説明

映像変換装置、これを用いる映画システムの撮影システム、映像変換方法、及び映像変換プログラム

【課題】映像製作において、撮影監督による撮影現場での色調整を可能にし、映像製作工程をさらに効率化し、コストダウンを図ることができ、映像の品質を向上させることができる映像変換装置、撮影システム、映像変換方法、映像変換プログラムを提供する。
【解決手段】カメラ映像データ信号を取得するユニットと、カメラ映像データ信号を、撮影シーン基準の色空間へ変換して第1の映像データを求める第1の色変換ユニットと、第1の映像データに対して色調整を行なわせる色調整ユニットと、色調整後の映像データを、映像の出力の標準色空間へ変換して第2の映像データを求める第2の色変換ユニットと、第2の映像データを、映像の最終出力デバイスの色空間へ変換した際に得られるデバイス色を事前に異なる表示デバイスで確認させるために、確認用表示デバイスの色空間に変換して第3の映像データを求める第3の色空間変換ユニットを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像変換装置、これを用いる映画システムの撮影システム、映像変換方法、映像変換プログラム、及びその記録媒体に関し、詳しくは映像製作過程、即ち映画、TVの製作過程で行われる色設計、調整作業を効率化する、特に映画システムの撮影現場で、複数台のカメラを使用して撮影されるカメラ映像データから再現された最終表示デバイスの色を確認することができる映像変換装置、及び映像変換方法、映像変換装置を用いる映画システムの撮影システム、並びにこのような映像変換方法をコンピュータに実行させる映像変換プログラム、及びこれを記載したコンピュータに読取可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、映画システムにおいては、映写機による映画の上映のために、例えばフィルムプロジェクタに用いられる上映用ポジフィルム(上映用配給フィルム)やデジタルプロジェクタに用いられる上映用映像データを記録した上映用ハードディスク(可搬式上映用配給ハードディスク)等の記憶媒体が製作されている。
【0003】
従来、このような上映用ポジフィルムやハードディスクを製作する映画制作ワークフローにおいては、撮影監督の下で、撮影・現像済みの映画撮影用ネガフィルムをテレシネ装置等の画像入力装置で読み取ってデジタル処理したデジタル映像データ、映画用デジタル撮像カメラで撮影したデジタル映像データ、コンピュータ等により作製されたコンピュータグラフィックス(CG)等のデジタル映像データを取得し、撮影後の後工程である編集工程(ポストプロダクション:Post Production)で、取得されたデジタル映像データに対してデジタル映像加工・編集・色補正を行い、また、視聴覚を加えて、編集加工後の映像データ、すなわち映像ソースデータを作成し、これを中間ネガを経由して上映用ポジフィルムに出力し、フィルムプロジェクタで投影し、または出力用データに変換し、上映用ハードディスク等に出力し又は直接配信してデジタルプロジェクタで投影している。(特許文献1参照)
【0004】
なお、特許文献1には、映画システムにおいて、ビデオカメラによる電子撮像により得た映像信号の色補正等の映像特性の補正が、映画フィルムで撮影したものを処理する場合と同様に簡単に行う事が出来る映像変換方法及び装置が開示されている。
また、特許文献2には、映画システムではないが、ディスプレイ装置を接続して映像情報を送信し、接続されたディスプレイ装置の再現特性情報を取得又は選択し、得られた再現特性情報を利用して、忠実な色の映像がディスプレイ装置で再現されるように映像情報を変換する画像処理装置及び方法が開示されている。
【0005】
ところで、撮影後の編集工程である映像製作の後工程(ポストプロダクション)は、撮影監督や、制作者(プロデューサ)や、カラリスト等の多数の人や、様々な会社の協働作業となるのが一般的であり、各人間、各社間のデータのやりとり、各人間、各社間にまたがる工程全体の設計が必要である。しかしながら、データフォーマットや画像変換ワークフローには標準が無いため、フォーマット変換や色空間の変換等の付帯作業が必要であり、作業の煩雑化、画像品質の低下、作業工数の増大を招いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−055029号公報
【特許文献2】特開2008−295034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、映像製作の後工程のポストプロダクションにおける色調整の規格化が、映画アカデミー(The Academy of Motion Picture Arts and Sciences:以下、AMPASと略称する)において図られている。図10に、AMPASが提唱するデジタル映画制作ワークフロー規格AMPAS−IIFの色変換アーキテクチャーの一例を示す。
