映像再生装置およびその制御方法
【課題】 人間の学習能力特性や忘却特性を考慮してユーザの意図する映像特定箇所の表示をすることを目的とする。
【解決手段】 ユーザからの操作コマンドを受け付け、入力された操作コマンドから再生中の映像の時間軸方向に関する位置を特定し、ユーザが特定の映像を認識してから映像再生装置が操作コマンドを実行するまでに必要な処理時間の予測値を、ユーザの能力特性を用いて算出し、特定された再生中の映像の時間軸方向に関する位置を、算出された予測値を用いて補正する。
【解決手段】 ユーザからの操作コマンドを受け付け、入力された操作コマンドから再生中の映像の時間軸方向に関する位置を特定し、ユーザが特定の映像を認識してから映像再生装置が操作コマンドを実行するまでに必要な処理時間の予測値を、ユーザの能力特性を用いて算出し、特定された再生中の映像の時間軸方向に関する位置を、算出された予測値を用いて補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像再生装置に係り、特に映像の特殊再生が可能な映像再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
録画したテレビ番組を視聴する際、ユーザは通常再生の他に特定の映像箇所に対して早送り/巻き戻し再生のような特殊再生を要求する操作を行なう。しかし特殊再生を要求している際、ユーザが特定の映像を認識して通常再生ボタンを押下する若しくは特殊再生ボタンの押下の解除までには反応時間分の遅延が生じ、結果としてディスプレイにはユーザの反応時間分進んだ映像が表示されることとなる。そのため、ユーザが認識した特定の映像が表示されず、再度特殊再生を要求する操作を繰返し行なう必要が生じることがある。
【0003】
このような問題を解決するための方法として、例えば特許文献1には、遅延させるフレーム数を予め行なう反応速度検出試験あるいは以前に行なったマニュアル操作結果に基づいて算出する手法が考えられる。この方法によれば、ユーザが認識した画像を表示することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−104301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、ユーザの反応時間が一定であるので、特にユーザが動画の編集を連続して行なう際等にユーザが認識した映像と実際に表示される映像にズレが生じてしまうという課題がある。
【0006】
以下にその例を図2、図3を用いて示す。図2はリモコン等のコマンド送信機(以下、リモコン)と映像を表示し再生する装置(以下、映像再生装置)間で必要な処理時間に着目した図である。ユーザがある映像を視聴中に、特定の映像を認識した際、201のリモコンにより202の映像再生装置に対して任意のコマンドを送信する。その間における処理時間をコマンド伝送時間tsとする。例えば、コマンド伝送時間tsは、早送り再生中に目的である特定の映像が表示され、ユーザが通常再生ボタンを押下してから、その通常再生指示コマンドが映像再生装置に受信されるまでの時間である。
【0007】
一方、202の映像再生装置側における処理時間は、201により受信したコマンドを解析する時間すなわちコマンド受信解析時間tr及び特殊再生中に停止処理を行なった場合に発生する特殊再生停止処理時間tpが考えられる。
【0008】
従って、201のリモコンと202の映像再生装置間で生じる処理時間すなわち操作最低時間Tminはコマンド伝送時間ts、コマンド受信解析時間tr及び特殊再生停止処理時間tpの和である。すなわち下記(1)の式で表現できる。
Tmin=ts+tr+tp・・・(1)
一方、図3はユーザが特定の映像を認識してからリモコンを操作するまでに必要な処理時間に着目した図である。人間は視覚器官(眼球)301から認識器官(脳)302にて特定の映像を認識する。その間の時間を視覚神経伝達時間tuとする。一方、認識器官302にて認識し、運動器官(指先)303に実際に動作を伝達する時間を筋肉動作伝達時間tvとする。
【0009】
従って、ユーザが特定の映像を認識してからリモコンを操作するまでに必要な処理時間すなわち操作動作時間Tmovは視覚神経伝達時間tu及び筋肉動作伝達時間tvの和である。すなわち下記の式(2)で表現できる。
Tmov=tu+tv・・・(2)
以上より、装置側及びユーザ側で操作もしくは動作に必要な時間をTとすると、Tは操作最低時間Tminと操作動作時間Tmovの和となる。すなわち下記の式(3)で表現できる。
T=Tmin+Tmov・・・(3)
このTに基づき装置側は補正を行なうが、ユーザが特殊再生から通常再生に切り換える処理を連続してN回行なった場合、1回目、2回目、・・・、N−1回目、N回目と、各回ともに補正値Tずつ補正し表示することとなる。
【0010】
しかし、人間には学習能力があり、同操作を繰返し行なうことで、操作に必要な時間は回数を増すごとに短くなるという特性がある。一方で、時が経過するにつれ、人間は一度学習したことを忘却してしまうという特性もある。従って、ユーザによる特殊再生から通常再生に切り換える処理を毎回補正値Tずつ補正しても、ユーザの意図する映像特定箇所の表示ができないといったような問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、人間の学習能力特性や忘却特性を考慮してユーザの意図する映像特定箇所の表示をすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明の映像再生装置は、ユーザからの操作コマンドを受け付ける入力手段と、前記入力手段によって入力された操作コマンドから再生中の映像の時間軸方向に関する位置を特定する位置特定手段と、ユーザが特定の映像を認識してから映像再生装置が操作コマンドを実行するまでに必要な処理時間の予測値を、ユーザの能力特性を用いて算出する算出手段と、前記位置特定手段によって特定された位置を、前記算出手段によって算出された予測値を用いて補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の映像再生装置によれば、人間の学習能力特性や忘却特性を考慮してユーザの意図する映像特定箇所の表示をすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の映像再生装置を表すブロック図
【図2】リモコンと映像再生装置間で必要な処理時間を表す図
【図3】ユーザが特定の映像を認識してから操作するまでに必要な処理時間を表す図
【図4】本発明における処理フローを表したフローチャート
【図5】実施形態1の予測値の算出方法を示すフローチャート
【図6】実施形態2の予測値の算出方法を示すフローチャート
【図7】実施形態3の予測値の算出方法を示すフローチャート
