説明

映像再生装置、映像受信方法及び映像コンテンツダウンロードプログラム

【課題】任意のタイミングで再生を開始するコンテンツの全体を、再生途中で途切れることなく再生可能に、ネットワークからコンテンツの一部を予備的に取得する映像受信方法及び映像受信装置を提供する。
【解決手段】この発明の映像再生装置(101)及び映像受信方法は、ネットワーク上のサーバから任意のコンテンツのうちの一部のデータを、先行して取得すべきデータ容量を計算し、ネットワークにアクセスして任意のコンテンツのうちの一部のデータを、計算されたデータ容量に従い、先行して取得し、再生要求に応じて、先行して取得したコンテンツのうちの一部のデータを再生し、その再生の間に、前記先行して取得したコンテンツに引き続くコンテンツを、前記コンテンツのうちの一部のデータの再生に引き続いて再生可能に受信することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワークを介して取得可能な映像を受信する映像受信方法及びそれを再生する再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からの空間波や光ケーブル網による映像コンテンツの受信及びその再生とは異なる映像コンテンツの取得方法として、コンテンツプロバイダ(映像供給事業者)が用意したサーバから希望する映像コンテンツを任意のタイミングでダウンロード(取得して)視聴する方法が実用化されている。
【0003】
これにより、視聴を希望するユーザは、任意のタイミングでコンテンツプロバイダから映像コンテンツを取得できる。
【0004】
例えば、特許文献1(先行技術文献)には、コンテンツをプロバイダからダウンロードして再生する際に、受信データのビットレートを測定し、コンテンツデータを一定量先行してバッファに格納(先読み)し、先読みしたコンテンツのデータ量が目標データ量を上回った後にバッファからコンテンツを再生することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−333478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、文献1に示される方法は、ユーザが特定したコンテンツをダウンロードする際に一定量のコンテンツデータを先行してダウンロードするものであり、回線容量や使用状況等の要因によりコンテンツの取得が遅れ、再生すべきコンテンツが不足して再生不能となることがある。
【0007】
なお、希望するコンテンツの全体を予めダウンロードして再生する従来からの受信方法は、コンテンツの受信を予約する等の付随する作業が必要であり、今から見たい、という要求に答えることはできない。
【0008】
また、テレビジョン放送により提供されるコンテンツを一定条件のもとで全て記録し、ユーザの再生要求に従ってコンテンツを再生する方法も実用化されているが、同様の課題を含む。
【0009】
この発明の目的は、ネットワークを介して取得可能な映像を受信する映像受信方法及びそれを再生する再生装置において、任意のタイミングで再生を開始するコンテンツの全体を、再生途中で途切れることなく再生可能に、コンテンツの一部を予備的に取得する映像受信方法及び映像受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、コンテンツを保持する記録部と、ネットワークにアクセスして任意のコンテンツを記録部にダウンロードするネットワークインターフェースと、前記ネットワークインターフェースがダウンロードするコンテンツのタイトルリストを取得するタイトルリスト取得部と、前記タイトルリストが取得したタイトルリストが含むコンテンツのうちの一部のデータを、前記ネットワークインターフェースを通じて先行して取得するプレキャッシュデータ取得部と、前記プレキャッシュデータ取得部が取得すべき前記コンテンツのうちの一部のデータの容量を計算するプレキャッシュデータ容量計算部と、再生要求に応じて、前記プレキャッシュデータ取得部が保持する前記コンテンツのうちの一部のデータを再生し、その再生の間に、前記ネットワークインターフェースを通じ、前記タイトルリスト取得部が取得した前記タイトルリストのうちの前記プレキャッシュデータ取得部が取得済みの前記プレキャッシュデータに引き続くコンテンツをダウンロードし、前記プレキャッシュデータ取得部が保持する前記コンテンツのうちの一部のデータの再生に引き続いて、再生する制御部と、を有する映像再生装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の一つの実施の形態は、ネットワーク上でVoDサービスにより提供される映像コンテンツについて、希望するコンテンツの全体を予めダウンロードすること無く、任意のタイミングで再生を開始するコンテンツの全体を再生途中で途切れることなく再生可能に、コンテンツの一部を予備的に取得して、映像コンテンツを、効率よくダウンロードできる。
【0012】
また、この発明は、ユーザの嗜好を反映しつつ、ユーザが希望するであろうコンテンツの全体を予めダウンロードすることを必要としないため、記録媒体の残り記録容量を圧迫することなく、かつ任意のタイミングで再生を開始するコンテンツの全体を、再生途中で途切れることなく再生可能とする。
【0013】
さらに、この発明は、任意のタイミングで再生を開始するコンテンツの全体を、再生途中で途切れることなく再生可能にダウンロードした場合、サーバ側のデータが消去された時点で消去することにより、コンテンツの保護についても十分な機能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態が適用可能な映像受信装置の構成の一例を示す概略図。
【図2】図1に示した映像受信装置において用いられるユーザインタフェース(GUI)画面の表示の一例を示す概略図。
【図3】図1に示した映像受信装置による帯域幅測定(帯域幅を測定する方法)の一例を説明する概略図。
【図4】図3に示した帯域幅測定により取得する帯域幅(回線速度)を保持するテーブルデータの一例を示す概略図。
