説明

易重合性化合物の晶析方法、および晶析装置

【課題】易重合性化合物の付着や重合による、液面検出手段の指示不良を防止し、安定かつ継続して、易重合性化合物の晶析が行える晶析方法、および晶析装置を目的とする。
【解決手段】伝熱面を介して熱交換を行う冷却機構を備えた晶析装置を用いる、易重合性化合物の晶析方法であって、晶析槽の上蓋と、液面を検出する手段とを接続する液面検出手段接続管に、非凝縮性ガスを供給しながら晶析することを特徴とする易重合性化合物の晶析方法と、伝熱面を介して熱交換を行う冷却機構と、晶析槽の内部の液面を検出する液面検出手段と、前記晶析槽の上蓋と前記液面検出手段とを接続する液面検出手段接続管と、非凝縮性ガスを前記液面検出手段接続管に供給する非凝縮性ガス供給管とを有することを特徴とする易重合性化合物の晶析装置、とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易重合性化合物の晶析方法、および晶析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
易重合性化合物を工業的に製造する場合には、製造過程で生成する不純物や溶媒等を取り除く精製工程が不可欠である。このような精製工程としては、抽出、蒸留、晶析等が一般的であるが、除去対象が高沸点、高融点の物質である場合や、重合性が高い物質である場合には、低温域で高い純度まで精製可能な、晶析法を採用することも多い。例えば、ACH法(アセトンシアンヒドリン法)で副生するメタクリル酸を、抽出や蒸留により分離して得られる粗製メタクリル酸の精製に利用される。また、例えば、次のような粗製メタクリル酸の精製に用いられる。イソブチレン、第三級ブチルアルコール、メタクロレインまたはイソブチルアルデヒドを、一段または二段で分子状酸素と接触させる接触気相酸化に付して反応ガスを得る。該反応ガスを水に吸収させて得られた水溶液から、有機溶剤を用いてメタクリル酸を抽出し、蒸留により有機溶剤および不揮発分を除去して、粗製メタクリル酸を得る。該粗製メタクリル酸から、アルデヒド類等の不純物を除去する精製に、晶析が利用される。汎用的な晶析方法として、伝熱面を介して熱交換を行う晶析方法が挙げられる。
晶析装置を用いた易重合性化合物の晶析操作では、溶液から結晶を連続的に晶出させるに際し、晶析槽内部に通じる液面検出手段を設け、この液面検出手段により液相部の液面高さを検出する。この検出された液面に対して、晶析槽内に供給されるプロセス流体の供給量を変動させることで、液面を一定に保つように運転制御し、品質安定と生産性向上を図っている。
一方で、易重合性化合物の多くは可燃性を有するため、晶析槽内の気相部の組成が爆発範囲内にあり、かつ、着火源が存在すれば、爆発反応を起こしうる。易重合性化合物が気相中を落下する際には、液同士の摩擦により静電気を発生しやすく、この静電気が着火源となりうる。このような問題に対し、該気相部を窒素等の不活性ガスで置換することにより、分子状酸素の濃度を一定の範囲に制御して、気相部の組成を爆発範囲外とする方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−342231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、晶析装置を長期間運転すると、晶析槽と液面検出手段とを接続する液面検出手段接続管内で、易重合性化合物が重合して液面検出手段接続管を閉塞したり、易重合性化合物の結晶や易重合性化合物の重合物が液面検出手段に付着したりすることがあった。このような重合物による閉塞や結晶の付着が生じると、晶析槽の液面を正確に検出できなくなり、晶析装置の運転に支障をきたす。このため、重合物による閉塞や結晶の付着が生じる度に、晶析装置の運転を停止して、重合物や結晶を除去するメンテナンス作業等が行われていた。このようなメンテナンス作業は、生産性を低下させるだけでなく、オペレータの負担を上げているという問題があった。
本発明は、易重合性化合物の付着や重合による、液面検出手段の指示不良を防止し、安定かつ継続して、易重合性化合物の晶析が行える晶析方法、および晶析装置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の易重合性化合物の晶析方法は、伝熱面を介して熱交換を行う冷却機構を備えた晶析装置を用いる、易重合性化合物の晶析方法であって、晶析槽の上蓋と、液面を検出する手段とを接続する液面検出手段接続管に、非凝縮性ガスを供給しながら晶析することを特徴とする。