【図8】実施形態3にて用いるテーブルの一例を示した図
【図9】実施形態3の予測値の算出方法を示すフローチャート
【図10】実施形態4にて用いるテーブルの一例を示した図
【図11】本発明の映像再生装置に適用可能なコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、本願発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0016】
<実施形態1>
図1は本発明における映像再生装置の構成を示すブロック図である。図中、101は入力部であり、リモコン等のコマンド送信機により送信される操作コマンドの入力を受け付ける。102は映像位置特定部であり、101の入力部にて受信した操作コマンドに応じて再生中の映像の映像位置、例えばフレーム番号などの時間軸方向の位置を特定する。
【0017】
103は算出部であり、101の入力部にて受信した操作コマンドに必要な操作時間を時間と共に変化するユーザの反応時間に基づいて算出する。
【0018】
算出部103の構成を次に示す。104はユーザ特定部であり、操作しているユーザの特定を行なう。106は予測値算出部であり、予測値を算出する。109は実測値算出部であり、実際に補正すべき値を算出する。110は誤差算出部であり、106の予測値算出部および109の実測値算出部より誤差を算出する。この誤差算出部にて算出される誤差が0に近づくほど正確な補正が可能となる。111は変換部であり、109の実測値算出部にて算出した実測値をフレーム数に変換する。112はテーブルであり、予め学習/忘却の値を固定値で保持しておく。113はカウンタであり、前回操作からの経過時間を管理する。114はタイマであり、時間を管理する。115は映像位置補正部であり、算出部103における算出結果に基づいて映像位置特定部102による映像位置を補正する。116は映像表示部であり、映像位置補正部115にて補正された映像信号をディスプレイ等の表示媒体に出力する。
【0019】
図4は本発明における処理フローを表したフローチャートである。ステップ401において、ユーザ特定部104は、操作しているユーザの特定を行なう。ユーザの特定方法は、例えばユーザにより入力された年齢や氏名等のキーワードにより、ユーザとテーブル112にて保持しているテーブルの値を関連づける方法がある。ただし、このステップで用いるユーザ特定の方法はこの実施形態に挙げた形態に限定されるものではない。
【0020】
ステップ402において、映像再生装置はステップ403からステップ412の処理をユーザ操作がある限り繰り返す。
【0021】
ステップ403において、予測値算出部106はカウンタ113より操作回数Nを取得し、初回(N=1)の場合はステップ404、それ以外の場合はステップ407の処理を行なう。
【0022】
ステップ404において、予測値算出部106は予測値Tpreを算出する。予測値Tpreの算出方法に関しては後述する。
【0023】
ステップ405において、実測値算出部109は実測値Tmsrを算出する。実測値Tmsrの算出方法に関しては、例えばユーザ操作が複数回繰返して行なわれた場合は、ユーザが意図した映像ではない映像がディスプレイに表示されたと認識し、ユーザ操作の受信がなくなるまで監視し実測値を求める方法が挙げられる。ただし、このステップで用いる実測値Tmsrの算出方法はこの実施形態に挙げた形態に限定されるものではない。
【0024】
ステップ406において、誤差算出部110は、ステップ404にて算出した予測値Tpreとステップ405にて算出した実測値Tmsrより、誤差Terrを算出する。誤差Terrは下記の式(4)により算出できる。
Terr=Tmsr−Tpre・・・(4)
ステップ407はステップ403にて本操作が初回ではない場合により実行される。ステップ407ではステップ404同様、予測値算出部106にて予測値Tpreを算出する。
【0025】
ステップ408において、予測値算出部106は、ステップ406にて算出した誤差Terr及びステップ407にて算出した予測値Tpreより、前回操作時に生じた誤差Terr分、予測値Tpreにフィードバックする処理を行なう。フィードバック後の予測値をTpre’とすると、予測値Tpre’は下記の式(5)により算出できる。
Tpre’=Tpre+Terr・・・(5)
ステップ409において、実測値算出部109はステップ405同様、実測値Tmsrを算出する。
【0026】
ステップ410において、誤差算出部110はステップ406同様、ステップ408にて算出した予測値Tpre’とステップ409にて算出した実測値Tmsrより、誤差Terrを算出する。誤差Terrは下記の式(6)により算出できる。
Terr=Tmsr−Tpre’・・・(6)
ステップ411において、カウンタ113は操作回数Nを加算する。
【0027】
ステップ411において、変換部111は、ステップ405もしくはステップ409にて算出した実測値Tmsrをフレーム数に変換する処理を行なう。仮にフレーム数/secをF1とした場合、下記の式(7)により算出できる。
フレーム数=F1[フレーム/sec]*Tmsr[sec]・・(7)
映像位置補正部115は、算出されたフレーム数を用いて補正処理を行なう。
【0028】
図5は、予測値の算出方法を示すフローチャートである。なお、図4に示したステップ404及びステップ407に該当する。
【0029】
ステップ501において、操作最低時間算出部105は前述した操作最低時間Tminを算出する。ステップ502において、予測値算出部106はカウンタ113より操作回数Nを取得する。ステップ503において、予測値算出部106は、学習曲線に基づいてパラメータRTを算出する。
【0030】
ここで学習曲線について説明する。一般的に知られている学習曲線に以下式(8)がある。
RT=aN−b・・・(8)
但し、RTは反応時間、Nは操作回数、a,bは課題を表すパラメータである。本発明では、課題を表すパラメータa,bは一般的に規定されている所定の値(a=1.4、b=0.24)を用いることとする。ここで、このステップで用いる学習曲線については、上記学習曲線に限定されるものではない。
【0031】
ステップ504において、予測値算出部106は、ステップ501より算出した操作最低時間Tmin及びステップ503より算出したパラメータRTにより予測値Tpreを算出する。予測値Tpreは下記の式(9)により算出できる。つまり予測値Tpreは、ユーザが特定の映像を認識してから映像再生装置が操作コマンドを実行するまでに必要な処理時間の予測値に該当する。
Tpre=Tmin+RT・・・(9)
以上により、本実施形態による映像再生装置によれば、学習曲線に示される学習能力特性に基づいて予測値を算出することにより、ユーザの意図する映像特定箇所の表示をすることが可能になる。