図10に示すAMPAS−IIFの色変換アーキテクチャーは、基本的に、入力色空間ACES(Academy Color Encoding Specification)100及び出力色空間OCES(Output Color Encoding Specification)102の2つの共通色空間と、両者間を対応つける共通変換RRT(Reference Rendering Transform)104及び入出力デバイスと共通空間を変換する入力デバイス変換IDT(Input Device Transform)106/出力デバイス変換ODT(Output Device Transform)108とによりデジタル映像データ変換が定義されている。
【0008】
IDT106は、デジタルカメラ110の撮影映像データ(デジタルカメラの色空間)を入力の共通色空間であるACES100に変換するものであり、ODT108は、出力の共通色空間であるOCES102からデジタルプロジェクタ112の出力映像データ(デジタルプロジェクタの色空間)に変換するものである。
即ち、デジタル映像データ変換系では、デジタルカメラ110の撮影映像データがIDT106によってACES100に変換され、又コンピュータグラフィックス(CG)114の映像データも直接ACES100に変換され、ACES100で色調整等の編集加工が行われた後、RRT104によってOCES102に変換され、OCES102からRDT/ODT108によってデジタルプロジェクタ112の出力映像データに変換される。
【0009】
さらに、標準ネガフィルム濃度APD(AMPAS Printing Density)116とそれをコード化したADX118を定義し、入力色空間ACES100との固定変換(Universal Build)とその逆変換(Universal Unbuild)からなるUB変換/逆変換120を設定し、デジタル画像データ変換系とコンベンショナルな銀塩フィルム系を対応付けている。
この銀塩フィルム系では、フィルムカメラで撮影されたフィルムからフィルムスキャナ122によって読み取られた画像濃度データは、標準ネガフィルム濃度APD116の濃度データに変換され、さらに、ADXコード118に変換された後、UB変換120によってACES100に変換され、ACES100で色調整等の編集加工が行われ、ACES100から、逆変換120によって再びADXコード118に変換され、フィルムレコーダ124によってインターネガ126が作成され、光学プリント128によって映画用ポジフィルムが作成され、フィルムプロジェクタ130に供される。
【0010】
ここで、ACES100は、シーン基準の色空間として定義され、シーン自身を測色計で測定したCIEの3刺激値XYZを線形変換した値を持ち、図11に示すように、全てのスペクトル軌跡をカバーするRGB3原色の色度が定められ、16ビット(bit float)でエンコーディングされる。即ち、ACES100で記述できる画像データの色範囲とダイナミックレンジは無制限と言える。また、ACES100の基準白色は、D60とされている。
このように、広大な色空間であるACES100は、フィルムカメラ及びデジタルカメラで撮影された画像とCG画像とを、原画マスターとして保管するための共通色空間でもあり、色調整も、ACES空間で行われる。
一方、OCES102は、1,000,000:1以上のダイナミックレンジを有する理想的なディスプレイデバイスを想定した出力色空間であり、RRT変換104を介してACES色空間100と1対1で対応付けられている。OCES102は、AMPAS-IIFの内部色空間として位置付けられ、一般ユーザーがOCES画像データを直接ハンドリングすることは想定されていない。
【0011】
このように、AMPAS-IIFは、映像製作のポストプロダクション工程に標準を与えるものであり、様々な映像ソースを色調整の標準作業色空間(シーン基準の色空間:ACES)に変換する仕組み、ACESから映画上映やTV放映向きの観賞用映像を理想的な出力デバイスの色空間(OCES)への変換する仕組み、OCESから実在する表示デバイスへ色変換する仕組みを提供するので、撮影後の編集工程における煩雑な画像変換、色調整作業を効率化することができる。
このように、ポストプロダクションでは、この標準ワークフローに従うことで、標準データフォーマット、かつ標準色空間で作業を行うことができ、画像交換における付帯作業が解消され、色調整作業の効率化、画像品質の向上、及び工数削減の効果を上げることができる。
【0012】
しかしながら、映像撮影には、様々なメーカ、機種のデジタルカメラが使用され、撮影された映像の確認用モニタも、様々なメーカ、機種のものが使用され、確認用モニタに表示させる信号の色空間も様々である。そのため、撮影現場での映像確認において色を厳密に評価することができず、映像の色調整は、映像製作の後工程であるポストプロダクションで行われている。このポストプロダクションでの映像の色調整は、AMPAS−IIFの色変換アーキテクチャを用いることにより、色調整作業の効率化、画像品質の向上、及び工数削減を図ることはできるが、映像製作において、撮影した色を決める決定権を持っているのは撮影現場の撮影監督であるので、現在、撮影後、現場で撮影を指揮した撮影監督がポストプロダクションの現場に赴いて、シーン毎の撮影意図に応じた色再現調整を、ポストプロダクションにいる色調整の専門家であるカラリストと一緒に同席して撮影映像を見ながら、様々なシーンやカットやフレームに必要な色調整を行う作業を行っている。
