説明

映像再生表示システム

【課題】 映像範囲を地図上で把握でき、利用しやすい映像再生表示システムを提供する。
【解決手段】 撮影部10は、映像情報を時間発生部26が発生した撮影時刻とともに取得し、位置取得部28は、撮影部10の撮影位置を撮影時刻とともに取得し、視野角取得部30は、撮影部10の視野角を撮影時刻とともに取得し、撮影方向取得部32は、撮影部10の撮影方向を撮影時刻とともに取得する。映像編集部16は、撮影部10が取得した映像情報の再生順序を決定し、地図情報処理部18は、上記映像情報の地図情報における範囲である映像範囲を、撮影時刻をキーとして映像情報に関連付けられた撮影位置、視野角、撮影方向を使用して求め、撮影位置とともに地図情報に重畳し、表示制御部20及び表示部22は、上述した映像情報及び地図情報処理部18が地図情報に重畳した映像範囲と撮影位置を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体上の撮影手段により取得した映像の再生表示システムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車、航空機等の移動体上に載置したビデオカメラ等の撮影手段により取得した映像データを再生するシステムが、建設、災害対応その他の分野で広く利用されている。例えば、下記特許文献1には、静止画像もしくは動画像と共に撮影位置を記録し、再生することのできる画像再生システムが開示されている。
【特許文献1】特開2002−374443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の技術においては、再生されている映像が地図上でどの範囲に対応しているかが不明であり、利用しにくいという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、映像範囲を地図上で把握でき、利用しやすい映像再生表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、映像再生表示システムであって、映像情報を取得する撮影手段と、前記撮影手段が取得した前記映像情報の再生順序を決定する編集手段と、前記撮影手段の3次元の撮影位置を取得する撮影位置取得手段と、前記撮影手段の撮影位置を含む地図情報を取得する地図情報取得手段と、前記撮影手段が取得した映像の前記地図情報における範囲である映像範囲を求め、前記撮影位置とともに前記地図情報に重畳する地図情報処理手段と、前記編集手段が決定した再生順序に従って前記映像情報を再生表示するとともに、前記地図情報及び前記地図情報に重畳された前記撮影位置と前記映像範囲を、前記映像情報の再生順序に従って再生表示する再生表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
ここで、上記映像再生表示システムは、前記撮影手段の視野角を取得する視野角取得手段と、前記撮影手段の撮影方向を取得する撮影方向取得手段とを備え、前記地図情報処理手段は、前記視野角、撮影方向及び前記撮影位置に基づき、前記映像範囲を求めることを特徴とする。上記地図情報処理手段は、前記映像範囲を求める際に前記地図情報に含まれる標高情報も使用するように構成するのが好適である。
【0007】
また、上記映像情報、前記撮影位置、前記視野角及び前記撮影方向は撮影時刻とともに取得され、前記地図情報処理手段は、前記取得された撮影時刻に基づき前記撮影位置と前記映像範囲とを前記映像情報に関連付けるのが好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、映像情報と地図情報に重畳された映像範囲とが再生表示されるので、映像範囲を地図上で把握でき、利用しやすい映像再生表示システムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0010】
図1には、本発明にかかる映像再生表示システムの構成のブロック図が示される。図1において、映像再生表示システムは、撮影部10、カメラ状態取得部12、記憶部14、映像編集部16、地図情報処理部18、表示制御部20及び表示部22を含む。また、地図情報を格納する地図情報データベース24は記憶部14に構築してもよいし、外部のデータベースを使用してもよい。
【0011】