【0032】
<実施形態2>
以下、本発明の実施形態2について、実施形態1との差異を中心にフローチャートを用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲がこの実施の形態に限定されるものではない。
【0033】
図6は、実施形態2における予測値の算出方法を示すフローチャートである。本実施形態では、学習曲線に加えて忘却特性を加味した予測値の算出方法を示す。
【0034】
ステップ601において、操作最低時間算出部105は操作最低時間Tminを算出する。ステップ602において、予測値算出部106はカウンタ113より操作回数Nを取得する。ステップ603において、予測値算出部106は上記式(8)の学習曲線に基づいてパラメータRTを算出する。
【0035】
ステップ604において、予測値算出部106はタイマ114より前回操作から経過した時間tを取得する。
【0036】
ステップ605において、予測値算出部106は忘却曲線に基づいてパラメータR(t)を算出する。ここで忘却曲線について説明する。本発明では忘却曲線としてロンドンの忘却曲線を用いて説明する。ロンドンの忘却曲線は以下の式(10)で示される。
【0037】
【数1】
【0038】
但し、R0を全量、時間をt、時間t後の保持量をR(t)、忘却の早さをλ、回復の速さをμとする。但しこのステップで用いる忘却曲線については、ロンドンの忘却曲線に限定されるものではない。
【0039】
ステップ606において、予測値算出部106はステップ601より算出した操作最低時間Tmin、ステップ603より算出した学習曲線のパラメータRT及びステップ605より算出した忘却曲線のパラメータR(t)により予測値Tpreを算出する。予測値Tpreは下記の式(11)により算出できる。
【0040】
【数2】
【0041】
以上により、本実施形態による映像再生装置によれば、学習曲線に示される人間の学習能力特性並びに人間の忘却特性に基づいて予測値を算出することにより、ユーザの意図する映像特定箇所の表示をすることが可能になる。なお、忘却特性にのみ基づいて予測値を算出してもよいし、もしくは、学習曲線による補正、忘却特性による補正を切り替えても同様の効果を得ることができる。
【0042】
<実施形態3>
図7は、実施形態3における予測値の算出方法を示すフローチャートである。本実施形態では、学習テーブルを用いた人間の学習能力特性を加味した予測値の算出方法を示す。
【0043】
ステップ701において、操作最低時間算出部105は操作最低時間Tminを算出する。ステップ702において、予測値算出部106はカウンタ113より操作回数Nを取得する。ステップ703において、予測値算出部106はテーブル112にて保持している学習テーブルを参照し学習による補正値RTを取得する。ステップ703において参照するテーブルの一例を図8に示す。このテーブルの内容は後に後述する。
【0044】
ステップ704において、予測値算出部106はステップ701より算出した操作最低時間Tmin及びステップ703より算出したパラメータRTにより予測値Tpreを算出する。予測値Tpreは式(9)に基づいて算出する。
【0045】
図8は図1における112のテーブルにて保持しているテーブル値の一例である。但しこのテーブルについては、本発明で例に挙げたテーブル値に限定されるのものではない。また、本テーブルはユーザごとに複数のテーブル値を持つことも可能である。列801は操作回数Nを表す。操作回数Nについてはステップ702においてカウンタ113より取得した操作回数Nを参照する。列802は学習による補正値RTを表す。例えば図7におけるステップ701にて算出した操作最低時間Tmin=0.5、ステップ702において取得した操作回数N=3であった場合は、ステップ703にて図8の行804を参照することにより、学習による補正値RT=1.05を取得する。
【0046】
ステップ703にて学習による補正値RT=1.05を取得した後は、予測値算出部106はステップ704にてステップ701より算出した操作最低時間Tminにより式(9)に基づいて予測値Tpreを算出する。この場合、予測値Tpre=Tmin+RT+1.05=2.00となる。
【0047】
なお、本実施例では連続的な場合について言及したが、離散的な場合についても本実施形態の仕組みによって同様の効果を得ることができる。
【0048】
<実施形態4>
図7は、実施形態4における予測値の算出方法を示すフローチャートである。本実施形態では、学習テーブルを用いた人間の学習能力特性並びに忘却テーブルを用いた人間の忘却特性を加味した予測値の算出方法を示す。
【0049】
ステップ901において、操作最低時間算出部105は操作最低時間Tminを算出する。ステップ902において、予測値算出部106はカウンタ113より操作回数Nを取得する。ステップ903において、予測値算出部106はテーブル112にて保持している学習テーブルを参照し学習による補正値RTを取得する。ステップ903において参照するテーブルの一例を図8に示す。ステップ904において、予測値算出部106はタイマ114より前回操作から経過した時間tを取得する。
【0050】
ステップ905において、予測値算出部106はテーブル112にて保持している忘却テーブルを参照し忘却による補正値R(t)を取得する。ステップ905において参照するテーブルの一例を図10に示す。このテーブルの内容は後に後述する。
【0051】
ステップ906において、予測値算出部106はステップ901より算出した操作最低時間Tmin及びステップ905より算出したパラメータR(t)により予測値Tpreを算出する。予測値Tpreは式(11)に基づいて算出する。
【0052】
図10はテーブル112にて保持しているテーブル値の一例である。但しこのテーブルについては、本発明で例に挙げたテーブル値に限定されるものではない。また、本テーブルはユーザごとに複数のテーブル値を持つことも可能である。列1001は経過時間tを表す。経過時間tについてはステップ904においてタイマ114より取得した経過時間tを参照する。列1002は時間t後の保持量R(t)を表す。例として、図9におけるステップ901にて算出した操作最低時間Tmin=0.6、ステップ802において取得した操作回数がN=2であった場合は、ステップ903にて図8の行804を参照することにより補正値RT=1.05を取得する。
【0053】
ステップ903にて学習による補正値RT=1.05を取得した後は、予測値算出部106はステップ904にてタイマ114より前回操作から経過した時間tを取得する。ここでタイマ114より取得した前回操作から経過した時間がt=20(分)であった場合は、ステップ905にて図10の行1003を参照することにより時間t後(時間20分後)の保持量R(t)=58(%)を取得する。