この色調整作業は、通常、試行錯誤の後、完了する工程であるため、全部の映像を見なくてはならないし、色調整をするカットやフレームを何回も繰り返して見ることになるので、非常に長い時間がかかる作業になっているという問題があり、また、人件費の高いの高い撮影監督やカラリストによる作業のため、映画制作のコストを引き上げる結果となっているという問題を招いていた。
【0013】
ところで、特許文献1は、ビデオカメラによって撮像された映像信号を映画フィルムの色特性に合わせる技術を開示するものであるが、特性の異なるビデオカメラで撮像された映像信号に対してその特性を合わせる変換や、撮影シーンに対して忠実な色変換を目指すものではないし、特許文献2に開示の技術でも、特性の異なるカメラで撮像された映像に対してその特性を合わせる変換は行っておらず、撮影シーンに対して忠実な色の映像がディスプレイに表示されるわけではない。
したがって、これらの技術では、映画製作のポストプロダクションにおける色調整作業を予め撮影現場で行っておくことにより、色調整作業の効率化を図ることができない。
【0014】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、映像製作、即ち映画やTVの製作において、撮影監督による撮影現場での色調整を可能にし、複数台のカメラを使用して撮影される映像データを、複数台のモニタで映像確認を行いながら色の調整を行う際に、複数台のカメラで撮影されたそれぞれの映像データに対して撮影シーンに対して忠実な色変換を行うことができ、また、複数台のカメラ間の色のマッチングを高精度に実現することができ、それによって映像製作工程をさらに効率化することができると共に、コストダウンを図ることができ、映像の品質を向上させることができる映像変換装置、これを用いる映画システムの撮影システム、映像変換方法、映像変換プログラム、及びその記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の映像変換装置は、カメラで撮影されたカメラ映像データ信号から映写用画像を作成する映画システムで、カメラによる撮影が行われる撮影システムに用いられる映像変換装置であって、カメラ映像データ信号を取得するカメラ映像信号取得ユニットと、カメラ映像データ信号を、カメラで撮影したシーン基準の色空間へ変換してシーン基準の色空間の第1の画像の映像データを求める第1の色変換ユニットと、第1の画像の映像データに対して色調整を行なわせ、色調整後の第1の画像の映像データを得る色調整ユニットと、この色調整後の第1の画像の映像データを、映像の出力の標準色空間へ変換して出力の標準の色空間の第2の画像の映像データを求める第2の色変換ユニットと、第2の画像の映像データを映像の最終出力となる最終出力デバイスの色空間へ変換した際に得られる最終出力デバイスの色を事前に異なる表示デバイスで確認させるために、第2の画像の映像データを確認用表示デバイスの色空間に変換して確認用表示デバイスの色空間の第3の画像の映像データを求める第3の色空間変換ユニットを有することを特徴とする。
【0016】
ここで、最終出力デバイスは、複数台のカメラで撮影された複数種類のカメラ映像データ信号から映写用画像を作成する映画システムで映写用画像を上映するための映写機であり、映像変換装置は、複数台のカメラに、又は複数台のカメラのそれぞれに対応して接続され、また、複数台の確認用表示デバイスに、又は複数台の確認用表示デバイスのそれぞれに対応して接続されるものであり、確認用表示デバイスは、映画システムの撮影側で、最終出力デバイスの色を確認させるためのものであることが好ましい。
また、色調整ユニットにおいて行われた色調整を含む編集加工の内容を記述した編集情報ファイルは、低解像度の第3の画像の映像データのタイムコードと共に、映画システムのポストプロダクションである映像制作システムに送信されることが好ましい。
また、出力の標準の色空間は、出力デバイスに依存しない色空間であることが好ましい。
また、出力の標準の色空間は、10000:1以上のダイナミックレンジを有する理想的な出力デバイスを想定した出力色空間、標準出力デバイスを想定した出力色空間、又は映画システムで映写機で上映される映写用フィルムのプレビューを想定した出力色空間であることが好ましい。
また、出力の標準の色空間は、理想的な出力デバイスのダイナミックレンジを、確認用表示デバイスへの色空間変換を行った後の、表示品質を低下させない範囲で削減した色空間でも良く、10000:1以上のダイナミックレンジに削減した色空間でも良い。
