説明

映像データ処理装置

【課題】 一本化器の負荷を軽くして、一本化器内で複数の一本化処理を行うことができるようにし、さらに、一本化と同時に、シーンチェンジをするポイントでサムネイルを作成することができるようにする。
【解決手段】 符号化された高解像度圧縮データに編集処理及び一本化処理を施す高解像度処理部20と、符号化された低解像度圧縮データに編集処理及び一本化処理を施す低解像度処理部30とを備えた映像データ処理装置において、低解像度処理部30の一本化器34は、編集した内容に基づいて映像と音声を連結する一本化処理と、編集した内容に基づいて圧縮データの先頭から固定長部分のフレームをサムネイルとして作成する処理とを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収録した映像の内容を把握し易くするための符号化に関し、特に、符号化された高解像度圧縮データに編集処理及び一本化処理を施す高解像度処理部と、符号化された低解像度圧縮データに編集処理及び一本化処理を施す低解像度処理部とを備え、テープレスのシステム等に用いられる映像データ処理装置に関する。
なお、一本化とは編集した内容に基づいて、映像と音声を連結することである。
【背景技術】
【0002】
近年、放送業界において、収録・編集・放送の作業でテープを用いないテープレスシステムが採用されている。
テープを用いる場合、各過程でテープが必要となるため、テープが増大してしまうだけでなく、編集の過程では、編集作業の即時性が要求されているなかで、必要な映像を探す際に早送りや巻き戻しの時間が必要になる。このような背景のなか、収録ではテープに代わり、データとしての記録や扱いのできるテープより小さなメディアが採用されている。編集においても、データとして扱えることからダイレクトに必要な場所を指定できるため、早送りや巻き戻しの時間が必要なくなる。その結果、短時間の編集が行える。
【0003】
図2には、一本化処理を行うテープレスシステムの一例を示してある。
同図に示すテープレスシステムは、収録部10、高解像度サーバー部20、低解像度サーバー部30、送出部40を備えて構成されている。
【0004】
そして、収録部10は、コントローラ11、符号器12を有している。
また、高解像度サーバー部20は、記憶装置21、編集機22、効果器23、一本化器24を有している、
また、低解像度サーバー部30は、記憶装置31、編集機32、効果器33、一本化器34を有している。
また、送出部40は、コントローラ41、復号器42を有している。
【0005】
カメラまたはHD−SDI(H igh Definition - Serial Digital Interface)等から高解像度非圧縮データが収録部10に入力され、コントローラ11は高解像度非圧縮データを確認しながら収録するための制御信号を符号器13に出力する。
符号器12は、コントローラ11の制御信号を基に、高解像度非圧縮データを符号化し、高解像度圧縮データ及びサムネイルを高解像度サーバー部20の記憶装置21に保存し、また、低解像度圧縮データ及びサムネイルを低解像度サーバー部30の記憶装置31に保存する。
サムネイルとは、映像の1フレームを切り出したものであり、サムネイルを確認する事により収録内容をおおまかに把握することができるものである。
【0006】
高解像度サーバー部20の編集機22は、記憶装置21に保存したサムネイルデータ及び高解像度圧縮データを復号して確認しながら編集をし、編集した内容を示す編集リストを記憶装置21に保存する。
また、編集機22は、編集リストに基づいた編集作業を効果器23及び一本化器24にさせるために、効果器23及び一本化器24へ編集リストファイル名を含んだ制御信号を出力する。
【0007】
効果器23は、編集機22からの制御信号を基に記憶装置21から編集リストを取得して、編集リストを基に記憶装置21から圧縮データを取得して効果をかけた圧縮データを作成し、記憶装置21へ保存する。
効果としては、映像へのモザイクかけやシーンの切り替え、音声の音量を大きくするフェードインや、音声の音量を小さくするフェードアウト等がある。
【0008】
一本化器24は、編集機22からの制御信号を基に記憶装置21から編集リストを取得し、編集リストを基に記憶装置21から圧縮データを取得して一本化をした圧縮データを作成し、記憶装置21へ保存する。
一本化とは、編集した内容に基づいて映像、音声を連結することである。
【0009】
低解像度サーバー部30の編集機32は、記憶装置31に保存したサムネイルデータ及び低解像度圧縮データを復号して確認しながら編集をし、編集した内容を示す編集リストを記憶装置31に保存する。
また、編集機32は、編集リストに基づいた編集作業を効果器33及び一本化器34にさせるために、効果器33及び一本化器34へ編集リストファイル名を含んだ制御信号を出力する。
【0010】
効果器33は、編集機32からの制御信号を基に記憶装置31から編集リストを取得し、編集リストを基に記憶装置31から圧縮データを取得して上記のような効果をかけた圧縮データを作成し、記憶装置31へ保存する。
一本化器34は、編集機32からの制御信号を基に記憶装置31から編集リストを取得し、編集リストを基に記憶装置31から圧縮データを取得して一本化をした圧縮データを作成し、記憶装置31へ保存する。
【0011】
図3には、従来の低解像度サーバー部30に備えられている一本化器34の一例を示してある。
なお、一本化器34を代表に説明するが、高解像度サーバー部20に備えられている一本化器24も、同様な構成を有して、同様な処理動作を行う。
