説明

易裂き性ジッパーテープ、および、易裂き性ジッパーテープ付き包装袋

【課題】原材料の剛性特性に係わらず切り裂いて開封する際に所定の位置で容易に切ることができるとともに、製造時に折れ曲がってカット機能が発現できなくなる不都合を防止できる易裂き性ジッパーテープ付き包装袋を提供する。
【解決手段】咬合部31が連結する帯状基部331の本体3311における袋体2の開口部側に、肉厚の第一の凸状部3312および肉厚の第二の凸状部3314間に、これらより薄肉の薄肉部3313を設ける。薄肉部3313にリブ3313Aを複数条設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易裂き性ジッパーテープ、および、易裂き性ジッパーテープ付き包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、薬品、医療品、雑貨等の各種物品を包装するための包装材としては、袋の開口部に対して雄部材および雌部材より形成されて雌雄咬合する一対の帯状のジッパーテープを配設し、かかる咬合状態を開閉自在としたジッパーテープ付き包装袋が適用されている。
このようなジッパーテープ付き包装袋は、ジッパーテープの上部がシールされることによって密封されており、開封するときは、包装袋の両側に形成された切欠き等を開始位置として、袋本体のフィルムを引き裂くようにして開封することができる。
このようにして開封する場合、ジッパーテープ近傍の包装袋のフィルムが切れて、袋本体が掴みにくくなるという問題があり、袋本体フィルムを所定の位置で切る技術が求められている。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に記載のように、包装袋を所定の位置で容易に切ることができる構成が知られている。
この特許文献1に記載のものは、袋体の内面に取り付けられたジッパーテープの雄部材の帯状基部は、咬合部が設けられる本体と、本体における袋体の開口部側に設けられた第一の凸状部と、第一の凸状部の開口部側に設けられた薄肉部と、薄肉部における開口部側に設けられた第二の凸状部を備えている。雌部材の帯状基部は、本体と、第一の凸状部と、薄肉部と、第二の凸状部とを備えている。そして、ジッパーテープを袋体に融着すると、薄肉部と袋体のフィルムとの間には空隙が形成される。
薄肉部の両端に設けられた第一の凸状部と、第二の凸状部とは、薄肉部よりも厚肉に形成されているので、カットラインが薄肉部からずれたとしても、肉厚の第一の凸状部および第二の凸状部は切断されない。このため、薄肉部と第一の凸状部との間、および第二の凸状部との間に段差が生じ、この段差に沿って薄肉部が切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2008/035494号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の段違いで切ることが可能なジッパーテープは比較的に剛性の高い例えばポリプロピレン原料を使った肉薄のカット部であれば伸張することなく容易に開封することが可能である。
しかしながら、例えばLL原料などの剛性の低い原材料を用いると、カット部分で伸張してしまい、伸張部分の高分子の配向により引裂抵抗が大きくなってしまうおそれがある。
また、剛性の低いLL材料を用いて、上述した特許文献1に記載のような従来のジッパーテープを形成した場合、薄肉部の屈曲強度が著しく弱いことから、製造時にこの肉薄の部分が折れ曲がってしまい、カット機能を発現できない製袋品となってしまうおそれもある。
【0006】
本発明の目的は、上述した点などに鑑みて、原材料の剛性特性に係わらず切り裂いて開封する際に所定の位置で容易に切ることができるとともに、製造時に折れ曲がってカット機能が発現できなくなる不都合を防止できる易裂き性ジッパーテープ、および、易裂き性ジッパーテープ付き包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の易裂き性ジッパーテープは、一対の雄部材および雌部材が互いに咬合する咬合部と、前記咬合部にそれぞれ連接する帯状基部とを備え、包装袋の内面に取り付けられる易裂き性ジッパーテープであって、前記帯状基部のうち少なくとも一方は、前記咬合部が設けられた本体と、この本体の前記包装袋の開口部側に設けられ前記本体よりも厚肉とされた第一の凸状部と、この第一の凸状部の前記開口部側に設けられ、前記第一の凸状部および前記本体よりも薄肉とされた薄肉部と、この薄肉部の開口部側に設けられ、前記薄肉部および前記本体よりも厚肉とされた第二の凸状部と、を有し、前記薄肉部は、少なくともいずれか一平面にリブが設けられたことを特徴とする。
【0008】
そして、本発明では、前記リブは、前記薄肉部の両面にそれぞれ設けられた構成とすることが好ましい。
