説明

星形コンベヤ用のグリップ装置および星形コンベヤ

本発明は、星形コンベヤ(1)、および星形コンベヤ(1)または類似の搬送ユニット用のグリップ装置(2)に関し、グリップ装置(2)は、容器または類似のボディをグリップ位置において把持および保持するために対応するペアで配置されるグリップアームを備え、グリップ装置(2)は、前記グリップアーム(4)からは独立している少なくとも1つの位置決めエレメント(6)を備える。前記位置決めエレメント(6)は、把持される容器(3)を前記グリップ位置において少なくとも1つの軸に沿って位置決めするように設計されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器または類似のボディをグリップ位置において把持および保持するために対応するペアで配置されるグリップアームを備える、星形コンベヤまたは類似の搬送ユニット用のグリップ装置に関する。
【0002】
さらに、本発明は、回転可能なベースボディとその周囲に配置される複数の上述したタイプのグリップ装置とを備える、容器または類似のボディ用の星形コンベヤにも関する。
【背景技術】
【0003】
この種の星形コンベヤおよび星形コンベヤ用のグリップ装置は、例えば飲料産業における充填機等として知られている。これらは、容器、特にビール、水またはソフトドリンク用の瓶(これに限定されないが)を、自動化された工程において移送、供給および搬送を行うために用いられる。したがって、星形コンベヤおよびこれに配置される複数のグリップ装置には、例えばコンベヤベルトに沿って容器が供給され、上記容器は、グリップ装置のグリップアームのペアにより把持されて、回転する星形コンベヤにより供給コンベヤから持ち出される。続いて星形コンベヤは、把持されている容器が正しい位置、例えば出荷用のコンベヤベルトの上方に運ばれるまで回転し、そこでグリップ装置は容器を放す。把持および開き動作は通常、対応する制御ユニットにより自動制御される。
【0004】
複数の種々の星形コンベヤ、並びにそのような星形コンベヤや他の関連する機構のためのグリップ装置は、従来技術により知られており、星形コンベヤや他の関連する機構のすべては、星形コンベヤという用語に包含される。
【0005】
上記の星形コンベヤが回転する速度および/またはグリップ装置が開き位置とグリップ位置との間で切り替わる速度は、グリップ動作の正確な調節およびグリップ位置において把持される容器の正確な位置決めに関して重要な要素である。把持される容器の正確な位置決めまたはグリップアームの調節に関する課題に対処する種々の構造が従来技術において知られている。
【0006】
例えば、DE20305988U1には、星形コンベヤ支持リングの下側に配置されるグリップ装置について開示されている。各グリップ装置のグリップアームは、2つ1組で支持リングに対して放射状に外側に向かって配置され、制御ユニットにより閉じ位置から開き位置に、またその逆に動かされることが可能である。グリップアーム自体は、径方向外側に向くグリップアームと、径方向内側に向くカウンタアームとからなる。カウンタアームには、グリップアームが開き位置と閉じ位置の間を移動する際に相互に関連付けられるように、センタリング歯車システムが配置されている。この構造により、工程のサイクルが速い場合であっても比較的正確な把持が可能になるが、その構造の観点、特に材料面で非常にコストが高くなる。
【0007】
DE29602798U1には、別の実施形態が示されている。ここでは、グリップ装置は、同様に径方向外側に向くグリップアームからなるが、1つのグリップアームのみが径方向内側に向くカウンタアームにより構成されている。このカウンタアームは、ベースボディの回転軸に対して垂直に配置されるカムシャフトに当接し、これは制御要素を形成する。カムシャフトの回転は、グリップ装置を閉じ位置または開き位置の状態にする。ここではグリップアームは、2つの径方向外側に向くグリップアームの間に配置される圧縮ばねにより、閉じ位置から開き位置へ押圧される。均一なグリップ動作を確実にするために、2つのグリップアームはセンタリング歯車システムによりともに結びつけられている。ここでもまた、グリップ装置を製造するための材料コストは比較的高く、かつ把持される様々な種類の容器に合わせるための調節も比較的複雑である。
【0008】
基本的に問題となるのは、各星形コンベヤでグリップ装置のグリップ範囲において把持される容器の正確な位置決めを確実なものとし、さらにグリップ装置を許容できる材料費にて製造可能にすることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の課題は、容器または類似の物を確実で正確に把持することを可能にする星形コンベヤ用のグリップ装置および星形コンベヤ自体を経済的な製造コストで提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1に記載のグリップ装置および請求項12に記載の星形コンベヤにより解決される。