【0054】
ステップ905にて忘却による補正値R(t)=58(%)の取得後、予測値算出部106はステップ906にて、操作最低時間Tmin、ステップ903より取得した学習による補正値RTにより式(11)に基づいて予測値Tpreを算出する。この場合、予測値Tpreは2.091となる。
【0055】
なお、本実施例では連続的な場合について言及したが、離散的な場合についても本実施形態の仕組みによって同様の効果を得ることができる。
【0056】
<実施形態5>
図1に示した装置が有する各部は全てハードウェアでもって構成しているものとして上記実施形態では説明した。しかし、テーブル112等を保持する保持手段などを除く各部をコンピュータプログラムでもって構成しても良い。この場合、このようなコンピュータプログラムを格納するためのメモリと、このメモリに格納されているコンピュータプログラムを実行するCPUとを有するコンピュータ若しくは映像再生装置は、上記各実施形態に係る映像再生装置に適用することができる。
【0057】
図11は、上記各実施形態に係る映像再生装置に適用可能なコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0058】
CPU1101は、RAM1102やROM1103に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いてコンピュータ全体の制御を行うと共に、上記各実施形態に係る映像再生装置が行うものとして上述した各処理を実行する。即ち、CPU1101は、図1の101〜111、113〜116として機能することになる。
【0059】
RAM1102は、外部記憶装置1106からロードされたコンピュータプログラムやデータ、I/F(インターフェース)1109を介して外部から取得したデータなどを一時的に記憶するためのエリアを有する。更に、RAM1102は、CPU1101が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアを有する。即ち、RAM1102は、例えば、フレームメモリとして割当てたり、その他の各種のエリアを適宜提供することができる。
【0060】
ROM1103には、本コンピュータの設定データや、ブートプログラムなどが格納されている。操作部1104は、キーボードやマウスなどにより構成されており、本コンピュータのユーザが操作することで、各種の指示をCPU1101に対して入力することができる。表示部1105は、CPU1101による処理結果を表示する。また表示部1105は例えば液晶ディスプレイのようなホールド型の表示装置や、フィールドエミッションタイプの表示装置のようなインパルス型の表示装置で構成される。
【0061】
外部記憶装置1106は、ハードディスクドライブ装置に代表される、大容量情報記憶装置である。外部記憶装置1106には、OS(オペレーティングシステム)や、図1に示した各部の機能及び図4〜図7、図9に示したフローをCPU1101に実現させるためのコンピュータプログラムが保存されている。更には、外部記憶装置1106には、処理対象としての各画像データが保存されていても良い。
【0062】
外部記憶装置1106に保存されているコンピュータプログラムやデータは、CPU1101による制御に従って適宜RAM1102にロードされ、CPU1101による処理対象となる。I/F1107には、LANやインターネット等のネットワーク、他の機器を接続することができ、本コンピュータはこのI/F1107を介して様々な情報を取得したり、送出したりすることができる。1108は上述の各部を繋ぐバスである。
【0063】
上述の構成からなる作動は前述のフローチャートで説明した作動をCPU1101がその制御の中心となって行う。
【0064】
<その他の実施形態>
また、本発明の目的は、前述した機能を実現するコンピュータプログラムのコードを記録した記憶媒体を、システムに供給し、そのシステムがコンピュータプログラムのコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたコンピュータプログラムのコード自体が前述した実施形態の機能を実現し、そのコンピュータプログラムのコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成する。また、そのプログラムのコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した機能が実現される場合も含まれる。
【0065】
さらに、以下の形態で実現しても構わない。すなわち、記憶媒体から読み出されたコンピュータプログラムコードを、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込む。そして、そのコンピュータプログラムのコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行って、前述した機能が実現される場合も含まれる。
【0066】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するコンピュータプログラムのコードが格納されることになる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像再生装置に係り、特に映像の特殊再生が可能な映像再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
録画したテレビ番組を視聴する際、ユーザは通常再生の他に特定の映像箇所に対して早送り/巻き戻し再生のような特殊再生を要求する操作を行なう。しかし特殊再生を要求している際、ユーザが特定の映像を認識して通常再生ボタンを押下する若しくは特殊再生ボタンの押下の解除までには反応時間分の遅延が生じ、結果としてディスプレイにはユーザの反応時間分進んだ映像が表示されることとなる。そのため、ユーザが認識した特定の映像が表示されず、再度特殊再生を要求する操作を繰返し行なう必要が生じることがある。
【0003】
このような問題を解決するための方法として、例えば特許文献1には、遅延させるフレーム数を予め行なう反応速度検出試験あるいは以前に行なったマニュアル操作結果に基づいて算出する手法が考えられる。この方法によれば、ユーザが認識した画像を表示することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−104301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、ユーザの反応時間が一定であるので、特にユーザが動画の編集を連続して行なう際等にユーザが認識した映像と実際に表示される映像にズレが生じてしまうという課題がある。
【0006】