さらに、リブは、薄肉部の1.1倍以上5倍以下の厚さ寸法(薄肉部からの高さ寸法)であることが好ましい。
また、本発明では、前記リブは、複数設けられた構成とすることが好ましい。
そして、リブを複数設ける場合、リブの間隔は0.05mm以上2mm以下であることが好ましい。
さらに、本発明では、前記薄肉部は、厚さ寸法が0.12mm以下であり、前記第一の凸状部および前記第二の凸状部は、厚さ寸法が0.20mm以上1mm以下である構成とすることが好ましい。
また、本発明では、前記薄肉部は、幅寸法が0.5mm以上5mm以下である構成とすることが好ましい。
そして、本発明では、前記薄肉部と、前記第一の凸状部および前記第二の凸状部とが、同種の樹脂で形成された構成とすることができる。
【0009】
本発明の易裂き性ジッパーテープ付き包装袋は、封入物が投入される開口部を有した包装袋と、この包装袋の内面に取り付けられる本発明に記載の易裂き性ジッパーテープと、を具備したことを特徴とする。
【0010】
この発明では、本発明に記載の易裂き性ジッパーテープの薄肉部が、前記包装袋の内面に接着されていない構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、薄肉部はリブにより屈曲に対して剛性が向上して屈曲しにくくなり、屈曲したまま包装袋に取り付けられてカット機構が得られなくなるという不都合を防止できる。さらに、開封する際には、薄肉部が引裂誘導片として切断され、誤ってカットラインが薄肉部からずれたとしても、厚肉とされた第一の凸状部および第二の凸状部が切断されることはなく、引裂性を向上でき、容易に開封できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施形態のジッパーテープ付き包装袋を示す正面図。
【図2】図1のII−II断面図。
【図3】本実施形態のジッパーテープを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[易裂き性ジッパーテープ付き包装袋の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る易裂き性ジッパーテープ付き包装袋の正面図、図2は図1のII−II断面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の易裂き性ジッパーテープ付き包装袋1Aは、包材となる基材フィルム24を重ね合わせて、その周縁にサイドシール部21およびトップシール部22を形成することによって形成される包装袋である袋体2を備え、袋体2の封入物が投入される開口部23の内面には、易裂き性ジッパーテープ3Aが取り付けられている。
【0015】
図3に易裂き性ジッパーテープ3Aの断面構成を示す。
易裂き性ジッパーテープ3Aは、一対の雄部材32および雌部材33を備えている。
雄部材32は、袋体2に対して例えば融着される帯状基部321と、断面が略鏃(やじり)形状の頭部322およびこの頭部322を帯状基部321に連結する連結部323とが一体的に形成されて構成されている。
雌部材33は、前記した雄部材32と同様に、袋体2に対して例えば融着される帯状基部331と、断面が円弧形状の互いに対向する第一のフック部332および第二のフック部333とが帯状基部331に連結して一体的に形成されて構成されている。
なお、雄部材32および雌部材33は、融着にて袋体2に取り付けられる構成に限らず、例えば接着剤などにより取り付けられる構成などとしてもよい。
そして、雄部材32の頭部322と雌部材33の第一のフック部332および第二のフック部333とにより咬合部31が構成され、易裂き性ジッパーテープ3Aは、これらが離れたり咬合したりすることにより、開封または再封が行われる。
【0016】
帯状基部331は、第一のフック部332および第二のフック部333が設けられる長手帯状の本体3311を備えている。この本体3311には、袋体2に取り付けられた状態での長手方向の一縁側となる開口部23側に、本体3311より厚肉に形成された第一の凸状部3312が一連に設けられている。さらに、この第一の凸状部3312の開口部23側には、第一の凸状部3312よりも薄肉に形成された薄肉部3313が一連に設けられている。また、薄肉部3313の開口部23側には、本体3311および薄肉部3313より厚肉に形成された第二の凸状部3314が一連に設けられている。
第一の凸状部3312における基材フィルム24側の面3312Bと、第二の凸状部3314の基材フィルム24側の面3314Bとは略同一面に位置する状態に形成されている。また、薄肉部3313は、これら第一の凸状部3312および第二の凸状部3314の面よりも厚さ方向で後退、すなわち袋体2の内部側に位置する状態に段差状に設けられている。
さらに、薄肉部3313は、第一の凸状部3312の咬合部31側の面3312Cおよび第二の凸状部3314の咬合部31側の面3314Cからも後退、すなわち基材フィルム24側に位置する状態に段差状に設けられている。
