説明

映像処理装置及び映像表示装置

【課題】フレームレートを変換したことによって、重畳されたOSDの表示状態が影響を受けないようにすることが可能な映像処理装置及び映像表示装置を提供する。
【解決手段】スケーラー21からミキサー24に入力された映像信号のR、G、B各色最下位2ビットを、OSD回路23が生成したOSD映像信号に置換して多重映像信号25を生成し、“OSDあり”の期間を示すDE信号26と共にスケーリング回路2及びフレームレート変換回路3の間で授受してフレームメモリ32に書き込む。フレームメモリ32から読み出した多重映像信号をOSD映像信号及びOSD以外の映像を表す入力映像近似信号に分離し、入力映像近似信号に補間フレームを挿入してフレームレート変換を施してからOSDを重畳させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OSD(On Screen Display)機能を備えてフレームレート変換を行う映像処理装置、及び当該装置を備える映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像表示装置が表示可能な映像信号のフォーマットは、特定のものに限定されることが多い。このため、入力された映像信号を当該映像表示装置が対応する映像信号に変換する処理が必要となる。これらの映像処理の例として、スケーリング(映像信号の解像度を映像表示装置の対応する解像度に一致させる処理)及びアスペクト比変換(映像信号によって表される画像の縦横比を変換する処理)がある。スケーリング及びアスペクト比変換は、1チップのICで実現されている。
【0003】
更に、近年の映像表示装置では、OSD機能と称する表示機能を備えることが多い。OSD機能は、文字、図表、絵柄等の情報(以下、OSDという)を通常表示している映像に重畳して表示するための機能である。OSD機能は、前記スケーリング及びアスペクト比変換と併せて1チップのICで実現されている。
【0004】
一方、液晶の映像表示装置では、表示応答速度が遅いという特性を改善するため、フレームレート変換(フレームの繰り返し周波数を変換する処理)を行ってフレームレートを高め、動画表示性能を向上させることが行われる。フレームレート変換処理は、フレームメモリ等の周辺回路を含めて1チップのICで実現されている。
【0005】
上述の映像処理、OSD機能、及びフレームレート変換の3機能は、回路規模の制約より2チップのICで構成される回路により実現されることが多い。フレームレート変換及びOSD機能に限定すれば、CPU及びROMを外付けにして1チップのICで実現した例がある(例えば、特許文献1参照)。但し、特許文献1に開示された技術では、スケーリング及びアスペクト比変換等の画像処理を含めた前記3機能を実現しようとすると、やはりチップ全体が大型化して発明の効果が減殺されるため、2チップ以上のICで実現するのが得策となる。
【0006】
図5は、前記3機能を2チップのICで実現した従来例1の映像処理回路の構成を示すブロック図である。スケーリング回路2Bのミキサー24Bは、スケーラー21Bが出力した映像信号にOSD回路23Bで生成されたOSD映像信号を重畳し、生成した映像信号25Bをフレームレート変換回路3Bに向けて出力する。フレームレート変換回路3Bでは、入力された映像信号25Bをフレーム単位にフレームメモリ(メモリA)32Bに書き込む。フレームレートコンバーター(以下コンバーターという)33Bは、フレームメモリ32Bから読み出したフレームに対し、補間フレームの生成及び挿入を行って映像信号34Bを出力する。
【0007】
図6は、従来例1の映像処理回路について各フレームが表す画面の内容及び各フレームに対する処理の流れを示す説明図である。図6(a)に示された映像信号25Bの各フレームは、図6(b)及び図6(c)に示すフレームメモリ(メモリA)32BのフレームA(A面)及びフレームB(B面)に夫々交互に書き込まれ、書き込み時の2倍のフレームレートでA面及びB面より交互に読み出される。読み出された各フレームの境界には、動き検出により生成されたフレームが挿入(鎖線矢印で示す)され、映像信号25Bの2倍のフレームレートを有する映像信号34Bとして、図6(d)に示すように出力される。
【0008】
