説明

易開口できる上蓋付き易開口容器

【課題】開口に際して上蓋を回転することにより蓋本体の易破断部に部分的に歪みを集中させて、高い回転トルクを要せずして容易に開口ができるようにした易開封容器を得る。
【解決手段】上蓋2と、注出筒部4及び天壁11を備えた蓋本体3を有し、上蓋2には注出開口用の上蓋側係合部8と封鎖用の雌ネジ部5を有し、蓋本体の注出筒部4には上蓋2と螺合する雄ネジ部6と、上蓋側係合部8と係合する本体側係合部9と、雄ネジ部6と本体側係合部9との間にスコア19が形成されており、上蓋側係合部8がネジ部回転軸26に対して軸対称性を持たないように偏心している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出筒と一体に形成された天壁を有し、該天壁を注出筒に螺合する上蓋を回転させることにより破断開口できる上蓋付き易開口容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の飲料容器等の封鎖構造として、一般にボトル等注出口部が開口しそれを螺子キャップ等で封鎖しているもの、イージオープン缶等飲み口となる部分がスコアを介して蓋材と一体になっているものに大別され、前者は開封後の再封性には優れているが流通段階での密封性が後者に比べて劣る点、後者は流通段階での密封性には優れているが再封性がない点、及び開口となる部分が外部に露出している等の一長一短を有している。そこで、本出願人は、その両者の長所のみを有する容器の封鎖構造として、内キャップと、該内キャップを内部に装着するキャップ装着部を備え、前記内キャップはキャップ装着部に螺合するネジ部と下方に突出部を有する底部から形成され、前記キャップ装着部は内キャップに螺合するネジ部と、スコア溝及びヒンジ部を有する底部から形成されている、易開封のキャップ付密封容器を先に提供した(特許文献1参照)。該容器の密封構造は、流通段階での未開封状態では注出筒部4と開口となる部分がスコアを介して連続して一体構造となっているので密封性に優れ、且つ開口部となる部分が内キャップにより覆われて外気に曝されることがないので飲み口となる部分の衛生性に優れ、さらに開封後は内キャップによる再封性があり、しかも開封性に優れているという特徴を有するものであった。
【0003】
上記提案のものは、内キャップをネジ込む動作でスコアを押すことにより開封する構造になっているため、開封時には、内キャップを一旦ネジ込む方向に回転させてスコアを破断し、その後逆方向に回転させて内キャップを取り外す動作が必要であるとともに、開封前に下方突出部がキャップ装着部の底部に当たってスコアを破断しないように、シュリンクフィルム等でキャップを固定する必要があるという問題点があった。
【特許文献1】特開2003−24634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本出願人は、前述したキャップ付き密封容器の封鎖構造にさらに改良を加え、図7に示すような容器蓋(特願2006−085786)及びそれをさらに改良して易開封性をより向上させた容器蓋(特許出願2006−223540号)を提案している。上記提案に係る容器蓋A1は、上蓋A2と、該上蓋A2を装着する注出筒A3及び該注出筒A3と一体の天壁A4を有する蓋本体A5から構成されている。蓋本体A5の注出筒A3の下方には、蓋本体A5を缶胴部上端に巻き締め固定するためのカール部A6が設けられている。上蓋A2は、注出口開口用の上蓋側係合部A7と封鎖用の雌ネジ部A8を有しており、蓋本体A5の注出筒A3には、上蓋A2と螺合する雄ネジ部A9と、前記上蓋側係合部A7と係合する本体側係合部A10が形成されている。また、前記雄ネジ部A9と本体側係合部A10との間には、スコア(易破断部)A11が形成されていて、上蓋A2を開封方向に回転させることにより、スコアA11が破断して蓋本体A5の注出口を開口する構造になっていて、このように構成されている容器蓋A1は、開封動作が単純であり、密封性、再封性に優れているとともに、衛生的で且つ開封前の誤開封防止性にも優れている。
【0005】
上記構成において、スコアの破断は、開口に際して上蓋がネジ作用により上昇すると、上蓋係合部が本体側係合部に係合して上方に引き上げる作用をし、スコアにせん断力が作用する結果起こる。その場合、スコアの一部分にせん断力が集中して初期開口が起こり、上蓋の回転につれてその破断が次第に円周方向に伝播して全周が破断されるのが、開栓性を向上させる上で望ましい。しかしながら、上蓋を回転することにより上蓋係合部を介してねじ部と開口用係合部との間にある易破断部全体を変形させ、スコアの一部分に歪みが集中せず初期開口に大きな開栓トルクを必要とする問題点が生じることがあった。