これらの構成により、薄肉部3313が基材フィルム24に対して間隙を介して対向する状態に、帯状基材331が基材フィルム24に取り付けられる。
【0017】
そして、薄肉部3313の厚みは、0.12mm以下であることが好ましく、本実施形態では、0.1mmとする。また、本体3311の厚みは0.15mmとし、本体3311の第一の凸状部3312および第二の凸状部3314の厚みは、0.20mm〜1mmの間で設定することが好ましく、例えば、0.3mmとすることができる。
さらに、薄肉部3313の幅は、0.5mm以上5mm以下が好ましく、より好ましい範囲は1mm以上3mm以下であるので、本実施形態では、2mmとした。
また、薄肉部3313には、基材フィルム24側の一平面に、断面三角形状に突出するリブ3313Aが複数条設けられている。これらリブ3313Aは、高さ寸法が第一の凸状部3312および第二の凸状部3314に対する段差分より低く、先端部が第一の凸状部3312の基材フィルム24側の面3312Bと、第二の凸状部3314の基材フィルム24側の面3314Bとにて構成される平面より突出しないように形成されていることが好ましい。
さらに、リブ3313Aは、薄肉部3313の厚さを1とした時に、リブ3313Aを含めた厚さが1.1倍以上5倍以下であることが好ましい。
そして、この発明では、薄肉部3313が、リブ3313Aも含め、袋体2の内面に接着されていない構成とすることが好ましい。また、易裂き性ジッパーテープ3Aは、多層であってもよく、薄肉部3313を除いた部分にシール層を設けることが好ましい。この構成にすることで、袋体2の内面に薄肉部3313が接着され難くなる。
【0018】
また、帯状基部331の本体3311には、咬合部31と第一の凸状部3312との間に位置して、袋体2の内部側の平面に、複数の返しリブ3311Aが複数条設けられている。これら返しリブ3311Aは、先端側が袋体2の開口部23側と反対側に向けて突出する状態に形成されている。そして、これら返しリブ3311Aは、本体3311に対する高さ寸法が、本体3311に対する第一の凸状部3312および第二の凸状部3314の高さ寸法と同程度に形成されている。
さらに、帯状基部331には、咬合部31における開口部23側および開口部23と反対側にリブ状のリブ状部34が設けられている。これらリブ状部34の高さ寸法も、返しリブ3311Aと同様に、本体3311に対する第一の凸状部3312および第二の凸状部3314の高さ寸法と同程度の高さ寸法に形成されている。
【0019】
帯状基部321についても同様に、頭部322および連結部323が設けられる長手帯状の本体3211を備えている。この本体3211には、袋体2に取り付けられた状態での長手方向の一縁側となる開口部23側に、本体3211より厚肉に形成された第一の凸状部3212が一連に設けられている。
この第一の凸状部3212は、互いに係合してなる咬合部31からの距離が、帯状基部331に設けられた第一の凸状部3312における咬合部31からの距離より短く形成されている。このことにより、第一の凸状部3212および第一の凸状部3312は、段差状に位置する状態に形成されている。
また、帯状基部321は、帯状基部331の返しリブ3311Aと同様、返しリブ3211Aが対応する位置に設けられている。
さらに、帯状基部321には、帯状部331と同様に、咬合部31における開口部23側および開口部23と反対側にリブ状部34が設けられている。
なお、雄部材32および雌部材33を袋体2の内面へ取り付ける面には、リブ3313Aを含めた薄肉部3313を除き、上述したシール層を設けた多層構造のように、リブ3313Aを含めた薄肉部3313の融点よりも低融点の樹脂を積層してもよい。それにより、リブ3313Aが袋体2の内面に誤って融着することを防止する効果がある。
【0020】
このような構成の易裂き性ジッパーテープ3Aを袋体2の内面に融着させると、雌部材33の薄肉部3313の面3313Bと、袋体2の基材フィルム24との間に空隙が形成される。
また、易裂き性ジッパーテープ3Aと表裏の基材フィルム24とを重ね合わせた状態で、薄肉部3313の両端となる位置に、開封開始位置となるV字形のノッチ25がそれぞれ形成される(図1)。
【0021】
[易裂き性ジッパーテープの製造]
易裂き性ジッパーテープ3Aを製造するには、共押出成形法により一体化して得ることができる。共押出法により成形すれば、製造工程を簡略化でき、製造コストを低くでき、ジッパーテープ3Aを連続的に安定して製造することができる。
【0022】
