説明

易開封性包装体

【課題】 開口部位置の異なる横型容器と縦型容器に兼用して使用できる易開封性包装体を提供する。
【解決手段】 この包装体100は軟包装材料からなるフィルム110で構成され、フィルム110には、第一切込み線210と、第二切込み線220が形成されており、蓋材200には分割線230が形成されている。蓋材200を第一剥離開始部240bから剥離すると、分割線230まで剥離されて環状の第一開口部が形成される。また、第二剥離開始部240aから剥離すると、第二切込み線220から包装体の一端部132まで剥離されて第二開口部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易開封性包装体に関し、更に詳しくは、横型容器と縦型容器に兼用して使用できる易開封性包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエットティッシュのように、水分を含んだ内容物を収容する軟包装体においては、携帯に便利で、取り出し易く、かつ、残ったウエットティッシュを再度使用する際の乾燥を防止するために再封止ができる軟包装体が検討されている。このような軟包装体として、例えば、下記の特許文献1には、袋本体に切れ目を形成して開口部を形成し、その上から、接着剤を介して剥離可能な蓋部材を設けた、化粧用繊維素材等の封入袋が記載されており、開口部を有し、かつ、その開口部の再封止ができるフィルム軟包装体が開示されている。
【0003】
また、上記の軟包装体とウエットティシュを収容する剛性容器とを組み合わせることも検討されており、例えば下記の特許文献2には、1枚ずつ切り離されたウエットティシュを折り重ねながら平面状に積層したものを収容するフィルム状の軟包装体と、この軟包装体をウエットティシュ平面が水平となるように横置きに収容する剛性容器とからなる包装体であって、剛性容器が、いわゆるポップアップ式と称されるものであり、ウエットティシュ片を引き出して連続的に取り出せるような取出し口を容器天面に備える包装体が開示されている。この剛性容器は、容器の天面中心にウエットティシュの取出し口が設けられている為、軟包装体の開口部も中心に設けられている。
【0004】
一方、ウエットティシュを収容する剛性容器としては、下記の特許文献3には、1枚ずつ切り離されたウェットシート片を折り重ねて積層し、これをウェットシート片が垂直となるように直接収容した容器であって、容器の天面に配置された取り出し口より、シートを引き出す構造の剛性容器が開示されている。
【特許文献1】実開昭59−99974号公報
【特許文献2】特開2003−170950号公報
【特許文献3】特開平8−104377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のように、ウエットティシュを収容する軟包装体と、これを収容する剛性の外装容器とを組み合わせた場合、軟包装体の開口部の位置は、それぞれの剛性容器の開口部に合った軟包装体を用いなければならない。例えば通常の横置きタイプであれば、軟包装体のウエットティシュ平面の略中央部に相当する位置に、楕円状や角状等の環状の開口部が形成されていればよい。しかし、縦置きタイプの場合であって、外装容器の開口部がその上方に形成されている場合には、それに応じて軟包装体の開口部も上記の略中央部から上方の包装体端部にかけて形成されていることが、ウエットティシュの取り出し性の観点からは好ましい。
【0006】
このように、例えば、使用する目的が類似で、内容物が全く同一シート(薬液や不織布、寸法)であったとしても、横置き又は縦置きといった外装容器の置きかたによって、消費者はそれぞれの形状にあった詰め替え用の軟包装体の専用品を購入せねばならず非常に不便である。
【0007】
しかし、上記の特許文献1から3のような従来の軟包装体においては、その置き方が横置き又は縦置きに決まっているため、その両方に同時に対応できるような詰め替えタイプのウエットティシュ用軟包装体は検討されていない。
【0008】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、開口部位置の異なる、横型容器と縦型容器に兼用して使用できる易開封性包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
より具体的には、本発明は、以下の構成からなる易開封性包装体を提供する。
【0010】
(1) フィルム状の軟包装材料からなる包装体であって、前記包装体の表面略中央部に開口する第一開口部を形成するための第一開口部形成手段と、前記包装体の略中央部又はその周辺部から、前記包装体の一端部にかけて開口する第二開口部を形成するための第二開口部形成手段とを備え、前記第一開口部形成手段は、前記軟包装材料に設けられた第一切込み線と、この第一切込み線を覆い、剥離可能に粘着されている蓋材であり、前記第二開口部形成手段は、前記軟包装材料に設けられた第二切込み線を含む手段である易開封性包装体。
【0011】
本発明の易開封性包装体によれば、一つの包装体に、表面略中央部に開口する第一開口部を形成するための第一開口部形成手段と、前記包装体の略中央部又はその周辺部から、前記包装体の一端部にかけて開口する第二開口部を形成するための第二開口部形成手段とを備えたので、第一開口部又は第二開口部の形成を選択できる。
【0012】
この結果、第一開口部の形成を選択した場合には、軟包装体の表面略中央部にのみ環状の開口部が形成されるので、特に横型の外装容器に収容する軟包装体として好適である。また、第二開口部の形成を選択した場合には、軟包装体の略中央部から包装体の一端部までの大きな開口部が形成されるので、特に縦型の外装容器に収容する軟包装体として好適である。
【0013】
このように、本発明によれば、一種類の軟包装体でありながら、縦型容器又は横型容器の両方に対応する開口部を使い分けて形成することができるので、汎用の詰め替え用のウエットティシュ包装体として特に好適である。
【0014】
本発明において、「第二開口部」は、第一開口部を完全に含む領域、又は第一開口部と重複する領域に形成されていてもよく、第一開口部とは全く重複しない異なる領域に形成されていてもよい。また、「蓋材」は、第一切込み線のみの一部又は全部を覆っていてもよく、第一切込み線及び第二切込み線の両方の一部又は全部を覆っていてもよい。また、「第二開口部形成手段」は少なくとも第二切込み線の一部又は全部を含む手段であればよく、蓋材や公知の易開封手段と併用されていてもよい。
【0015】
また、本明細書において包装体の「表面略中央部」とは、包装体を平面に載置した状態にける上面側の中央部付近を意味し、例えば、ピロー包装体においては、好ましくは背張りシール部を有する面と反対側の面の中央部付近である。また、包装体の「略中央部」とは、上記の表面略中央部、又は裏面略中央部のいずれかであり、「その周辺部」とは、略中央部以外の領域を意味するものである。
【0016】
なお、本明細書においては、包装体の第二開口部が形成される側の端部が「一端部」であり、第二開口部が形成されない側の端部が「他端部」である。そして、「端部」とは、包装体の任意の周縁部であって、好ましくは熱融着部(シール部)である。例えば背張りシール部と上下シール部を有するピロー包装体においては、好ましくは上下シール部の一方(例えば上シール部)が「包装体の一方の端部」であり、上下シール部の他方(例えば下シール部)が「包装体の他方の端部」である。
【0017】
