説明

映像信号データ取り込み装置

【課題】 映像信号のHD画像とSD画像を同じ時刻で取り込み始める場合には、2つの画像に対する画像処理の時間差が生ずるため、その後の配信処理等のためにこの時間差を支障のないものにする必要がある。
【解決手段】 映像信号データ取り込み装置の映像信号取り込みボード43は、映像信号入力から分離した映像データに多重器11によりフレーム番号を付加し、多重器11のデータ経路の下流において分岐して各映像データを2つの処理部12、45へそれぞれ入力して処理する。2つの処理部12、45に入力される映像データには同じフレーム番号が付加されるから、2つの処理部における処理時間に差違が生じても、処理が施された2つの映像データをそれらのフレーム番号により同期させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ等で扱うことが可能なデータに変換するために映像信号を取り込む装置に関し、特に、例えば画像圧縮処理と画像リサイズ処理といったように、処理に要する時間が互いに異なる2つの処理系を備えた映像信号データ取り込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像信号の利用について、例えば、ハードディスクに格納した映像データをコンピュータで編集することが行われているが、このような用途のためには、従来から使用されてきたアナログもしくはデジタルの映像信号を、コンピュータで取り込み扱うことが可能な電子データ形式の映像データに変換する必要がある。例えば、アナログ映像信号であればNTSC信号と呼称される映像信号形式であり、デジタル映像信号であればHD−SDI信号(High Definition Serial Digital Interface)と呼称される映像信号形式である。
【0003】
また、映像信号と一般に呼ばれる信号には、映像以外に音声やタイムコード(以降、TCと略す)、各種のユーザデータが映像データに重畳される、もしくは同時に別のインタフェースを併用して運用される場合がある。
本願明細書では、「映像信号」をこのような音声やTCなど各種データが含まれた信号という意味で説明に用いており、映像単体を示す場合は、映像、もしくは映像データという用語を用いる。
【0004】
次に、従来における映像信号の扱いについて説明する。
デジタル放送システム系を例にすると、映像信号はHD−SDI信号であり、映像に音声が重畳されている。また、TCはシステム間で同じ時刻に合わせる必要から、HD−SDI信号とは別にTC用の時刻信号入力を用意して、全てのシステム機器に分配する。
このような映像信号入力と時刻信号入力をコンピュータで取り込むには、コンピュータに専用ハードウェアを搭載する必要があり、この専用ハードウェアは一般にキャプチャボードと呼ばれる種類の映像信号取り込みボードが該当する。
【0005】
また、映像データは、音声データに比べ、そのままではデータ量が多く、ハードディスクに格納するには不向きであるので、画像圧縮技術を併用して映像データ量の削減を行うことが一般的に行われる。画像圧縮処理により、例えば1/10以下のデータ量に削減可能だが、画質を劣化させないようデータ量を削減しようとするほど処理時間がかかるトレードオフの面もある。
HD(High Definition)画像のようなデータ処理量が多い画像に対しては、専用LSIなどのハードウェアにより圧縮するアプローチを取ることが多いことから、キャプチャボードに画像圧縮LSIを搭載することが多い。音声データは編集のしやすさから非圧縮のままで扱う運用もある。
【0006】
図3には従来の映像信号データ取り込み装置の構成を示してあり、同図を参照して、その構成と動作を説明する。
映像信号データ取り込み装置の構成は、大きく分けて、映像信号取り込みボード1と、映像データ取り込みアプリケーション29の2つを備えていると言うことができる。
【0007】
まず、映像信号取り込みボード1を説明すると、映像信号データ取り込みボード1は、同期信号検出部2、同期信号検出部7、映像信号分離部4、フレーム番号多重部9、フレーム番号多重部10、フレーム番号多重部11、映像変換処理部12、タイミング制御部14、フレーム番号発生部16を有している。
映像信号は、外部から映像信号入力30として同期信号検出部2に入力し、同期信号検出部2は、映像信号の内容を解析して、映像データと、音声データや各種データが重畳されている場合はそれらのデータ位置を探しだし、映像フレームの区切りを検出し、また、デジタル映像信号3として、映像データや音声データなどのデジタルデータを映像信号分離部4に出力する。
【0008】
映像信号分離部4は、デジタル映像信号3から映像データ5と音声データ6を分離し、映像データ5はフレーム番号多重部11に出力し、音声データ6はフレーム番号多重部10に出力する。
時刻信号は、外部から時刻信号入力31として同期信号検出部7に入力し、同期信号検出部7は、時刻信号の内容を解析して、デジタル時刻データ8としてデジタル化したTCをフレーム番号多重部9に出力する。