以下にその例を図2、図3を用いて示す。図2はリモコン等のコマンド送信機(以下、リモコン)と映像を表示し再生する装置(以下、映像再生装置)間で必要な処理時間に着目した図である。ユーザがある映像を視聴中に、特定の映像を認識した際、201のリモコンにより202の映像再生装置に対して任意のコマンドを送信する。その間における処理時間をコマンド伝送時間tsとする。例えば、コマンド伝送時間tsは、早送り再生中に目的である特定の映像が表示され、ユーザが通常再生ボタンを押下してから、その通常再生指示コマンドが映像再生装置に受信されるまでの時間である。
【0007】
一方、202の映像再生装置側における処理時間は、201により受信したコマンドを解析する時間すなわちコマンド受信解析時間tr及び特殊再生中に停止処理を行なった場合に発生する特殊再生停止処理時間tpが考えられる。
【0008】
従って、201のリモコンと202の映像再生装置間で生じる処理時間すなわち操作最低時間Tminはコマンド伝送時間ts、コマンド受信解析時間tr及び特殊再生停止処理時間tpの和である。すなわち下記(1)の式で表現できる。
Tmin=ts+tr+tp・・・(1)
一方、図3はユーザが特定の映像を認識してからリモコンを操作するまでに必要な処理時間に着目した図である。人間は視覚器官(眼球)301から認識器官(脳)302にて特定の映像を認識する。その間の時間を視覚神経伝達時間tuとする。一方、認識器官302にて認識し、運動器官(指先)303に実際に動作を伝達する時間を筋肉動作伝達時間tvとする。
【0009】
従って、ユーザが特定の映像を認識してからリモコンを操作するまでに必要な処理時間すなわち操作動作時間Tmovは視覚神経伝達時間tu及び筋肉動作伝達時間tvの和である。すなわち下記の式(2)で表現できる。
Tmov=tu+tv・・・(2)
以上より、装置側及びユーザ側で操作もしくは動作に必要な時間をTとすると、Tは操作最低時間Tminと操作動作時間Tmovの和となる。すなわち下記の式(3)で表現できる。
T=Tmin+Tmov・・・(3)
このTに基づき装置側は補正を行なうが、ユーザが特殊再生から通常再生に切り換える処理を連続してN回行なった場合、1回目、2回目、・・・、N−1回目、N回目と、各回ともに補正値Tずつ補正し表示することとなる。
【0010】
しかし、人間には学習能力があり、同操作を繰返し行なうことで、操作に必要な時間は回数を増すごとに短くなるという特性がある。一方で、時が経過するにつれ、人間は一度学習したことを忘却してしまうという特性もある。従って、ユーザによる特殊再生から通常再生に切り換える処理を毎回補正値Tずつ補正しても、ユーザの意図する映像特定箇所の表示ができないといったような問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、人間の学習能力特性や忘却特性を考慮してユーザの意図する映像特定箇所の表示をすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明の映像再生装置は、ユーザからの操作コマンドを受け付ける入力手段と、前記入力手段によって入力された操作コマンドから再生中の映像の時間軸方向に関する位置を特定する位置特定手段と、ユーザが特定の映像を認識してから映像再生装置が操作コマンドを実行するまでに必要な処理時間の予測値を、ユーザの能力特性を用いて算出する算出手段と、前記位置特定手段によって特定された位置を、前記算出手段によって算出された予測値を用いて補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の映像再生装置によれば、人間の学習能力特性や忘却特性を考慮してユーザの意図する映像特定箇所の表示をすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の映像再生装置を表すブロック図
【図2】リモコンと映像再生装置間で必要な処理時間を表す図
【図3】ユーザが特定の映像を認識してから操作するまでに必要な処理時間を表す図
【図4】本発明における処理フローを表したフローチャート
【図5】実施形態1の予測値の算出方法を示すフローチャート
【図6】実施形態2の予測値の算出方法を示すフローチャート
【図7】実施形態3の予測値の算出方法を示すフローチャート
【図8】実施形態3にて用いるテーブルの一例を示した図
【図9】実施形態3の予測値の算出方法を示すフローチャート
【図10】実施形態4にて用いるテーブルの一例を示した図
【図11】本発明の映像再生装置に適用可能なコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、本願発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0016】
<実施形態1>
図1は本発明における映像再生装置の構成を示すブロック図である。図中、101は入力部であり、リモコン等のコマンド送信機により送信される操作コマンドの入力を受け付ける。102は映像位置特定部であり、101の入力部にて受信した操作コマンドに応じて再生中の映像の映像位置、例えばフレーム番号などの時間軸方向の位置を特定する。
【0017】
103は算出部であり、101の入力部にて受信した操作コマンドに必要な操作時間を時間と共に変化するユーザの反応時間に基づいて算出する。
【0018】
算出部103の構成を次に示す。104はユーザ特定部であり、操作しているユーザの特定を行なう。106は予測値算出部であり、予測値を算出する。109は実測値算出部であり、実際に補正すべき値を算出する。110は誤差算出部であり、106の予測値算出部および109の実測値算出部より誤差を算出する。この誤差算出部にて算出される誤差が0に近づくほど正確な補正が可能となる。111は変換部であり、109の実測値算出部にて算出した実測値をフレーム数に変換する。112はテーブルであり、予め学習/忘却の値を固定値で保持しておく。113はカウンタであり、前回操作からの経過時間を管理する。114はタイマであり、時間を管理する。115は映像位置補正部であり、算出部103における算出結果に基づいて映像位置特定部102による映像位置を補正する。116は映像表示部であり、映像位置補正部115にて補正された映像信号をディスプレイ等の表示媒体に出力する。
【0019】
図4は本発明における処理フローを表したフローチャートである。ステップ401において、ユーザ特定部104は、操作しているユーザの特定を行なう。ユーザの特定方法は、例えばユーザにより入力された年齢や氏名等のキーワードにより、ユーザとテーブル112にて保持しているテーブルの値を関連づける方法がある。ただし、このステップで用いるユーザ特定の方法はこの実施形態に挙げた形態に限定されるものではない。
【0020】