【0011】
この課題は特に、容器または類似のボディをグリップ位置において把持および保持するために対応するペアで配置されるグリップアームを備える、星形コンベヤまたは類似の搬送ユニット用のグリップ装置により解決され、グリップ装置は、グリップアームから独立している少なくとも1つの位置決めエレメントを備え、この位置決めエレメントは、把持される容器をグリップ位置において少なくとも1つの軸に沿って位置決めするように構成されている。
【0012】
さらに、この課題は、回転可能なベースボディとその周囲に配置される上述したタイプの複数のグリップ装置とを備える、容器または類似のボディ用の星形コンベヤによっても解決される。
【0013】
本発明において、容器とは、自動化された工程において把持、移送または位置決めされることが可能な任意の対象物、特に計測可能な容積を有する立体物のことを指す。
【0014】
従来技術として知られているグリップ装置との実質的な相違点は、グリップアームから独立している位置決めエレメントが用いられている点であり、この位置決めエレメントは、把持される容器を少なくともグリップ位置において位置決めする。それに関し、位置決めエレメントは、一方でグリップ装置の精度を向上させ、特にグリップ装置に摩耗が生じた場合であっても容器の位置決めを行うことができ、他方でグリップ装置の他の構成部品、特にグリップアームに対する負荷を低減させる。これにより、構成部品の断面は小さくなり、そのためコストが低減され、その重量が軽量化するため、構成部品の寿命も向上する。把持される容器が位置決めされることにより、グリップ装置に特に非対称的に加わる「位置決め時の荷重」が減少する。この種の荷重は、従来技術のグリップ装置においてまさに高い負荷ストレス及び装置の摩耗を引き起こす。
【0015】
実質的に基本となるのは、位置決めエレメントがグリップアームとは独立して構成されていることである。とりわけ、この「独立」とは、グリップ装置内における構成に関することであり、特に、複数のグリップアームまたは少なくとも1つのグリップアームが動作する際に、位置決めエレメントは動作しないか、またはそのアームとは独立して動作することである。
【0016】
位置決めエレメントは、少なくとも1つの位置決めストッパを備えているのが好ましく、この位置決めストッパには、少なくともグリップ位置において、把持される容器が当たる。把持される容器に応じて、1つまたは複数の位置決めストッパが使用可能である。位置決めストッパは、把持される容器を意図するグリップ位置にセンタリングし、または容器がグリップ位置に位置していない場合にはその位置決めを手助けするよう設計されている。この位置決めは、以下に詳細に説明するように、グリップアームとの相互作用により達成され得る。
【0017】
少なくとも1つの位置決めストッパは、把持される容器の外形に対して少なくとも部分的に補完的に構成されているのが好ましい。つまり、例えば円筒形の瓶の場合、少なくとも1つの位置決めストッパは、少なくとも部分的に瓶の外面形状に似せた形状を有している。そうすると、例えばグリップ位置にあるときに把持される瓶の外形に正確に当たる曲線状の位置決めストッパを構成することが可能である。容器の外形に対しては、一つの軸方向における適合、二つの軸方向における適合、またはさらに三つの軸方向における適合が結果として起こりうる。
【0018】
1つまたは複数の位置決めストッパは、効果的に位置決めがなされ、特に容器をグリップ位置で支持するように、容器のグリップ位置に対して相対的に配置されるのが好ましい。したがって、把持される容器をその延長主軸に沿った位置において支持する、好ましくはその両端部の領域において支持する位置決めストッパを少なくとも2つ使用することが有利である。把持される容器が瓶である場合、1つまたは複数の位置決めストッパにとっての好ましいそれぞれの支え位置は、瓶の土台部および瓶のネック部である。把持される容器の高さが(幅に対して)大きい場合、これらの支え位置の重要性は増す。したがって、位置決めストッパは、把持される容器の主要部の中心から可能な限り離れた場所に配置されるのが好ましい。
【0019】
