説明

映像信号出力回路

【課題】 S映像信号入力に対応できない放送方式の映像信号が入力されたときに、S映像信号出力をミュートすることなく、S映像信号出力を得る。
【解決手段】 S映像信号入力端子107に入力されたS映像信号を分岐して出力するとともに、上記S映像信号をクロマデコーダ110によりコンポーネント映像信号に変換して出力し、放送方式を検出して対応していない放送方式の場合には変換出力及び分岐出力をミュートするにあたり、上記S映像信号入力端子105にS映像信号が入力されていることを検出するS映像信号入力検出回路107による入力検出結果を上記放送方式の検出結果に基づく制御部116によるミュート制御よりも優先させて、上記S映像信号入力端子105に入力されたS映像信号をミュートせずS映像信号出力端子108から出力するミュート制御手段107,121,122を設ける

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、S映像信号をコンポーネント映像信号に変換するとともに放送方式を検出して対応していない放送方式の場合には変換出力及び分岐出力をミュートする機能を有する映像信号出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、音声入出力の他に映像入出力を備えたAVアンプにおいて、コンポジット映像信号をS映像信号やコンポーネント映像信号に変換し、また、S映像信号をコンポーネント映像信号に変換して出力する例えば図2に示すような構成の映像信号出力回路200を備えるものが増えている。この映像信号出力回路200では、基本的に販売される国の放送方式に合わせて設定するため、例えば日本においてはNTSC方式は対応するものの、PAL方式は対応できずに乱れた映像が出力されるので、その場合はS映像信号出力とコンポーネント映像信号出力はミュート処理していた。
【0003】
図2に示す従来の映像信号出力回路200は、コンポジット映像信号入力端子101を介して供給されるコンポジット映像信号を増幅してコンポジット映像信号出力端子102から出力するビデオアンプ103、上記コンポジット映像信号入力端子101を介して供給されるコンポジット映像信号をS映像信号に変換するY/C分離回路104、S映像信号入力端子105を介して供給されるS映像信号と上記Y/C分離回路104を介して供給されるS映像信号を選択するS映像信号セレクタ106、上記S映像信号入力端子105にS映像信号が供給されていることを検出し、その検出出力により上記S映像信号セレクタ106を制御するS映像信号入力検出回路107、上記S映像信号セレクタ106を介して供給されるS映像信号を増幅してS映像信号出力端子108から出力するビデオアンプ109、上記S映像信号セレクタ106を介して供給されるS映像信号をコンポーネント映像信号に変換するクロマデコーダ110、コンポーネント映像信号入力端子111を介して供給されるコンポーネント映像信号と上記クロマデコーダ110を介して供給されるコンポーネント映像信号を選択するコンポーネント映像信号セレクタ112、上記コンポーネント映像信号入力端子111にコンポーネント映像信号が供給されていることを検出し、その検出出力により上記コンポーネント映像信号セレクタ112を制御するコンポーネント映像信号入力検出回路113、上記コンポーネント映像信号セレクタ112を介して供給されるコンポーネント映像信号を増幅してコンポーネント映像信号出力端子114から出力するビデオアンプ115、上記クロマデコーダ110の出力に基づいて上記ビデオアンプ113,115の動作を制御して映像出力のミュートを制御するマイクロコンピュータからなる制御部116等を備える。
【0004】
この映像信号出力回路200では、コンポジット映像信号はS映像信号に変換するY/C分離回路104を通った後、クロマデコーダ110によりコンポーネント映像信号に変換されてコンポーネント映像信号出力端子114から出力される。上記クロマデコーダ110で放送方式の検出、及び、Y/C分離回路104を駆動させるために必要なサブキャリア周波数の発生が行なわれており、該クロマデコーダ110からの検出出力を元に制御部116が映像出力のミュートを制御している。また、S映像信号とコンポーネント映像信号は、入力端子101,105から入力されたものと内部で変換して出来たものとが存在するので、それぞれ端子入力後に入力検出回路102,109で検出することにより端子入力を優先にするようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の如き構成の従来の映像信号出力回路200では、S映像信号入力に対応できない放送方式の映像信号が入力されたときもS映像信号出力をミュートしてしまうので、変換を必要としない場合でも映像信号出力が得られず、不都合が生じていた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の問題点に鑑み、上記不具合を低コストで解消した映像信号出力回路を提供することにある。
【0007】
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、入力検出回路を利用して、制御部のマイコンが映像出力のミュートをしている場合でも、入力検出回路の結果を優先するようにして、映像出力の制御を行なう。
【0009】
すなわち、本発明は、S映像信号入力端子に入力されたS映像信号を分岐して出力するとともに、上記S映像信号をコンポーネント映像信号に変換して出力し、放送方式を検出して対応していない放送方式の場合には変換出力及び分岐出力をミュートする制御手段を備える映像信号出力回路であって、上記S映像信号入力端子にS映像信号が入力されていることを検出するS映像信号入力検出手段による入力検出結果を上記放送方式の検出結果に基づく上記制御手段によるミュート制御よりも優先させて、上記S映像信号入力端子に入力されたS映像信号をミュートせずS映像信号出力端子から出力するミュート制御手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、映像信号出力回路は、さらに、コンポジット映像信号入力端子を介して入力されたコンポジット映像信号をS映像信号に変換する映像信号変換手段と、上記S映像信号入力端子に入力されたS映像信号と上記映像信号変換手段によりコンポジット映像信号を変換したS映像信号とを選択する信号選択手段を備え、上記信号選択手段は、上記S映像信号入力検出手段による入力検出結果に応じて、S映像信号を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ミュートしなければならない映像出力とミューとする必要のない映像出力の判断が、マイコン制御の必要なしに実現できる。また、従来回路に低コストで機能追加ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0013】