ここで、易裂き性ジッパーテープ3Aの雄部材32および雌部材33は、再開閉可能であれば特に限定されないが、一般的に使われている低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂などにて形成することが好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン(RPP)、プロピレン−エチレン−ブテン1ランダム三元共重合体、ポリオレフィン系特殊軟質樹脂(TPO樹脂。例えばプライムポリマーTPO)等の熱可塑性樹脂や、これらの樹脂を混合した混合物を使用することができる。
【0023】
また、袋体2を形成する包材である基材フィルム24としては、基材層242にシーラント層241を積層した構成の積層フィルムを使用することが好ましいが、要求される性能に応じて、基材層242とシーラント層241との間に、中間層として図示しないガスバリアー層、遮光層、強度向上層などを積層した構成の積層フィルム層を使用してもよい。
基材層242には、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)のほか、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム)などの二軸延伸ポリエステルフィルムや、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などの二軸延伸ポリアミドフィルムなどを好適に使用することができるが、必要に応じて各種エンジニアリングプラスチックフィルムを使用することもできる。また、これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて積層して使用することもできる。
中間層をガスバリアー層とする場合、中間層には、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などのフィルムのほか、アルミニウム箔、或いは、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層やPVDCの塗膜層を使用することができる。
【0024】
また、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層やPVDCの塗膜層を使用する場合は、前記基材層242の内面に蒸着または塗布して形成してもよく、また、別の二軸延伸ナイロンフィルム(ONyフィルム)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)などに蒸着または塗布して形成しておいて、そのフィルムを中間層に積層してもよい。
これらのうち、アルミニウム箔とアルミニウム蒸着層は、不透明であるため遮光層を兼ねることもできる。
基材層242と中間層のフィルムの積層には、公知のドライラミネーション法または押し出しラミネーション法(サンドイッチラミネーション法)を用いることができる。
【0025】
最内層のシーラント層241には、低密度ポリエチレンや、ポリプロピレン(CPP)などを使用することができる。
なお、シーラント層241の積層は、上記の樹脂をフィルム状に製膜し、ドライラミネーション法または押出ラミネーション法で積層してもよく、また、前記の樹脂を押し出しコートして積層し、基材フィルム24を得ることができる。
【0026】
このようにして得られた基材フィルム24と、易裂き性ジッパーテープ3Aを用いて、ジッパーテープ付け三方シール製袋機等を用いてジッパーテープ付き包装袋1Aを製造する。
ジッパーテープ付け三方シール製袋機は、例えば包材送出部から送り出された一対の基材フィルム24の間に、テープ送出部から送り出された易裂き性ジッパーテープ3Aを位置させて、ジッパーテープ3Aと基材フィルム24を融着させるジッパーテープ融着部を経た後、搬送される基材フィルム24を、基材フィルム24の搬送方向に対して所定間隔で融着および切断して易裂き性ジッパーテープ付き包装袋1Aを形成する。
なお、易裂き性ジッパーテープ付き包装袋1Aのサイドシール部21を形成する際、易裂き性ジッパーテープ3Aを潰すためのポイントシール工程を実施する必要がある。
【0027】
[易裂き性ジッパーテープ付き包装袋の開封]
次に、本実施形態のジッパーテープ付き包装袋1Aを開封する方法を説明する。
開封するときは、薄肉部3313の両端に形成されたいずれかのノッチ25の開口部23側の基材フィルム24と、内容物側の基材フィルム24とを把持し、該ノッチ25を切裂開始位置として、前後に切り裂くようにして開封する。その結果、薄肉部3313および対向する基材フィルム24を一度に切り裂くことができる。
その後は、ジッパーテープ3Aの咬合部31を外すことによって、ジッパーテープ付き包装袋1Aを開封することができる。再封する場合には、雄部材32と雌部材33を咬合させて、咬合部31を咬合状態とすればよい。
【0028】
[実施形態の作用効果]
前記したような易裂き性ジッパーテープ3Aおよび易裂き性ジッパーテープ付き包装袋1Aによれば、以下に示す作用効果を奏することができる。