【0009】
同期信号検出部2は、映像のフレームの区切りを検出すると、同期信号検出信号13をタイミング制御部14に出力し、タイミング制御部14は、この同期信号検出信号13から映像のフレームの変化点を管理する。
このフレームの区切りと時刻信号入力31から入力されるTCのフレームの区切りは出現する周期が同期しており、これはシステム運用の観点からの大前提になる。そのため同期信号検出信号13とTCに含まれるフレーム時刻の変化点の出現周期も同期していることになる。
【0010】
タイミング制御部14は、映像フレームの区切りでタイミング信号15をフレーム番号発生部16に出力し、この信号により、フレーム番号発生部16は、フレーム単位に1ずつ値を更新したフレーム番号17を、フレーム番号多重部9、フレーム番号多重部10、フレーム番号多重部11にそれぞれ出力する。
よって、3つのフレーム番号多重部9、10、11には、映像信号の映像フレームの区切りごとに1ずつ更新された値が入力される。
【0011】
フレーム番号多重部9、10、11は、それぞれ入力された映像データ5、音声データ6、デジタル時刻データ8と、フレーム番号17との対応づけを行い、各後段に出力する。
実際には、例えば、メモリ上の隣り合った位置にデータとフレーム番号を格納するなどの対応づけ方法が考えられる。
このフレーム番号多重部9、10、11での対応づけにより、これ以降の処理部では各データ毎の時間位相が異なっても、どの時点での入力データであったか把握することが可能になり、同期処理を行うことが出来るようになる。
【0012】
フレーム番号多重部11でフレーム番号17と対応づけられた映像データ5は、映像変換処理部12に入力され、映像変換処理部12は、例えば、映像データ5に対する画像圧縮処理の実行を行う。なお、映像変換処理部12が行う処理は、画像圧縮処理以外に、画像サイズの変更など、用途により様々な処理とすることができる。
映像変換処理部12でどのような処理が行われるかで異なるが、例えば、画像圧縮処理であれば、処理時間に1フレーム時間やそれ以上の時間を費やすことがあり、これにより、音声データ6や、デジタル時刻データ8と比べ、時間位相は遅れて出力されることになる。
【0013】
これ以降、映像、音声、TCの各データは、後段のデバイスドライバ18に入力される。
【0014】
次に、デバイスドライバ18を介して映像信号取り込みボード1に接続する映像データ取り込みアプリケーション29を説明する。
映像データ取り込みアプリケーション29は、機器OS(Operationg System:コンピュータの基本ソフト)28の管理下におかれており、機器を構成するいくつかのソフトのうちの1つのアプリケーションである。また、映像信号取り込みボード1と映像データ取り込みアプリケーション29の間に介在するデバイスドライバ18も、機器OS28の管理下にある。
【0015】
映像データ取り込みアプリケーション29は、コンピュータハードウエアを利用してソフトウエアにより構成される機能手段として、フレーム番号比較部20、格納データ配信部22、状態遷移制御部23、制御命令解析部27を有している。
状態遷移制御部23が動作する切っ掛けは、制御命令解析部27が外部から入力された制御命令入力33から制御命令26を取り出して、この制御命令26が状態遷移制御部23に入力されることであり、これにより、状態遷移制御部23とデバイスドライバ18との映像取り込みボード制御信号24のやりとりが始まる。例えば、制御命令26が「映像収録開始」という命令であった場合には、映像取り込みボード制御信号24により、映像信号取り込みボード1からデバイスドライバ18を経由して、映像データ、音声データ、TCがボード読み出しデータ19として、フレーム番号比較部20に入力される。
【0016】
フレーム番号比較部20は、映像データ、音声データ、TCの各データに付加されたフレーム番号を比較し、同じフレーム番号のデータは同じ時刻に入力されたデータであると判断する。これにより、映像データ、音声データ、TCの3つのデータの同期をとることが可能になり、これらデータ21が格納データ配信部22に入力される。
【0017】
格納データ配信部22は、映像データ、音声データ、TCをシステムの用途に合わせたデータフォーマットに変換する。例えば、多重化して1本のデータ列に並び替える場合や、映像、音声が独立したデータのままである場合など、色々なフォーマットの種類が考えられる。
また、3つのデータの同期をとるため、格納データ配信部22にはメモリが搭載される。メモリ容量は各データにどの程度の位相差が発生するかによるため、システムによって異なるが、位相差を吸収できるだけのメモリ容量が必要になる。
【0018】
フォーマット変換したデータは、格納データ配信部22から格納データ出力32として外部の、例えばハードディスクやネットワークなどに配信する。
この格納データ配信部22の配信制御は、状態遷移制御部23から入力される格納データ配信制御信号25を使用してなされる。
【0019】