(2) 前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は環状であり、前記第二開口部形成手段は、前記第一切込み線上から前記一端部側に向かって伸びる二本の線を含む第二切込み線と、前記第一及び第二切込み線を同時に覆う前記蓋材とからなり、前記蓋材には、前記第一切込み線と前記第二切込み線とを分割する位置に分割線が形成されている(1)記載の易開封性包装体。
【0018】
この態様によれば、一枚の蓋材に分割線を形成することによって、蓋材を2分割して剥離できる。そして、このとき、分割線から第一切込み線を含む側の蓋材のみ剥離した場合には、環状の第一開口部が形成される。また、分割線から第二切込み線を含む側の蓋材のみ剥離した場合には、第二切込み線から包装体の一端部まで剥離されて第二開口部が形成される。
【0019】
なお、「環状」とは全体として閉じた線であることを意味し、線自身は連続線でもよくミシン目状でもよい。また、その形状も、円、楕円、四角など適宜選択でき限定されない。「第一切込み線上から一端部側に向かって伸びる二本の線」は、蓋材を剥離した場合に、環状の第一切込み線から連続して、第二切込み線によって軟包装材料が引き剥がされるように構成されている方向を意味し、直線であっても曲線であってもよく、波線や矩形線であってもよい。
【0020】
また、「第一切込み線と第二切込み線とを分割する位置」とは、第一切込み線と第二切込み線とが分離されている場合には、両者の間に位置されることが好ましいが、第一切込み線及び/又は第二切込み線を一部含んでいてもよい。また、第一切込み線と第二切込み線とが分離されていない場合には、それぞれの分割片は、第一切込み線及び/又は第二切込み線を一部含んでいてもよいが、第二切込み線は少なくとも一方の分割片のみに存在するように配置されることが好ましい。
【0021】
(3) 前記第二切込み線は、その両終点が前記一端部に向かう略コの字状であり、その一部を前記第一切込み線と共通にする(2)記載の易開封性包装体。
【0022】
この態様によれば、第一切込み線と第二切込み線とを一部共有化することで、少ない面積内に第一切込み線と第二切込み線を設けることができる。
【0023】
(4) 前記蓋材周縁と前記分割線とが交差する付近であって、前記分割線から前記一端部側には第二剥離開始部が形成されており、前記蓋材周縁であって、前記包装体の他端部側には第一剥離開始部が形成されている(2)又は(3)記載の易開封性包装体。
【0024】
この態様によれば、蓋材を第一剥離開始部から剥離すると、蓋材のうち第一切込み線を含む分割線までが剥離されて、環状の第一開口部のみが形成される。また、第二剥離開始部から剥離すると、第二切込み線から包装体の一端部まで剥離されて大きな第二開口部が形成される。
【0025】
なお、本明細書における「剥離開始部」とは、開封を開始するためのキッカケとなる部分であり、手で容易に摘むことができる部分である。具体的には、例えば蓋材の「剥離開始部」としては、裏面の粘着剤が塗布されていない部分が挙げられ、包装体の「剥離開始部」としては、包装体の一端部又は他端部に形成される、ノッチや公知の易開封性手段(例えばシール部に微細な傷痕を面状に形成したもの)が挙げられる。
【0026】
(5) 前記蓋材周縁と前記分割線とが交差する付近であって、前記分割線から前記一端部側には第二剥離開始部が形成されており、前記蓋材周縁と前記分割線とが交差する付近であって、前記分割線から前記包装体の他端部側には第一剥離開始部が形成されている(2)又は(3)記載の易開封性包装体。
【0027】
この態様によれば、蓋材を第一剥離開始部から剥離すると、蓋材のうち第一切込み線を含む分割線のみが剥離されて、環状の第一開口部のみが形成される。また、第二剥離開始部から剥離すると、第二切込み線から包装体の一端部まで剥離されて大きな第二開口部が形成される。
【0028】
(6) 前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は環状であり、前記第二開口部形成手段は、前記包装体の表面であって前記第一切込み線とは別の位置に設けられた第二切込み線と、当該第二切込み線のみを覆う第二蓋材とからなり、前記第二切込み線は、その両終点が前記一端部に向かう線である(1)記載の易開封性包装体。
【0029】
この態様によれば、第一切込み線と第二切込み線とが別個に設けられ、それぞれの線に2つの蓋材が別個に形成されている。したがって、第一開口部を形成するには蓋材を剥離すればよく、第二開口部を形成するには第二蓋材を剥離すればよい。したがって、使用者が誤って異なる剥離箇所を剥離して、誤った開口部を形成しまうのを防止できる。
【0030】
(7) 前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は、前記一端部側に位置する剥離開始線と、それに対向する剥離停止線とからなる一対であり、
前記剥離停止線の両終点は、前記剥離開始線より外方に位置しており、
前記剥離停止線は前記第二開口部形成手段の前記第二切込み線を兼ねている(1)記載の易開封性包装体。
【0031】
この態様によれば、剥離停止線は、第一切込み線と第二切込み線で共通となっている。そして、蓋材を包装体の一端部側から開封した場合には、剥離開始線から剥離停止線にかけて剥離が行われ、剥離停止線の両終点は剥離開始線より外方に位置しているので、剥離停止線にかかったところで剥離が終了し、環状の第一開口部が形成される。一方、蓋材を包装体の他端部側から開封した場合には、引き裂き線は剥離開始線にかかることなく、そのまま包装体の一端部まで到達して大きな第二開口部が形成される。なお、本明細書における「外方」とは、包装体の一方及び他方の端部方向をいう。「一対の第一切込み線」の形状としては、包装体の両端側に向かって凸状をなしているV字、コの字、U字などが挙げられる。
【0032】
(8) 前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は、前記一端部側に位置する剥離開始線と、それに対向する剥離停止線とからなる一対であり、前記剥離停止線の両終点は、前記剥離開始線より外方に位置しており、前記剥離開始線は、その両終点が前記包装体の他端部に向かう線であり、前記第二開口部形成手段の前記第二切込み線は、前記剥離開始線から前記一端部側に向かって伸びる二本の線である(1)記載の易開封性包装体。
【0033】
この態様によれば、蓋材を包装体の一端部側から開封すると、一対の第一切込み線によって、剥離開始線から剥離停止線にかけて環状の第一開口部が形成される。また、蓋材を包装体の他方の端部側から開封すると、第二切込み線から包装体の一方の端部側にかけて大きな第二開口部が形成される。
【0034】
(9) 前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は、前記一端部側に位置する剥離開始線と、それに対向する剥離停止線とからなる一対であり、前記剥離停止線の両終点は、前記剥離開始線より外方に位置しており、前記剥離開始線は、その両終点が前記包装体の他端部に向かう線であり、前記第二開口部形成手段の前記第二切込み線は、前記剥離開始線より更に前記一端部側に位置し、その両終点が前記一端部に向かう線である(1)記載の易開封性包装体。
【0035】
この態様によれば、蓋材を包装体の一端部側から開封すると、一対の第一切込み線によって、剥離開始線から剥離停止線にかけて環状の第一開口部が形成される。また、蓋材を包装体の他端部側から開封すると、第二切込み線から包装体の一端部側にかけて大きな第二開口部が形成される。「その両終点が前記一端部に向かう線」とは、例えば、包装体の他端部側に向かって凸状をなしているV字、コの字、U字などの線が挙げられる。