本実施形態の易裂き性ジッパーテープ3Aによれば、帯状基部331に設けられた薄肉部3313が薄肉状に形成されているので、開封するときには、薄肉部3313に沿って容易に切断でき、易裂き性ジッパーテープ付き包装袋1Aを容易に開封できる。
そして、薄肉部3313の長手方向の両端に設けられた第一の凸状部3312と、第二の凸状部3314とは、薄肉部3313よりも厚肉に形成されているので、開封時には、カットラインが薄肉部3313からずれたとしても、第一の凸状部3312および第二の凸状部3314は切断されず、カットラインが第一の凸状部3312および第二の凸状部3314間で案内され、開封作業がより容易にできる。
さらに、上記実施形態では、一方の帯状基部331に薄肉部3313を設けたので、開封の際に引裂位置を案内する第一の凸状部3312および第二の凸状部3314間の薄肉部3313と、袋体2を引き裂く力のみでよく、例えば帯状基部321にも同様に薄肉部3313を設けた場合より、小さい力でよく、より開封性を向上できる。
【0029】
また、薄肉部3313には、リブ3313Aが設けられている。
このため、開封時の薄肉部3313の伸張による引裂力が増大することを抑制しつつ、例えば製造時の外力などにより薄肉部3313で屈曲して袋体2に取り付けられることでカット機能が発現できないといった不都合も防止できる。したがって、柔らかい原材料で易裂き性ジッパーテープ3Aを製造することもでき、原材料の制約が除かれ、製造性の向上も図れる。
そして、リブ3313Aを複数条設けているので、より外力に対する剛性が向上して屈曲しにくく、より確実にカット機能の発現が得られる。
【0030】
さらに、易裂き性ジッパーテープ3Aを一材料にて一連に形成している。
このため、例えば共押出方法にてそれぞれ一工程で製造でき、製造性の向上および製造コストの低減を図ることが容易にできる。
【0031】
また、薄肉部3313の厚さ寸法が0.12mm以下であり、第一の凸状部3312および第二の凸状部3314の厚さ寸法が0.20mm以上1mm以下であり、かつ、薄肉部の幅が0.5mm以上5mm以下としている。
このため、薄肉部3313が切断しやすく、第一の凸状部3312および第二の凸状部3314が切断されにくい。したがって、薄肉部3313に沿って切断されやすく、易裂き性とともに、カットラインに直線性を付与することもできる。また、第一の凸状部3312および第二の凸状部3314が厚すぎないので、シール効率もよく、加工性に影響を及ぼさない。
【0032】
そして、返しリブ3211A,3311Aを設けているので、本体3211,3311の製造時の屈曲による不都合も防止できる。さらには、高さ寸法が第一の凸状部3312および第二の凸状部3314の高さ寸法と同程度としたため、易裂き性ジッパーテープ3Aと基材フィルム24とを融着させる際、易裂き性ジッパーテープ3Aのほぼ全面にわたって、シールバーを均等に接触させることができる。したがって、確実に安定して易裂き性ジッパーテープ3Aを基材フィルム24に融着させることができる。
同様に、リブ状部34を設けたため、厚さ寸法が大きくなる咬合部31がある構成でも易裂き性ジッパーテープ3Aのほぼ全面にわたって基材フィルム24に融着させることができる。
【0033】
さらに、第一の凸状部3212,3312の咬合部31からの距離が異なる状態に設けられている。
このため、開封すると、対向する基材フィルム24の異なる位置で切断される。
したがって、再封した易裂き性ジッパーテープ付き包装袋1Aを再開封するとき、開口部23の基材フィルム24を掴み易く、再開封作業が容易にできる。
【0034】
そして、第一の凸状部3312と第二の凸状部3314が、本体331よりも厚肉に形成されている。このため、易裂き性ジッパーテープ3Aのシール温度が非常に高くなって雄部材32と雌部材33が変形してしまう不都合も防止でき、第一の凸状部3312と第二の凸状部3314とで誘導して切れ、容易に開封できる。
【0035】
[変形例]
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状等は、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。
【0036】
例えば、帯状基部331に薄肉部3313を設けて説明したが、帯状基部321に設けてもよく、双方にそれぞれ設けてもよい。
そして、薄肉部3313としては、厚さ寸法および幅寸法は、上述した形状に限られるものではなく、用途や原材料に応じて適宜設定できる。
【0037】
また、薄肉部3313に設けるリブ3313Aとして、複数条設けて説明したが、1つでもよい。また、薄肉部3313の長手方向に沿った断面三角形のリブ形状に限らず、例えば断面四角形、断面半円形、断面楕円形でもよく、ドット状に複数突設する構成としてもよい。さらには、薄肉部3313の長手方向に沿った直線形状に限らず、波形状としてもよい。