【図5】図3に示した帯域幅測定により取得した帯域幅(回線速度)から最低回線速度を求める方法の一例を示す概略図。
【図6】図1に示した映像受信装置において取得可能なコンテンツ(タイトル)を、コンテンツ供給元が管理する管理テーブルの表示(VoDサーバのコンテンツ管理テーブル)の一例として示す概略図。
【図7】図1に示した映像受信装置において、特定のコンテンツ(タイトル)について、その全データのうちの一部を、予備的に先行して取得する「プレキャッシュ」により取得した結果を保持した管理テーブルの表示の一例を示す概略図。
【図8】図1に示した映像受信装置において取得可能なコンテンツ(タイトル)のうちのユーザの嗜好により取得対象となりうるコンテンツ(タイトル)について、管理テーブルとして表示する表示(「タイトルリスト」をセットした「プレキャッシュ」データ管理テーブル)の一例を示す概略図。
【図9】図8に示した「タイトルリスト」から取り出したエントリ(1つのタイトル)について「プレキャッシュ」すべきファイルのサイズ(キャッシュサイズ)を計算する方法の一例を示す概略図。
【図10】図8に示した「タイトルリスト」に、図9に示した計算により求めたファイルのサイズ(キャッシュサイズ)をセットした状態の表示の一例を示す概略図。
【図11】図1に示した映像受信装置において、特定のコンテンツ(タイトル)について、その全データのうちの一部を、予備的に先行して取得する「プレキャッシュ」により、任意のコンテンツ(タイトル)の一部のデータを先行して取得(ダウンロード)する方法の一例を示す概略図。
【図12】図11に示した「プレキャッシュ」により、任意のコンテンツのデータを先行して取得(ダウンロード)した結果を、図8に示した「タイトルリスト」に反映した一例を示す概略図。
【図13】図11に示した「プレキャッシュ」により取得したタイトルの「タイトルリスト(図12参照)」が含む特定のタイトルを再生する方法の一例を示す概略図。
【図14】図11に示した「プレキャッシュ」により取得したタイトルの「タイトルリスト」をサムネイル表示する表示画面の表示例を示す概略図。
【図15】図11に示した「プレキャッシュ」により取得したタイトルの「タイトルリスト(図12参照)」が含む特定のタイトルを視聴(再生)した回数を管理する視聴回数管理テーブルを更新する例を示す概略図。
【図16】図11に示した「プレキャッシュ」により取得したタイトルの「タイトルリスト(図12参照)」が含む特定のタイトルを視聴(再生)した回数を管理する視聴回数管理テーブルを更新する例を示す概略図。
【図17】図1に示した映像受信装置において、ユーザの視聴回数に基づいて、特定のコンテンツ(タイトル)について、その全データのうちの一部を予備的に先行して取得する「プレキャッシュ」により取得した結果を保持した管理テーブルを更新した場合の表示の一例を示す概略図。
【図18】図11に示した「プレキャッシュ」により取得するタイトルに、ユーザの嗜好情報に基づいてタイトルが追加された「タイトルリスト」の表示の一例を示す概略図。
【図19】図18に示した「プレキャッシュ」により取得したタイトルの「タイトルリスト(ユーザの嗜好を反映)」をサムネイル表示する表示画面の表示例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の一形態について説明する。
【0016】
図1は、この発明を適用した映像再生装置(受信装置)の構成を概略的に示す。なお、図1に示す映像再生装置は、所定の容量の記録媒体を内蔵したレコーダ装置を含み、地上デジタル放送、衛星デジタル放送、有線方式で番組を配信する配信事業者(ケーブルテレビジョン事業体、以下、CAS(Conditional Access Systemと称する)、あるいはネットワークにコンテンツプロバイダ(映像コンテンツ供給元),等が提供するさまざまなコンテンツを受信して再生信号を出力するとともに、ユーザが希望するコンテンツ(ストリーム)については、ユーザの希望する画質及び音質により記録できる。なお、コンテンツは、映像及び音声もしくは音楽等を含み、広く「番組」あるいは「タイトル」と称される。また、映像は、動画と静止画、あるいはテキストを主体とした文字放送やデータ放送の表示等を含む。なお、映像再生装置は、表示装置を一体に有するテレビ受信装置であってもよい。
【0017】
図1に示す映像再生装置101は、接続する各部の要求に応じて、アカウントやパスワードを後段に説明するビデオオンデマンド(VoD,Video on Demand,以下VoDと略称する)サーバ5に送信し、認証を受けて通信を確立し、VoDサーバ5から受信したデータを記憶部9に格納するダウンロード部8により、プレキャッシュしたデータ、タイムシフト再生を実現するためのバッファデータといった映像データと、プレキャッシュデータ管理テーブルなどのシステムデータを取得する。なお、ダウンロード部8は、例えば、帯域幅測定のためにダウンロードするダミーファイル、タイトルリスト、プレキャッシュデータなども受信する。
【0018】
記憶部9は、ハードディスクドライブ(HDD)である。例えば、プレキャッシュしたデータ、タイムシフト再生を実現するためのバッファデータといった映像データと、プレキャッシュデータ管理テーブルなどのシステムデータを格納する。なお、実施例では、記憶部9にハードディスクを使用しているが、例えば、SSD(Solid State Drive)といった他の記憶媒体を利用しても、もちろん構わない。
【0019】
リモコン1は、本発明の操作をするための装置であり、後段で説明する操作部19に対して赤外線を利用した無線通信で制御コマンドを与える。リモコン1には、数字を入力するためのテンキーが設けられており、数字の入力を可能としている。また、リモコン1には、十字キーが設けられており、設定項目の選択などは、例えば図2のようなGUI(Graphical User Interface)で操作を可能としている。
【0020】