【0036】
(10) 前記包装体は、その裏面略中央部に背張り部を有するピロー包装体であり、
前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は環状であり、前記第二開口部形成手段は、前記背張り部の略中央部付近に設けられた第二切込み線である(1)記載の易開封性包装体。
【0037】
この態様によれば、ノッチなどの第二切込み線を背張り部に設け、これを開封契機として背張り部を含む領域を包装体の一端部側に引き裂き、そのまま包装体の一端部側にかかる大きな第二開口部が形成される。したがって、包装体の表側を使って第一開口部を形成でき、包装体の裏側を使って第二開口部を形成できる。このため、開封する使用者が、誤って異なる剥離箇所を剥離して誤った開口部を形成しまうのを防止できる。
【0038】
(11) 前記第二切込み線から前記背張り部を挟んで略対象に設けられる線であって、その両終点が前記一端部に向かう誘導線が形成されている(10)記載の易開封性包装体。
【0039】
この態様によれば、ノッチなどの第二切込み線から連続して誘導線を設けることにより、背張り部を含む領域を綺麗に引き裂いて、任意の幅で大きな第二開口部を形成することが可能となる。
【0040】
(12) 前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は環状であり、前記蓋材は、前記一端部側に剥離開始部を有し、前記一端部には非融着部が形成されており、第二開口部形成手段の前記第二切込み線は、前記非融着部に形成された一対の略平行な切込み線である(1)記載の易開封性包装体。
【0041】
この態様によれば、第二開口部を形成する際には、包装体の一端部の非融着部に形成された一対の略平行な切込み線の間を掴んで引き上げる、これによって、非融着部側から表面略中央部にかけて略平行な領域が切り取られ、包装体の一端部から連続した第二開口部が形成できる。
【0042】
(13) 前記一対の切込み線間の距離は、前記第一開口部の幅より小さい(12)記載の易開封性包装体。
【0043】
この態様によれば、非融着部から略平行な領域が切り取られ、次いで、第一切込み線に沿って第一開口部の領域も切り取られるので、第二開口部として、包装体の端部から第一開口部まで連続した大きな開口部が形成できる。なお、「第一開口部の幅」とは、第一開口部における、包装体の一端部及び他端部に沿った方向の最大長さをいう。
【0044】
(14) 前記一対の切込み線間の距離は、前記第一開口部の幅より大きく、更に、前記第一切込み線上から前記一端部側に向かって伸びる二本の線を有している(12)記載の易開封性包装体。
【0045】
この態様によれば、非融着部から略平行な領域が切り取られ、次いで、上記の二本の線によって引き裂きが一旦停止し、更に、この二本の線を経由して第一切込み線に至り、結局第一開口部の領域も切り取られるので、第二開口部として、包装体の端部から第一開口部まで連続した大きな開口部が形成できる。また、上記の二本の線によって、一対の略平行な切込み線の間隔を広げることができ、更に大きな第二開口部を形成できる。
【0046】
(15) 前記包装体の一端部は易開封性のヒートシール部である(1)から(14)いずれか記載の易開封性包装体
【0047】
この態様によれば、包装体の一端部を易開封性のヒートシール部とすることによって、第二開口部の形成に際して、簡単に最後まで引き裂いてフィルム片を取り去ることができる。ここで、「易開封性のヒートシール部」とは、従来公知のヒートシール強度を低下させる手段を用いることができ、例えば、フィルムのシーラント層としてイージーオープン性を有するフィルムを用いればよい。
【0048】
(16) 前記包装体は密封包装体であり、前記内容物はウエットティッシュである請求項(1)から(15)いずれか記載の易開封性包装体。
【0049】
この態様によれば、詰め替え用のウエットティシュは、通常ピロー包装体に収容されており、そこから簡単にウエットティシュを取り出す必要があり、また、特に大きな開口部が必要である。この点、本発明の易開封性包装体であれば、大きな開口部を形成でき、外装容器が縦置き、横置きのいずれであっても容易にウエットティシュを取り出すことができる。また、密封包装体であるので、ウエットティシュ等の内容物の乾燥を防ぐことができる。
【0050】
本発明においては、蓋材を剥離した際に、第二切込み線によって、第二開口部から包装体の一端部にかけて連続した開口部が形成されるように、軟包装材料の引き裂きをガイドする引き裂き誘導手段が軟包装材料に形成されていることが好ましい。この態様によれば、軟包装材料に引き裂き誘導手段が形成されているため、第二切込み線の終点から包装体の一方の端部にかけて容易に大きな開口部を形成することができる。
【0051】
また、「包装体の一端部側に向かって伸びる二本の線」の終点を含む末端部は、蓋材の剥離方向に平行な線とのなす角であって前記一方の剥離端部側の角度が90°未満となるように形成されていることが好ましい。この態様によれば、第二切込み線の終点が剥離方向に向かって形成されているため、フィルムを切り裂く方向が導かれる。このため、一定の方向でフィルムが引裂かれ、安定して開口部が形成される。なお、この態様における「第二切込み線」は、形状は特に限定されず、一本又は二本以上の直線、曲線と直線を組み合わせて形成されていてもよいが、終点を含む部分は直線で形成されている。この終点を含む直線部分が「第二切込み線の終点を含む末端部」であり、このような末端部は少なくとも終点から1mm以上あればよく、好ましくは5mm以上である。
【0052】
また、蓋材で覆われている軟包装材料の表面上には脆弱加工処理によって形成された脆弱部が設けられていることも好ましい。この態様によれば、軟包装材料の表面上に設けられた脆弱部によって、フィルムの剛性を実質的に低下させることができる。このため、蓋材を剥離した際に、フィルムが蓋材側に追随して粘着し易くなるので、引裂き誘導手段に沿って確実に切り離すことが可能となり、開口部を確実に設けることができる。なお、脆弱加工処理によって形成される「脆弱部」とは、例えば、抜き刃加工やレーザー加工などによって形成される、連続線やミシン目のような線状の切込み線であってもよい。また、切込み線には限定されず、例えば、表面にダイヤモンド片が付着したエンボス加工処理などによって形成され、開口領域の一部又は全部のフィルム表面に形成される微細な傷状の凹凸であってもよい。
【0053】
また、蓋材の剥離開始部は、それ以外の蓋材の部分に比べて粘着強度が弱いか、又は、粘着性を有していないことが好ましい。この態様によれば、剥離開始部を容易に把持することができ、蓋材を剥がし易くなる。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、蓋材の剥離する部分により、若しくは、包装体に形成されている切込み線から軟包装材料を引き剥がすことにより、異なった形状の開口部を形成することができるため、外装容器の開口部の形状・位置が異なる容器に兼用して使用することができる易開封性包装体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明においては、同一の構成要件については同一符号を付し、その説明は省略もしくは簡略化する。
【0056】
[第1実施形態]
<易開封性包装体の全体構成>