グリップアームと位置決めエレメントは、把持される容器がグリップ過程において位置決めエレメントに対して押し当てられるように、互いに相対的に構成され、配置されるのが好ましい。グリップアームが容器を把持する際、把持される容器はグリップアームに「引き込まれ」、位置決めエレメント、その位置決めストッパそれぞれに向かって押されていく。これは、容器のグリップ位置での適切な位置決めを確実にする一方で、他方ではグリップアームが位置決めエレメント、その位置決めストッパそれぞれに対して容器を押し当てるので、グリップ装置の他の構成部品に作用する負荷が低減し、摩擦力が増加して容器をグリップ位置において確実に保持する。
【0020】
この関連で、把持された際に、容器が最適なグリップ位置へスライドし、これと同時に、適宜位置決めおよび構成された位置決めエレメントの位置決めストッパに容器が押し当てられるように、例えば把持される容器の外面形状に対して少なくとも部分的に補完的に一致するようにグリップアームを構成することが可能である。
【0021】
位置決めエレメント、少なくとも1つの位置決めストッパはそれぞれ、グリップ位置における容器の位置決めの信頼性を確実なものとするために適切な粘着性コーティングを有しているのが好ましい。この種の粘着性コーティングは、例えばゴムコーティングであることが可能であり、これは位置決めエレメント/ストッパと容器との間に高い静止摩擦力を生じさせる。
【0022】
特に回転する星形コンベヤにおいて、把持される容器がグリップ過程において位置決めエレメントに対して押し当てられるというグリップアーム、位置決めエレメントそれぞれの本発明の構造では、グリップ装置を星形コンベヤの周囲に非常に密に設けることができる。
【0023】
セントラルボディの両サイドに配置されるグリップアームのペアを有するグリップ装置では、それによって好適にグリップ装置が星形コンベヤに取り付けられ、位置決めエレメントは、セントラルボディの主軸の方向に沿って見ると、グリップアームのペアの間に位置するセントラルボディにおける取り付けポイントに配置されるのが好ましい。この方向から見ると、グリップアームは、位置決めエレメントの取り付けポイントの周りを実質的に囲んでおり、これにより装置内において位置決めエレメントがコンパクトに設けられる。
【0024】
位置決めエレメントは、グリップ位置におけるグリップアームによって囲まれる角度の二等分線に関して軸対称に構成されるのが好ましい。特にカップリングギアボックスにより関連付けられているグリップアームの場合、位置決めエレメントに対して対称構造のこのタイプでは、非常に正確なグリップ効果を有するコンパクトなグリップ補助構造が確実に得られる。グリップアームの「間に」配置される位置決めエレメントは、グリップアームによって把持される容器が押し当てられるのが好ましく、その結果、グリップのサイクルが速い場合であっても、少ない材料およびスペースで信頼性の高い位置決めを可能にするグリップ装置が得られる。
【0025】
位置決めストッパは、調節装置により少なくとも1つの軸に沿ってグリップ装置に対して調節可能であるのが好ましい。位置決めストッパの調節機能は、異なる容器に対応することを可能にし、また不正確に機能しうるグリップ装置に対応することを可能にする。瓶の土台部およびネック部の領域において位置決めストッパが上述のように配置され、基本的に非常に背の高い容器に対して本発明における位置決めエレメントを採用する場合には、調節装置は、把持される容器の端部領域に位置決めストッパを移動させることを可能にするというメリットを有する。
【0026】
原理的に、位置決めエレメントは、把持される容器の両端部の領域に配置される位置決めストッパを有していることが有利である。
【0027】
位置決めエレメントは、グリップ装置、特にセントラルボディに固定的に配置されるのが好ましい。これにより、把持される容器がグリップ位置に位置決めされる精度が向上する。しかし、位置決めエレメントは、グリップ装置のグリップ動作の際に、グリップアームが、例えばグリップ領域および把持される容器に向かって、または把持される容器を位置決めすることが可能である同様の所定の位置へ移動するように、適切なアクチュエータを用いることによりグリップ装置に配置されることも可能である。このようなアクチュエータは例えば、特にグリップアーム用の制御ユニットに関連付けられて、位置決めエレメントの動作がグリップアームの動作と同時に、またはこれと関連して生じる制御ユニットであることが可能である。ここでは従来技術として知られているあらゆる構造を適用できる。特に、位置決めエレメントは、カムシャフトに動作可能なように接続されることが可能であり、そのカムはグリップアームをコントロールするとともに、位置決めエレメントを所望の位置へ移動させる位置決めカムを備える。
【0028】
