと、を備える。
【0018】
整流ダイオードDrは、カソードがプラス出力端子12に接続されている。マイナス入力端子13−1は、マイナス出力端子13−2と接続されている。平滑コンデンサCsは、プラス出力端子12とマイナス出力端子13−2の間に接続されている。スイッチング素子Sは、インダクタLの一端であって整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端とマイナス入力端子13−1の間に接続されている。
【0019】
本実施形態では、プラス入力端子11が入力電圧Vinを有する直流電源の正極に接続され、マイナス入力端子13−1は入力電圧Vinを有する直流電源の負極に接続される。本実施形態では、入力電圧Vinを有する直流電源は、例えば、太陽光、燃料電池、風力に代表されるクリーンエネルギーを基にした電源となる。
【0020】
昇圧型スイッチング電源装置100は、スイッチング素子Sのオンとオフを高速で繰り返すことによって、入力電圧Vinを昇圧して負荷抵抗Roに印加する。スイッチング素子Sがオンのとき、プラス入力端子11から入力された電流は、インダクタLに流入する。これにより、インダクタLにエネルギーが蓄えられる。スイッチング素子Sがオフのとき、入力電圧VinとインダクタLとプラス出力端子12が直列に接続される。このため、インダクタLに蓄えられたエネルギーに応じて、出力電圧Voは入力電圧Vinよりも高くなる。
【0021】
出力電圧Voは次式で表される。
【数1】

dはスイッチング素子Sの時比率であり、次式で表される。
【0022】
【数2】

ONはスイッチング素子Sがオンの時間、TOFFはスイッチング素子Sがオフの時間を示す。
【0023】
スイッチング素子Sがオンのとき、インダクタLには電流Iが流れる。このときの入力電流リプルΔiは次式で表される。
【数3】

【0024】
図2に、入力電流の時間変化の一例を示す。数式(1)と数式(2)より、TONが大きいと出力電圧Voは大きくなる。しかし、数式(3)及び図2に示すように、TONが大きい場合、入力電流リプルΔi1及びΔi2は大きくなり、変換効率が低下する。このため、TONが小さいこと、すなわち時比率dは小さいことが好ましい。
【0025】
スイッチング素子Sがオフのとき、プラス出力端子12には電流Ioが流れる。このときの出力電圧リプルΔvは次式で表される。
【数4】

【0026】
図3に、出力電圧の時間変化の一例を示す。数式(4)及び図3に示すように、TONが大きい場合、出力電圧リプルΔvは、大きくなる。出力電圧リプルΔvが大きくなると、整流回路の構成を大きする必要が生じる。このため、TONが小さいこと、すなわち時比率dは小さいことが好ましい。
【0027】
(実施形態1)
図4に、本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置101は、図1に示す昇圧型スイッチング電源装置100に加え、さらにコンデンサCとクランプダイオードDを備える。説明の便宜上、図1に示すインダクタL及びスイッチング素子Sを、それぞれインダクタL及びスイッチング素子Sと示す。
【0028】
コンデンサCは、インダクタLと整流ダイオードDrの間に直列に接続される。クランプダイオードDのカソードは、コンデンサCの一端であって整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端と接続されている。クランプダイオードDのアノードは、プラス入力端子11と接続されている。
【0029】
本実施形態では、スイッチング素子Sがオンのとき、プラス入力端子11から入力された電流は、インダクタLに流入するとともに、クランプダイオードDを介してコンデンサCに流入する。これにより、インダクタLとコンデンサCにエネルギーが蓄えられる。スイッチング素子Sがオフのとき、プラス入力端子11の入力電圧VinとインダクタLとコンデンサCとが直列に接続された状態となる。このため、インダクタL及びコンデンサCに蓄えられたエネルギーに応じて、出力電圧Voは入力電圧Vinよりも高くなる。
【0030】
このときの出力電圧Voは次式で表される。
【数5】

【0031】
図5に、本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置の電圧利得比の一例を示す。横軸は時比率dを示し、縦軸は昇圧型スイッチング電源装置の電圧利得比を示す。電圧利得比は、入力電圧Vinに対する出力電圧Voの割合、すなわちVo/Vinを示す。
【0032】
G101が昇圧型スイッチング電源装置101で得られた電圧利得比を示し、G100が昇圧型スイッチング電源装置100で得られた電圧利得比を示す。昇圧型スイッチング電源装置101及び昇圧型スイッチング電源装置100のパラメータは、入力電圧Vinが50V、インダクタL及びインダクタLのインダクタンスが80μH、コンデンサCの容量が15μF、平滑コンデンサCの容量が540μF、負荷抵抗Roが40Ω、スイッチング素子S及びスイッチング素子Sのスイッチング周波数fsが100kHz、出力電流が5Aである。