撮影部10は、アナログ方式またはデジタル方式のビデオカメラにより構成でき、自動車または航空機等の移動体上に載置されて撮影を行い、映像情報を取得する。なお、撮影部10をアナログ方式のビデオカメラとするときは、映像情報を図示しないA/Dコンバータによりデジタルデータに変換するのが好適である。
【0012】
カメラ状態取得部12は、時間発生部26、位置取得部28、視野角取得部30及び撮影方向取得部32を含む。
【0013】
時間発生部26は、時刻情報を発生するように構成されており、上記撮影部10は、映像情報を時間発生部26が発生した時刻とともに取得するように構成されている。この撮影時刻の記録は、映像情報に映し込む(スーパーインポーズ)方法または時刻データを映像情報と組み合わせて記憶する方法等により行われる。
【0014】
また、位置取得部28は、GPS等の位置情報を発生するシステムを利用し、撮影部10が映像を撮影するときの撮影位置を3次元(緯度、経度、高度)で取得する。この場合、撮影位置は時間発生部26が発生した撮影時刻とともに取得される。
【0015】
また、視野角取得部30は、撮影部10の撮影中の視野角を撮影部10から取得する。この場合にも、視野角は時間発生部26が発生した撮影時刻とともに取得される。なお、撮影部10のビデオカメラの構造的な制約のため視野角のデータを取得できない場合には、視野角取得部30が視野角を定数として与えるように構成するのが好適である。
【0016】
さらに、撮影方向取得部32は、コンパス等の装置を使用して撮影部10の撮影中の撮影方向を取得する。この場合にも、撮影方向は時間発生部26が発生した撮影時刻とともに取得される。なお、上記コンパスは、撮影部10のビデオカメラに取り付けられる。
【0017】
上記位置取得部28が取得した撮影位置のデータの例が表1に示され、上記視野角取得部30が取得した視野角のデータの例が表2に示され、上記撮影方向取得部32が取得した撮影方向のデータの例が表3に示される。これらの例では、いずれも時間発生部26が発生した撮影時刻とともに各データが表されており、各データは1秒間隔で取得されている。
【0018】
【表1】

【0019】
【表2】

【0020】
【表3】

【0021】
表1において、撮影位置は、撮影部10のビデオカメラの位置の緯度、経度、高度として表される。また、表2において、視野角は、撮影部10のビデオカメラの視野角である。また、表3において、撮影方向は、撮影部10のビデオカメラが撮影する方向が、ロール、ピッチ、ヨーの各角度として表される。なお、ロールはビデオカメラが光軸周りに回転するときの角度であり、ピッチは光軸が水平面に対してなす角度であり、ヨーは光軸が水平方向に回転するときの角度である(図2参照)。
【0022】
以上に述べた映像情報、撮影位置、視野角及び撮影方向の各データは、時刻情報(日時)とともに記憶部14に記憶されているので、時刻情報をキーとして相互に関連付けることができる。記憶部14は、例えばハードディスク、CD−RW、DVD−RW等の追記可能な記憶媒体で構成される。
【0023】
図3には、記憶部14に記憶された上記各データの例が示される。図3において、空間属性として、1秒毎に取得されている撮影位置に含まれる緯度、経度、高度が記憶されている。また、主題属性として、1秒毎に取得されている撮影位置に含まれる撮影日時、後述する映像編集部16が決定する映像情報の再生順序を表す経過時間、1秒毎に取得されている撮影方向に含まれるロール、ピッチ、ヨーの各角度、視野角が記憶されている。なお、上記空間属性及び主題属性は、後述する地理情報システム(GIS)で扱うことができるデータ形式である。
【0024】
映像編集部16では、撮影部10が取得した映像情報から不要部分をカットし、所望の文字データ等を付加した後、映像情報の再生順序を決定する。この再生順序は、ユーザが適宜指定することができる。映像編集部16が決定した映像情報の再生順序は、再生開始からの経過時間として表され、時間発生部26が発生した時刻(実際の撮影時刻)と対応付けられて記憶部14に記憶される。表4には、経過時間と撮影時刻との対応付けの例が示される。
【0025】
【表4】

【0026】
表4では、1秒ごとに経過時間と撮影時刻(日時)とが対応付けられているが、この時間間隔は適宜指定できる。なお、映像情報の撮影時刻が映像情報に映し込まれている場合は、文字認識技術により撮影時刻を認識する。
【0027】