この一本化器34は、一本化処理器347、メモリ342、復号器343、メモリ344、カット検出器345、サムネイル符号器346を有している。
【0012】
一本化処理器347は、編集機32の編集リストファイル名を含んだ制御信号を基に記憶装置31から編集リストを取得し、編集リストを基に記憶装置31から圧縮データをメモリ342に読み込み、また、メモリ342に保持している一本化した圧縮データを記憶装置31へ書き込む。
また、一本化処理器347は、編集リストを基に記憶装置31から圧縮データをメモリ342に読み込み、メモリ342に保持している一本化した圧縮データを復号器343で復号する。
【0013】
復号器343は、復号した非圧縮データをメモリ344に書き込み、また、カット検出器345へ出力する。
カット検出器345は、複数のフレームを保持し、その中でシーンチェンジがある場合に検出信号をメモリ344へ出力する。
メモリ344は、カット検出器345からの検出信号を基に保持した低解像度非圧縮データのフレーム中のカットに対応する1フレームをサムネイル符号器346へ出力する。
なお、このときのサムネイル符号器346の圧縮方式は、テープレスシステムで用いている圧縮方式と異なっている。
【0014】
ここで、高解像度サーバー部20における編集機22で編集し、編集作業を効果器23及び一本化器24にさせた場合、高解像度サーバー部20のデータを低解像度サーバー部30のデータと同期させるために、編集機22からの制御信号を基に記憶装置21が低解像度サーバー部30の記憶装置31へ編集リストを転送する。
また、高解像度サーバー部20における編集機22で編集し、編集作業を効果器23及び一本化器24にさせた場合、高解像度サーバー部20のデータを低解像度サーバー部30のデータと同期させるために、編集機22からの制御信号を基に編集機32は効果器33及び一本化器34へ制御信号として編集リストのファイル名を出力し、低解像度サーバー部30においても効果器33及び一本化器34が低解像度圧縮データを用いて高解像度サーバー部20と同様な編集作業をする。
【0015】
他方、低解像度サーバー部30における編集機32で編集し、編集作業を効果器33及び一本化器34にさせた場合、低解像度サーバー部30のデータを高解像度サーバー部20のデータと同期させるために、編集機32からの制御信号を基に記憶装置31が高解像度サーバー部20の記憶装置21へ編集リストを転送する。
また、低解像度サーバー部30における編集機32で編集し、編集作業を効果器33及び一本化器34にさせた場合、低解像度サーバー部30のデータを高解像度サーバー部20のデータと同期させるために、編集機32からの制御信号を基に編集機22は効果器23及び一本化器24へ制御信号として編集リストのファイル名を出力し、高解像度サーバー部20においても効果器23及び一本化器24が高解像度圧縮データを用いて低解像度サーバー部20と同様な編集作業をする。
【0016】
通常、解像度は低いが編集する機器の負荷が軽い低解像度圧縮データを用いて編集をし、その結果を編集する機器の負荷が重い高解像度の圧縮データへ、高解像度の編集機で編集することもなく、反映させる。
【0017】
送出部40では、高解像度非圧縮データを放送するために、コントローラ41が復号器42へ制御信号を出力し、復号器42が記憶装置21から取得した高解像度圧縮データを復号する。
また、高解像度非圧縮データを放送する前に内容を確認するため、コントローラ41は復号器42へ制御信号を出力し、復号器42が記憶装置31から取得した低解像度圧縮データを復号することによりコントローラ41へ出力する。
【0018】
なお、特許文献1には、映像及び音声を含む映像信号をハードディスクに記録に再生する機能を有したビデオサーバが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2006−94052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記のように、従来のテープレスシステムでは、解像度は低いが編集する機器の負荷が軽い低解像度圧縮データを用いて編集をし、その結果を編集する機器の負荷が重い高解像度の圧縮データへ反映させている。このため、一本化器34による低解像度圧縮データの一本化処理では、1筐体で複数の一本化を行っており、更に、このような一本化の機能に加えて、シーンチェンジのある複数のフレームを復号器343で一度復号し、カット検出器345でカットを検出した上で、サムネイル符号器346でサムネイル用の符号化をすることでサムネイルを作成する機能が必要であった。
しかしながら、このようなサムネイル作成機能では、一本化した圧縮データを復号し、且つ、非圧縮データのカット点を検出するので、機器の負担が重くなって一本化の処理能力が低下してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、低解像度圧縮データを一本化する際に、編集した内容に基づいて圧縮データの先頭から固定長部分のフレームをサムネイルとして作成する処理を行うことを特徴としている。
すなわち、本願発明は、符号化された高解像度圧縮データに編集処理及び一本化処理を施す高解像度処理部と、符号化された低解像度圧縮データに編集処理及び一本化処理を施す低解像度処理部と、を備えた映像データ処理装置において、低解像度処理部は、編集した内容に基づいて映像と音声を連結する一本化処理と、編集した内容に基づいて圧縮データの先頭から固定長部分のフレームをサムネイルとして作成する処理とを行う一本化手段を有していることを特徴とする映像データ処理装置である。