前記非凝縮性ガスは、窒素であることが好ましく、前記非凝縮性ガスを圧力調節弁とオリフィスプレートとを通じた後に、または、流量調節弁と流量計とを通じた後に、液面検出手段接続管に供給することが好ましい。また、易重合性化合物がメタクリル酸であることが好ましく、前記晶析槽の内部の気相部中の分子状酸素濃度を、2〜18容量%とすることが好ましい。
【0005】
本発明の易重合性化合物の晶析装置は、伝熱面を介して熱交換を行う冷却機構と、晶析槽の内部の液面を検出する液面検出手段と、前記晶析槽の上蓋と前記液面検出手段とを接続する液面検出手段接続管と、非凝縮性ガスを前記液面検出手段接続管に供給する非凝縮性ガス供給管とを有することを特徴とし、前記冷却機構は、冷却ジャケットであることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、易重合性化合物の付着や重合による、液面検出手段の指示不良を防止し、安定かつ継続して、易重合性化合物の晶析が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施形態の一例について、図1を用いて説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図1中、バルブやポンプ等は適宜省略してある。また、説明の便宜上、原料供給管34が図示されている側を「上」、スラリー排出管36が図示されている側を「下」として説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例の晶析装置10の模式図である。晶析装置10は、晶析槽12と、上蓋14と、冷却ジャケット16と、液面検出手段18と、液面検出手段接続管20と、非凝縮性ガス供給管22とを有している。
晶析槽12の上部には上蓋14が載置され、晶析槽12の外側には、中位から底部にかけて、冷却ジャケット16が設置されている。冷却ジャケット16は、図示されない熱源と接続されている。そして、冷却ジャケット16が設置された晶析槽12の内面が、伝熱面になっている。また、晶析槽12内部には攪拌機30が備えられ、該攪拌機30は図示されない動力源と接続されている。
上蓋14には、液面検出手段接続管20と、温度検出手段32とが、上蓋14を貫通して設置され、液面検出手段接続管20ならびに温度検出手段32の下端部は、いずれも晶析槽12内の液面下に位置するように配置されている。液面検出手段接続管20の上端部には、液面検出手段18が接続されている。また、液面検出手段接続管20の側面には、非凝縮性ガス供給管22の一端が接続され、非凝縮性ガス供給管22の他の一端は、流量調節弁24と接続されている。流量調節弁24と流量計26とは、配管により接続され、流量計26と減圧弁28とは、配管により接続され、減圧弁28は、図示されない非凝縮性ガス供給源と、配管によって接続されている。
また、上蓋34に接続されている原料供給管34は、図示されない原料供給源と接続され、晶析槽12底部に接続されているスラリー排出管36は、図示されない次工程と接続されている。
【0008】
晶析槽12と、上蓋14と、冷却ジャケット16と、攪拌機30とからなる晶析装置本体部は、伝熱面を介して熱交換を行う冷却機構を有するものであれば、特に限定されることはない。例えば、「化学工学便覧 改訂第六版」(1999)丸善株式会社発行、505〜520頁に記載されている装置を挙げることができる。
【0009】
冷却ジャケット16は、冷却媒体を流通させて、伝熱面を介して、被処理化合物を冷却できる機構を有すれば特に限定されることはない。冷却ジャケット16を用いた冷却機構は、伝熱面の過冷却を防止でき、かつ温度斑が小さいために好適である。
【0010】
液面検出手段18としては、特に限定されず、ディスプレーサー式、スプリングフロー式等の液面計を使用することができる。
【0011】
非凝縮性ガス供給管22は特に限定されず、非凝縮性ガスを供給する際の、圧力に耐えうるものであれば良く、材質としては、例えばステンレス、アルミニウム、錆止め加工を施した圧延鋼材等が挙げられ、中でもステンレス製管が好ましい。モノマーには腐食性のあるものもあり、ステンレスは耐腐食性を有するためである。