図4は、上記した映像データ、音声データ、デジタル時刻データの流れを、概念的に説明している。
同図においても、上記のとおり、映像信号データ取り込み装置は、映像信号取り込みボード1、デバイスドライバ18、映像データ取り込みアプリケーション29を備えて構成されており、この映像信号データ取り込み装置に、外部から映像信号と時刻信号を入力している。
【0020】
映像信号取り込みボード1に、映像信号入力から、映像(V)、音声(A)が同期して入力され、時刻信号入力からデジタル時刻データ(TC)が映像信号入力と同期して入力される。なお、この3つのデータの同期はシステム内で調整されるものである。
映像信号取り込みボード1で取り込んだ、映像データ(V)、音声データ(A)、デジタル時刻データ(TC)は、映像データ(V)が映像変換部の処理、例えば画像圧縮処理などによる処理遅延のため、他のデータより時間位相が遅れる。
そのため、映像信号データ取り込み装置では、映像信号入力と時刻信号入力からデータを取り込んだ時点で、フレーム番号発生部で生成したフレーム番号(FNo)を、3つのデータ(V)、(A)、(TC)にそれぞれ付加する。
このフレーム番号を付加する処理はハードウェアで並列して実行するため、この処理は遅れの要素は無く、3つのデータが同じフレーム番号であれば、同じ時刻に入力されたデータになる。
【0021】
その後、映像データ(V)は映像変換処理部での処理で遅延し、また、デバイスドライバ18からの読み込みでデジタル時刻データなどの他のデータの位相もずれてしまうが、映像データ取り込みアプリケーション29内のフレーム番号比較部で3つのデータに付加されたフレーム番号(FNo)を比較することで、同じフレーム番号のデータは同じ時刻に入力されたデータと判断することが出来る。
この比較結果に基づき、後段の格納データ配信部では各データ(V)、(A)、(TC)の位相を合わせた配信が可能になる。
このように、映像データ、音声データ、デジタル時刻データの各々に同期したフレーム番号をハードウェアで付加することで、後段のアプリケーションで各データの同期をとる。
【0022】
なお、特許文献1には、映像及び音声を含む映像信号をハードディスクに記録に再生する機能を有したビデオサーバが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2006−94052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
近年、映像信号の利用形態が多様化しており、この多様化に対応するため、映像信号データ取り込み装置には、異なる形式の映像データを処理することが要求されることが見込まれる。
例えば、映像信号データ取り込み装置で、HD画像の圧縮データと、HD画像を縮小したSD(Standard Definition)画像を圧縮したデータの2種類を作成する場合、映像変換処理部が出力するHD画像データと、映像変換処理部を介さない映像データの2種類を取得し、後者の映像データはリサイズ処理によりSD画像サイズに縮小した映像データとして、音声データ、デジタル時刻データと組にした映像データとして装置外部に出力する。
【0025】
しかしながら、映像変換処理部は画像圧縮処理などの処理負荷が高い処理を実施した場合、映像データを入力してから圧縮データを出力するまで映像フレームに換算して数フレームの時間がかかる場合がある。また、この処理時間は入力映像データの複雑さにより変化するため、一定の処理遅延時間にはならない。
このため、HD画像とSD画像を同じ時刻で取り込み始める場合には、2つの時間差を吸収する必要があり、更には、HD画像とSD画像の各々に音声データとデジタル時刻データを付加した映像信号にするには、全てのデータの時間差を吸収する必要があり制御が複雑になる。
【0026】
このような事情から、映像信号の利用形態の多様化に対応するため、例えば画像圧縮処理と画像リサイズ処理といったように、処理に要する時間が互いに異なる2つの処理を、映像信号データ取り込み装置に取り込んだ映像信号に対して施そうとする場合、これら2つの処理系の間で発生してしまう時間差を支障のないようにして、これら異なる処理が施された2つの映像データを同期可能とする必要がある。
更には、これら2つの映像データがそれぞれ音声データやデジタル時刻データ(TC)を伴う場合には、各映像信号における映像(画像)、音声、TCの各データ間を同期可能とすることや、これら映像信号間における映像、音声、TCの各データを同期可能とすることも必要とされる。
【0027】
本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたものであり、その目的は、まずは、映像信号入力の映像データに対して処理に要する時間が互いに異なる2つの画像処理を施しても、これら異なる処理が施された2つの映像データ間の同期をとることができる映像信号データ取り込み装置を提供することにある。