位置決めエレメントは、取り付け機構を介してグリップ装置に取り外し可能に配置されるのが好ましい。これにより、必要に応じて、異なる容器への適合が可能になり、既存のグリップ装置に位置決めエレメントを取り付けることが可能になる。つまり、例えば構成部品の摩耗によりグリップ精度が低下した際に初めて、グリップ装置を有する星形コンベヤに、位置決めエレメントを取り付けることも可能である。
【0029】
取り付け機構は、グリップ装置上、特にセントラルボディに設けられる取り付け突出部と、位置決めエレメントに設けられる取り付け支持部とを備え(またはその逆となるように設けられる取り付け突出部と取り付け支持部とを備え)、これらは相互に取り外し操作が可能であるように係合される状態にできることが好ましい。例えばグリップ装置、特に上述のセントラルボディに取り付けマンドレルを配置することが可能であり、これに対応する補完的な構成の取り付けマンドレル支持部を備える位置決めエレメントが取り付けられ、その位置でロックされることが可能である。それ以外にも、例えば適切なT字型の突部がグリップ装置から突出し、これを覆ってこれに対応する補完的な構成の支持部を有する位置決めエレメントがセントラルボディの延長軸線に好ましくは平行にスライドすることができるような突部と溝部のシステムを設けることが可能である。
【0030】
取り付け機構は、工具を用いることなく位置決めエレメントを取り付け/取り外しすることができるように設計されるのが好ましい。例えば、適切なばね荷重圧力ボルトを取り付け機構に設けることが可能であり、このばね荷重圧力ボルトは、ロック状態ではグリップ装置に設けられた取り付け突出部に係合し、これにより位置決めエレメントをグリップ装置にロックする。上記のばね荷重圧力ボルトを引くことにより、ロックが解除され、位置決めエレメントの取り外しが可能になる。
【0031】
基本的に、位置決めエレメントが交換可能であることにより、グリップ装置を様々な容器に適合させることができ、その際このような交換を短時間で容易にできることよってシステムの休止時間が短縮され、コストが低減される。
【0032】
位置決めエレメントは、射出成型されたプラスチックからなるのが好ましい。射出成型により得られる構成部品により、高いコスト効率で本発明における位置決めエレメントをグリップ装置に設けることができる。
【0033】
上述の通り、位置決めストッパは、調節装置を用いることにより、グリップ装置に対して、少なくとも1つの軸に沿って調節可能であるのが好ましい。様々な調節要素、すなわち交換部品、種々の長さおよび形状の構成部品、アダプタ等が、この目的のために使用されることが可能である。位置決めエレメントは、複数の部品からなる構成であるのが好ましく、少なくとも1つの本体と、少なくとも1つの位置決めストッパとを備えるのが好ましく、これらは適切な取り付け機構によって互いに接続可能である。これにより、種々の本体と種々の位置決めストッパとが組み合わされ、多様な位置決めエレメントをもたらすことが可能になる。特に取り付け支持部によってグリップ装置に取り外し可能に配置されることができ、グリップ位置において把持される容器と並ぶ対応する取り外し可能な位置決めストッパを備えることができる少なくとも1つの本体を備える位置決めエレメントを構成することが考えられる。これらの取り外し可能な位置決めストッパは、把持される様々な容器に対して位置決めエレメントをそれぞれ適合可能にする。加えて、適合の目的のために様々な形状の本体を使用することもできる。特に、本体には、適切な追加的なまたは代替の要素を設けることができ、これにより位置決めストッパの位置を変更することができる。もちろん、位置決めエレメントを様々な容器またはグリップ位置に適合させるために大きさまたは高さが調節可能であるように、位置決めエレメントが伸縮式のまたは類似の構造を有することも可能である。
【0034】
以下に添付の図面に基づき本発明の実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来技術に係る星形コンベヤを示す等角図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る2つの星形コンベヤ間の乗換ポイントを示す概略平面図である。
【図3】本発明のグリップ装置の実施形態を示す等角図である。
【図4】図3のグリップ装置を示す平面図である。
【図5】グリップ装置のさらなる実施形態を示す等角図である。
【図6】図5のグリップ装置のグリップ位置における等角図である。
【図7】本発明のグリップ装置のさらなる実施形態のグリップ位置における断面図である。
【図8】図7の実施形態のグリップ位置における等角図である。
【図9】本発明に係る位置決めエレメントの様々な実施形態を示す等角図である。
【図10】本発明に係る位置決めエレメントの様々な実施形態を示す等角図である。
【図11】本発明に係る位置決めエレメントの様々な実施形態を示す等角図である。