ステップ402において、映像再生装置はステップ403からステップ412の処理をユーザ操作がある限り繰り返す。
【0021】
ステップ403において、予測値算出部106はカウンタ113より操作回数Nを取得し、初回(N=1)の場合はステップ404、それ以外の場合はステップ407の処理を行なう。
【0022】
ステップ404において、予測値算出部106は予測値Tpreを算出する。予測値Tpreの算出方法に関しては後述する。
【0023】
ステップ405において、実測値算出部109は実測値Tmsrを算出する。実測値Tmsrの算出方法に関しては、例えばユーザ操作が複数回繰返して行なわれた場合は、ユーザが意図した映像ではない映像がディスプレイに表示されたと認識し、ユーザ操作の受信がなくなるまで監視し実測値を求める方法が挙げられる。ただし、このステップで用いる実測値Tmsrの算出方法はこの実施形態に挙げた形態に限定されるものではない。
【0024】
ステップ406において、誤差算出部110は、ステップ404にて算出した予測値Tpreとステップ405にて算出した実測値Tmsrより、誤差Terrを算出する。誤差Terrは下記の式(4)により算出できる。
Terr=Tmsr−Tpre・・・(4)
ステップ407はステップ403にて本操作が初回ではない場合により実行される。ステップ407ではステップ404同様、予測値算出部106にて予測値Tpreを算出する。
【0025】
ステップ408において、予測値算出部106は、ステップ406にて算出した誤差Terr及びステップ407にて算出した予測値Tpreより、前回操作時に生じた誤差Terr分、予測値Tpreにフィードバックする処理を行なう。フィードバック後の予測値をTpre’とすると、予測値Tpre’は下記の式(5)により算出できる。
Tpre’=Tpre+Terr・・・(5)
ステップ409において、実測値算出部109はステップ405同様、実測値Tmsrを算出する。
【0026】
ステップ410において、誤差算出部110はステップ406同様、ステップ408にて算出した予測値Tpre’とステップ409にて算出した実測値Tmsrより、誤差Terrを算出する。誤差Terrは下記の式(6)により算出できる。
Terr=Tmsr−Tpre’・・・(6)
ステップ411において、カウンタ113は操作回数Nを加算する。
【0027】
ステップ411において、変換部111は、ステップ405もしくはステップ409にて算出した実測値Tmsrをフレーム数に変換する処理を行なう。仮にフレーム数/secをF1とした場合、下記の式(7)により算出できる。
フレーム数=F1[フレーム/sec]*Tmsr[sec]・・(7)
映像位置補正部115は、算出されたフレーム数を用いて補正処理を行なう。
【0028】
図5は、予測値の算出方法を示すフローチャートである。なお、図4に示したステップ404及びステップ407に該当する。
【0029】
ステップ501において、操作最低時間算出部105は前述した操作最低時間Tminを算出する。ステップ502において、予測値算出部106はカウンタ113より操作回数Nを取得する。ステップ503において、予測値算出部106は、学習曲線に基づいてパラメータRTを算出する。
【0030】
ここで学習曲線について説明する。一般的に知られている学習曲線に以下式(8)がある。
RT=aN−b・・・(8)
但し、RTは反応時間、Nは操作回数、a,bは課題を表すパラメータである。本発明では、課題を表すパラメータa,bは一般的に規定されている所定の値(a=1.4、b=0.24)を用いることとする。ここで、このステップで用いる学習曲線については、上記学習曲線に限定されるものではない。
【0031】
ステップ504において、予測値算出部106は、ステップ501より算出した操作最低時間Tmin及びステップ503より算出したパラメータRTにより予測値Tpreを算出する。予測値Tpreは下記の式(9)により算出できる。つまり予測値Tpreは、ユーザが特定の映像を認識してから映像再生装置が操作コマンドを実行するまでに必要な処理時間の予測値に該当する。
Tpre=Tmin+RT・・・(9)
以上により、本実施形態による映像再生装置によれば、学習曲線に示される学習能力特性に基づいて予測値を算出することにより、ユーザの意図する映像特定箇所の表示をすることが可能になる。
【0032】
<実施形態2>
以下、本発明の実施形態2について、実施形態1との差異を中心にフローチャートを用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲がこの実施の形態に限定されるものではない。
【0033】
図6は、実施形態2における予測値の算出方法を示すフローチャートである。本実施形態では、学習曲線に加えて忘却特性を加味した予測値の算出方法を示す。
【0034】
ステップ601において、操作最低時間算出部105は操作最低時間Tminを算出する。ステップ602において、予測値算出部106はカウンタ113より操作回数Nを取得する。ステップ603において、予測値算出部106は上記式(8)の学習曲線に基づいてパラメータRTを算出する。
【0035】
ステップ604において、予測値算出部106はタイマ114より前回操作から経過した時間tを取得する。
【0036】
ステップ605において、予測値算出部106は忘却曲線に基づいてパラメータR(t)を算出する。ここで忘却曲線について説明する。本発明では忘却曲線としてロンドンの忘却曲線を用いて説明する。ロンドンの忘却曲線は以下の式(10)で示される。
【0037】
【数1】
【0038】
但し、R0を全量、時間をt、時間t後の保持量をR(t)、忘却の早さをλ、回復の速さをμとする。但しこのステップで用いる忘却曲線については、ロンドンの忘却曲線に限定されるものではない。
【0039】
ステップ606において、予測値算出部106はステップ601より算出した操作最低時間Tmin、ステップ603より算出した学習曲線のパラメータRT及びステップ605より算出した忘却曲線のパラメータR(t)により予測値Tpreを算出する。予測値Tpreは下記の式(11)により算出できる。
【0040】
【数2】
【0041】
以上により、本実施形態による映像再生装置によれば、学習曲線に示される人間の学習能力特性並びに人間の忘却特性に基づいて予測値を算出することにより、ユーザの意図する映像特定箇所の表示をすることが可能になる。なお、忘却特性にのみ基づいて予測値を算出してもよいし、もしくは、学習曲線による補正、忘却特性による補正を切り替えても同様の効果を得ることができる。
【0042】
<実施形態3>
図7は、実施形態3における予測値の算出方法を示すフローチャートである。本実施形態では、学習テーブルを用いた人間の学習能力特性を加味した予測値の算出方法を示す。
【0043】