また、カメラは、被写体を撮影してカメラ映像データ信号を取得するデジタルビデオカメラ又はデジタルカメラであることが好ましい。
【0017】
また、さらに、映像変換装置に接続され、色調整ユニットによる色調整を制御するためのコントローラを備え、コントローラは、表示部と、コントローラ色変換ユニットと、映像解析ユニットと、制御ユニットと、入力ユニットと、を備え、コントローラ色変換ユニットは、第2の色変換ユニットによって得られた出力の標準の色空間の第2の画像の映像データを、表示部上に、最終出力デバイスの色を持つ編集加工映像として再現するための色変換をするためのものであり、映像解析ユニットは、色調整ユニットによって色調整され、表示部上に再現された最終出力デバイスの色を持つ編集加工映像を解析するためのものであり、入力ユニットは、色調整ユニットによる色調整のための色調整パラメータを入力すると共に、表示部の表示を切り換えるためのものであり、制御ユニットは、入力ユニットから入力された色調整パラメータに応じて色調整ユニットによる色調整を制御するためのものであり、表示部は、表示部上に再現された最終出力デバイスの色を持つ編集加工映像、及び/又は映像解析ユニットによる映像解析の結果を表示する表示画面、並びに入力ユニットによる色調整パラメータの入力画面を備えるものであることが好ましい。
【0018】
また、表示部は、色調整ユニットによって色調整され、表示画面に表示された編集加工映像上の、入力ユニットによって選択された部分の解析結果を表示画面上に表示することが好ましい。
また、表示部の表示画面は、映像を表示する領域と、入力ユニットによる選択部分の解析結果及び/又は映像解析ユニットによる映像解析の結果を表示する領域とを備えることが好ましい。
また、表示部は、映像の各画素が、最終出力デバイスの色空間から外れている場合、もしくは入力ユニットによる選択部分の解析結果が、最終出力デバイスの色空間から外れている場合に、表示画面上に警告を表示するものであることが好ましい。
【0019】
また、コントローラは、さらに、映像の各画素が、最終出力デバイスの色空間から外れている場合、もしくは入力ユニットによる選択部分の解析結果が、最終出力デバイスの色空間から外れている場合に、音声で警告を発する警報ユニットを備えることが好ましい。
また、コントローラは、色調整ユニットに回線接続され、制御ユニットの制御に基づく色調整パラメータに応じて色調整ユニットによる色調整を行わせることが好ましい。
また、さらに、色調整ユニットによる色調整値及び/又は色調整参照テーブル、及び/又は、色調整ユニットによって色調整された、最終出力デバイスの色を持つ又は出力の標準色空間編集加工映像の低解像度及び/又は圧縮画像を出力する出力ユニットを備えることが好ましい。
また、色調整手段による色調整値及び/又は色調整参照テーブル、及び/又は、色調整ユニットによって色調整された編集加工映像画像を、撮影時の日付及び/又はタイムコードと対応付けて出力することが好ましい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様の映画システムの撮影システムは、複数台のカメラと、複数台のカメラに対応してそれぞれ配置された複数台の、上記第1の態様の映像変換装置と、複数台の映像変換装置に対応してそれぞれ配置された確認用表示デバイスと、複数台のカメラで撮影されたカメラ映像データ信号を格納する撮影映像格納装置と、色調整ユニットによって色調整された、最終出力デバイスの色を持つ編集加工映像の低解像度画像を格納する編集加工映像格納装置と、を備えることを特徴とする。
また、映像変換装置は、色調整ユニットにおいて行われた色調整を含む編集加工の内容を記述した編集情報ファイルは、低解像度の第3の画像の映像データのタイムコードと共に、映画システムのポストプロダクションである映像制作システムに送信されることが好ましい。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明の第3の態様の映像変換方法は、カメラで撮影されたカメラ映像データ信号から映写用画像を作成する映画システムで、カメラによる撮影が行われる撮影システムで行われる映像変換方法であって、カメラ映像データ信号を取得し、カメラ映像データ信号を、カメラで撮影したシーン基準の色空間へ変換してシーン基準の色空間の第1の画像の映像データを求め、第1の画像の映像データに対して色調整を行なわせ、色調整後の第1の画像の映像データを得、この色調整後の第1の画像の映像データを、映像の出力の標準色空間へ変換して出力の標準の色空間の第2の画像の映像データを求め、第2の画像の映像データを映像の最終出力となる最終出力デバイスの色空間へ変換した際に得られる最終出力デバイスの色を事前に異なる表示デバイスで確認させるために、第2の画像の映像データを確認用表示デバイスの色空間に変換して確認用表示デバイスの色空間の第3の画像の映像データを求めることを特徴とする。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の第4の態様は、コンピュータに、上記第3の態様の映像変換方法の各手順を実行させるための映像変換プログラムを提供するものである。