なお、直線的なカットラインを提供するため、上記実施形態のように、薄肉部3313の長手方向に沿った直線状のリブ形状とすることが好ましい。
さらには、薄肉部3313の基材フィルム24側に設けて説明したが、反対側の面に設けたり、両面に設けたりしてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、帯状基部32、33の本体3211、3311の咬合部31の両側に位置する状態でリブ状部34を設けたが、設けなくてもよい。また、リブ状部34を複数設けてもよい。
さらに、返しリブ3211A,3311Aを設けて説明したが、これらを設けなくてもよい。
そして、易裂き性ジッパーテープ3Aを融着する場合に限らず、接着剤などを用いて基剤フィルム24に取り付ける構成としてもよい。
また、前記実施形態では、易裂き性ジッパーテープ3Aを溶着する包装体を三方袋としていたが、本発明ではこれに限られず、ピロー袋やサイドガセット袋、四方シールをする袋にも適用することができる。
【0039】
その他、本発明の実施における具体的な構成および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
【実施例】
【0040】
以下の実施例および比較例のように、条件を変えて易裂き性ジッパーテープを作製し、それぞれについて引裂抵抗および屈曲強度の評価を行った。
[実施例1]
共押出により一対の雄部材と雌部材とを備えた易裂き性ジッパーテープを得た。使用した樹脂、薄肉部の長さおよび各部の厚さは以下の通りである。
ジッパーテープ(雌部材):ポリエチレン(密度913kg/m3、MFR4.0g/10min)
薄肉部 :ポリエチレン(同上)
薄肉部の幅(雌部材) :1.5mm
薄肉部の厚さ(雌部材) :60μm
薄肉部を含むリブ厚さ :135μm(薄肉部上の咬合部側にのみリブを設置)
リブ本数 :4本
【0041】
[実施例2]
薄肉部の厚さ、薄肉部およびリブ厚さの寸法以外は、実施例1と同様にして、易裂き性ジッパーテープを得た。
薄肉部の厚さ(雌部材) :75μm
薄肉部を含むリブ厚さ :170μm(薄肉部上の咬合部側にのみリブを設置)
【0042】
[実施例3]
薄肉部の厚さ、薄肉部およびリブ厚さの寸法、リブ本数以外は、実施例1と同様にして、易裂き性ジッパーテープを得た。
薄肉部の厚さ(雌部材) :75μm
薄肉部を含むリブ厚さ :200μm(薄肉部上の咬合部側にのみリブを設置)
リブ本数 :8本
【0043】
[比較例1]
リブを設けない点以外は、実施例1と同様にして、易裂き性ジッパーテープを得た。
【0044】
[引裂抵抗の評価]
各易裂き性ジッパーテープ(雌部材)と、ポリエチレンテレフタレートフィルム12μmと直鎖状低密度ポリエチレンフィルム50μmとをドライラミネートしたフィルムとを、ヒートシールにて接着し、袋の幅方向に長さ30mmに切断した。
このフィルム接着された易裂き性ジッパーテープの薄肉部に10mmの切り込みを形成し、引張試験機を使って引き裂き、その引裂抵抗の最大値を強度とし、以下の評価レベルで評価した。結果を以下の表1に示す。
評価◎:引裂抵抗が6N/20mm未満
評価○:引裂抵抗が6N/20mm以上8N/20mm未満
評価△:引裂抵抗が8N/20mm以上10N/20mm未満
【0045】
[引裂作業の官能評価]
各易裂き性ジッパーテープ(雌部材)と、ポリエチレンテレフタレートフィルム12μmと直鎖状低密度ポリエチレンフィルム50μmとをドライラミネートしたフィルムとを、ヒートシールにて接着し、長さ20cmに切断した。
このフィルム接着された易裂き性ジッパーテープの薄肉部に3mmの切り込みを形成し、人の手によって、10cmずつ咬合部の設置面方向、咬合部の非設置面方向に引き裂き、その時の薄肉部の引裂抵抗を確認し、以下の官能評価レベルで評価した。結果を以下の表1に示す。
評価◎:引裂抵抗が、引裂方向によって全く変わらない
評価○:引裂抵抗が、引裂方向によって小さく変わる
評価△:引裂抵抗が、引裂方向によって変わる場合がある
【0046】
[屈曲強度]
断面が凹型のジッパーテープガイドを用いて1周で易裂き性ジッパーテープが10mmずれるようにオシレーションしながらドラムロールに巻き取った時のジッパーテープガイドでの薄肉部の折れの状態を確認し、以下の評価レベルで評価した。結果を以下の表1に示す。
評価○:1周巻いた時の屈曲角度が0°以上45°未満
評価△:1周巻いた時の屈曲角度が45°以上90°未満
評価×:1周巻いた時の屈曲角度が90°以上
【0047】
【表1】

【0048】
上記表1に示す結果から、リブを設けないと、引裂方向によって引裂抵抗が異なるが、リブを設けることで、引裂方向による引裂抵抗が変わらないもしくは小さく開封性が向上することが認められる。