【0033】
昇圧型スイッチング電源装置101で得られた電圧利得比と昇圧型スイッチング電源装置100で得られた電圧利得比とは、一定差を有している。この一定差が、コンデンサCに蓄えられたエネルギーに応じて上昇した電圧である。昇圧型スイッチング電源装置101で得られた電圧利得比と昇圧型スイッチング電源装置100で得られた電圧利得比の差によって、昇圧型スイッチング電源装置100では3倍程度の電圧利得比を得るためには時比率dを0.65程度まで大きくしなければならないところを、昇圧型スイッチング電源装置101では時比率dを0.5程度に小さくすることができる。このように、昇圧型スイッチング電源装置101は、昇圧型スイッチング電源装置100に比べて小さな時比率dで大きな昇圧比を得ることができる。
【0034】
スイッチング素子Sにかかる電圧ストレスを測定した。その結果を図6に示す。入力電圧Vinが50V、出力電流Iが5Aであるときに、図6(a)に示すように、200Vの出力電圧Voを出力した。このとき、図6(c)に示すように、スイッチング素子Sのドレイン・ソース電圧は出力電圧Voよりも低い150Vであった。したがって、昇圧型スイッチング電源装置101は、スイッチング素子Sにかかる電圧ストレスを軽減することができ、低い耐圧の素子を採用することができる。
【0035】
(実施形態2)
図7に、本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置102は、整流ダイオードDrと、平滑コンデンサCsと、n組のインダクタL(iは正整数:1≦i≦n)とコンデンサCのペアと、n個のスイッチング素子Sと、n個のクランプダイオードDと、を備え、図4に示すインダクタLコンデンサCのペアがプラス入力端子11から整流ダイオードDrのアノードに向けて順に直列にn個接続されていることを特徴とする。
【0036】
インダクタLとコンデンサCのペアは、プラス入力端子11から整流ダイオードDrのアノードに向けて順に直列に接続されている。例えば、インダクタLとコンデンサCのペアは、プラス入力端子11からi番目の位置に接続されている。インダクタLとコンデンサCは、インダクタLがプラス入力端子11側に、コンデンサCが整流ダイオードDrのアノード側に配置される。
【0037】
プラス入力端子11からi番目の位置に接続されているスイッチング素子Sは、それぞれのインダクタLの一端であって整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端とマイナス入力端子13−1の間に接続されている。
【0038】
プラス入力端子11からi番目の位置に接続されているクランプダイオードDは、それぞれのコンデンサCの一端であって整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端とカソードが接続され、プラス入力端子11とアノードが接続されている。
【0039】
n=1のとき、図4に示す昇圧型スイッチング電源装置101の構成となる。n=2のとき、図8に示す昇圧型スイッチング電源装置103の構成となる。
【0040】
スイッチング素子Sがオンのとき、それぞれのインダクタL及びコンデンサCにエネルギーが蓄えられる。一方、スイッチング素子Sがオフのとき、インダクタL及びコンデンサCが直列に接続される。このため、それぞれのインダクタL及びコンデンサCに蓄えられたエネルギーに応じて、出力電圧Voは入力電圧Vinよりも高くなる。
【0041】
したがって、インダクタL及びコンデンサCのペアの数を増加することによって、昇圧型スイッチング電源装置102の電圧利得比を増加させることができる。よって、昇圧型スイッチング電源装置102は、小さな時比率dで大きな昇圧比を得ることができる。
【0042】
(実施形態3)
図9に、本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置を示す。本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置104は、図4に示す昇圧型スイッチング電源装置101において、クランプダイオードDのアノードが、プラス入力端子11とは異なるプラス入力端子11−1に接続されていることを特徴とする。
【0043】
プラス入力端子11とプラス入力端子11−1は入力電圧Vin−1を有する直流電源に接続される。入力電圧Vin−1を有する直流電源の正極がプラス入力端子11−1に接続され、入力電圧Vin−1を有する直流電源の負極がプラス入力端子11に接続される。入力電圧Vin−1を有する直流電源は、例えば、入力電圧Vinを有する直流電源と同様に、太陽光、燃料電池、風力に代表されるクリーンエネルギーを基にした電源である。
【0044】
昇圧型スイッチング電源装置104では、入力電圧Vinを有する直流電源と入力電圧Vin−1を有する直流電源が直列に接続される。このため、コンデンサCに蓄えられるエネルギーが増加するので、出力電圧Voをさらに上げて昇圧比を大きくすることができる。