図1、2は、本発明の易開封性包装体の実施形態の一例を示す図であり、図1は易開封性包装体の概略を示す斜視図、図2は図1における蓋材200付近の拡大図である。
【0057】
図1に示すように、この包装体100は、軟包装材料からなるフィルム110で構成されたピロー包装体である。包装体100を水平に置いた状態において、フィルム110の上面側には蓋材200が粘着されている。包装体100の他端部131、一端部132は、それぞれ上下の横シール部であり、背面側の中央部には図示しない背張り部がある。
【0058】
図2に示すように、蓋材200が覆う部分のフィルム110には、一端部132に向かうコの字状の第二切込み線220が形成されており、この第二切込み線220上の2点から、環状に第一切込み線210が形成されている。すなわち、この実施形態においては、第二切込み線220と第一切込み線210とが一部共通しており、結果して、第一切込み線210は環状をなしている。この環状の切込み線210によって、開口領域150が形成される。なお、「開口領域」とは、フィルムが剥がされる前の領域を意味し、「開口部」とは、実際にフィルムが除かれている領域を意味する。
【0059】
蓋材200は、分割線230により200a、200bに分離可能となっており、それぞれに第二剥離開始部240a、第一剥離開始部240bを有し、フィルム110に粘着されている。剥離開始部は蓋材200を剥がし易くする為に、それ以外の部分に比べて粘着強度が低くなっているか、又は、粘着性を有していないことが好ましい。ここで「粘着」とは、再剥離および再封止が可能な状態をいう。
【0060】
フィルム110の上面における第二切込み線220の両終点の延長上には、そこから横シール部132(包装体の一端部)にかけて続く、2本の平行な引き裂き誘導手段160が設けられている。この実施形態においては、引き裂き誘導手段160は仮想線として記載されており、実際には、フィルム110を構成する延伸フィルムの延伸方向が、仮想線の方向に一致しており、この延伸フィルムの配向が引き裂き誘導手段160となっている。
【0061】
<フィルム>
フィルム110は、特定の材質に限定されないが、加熱によりフィルムが融着し袋状の形状を得ることができ、内部のウエットティシュの乾燥を防ぐ為の防湿性を有する材質が好ましい。また、その材質は単体で接着性と気密性を有している素材を用いることができ、それぞれ別の特性を持つフィルムを数種類貼り合せた素材を用いることもできる。
【0062】
また、一軸延伸PETフィルムのように、一方向性の引裂き性を向上させたフィルムを基材フィルム用いると、スリットからフィルムを引裂きながら開口部を形成する際に直線的で安定した開口部を形成することができるので好ましい。
【0063】
<第一切込み線と開口領域>
第一切込み線210は、環状の開口領域150を生じるように設けられていればよい。図2では、半楕円状の形状を有しているが、四角でも丸型状でもよく、特に限定されない。また、取出口となる開口領域150の大きさも、包装体100の大きさや、取り出す内容物の大きさや形状に応じて適宜選択可能である。
【0064】
第一切込み線210は、最初から開口領域150を形成した状態で、図1のようにフィルム110が開口領域150を覆っている状態でもよく、開口領域150を覆うフィルム110があらかじめ取り除かれていてもよい。開口領域150をフィルム110が覆っている場合には、フィルム110を打ち抜いて完全に開口した状態でも良いし、ラベルを引き剥がす時に自然に切れる程度、いわゆるミシン目程度で一部若しくは複数部が包装体のフィルム110に繋がっている状態でもよい。また、ハーフカットと呼称されるような、フィルムの厚み方向に向けて完全に打ち抜くのではなく、フィルムの最下層まで切らない状態でもよい。この場合、蓋材200bを剥がしたときに、開口領域を形成しやすいように、フィルム110に切込み線を形成しておくことが好ましい。いずれにしても蓋材200を剥がした時に横型容器の開口部に対応した包装体の開口部を形成する状態であればよい。
【0065】
<第二切込み線>
第二切込み線220は、第二切込み線220から、横シール部132にかけて連続して開口領域が形成されるように設けられていればよく、その形状は特に限定されない。横シール部132にかけて連続して形成するためには、第二切込み線220の終点を含む末端部と剥離方向に平行な線とのなす角の、横シール部132側の角度が90°未満であることが好ましい。この実施形態においては、蓋材の剥離方向に垂直に形成された後、剥離方向に平行で横シール部132に向かっており、末端部はL字状をなしている。
【0066】
また、第二切込み線220の包装体の一端部側にV字状の脆弱部250が設けられていてもよい。この脆弱部250によって、フィルム110の剛性を下げることができる。これによって、フィルム110が折れ曲がりやすくなるので、第二切込み線220からの切り起こしが容易になり、蓋材200への粘着を確実にする。脆弱部250は、フィルム110が折れ曲がりやすくなるように形成されていればよく、その形状、長さ、本数は適宜設定可能である。例えば、脆弱部250はジグザグ状、波状、R状であってもよく、また、異なる形状のものが組み合わされていてもよい。また、1本のみであってもよく、連続線でなくミシン目であってもよい。
【0067】
また、切れ目線はフィルム110を貫通するように形成されていてもよく、いわゆるハーフカットの状態であってもよいが、フィルムの剛性を低下させて、より折れ曲がり易くする観点からは、フィルム110を貫通するように形成されていることが好ましい。なお、ハーフカットは、例えばレーザー光の照射や、機械的な抜き刃加工などの公知の方法によって形成できる。
【0068】
上記のように、この実施形態における第二切込み線220は、第一切込み線210と一部を共通にし、その末端は、第一切込み線210上の2点から、包装体の一端部に向かって形成されている。第二切込み線は横シール部132にかけて連続して開口領域が形成されるように設けられていればよく、その形状はコの字状又はハの字状であることが好ましい。横シール部132にかけて連続して開口部を形成するためには、第二切込み線220の終点を含む末端部と剥離方向に平行な線とのなす角の、横シール部132側の角度が90°未満であることが好ましい。
【0069】
第二切込み線220は、フィルムを引裂く方向性をできるだけ安定させる為に、完全にフィルムを打ち抜いていることが好ましい。ミシン目の場合にはフィルム110に繋がっている部分を切る時に破断方向が乱れ、望まない方向に引裂かれる可能性がある。ハーフカットの場合は、切れていない最下層のフィルムの一部が残っている為、同様に破断方向が乱れ、望まない方向に引裂かれたり、デラミと呼ばれる上層のフィルムと下層のフィルムが破断部で剥離し始めて開口部が安定して形成されない可能性があるので好ましくない。
【0070】
<引き裂き誘導手段>
この実施形態においては、引き裂き誘導手段160は仮想線として記載されており、実際には、フィルム110を構成する延伸フィルムの延伸方向が、仮想線の方向に一致しており、この延伸フィルムの配向が引き裂き誘導手段160となっている。具体的には、例えば、フィルム110の基材層を延伸フィルムとすればよく、好ましくは配向性の高い一軸又は二軸延伸フィルムが好ましく、なかでも、いわゆる易引き裂き性(直線カット性)の一軸延伸フィルムがより好ましい。これらの延伸フィルムは従来公知の市販品を使用できる。
【0071】