流量調節弁24は特に限定されず、既存の流量調節弁を使用することができる。
また、流量計26は特に限定されず、既存の流量計を使用することができる。
【0012】
次に、晶析装置10を用いた、晶析方法の一例について説明する。
まず、被処理化合物である、易重合性化合物を含有する液体(以下、単に原料液ということもある)を、原料供給管34により、晶析槽12内に入れる。晶析槽12内の原料の液面が、所定の高さに到達した時点で、原料液の供給を停止する。次いで、図示されない非凝縮性ガス供給源から、配管により、減圧弁28、流量計26、流量調節弁24を経由させて、流量が制御された非凝縮性ガスを非凝縮性ガス供給管22に送る。非凝縮性ガス供給管22に送られた非凝縮性ガスは、液面検出手段接続管20を流通し、晶析槽12内の原料液内に送られる。この際、非凝縮性ガスは、液面検出手段接続管22内への易重合性化合物の進入を防ぐと共に、原料液に含まれる易重合性化合物と接触する。そして、原料液に溶存されなかった非凝縮性ガスは、晶析槽12内の気相部の気体と混合される。
攪拌機30により原料液を攪拌する一方、図示されない熱源から、任意の温度の熱媒体を冷却ジャケット16内に流通させて、晶析槽12の伝熱面を冷却する。冷却された晶析槽12の伝熱面によって、原料液を冷却し、最終的に、原料液中の易重合性化合物の結晶が析出し始める温度である、結晶析出温度以下になるように、徐々に冷却する。そして、原料液から易重合性化合物が析出される。晶析槽12内で、易重合性化合物が析出されると、析出された結晶と、原料液との混合流体である、スラリー状のプロセス流体となる。
晶析槽12の槽内温度が所定温度で安定した後、図示されない排出口より、前記プロセス流体の抜き出しを開始する。この際、液面検出手段18により、液相部の液面高さを検出し、一定の液面高さを維持するように、原料液の供給量を調節する。このようにして、原料液から、易重合性化合物の結晶を連続的に晶出させる。こうして、晶析操作を終えたプロセス流体は、晶析槽12から、スラリー排出管36によって次工程に送られ、結晶と母液とに固液分離される。この固液分離により、精製された易重合性化合物の結晶を得ることができる。例えば、原料液として粗製メタクリル酸を用いた場合には、結晶として精製メタクリル酸が得られ、一方の母液には、添加した第二成分、濃縮された不純物、および析出しなかったメタクリル酸が含まれる。
【0013】
易重合性化合物としては、具体的には、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等が挙げられる。中でも、メタクリル酸において、本発明の効果は顕著である。
【0014】
原料液中には、重合を防止するために重合防止剤を含んでいても良い。重合防止剤としては、例えばフェノール類、ハイドロキノン類、キノン類、フェノチアジン類、アミン類、N−オキシル類、硝酸化合物類等が挙げられる。フェノール類としては2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール等、ハイドロキノン類としてはハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等、アミン類としては、N,N−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。これらは1種を単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
重合防止剤の濃度は、易重合性化合物の種類によって決定することが好ましく、例えば、メタクリル酸の場合には、0.5〜1000質量ppm、1〜600質量ppmが好ましく、2〜500質量ppmが特に好ましい。
【0015】
非凝縮性ガスの種類は、晶析の対象となる易重合性化合物の種類、ならびに晶析槽12内の気相部の組成等を考慮して、決定することが好ましい。例えば、非凝縮性ガスは、窒素、酸素、空気、乾燥空気、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等を挙げることができる。中でも、容易に入手でき、気相部の組成を容易に管理できる観点から、窒素を用いることが好ましい。非凝縮性ガスは、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0016】