更に、本願発明の更なる目的は、映像データが音声データやデジタル時刻データ(TC)を伴う場合には、上記目的に加えて、映像データに対して処理に要する時間が互いに異なる2つの画像処理を施しても、各処理系における映像(画像)、音声、TCの各データ間の同期をとることができるとともに、これら処理系間における映像、音声、TCの各データの同期をとることができる映像信号データ取り込み装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、映像信号入力から分離した映像データに所定の処理を施す処理部を有したハードウエア構成の映像信号取り込みボードと、前記所定の処理を施された映像データを配信に応じた所定のデータフォーマットに変換するソフトウエア構成の映像データ取り込みアプリケーションと、を備えた映像信号データ取り込み装置である。
【0029】
そして、本発明に係る映像信号取り込みボードは、前記映像データに処理に要する時間が互いに異なる処理をそれぞれ施す2つの処理部と、映像信号入力から映像データを分離したフレーム毎のフレーム番号を発生するフレーム番号発生部と、映像信号入力から分離した映像データに前記フレーム番号を付加する多重部と、を有しており、この多重部のデータ経路の下流において分岐して前記フレーム番号が付加された映像データを前記2つの処理部へそれぞれ入力する。
これにより、2つの処理部に入力される同期したフレームの映像データには、単一のフレーム番号発生部で発生された同じフレーム番号が付加されるから、2つの処理部における処理時間に差違が生じても、処理が施された2つの映像データをそれらのフレーム番号により同期させることが可能となる。
【0030】
また、上記の構成に加えて、本発明に係る映像信号取り込みボードを、映像信号入力に含まれる映像データと音声データとを分離する分離部と、映像信号入力から分離した音声データに前記フレーム番号を付加する多重部と、を有し、この多重部のデータ経路の下流において分岐して前記フレーム番号が付加された音声データを前記処理が施された2つの映像データにそれぞれ付属させるようにしてもよい。
これにより、処理が施された2つの映像データと、これら映像データに対応する音声データには、単一のフレーム番号発生部で発生された同じフレーム番号が付加されるから、2つの処理部における処理時間に差違が生じても、処理が施された2つの映像データをそれらのフレーム番号により同期させることが可能となることに加えて、同じ処理系における映像データと音声データをそれらのフレーム番号により同期させることが可能となるとともに、これら処理系間における音声データそれらのフレーム番号により同期させることが可能となる。
【0031】
また、上記の構成に加えて、本発明に係る映像信号取り込みボードを、時刻信号入力から検出したデジタル時刻データ(TC)に前記フレーム番号を付加する多重部を有し、この多重部のデータ経路の下流において分岐して前記フレーム番号が付加されたTCデータを前記処理が施された2つの映像データにそれぞれ付属させるようにしてもよい。
これにより、処理が施された2つの映像データと、これら映像データに対応するTCデータには、単一のフレーム番号発生部で発生された同じフレーム番号が付加されるから、2つの処理部における処理時間に差違が生じても、処理が施された2つの映像データをそれらのフレーム番号により同期させることが可能(更には、上記の場合には、音声データに関する同期が可能)となることに加えて、同じ処理系における映像データとTCデータをそれらのフレーム番号により同期させることが可能となるとともに、これら処理系間におけるTCデータそれらのフレーム番号により同期させることが可能となる。
【0032】
本発明は、HD画像の圧縮データと、HD画像を縮小したSD画像を圧縮したデータの2種類を作成する場合に用いて好適であるが、勿論、他のデータ形式の映像データや、他の形式の画像処理を施す場合にも用いることができ、要は、映像データに対する一の処理と他の処理との処理時間に時間的な差違が生ずる場合に適用して、効果を奏するものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、映像信号取り込みボードにおける映像データに対する処理時間の差違に影響されることなく、映像信号取り込みボードに後続する映像データ取り込みアプリケーションにおいて、それぞれ処理が施された2つの映像データ(更には、音声データやTCデータ)をフレーム番号により同期させて取り込みを行うことができるので、これにより、映像信号の利用形態の多様化に対応することができる。
なお、映像データ取り込みアプリケーションを、処理の異なる2つの映像データ用(例えば、HD画像用とSD画像用)の2つに処理系を独立させるようにすれば、この独立したアプリケーションはお互いが非同期で動作するので、映像データに対する処理(HD画像とSD画像生成)に伴う時間差による影響を受けなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る映像信号データ取り込み装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る映像信号データ取り込み処理を説明する概念図である。