【0006】
そこで、本発明は、前記提案した技術をさらに改良して、開口に際して上蓋を回転することにより蓋本体の易破断部に部分的に歪みを集中させて、高い回転トルクを要せずして容易に開口ができるようにした易開封容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する請求項1に記載の発明に係る易開封容器は、上蓋と、該上蓋を装着する注出筒部及び該注出筒部と一体の天壁を有する蓋本体を有し、前記上蓋には注出開口用の上蓋側係合部と封鎖用の雌ネジ部を有し、前記蓋本体の注出筒部には前記上蓋と螺合する雄ネジ部と、前記上蓋側係合部と係合する本体側係合部と、前記雄ネジ部と前記本体側係合部との間に易破断部が形成されており、前記上蓋側係合部が前記雌ネジ部と前記雄ネジ部のネジ部回転軸に対して軸対称性を持たないことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の易開封容器において、前記ネジ部回転軸と前記上蓋側係合部の回転軸が偏心していることを特徴とするものである。また、請求項3に係る発明は、請求項2記載の易開口容器において、前記ネジ部回転軸と前記本体側係合部の回転軸との偏心位置が、前記本体側ネジ部回転軸を中心とする半径0.01mm〜3mm以内であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1記載の易開口容器において、前記上蓋側係合部の回転軸が前記ネジ部回転軸に対して傾きを有することを特徴とするものである。請求項5に係る発明は、請求項1記載の易開口容器において、前記上蓋側係合部の回転軸が前記ネジ部回転軸に対して偏心せず、かつ前記上蓋側係合部が非円形であることを特徴とするものである。また、請求項6に係る発明は、請求項1〜5いずれか1項に記載の易開口容器において、前記蓋本体が容器胴部の開口端部に巻締されていることからなることを特徴とするものである。さらにまた、請求項7に係る発明は、請求項1〜5いずれか1項に記載の易開口容器において、前記蓋本体が容器胴部と一体に成形されてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の易開口容器は、上蓋側係合部がネジ部回転軸に対して軸対称性を持たないため、開栓に際して上蓋を回転させることによって、上蓋側係合部を介して蓋本体の易破断部にせん断力と半径方向の引っ張り力、せん断力と圧縮力をそれぞれ発生させ破断部の一部に歪みが集中する。その結果、開栓トルクを従来と比べて減少させると共に初期開口に至るまでの変位も減少し、易開口性を高めることができる。請求項2あるいは請求項4の発明によれば、請求項1の発明における上蓋側係合部が上蓋側ネジ部回転軸に対して軸対称性を持たない状態で上蓋を確実に回転させることができ、蓋本体の易破断部に歪みを集中させて安定した開封及び再封ができる。請求項3の発明によれば、請求項2におけるネジ部回転軸と前記上蓋側係合部の回転軸との偏心位置を、前記ネジ部回転軸を中心とする半径0.01mm〜3mm以内にすることによって、より適切に易破断部にせん断力と半径方向の引っ張り力、せん断力と圧縮力をそれぞれ発生させることができる。請求項5の発明によれば、上蓋側係合部の回転軸が前記ネジ部回転軸に対して偏心せずに前記上蓋側係合部を楕円等の非円形にすることによって、上蓋側係合部が形成される上蓋側係合壁及び本体側係合部が形成される本体側係合壁を傾斜させなくても、上蓋側係合部が上蓋側ネジ部回転軸に対して非軸対称性を実現できるので、成形が容易である。請求項1〜5の効果を有する容器の形態として、請求項6又は請求項7の発明の形態を採用することによって、効果的に広口(フルオープン)の易開口容器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る易開口容器の容器蓋の構造を示す断面図であって、本実施形態では容器蓋の蓋本体が容器の胴部と別体に形成され、胴部の開口部に巻締して密封固定する容器蓋を示しているが、蓋本体が胴部と一体成形された構造のものであってもよい。本実施形態の容器蓋1は上蓋2と蓋本体3から構成されており、蓋本体3に注出筒部4を有し、上蓋2と蓋本体3は、上蓋2のスカート壁13に形成された雌ネジ部5が蓋本体3の注出筒部4に形成された雄ネジ部6に螺合する封鎖用のネジ係合部7を形成すると共に、上蓋2のスカート壁13の上方部内周側に突出するように形成された環状屈曲部からなる上蓋側係合部8と、蓋本体3の注出筒の上方部に形成された環状凹部からなる本体側係合部9によって破断用係合部10が形成されている。