帯域幅測定部2は、ダウンロード部8を通じて、VoDサーバ5からダミーファイルをダウンロードし、ダミーファイルのサイズと後段に説明するRTC(リアルタイムクロック)部6により計測したダウンロード時間から、装置が設置されている場所の回線性能(帯域幅)を測定する。帯域幅は、時間帯によって変わるため、例えば、実施例では、測定開始時刻から最も近い正時から2時間ごとに測定を行い、例えば図4の「帯域幅測定テーブル」を更新する。このテーブルは、1日で最も速度が遅い時間帯の回線性能を調べるために利用する。これは、最も回線が遅いとき(ワーストケース)のタイトル再生においても、映像が途切れないことを保障するプレキャッシュサイズを求めるために必要な処理である。
【0021】
ネットワークインターフェース部3は、インターネットに接続するためのネットワークアダプタである。例えば、ネットワークインターフェース部3を通じてインターネット4に接続することで、ダウンロード部8が、VoDサーバ5から映像をダウンロードする。
【0022】
インターネット網4は、通信プロトコルTCP/IPにより全世界のネットワークを相互に接続したコンピュータネットワークである。
【0023】
VoDサーバ5は、見たいときに、見たいビデオ映像が見られるサービスであるVoD(Video on Demand)を実現するために、映像ファイルを一括管理するサーバである。同サーバは、アカウントとパスワードからなる認証機能を持っており、認証を受けた装置(VoDクライアントと呼ぶ)からのコマンドに応答する。例えば、映像受信装置101からのコマンド(リクエスト)に応じて、タイトルリストやプレキャッシュデータを送信する。
【0024】
VoDサーバ5は、映像ファイルを図6の管理テーブルで管理し、VoDクライアント毎にプリキャッシュデータを送信したタイトルについて、図としては明示していないテーブルで管理している。なお、例えば、VoDサーバ5でサービスを受けるために必要な回線性能(要求回線性能Rbw)は、15Mbpsとする。(bps=Bits Per Second)。
【0025】
リアルタイムクロック(RTC)部6は、計時専用のチップである。電源が切られている間も内蔵電池からの電源供給を受けて動作しており、制御部18は、RTC6の示す時刻を参照して、例えば、帯域幅測定の実行やプレキャッシュデータのダウンロード処理の制御を行う。
【0026】
タイトルリスト取得部7は、嗜好推定部17が推定したユーザの好むジャンルについて、「タイトル要求ジャンルと各ジャンルのダウンロード要求タイトル数の2つ組のリスト」からなるタイトルリスト要求コマンドを生成して、VoDサーバ5へ同コマンドを送信し、VoDサーバ5に登録されている映像ファイルのタイトル一覧を得て、例えば図6のプレキャッシュデータ管理テーブルを作成し、あるいは更新する。なお、ダウンロード要求タイトル数は、デフォルト値あるいは予めユーザが指定した値を使用する。例えば、簡単のため、VoDサーバ5はタイトルリストを作成するに当たり、プリキャッシュデータ未送信のタイトルの中で、登録の新しいものから順に、ダウンロード要求タイトル数だけタイトルを選択するものとする。
【0027】
制御部18は、本発明の各処理部の動作を統括的に制御するための処理部である。なお、図として明示していないが、制御部18は、制御プログラムを格納するROMと、作業領域として必要となるRAMと、ユーザ設定などを記憶する不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)を備えている。
【0028】
操作部19は、リモコン1からの制御コマンドを受信し、制御部18に送る。
【0029】
嗜好記録部16は、ユーザが再生したVoD(Video on Demand,以下VoDと略称する)タイトルについて、ジャンル毎に再生回数を記録する。また、ユーザがVoDタイトルを再生した回数、すなわち視聴回数を記録し、更新する視聴回数管理テーブルを管理する部分である。
【0030】
嗜好推定部17は、視聴回数管理テーブルを調べて、各ジャンルの視聴回数により、順位を求める。順位の高いジャンルをタイトルリスト取得部7へ送る。上位何位までのジャンルをプリキャッシュするかについては、デフォルト値あるいは予めユーザが指定した値を使用する。
【0031】
プレキャッシュデータ容量計算部10は、まず、ユーザが設定したVoDサーバに対して、要求回線速度(Rbw)を問い合わせる。次に、帯域幅測定部2が求めた測定結果から1日でもっとも遅い回線速度を求める。さらに回線の揺らぎを加味した最低回線速度(Wbw)を計算する。プレキャッシュデータ管理テーブルに登録された各タイトルについて、再生時に映像が途切れることが無い、プレキャッシュデータのサイズ(キャッシュサイズ)を求め、プレキャッシュデータ管理テーブルにセットする。
【0032】
プレキャッシュデータ取得部11は、プレキャッシュデータ管理テーブルに登録され、かつ、プレキャッシュが完了していない(実施例ではステータスの項が0)のコンテンツについて、プレキャッシュデータをVoDサーバ5からダウンロードする。ダウンロードする時刻(プレキャッシュ時刻)は、デフォルト値あるいはユーザが予め設定した値を使用する。
【0033】
タイムシフト再生部12は、ユーザが再生を指定したタイトルについて、再生しながら、録画する機能を持つ。例えば、本実施例では、事前にプレキャッシュしたタイトルを再生しながら、プレキャッシュされていない残りの映像データを録画(ダウンロード)する。プレキャッシュしたタイトルを再生している時間に、バックグラウンドで同タイトルの続きをダウンロードすることで、要求性能に満たない帯域幅の環境であっても、途切れることなくVoDタイトルを観賞できる。
【0034】
映像音声出力部13は、タイムシフト再生部12から送られたストリーム(タイトル)の映像/音声のデコードを行う。デコードされた映像は、例えばLCDディスプレイ14へ渡すことで映像を表示する。また、音声はスピーカー15へ渡すことで、音声を再生する。
【0035】
LCDディスプレイ14は、映像音声出力部13に接続されており、映像音声出力部13がデコードした映像を表示する。すなわち、再生対象として選択(特定)された任意のVoDタイトルの映像を表示するディスプレイである。