【図12】本発明に係る位置決めエレメントの様々な実施形態を示す等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下において、同様の構成部品または同じ効果を有する構成部品には同じ符号が用いられ、上付き記号がたまに用いられる。
【0037】
図1は、従来技術として既に知られている星形コンベヤ1を示す等角図である。星形コンベヤ1は、複数のグリップ装置2が放射状に配置されたベースボディ20を備える。ここでは、それぞれのグリップ装置2は、容器3を把持するように設計された対応するグリップアーム4のペアを備える(図2参照)。星形コンベヤ1は、例えば飲料産業の充填工程において用いられる容器の搬送装置として機能するが、飲料用の瓶、ここでは広く「容器」とするが、このような物体を把持、移送および特に乗り換えるために設置される設備にも用いられる。
【0038】
図2は、本発明に係る星形コンベヤ1の実施形態におけるそのような乗換ポイントを示している。ここでも2つの星形コンベヤ1はベースボディ20を備え、その下側には本発明のグリップ装置2が配置されている。グリップ装置2はここでも、容器3を把持するように設計されたグリップアーム4のペア(図3も参照のこと)を有する。ここに示される乗換ポイントでは、容器3が星形コンベヤ1から第2の星形コンベヤ1’へ乗り換えられる。この目的を達成するために、2つの星形コンベヤ1は相対的に回転し、それにより星形コンベヤ1のそれぞれのグリップ装置2により把持される容器3が、他方の星形コンベヤ1’のそれぞれのグリップ装置2に供給され得る。
【0039】
本発明によると、全てのグリップ装置は位置決めエレメント6を備え、これにより容器3をグリップ位置において位置決めすることを可能にし、または位置決めすることを確実にする。
【0040】
図3および図4は、例えば図2の星形コンベヤ1において用いられるグリップ装置2の実施形態を示しており、図3は等角図であり、図4は平面図である。
【0041】
グリップ装置2は、上述の対応するグリップアーム4を有し、ここでは飲料用瓶である容器3がグリップ位置において固定された状態が示されている。
【0042】
本発明によると、グリップ装置2は、位置決めエレメント6を備え、位置決めエレメント6は、容器3をグリップ位置に位置決めするため、または正確なグリップ位置を維持するためのものであり、ここでは射出成型プラスチック部品として構成されている。
【0043】
位置決めエレメント6は、位置決めストッパ8を備え、位置決めストッパ8は、本実施形態では容器3の中央領域32に位置し、これにより容器3を正確に位置決めすることを可能にする。
【0044】
グリップアーム4および位置決めエレメント6、その位置決めストッパ8のそれぞれは、グリップ過程において、グリップアーム4が容器3を位置決めエレメント6のストッパ8のそれぞれに対して押し当てるように本発明に従って設計されている。とりわけこれにより、位置決めストッパにおいて静止摩擦力が生じ、容器3のグリップ位置での固定状態がよくなる。
【0045】
この実施形態では、位置決めエレメント6は、グリップ装置2のセントラルボディ10に配置されており、セントラルボディ10の両サイドには対応するグリップアーム4がさらに配置されている。上記の複数のグリップアーム4はそれぞれ、回転軸22を介してセントラルボディ10に取り付けられており、セントラルボディ10に支持されるとともに対応するグリップアーム4のベアリングエレメント24と有効な接続状態にあるカムシャフト26により開き位置(不図示)とグリップ位置との間を移動可能である。
【0046】
本発明によると、位置決めエレメント6は、それぞれのグリップアームのペア4,4’/4’’,4’’’により囲まれる角度αの二等分線W上に位置するベースボディ10における取り付けポイント12に配置されている。
【0047】
位置決めエレメント6は、取り付け機構14を介してグリップ装置2に、ここではベースボディ10に、取り外し可能に配置されている。取り付け機構14は、ベースボディ10に配置された取り付け突出部16と、位置決めエレメント6に接するように構成された取り付け支持部18とを有する。この実施形態では、取り付け突出部16は、セントラルボディ10からセントラルボディの延長主軸AHZに対して実質的に垂直な方向に、または容器の延長主軸AHGに対して垂直な方向に突出する溝付きの取り付け突出部であり、取り付け支持部18に設けられた位置決めエレメント6は、上方から延長主軸AHZ、AHGの方向に向かってスライド移動可能である。ここでは延長主軸AHZは、容器3の延長主軸AHGに対して平行に延びており、位置決めエレメント6の安定的な固定を確保する。取り付け機構14を利用することにより、位置決めエレメント6は、セントラルボディ10に工具を用いることなく取り付け可能になる。