【0012】
蓋本体3の上端部は注出筒部4と一体に形成されている天壁11によって閉塞されているとともに、下端側には、図示しない缶胴の開口部に巻き締めして容器の開口部を密封するためのカール部となるフランジ14が形成されている。また、蓋本体3の注出筒部4は、雄ネジ部6が形成されているネジ形成壁部4aよりも、本体側係合部9が形成されている本体側係合壁部4bの方が小径となっており、これらの径の異なる部分の間を連絡している本体側環状段差面15には、開栓時破断可能な環状の易破断部としてのスコア19が設けられている。同様に上蓋2のスカート壁13も蓋本体の注出筒に対応して、上蓋側係合部8が形成されている上蓋側係合壁部13bが雌ネジ5が形成されているネジ形成壁部13aよりも小径に形成され、その間が上蓋側環状段差面16となっている。
【0013】
本体側環状段差面15及び上蓋側環状段差面16とも、本実施形態では図1に示すように、雄ネジ形成壁部4a及び雌ネジ形成壁部13aから同心状に一定幅のリング4c、13cを介して本体側環状段差面15及び上蓋側環状段差面16の外周壁4d、13dが形成されているが、後述するように易開栓性を高めるためにその内周壁である本体側係合壁部4b及び上蓋側係合壁部13bは、雄ネジ形成壁部4a及び雌ネジ形成壁部13a及び外周壁部4d、13dに対して偏心して形成されている。
【0014】
即ち、本実施形態では、開栓時にスコア周辺部が部分的に変形してせん断力が部分的に集中して小さい開栓トルクで開栓できるようにするため、図1及び図2に示すように、上蓋側係合部8と本体側係合部9とが係合して構成される破断用係合部10の係合部回転軸25が、ネジ係合部7のネジ部回転軸26に対して偏心した位置にあり、ネジ部回転軸26に対して軸対称性を有していない。本実施形態では、図2に模式図において、ネジ係合部が形成されている雄ネジ形成壁部4a、雌ネジ形成壁部13aの中心pに対して、破断用係合部10が形成されている本体側係合壁部4b、上蓋側係合壁部13bの中心qが偏心量sだけ偏心している。その場合、環状段差面15の外周壁部4dを雄ネジ形成壁部4aと同心状に形成すると、環状段差面は、図2においてハッチングして示すように、本体側係合壁部4bが外周壁部4dに対して偏心して周方向に幅が違う環状を呈している。本体側環状段差面15には、図において太い破線で示すように偏心して易破断部であるスコア19が形成されている。太い実線10’は破断用係合部10が図示の点線で示す状態から略180°回転した状態を示している。
【0015】
前記係合部回転軸25とネジ部回転軸26との偏心量は、蓋の外径にもよるがたとえば口径10〜120mmの容器蓋の場合、ネジ部回転軸26を中心として半径0.01mm〜3mmの範囲が望ましい。偏心量が0.1mm以下であると偏心によるスコア部に引張応力・圧縮力及びせん断応力を集中させる効果が少なく、逆に3mm以上であると、蓋がいびつ形状となり外形を阻害にするとともに、開口に際して引張力が強くなり、環状段差面及び天壁を変形させる恐れがあり好ましくない。
【0016】
なお、図1に示す実施形態では、本体側環状段差面15及び上蓋側環状段差面16の外周部頂面であるリング部4c、13cが天壁11、頂壁12と略同一面に形成され、本体側環状段差面15、上蓋側環状段差面16があたかも天壁11、頂壁12にそれぞれ形成されている環状溝のように見えるが、必ずしもそのような形態に限らず、それぞれの環状段差面の外周部頂面が天壁面及び頂壁面より軸方向に高い位置又は低い位置にあってもかまわない。
【0017】
本実施形態の容器蓋1は、以上のように形成され、開栓時に上蓋2を開栓方向に回転させると、ネジ作用により上蓋が上昇する力が、破断用係合部10の存在によって蓋本体の本体側係合壁部4bを一緒に持上げ、本体側係合壁部4bと雄ネジ形成壁部4aとの間に張力が作用しスコア19にせん断力が生じ、その結果スコアが破断され、該スコアから上部の注出筒部及び天壁が上蓋2と一体となって上昇し、蓋本体の開口が可能となる。その際、回転トルクがスコア部に対して軸方向分力と円周方向分力を与えると共に、本実施形態では係合部回転軸25がネジ部回転軸26に対して偏心しているため、上蓋の回転によってネジ部回転軸心から遠い位置にあるスコアに対しては半径方向への引張力が作用し、反対に近い位置にあるスコアに対しては圧縮力が作用して、遠い位置側のスコア部周辺に引張変形を与え、反対側のスコア部周辺に圧縮変形を与える。