【0036】
スピーカー15は映像音声出力部13に接続されており、VoDタイトルの音声を出力する。
【0037】
以下、VoDタイトルのプレキャッシュについて詳細に説明する。なお、本提案において実現する「プレキャッシュ」は、ネットワークを介して取得可能な映像を受信する映像受信方法及びそれを再生する再生装置において、予め特定のコンテンツ(タイトル)の全体をダウンロードすることなく、任意のタイミングで再生を開始するコンテンツの全体を、再生途中で途切れることなく再生可能に、コンテンツの一部を予備的に取得することを特徴とし、希望するコンテンツの全体を予めダウンロードして再生する従来からの受信方法とは異なる。
【0038】
VoDタイトルのプレキャッシュは、
<1>初期のVoDタイトルのプレキャッシュ、
<2>コンテンツのタイムシフト再生および再生による嗜好情報の更新、
<3>嗜好情報に基いたVoDタイトルのプレキャッシュ
の過程を含む。
【0039】
<1>初期のVoDタイトルのプレキャッシュ
本発明の映像受信装置101は、初回の起動時に、以下の処理を行う。
【0040】
<1.1>設定
まず、リモコン1を使い、VoDサーバ5の設定を行う。
【0041】
図2に一例を示すが、具体的には、VoDサーバ名、VoDアカウント及びVoDパスワードを入力する。
【0042】
例えば、図2において、
VoDサーバ名をAAAA、
VoDアカウント名をBBBB、
VoDパスワードをCCCC
と入力する。
【0043】
入力値は、
変数VOD_SERVER、
変数VOD_ACNT、
変数VOD_PWD
のそれぞれにセットする。
【0044】
従って、
VOD_SERVER=AAAA、
VOD_ACNT=BBBB、
VOD_PWD=CCCC
となる。
【0045】
他にもメニュー(GUI)には、ユーザ入力項目として、
プレキャッシュ実行時間(PRECASH_TIME)、
タイトルリストのアップデート時間(TL_UPDATE_TIME)、
ダウンロードするタイトルのジャンル数(MAX_GENRE)、
ジャンル毎のタイトル数(TITLES_PER_GENRE)
等の項目を含む。
【0046】
なお、初回起動時には、例えば、
帯域幅測定間隔は2時間(2時間おき)、
プレキャッシュ実行時刻は02:00(最大で2時間)、
アップデート時間は24:00、
ダウンロードするタイトルのジャンル数は3、
ジャンル毎のタイトル数は1
が、デフォルト値として設定されているため、この設定をそのまま用いるものとする。
【0047】
すなわち、
BM_INTERVAL=2、
PRECASH_TIME=02:00、
TL_UPDATE_TIME=23:00、
MAX_GENRE=3、
TITLES_PER_GENRE=1
となる。なお、これらの設定は、別途、GUI(図2参照)により任意に変更できるものとする。
【0048】
<1.2>帯域幅の測定
映像データをプリキャッシュするためには、タイトル毎に最低どれだけのサイズをプリキャッシュすれば、途切れなくタイムシフト再生できるかを求める必要がある。そのために、まず、必要なのは、装置が設置された環境の最低回線速度である。そこで、帯域幅測定部2により図3に示す測定フローに従い、例えば2時間おき(BM_INTERVAL=2)に回線速度を測定して、「帯域幅測定テーブル」に記録する。
【0049】
まず、帯域幅の測定時間であるかを判定するため、2時間おきの正時であるか、RTC部6で現時刻でチェックする([301])。
【0050】
測定時間であれば([301−YES])、VoDサーバ5の設定を行い([302])、VoDサーバ5に帯域幅測定のためのダミーファイルダウンロードのリクエストコマンド発行する([303],[304])。なお、リクエストコマンドは、先頭にコマンド名、コマンドにパラメータがある場合は、カンマで区切って列挙したものである。
【0051】
例えば、[303]では、以下のようなコマンドを生成する。なお、ダミーファイルダウンロードのリクエストコマンドにはパラメータは無い。
【0052】
<「REQ DUMMY_FILE」>
「REQ DUMMY_FILE」は、ダウンロードの時間を計測するため、ダミーファイルの送信をVoDサーバ5に要求するコマンドであることを示す([305])。このコマンドを受け取ったVoDサーバ5は、予めサイズの決まったダミーファイルをVoDクライアントに送信する。すなわち、ダウンロード部8には、ネットワークインターフェース部3を経由して、インターネット網4上に位置するVoDサーバ5から、1つのダミーファイルがダウンロードされる。
【0053】
詳細には、ダミーファイルをダウンロードし([306]〜[309])、ダウンロードにかかった時間から回線速度を計算で求め([310],[311])、帯域幅測定テーブルに格納する([312],[313])。
【0054】
なお、計測を中止しない限り([314−NO])、2時間おきの計測を続け、1日分の計測を完了した時点で、図4の帯域幅測定テーブルが完成する([314])。
【0055】
より詳細には、測定時刻か?が判断され([301])、VoDサーバ5が設定され([302])、VoDサーバ5に対して、リクエストコマンドが送信され([303])、通信確立が確立される([304])。
【0056】
以下、測定ファイル(ダミーファイル)のダウンロードがリクエストされ([305])、受信開始後([306])、タイマースタート([307])、測定ファイルダウンロード([308])、ダウンロード終了の検知([309])、タイマーストップ([310])により、タイマースタート([307])からタイマーストップ([310])の間のRTC部が計数した時間を参照し、回線速度計算が計算される([311])。
【0057】
このようにして、計算により求められた時間は、帯域測定テーブルに記録され([312])、通信が終了する([313])。
【0058】
これにより、図4に一例を示す『帯域測定テーブル』が得られる([314])。
【0059】
<1.3>最低回線速度の算出