【0048】
特に図4に示されるように、位置決めエレメント6および特にその位置決めストッパ8は、容器3の外面形状の部分に補完的に構成されている。これにより、特に図3および図4に示されるように、容器3をグリップ位置において安定的かつ正確に位置決めすることが確保される。上述の通り、グリップアーム4は、グリップ過程の際に容器3を位置決めストッパ8に押し当て、これらが容器3の外形に関して補完的な設計がなされていることにより容器3を正しいグリップ位置へ配置するように設計されている。
【0049】
図5および図6は、本発明のグリップ装置2の別の実施形態を示す等角図であり、容器のない開き位置(図5)および把持される容器3を保持しているグリップ位置(図6)を示している。先に説明した実施形態とは異なり、ここで示される位置決めエレメント6は、容器3を異なる位置において、すなわちおおよそ容器の土台部に相当する下方端部領域34と、中央領域32とにおいて位置決めする2つの位置決めストッパ8を有する。ここでもまたグリップアーム4は、グリップ位置において容器3をそれぞれの位置決めエレメント6の位置決めストッパ8に対して押し当てるように構成されている(図6)。明確にするために、図5では、本実施形態において位置決めおよび把持に必要な4つのグリップアーム4のうち3つのみを図示しており、これにより以下に詳細に説明するセントラルボディ10およびその中に取り付けられるカムシャフト26を見ることができる。
【0050】
本発明のこの実施形態によると、グリップ装置2、セントラルボディ10に位置決めエレメント6を取り外し可能に取り付けるために、位置決めエレメント6には若干異なる取り付け機構14が設けられている。セントラルボディ10に配置されそこから垂直に突出する取り付け突出部16がここでも設けられているが、位置決めエレメント6に設けられた取り付け支持部の設計は、上記の図3および図4の場合とは若干異なっている。本発明によると、ここでは取り付け支持部18にはばね荷重圧力ボルト19が設けられており、これは位置決めエレメント6のセントラルボディ10へのロックおよびロック解除を可能にする。このために、ばね荷重圧力ボルト19は、溝付き取り付け突出部16とのロック係合を解除する、または溝付き取り付け突出部16とロック係合するように移動可能である。この観点で、位置決めエレメント6は、セントラルボディ10から工具を必要とせずに取り付けおよび取り外しされることも可能となる。
【0051】
本実施形態では、位置決めエレメント6は、上述の位置決めストッパ8が適切な取り付け手段9により取り外し可能に固定される本体7を有する。取り付け手段9は、ここでは本体7にねじ込み可能なボルトとして示されている。もちろん、工具を使わずに取り付けストッパ8を本体7に取り付けおよび取り外し可能に構成するために、ロック係合部、ばね荷重固定ボルト、または類似の脱着が容易な留め具等のその他の取り付け手段も採用可能である。このような設計によって、把持される容器3に適合する様々な位置決めストッパ8を使用することが可能になる。したがって本実施形態では、位置決めエレメント6がセントラルボディ10から取り外し可能に構成されているだけでなく、各位置決めストッパ8/8’も取り外し可能であり、したがって上記のように適合可能な構成となっている。以下にさらに詳しく説明される通り(図9〜図12参照)、本体7を同様に交換可能に構成し、より多様な適合性を位置決めエレメントに持たせるように構成することも可能である。
【0052】
図5に示される実施形態から明らかなように、位置決めエレメント6をアクチュエータ(不図示)によりカムシャフト26に連結し、これが容器3の位置決めに、特にグリップ位置において、またそれだけでなくグリップ位置に到達する前、若しくはグリップ位置に到達した後においても、能動的に関与するようにすることも当然可能である。したがって、取り付け突出部16は、例えばグリップ位置到達の直前にカムシャフトが位置決めエレメント6をグリップ位置へ向かって押圧し、容器3を能動的に位置決めすることまたは容器3を追加的に固定することを達成するように、カムシャフト26に連結されることが可能である。
【0053】
図7および図8は、グリップ装置2の別の実施形態であり、長手方向の断面図(図7)および等角図(図8)を示している。ここに示されているグリップ装置2は、図5および図6のグリップ装置2とは、位置決めエレメント6、特に位置決めストッパ8および基体7の設計が異なっている。
【0054】