【図3】従来例に係る映像信号データ取り込み装置の構成図である。
【図4】従来例に係る映像信号データ取り込み処理を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の一実施形態に係る映像信号データ取り込み装置を説明する。
なお、以下に説明する一実施形態は、映像データと音声データとを含む映像信号入力と、TCデータを検出する時刻信号入力を受けて映像信号データ取り込み処理を行い、映像データに加えて、音声データ及びTCデータについての同期を図るものである。
また、図3及び図4を参照して説明した従来例と同様な部分については重複する説明を省略する。
【0036】
図1には、本実施形態の映像信号データ取り込み装置の構成を示してあり、映像信号データ取り込み装置は、
映像信号入力から分離した映像データに所定の処理を施す2つの処理部(映像変換処理部12,画像リサイズ処理部45)を有したハードウエア構成の映像信号取り込みボード43と、前記所定の処理を施された映像データを配信に応じた所定のデータフォーマットに変換するソフトウエア構成の映像データ取り込みアプリケーション44と、これら映像信号取り込みボード43と映像データ取り込みアプリケーション44とを仲介するデバイスドライバ18を備えている。
【0037】
映像信号取り込みボード43は、映像変換処理部12の他に画像リサイズ処理部45を有しており、フレーム番号多重器11の信号経路下流において、フレーム番号多重器11が出力したフレーム番号が付加された映像データ5を分岐して、片方は従来例と同じく映像変換処理部12に出力し、他方は画像リサイズ処理部45に出力する。
本実施形態では、SD画像を作成するためのリサイズ処理を映像信号取り込みボード43の他方の処理部45として構成している。
【0038】
また、映像変換処理部12の出力とデバイスドライバ18の間に画像バッファ46を介在させ、また、画像リサイズ処理部45の出力とデバイスドライバ18の間にリサイズ画像バッファ47を介在させて、各処理部12,45から出力される映像データと、映像信号入力の映像データフレームに対応して映像データと同じフレーム番号が付加された音声データ6及びTCデータ8もそれぞれ画像バッファ46、47に入力され、これらデータは画像バッファ46、47を介してデバイスドライバ18に入力される。
【0039】
このために、フレーム番号多重器10の信号経路下流において、フレーム番号多重器10が出力したフレーム番号が付加された音声データ6を分岐して、片方は画像バッファ46に出力し、他方はリサイズ画像バッファ47に出力する。
また、フレーム番号多重器9の信号経路下流において、フレーム番号多重器9が出力したフレーム番号が付加されたTCデータ8を分岐して、片方は画像バッファ46に出力し、他方はリサイズ画像バッファ47に出力する。
【0040】
映像データ取り込みアプリケーション44は、フレーム番号比較部20、状態遷移制御部23、格納データ配信部22が従来例と同じ構成であり、ボード読み出しデータ19は画像バッファ46に格納したHD画像を含むデータである。
そして、映像データ取り込みアプリケーション44は、この3つの処理部20、23、22と同じ機能を持つフレーム番号比較部49、状態遷移制御部52、格納データ配信部51を他の処理系として有しており、この処理系によってSD画像の処理を行う。
【0041】
フレーム番号比較部49は、デバイスドライバ18からボード読み出しデータ48を取り込み格納データ50として格納データ配信部51へ出力する。
ボード読み出しデータ48はリサイズ画像バッファ47に格納したSD画像の映像データ、音声データ、TCを含む映像信号である。フレーム番号比較部49は、映像データ、音声データ、TCの各データに付加されたフレーム番号を比較し、同じフレーム番号のデータは同じ時刻(すなわち、映像信号入力の同じフレームタイミング)に入力されたデータであると判断する。これにより、3つのデータの同期をとることができる。
【0042】
格納データ配信部51も、格納データ配信部22と同様の動作であり、映像データ、音声データ、TCをシステムの用途に合わせたデータフォーマットに変換する。例えば、多重化して1本のデータ列に並び替える場合や、映像、音声が独立したデータのままである場合など、色々なフォーマットの種類が考えられる。
映像データ、音声データ、TCの3つのデータの同期をとるため、格納データ配信部51にはメモリが搭載される。メモリ容量は位相差を吸収できるだけのメモリ容量が必要になる。フォーマット変換したデータは、格納データ出力55として外部に配信する。
【0043】
この格納データ配信部51の配信制御は、状態遷移制御部52から格納データ配信制御信号54を使用して制御する。
また、状態遷移制御部52とデバイスドライバ18との映像取り込みボード制御信号53のやりとりがなされる。