【0045】
(実施形態4)
図10に、本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置を示す。本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置105は、図7に示す昇圧型スイッチング電源装置102において、n個のクランプダイオードDのアノードは、それぞれ、プラス入力端子11とは異なるi番目のプラス入力端子11−iに接続されていることを特徴とする。
【0046】
i=1の場合、図9に示す昇圧型スイッチング電源装置104と同様に、プラス入力端子11とプラス入力端子11−1は入力電圧Vin−1を有する直流電源に接続される。入力電圧Vin−1を有する直流電源の正極がプラス入力端子11−1に接続され、入力電圧Vin−1を有する直流電源の負極がプラス入力端子11に接続される。
【0047】
i=2以上の場合、プラス入力端子11−iとプラス入力端子11−(i−1)は入力電圧Vin−iを有する直流電源に接続される。入力電圧Vin−iを有する直流電源の正極がプラス入力端子11−iに接続され、入力電圧Vin−iを有する直流電源の負極がプラス入力端子11−(i−1)に接続される。
【0048】
本実施形態では、n=1のとき、図9に示す昇圧型スイッチング電源装置104の構成となる。n=2のとき、図11に示す昇圧型スイッチング電源装置106の構成となる。
【0049】
昇圧型スイッチング電源装置105では、各プラス入力端子11−iに入力電圧Vin−iが入力されるため、それぞれのコンデンサC及びインダクタLに蓄えられるエネルギーを増加させることができる。このため、出力電圧Voをさらに上げて昇圧比を大きくすることができる。
【0050】
(実施形態5)
図12に、本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置107は、図1に示す昇圧型スイッチング電源装置100に加え、さらにコンデンサCとクランプダイオードDとインダクタLとスイッチング素子Sとを備える。説明の便宜上、図1に示すインダクタLをL、スイッチング素子Sをスイッチング素子Sと示す。
【0051】
インダクタLは、一端がプラス入力端子11に接続される。コンデンサC及びインダクタLは、インダクタLの他端から整流ダイオードDrのアノードに向けて順に直列に接続される。すなわち、インダクタLとコンデンサCとインダクタLと整流ダイオードDrが順に直列に接続される。
【0052】
スイッチング素子Sは、インダクタLの一端であって整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端とマイナス入力端子13−1の間に接続される。スイッチング素子Sは、インダクタLの一端であって整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端とマイナス入力端子13−1の間に接続される。スイッチング素子Sとスイッチング素子Sのスイッチングのタイミングは同期しており、スイッチング素子Sと同時にスイッチング素子Sがオンの状態になり、スイッチング素子Sと同時にスイッチング素子Sがオフの状態になる。
【0053】
クランプダイオードDのカソードは、コンデンサCの一端であって整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端と接続される。クランプダイオードDのアノードは、プラス入力端子11と接続される。
【0054】
本実施形態では、スイッチング素子S及びスイッチング素子Sがオンのとき、プラス入力端子11から入力された電流は、インダクタLに流入するとともに、クランプダイオードDを介してコンデンサCとインダクタLに流入する。これにより、インダクタLとコンデンサCとインダクタLにエネルギーが蓄えられる。スイッチング素子S及びスイッチング素子Sがオフのとき、プラス入力端子11の入力電圧VinとインダクタLとコンデンサCとインダクタLとが直列に接続された状態となる。このため、インダクタLとコンデンサCとインダクタLに蓄えられたエネルギーに応じて、出力電圧Voは入力電圧Vinよりも高くなる。
【0055】
このときの出力電圧Voは次式で表される。
【数6】

ここで、dはスイッチング素子S及びスイッチング素子Sの時比率である。
【0056】
クランプダイオードDのカソードとコンデンサCの接続点における電圧Vは次式で表される。
【数7】

ここで、α=L/Lである。
【0057】
図13に、昇圧型スイッチング電源装置の電圧利得比の一例を示す。G107が昇圧型スイッチング電源装置107で得られた電圧利得比を示し、G100が昇圧型スイッチング電源装置100で得られた電圧利得比を示す。昇圧型スイッチング電源装置107及び昇圧型スイッチング電源装置100のパラメータは、前述の図5と同様である。
【0058】