また、リブがない場合、ジッパーテープは第一の凸状部または第二の凸状部と薄肉部との境で切れるが、それがフィルムのカット線から離れていると引裂抵抗が大きくなることがある。リブがある場合は、フィルムのカット線に最も近い薄肉部におけるリブ間、あるいは凸状部とリブとの間が切れるので、引裂抵抗を小さくする効果がある。
これら各種評価から、易裂き性およびカット機能の発現性の点で、実施例1〜実施例3は比較例1に比して良好で、特に実施例3が良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば、食品、薬品、医療品、雑貨等の各種物品を包装するジッパーテープ付き包装袋に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1A…ジッパーテープ付き包装袋
2……袋体
3A…ジッパーテープ
32……雄部材
33……雌部材
321……帯状基部
3311……本体
3312……第一の凸状部
3313……薄肉部
3313A…リブ
3314……第二の凸状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の雄部材および雌部材が互いに咬合する咬合部と、前記咬合部にそれぞれ連接する帯状基部とを備え、包装袋の内面に取り付けられる易裂き性ジッパーテープであって、
前記帯状基部のうち少なくとも一方は、
前記咬合部が設けられた本体と、
この本体の前記包装袋の開口部側に設けられ前記本体よりも厚肉とされた第一の凸状部と、
この第一の凸状部の前記開口部側に設けられ、前記第一の凸状部および前記本体よりも薄肉とされた薄肉部と、
この薄肉部の開口部側に設けられ、前記薄肉部および前記本体よりも厚肉とされた第二の凸状部と、を有し、
前記薄肉部は、少なくともいずれか一平面にリブが設けられた
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項2】
請求項1に記載の易裂き性ジッパーテープであって、
前記リブは、前記薄肉部の両面にそれぞれ設けられた
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の易裂き性ジッパーテープであって、
前記リブは、複数設けられた
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項4】
請求項3に記載の易裂き性ジッパーテープであって、
前記リブの間隔は、0.05mm以上2mm以下である
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の易裂き性ジッパーテープであって、
前記リブは、前記薄肉部の1.1倍以上5倍以下の厚さ寸法に形成された
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の易裂き性ジッパーテープであって、
前記薄肉部は、厚さ寸法が0.12mm以下であり、
前記第一の凸状部および前記第二の凸状部は、厚さ寸法が0.20mm以上1mm以下である
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の易裂き性ジッパーテープであって、
前記薄肉部は、幅寸法が0.5mm以上5mm以下である
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の易裂き性ジッパーテープであって、
前記薄肉部と、前記第一の凸状部および前記第二の凸状部とが、同種の樹脂で形成された
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ。
【請求項9】
封入物が投入される開口部を有した包装袋と、
この包装袋の内面に取り付けられる請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の易裂き性ジッパーテープと、
を具備したことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ付き包装袋。
【請求項10】
請求項9に記載の易裂き性ジッパーテープ付き包装袋であって、
前記請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の易裂き性ジッパーテープの薄肉部が、前記包装袋の内面に接着されていない
ことを特徴とした易裂き性ジッパーテープ付き包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−179950(P2010−179950A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26793(P2009−26793)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】