引き裂き誘導手段160は、上記の延伸配向に限定されず、例えば切れ目線をフィルム110上に形成してもよい。この場合、切れ目線はフィルム110を貫通するように形成されていてもよく、いわゆるハーフカットの状態であってもよいが、包装体全体の密封性を維持するためには、ハーフカットの状態であることが好ましい。なお、ハーフカットは、例えばレーザー光の照射や、機械的な抜き刃加工などの公知の方法によって、例えば基材層のみに形成することができる。
【0072】
<蓋材>
蓋材200は剥離方向と垂直方向に形成された分割線230により蓋材200a、200bに分割して剥離することができる。蓋材200としては、柔軟性を有する可撓性のフィルム状やシート状のもので形成され、粘着層を形成する感圧型接着剤は、例えばアクリル系の糊剤、可塑剤を含んだポリ塩化ビニル組成物、エチレン−酢酸ビニル共重合体に塩化ビニルモノマーがクラフト重合されたクラフト共重合体などのクラフトマーを主体としたものが例示できるが、特定のものに限定されない。
【0073】
蓋材200の形状は図2では、楕円状の形状であるが、その形状には制約されない。四角形状でも円形状でも良く、第一切込み線210、第二切込み線220などを確実に覆うことができればよい。
【0074】
分割線230は、蓋材200を2分割できるように形成されている。そして、この分割線230の位置は、それぞれの分割片の蓋材200aは第二切込み線220のすべて及び第一切込み線210の一部を含んでおり、蓋材200bは第一切込み線210の大部分を含み、第二切込み線220を含まないように配置されている。
【0075】
分割線230の形状は、直線に限定されない。蓋材200aで第二切込み線220を、蓋材200bで開口領域150のうち、ウエットティシュを取り出すことができる領域を確実に覆うことができればよい。分割線230は、蓋材200を貫通するように形成されていてもよく、いわゆるハーフカットの状態でもよい。また、蓋材200を引き剥がす時に自然に切れる程度、いわゆるミシン目程度で一部若しくは複数部が蓋材200に繋がっている状態でもよい。
【0076】
蓋材200aの周縁と分割線230との交差部付近の包装体の他端部側に、第二剥離開始部240aが、蓋材200bの周縁で、他端部側に第一剥離開始部240bが形成されている。なお、蓋材200の第一剥離開始部240a、第二剥離開始部240bは、それ以外の部分に比べて粘着強度が弱いか、又は、粘着性を有していないことが好ましい。
【0077】
<作用>
次に、図3及び図4を用いて、この包装体100の作用について説明する。図3は、図1において蓋材200aを第二剥離開始部240aから剥離した後の状態を示す斜視図である。図4は、図1において蓋材200bを第一剥離開始部240bから剥離した後の状態を示す斜視図である。
【0078】
まず、蓋材200の第一剥離開始部240bから、蓋材200bを剥離する。すると、図4に示すように、第一開口部150bが現れる。この第一開口部150bは外装容器が横型の場合に好適に対応できる。
【0079】
また、包装体100において、蓋材200aの第二剥離開始部240aから、蓋材200aを剥離する。すると、蓋材200aの裏面側の粘着材によって、第二切込み線220、及び、仮想線である引裂き誘導手段160に沿ってフィルム110が引裂かれ始め、横シール部132まで引裂いて開口部を形成し、図3に示すように、第二開口部150a、150cが一体として形成される。この一体の第二開口部は外装容器が縦型の場合に好適に対応できる。
【0080】
<外装容器との組み合わせ例>
図28、29には、図3のような包装体100を、縦型の外装容器300と組み合わせたウエットティシュ用包装体400の一例が示されている。図28に示すように、このウエットティシュ用包装体400は、剛性の外装容器300と、この外装容器300内に収容される、複数のウエットティシュ片を収容した上記の包装体100とで主に構成されている。
【0081】
図29に示すように、包装体100は、複数のウエットティシュ片が直立した状態、すなわち、いわゆる縦置きの状態で外装容器300の底部から挿入配置された後、底蓋320によって密封される。このように、上記のように第二開口部150a及び150cを一体として形成した包装体100は、縦型の外装容器に用いられる詰め替え用ウエットティシュ包装体として好適に用いることができる。
【0082】
外装容器300は、包装体100を収容する本体部310と、本体部310の底部に気密性を有するように勘合可能な底蓋320とから主に構成され、本体部310は中空の略直方体形状をなしている。本体部310の正面上部から上面にかけては、ウエットティシュ片を取り出すための第二開口領域330が形成されている。そして、この第二開口領域330には、第二開口領域330を気密状態で覆うことができるように、開閉可能な蓋体340が設けられており、この蓋体340は、ヒンジ部を支点にして上下方向に可動可能となっている。
【0083】
第二開口領域330は、外装容器300の高さの1/2の位置より上方に形成されている。これにより、ウエットティシュを上方に取り出すので、第二開口領域の下端部とウエットティシュ片との擦り合せ摩擦が生じる。よって、特別な爪やスリットを形成することなく、ウエットティシュ片間の切り離しを確実に行い、一枚づつウエットティシュを取り出すことができる。
【0084】
<蓋材の他の例>
蓋材の他の例としては、図5のような形状が例示できる。図5の蓋材においては、第一剥離開始部240cが、蓋材200cの周縁と分割線230との交差部付近の包装体の一端部側に形成されている。このような構成にしても、第二剥離開始部240aから剥離することで、図3に示すような縦型容器に適した第二開口部150a、150cが形成される。また、第一剥離開始部240cから剥離することにより、第一開口部150bが形成され、横型容器に適した開口部が形成される。
【0085】
[第2実施形態]
<全体構成>
図6は、本発明の第2実施形態に係る包装体500の概略を示す斜視図である。この包装体500は、環状の第一切込み線510、別の位置に設けられた第二切込み線520のそれぞれの切込み線に対して、蓋材571、第二蓋材570がそれぞれ設けられている点が第一実施形態と主に異なっている。
【0086】
<第一切込み線と開口領域>
第一切込み線510は、環状の開口領域550を生じるように設けられていればよい。図6では、楕円状の第一切込み線の形状を有しているが、四角でも丸型状でもよく、特に限定されない。また、取出口となる開口領域550の大きさも、包装体500の大きさや、取り出す内容物の大きさや形状に応じて適宜選択可能である。
【0087】
<第二切込み線>
第二切込み線520は、包装体500の上面側の包装体の一端部507付近に、第一切込み線510とは別の位置に包装体500の一端部507に向かって設けられている。第二切込み線520は横シール部507にかけて連続して開口部が形成されるように設けられていればよく、図6のようなコの字状が好ましい。開口部を横シール部507にかけて連続して形成するためには、第二切込み線520の終点を含む末端部と剥離方向に平行な線とのなす角の、横シール部507側の角度が90°未満であることが好ましい。
【0088】
<蓋材>
第二蓋材570は第二切込み線520を、蓋材571は第一切込み線510をそれぞれ確実に覆うこができればよく、その形状には制約されない。第二切込み線520を覆う第二蓋材570は横シール部507側の反対側に剥離開始部540が設けられている。一方、第一切込み線510を覆う蓋材571は、蓋材571の周囲の一部に剥離開始部541が設けられていれば良い。
【0089】
<作用>