地図情報処理部18は、図3に示される記憶部14に記憶された経過時間毎に、対応する撮影時刻に撮影された映像情報の撮影位置を取得し、この撮影位置の緯度と経度を含む地図情報を地図情報データベース24から取得する。また、地図情報処理部18は、撮影部10が取得した映像情報の上記地図情報における範囲である映像範囲を求め、撮影位置(緯度、経度)とともに地図情報に重畳する。ここで、地図情報処理部18は、本発明にかかる地図情報取得手段及び地図情報処理手段として機能する。
【0028】
図4には、上記映像範囲の説明図が示される。図4において、映像範囲34は、撮影部10のビデオカメラの撮影方向について撮影時の視野角で見ることのできる範囲である。地図情報処理部18は、記憶部14からビデオカメラの視野角36、撮影方向38及び撮影位置(緯度、経度、高度)のデータを読み出し、これらのデータに基づいて映像範囲34を算出する。この地図情報処理部18が映像範囲34を算出する場合には、例えば地理情報システム(GIS)等を使用することができる。なお、ビデオカメラの撮影方向が水平に近くなると、映像範囲34が無限遠まで含む可能性がある。このため、地図情報処理部18が映像範囲34を一定の範囲内に限定するように構成するのが好適である。
【0029】
また、上記映像範囲34を算出する際には、地図情報データベース24から取得した、対象となる地図情報に含まれる地表面40の標高データを使用することにより、より正確な映像範囲34の算出が可能となる。なお、標高データが未整備な地図情報を使用する等、標高データを使用することができない場合には、地図情報処理部18が適宜な一定標高面を設定し、映像範囲34の算出を行うように構成するのが好適である。さらに、実際の地表面の形状を考慮して、上記一定標高面を楕円体等の曲面としてもよい。
【0030】
以上により求めた映像範囲34のデータは、図5に示す情報項目を保持している。図5に示されるように、映像範囲34のデータには、映像範囲34の算出の対象となった映像情報の再生順序として映像編集部16が割り付けた経過時間と映像情報の撮影日時も含まれる。これにより、映像情報と連動した映像範囲34の表示が可能となる。
【0031】
表示制御部20及び表示部22は、上述した映像情報及び地図情報処理部18が地図情報に重畳した映像範囲と撮影位置を表示する処理を実行する。
【0032】
図6には、表示部22に表示される映像表示ウィンドウの例が示される。図6において、映像表示ウィンドウには、映像編集部16が決定した再生順序で映像情報が表示される。また、映像表示ウィンドウには、映像情報の撮影日時42と、再生順序に対応する再生開始からの経過時間44も示される。
【0033】
図7には、表示部22に表示される地図表示ウィンドウの例が示される。図7において、撮影位置の緯度、経度すなわち撮影部10のビデオカメラの存在位置の地表面への投影位置46が星印で示され、映像範囲48が四角形状の領域として表示されている。また、背景には撮影位置を含む地図情報が表示されている。これらの撮影位置及び映像範囲には、上述したように経過時間と撮影日時が関連付けられているので、映像情報に連動して経過時間の時系列順に表示することができる。なお、表示されている背景の地図情報に、存在する撮影位置及び映像範囲データ全てを表示し、図6に示された映像情報に対応するもののみ強調表示してもよい。また、映像範囲の表示は、背景である地図を隠してしまわないように半透明表示とするのが好適である。
【0034】
なお、上記地図情報のデータ形式は特に限定されず、ベクトル形式、ラスタ形式のデータを目的に応じて任意の縮尺で使用できる。また、地図表示ウィンドウには、地図の表示縮尺を設定する手段、地図の表示範囲を変更する手段、色及び線種等の地図の表示条件を設定する手段、所望の撮影位置及び映像範囲を指定する手段等を設けるのも好適である。
【0035】
上述したように、映像情報、撮影位置、視野角及び撮影方向の各データは、時刻情報をキーとして相互に関連付けられているので、撮影日時を指定することにより、映像表示ウィンドウに当該撮影日時に対応する映像情報を、地図表示ウィンドウに当該経過時間に対応する撮影位置及び映像範囲を表示することができる。このとき、撮影日時の代わりに経過時間を使用してもよい。また、地図表示ウィンドウで所望の撮影位置または映像範囲を指定することにより、映像表示ウィンドウに、対応する映像情報を表示することもできる。
【0036】
以上の場合、撮影日時、撮影位置または映像範囲の指定は、専用の映像選択ウィンドウから行うように構成してもよい。図8には、映像選択ウィンドウの例が示され、地図情報を指定するための撮影地区及び撮影日時等のデータが入力できるインターフェースとして構成されている。