次に、図3に示した方法で求められた回線速度(すなわち図4に示す「帯域幅測定テーブル」)から1日の回線速度の変化を読み出し、最低回線速度(Wbw)を求める。
【0060】
詳細には、最低回線速度Wbwを、「Wbw=99」として、最大値で初期化する([501])、帯域幅測定テーブルからエントリ(タイトル)を1つ取り出し([502])、取り出したエントリの回線速度Bwを取り出し([503])、「Bw < Wbw」を判定し([504])、条件が成立したら最低値を更新([505])し、不成立であればWbwを保持する。全てのエントリについて、「Bw」を順に取り出す([506])。
【0061】
以上から、図4の帯域幅測定テーブルであれば、最低回線速度「Wbw」は12.7Mbpsと求まる。
【0062】
全てのエントリについて「Bw」を求めたのち([506−YES])、「Wbwを5%低下させる」ことにより、回線揺らぎ補正を行う([507])。すなわち、回線の揺らぎを5%とみなして、回線速度Wbwを補正する。従って、図4に示した「帯域幅測定テーブル」では、最低回線速度Wbwである12.7Mbpsの速度が最大5%低下することを織り込んで、最低回線速度Wbwは12Mbpsとする。
【0063】
<1.4>タイトルリストの取得およびプレキャッシュデータ管理テーブルの作成
次に、VoDサーバ5から、映像再生装置101のリクエストに従い、ジャンルおよびジャンルごとに必要なタイトル数を取得する。
【0064】
すなわち、任意のタイトル(エントリ/コンテンツ)をダウンロードしようとする場合に必要なジャンルごとのサイズを確保するために、映像再生装置101からVoDサーバ5に、ジャンルおよびジャンルごとに必要なタイトル数をリクエストし、VoDサーバ5から入手したVoDタイトルを用いて、図6に示すような「管理テーブル」を作成する。
【0065】
詳細には、図6に示すVoDサーバ5が保持するタイトルリストを取得し、図8により後段に説明する「プレキャッシュデータ管理テーブル」を作成するため、図7により以下に説明するフローに従って、「プレキャッシュデータ」を取得する。
【0066】
まず、VoDサーバ5を設定し([701])、VoDサーバ5に対するタイトルリスト要求のコマンドを発行する([702])。すなわち、図15により後段に一例を示すが、ユーザの嗜好を推定する視聴回数管理テーブルを保持した嗜好推定部17を起動し、VoDサーバ5に要求するタイトルリストを、ユーザの嗜好に基づいて生成する([702]〜[705])。
【0067】
なお、図15(A)は、視聴回数管理テーブルの初期の状態を示し、視聴回数としては全て「0」である。すなわち、嗜好情報が無い状態を示している。本来であれば、図15(B)により以下に説明する視聴回数に従い、ユーザの嗜好を推定することになるが、図15(A)の初回起動時の例は、視聴回数が全て「0」のため、優先順位を付けることができない。そこで、初回のみ、ダウンロードするタイトルのジャンル数(MAX_GENRE(図2参照))を無効化し、視聴回数管理テーブルに登録されている全ジャンルについて、ジャンル毎のタイトル数(TITLES_PER_GENRE)を組み合わせて、
<(「REQ TITLE_LIST」 (アクション,1),(SF,1),(コメディ,1),(サスペンス,1),(パニック,1),(ファミリー,1))>
のようなコマンドを生成する(パラメータあり)。
【0068】
上述のコマンドにおいて、先頭の「REQ TITLE _LIST」は、タイトルリストを要求するコマンドであることを示す。
【0069】
先頭に続く、「(アクション,1)」は、アクションというジャンルのタイトル情報を1つ要求している。「(SF,1)」以降については、複数ジャンルについてリクエストする場合の記法で、括弧で囲まれた2つ組をカンマで区切り列挙することで、ジャンルとタイトル数を指定している。すなわち、上記のコマンドは、初回起動時には広く浅くタイトルをプリキャッシュするという目的で、「アクション、SF、コメディ、サスペンス、パニック、ファミリー」の全ジャンルについてタイトル情報を1つづつ送信して欲しい旨のリクエストとなる。
【0070】
このコマンドを受け取ったVoDサーバ5は、コンテンツ管理テーブル(図6)から条件に合致したタイトルを選び出し、
<(「TITLE_LIST」 (C0,アクション,2009/7/15,1.5),(C1,SF,2009/7/16,1.5),(C2,コメディ,2009/7/2,2),(C3,サスペンス,2009/7/2,2),(C4,パニック,2009/7/2,2),(C5,ファミリー,2009/7/2,2))>
のような「タイトル名、ジャンル、リリース、再生時間のデータ」を4つ組にしたリストで結果を返す。すなわち、映像再生装置101は、VoDサーバ5から、タイトルリストを要求した結果として、「タイトル名、ジャンル、リリース、再生時間のデータ」を4つ組にしたリストを受け取る([706])。
【0071】
リストの先頭の「TITLE_LIST」は、VoDサーバ5が送信したデータの識別子であり、データがタイトルリストであることを示す。識別子に続く、カッコで囲まれた4つ組のリストは、それぞれ、「タイトル名、ジャンル、リリース日、再生時間」を順に示している。
【0072】
このデータを解釈して、タイトルリスト取得部7において、図8に示したようなプレキャッシュデータ管理テーブルを作成する([707])。なお、初回処理時には、「プレキャッシュデータ管理テーブル」を新規作成し、2回目以降については、VoDサーバ5が送信したタイトルリストを追加登録する。
【0073】
以上のようにして、受信した全ての「タイトルリスト」から図8に示すプレキャッシュ管理テーブルに、管理番号であるID、タイトル名、タイトルのジャンル、タイトルのリリース日、タイトルの再生時間、プロキャッシュすべきファイルサイズであるキャッシュサイズ、プリキャッシュの完了を示すステータス(未完了は0、完了は1)の7つの項目を格納する([709])。
【0074】
なお、初回処理時には、「プレキャッシュデータ管理テーブル」を新規作成し、2回目以降については、VoDサーバ5が送信したタイトルリストを追加登録する。