図7は図6において第二蓋材570を剥離開始部540から剥離した後の状態を示す斜視図である。図8は、図6において蓋材571を剥離開始部541から剥離した後の状態を示す斜視図である。
【0090】
蓋材570の剥離開始部540から、第二蓋材570を剥離する。すると、第二蓋材570の裏面側の粘着材によって、第二切込み線520、仮想線である引裂き誘導手段560に沿ってフィルム505が引裂かれ始め、横シール部507まで引裂いて開口部を形成し、図7に示すように、第二開口部550aが形成される。この第二開口部550aは外装容器が縦型の場合に好適に対応できる。
【0091】
また、蓋材571の剥離開始部541から、蓋材571を剥離する。すると、図8に示すように、第一開口部550bが現れる。この第一開口部は外装容器が横型の場合に好適に対応できる。
【0092】
[第3実施形態]
<全体構成>
図9は、本発明の第3実施形態に係る包装体600の概略を示す斜視図、図10は図9における蓋材670の拡大図である。図10に示すように、この包装体600は、一対の第一切込み線621(剥離開始線)と620(剥離停止線)とが包装体600に設けられている。そして、第一切込み線621、620を覆うように蓋材670が設けられている。図中640、641は蓋材670の剥離開始部である。
【0093】
第一切込み線621と620とは、それぞれV字状をなしており、互いのV字の開放部が対向するように配置されている。そして、第一切込み線620の両終点は、第一切込み線621の両終点より外方に位置している。すなわち、第一切込み線620のほうが、第一切込み線621より大きいV字となっている。更に、この実施形態では、第一切込み線(剥離停止線)620は、第二開口部形成手段の第二切込み線を兼ねている。
【0094】
<第一切込み線と第二切込み線>
第一切込み線621(剥離開始線)は、両終点が包装体の他端部に向かって設けられていればよく、形状はコの字状又はV字状が好ましい。一方、第一切込み線620(剥離停止線)の両終点の端部は、包装体の一端部に向かって設けられていればよく、形状はコの字状又はV字状が好ましい。
【0095】
<作用>
図11は、図9において蓋材670剥離開始部640から剥離した後の状態を示す斜視図であり、図12は、図9において蓋材670を剥離開始部641から剥離した後の状態を示す斜視図である。
【0096】
蓋材670の剥離開始部640から蓋材670を剥離する。すると、蓋材670の裏面側の粘着材によって、第二切込み線620、仮想線である引裂き誘導手段660に沿ってフィルム605が引裂かれ始め、横シール部607まで引裂いて開口部を形成し、図11に示すように第二開口部650aが形成される。この第二開口部650aは、外装容器が縦型の場合に好適に対応できる。
【0097】
また蓋材670の剥離開始部641から、蓋材670を剥離する。すると、蓋材670の裏面側の粘着材によって、第一切込み線621(剥離開始線)から、仮想線である引裂き誘導手段661に沿ってフィルム605が引裂かれ始め、第一切込み線620(剥離停止線)まで引裂いて開口部を形成し、図12に示すように第一開口部650bが形成される。この第一開口部650bは、外装容器が横型の場合に好適に対応できる。
【0098】
<変形例>
図13から図18は、第3実施形態の変形例を示す図である。まず、図13においては、一対の第一切込み線624(剥離開始線)と623(剥離停止線)とが包装体600に設けられている。第一切込み線624(剥離開始線)は、包装体の他端部である横シール部(図14における横シール606)に向かうコの字状をなしている。また、第一切込み線623(剥離停止線)は直線であり、第一切込み線623の両終点は、第一切込み線624の両終点より外方に位置している。
【0099】
更に、第一切込み線624のコの字の底辺(図13の624の位置)は、第二切込み線と共通になっている。すなわち、この実施形態においては、第二切込み線622は、剥離開始部641側に向かうコの字状をなしている。
【0100】
そして、一対の第一切込み線624、623、第二切込み線622を覆うように蓋材670が設けられている。図中640、641は蓋材670の剥離開始部である。
【0101】
図14は、図13における切込み線を有する包装体の蓋材670を、剥離開始部640から剥離した後の状態を示す斜視図である。蓋材670の剥離開始部640から蓋材670を剥離すると、第一切込み線623(剥離停止線)及び仮想線663を通過する。そして、蓋材670の裏面側の粘着材によって、第二切込み線622から、仮想線である引裂き誘導手段662に沿ってフィルム605が引裂かれ始め、横シール部607まで引裂いて開口部を形成し、図14に示すように第二開口部650cが形成される。この第二開口部650cは、外装容器が縦型の場合に好適に対応できる。
【0102】
図15は、図13における切込み線を有する包装体の蓋材670を、剥離開始部641から剥離した後の状態を示す斜視図である。蓋材670の剥離開始部641から、蓋材670を剥離すと、蓋材670の裏面側の粘着材によって、第一切込み線624(剥離開始線)から、仮想線である引裂き誘導手段663に沿ってフィルム605が引裂かれ始め、第一切込み線623(剥離停止線)まで引裂いて開口部を形成し、図15に示すように第一開口部650dが形成される。この第一開口部650dは、外装容器が横型の場合に好適に対応できる。
【0103】
図16は第3実施形態の第二切込み線の更に他の例を示す図である。この実施形態では、一対の第一切込み線625、626と、第二切込み線627とが分離されている。すなわち、剥離開始線となる第一切込み線625と、第二切込み線627とが共有されていない点のみが上記の図13の実施形態と異なっている。
【0104】
図17は、図16における第二切込み線を有する包装体の蓋材670を、剥離開始部640から剥離した後の状態を示す斜視図である。蓋材670の剥離開始部640から蓋材670を剥離すると、蓋材670の裏面側の粘着材によって、第二切込み線626、仮想線である引裂き誘導手段664に沿ってフィルム605が引裂かれ始め、横シール部607まで引裂いて開口部を形成し、図17に示すように第二開口部650eが形成される。この第二開口部650eは、外装容器が縦型の場合に好適に対応できる。
【0105】
図18は、図16における第二切込み線を有する包装体の蓋材670を、剥離開始部641から剥離した後の状態を示す斜視図である。蓋材670の剥離開始部641から、蓋材670を剥離すと、蓋材670の裏面側の粘着材によって、第一切込み線625、仮想線である引裂き誘導手段665に沿ってフィルム605が引裂かれ始め、第一切込み線626まで引裂いて開口部を形成し、図18に示すように第一開口部650fが形成される。この第一開口部650fは、外装容器が横型の場合に好適に対応できる。
【0106】
[第4実施形態]
<全体構成>
図19は、本発明の第4実施形態に係る包装体700の概略を示す斜視図である。この包装体700の表面略中央部には、環状の第一切込み線710が形成されており、第一切込み線710を覆うように蓋材770が設けられている。図中740は蓋材770の剥離開始部である。
【0107】
包装体700の一端部である横シール部707には、非融着部が形成されており、この非融着部には、第二開口部形成手段として、一対の略平行な第二切込み線780が形成されている。
【0108】
<作用>
図20は、図19において第二切込み線780からフィルム705を剥離した後の状態を示す斜視図である。図21は、図19において蓋材770を剥離開始部740から剥離した後の状態を示す斜視図である。