図7は、図5とは異なる回路構成により前記3機能を実現した従来例2の映像処理回路の構成を示すブロック図である。スケーリング回路2Cのバッファ27を介してスケーラー21Cから出力された映像信号25C及びOSD回路23Cで生成されたOSD映像信号28は、夫々個別の映像信号としてフレームレート変換回路3Cに向けて出力される。フレームレート変換回路3Cでは、入力された映像信号25C及びOSD映像信号28を、夫々フレーム単位にフレームメモリ(メモリA)32C及びフレームメモリ(メモリB)36に書き込む。コンバーター33Cは、フレームメモリ32C及びフレームメモリ36から読み出したフレームに対し、夫々個別に補間フレームの生成及び挿入を行った後に、ミキサー24CにおいてOSDを重畳し、映像信号34Cを出力する。
【0009】
図8は、従来例2の映像処理回路について各フレームが表す画面の内容及び各フレームに対する処理の流れを示す説明図である。図8(a)に示された映像信号25Cの各フレームは、図8(b)及び図8(c)に示すフレームメモリ(メモリA)32CのフレームA(A面)及びフレームB(B面)に夫々交互に書き込まれ、書き込み時の2倍のフレームレートでA面及びB面より交互に読み出される。読み出された各フレームの境界には、動き検出により生成されたフレームが挿入(鎖線矢印で示す)され、映像信号25Cの2倍のフレームレートで図8(d)の映像を表すフレーム列が生成される。
一方、図8(h)に示されたOSD映像信号28の各フレームは、図8(g)に示すフレームメモリ(メモリB)36に書き込まれる。更に書き込み時の2倍のフレームレートで同じフレームの内容が2つ続けて読み出され、図8(f)のOSDを表すフレーム列が生成される。ミキサー24Cは前記映像を表すフレーム列の各映像信号にOSDを表すフレーム列の各映像信号を重畳し、映像信号25Cの2倍のフレームレートを有する映像信号34Cとして、図8(e)に示すように出力する。
【0010】
上述した従来例1及び従来例2では、フレームレート変換に際し挿入される補間フレームは、重畳されるOSDの有無にかかわらず、入力映像信号によって表される画面上の全ての映像に基づいて生成されるものである。これに対し、特許文献2では、“OSDあり”を検出しているときは、後段の信号変換動作を停止し、該信号変換によってOSDの輝度が変化することを防止している。
【特許文献1】特開2002−369092号公報
【特許文献2】特開平10−31454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来例1では、映像処理が行われOSDが重畳された映像信号に対してフレームレート変換を行うので、映像の動き検出の影響を受けてOSDが正しい表示位置に表示されないことがあった。具体的には、図6において、映像信号25Bのフレーム501が表す画面上の楕円映像にOSD「ABC」が重畳されている場合、楕円映像は正しく動き検出されてフレーム502に表示されるが、フレーム502では、OSD「ABC」が楕円映像の表示位置変化に影響されて二重に表示される。
【0012】
また従来例2では、映像信号25CとOSD映像信号28とを分離したことにより、OSDの表示位置はコンバーター33Cによる動き検出の影響を受けることはなくなるが、従来例1と比較して、OSD映像信号28を伝送する信号線及びOSD映像信号28専用のフレームメモリ36が余分に必要となる。これらはICの端子数増加及び回路規模の増大につながり、製造コストが余分にかかるという問題があった。
【0013】
一方、特許文献2に開示された技術によれば、フレームレート変換に際し挿入される補間フレームは、OSDによって重畳される範囲を除いた画面上にある映像に基づいて生成されるものになるため、例えば動き検出等の補間処理が不十分なものとなる。