ここで示される実施形態では、基体7および位置決めストッパ8は、把持される容器3を中央領域32ではなく、下方端部領域34においてグリップし、これに加えて上方端部領域30、すなわち容器のネック部でもグリップするように構成されている。特に非常に背が高い容器3(その幅に対して)の場合は、このような位置決めエレメント6の構成によって、グリップのサイクルが速い場合でも非常に正確かつ安定した容器3の位置決めがもたらされる。
【0055】
特に図8に示されるように、上方の位置決めストッパ8は、上方端部領域30において、容器3の径方向の断面形状だけでなく、容器3の延長主軸AHGに沿った高さ方向の断面形状にも適合するよう構成されている。これにより、さらに正確な位置決めが保証され、グリップ装置2の他の構成部品にかかる負荷を低減する静摩擦が生じる。ここでも、位置決めストッパ8は、取り付け手段9により本体7に取り外し可能に設けられている。容器の主軸AHGに沿って位置決めストッパ8を適合させるために、本発明によると、少なくとも1つの本体7が取り付け支持部18から取り外され、より適合した本体7、この場合はより長くされた本体7に交換されることが可能である。これはつまり、図7および図8に示される位置決めエレメント6の実施形態は、図5および図6に示される実施形態において本体7および位置決めストッパ8をより適合させたものに対応していることを意味している。
【0056】
図7は、取り付け手段14の実施形態の断面を示している。ここでは、セントラルボディ10に設けられている取り付け突出部16が、取り付け支持部18に係合し、ばね荷重圧力ボルト19によりロックされていることが識別できる。
【0057】
図9から図12は、位置決めエレメント6の様々な実施形態を示す等角図である。図9および図10はそれぞれ、一体的に構成される位置決めストッパ8を有する位置決めエレメント6を示している。それに対して図11および図12は、2つの本体7に取り外し可能に配置されるとともに取り付け手段9によって本体7に固定される位置決めストッパ8を示している。図7および図8の説明の際に述べたように、本体7は、同様に取り付け支持部18に取り外し可能に配置され、これにより種々の本体、特に種々の長さを有する本体と交換可能である。
【0058】
図9から図12はさらに、位置決めエレメント6をセントラルボディ10またはグリップ装置2のその他の構成部品に固定するための種々の取り付け機構18、ロック手段17を示している。
【0059】
図9に示される位置決めエレメント6は、この点においては図4に示される位置決めエレメントに対応しており、これは上方から(セントラルボディの主軸AHZ、把持される容器30の主軸AHGに対して(図4))対応して構成される取り付け突出部16に、対応する取り付け支持部18を用いてスライド移動可能である。対応する取り付け突出部16(図4)に対してロックされるように並ぶ取り付け支持部18における対応するドリル孔19’に挿入可能な固定ねじ(不図示)が、取り付け突出部16の意図しないずれに対する防止のため設けられている。
【0060】
図10は、位置決めエレメント6およびその取り付け支持部18が同様に取り付け突出部16に取り付けられる類似のねじの設計を示しているが(図7も参照)、保持は、(図9と比較して)側方に設けられたドリル孔19’を用いて行われ、その中にロックねじ(不図示)が挿入される。
【0061】
図11および図12は、図5から図8との関連で詳細に説明されたロック手段17を示しており、ここでは保持は、ばね荷重圧力ボルトまたは類似の自動ロック式の要素により行われる。
【符号の説明】
【0062】
1 星形コンベヤ
2 グリップ装置
3 容器
4 グリップアーム
6 位置決めエレメント
7 本体
8 位置決めストッパ
9 取り付け手段
10 セントラルボディ
12 取り付けポイント
14 取り付け機構
16 取り付け突出部
17 ロック手段
18 取り付け支持部
19 ばね荷重圧力ボルトまたは自動ロック要素
19’ ドリル孔
22 グリップアームの回転軸
24 ベアリングエレメント
26 カムシャフト
30 上方端部領域または容器ネック部
32 中央領域
34 下方端部領域または容器土台部
HZ セントラルボディの主軸
HG 容器の主軸
W 角の二等分線
α グリップアーム間の角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(3)または類似のボディをグリップ位置において把持および保持するために対応するペアで配置されたグリップアーム(4)を備える、星形コンベヤ(1)または類似の搬送ユニット用のグリップ装置であって、
前記グリップアーム(4)からは独立している少なくとも1つの位置決めエレメント(6)を備え、前記位置決めエレメント(6)は、把持される容器(3)を前記グリップ位置において少なくとも1つの軸に沿って位置決めするように構成されていることを特徴とするグリップ装置。