非凝縮性ガスは、他の気体(以下、希釈ガスという)で希釈して、混合ガスとして用いても良い。この場合、晶析槽12に供給する非凝縮性ガスの濃度、および非凝縮性ガスならびに前記混合ガスの流量は、特に限定されないが、晶析槽12の気相部の分子状酸素濃度を、好ましくは2〜18容量%、より好ましくは4〜10容量%となるように、非凝縮性ガスの濃度と流量とを決定することが好ましい。気相中の酸素濃度を、爆発限界からできるだけ離すことで、不測の事態を回避できるためである。
混合ガス中の非凝縮性ガスの濃度は特に限定されないが、4〜10容量%であることが好ましい。4容量%未満であると、易重合性化合物による液面検出手段接続管20内の閉塞や、液面検出手段18への結晶の付着を防止できないおそれがある。また、10容量%を超えると非凝縮性ガス流量の供給振れ等により、一時的に爆発限界に近づく可能性がある。
加えて、混合ガス中の酸素濃度は、特に限定されることはなく、晶析槽12内の気相部の組成を考慮して、決定することができる。ただし、前記混合ガス中の酸素濃度が低すぎると、前記気相部の酸素濃度を上げることができず、酸素濃度が高すぎると、前記気相部の酸素濃度を下げることができないため、所望する晶析槽12内の酸素濃度を考慮して決定することが好ましい。
【0017】
また、非凝縮性ガスの流量は特に限定されることはないが、晶析槽12の気相部の組成等を考慮して決定することが好ましい。非凝縮性ガスの流量が少なすぎると、原料液中の易重合性化合物による液面検出手段接続管20の閉塞等を防止できないことに加え、前記気相部の酸素濃度を下げることができない。一方、非凝縮性ガスの流量が多すぎると、前記気相部の酸素濃度が少なくなりすぎて、所望の組成とならないためである。混合ガスの流量についても、晶析槽12の気相部の組成、ならびに混合ガス中の非凝縮性ガス濃度と酸素濃度とを考慮して決定することが好ましい。
【0018】
原料液を冷却する温度は、原料液中の易重合性化合物の結晶が析出し始める結晶析出温度以下であれば良く、易重合性化合物の種類と、作業性等とを勘案して決定することができる。例えば、易重合性化合物がメタクリル酸(融点15℃)である場合には、操作性の点から、冷却温度を−10〜10℃の範囲内で設定することが好ましい。
【0019】
必要に応じて、易重合性化合物の結晶析出温度を調整するために、第二成分を添加しても良い。例えば、易重合性化合物として粗製メタクリル酸を用いる場合、第二成分としてメタクリル酸と固溶体を形成しない、極性有機物質を添加することにより、結晶析出温度を低下させることができる。第二成分としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。また、第二成分の添加量は、粗製メタクリル酸に対して、1〜35質量%の範囲が好ましい。メタクリル酸の融点が15℃であるのに対して、結晶析出温度が−10〜10℃となるように、第二成分の添加量を設定することが好ましい。
【0020】
結晶と母液を分離する方法は、固体と液体とを分離できる方法であれば、特に限定されず、例えば、濾過法、遠心分離法等の公知の方法を利用することができる。分離を行う装置の具体例としては、例えば、清水忠造:「クレハ連続結晶精製装置による有機化合物の精製」ケミカルエンジニアリング、第27巻、第3号(1982)、49頁に記載されている、KCP装置等が挙げられる。分離操作の形式は回分式および連続式のいずれでもよい。
【0021】
上記の実施形態によれば、液面検出手段接続管に、非凝縮性ガスを連続的に供給しながら易重合性化合物を晶析することで、気相部の組成を爆発範囲外としながら、液面検出手段接続管内への易重合性化合物の侵入と、重合とを抑えることができる。この結果、液面検出手段への重合物の付着を防止でき、易重合性化合物の重合による液面検出手段の閉塞や、液面検出手段への結晶の付着を防止できる。こうして、液面検出手段の指示不良を防止し、長期にわたり、安定して晶析装置を運転することができる。
そして、メンテナンス時間を削減することができるため、生産性を向上すると共に、オペレータの負担を軽減できる。
【0022】
上記の実施形態では、非凝縮性ガスを、流量計26→流量調節弁24の順で通じているが、これらの順序は逆であっても良い。