【0014】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、入力映像信号の一部を他の映像信号に置換した多重映像信号を生成し、次いで多重映像信号を他の映像信号及び他の映像以外の映像を表す入力映像近似信号に分離し、入力映像近似信号に補間フレームを挿入してフレームレート変換を施してから他の映像を重畳させるように構成することにより、回路ブロック間の伝送信号ライン数を削減でき、他の映像信号用のフレームメモリを不要とすることが可能であると共に、フレームレート変換に際し入力映像信号によって表される全ての映像に基づいて補間フレームを生成することができ、補間フレームを挿入したことによって、重畳された他の映像の表示状態が影響を受けないようにすることが可能な映像処理装置及び映像表示装置を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、他の映像が半透過又は非透過の何れにして重畳されるかを示す信号を受け付け、受け付けた信号に基づいて他の映像を重畳させるように構成することにより、他の映像を半透過又は非透過の何れにして重畳させるかを選択することが可能な映像処理装置及び映像表示装置を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、多重映像信号を生成する場合、ビットパラレルの入力映像信号の各色最下位ビット側を、単位信号毎に他の映像信号に置換するように構成することにより、入力映像信号が表す映像の解像度低下を最小とすることができ、例えば補間フレーム生成時の動き検出の誤動作を最小限にすることが可能な映像処理装置及び映像表示装置を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、他の映像信号のR(赤)、G(緑)及びB(青)各色を2ビットで構成することにより、多重映像信号を生成する際に入力映像信号から失われる情報の量を少なく抑えて、重畳させる他の映像を最大64色で表現することが可能な映像処理装置及び映像表示装置を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、他の映像以外の映像を表す入力映像近似信号に対し、各フレームの境界を挟む前後1フレームの内容に基づいて1つの補間フレームを生成及び挿入すると共に、他の映像は2フレーム続けて同一内容を重畳するように構成することにより、補間による効果を大きくしてフレームレートを2倍にできると共に、他の映像を簡便に重畳することが可能な映像処理装置及び映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る映像処理装置は、映像信号のフレームレートを変換する変換手段と、前記変換手段が変換した映像信号によって表される映像に、他の映像信号によって表される他の映像を重畳するための重畳手段とを有する映像処理装置において、前記他の映像信号に他の映像が表されている期間を示す信号を受け付ける受付手段と、前記信号を受け付けた場合、入力映像信号の一部を、前記他の映像信号に置換して、多重映像信号を生成する置換手段と、前記多重映像信号を、前記受付手段が受け付けた信号に基づいて、前記他の映像信号及び前記他の映像以外の映像を表す入力映像近似信号に分離する手段とを備え、前記変換手段は、入力映像近似信号に補間フレームを挿入するように構成してあることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、入力映像信号及び他の映像信号から生成した多重映像信号並びに受付手段が受け付けた信号を、例えばOSD映像信号を生成する回路ブロック並びにフレームレート変換を行う回路ブロック間で授受し、受け取った回路ブロック側で互いに対応付けられた信号としてフレームメモリに書き込む。次いで多重映像信号を前記信号に基づいて、他の映像信号及び他の映像以外の映像を表す入力映像近似信号に分離し、入力映像近似信号に補間フレームを挿入してフレームレート変換を施し、更に他の映像信号によって表される他の映像を重畳させる。
【0021】
本発明に係る映像処理装置は、前記他の映像が、半透過又は非透過の何れにして重畳されるかを示す信号を受け付ける手段を備え、前記重畳手段は、前記信号に基づいて重畳するように構成してあることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、他の映像が半透過又は非透過の何れにして重畳されるかを示す信号を受け付け、他の映像を重畳する場合に、受け付けた信号に基づいて、重畳させる形式を半透過又は非透過に設定する。
【0023】
本発明に係る映像処理装置は、前記置換手段は、ビットパラレルの入力映像信号の各色最下位ビット側を、前記他の映像信号に置換することを特徴とする
【0024】