ステップ701において、操作最低時間算出部105は操作最低時間Tminを算出する。ステップ702において、予測値算出部106はカウンタ113より操作回数Nを取得する。ステップ703において、予測値算出部106はテーブル112にて保持している学習テーブルを参照し学習による補正値RTを取得する。ステップ703において参照するテーブルの一例を図8に示す。このテーブルの内容は後に後述する。
【0044】
ステップ704において、予測値算出部106はステップ701より算出した操作最低時間Tmin及びステップ703より算出したパラメータRTにより予測値Tpreを算出する。予測値Tpreは式(9)に基づいて算出する。
【0045】
図8は図1における112のテーブルにて保持しているテーブル値の一例である。但しこのテーブルについては、本発明で例に挙げたテーブル値に限定されるのものではない。また、本テーブルはユーザごとに複数のテーブル値を持つことも可能である。列801は操作回数Nを表す。操作回数Nについてはステップ702においてカウンタ113より取得した操作回数Nを参照する。列802は学習による補正値RTを表す。例えば図7におけるステップ701にて算出した操作最低時間Tmin=0.5、ステップ702において取得した操作回数N=3であった場合は、ステップ703にて図8の行804を参照することにより、学習による補正値RT=1.05を取得する。
【0046】
ステップ703にて学習による補正値RT=1.05を取得した後は、予測値算出部106はステップ704にてステップ701より算出した操作最低時間Tminにより式(9)に基づいて予測値Tpreを算出する。この場合、予測値Tpre=Tmin+RT+1.05=2.00となる。
【0047】
なお、本実施例では連続的な場合について言及したが、離散的な場合についても本実施形態の仕組みによって同様の効果を得ることができる。
【0048】
<実施形態4>
図7は、実施形態4における予測値の算出方法を示すフローチャートである。本実施形態では、学習テーブルを用いた人間の学習能力特性並びに忘却テーブルを用いた人間の忘却特性を加味した予測値の算出方法を示す。
【0049】
ステップ901において、操作最低時間算出部105は操作最低時間Tminを算出する。ステップ902において、予測値算出部106はカウンタ113より操作回数Nを取得する。ステップ903において、予測値算出部106はテーブル112にて保持している学習テーブルを参照し学習による補正値RTを取得する。ステップ903において参照するテーブルの一例を図8に示す。ステップ904において、予測値算出部106はタイマ114より前回操作から経過した時間tを取得する。
【0050】
ステップ905において、予測値算出部106はテーブル112にて保持している忘却テーブルを参照し忘却による補正値R(t)を取得する。ステップ905において参照するテーブルの一例を図10に示す。このテーブルの内容は後に後述する。
【0051】
ステップ906において、予測値算出部106はステップ901より算出した操作最低時間Tmin及びステップ905より算出したパラメータR(t)により予測値Tpreを算出する。予測値Tpreは式(11)に基づいて算出する。
【0052】
図10はテーブル112にて保持しているテーブル値の一例である。但しこのテーブルについては、本発明で例に挙げたテーブル値に限定されるものではない。また、本テーブルはユーザごとに複数のテーブル値を持つことも可能である。列1001は経過時間tを表す。経過時間tについてはステップ904においてタイマ114より取得した経過時間tを参照する。列1002は時間t後の保持量R(t)を表す。例として、図9におけるステップ901にて算出した操作最低時間Tmin=0.6、ステップ802において取得した操作回数がN=2であった場合は、ステップ903にて図8の行804を参照することにより補正値RT=1.05を取得する。
【0053】
ステップ903にて学習による補正値RT=1.05を取得した後は、予測値算出部106はステップ904にてタイマ114より前回操作から経過した時間tを取得する。ここでタイマ114より取得した前回操作から経過した時間がt=20(分)であった場合は、ステップ905にて図10の行1003を参照することにより時間t後(時間20分後)の保持量R(t)=58(%)を取得する。
【0054】
ステップ905にて忘却による補正値R(t)=58(%)の取得後、予測値算出部106はステップ906にて、操作最低時間Tmin、ステップ903より取得した学習による補正値RTにより式(11)に基づいて予測値Tpreを算出する。この場合、予測値Tpreは2.091となる。
【0055】
なお、本実施例では連続的な場合について言及したが、離散的な場合についても本実施形態の仕組みによって同様の効果を得ることができる。
【0056】
<実施形態5>
図1に示した装置が有する各部は全てハードウェアでもって構成しているものとして上記実施形態では説明した。しかし、テーブル112等を保持する保持手段などを除く各部をコンピュータプログラムでもって構成しても良い。この場合、このようなコンピュータプログラムを格納するためのメモリと、このメモリに格納されているコンピュータプログラムを実行するCPUとを有するコンピュータ若しくは映像再生装置は、上記各実施形態に係る映像再生装置に適用することができる。
【0057】
図11は、上記各実施形態に係る映像再生装置に適用可能なコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0058】
CPU1101は、RAM1102やROM1103に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いてコンピュータ全体の制御を行うと共に、上記各実施形態に係る映像再生装置が行うものとして上述した各処理を実行する。即ち、CPU1101は、図1の101〜111、113〜116として機能することになる。
【0059】
RAM1102は、外部記憶装置1106からロードされたコンピュータプログラムやデータ、I/F(インターフェース)1109を介して外部から取得したデータなどを一時的に記憶するためのエリアを有する。更に、RAM1102は、CPU1101が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアを有する。即ち、RAM1102は、例えば、フレームメモリとして割当てたり、その他の各種のエリアを適宜提供することができる。
【0060】
ROM1103には、本コンピュータの設定データや、ブートプログラムなどが格納されている。操作部1104は、キーボードやマウスなどにより構成されており、本コンピュータのユーザが操作することで、各種の指示をCPU1101に対して入力することができる。表示部1105は、CPU1101による処理結果を表示する。また表示部1105は例えば液晶ディスプレイのようなホールド型の表示装置や、フィールドエミッションタイプの表示装置のようなインパルス型の表示装置で構成される。