そのため、本実施形態では、スコア部に対して、軸方向分力、周方向分力及び半径方向分力の合力が作用し、従来のネジ係合部と破断用係合部が同心となっているものが周方向分力と軸方向分力の合力が作用するものと比べて、大きな力となって作用する。しかも半径方向分力は周方向の位置によって相違するので、最も半径方向の引張力が大きい箇所(即ち、ネジ部回転軸心から最も遠い位置にあるスコア)に集中させることができ、初期開口トルクを従来と比べて特段に低くすることができ、且つ初期開口が起きるまでのスコア近傍の軸方向変位量を少なくすることができ、効率的に開口することができる。したがって、流通時には天壁が本体と一体となって密封性が高く、開封後は容易に再封できる天壁全面が開口できる易開口性の高いフルオープン蓋、及び該蓋を装着した易開口容器を得ることができる。
【0018】
図3は、破断用係合部がネジ係合部に対して偏心した本実施形態の容器蓋のスコアの初期破断発生のコンピュータによる解析図である。本実施形態では、容器蓋がアルミニウムで形成された、蓋外径が60mm、ネジ部回転軸に対する係合部回転軸の偏心量を0.5mmとし、破断ひずみ5.3%で初期開口が起きるものとして仮定した。また、要部を拡大して示すようにスコア部に対して、軸方向変位、半径方向変位、円周方向変位を総合的に作用させ、各軸方向の変位比を半径方向の変位1に対して、軸方向1.6、円周方向0.0064として入力した。ここで、軸方向及び半径方向の変位は、ネジのピッチ、偏心量により決定し、円周方向は偏心なしの開栓トルクの実測値より決定した。その入力データを元に構造解析を実施し、スコア部に発生する節点反力を算出した。
【0019】
図4は、図3の解析結果をグラフにしたものであり、(A)が図3に示す実験データに基づくものであり、(B)が比較例としてネジ部回転軸と係合部回転軸が同心で偏心なしの場合であり、初期開口が起きるまでの荷重を示している。図から明らかなように、上記実施形態の場合は、スコア部に軸方向、半径方向、円周方向分力の合力として作用し、77.4kgfで初期開口ができた。そのときの変位量は0.1mmであった。一方、偏心がない(B)の場合は、軸方向と円周方向分力の合力が作用して、85.6kgfで初期開口が起き、変位量は0.23mmであった。以上の結果からして、偏心による効果が確認でき、本発明の有効性が確認できた。
【0020】
図5は、本発明の容器蓋の他の実施形態を示している。以下、前記実施形態と同様な箇所には同一の符号を付して詳細な説明は省略し、相違点のみについて詳細に説明する。本実施形態に係る容器蓋30は、破断用係合部31が形成されている本体側係合壁部4b及び上蓋側係合壁13bを軸方向に傾斜させて係合部回転軸37が傾きを持つようにしたところに特徴を有する。即ち、本実施形態では、図5に示すように環状凹部からなる本体側係合部32が形成されている本体側係合壁35及び環状屈曲部からなる上蓋側係合部33が形成されている上蓋側係合壁36が、図5に示すように本体側環状段差面38、上蓋側環状段差面39からそれぞれ傾斜円筒状に立ち上がっている。従って、蓋本体の天壁40及び上蓋の頂壁41は楕円形状を呈し、かつ破断用係合部31の水平断面形状も図6に示すように楕円形状となっている。本体側環状段差面38には、前記実施形態と同様に円形状のスコア42からなる易破断部が形成されている。なお、図中45は、ネジ係合部の回転軸心である。
【0021】
本実施形態の易開口容器蓋は、以上のように構成され、係合部回転軸37が傾斜しているため、ネジ係合部回転軸に対して軸対称性を持たない。従って、上蓋2の回転に際して、図6に示すように、本体側係合壁部4bのネジ部回転軸の軸心から離れた位置では引張力を受け、近い位置では圧縮力を受けるので、スコア42が半径方向に異なった力を受けることになり、前記実施形態と同様に、スコア部に対して、軸方向分力、周方向分力及び半径方向分力の合力が作用する。しかも半径方向分力は周方向の位置によって相違するので、初期開口時に最も半径方向の引張力が大きい箇所に集中し、初期開口トルクを従来と比べて特段に低くすることができる。なお、図6において、太い実線で示す楕円31’は、破断用係合部が点線楕円で示す位置から略30゜回転した状態を示している。
【0022】