【0075】
<1.5>プレキャッシュデータ容量サイズ決定
次に、プレキャッシュデータ容量計算部10において、図8に説明した「プレキャッシュデータ管理テーブル」に格納されたタイトル毎の再生時間T、VoDサービスを提供するプロバイダから提示された要求回線性能Rbw、最低回線速度Wbwの3つから、タイトル毎のプレキャッシュ容量を求め、プレキャッシュデータ管理テーブルに格納する。
【0076】
すなわち、図9に示す処理フローにおいて、
Dbw=Rbw−Wbw=15Mbps−12Mpbs=3Mbps
により、要求回線速度Rbwと最低回線速度Wbwの回線速度差Dbwを求める([901])。
【0077】
次に、エントリすなわちタイトルを1つ取り出し、「プレキャッシュ時間」が設定されていない場合には、その再生時間Tを取り出す([904])。例えば図8に示した「プリキャッシュデータ管理テーブル」におけるタイトル「C0」のエントリについては、再生時間の「1.5」時間が求まる。
【0078】
以下、回線速度差Dbwと再生時間(回線速度差Dbwと再生時間を掛ける)から再生時に不足するデータサイズ(プレキャッシュサイズ)を計算する。
【0079】
詳細には、回線速度差が3Mbpsあり、再生時間が1.5時間であれば、再生時にダウンロードが間に合わない映像ファイルのサイズは、
3Mbps × 3600秒 × 1.5時間
= 16200Mbit = 2025Mbyte
≒ 2Gbyte
・・・「小数点部は切り上げて整数化」により、2GBをキャッシュサイズとして、格納する([905])。
【0080】
このようにして、各タイトル(エントリ)について、「任意のタイミングで再生を開始するコンテンツの全体を、再生途中で途切れることなく再生可能に、コンテンツの一部を予備的に取得するデータの大きさを示す『プレキャッシュサイズ』」を求め([906])、順に図8の「プレキャッシュデータ管理テーブル」を完成する。すなわち、図10に一例を示すが、各タイトルについて「プレキャッシュサイズ」が格納された「プレキャッシュデータ管理テーブル」ができあがる。
【0081】
<1.6>プレキャッシュデータのダウンロード
上述した工程に従い、「プレキャッシュサイズ」が格納された「プレキャッシュデータ管理テーブル」が出来上がると、制御部18により、RTC部6の現時刻とプレキャッシュ実行時刻(PRECASH_TIME)とが比較され、プレキャッシュ実行時刻(PRECASH_TIME(図2から、本提案では、回線速度の低下が比較的小さい午前2時に設定されている))であることがチェックできた場合に、プレキャッシュデータ取得部11を起動する。
【0082】
プレキャッシュデータ取得部11は、図10に説明した「プレキャッシュデータ管理テーブル」を参照して、任意のコンテンツ(タイトル)の一部を、任意のタイミングで再生を開始するコンテンツの全体を、再生途中で途切れることなく再生可能に、コンテンツの一部を予備的に取得する(プレキャッシュする)。
【0083】
詳細には、図11に示すように、VoDサーバ5との通信を確立する([1101],[1102])。
【0084】
次に、プレキャッシュデータ管理テーブルからタイトル「C0」のエントリを取り出す。タイトル「C0」のステータスは0、すなわち、まだプレキャッシュデータがダウンロードされていないので、プレキャッシュデータ管理テーブルからエントリを1つ(プレキャッシュサイズ「2GB」)取り出し([1103])、エントリ(タイトル)からダウンロードのステータスを取り出し([1104])、ステータスが <ステータス = 1 ?> ではない場合に([1105−NO])、エントリからキャッシュサイズを取り出し([1106])、以下のコマンドを生成する([1107])。
【0085】
すなわち、
<(「REQ DOWNLOAD_PRECASH_DATA」(C0,2GB))>
のコマンドを生成する。
【0086】
先頭の「REQ DOWNLOAD_PRECASH_DATA」は、プリキャッシュデータを要求するコマンドであることを示す。以降の(C0,2GB)はタイトル名「C0」のデータの2GB分のダウンロードを要求している。
【0087】
VoDサーバ5は、この要求(プレキャッシュデータリクエスト)を受けて、タイトルC0のプリキャッシュデータを送信する([1108])。従って、映像受信装置101は、同データを受信し([1109],[1110])、選択されたエントリの全てのデータの受信が終了した時点で([1111])、エントリのステータスをダウンロード済みを示す「1」とする([1112])。
【0088】
以下、図10のプレキャッシュデータ管理テーブルの残りの全てのエントリについて、ステータスが「1」ではないタイトル(エントリ)の特定([1104],[1105])、上述のコマンド生成([1106],[1107])及びダウンロードを繰り返すことで([1108]〜[1112])、全てのエントリが取り出されると([1113−YES])、図12に一例を示す「プレキャッシュデータ管理テーブル」ができあがる([1114])。
【0089】
次に、
<2>コンテンツのタイムシフト再生および再生による嗜好情報の更新、
について説明する。
【0090】
リモコン1によりVoD再生が指示されると、制御部18は、タイムシフト再生部12を起動し、任意のタイミングで再生を開始するコンテンツの全体を、再生途中で途切れることなく再生可能に、コンテンツの一部を予備的に取得した『プレキャッシュ』済みのコンテンツ(タイトル/ストリーム)の先頭から、プレキャッシュされたコンテンツが、再生される(タイムシフト再生部12による再生が開始される)。
【0091】
詳細には、図13に示すように、図12より説明した「プレキャッシュデータ管理テーブル」を参照して、ステータスが1(プレキャッシュ済)のタイトルについて、サムネイルを準備し、例えば、図14の「タイトルメニュー」を開く(『見るナビ』画面が表示される,[1301])。
【0092】
次に、GUIに対するリモコン操作により、例えばタイトル「C0」の選択が指示されると([1302])、VoDサーバ5の設定を行い([1303])、