昇圧型スイッチング電源装置107で得られた電圧利得比と昇圧型スイッチング電源装置100で得られた電圧利得比とは、時比率が大きくなるにつれて差が大きくなっている。このことによって、昇圧型スイッチング電源装置100では3倍程度の電圧利得比を得るためには時比率dを0.65程度まで大きくしなければならないところを、昇圧型スイッチング電源装置107では時比率dを0.325程度に小さくすることができる。このように、昇圧型スイッチング電源装置107は、昇圧型スイッチング電源装置100に比べて小さな時比率dで大きな昇圧比を得ることができる。
【0059】
(実施形態6)
図14に、本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置108は、整流ダイオードDrと、平滑コンデンサCsと、インダクタLと、スイッチング素子Sと、n組のコンデンサC(iは正整数:1≦i≦n)とインダクタLのペアと、n個のスイッチング素子Sと、n個のクランプダイオードDと、を備え、図12に示すコンデンサCとインダクタLのペアがプラス入力端子11側から整流ダイオードDrのアノードに向けて順に直列にn個接続されていることを特徴とする。
【0060】
インダクタLは、一端がプラス入力端子11に接続される。コンデンサCとインダクタLのペアは、インダクタLの他端から整流ダイオードDrのアノードに向けて順に直列に接続されている。例えば、コンデンサCとインダクタLのペアは、インダクタLからi番目の位置に接続されている。コンデンサCとインダクタLは、順に直列に接続され、コンデンサCがインダクタL側に、インダクタLが整流ダイオードDrのアノード側に配置される。
【0061】
スイッチング素子Sは、インダクタLの一端であって整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端とマイナス入力端子13−1の間に接続されている。インダクタLからi番目の位置に接続されているスイッチング素子Sは、それぞれのインダクタLの一端であって整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端とマイナス入力端子13−1の間に接続されている。
【0062】
インダクタLからi番目の位置に接続されているクランプダイオードDは、それぞれのコンデンサCの一端であって整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端とカソードが接続され、プラス入力端子11とアノードが接続されている。
【0063】
n=1のとき、図12に示す昇圧型スイッチング電源装置107の構成となる。n=2のとき、図15に示す昇圧型スイッチング電源装置109の構成となる。
【0064】
スイッチング素子S及びスイッチング素子Sがオンのとき、それぞれのインダクタLとコンデンサCとインダクタLにエネルギーが蓄えられる。一方、スイッチング素子S及びスイッチング素子Sがオフのとき、インダクタLとコンデンサCとインダクタLが直列に接続される。このため、それぞれのインダクタLとコンデンサCとインダクタLに蓄えられたエネルギーに応じて、出力電圧Voは入力電圧Vinよりも高くなる。
【0065】
したがって、コンデンサC及びインダクタLのペアの数を増加することによって、昇圧型スイッチング電源装置108の電圧利得比を増加させることができる。よって、昇圧型スイッチング電源装置108は、小さな時比率dで大きな昇圧比を得ることができる。
【0066】
(実施形態7)
図16に、本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置110は、図12に示す昇圧型スイッチング電源装置107において、クランプダイオードDのアノードが、プラス入力端子11とは異なるプラス入力端子11−1に接続されていることを特徴とする。
【0067】
プラス入力端子11とプラス入力端子11−1は入力電圧Vin−1を有する直流電源に接続される。入力電圧Vin−1を有する直流電源の正極がプラス入力端子11−1に接続され、入力電圧Vin−1を有する直流電源の負極がプラス入力端子11に接続される。入力電圧Vin−1を有する直流電源は、例えば、入力電圧Vinを有する直流電源と同様に、太陽光、燃料電池、風力に代表されるクリーンエネルギーを基にした電源である。
【0068】
昇圧型スイッチング電源装置110では、入力電圧Vinを有する直流電源と入力電圧Vin−1を有する直流電源が直列に接続される。このため、コンデンサCとインダクタLに蓄えられるエネルギーが増加するので、出力電圧Voをさらに上げて昇圧比を大きくすることができる。
【0069】
(実施形態8)
図17に、本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置の一例を示す。本実施形態に係る昇圧型スイッチング電源装置111は、図14に示す昇圧型スイッチング電源装置108において、n個のクランプダイオードDのアノードは、それぞれ、プラス入力端子11とは異なるi番目のプラス入力端子11−iに接続されていることを特徴とする。
【0070】