本発明にあっては、多重映像信号を生成する場合、ビットパラレルの入力映像信号の各色最下位ビット側を、単位信号毎に他の映像信号に置換する。従って、入力映像信号のうち、重みの大きいビット側の信号が多重映像信号に引き継がれる。
【0025】
本発明に係る映像処理装置は、前記他の映像信号は、R、G、B各色を2ビットで構成してあることを特徴とする。
【0026】
本発明にあっては、各映像信号はR、G、Bの3色で構成し、他の映像信号は、各色を2ビットとして構成する。従って、他の映像は最大64色で表現される。また、入力映像信号のうち、2ビットだけが他の映像信号に置換される。
【0027】
本発明に係る映像処理装置は、前記変換手段は、前記入力映像近似信号の各フレームの境界を挟む前後1フレームの内容に基づいて、1つの補間フレームを生成する手段を有し、前記補間フレームを、生成した各フレームの境界に挿入するように構成してあり、前記重畳手段は、前記補間フレームに対し、該補間フレームの直前のフレームに重畳した他の映像と同一の映像を重畳するように構成してあることを特徴とする。
【0028】
本発明にあっては、他の映像以外の映像を表す入力映像近似信号に対し補間フレームを挿入する場合、フレーム間の相関関係の強い前後1フレームの内容に基づいて1つの補間フレームを生成し各フレームの境界に挿入する。また、他の映像については、フレーム間の相関関係を考慮する必要がないことから、前記補間フレームに対して該補間フレームの直前のフレームに重畳した他の映像と同一の映像を重畳する。
【0029】
本発明に係る映像表示装置は、上述した映像処理装置と、映像信号を表示する表示部とを備えたことを特徴とする。
【0030】
本発明にあっては、上述した映像処理装置が出力する映像信号を表示する。従って、フレームレート変換の影響を受けない他の映像が重畳表示される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、入力映像信号及び他の映像信号が多重化されることで、回路ブロック間の伝送信号ライン数を削減でき、他の映像信号用のフレームメモリが不要になる。また、他の映像を重畳する前にフレームレート変換することで、入力映像信号によって表される全ての映像に基づいて補間フレームを生成することができ、補間フレームを挿入したことによって、重畳された他の映像の表示状態が影響を受けないようにすることが可能となる。
【0032】
本発明によれば、他の映像が半透過又は非透過の何れにして重畳されるかを示す信号を受け付け、他の映像を重畳する際に、受け付けた信号に基づいて重畳する形式が選択される。従って、他の映像を半透過又は非透過の何れにして重畳させるかを選択することが可能となる。
【0033】
本発明によれば、多重映像信号を生成する場合、ビットパラレルの入力映像信号のうち、重みの大きいビット側の信号を引き継いで重みの小さい各色最下位ビット側を単位信号毎に他の映像信号に置換する。従って、入力映像信号が表す映像の解像度低下を最小とすることができ、例えば補間フレーム生成時の動き検出の誤動作を最小限にすることが可能となる。
【0034】
本発明によれば、他の映像信号のR、G、B各色を2ビットで構成する。従って、多重映像信号を生成する際に入力映像信号から失われる情報の量を2ビットに抑えて、重畳させる他の映像を最大64色で表現することが可能となる。
【0035】
本発明によれば、他の映像以外の映像を表す入力映像近似信号に対し、各フレームの境界を挟む前後1フレームの内容に基づいて1つの補間フレームを生成及び挿入すると共に、他の映像は2フレーム続けて同一内容を重畳する。従って、フレーム間の相関関係が考慮されることで、補間による効果を大きくしてフレームレートを2倍にできると共に、他の映像を簡便に重畳することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。図中1は本発明に係る映像処理装置であり、映像処理装置1は、夫々別チップのICからなるスケーリング回路2及びフレームレート変換回路3を備えている。映像処理装置1は更に、各種操作を受け付けるための操作部6、並びに表示及び操作等に係る全体制御を行うための制御部7を備えている。
【0037】
制御部7は、操作部6になされた操作を受け付けてOSDを生成する必要が生じた場合、スケーリング回路2のCPU22に対してOSDの生成を指示する。
【0038】