また、上記の実施形態では、非凝縮性ガスを、流量調節弁24と流量計26とに通じた後に、液面検出手段接続管へ供給しているが、流量調節弁を圧力調節弁に、流量計をオリフィスプレートに、それぞれ代えても良いし、いずれも設置しなくても良い。ただし、晶析槽12内の気相部の分子状酸素濃度を安定して制御するためには、流量調節弁24と流量計26とに非凝縮性ガスを通じるか、圧力調節弁とオリフィスプレートとに非凝縮性ガスを通じた後に、晶析槽12へ供給することが好ましい。
【実施例】
【0023】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す晶析装置10を用いて、次の条件で、連続的に晶析した。原料液には、96.5〜99.5質量%メタクリル酸の易重合性化合物含有液を用い、原料供給管34から晶析槽12に原料液を供給し、原料液温度を5〜8℃で連続的に晶析し、スラリーをスラリー排出管36から排出させた。同時に、元圧400kPaGの窒素を流量調節弁24で、流量が5m(標準状態)/hとなるように調節した後、液面検出手段接続管20に連続的に供給した。なお、非凝縮性ガス供給管22には内径4mmのSUS304製の管を使用した。
【0024】
(比較例1)
液面検出手段接続管20に窒素を供給しなかった以外は、実施例1と同様にして、原料液を連続的に晶析した。
【0025】
実施例1では、晶析装置10の運転を開始してから3ヶ月間、液面検出手段18は、晶析槽12内の原料液の液面を、正確に検出していた。また、5日毎に液面検出手段18および液面検出手段接続管20の内部を確認したところ、重合物の付着は見られなかった。
一方、比較例1では、運転を開始してから2週間を経過した時点で、晶析槽内液面を正確に検出できなくなった。液面検出手段18および液面検出手段接続管20を取り外して内部を確認したところ、液面検出手段接続管20の一部が、重合物により閉塞していた。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の晶析装置の一例を表す模式図である。
【符号の説明】
【0027】
10 晶析装置
12 晶析槽
14 上蓋
16 冷却ジャケット
18 液面検出手段
20 液面検出手段接続管
22 非凝縮性ガス供給管
24 流量調節弁
26 流量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱面を介して熱交換を行う冷却機構を備えた晶析装置を用いる、易重合性化合物の晶析方法であって、晶析槽の上蓋と、液面を検出する手段とを接続する液面検出手段接続管に、非凝縮性ガスを供給しながら晶析することを特徴とする、易重合性化合物の晶析方法。
【請求項2】
前記非凝縮性ガスは、窒素であることを特徴とする、請求項1に記載の易重合性化合物の晶析方法。
【請求項3】
前記非凝縮性ガスを、圧力調節弁とオリフィスプレートとを通じた後に、液面検出手段接続管に供給することを特徴とする、請求項1または2に記載の易重合性化合物の晶析方法。
【請求項4】
前記非凝縮性ガスを、流量調節弁と流量計とを通じた後に、液面検出手段接続管に供給することを特徴とする、請求項1または2に記載の易重合性化合物の晶析方法。
【請求項5】
易重合性化合物がメタクリル酸である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の易重合性化合物の晶析方法。
【請求項6】
前記晶析槽の内部の気相部中の分子状酸素濃度を、2〜18容量%とすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の易重合性化合物の晶析方法。
【請求項7】
伝熱面を介して熱交換を行う冷却機構と、晶析槽の内部の液面を検出する液面検出手段と、前記晶析槽の上蓋と前記液面検出手段とを接続する液面検出手段接続管と、非凝縮性ガスを前記液面検出手段接続管に供給する非凝縮性ガス供給管とを有することを特徴とする、易重合性化合物の晶析装置。
【請求項8】
前記冷却機構は、冷却ジャケットであることを特徴とする、請求項7に記載の易重合性化合物の晶析装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−155207(P2009−155207A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331371(P2007−331371)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】