<(REQ DOWNLOAD_REM_DATA (C0,2GB))>
のような形式のリクエストコマンドを生成して([1304])、通信を確立後([1305])、VoDサーバ5からタイトル「C0」のプリキャッシュされていない、残りの映像データのダウンロードを開始する([1306])。
【0093】
なお、先頭の「REQ DOWNLOAD_REM_DATA」は、プリキャッシュされていない残りのデータのダウンロードを要求するコマンドである。
【0094】
以降の(C0,2GB)はタイトル名「C0」の2GB以降(オフセット)のデータを要求していることを示している。
【0095】
次に、プリキャッシュデータによるタイトル「C0」の再生を行う。すなわち、プリキャッシュデータの再生と残データのダウンロードが並行して行われる([1307])。
【0096】
プリキャッシュデータの再生が終了したら([1308−YES])、再生と並行してダウンロードした残データの再生を連続して行う([1309])。これにより、タイムシフト再生が実現できる([1309],[1310])。
【0097】
タイトルの再生が終了したら([1310−YES])、タイトル(コンテンツ)の保護のため、ダウンロードした残りのデータの消去を行う([1311])。なお、一定期間の間、例えばVoDサーバ5が保持する「コンテンツ管理テーブル(図6参照)」が更新されるまでの間、ユーザによる「プリキャッシュされたデータの視聴(再生)」が実行されない場合、プリキャッシュされたデータは、コンテンツの保護あるいは第三者による取得を抑止するために、消去される。また、「プリキャッシュされたデータ」を録画再生装置101が保持できる期間は、例えば1ヶ月、あるいは10日等の特定の期間に、予め設定されてもよい。なお、何らかの要因で、「プリキャッシュされたデータ」の情報が、VoDサーバ5が保持する情報と一致しない状態を検出できた場合においても、プリキャッシュされたデータを消去することが好ましい。
【0098】
最後に、嗜好記録部16は、タイトル「C0」のジャンルである「アクション」について、図15の(B)に示すように、図15(A)において全てが「0」であった視聴回数管理テーブルの視聴回数をインクリメントする([1312])。
【0099】
以下、引き続き、タイトル「C1」,「C2」についても視聴した場合、ジャンル「SF」と「コメディ」についても、図16に示すように、視聴回数管理テーブルの視聴回数がインクリメントされる(最終的に、視聴回数管理テーブルが図16のように書き換えられる)。
【0100】
次に、
<3>嗜好情報に基いたVoDタイトルのプレキャッシュ
について説明する。
【0101】
図2に示したGUIにおいて設定されているタイトルリストのアップデート時間(TL_UPDATE_TIME)である、例えば24:00が到来した時点で、制御部18は、タイトルリスト取得部7を起動して、図17に示す「プレキャッシュデータ」の再取得を実行するする。
【0102】
すなわち、VoDサーバ5を設定し([1701])、嗜好推定部17が保持する視聴回数データ(図15(b)あるいは図16参照)が、参照される([1702])。
【0103】
詳細には、嗜好推定部17は、視聴回数管理テーブル(図15(B)あるいは図16参照)から、ダウンロードするタイトルのジャンル数(MAX_GENRE)だけ、上位のジャンルを抽出し、次に、各ジャンルについて、ジャンル毎のタイトルを組み合わせてコマンドを生成する。ここでは、例えばMAX_GENRE=6、TITLES_PER_GENRE=1なので、視聴回数管理テーブルから「アクション、SF、コメディ」の3つのジャンル(図18のC6〜C8)を選び、コマンド
<(REQ TITLE_LIST (アクション,1),(SF,1),(コメディ,1))>
すなわち、VoDサーバ5に対するタイトルリスト要求のコマンドを生成する([1703])。
【0104】
通信確立後([1704])、同リクエストを受けたVoDサーバ5は、既にプリキャッシュデータを送信済みのC0〜C5以外のタイトルから、「アクション、SF、コメディ」のジャンルのタイトルを各1選択し、その結果、タイトルC6〜C8からなるタイトルリストを送信する。なお、1ジャンルに複数のタイトルがあり、その総数よりTITLES_PER_GENREが少なかった場合、VoDサーバ5はリリースの新しいもの(ニューリリース)からタイトルを選択するものとする([1705],[1706])。
【0105】
このコマンドを受け取ったVoDサーバ5は、コンテンツ管理テーブル(図6)から条件に合致したタイトルを選び出し、
<(「TITLE_LIST」 (C6,アクション,2009/7/1,1.5),(C7,SF,2009/7/1,2),(C8,コメディ,2009/7/1,2))>
のような「タイトル名、ジャンル、リリース、再生時間のデータ」を4つ組にしたリストで結果を返す。すなわち、映像再生装置101は、VoDサーバ5から、タイトルリストを要求した結果として、「タイトル名、ジャンル、リリース、再生時間のデータ」を4つ組にしたリストを受け取る([1707])。
【0106】
このデータを解釈して、タイトルリスト取得部7において、図17に示したようなプレキャッシュデータ管理テーブルを作成する([1708])。以下、午前2時に、プレキャッシュデータ取得部11が、追加されたタイトルのプレキャッシュを行う。従って、最終的に、図18に示す「プレキャッシュ管理テーブル」が出来上がる([1707]〜[1710])。
【0107】
以下、「タイムシフト再生 → 嗜好情報の更新 → 嗜好情報に基づくプレキャッシュ」を繰り返す。
【0108】
これにより、図14に一例を示した『見るナビ』画面は、次回のユーザによる再生指示時には、嗜好情報に基づいて3つ(C6,C7,C8)のサムネイルが追加された図19のようなタイトルメニューを表示する。
【0109】
このように、本発明では、回線速度から算出されたファイルサイズの映像ファイルプレキャッシュを用いたタイムシフト再生により、本来、要求性能を満たさない、例えば回線速度が低い通信環境においても、VoDタイトルを観賞できる。