【0109】
横シール部707の第二切込み線780の間の非融着状態の2枚のフィルムのうちの表面側(図19の上面側)のフィルムを摘み、ここを開封契機として蓋材770の側にフィルム705を剥離する。すると仮想線である引裂き誘導手段760に沿って、フィルム705が引裂かれ、蓋材770が剥がされる。更に、蓋材770の裏面の粘着材によって、フィルム705の開口領域750が第一切込み線710に沿って切り離されて持ち上げられる。これにより、図20に示すように、第一開口部750a、第二開口部750bが形成される。この第一開口部750a、第二開口部750bは、外装容器が縦型の場合に好適に対応できる。
【0110】
また、蓋材770の剥離開始部740から蓋材770を剥離する。すると、蓋材770の裏面側の粘着材によって、フィルム705の開口領域750が第一切込み線710に沿って切り離されて持ち上げられる。これにより、図21に示すように第一開口部750aが形成される。この第一開口部750aは、外装容器が横型の場合に好適に対応できる。
【0111】
<変形例>
図22は第4実施形態の他の例を示す図である。この包装体701は第一切込み線710上の2点を起点として、第二切込み線781から剥離されたフィルム705を停止する停止線720が形成されている。この停止線720を設けることで、第二開口部750bの幅を第一開口部750aより大きく形成することができる。
【0112】
すなわち、第二切込み線781からフィルム705を剥離すると、仮想線である引裂き誘導手段761に沿って、フィルム705が引裂かれる。フィルム705は停止線720に引裂き線が乗り移り、停止線720、第一切込み線710に沿って、フィルム705が引裂かれる。そして、最終的には図23に示すように、第一開口部750a及び第二開口部750cが形成される。
【0113】
[第5実施形態]
<全体構成>
図24、25は本発明の第5実施形態に係る包装体800を示す図であり、図24は包装体800の表面から見た斜視図を示し、図25は包装体800の裏面から見た斜視図を示す。
【0114】
図24に示すように、この包装体800の表面略中央部には、環状の第一切込み線810が形成されており、第一切込み線810を覆うように蓋材870が設けられている。図中840は蓋材870の剥離開始部である。
【0115】
また、図25に示すように、この包装体800の裏面側には背張り部808があり、その略中央部には第二切込み線809が形成されている。また、第二開口部を形成しやすくするため、第二切込み線809を起点としてフィルム805にかけて、誘導線880が包装体の一端部に向かって、コの字状に設けられていてもよい。この場合、誘導線880は、ウエットティシュの乾燥を防止するため、ハーフカットと呼称されるような、フィルムの厚み方向に向けて完全に打ち抜くのではなく、フィルムの最下層まで切らない状態が好ましい。
【0116】
<作用>
図26は図24における包装体800の表側の蓋材870を剥離した後の状態を示す斜視図である。図27は図25における包装体800の裏面の第二切込み線809からフィルム805を剥離した後の状態を示す斜視図である。
【0117】
蓋材870の剥離開始部840から蓋材870を剥離する。すると、蓋材870の裏面側の粘着材によって、フィルム805の開口領域850が第一切込み線810に沿って切り離されて持ち上げられる。これにより、図26に示すように第一開口領域850aが形成される。この第一開口部850aは、外装容器が横型の場合に好適に対応できる。
【0118】
また、包装体800の背張り部808に形成されている第二切込み線809からフィルム805を横シール部807に向かって引裂くと、第二切込み線809から誘導線880に沿って背張り部808が切り取られる。そして、仮想線である引裂き誘導手段860に沿って、フィルム805が引裂かれ、そのまま横シール部807まで引裂いて開口部を形成し、図27に示すように第二開口部850bが形成される。この第二開口部850bは、外装容器が縦型の場合に好適に対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、開口部位置の異なる容器に兼用して使用できる易開封性の包装体、例えば、詰め替え用のウエットティッシュの包装体として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1における蓋材付近の拡大図である。
【図3】図1において蓋材を剥離して第二開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図4】図1において蓋材を剥離して第一開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態の変形例における蓋材付近の拡大図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示す斜視図である。
【図7】図6において蓋材を剥離して第二開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図8】図6において蓋材を剥離して第一開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態を示す斜視図である。
【図10】図9における蓋材付近の拡大図である。
【図11】図9において蓋材を剥離して第二開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図12】図9において蓋材を剥離して第一開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図13】第3三実施形態の変形例における蓋材付近の拡大図である。
【図14】変形例において図13の蓋材を剥離して第二開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図15】変形例において図13の蓋材を剥離して第二開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図16】第3実施形態の他の変形例における蓋材付近の拡大図である。
【図17】他の変形例において図16の蓋材を剥離して第二開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図18】他の変形例において図16の蓋材を剥離して第二開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図19】本発明の第4実施形態を示す斜視図である。
【図20】図19において蓋材を剥離して第二開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図21】図19において蓋材を剥離して第一開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図22】第4実施形態の変形例を示す斜視図である。
【図23】図22において蓋材を剥離して第二開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図24】本発明の第5実施形態を示す斜視図である。
【図25】図24を背面側からみた斜視図である。
【図26】図24において蓋材を剥離して第一開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図27】図25において開封契機部から背貼り部を剥離して第二開口部を形成した状態を示す斜視図である。