まずスケーリング回路2について説明する。スケーラー21は、CPU22の制御を受けて、映像信号20に対しスケーリング及び画質変換等の映像処理を施し、R、G、B各色10ビットパラレル(0:9)で構成される映像信号に変換し、変換した映像信号をミキサー24に与える。このとき、スケーラー21が変換した映像信号に適合するように生成した水平同期信号、垂直同期信号及びドットクロック信号も併せてミキサー24に与えられる。
【0039】
OSD回路23は、制御部7にOSDの生成を指示されたCPU22の制御を受けて、R、G、B各色を2ビットで構成されるOSD映像信号及び“OSDあり”の期間を示すDE(Data Enable)信号を生成し、これらの信号をミキサー24に与える。
【0040】
ミキサー24は、スケーラー21から入力されたR、G、B各色10ビットパラレルの映像信号のうち、前記DE信号が有意である期間について、映像信号の各色最下位2ビットをOSD回路23から与えられたOSD映像信号に夫々置換し、R、G、B各色10ビットパラレルの多重映像信号25を生成する。ミキサー24は、多重映像信号25と共に、スケーラー21から与えられた水平同期信号(HSYNC)、垂直同期信号(VSYNC)及びドットクロック信号(CLK)並びにOSD回路23から与えられたDE信号26をスケーリング回路2から出力し、フレームレート変換回路3の映像入力部31に与える。従って、フレームレート変換回路3に与えられる信号線としては、計34本(内訳は、R、G、B各色に各10本。更にHSYNC、VSYNC、CLK及びDEに各1本)であり、従来例2の図7の場合(本実施例と比較しDEの1本が不要。OSD映像信号のR、G、B各色に各2本を、HSYNC、VSYNC及びCLKに各1本を追加)と比較して8本を削減している。
【0041】
次にフレームレート変換回路3について説明する。映像入力部31は、スケーリング回路2のミキサー24から入力された多重映像信号25のR、G、B各色映像信号とDE信号26の内容とを対応付けて、フレーム単位にフレームメモリ(メモリA)32へ書き込む。
【0042】
コンバーター33は、フレームメモリ32からフレーム単位に各色映像信号及びDE信号を読み出し、DE信号が有意(DE=1)であるか否か(DE=0)によって、読み出した映像信号を、R、G、B各色が8ビットパラレル若しくは10ビットパラレルで構成される映像フレーム、又はR、G、B各色が2ビットで構成されるOSDフレームに分離する。更にコンバーター33は、分離した映像フレーム及びOSDフレームに対し、夫々別々に補間フレームの生成及び挿入を行い、次いでOSDを重畳し映像信号34としてフレームレート変換回路3から表示制御部(パネルコントローラ)4へ出力する。
【0043】
表示制御部4は、フレームレート変換回路3から与えられた映像信号34に対し、ガンマ補正、シェーディング補正等の映像処理を加えて後段の表示部(パネル)5を駆動する。表示部5は液晶である。
【0044】
図2は、本発明に係る映像表示装置について、フレームメモリ(メモリA)32に書き込まれる内容及び展開方法を示す説明図であり、図3は、本発明に係る映像表示装置について、フレームメモリ32の内容を展開する方法を示す説明図である。図2及び図3において、フレームメモリ32にはフレームA(A面)及びフレームB(B面)の書き込み領域があり、図中のフレーム1乃至4の内容は前記A面及びB面に交互に書き込まれる。A面及びB面に書き込まれる内容は、前記多重映像信号25のR、G、B各色10ビットパラレル(0:9)の映像信号及びDE信号であり、これらは互いに対応付けられている。A面及びB面に書き込まれたフレーム1乃至4の内容が表す映像は、仮想的な映像フレーム201に示すように見かけ上入力映像信号が表す映像(ここでは楕円図形)とOSD(ここでは文字「ABC」)が重畳されたものとなっているが、実際にはOSDが重畳されていない多重映像信号として書き込まれ、後述するように読み出し時に分離して展開される。
【0045】