【0110】
なお、この発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形もしくは変更が可能である。また、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて、もしくは一部を削除して実施されてもよく、その場合は、組み合わせもしくは削除に起因したさまざまな効果が得られる。
【0111】
例えば、上述した実施の形態の説明においては、回線の揺らぎを一律5%とした。すなわち測定した回線速度の最低値に対して5%の低下を織り込んだが、より正確を期すためには、例えば回線速度の測定データをある期間蓄積して、統計的に揺らぎを算出し、利用することも考えられる。
【0112】
また、ジャンルというカテゴリの再生回数のみでユーザの嗜好するタイトルを推定する例を説明したが、より精度の高い嗜好の推定ため、洋画/邦画の区別、再生されたタイトルの監督/俳優、タイトルが製作された国、年代といったタイトルの属性を嗜好情報に含めることも考えられる。これにより、よりユーザの嗜好にあったタイトルの「プリキャッシュ」が可能となる。
【0113】
また、プリキャッシュの時間を予め設定する例(午前2時)により、実施の形態を説明したが、例えばユーザがタイトル再生を行った時間についても記録し、帯域幅測定結果と合わせ、『ユーザが再生を行わない時間帯、かつ、回線速度の速い時間帯』に、「プレキャッシュ」処理をスケジュールし、効率化(実際のプレキャッシュデータのダウンロードに掛かる時間の低減)を図ることも考えられる。
【0114】
また、実施の形態においては、映像再生装置が設置されたネットワーク環境の帯域幅と要求回線性能の差からプレキャッシュサイズを決定したが、帯域幅を意図的に低下して、プレキャッシュサイズをタイトルサイズに近づけるような運用を回避するため、プレキャッシュサイズに上限を設けることも考えられる。
【符号の説明】
【0115】
1…リモコン(操作指示部)、2…帯域幅測定部、3…ネットワークインターフェース部、4…インターネット網、5…VoDサーバ、6…RTC(リアルタイムクロック)部、7…タイトルリスト取得部、8…ダウンロード部、9…記憶部(HDD)、10…プレキャッシュデータ容量計算部、11…プレキャッシュデータ取得部、12…タイムシフト再生部、13…映像音声出力部、14…ディスプレイ、15…スピーカー、16…嗜好記録部、17…嗜好推定部、18…制御部、19…操作部(リモコン入力部)、101…映像再生装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを保持する記録部と、
ネットワークにアクセスして任意のコンテンツを記録部にダウンロードするネットワークインターフェースと、
前記ネットワークインターフェースがダウンロードするコンテンツのタイトルリストを取得するタイトルリスト取得部と、
前記タイトルリストが取得したタイトルリストが含むコンテンツのうちの一部のデータを、前記ネットワークインターフェースを通じて先行して取得するプレキャッシュデータ取得部と、
前記プレキャッシュデータ取得部が取得すべき前記コンテンツのうちの一部のデータの容量を計算するプレキャッシュデータ容量計算部と、
再生要求に応じて、前記プレキャッシュデータ取得部が保持する前記コンテンツのうちの一部のデータを再生し、その再生の間に、前記ネットワークインターフェースを通じ、前記タイトルリスト取得部が取得した前記タイトルリストのうちの前記プレキャッシュデータ取得部が取得済みの前記プレキャッシュデータに引き続くコンテンツをダウンロードし、前記プレキャッシュデータ取得部が保持する前記コンテンツのうちの一部のデータの再生に引き続いて、再生する制御部と、
を有する映像再生装置。
【請求項2】
前記プレキャッシュデータ取得部が参照するタイトルリストに反映する嗜好情報を再生履歴として保持する嗜好記録部をさらに有することを特徴とする請求項1記載の映像再生装置。
【請求項3】
前記嗜好記録部が保持する嗜好情報から前記プレキャッシュデータ取得部が取得すべきタイトルを推定して前記タイトルリストへ反映させる嗜好推定部をさらに有することを特徴とする請求項2記載の映像再生装置。
【請求項4】
ネットワーク上のサーバから任意のコンテンツのうちの一部のデータを、先行して取得すべきデータ容量を計算し、
ネットワークにアクセスして任意のコンテンツのうちの一部のデータを、計算されたデータ容量に従い、先行して取得し、
再生要求に応じて、先行して取得したコンテンツのうちの一部のデータを再生し、その再生の間に、前記先行して取得したコンテンツに引き続くコンテンツを、前記コンテンツのうちの一部のデータの再生に引き続いて再生可能に受信する
ことを特徴とする映像受信方法。
【請求項5】
前記先行して取得すべきコンテンツは、再生履歴に基づいて推定されることを特徴とする請求項4記載の映像受信方法。
【請求項6】
外部から1つのコンテンツの再生に先行して取得すべきデータ容量を計算し、
ネットワークにアクセスし、計算結果に従い、先行して取得すべきデータを、データ容量の範囲で、先行して取得し、
再生要求に応じて、先行して取得したコンテンツのうちの一部のデータを再生し、その再生の間に、先行して取得したコンテンツに引き続くコンテンツを引き続いてネットワーク上からダウンロードし、予め用意した記録領域に一時的に格納する
ことを特徴とする映像コンテンツダウンロードプログラム。
【請求項7】
前記先行して取得すべきコンテンツは、再生履歴に基づいて推定されることを特徴とする請求項6記載の映像コンテンツダウンロードプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−97471(P2011−97471A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251177(P2009−251177)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】