なお、映像データ取り込みアプリケーション44において、格納データ配信部51へ入力する前に、画像圧縮処理を追加してもよい。SD画像に対し画像圧縮処理を実施することで外部に出力する映像信号のデータ量を削減することができる。
【0044】
図2は、HD画像と、HD画像をリサイズしたSD画像との処理を例として、上記した映像データ、音声データ、TCデータの流れを、概念的に説明している。
同図においても、上記のとおり、映像信号データ取り込み装置は、映像信号取り込みボード43、デバイスドライバ18、映像データ取り込みアプリケーション44を備えて構成されており、この映像信号データ取り込み装置に、外部から映像信号と時刻信号を入力している。
なお、映像信号取り込みボード43に入力した映像信号入力は二重化し、片方をHD画像、他方をSD画像の映像信号とする。
【0045】
図2には、映像データVに対して、リサイズ誰ら映像データをRと表現してあり、各々の映像データV,R、音声データA、デジタル時刻データTCに、映像データフレームに対応した同じフレーム番号FNoを付加するのは、従来例と同様である。
映像信号入力に含まれる映像データVは分岐されて、一方の映像データは画像処理部12で画像圧縮処理が施され、また、他方の映像データは画像リサイズ処理部45でSD画像サイズへのリサイズ処理が施される。
【0046】
映像データ取り込みアプリケーション44は、HD画像を扱う映像データ取り込みアプリケーションと、SD画像を扱うリサイズ画像データ取り込みアプリケーションの2つに分かれており、各々のアプリケーションはデバイスドライバ18を介して映像信号を取り込むのも従来と同様である。
各々のアプリケーションは外部にデータ出力するまで独立して動作するため、デバイスドライバから取り込む映像信号が各々で異なった位相であっても他方のアプリケーションに影響を与えない。
【0047】
このように、映像信号取り込みボード43内でHD画像とSD画像の2つに分け、音声データとデジタル時刻データを各々の映像データと組にして映像信号にする。そして、各々のデータの組に対応するフレーム番号(フレーム番号が同じならば、同じ時刻に取り込んだ映像データになるようにする)を付加し、独立した画像バッファに蓄積する。そして、映像データ取り込みアプリケーション44の外部に出力するタイミングは各々の映像信号に付加したフレーム番号を基準に処理を開始する。
【0048】
なお、多重器9、10、11によりデジタル時刻データ、音声データ、映像データにそれぞれ付加されたフレーム番号に応じて、これらデータが画像バッファ46、47に蓄積されることで組される。また、これら組に含まれるデジタル時刻データ、音声データ、映像データのそれぞれにフレーム番号を付加したままで組としてもよいが、図2に示す例では、これらデータを組にする処理で、フレーム番号を組に対して付加させている。
【0049】
上記の処理により、映像データ取り込みアプリケーション44はHD画像用とSD画像用の独立した2つの処理部に分けることができる。
そして、HD画像とSD画像の生成に時間差が生じても、各々のアプリケーションは他方の影響を受けずに処理を行うことができる映像信号データ取り込み装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0050】
5:映像データ、 6:音声データ、
8:デジタル時刻データ、 9、10、11:フレーム番号多重器、
12:映像変換処理部、 16:フレーム番号発生部、
17:フレーム番号、 43:映像信号取り込みボード、
44:映像データ取り込みアプリケーション、 45:画像リサイズ処理部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号入力から分離した映像データに所定の処理を施す処理部を有したハードウエア構成の映像信号取り込みボードと、前記所定の処理を施された映像データを配信に応じた所定のデータフォーマットに変換するソフトウエア構成の映像データ取り込みアプリケーションと、を備えた映像信号データ取り込み装置であって、
前記映像信号取り込みボードは、前記映像データに処理に要する時間が互いに異なる処理をそれぞれ施す2つの処理部と、映像信号入力から映像データを分離したフレーム毎のフレーム番号を発生するフレーム番号発生部と、映像信号入力から分離した映像データに前記フレーム番号を付加する多重部と、を有し、前記多重部のデータ経路の下流において分岐して前記フレーム番号が付加された映像データを前記2つの処理部へそれぞれ入力することを特徴とする映像信号データ取り込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−138818(P2012−138818A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290531(P2010−290531)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】