A面及びB面から各色映像信号を読み出す場合、各色映像信号に対応するDE信号が有意でない(DE=0)ときは“OSDなし”を示すので、各色10ビットパラレルの映像信号はそのまま映像フレーム202に展開する。一方、対応するDE信号が有意(DE=1)のときは“OSDあり”を示すので、各色10ビットパラレルの映像信号のうち最上位8ビットは映像フレーム202に展開し、最下位2ビットはOSDフレーム203に展開する。このようにして入力映像信号が表す映像(楕円図形)とOSD(文字「ABC」)は、夫々異なるフレームに展開される。但し映像フレーム202上の8ビットの映像信号が書き込まれた範囲は、他の10ビットの映像信号が書き込まれた範囲より最下位2ビット分だけ解像度が低下したものとなっている。
【0046】
図4は、本発明に係る映像表示装置について、各フレームが表す画面の内容及び各フレームに対する処理の流れを示す説明図である。図4(a)に示された多重映像信号25の各フレームには、フレーム間で表示位置が変化する楕円図形の映像及びOSD「ABC」又は「DEF」が表されている。図4(a)の各フレームの内容は、前記DE信号26と対応付けて、図4(b)及び図4(c)に示すフレームメモリ(メモリA)32のフレームA(A面)及びフレームB(B面)に夫々交互に書き込まれる(点線矢印で示す)。但し書き込み時は図示したように分離・展開せず、多重映像信号として書き込まれる。
【0047】
フレームメモリ32のA面及びB面から読み出す場合は、上述したように、読み出したDE信号に基づいて、図4(b)及び図4(c)の夫々上段(入力映像信号が表す映像を含む映像フレーム)及び下段(OSDを含むOSDフレーム)に示すように分離・展開される。実際の読み出しでは、書き込み時の2倍のフレームレートでA面又はB面より読み出され、入力映像信号が表す映像にOSDを上書きして重畳する(実線矢印で示す)。このようにして書き込み時より半フレーム遅れて図4(d)のフレーム301、303、305が生成される。
【0048】
A面又はB面への次の新たな書き込み時には、図4(b)及び図4(c)の夫々上段に示された入力映像信号が表す映像を含む映像フレームについて、1フレーム前に夫々B面及びA面に書き込んだ映像フレームとの間で動画のベクトル演算による動き検出が行われ、図4(d)に示すフレーム列に挿入する補間フレームが生成される(鎖線矢印で示す)。該補間フレームには、1フレーム前に読み出された夫々B面及びA面のOSDがそのまま重畳される。このようにしてフレーム301、303、305の間に、夫々フレーム302、304が生成及び挿入される。なお、フレームメモリ32からの読み出しは、書き込みに続く半フレームの期間でA面及びB面より交互に行い、更に夫々の読み出しに続く半フレームの期間で、補間フレームを生成及び挿入するので、A面及びB面のオーバーフロー/アンダーフローは発生しない。
【0049】
このように構成された本実施の形態に係る映像表示装置にあっては、ビットパラレルの入力映像信号のR、G、B各色最下位2ビットをOSD映像信号に置換した多重映像信号を生成し、スケーリング回路及びフレームレート変換回路の間で授受してフレームレート変換回路側でフレームメモリに書き込む。次いでフレームメモリから読み出した多重映像信号をOSD映像信号及びOSD以外の映像を表す入力映像近似信号に分離し、入力映像近似信号に補間フレームを挿入してフレームレート変換を施してからOSDを重畳させる。従って、多重映像信号とせずに伝送した場合と比較して回路間の伝送信号ライン数を削減でき、OSD映像信号用のフレームメモリを不要とすることが可能であると共に、フレームレート変換に際し入力映像信号によって表される全ての映像に基づいて補間フレームを生成することができ、補間フレームを挿入したことによって、重畳されたOSDの表示状態が影響を受けないようにすることが可能となる。更に、多重映像信号を生成する際に入力映像信号が表す映像の解像度低下を最小としつつ64色のOSD映像信号を多重化することができ、例えば補間フレーム生成時の動き検出の誤動作を最小限にすることが可能となる。
【0050】
また、入力映像近似信号に対し、各フレームの境界を挟む前後1フレームの内容に基づいて1つの補間フレームを生成及び挿入すると共に、OSDは2フレーム続けて同一内容を重畳するため、動き検出による補間の効果を大きくしてフレームレートを2倍にできると共に、OSDを簡便に重畳することが可能となる。
【0051】
なお、本実施の形態にあっては、入力映像信号が表す映像にOSDを上書きして重畳するように構成してあるが、OSDが半透過又は非透過(上書き)の何れの形式で重畳されるかを示す信号を受け付け、受け付けた信号に基づいて重畳する形式を選択するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る映像表示装置について、フレームメモリに書き込まれる内容及び展開方法を示す説明図である。