【0022】
ここで、本発明では、低解像度の圧縮データの圧縮方式を変更せずにサムネイルを作成するようにするのが好ましく、また、サムネイルと低解像度圧縮データの圧縮方式を変えずに、編集リストを基に一本化する圧縮データの先頭から固定長のフレームをサムネイルとして作成するようにするのが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、一本化器の負荷が軽くなるため、一本化器内で複数の一本化処理を行うことができ、この結果、一本化器の台数を減らすことができる。
さらに、一本化器に大きな負担をかけることなく、一本化と同時に、シーンチェンジをするポイントでサムネイルを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本願発明に係る一本化器の一構成例を示す図である。
【図2】テープレスシステムの一構成例を示す図である。
【図3】従来の一本化器の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、本願発明に係る一本化器の一例を示してある。
同図に示す一本化器34は、図2に示したテープレスシステムにおいて、図3に示した従来の一本化器34に換えて用いられるものである。
すなわち、以下に説明する実施形態は、図2に示したテープレスシステムにおいて、符号化された低解像度圧縮データに編集処理及び一本化処理を施す低解像度サーバー部(低解像度処理部)30に備えられる一本化器を、図1に示す一本化器34として、この一本化器34により、編集した内容に基づいて映像と音声を連結する一本化処理と、編集した内容に基づいて圧縮データの先頭から固定長部分のフレームをサムネイルとして作成する処理とを行うものである。
【0026】
なお、本実施形態においても、図2に示す収納部10、高解像度サーバー部20、低解像度サーバー部30、送出部40の構成及び機能は、以下に説明する一本化器34に係る部分を除いて、上記と同様であるので、図2に示したテープレスシステムを参照して説明するが、上記と同様な部分についての重複する説明は割愛する。
なお、高解像度サーバー部20が、符号化された高解像度圧縮データに編集処理及び一本化処理を施す高解像度処理部に相当する。
【0027】
図2に示す一本化器34は、一本化処理器341と、メモリ342を備えて構成されており、この一本化処理機341により、編集器32が編集した内容に基づいて映像と音声を連結する一本化処理と、編集器32が編集した内容に基づいて低下解像度圧縮データの先頭から固定長部分のフレームをサムネイルとして作成する処理とを行う。
【0028】
すなわち、一本化処理器341は、編集機32又は編集機22の編集リストファイル名を含んだ制御信号を基に記憶装置31から編集リストを取得する。
そして、一本化処理器341は、編集リストを基に記憶装置31から圧縮データをメモリ342に読み込み、メモリ342に保持している一本化した圧縮データを記憶装置31へ書き込む。
【0029】
また、一本化処理器341は、編集リストを基に記憶装置31から圧縮データをメモリ342に読み込み、異なる素材の圧縮データについて、これら圧縮データの先頭から固定長の1フレームをカットに対応するサムネイルとして記憶装置31へ出力する。
このとき、一本化処理器341がサムネイルを作成するための圧縮方式は、テープレスシステムで用いている他の圧縮方式と同じである。
【0030】
このような構成の一本化器34を用いて、圧縮方式を変えることなく、一本化する際に異なる素材の先頭から固定長の1フレームをサムネイルとすることにより、シーンチェンジのある複数のフレームをサムネイルとすることができ、一本化器の処理負荷を軽くしつつ編集内容を編集機等で確認可能なテープレスシステムを実現することができる。
なお、本発明を適用するテープレスシステムは、収納部10、高解像度サーバー部20、低解像度サーバー部30、送出部40を一体的に備えた装置構成としてもよいが、これら機能部の全部又は一部を別個な装置として構成して、圧縮データ、サムネイル、編集リスト、制御信号を伝送線やネットワークにより伝送するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
10:収録部、 20:高解像度サーバー部(高解像度処理部)、
30:低解像度サーバー部(低解像度処理部)、 34:一本化器、
40:送出部、 341:一本化処理器、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化された高解像度圧縮データに編集処理及び一本化処理を施す高解像度処理部と、符号化された低解像度圧縮データに編集処理及び一本化処理を施す低解像度処理部と、を備えた映像データ処理装置において、
低解像度処理部は、編集した内容に基づいて映像と音声を連結する一本化処理と、編集した内容に基づいて圧縮データの先頭から固定長部分のフレームをサムネイルとして作成する処理とを行う一本化手段を有していることを特徴とする映像データ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−147110(P2012−147110A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2177(P2011−2177)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】