【図28】包装体を外装容器内に収容後の状態を示す斜視図である。
【図29】包装体を外装容器内に収容する状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0121】
100、500、600、700、701、800 包装体
110、505、605、705、805 フィルム
131、506、606、706、806 横シール部(他端部)
132、507、607、707、807 横シール部(一端部)
150、550、750、850 開口領域
150b、550b、650b、650d、650f、750a、850a 第一開口部
150a、150c、550a、650a、650c、650e、750b、750c、850b 第二開口部
160、560、660、661、662、663、664、665、760、761、860 引裂き誘導手段
170 ウエットティシュ
171 ウエットティシュ片
200、200a、200b、570、571、670、770、870 蓋材
570 第二蓋材
210、510、620、621、623、624、625、626、710、810、 第一切込み線
220、520、620、622、627、780、781、809 第二切込み線
230 分割線
240a 第二剥離開始部
240b、240c 第一剥離開始部
250 脆弱部
300 外装容器
310 本体部
320 底蓋
330 第二開口領域
340 蓋体
350 ボタン
400 ウエットティシュ包装体
540、541、640、641、740、840 剥離開始部
720 停止線
808 背張り部
880 誘導線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状の軟包装材料からなる包装体であって、
前記包装体の表面略中央部に開口する第一開口部を形成するための第一開口部形成手段と、
前記包装体の略中央部又はその周辺部から、前記包装体の一端部にかけて開口する第二開口部を形成するための第二開口部形成手段とを備え、
前記第一開口部形成手段は、前記軟包装材料に設けられた第一切込み線と、この第一切込み線を覆い、剥離可能に粘着されている蓋材であり、
前記第二開口部形成手段は、前記軟包装材料に設けられた第二切込み線を含む手段である易開封性包装体。
【請求項2】
前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は環状であり、
前記第二開口部形成手段は、前記第一切込み線上から前記一端部側に向かって伸びる二本の線を含む第二切込み線と、前記第一及び第二切込み線を同時に覆う前記蓋材とからなり、
前記蓋材には、前記第一切込み線と前記第二切込み線とを分割する位置に分割線が形成されている請求項1記載の易開封性包装体。
【請求項3】
前記第二切込み線は、その両終点が前記一端部に向かう略コの字状であり、その一部を前記第一切込み線と共通にする請求項2記載の易開封性包装体。
【請求項4】
前記蓋材周縁と前記分割線とが交差する付近であって、前記分割線から前記一端部側には第二剥離開始部が形成されており、
前記蓋材周縁であって、前記包装体の他端部側には第一剥離開始部が形成されている請求項2又は3記載の易開封性包装体。
【請求項5】
前記蓋材周縁と前記分割線とが交差する付近であって、前記分割線から前記一端部側には第二剥離開始部が形成されており、
前記蓋材周縁と前記分割線とが交差する付近であって、前記分割線から前記包装体の他端部側には第一剥離開始部が形成されている請求項2又は3記載の易開封性包装体。
【請求項6】
前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は環状であり、
前記第二開口部形成手段は、前記包装体の表面であって前記第一切込み線とは別の位置に設けられた第二切込み線と、当該第二切込み線のみを覆う第二蓋材とからなり、
前記第二切込み線は、その両終点が前記一端部に向かう線である請求項1記載の易開封性包装体。
【請求項7】
前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は、前記一端部側に位置する剥離開始線と、それに対向する剥離停止線とからなる一対であり、
前記剥離停止線の両終点は、前記剥離開始線より外方に位置しており、
前記剥離停止線は前記第二開口部形成手段の前記第二切込み線を兼ねている請求項1記載の易開封性包装体。
【請求項8】
前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は、前記一端部側に位置する剥離開始線と、それに対向する剥離停止線とからなる一対であり、
前記剥離停止線の両終点は、前記剥離開始線より外方に位置しており、
前記剥離開始線は、その両終点が前記包装体の他端部に向かう線であり、
前記第二開口部形成手段の前記第二切込み線は、前記剥離開始線から前記一端部側に向かって伸びる二本の線である請求項1記載の易開封性包装体。
【請求項9】
前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は、前記一端部側に位置する剥離開始線と、それに対向する剥離停止線とからなる一対であり、
前記剥離停止線の両終点は、前記剥離開始線より外方に位置しており、
前記剥離開始線は、その両終点が前記包装体の他端部に向かう線であり、
前記第二開口部形成手段の前記第二切込み線は、前記剥離開始線より更に前記一端部側に位置し、その両終点が前記一端部に向かう線である請求項1記載の易開封性包装体。
【請求項10】
前記包装体は、その裏面略中央部に背張り部を有するピロー包装体であり、
前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は環状であり、
前記第二開口部形成手段は、前記背張り部の略中央部付近に設けられた第二切込み線である請求項1記載の易開封性包装体。
【請求項11】
前記第二切込み線から前記背張り部を挟んで略対象に設けられる線であって、その両終点が前記一端部に向かう誘導線が形成されている請求項10記載の易開封性包装体。
【請求項12】
前記第一開口部形成手段の前記第一切込み線は環状であり、
前記蓋材は、前記一端部側に剥離開始部を有し、
前記一端部には非融着部が形成されており、
第二開口部形成手段の前記第二切込み線は、前記非融着部に形成された一対の略平行な切込み線である請求項1記載の易開封性包装体。
【請求項13】
前記一対の切込み線間の距離は、前記第一開口部の幅より小さい請求項12記載の易開封性包装体。
【請求項14】
前記一対の切込み線間の距離は、前記第一開口部の幅より大きく、
更に、前記第一切込み線上から前記一端部側に向かって伸びる二本の線を有している請求項12記載の易開封性包装体。
【請求項15】
前記包装体の前記一端部は易開封性のヒートシール部である請求項1から14いずれか記載の易開封性包装体。
【請求項16】
前記包装体は密封包装体であり、前記内容物はウエットティッシュである請求項1から15いずれか記載の易開封性包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2006−160295(P2006−160295A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351000(P2004−351000)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】