【0037】
また、地図表示ウィンドウ上に撮影位置の軌跡を表示し、この軌跡を例えばマウスによるクリックまたはドラッグの操作により指定して、対応する映像情報を映像表示ウィンドウに連続的に表示するように構成してもよい。図9には、このような撮影位置の軌跡を表示した地図表示ウィンドウの例が示される。図9において、撮影位置の軌跡は、実線表示されている。
【0038】
さらに、地図表示ウィンドウ上に映像範囲を表示し、この映像範囲をマウス等で指定して、対応する映像情報を映像表示ウィンドウに表示するように構成してもよい。図10には、このような映像範囲を表示した地図表示ウィンドウの例が示される。図10において、映像範囲は四角形状の領域として示されているが、必ずしも四角形とは限らず、撮影地区の地表面の形状により変化する。
【0039】
以上に述べた本発明によれば、映像表示ウィンドウで映像情報を再生しつつ、地図表示ウィンドウに撮影当時の撮影位置(撮影部10のビデオカメラの存在位置)と映像範囲を映像情報に連動して表示できるので、映像範囲を地図上で把握でき、利用しやすい映像再生表示システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明にかかる映像再生表示システムの構成のブロック図である。
【図2】ロール、ピッチ、ヨーの説明図である。
【図3】記憶部に記憶されたデータの例を示す図である。
【図4】映像範囲の説明図である。
【図5】映像範囲のデータの情報項目の例を示す図である。
【図6】映像表示ウィンドウの例を示す図である。
【図7】地図表示ウィンドウの例を示す図である。
【図8】映像選択ウィンドウの例を示す図である。
【図9】撮影位置の軌跡を表示した地図表示ウィンドウの例を示す図である。
【図10】映像範囲を表示した地図表示ウィンドウの例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
10 撮影部、12 カメラ状態取得部、14 記憶部、16 映像編集部、18 地図情報処理部、20 表示制御部、22 表示部、24 地図情報データベース、26 時間発生部、28 位置取得部、30 視野角取得部、32 撮影方向取得部、34 映像範囲、36 視野角、38 撮影方向、40 地表面、42 撮影日時、44 経過時間、46 投影位置、48 映像範囲。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像情報を取得する撮影手段と、
前記撮影手段が取得した前記映像情報の再生順序を決定する編集手段と、
前記撮影手段の3次元の撮影位置を取得する撮影位置取得手段と、
前記撮影手段の撮影位置を含む地図情報を取得する地図情報取得手段と、
前記撮影手段が取得した映像の前記地図情報における範囲である映像範囲を求め、前記撮影位置とともに前記地図情報に重畳する地図情報処理手段と、
前記編集手段が決定した再生順序に従って前記映像情報を再生表示するとともに、前記地図情報及び前記地図情報に重畳された前記撮影位置と前記映像範囲を、前記映像情報の再生順序に従って再生表示する再生表示手段と、
を備えることを特徴とする映像再生表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の映像再生表示システムは、前記撮影手段の視野角を取得する視野角取得手段と、前記撮影手段の撮影方向を取得する撮影方向取得手段とを備え、前記地図情報処理手段は、前記視野角、撮影方向及び前記撮影位置に基づき、前記映像範囲を求めることを特徴とする映像再生表示システム。
【請求項3】
請求項2記載の映像再生表示システムにおいて、前記地図情報処理手段は、前記映像範囲を求める際に前記地図情報に含まれる標高情報も使用することを特徴とする映像再生表示システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3記載の映像再生表示システムにおいて、前記映像情報、前記撮影位置、前記視野角及び前記撮影方向は撮影時刻とともに取得され、前記地図情報処理手段は、前記取得された撮影時刻に基づき前記撮影位置と前記映像範囲とを前記映像情報に関連付けることを特徴とする映像再生表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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