本発明を適用した映像信号出力回路の構成を図1に示す。
【0014】
この図1に示す映像信号出力回路100は、図2に示した従来の映像信号出力回路200に本発明を適用したものであって、コンポジット映像信号入力端子101を介して供給されるコンポジット映像信号を増幅してコンポジット映像信号出力端子102から出力するビデオアンプ103、上記コンポジット映像信号入力端子101を介して供給されるコンポジット映像信号をS映像信号に変換するY/C分離回路104、S映像信号入力端子105を介して供給されるS映像信号と上記Y/C分離回路104を介して供給されるS映像信号を選択するS映像信号セレクタ106、上記S映像信号入力端子105にS映像信号が供給されていることを検出し、その検出出力により上記S映像信号セレクタ106を制御するS映像信号入力検出回路107、上記S映像信号セレクタ106を介して供給されるS映像信号を増幅してS映像信号出力端子108から出力するビデオアンプ109、上記S映像信号セレクタ106を介して供給されるS映像信号をコンポーネント映像信号に変換するクロマデコーダ110、コンポーネント映像信号入力端子111を介して供給されるコンポーネント映像信号と上記クロマデコーダ110を介して供給されるコンポーネント映像信号を選択するコンポーネント映像信号セレクタ112、上記コンポーネント映像信号入力端子111にコンポーネント映像信号が供給されていることを検出し、その検出出力により上記コンポーネント映像信号セレクタ112を制御するコンポーネント映像信号入力検出回路113、上記コンポーネント映像信号セレクタ112を介して供給されるコンポーネント映像信号を増幅してコンポーネント映像信号出力端子114から出力するビデオアンプ115、上記クロマデコーダ110の出力に基づいて上記ビデオアンプ113,115の動作を制御して映像出力のミュートを制御するマイクロコンピュータからなる制御部116を備え、上記S映像信号のビデオアンプ109のミュート端子に制御部116からのコントロールラインとS映像信号の入力検出回路107の検出出力ラインをそれぞれダイオード121,122を介して接続してなる。上記ダイオード121,122は、各カソードがビデオアンプ109のミュート端子に共通接続されている。
【0015】
この映像信号出力回路100では、コンポジット映像信号はS映像信号に変換するY/C分離回路104を通った後、クロマデコーダ110によりコンポーネント映像信号に変換されてコンポーネント映像信号出力端子114から出力される。上記クロマデコーダ110で放送方式の検出、及び、Y/C分離回路104を駆動させるために必要なサブキャリア周波数の発生が行なわれており、該クロマデコーダ110からの検出出力を元に制御部116が映像出力のミュートを制御している。また、S映像信号とコンポーネント映像信号は、入力端子101,105から入力されたものと内部で変換して出来たものとが存在するので、それぞれ端子入力後に入力検出回路102,109で検出することにより端子入力を優先にするようにしているが、S映像信号の入力検出回路107は、映像信号を検知した場合にL(0V)、入力映像がない場合にH(5V)を出す仕様となっており、制御部116から、ビデオアンプ109のミュート端子にミュート信号としてL(0V)を与えても、上述のようにダイオード121,122を接続することで制御部116からのミュート指令より映像信号検知のH(5V)が優先してビデオアンプ109に伝わる。
【0016】
すなわち、この映像信号出力回路100において、上記入力検出回路107及び各ダイオード121,122は、上記S映像信号入力端子105に入力されたS映像信号をミュートせずS映像信号出力端子108から出力するミュート制御手段として機能する。
【0017】
したがって、この映像信号出力回路100では、制御部116が映像出力のミュートをしている場合でも、入力検出回路107の結果を優先するようにして、映像出力の制御を行なうことができる。
【0018】
上述の如き構成の映像信号出力回路100は、既存の回路構成をそのまま利用することができ、さらにマイクロコンピュータを用いた制御部116の制御内容の変更も必要なく安価で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した映像信号出力回路の構成を示すブロック図である。
【図2】従来の映像信号出力回路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0020】
100 映像信号出力回路、101 コンポジット映像信号入力端子、102 コンポジット映像信号出力端子、103 ビデオアンプ、104 Y/C分離回路、105 S映像信号入力端子、106 S映像信号セレクタ、107 S映像信号入力検出回路、108 S映像信号出力端子、109 ビデオアンプ、110 クロマデコーダ、111 コンポーネント映像信号入力端子、112 コンポーネント映像信号セレクタ、113 コンポーネント映像信号入力検出回路、114 コンポーネント映像信号出力端子、115 ビデオアンプ、116 制御部、121,122 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
S映像信号入力端子に入力されたS映像信号を分岐して出力するとともに、上記S映像信号をコンポーネント映像信号に変換して出力し、放送方式を検出して対応していない放送方式の場合には変換出力及び分岐出力をミュートする制御手段を備える映像信号出力回路であって、
上記S映像信号入力端子にS映像信号が入力されていることを検出するS映像信号入力検出手段による入力検出結果を上記放送方式の検出結果に基づく上記制御手段によるミュート制御よりも優先させて、上記S映像信号入力端子に入力されたS映像信号をミュートせずS映像信号出力端子から出力するミュート制御手段を備えることを特徴とする映像信号出力回路。
【請求項2】
コンポジット映像信号入力端子を介して入力されたコンポジット映像信号をS映像信号に変換する映像信号変換手段と、
上記S映像信号入力端子に入力されたS映像信号と上記映像信号変換手段によりコンポジット映像信号を変換したS映像信号とを選択する信号選択手段をさらに備え、
上記信号選択手段は、上記S映像信号入力検出手段による入力検出結果に応じて、S映像信号を選択することを特徴とする請求項1記載の映像信号出力回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−135785(P2006−135785A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323981(P2004−323981)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】