【0061】
外部記憶装置1106は、ハードディスクドライブ装置に代表される、大容量情報記憶装置である。外部記憶装置1106には、OS(オペレーティングシステム)や、図1に示した各部の機能及び図4〜図7、図9に示したフローをCPU1101に実現させるためのコンピュータプログラムが保存されている。更には、外部記憶装置1106には、処理対象としての各画像データが保存されていても良い。
【0062】
外部記憶装置1106に保存されているコンピュータプログラムやデータは、CPU1101による制御に従って適宜RAM1102にロードされ、CPU1101による処理対象となる。I/F1107には、LANやインターネット等のネットワーク、他の機器を接続することができ、本コンピュータはこのI/F1107を介して様々な情報を取得したり、送出したりすることができる。1108は上述の各部を繋ぐバスである。
【0063】
上述の構成からなる作動は前述のフローチャートで説明した作動をCPU1101がその制御の中心となって行う。
【0064】
<その他の実施形態>
また、本発明の目的は、前述した機能を実現するコンピュータプログラムのコードを記録した記憶媒体を、システムに供給し、そのシステムがコンピュータプログラムのコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたコンピュータプログラムのコード自体が前述した実施形態の機能を実現し、そのコンピュータプログラムのコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成する。また、そのプログラムのコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した機能が実現される場合も含まれる。
【0065】
さらに、以下の形態で実現しても構わない。すなわち、記憶媒体から読み出されたコンピュータプログラムコードを、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込む。そして、そのコンピュータプログラムのコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行って、前述した機能が実現される場合も含まれる。
【0066】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するコンピュータプログラムのコードが格納されることになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの操作コマンドを受け付ける入力手段と、
前記入力手段によって入力された操作コマンドから再生中の映像の時間軸方向に関する位置を特定する位置特定手段と、
ユーザが特定の映像を認識してから映像再生装置が操作コマンドを実行するまでに必要な処理時間の予測値を、ユーザの能力特性を用いて算出する算出手段と、
前記位置特定手段によって特定された位置を、前記算出手段によって算出された予測値を用いて補正する補正手段と
を備えることを特徴とする映像再生装置。
【請求項2】
前記算出手段は、所定の値を示すパラメータと操作回数Nからなる学習曲線に基づいて前記予測値を算出することを特徴とする請求項1に記載の映像再生装置。
【請求項3】
前記算出手段は、忘却の早さλ並びに回復の速さμで示される忘却曲線に基づいて前記予測値を算出することを特徴とする請求項1乃至2に記載の映像再生装置。
【請求項4】
映像再生装置の制御方法であって、
ユーザからの操作コマンドを受け付ける入力工程と、
入力された操作コマンドから再生中の映像の時間軸方向に関する位置を特定する位置特定工程と、
ユーザが特定の映像を認識してから映像再生装置が操作コマンドを実行するまでに必要な処理時間の予測値を、ユーザの能力特性を用いて算出する算出工程と、
特定された再生中の映像の時間軸方向に関する位置を、算出された予測値を用いて補正する補正工程と
を備えることを特徴とする映像再生装置の制御方法。
【請求項5】
コンピュータが読み出して実行することにより、前記コンピュータを、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の映像再生装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
ユーザからの操作コマンドを受け付ける入力手段と、
前記入力手段によって入力された操作コマンドから再生中の映像の時間軸方向に関する位置を特定する位置特定手段と、
ユーザが特定の映像を認識してから映像再生装置が操作コマンドを実行するまでに必要な処理時間の予測値を、ユーザの能力特性を用いて算出する算出手段と、
前記位置特定手段によって特定された位置を、前記算出手段によって算出された予測値を用いて補正する補正手段と
を備えることを特徴とする映像再生装置。
【請求項2】
前記算出手段は、所定の値を示すパラメータと操作回数Nからなる学習曲線に基づいて前記予測値を算出することを特徴とする請求項1に記載の映像再生装置。
【請求項3】
前記算出手段は、忘却の早さλ並びに回復の速さμで示される忘却曲線に基づいて前記予測値を算出することを特徴とする請求項1乃至2に記載の映像再生装置。
【請求項4】
映像再生装置の制御方法であって、
ユーザからの操作コマンドを受け付ける入力工程と、
入力された操作コマンドから再生中の映像の時間軸方向に関する位置を特定する位置特定工程と、
ユーザが特定の映像を認識してから映像再生装置が操作コマンドを実行するまでに必要な処理時間の予測値を、ユーザの能力特性を用いて算出する算出工程と、
特定された再生中の映像の時間軸方向に関する位置を、算出された予測値を用いて補正する補正工程と
を備えることを特徴とする映像再生装置の制御方法。
【請求項5】
コンピュータが読み出して実行することにより、前記コンピュータを、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の映像再生装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−130129(P2011−130129A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285766(P2009−285766)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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