i=1の場合、図16に示す昇圧型スイッチング電源装置110と同様に、プラス入力端子11とプラス入力端子11−1は入力電圧Vin−1を有する直流電源に接続される。入力電圧Vin−1を有する直流電源の正極がプラス入力端子11−1に接続され、入力電圧Vin−1を有する直流電源の負極がプラス入力端子11に接続される。
【0071】
i=2以上の場合、プラス入力端子11−iとプラス入力端子11−(i−1)は入力電圧Vin−iを有する直流電源に接続される。入力電圧Vin−iを有する直流電源の正極がプラス入力端子11−iに接続され、入力電圧Vin−iを有する直流電源の負極がプラス入力端子11−(i−1)に接続される。
【0072】
本実形態では、n=1のとき、図16に示す昇圧型スイッチング電源装置110の構成となる。n=2のとき、図18に示す昇圧型スイッチング電源装置112の構成となる。
【0073】
昇圧型スイッチング電源装置111では、各プラス入力端子11−iに入力電圧Vin−iが入力されるため、それぞれのインダクタL及びコンデンサCに蓄えられるエネルギーを増加させることができる。このため、出力電圧Voをさらに上げて昇圧比を大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係る昇圧型スイッチング電源装置は太陽光、燃料電池、風力に代表されるクリーンエネルギーを利用する分散型発電システムに用いられるため、新エネルギー産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
11、11−1、11−2、11−i、11−n:プラス入力端子
12:プラス出力端子
13−1:マイナス入力端子
13−2:マイナス出力端子
100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112:昇圧型スイッチング電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソードがプラス出力端子に接続された整流ダイオードDrと、
マイナス出力端子と接続されているマイナス入力端子と、
前記プラス出力端子と前記マイナス出力端子の間に接続された平滑コンデンサCsと、
プラス入力端子から前記整流ダイオードDrのアノードに向けて順に直列に接続されたインダクタL(iは正整数:1≦i≦n)及びコンデンサCが直列に接続されたn組のペアと、
それぞれの前記インダクタLの一端であって前記整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端と前記マイナス入力端子の間に接続されたn個のスイッチング素子Sと、
それぞれの前記コンデンサCの一端であって前記整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端とカソードが接続され、前記プラス入力端子とアノードが接続されたn個のクランプダイオードDと、
を備えることを特徴とする昇圧型スイッチング電源装置。
【請求項2】
カソードがプラス出力端子に接続された整流ダイオードDrと、
マイナス出力端子と接続されているマイナス入力端子と、
前記プラス出力端子と前記マイナス出力端子の間に接続された平滑コンデンサCsと、
一端がプラス入力端子に接続されたインダクタLと、
前記インダクタLの他端から前記整流ダイオードDrのアノードに向けて順に直列に接続されたコンデンサC(iは正整数:1≦i≦n)及びインダクタLが直列に接続されたn組のペアと、
前記インダクタLの一端であって前記整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端と前記マイナス入力端子の間に接続されたスイッチング素子Sと、
それぞれの前記インダクタLの一端であって前記整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端と前記マイナス端子の間に接続されたn個のスイッチング素子Sと、
それぞれの前記コンデンサCの一端であって前記整流ダイオードDrのアノード側に配置された一端とカソードが接続され、前記プラス入力端子とアノードが接続されたn個のクランプダイオードDと、
を備えることを特徴とする昇圧型スイッチング電源装置。
【請求項3】
n個の前記クランプダイオードDのアノードは、それぞれ、前記プラス入力端子とは異なるi番目のプラス入力端子に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の昇圧型スイッチング電源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−41412(P2011−41412A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187701(P2009−187701)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(000103976)オリジン電気株式会社 (223)
【Fターム(参考)】