【請求項2】
前記位置決めエレメント(6)は、把持される容器(3)が少なくともグリップ位置において当接するように構成されている少なくとも1つの位置決めストッパ(8)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のグリップ装置。
【請求項3】
前記位置決めストッパ(8)は、把持される容器(3)の外形に少なくとも部分的に補完的に構成されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項、特に請求項2に記載のグリップ装置。
【請求項4】
前記グリップアーム(4)および位置決めエレメント(6)は、把持される容器(3)がグリップ過程の間に位置決めエレメント(6)に対して押し当てられるように互いに相対的に構成および配置されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載のグリップ装置。
【請求項5】
前記対応するペアのグリップアーム(4)は、セントラルボディ(10)の両サイドに配置されており、
前記位置決めエレメント(6)は、前記セントラルボディの主軸AHZに沿った方向から見て、前記対応するペアのグリップアーム(4)の間にある前記セントラルボディ(10)における取り付けポイント(12)に配置されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載のグリップ装置。
【請求項6】
前記位置決めエレメント(6)は、前記グリップ位置において前記グリップアーム(4)によって囲まれる角度αの二等分線Wに関して軸対称に構成されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載のグリップ装置。
【請求項7】
前記位置決めストッパ(8)は、少なくとも1つの軸に沿ってグリップ装置(2)に対して調節装置により調節可能であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項、特に請求項2から6のいずれか一項に記載のグリップ装置。
【請求項8】
前記位置決めエレメント(6)は、複数の部品により構成されており、適切な取り付け手段(9)により互いに接続可能である少なくとも1つの本体(7)と少なくとも1つの位置決めストッパ(8)とを備えることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項、特に請求項2から請求項7のいずれか一項に記載のグリップ装置。
【請求項9】
前記位置決めエレメント(6)は、取り付け機構(14)によりグリップ装置(2)に配置可能である、又は取り付け機構(14)によりグリップ装置(2)に取り外し可能に配置されている、先行する請求項のいずれか一項に記載のグリップ装置。
【請求項10】
前記取り付け機構(14)は、グリップ装置(2)における取り付け突出部(16)と、前記位置決めエレメント(6)に接するように設けられた取り付け支持部(18)とを備え、またはこの逆の配置で設けられた取り付け突出部(16)と、取り付け支持部(18)とを備え、これらは相互に取り外し操作が可能な係合状態にできることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項、特に請求項9に記載のグリップ装置。
【請求項11】
前記取り付け機構は、工具を用いずに位置決めエレメント(6)を取り付けおよび/または取り外し可能であるように設計されている、先行する請求項のいずれか一項、特に請求項9または10に記載のグリップ装置。
【請求項12】
回転可能なベースボディ(20)と、その周囲に配置される先行する請求項のいずれか一項に記載の複数のグリップ装置(2)とを備える、容器(3)または類似のボディ用の星形コンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−516371(P2013−516371A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547501(P2012−547501)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050064
【国際公開番号】WO2011/083113
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512137991)ティロロン−シュルニッヒ ゲゼルシャフト エムベーハー (1)
【Fターム(参考)】