以上のように、本発明では、係合部回転軸がネジ部回転軸に対して軸対称性を持たないようにすることによって、開口に際してスコア近傍全体を均一に変形させずに、歪を局所的に集中させることができてスコアの初期破断時のトルクを低減させることができ、容器の易開封性を一段と向上させることができる。係合部回転軸がネジ部回転軸に対して軸対称性を持たないようにする手段として、上記実施形態のように係合部回転軸をネジ部回転軸に対して偏心させる、又は傾斜させる、あるいは破断係合部を非円形(真円でない)にする等によって達成できる。また、上記実施形態では、容器胴部の開口部に巻締する蓋として形成した場合を示したが、必ずしも容器胴部と別成形した蓋の場合に限らず、例えば蓋本体が容器胴部と一体に成形された容器であってもよい。なお、本体側係合部および上蓋側係合部の形状は、上記実施形態の場合に限らず、上蓋の回転に際して確実に上蓋側係合部が本体側係合部に係合できれば、その形状は特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の易開口できる上蓋付き易開口容器は、密封性が高く、且つ開封動作が単純で易開封性に優れ、また開封後は上蓋による再封性も優れているので、通常の飲料から高密封性が要求される内容品の容器として好適に利用できる。また、フルオープンの広口に形成できるから、液体飲料に限らず、果肉飲料、又は固形内容物用の再封性容器として好適である。また、本発明の上蓋付き易開口容器は、その材質は金属に限らず、合成樹脂製の容器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る上蓋付き易開口容器の容器蓋の正面断面図である。
【図2】図1に示す容器蓋の易開封性を説明するための説明図である。
【図3】図1に示す容器蓋のスコアの初期破断発生メカニズムのコンピュータによる解析図である。
【図4】図3の解析結果をグラフ化したものであり、(A)は上記実施形態に係るもの、(B)は偏心なしの比較例に係るものである。
【図5】本発明の他の実施形態に係る上蓋付き易開口容器の容器蓋の正面断面図である。
【図6】図5に示す容器蓋の易開封性を説明するための説明図である。
【図7】先に提案した上蓋付き易開口容器の容器蓋の正面断面図である
【符号の説明】
【0025】
1、30 容器蓋 2 上蓋
3 蓋本体 4 注出筒部
4a 雄ネジ形成壁部 4b 本体側係合壁部
5 雌ネジ部 6 雄ネジ部
7 ネジ係合部
8、33 上蓋側係合部 9、32 本体側係合部
10、31 破断用係合部 11、40 天壁
12、41 頂壁 13 スカート壁
13a 雌ネジ形成壁部 13b 上蓋側係合壁部
15、38 本体側環状段差面 16、39 上蓋側環状段差面
19、42 スコア 25、37 係合回転軸
26、45 ネジ部回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上蓋と、該上蓋を装着する注出筒部及び該注出筒部と一体の天壁を有する蓋本体を有し、前記上蓋には注出開口用の上蓋側係合部と封鎖用の雌ネジ部を有し、前記蓋本体の注出筒部には前記上蓋と螺合する雄ネジ部と、前記上蓋側係合部と係合する本体側係合部と、前記雄ネジ部と前記本体側係合部との間に易破断部が形成されており、前記上蓋側係合部が前記雌ネジ部と前記雄ネジ部のネジ部回転軸に対して軸対称性を持たないことを特徴とする易開口容器。
【請求項2】
前記ネジ部回転軸と前記上蓋側係合部の回転軸が偏心していることを特徴とする請求項1に記載の易開口容器。
【請求項3】
前記ネジ部回転軸と前記本体側係合部の回転軸との偏心位置が、前記本体側ネジ部回転軸を中心とする半径0.01mm〜3mm以内である請求項2記載の易開口容器。
【請求項4】
前記上蓋側係合部の回転軸が前記ネジ部回転軸に対して傾きを有することを特徴とする請求項1記載の易開口容器。
【請求項5】
前記上蓋側係合部の回転軸が前記ネジ部回転軸に対して偏心せず、かつ前記上蓋側係合部が非円形であることを特徴とする請求項1記載の易開口容器。
【請求項6】
前記蓋本体が容器胴部の開口端部に巻締、接着又は溶着されていることからなる請求項1〜5いずれか1項に記載の易開口容器。
【請求項7】
前記蓋本体は、容器胴部と一体に成形されてなることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の易開口容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−302947(P2008−302947A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150441(P2007−150441)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】