【図3】本発明に係る映像表示装置について、フレームメモリの内容を展開する方法を示す説明図である。
【図4】本発明に係る映像表示装置について、各フレームが表す画面の内容及び各フレームに対する処理の流れを示す説明図である。
【図5】従来例1の映像処理回路の構成を示すブロック図である。
【図6】従来例1の映像処理回路について、各フレームが表す画面の内容及び各フレームに対する処理の流れを示す説明図である。
【図7】従来例2の映像処理回路の構成を示すブロック図である。
【図8】従来例2の映像処理回路について、各フレームが表す画面の内容及び各フレームに対する処理の流れを示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 映像処理装置
2、2B、2C スケーリング回路
3、3B、3C フレームレート変換回路
4 表示制御部
5 表示部
6 操作部
7 制御部
21、21B、21C スケーラー
22 CPU
23、23B、23C OSD回路
24、24B、24C ミキサー
25 多重映像信号
25B、25C、34、34B、34C、20 映像信号
26 DE信号
27 バッファ
28 OSD映像信号
31 映像入力部
32、32B、32C、36 フレームメモリ
33、33B、33C コンバーター
201 仮想的な映像フレーム
202 映像フレーム
203 OSDフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号のフレームレートを変換する変換手段と、前記変換手段が変換した映像信号によって表される映像に、他の映像信号によって表される他の映像を重畳するための重畳手段とを有する映像処理装置において、
前記他の映像信号に他の映像が表されている期間を示す信号を受け付ける受付手段と、
前記信号を受け付けた場合、入力映像信号の一部を、前記他の映像信号に置換して、多重映像信号を生成する置換手段と、
前記多重映像信号を、前記受付手段が受け付けた信号に基づいて、前記他の映像信号及び前記他の映像以外の映像を表す入力映像近似信号に分離する手段とを備え、
前記変換手段は、入力映像近似信号に補間フレームを挿入するように構成してあることを特徴とする映像処理装置。
【請求項2】
前記他の映像が、半透過又は非透過の何れにして重畳されるかを示す信号を受け付ける手段を備え、前記重畳手段は、前記信号に基づいて重畳するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記置換手段は、ビットパラレルの入力映像信号の各色最下位ビット側を、前記他の映像信号に置換することを特徴とする請求項1又は2に記載の映像処理装置。
【請求項4】
前記他の映像信号は、R、G、B各色を2ビットで構成してあることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の映像処理装置。
【請求項5】
前記変換手段は、前記入力映像近似信号の各フレームの境界を挟む前後1フレームの内容に基づいて、1つの補間フレームを生成する手段を有し、前記補間フレームを、生成した各フレームの境界に挿入するように構成してあり、
前記重畳手段は、前記補間フレームに対し、該補間フレームの直前のフレームに重畳した他の映像と同一の映像を重畳するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の映像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一つに記載の映像処理装置と、
映像信号を表示する表示部とを備えたことを特徴とする映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−294569(P2008−294569A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135752(P2007−135752)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】