また、上記課題を解決するために、本発明の第5の態様は、コンピュータに、上記第3の態様の映像変換方法の各手順を実行させるための映像変換プログラムを記載したコンピュータに読取可能な記録媒体を提供するものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の各態様によれば、上記構成により、映画システムの撮影現場において、撮影監督自らが色調整を行うことを可能にすることにより、複数台のカメラを使用して撮影される映像データを、複数台のモニターで映像確認を行いながら色の調整を行う際に、複数台間の色のマッチングを高精度に実現することができ、それによって映像製作工程をさらに効率化することができると共に、コストダウンを図ることができ、映像の品質を向上させることができる。
【0024】
また、本発明の各態様によれば、映画システムにおける色調整工程に対してその一部を行うことを可能とすることにより、撮影監督自らタイムラグが少ない内に、撮影意図に応じた色調整を実施可能となり、ポストプロダクションでの試行錯誤回数を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。
また、本発明の各態様によれば、撮影現場での色評価、調整が可能となることで、色に関する撮影ミスを低減でき、撮影監督の意図に合わせた撮影、調整が即座に可能となり、映像の品質を向上させることができる。
本発明は、ポストプロダクションでの適用しか想定されていないAMPAS-IIFを撮影現場へ適用可能とする仕組みを提供するものであり、それによって映像製作工程をさらに効率化すると共に、映像の品質を向上させる効果を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る映像変換装置を用いる映画システムの構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【図2】図1に示す映像変換装置の構成及び処理の流れ一例を示す概念模式図である。
【図3】図1に示す映像変換装置のコントローラの構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【図4】図3に示すコントローラの表示部の色調整パラメータの入力画面の一例を示す模式図である。
【図5】図3に示すコントローラの表示部の色調整パラメータの入力画面の他の例を示す模式図である。
【図6】図3に示すコントローラの表示部の映像解析の結果を表示する表示画面の一例を示す模式図である。
【図7】図3に示すコントローラの表示部の色調整パラメータの入力画面の他の例を示す模式図である。
【図8】図3に示すコントローラの表示部の表示画面の一例を示す模式図である。
【図9】図1に示す映画システムの撮影システムの色調整入力補助装置の一例を示す外観図である。
【図10】映画システムのポストプロダクションで行われるデジタル映画制作ワークフロー規格の色変換アーキテクチャーの一例を示すブロック図である。
【図11】図10に示す色変換アーキテクチャーの入力色空間を含む種々の色空間の色度図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る映像変換装置、これを用いる映画システムの撮影システム、映像変換方法、及び映像変換プログラムを、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る映像変換装置を用いる映画システムの構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、映画システム10は、カメラによる撮影を行いカメラ映像データ信号を得ると共に、その色調整も行う撮影システム(撮影現場)12と、撮影システム12からのカメラ映像データから編集加工された映像ソースデータを作成し、デジタルプロジェクタ出力用デジタル映像データ又はフィルムプロジェクタ用上映用ポジフィルムを製作する映像制作システム(ポストプロダクション)14と、デジタルプロジェクタ又はフィルムプロジェクタで映画映像を上映する上映システム(シアタ)16とを有する。
【0028】
撮影現場の撮影システム12は、2台のカメラA18a及びB18bと、これらのカメラA18a及びB18b(18で総称する)にそれぞれ接続される本発明に係る2台の映像変換装置A20a及びB20bと、これらの映像変換装置A20a及びB20bにそれぞれ接続されるモニタA22a及びB22bと、映像変換装置A20a及びB20bで色調整等の編集加工がなされた低解像度の出力用編集加工映像データや、編集加工の内容を記憶して格納する編集加工映像格納装置24と、映像変換装置A20a及びB20b並びに編集加工映像格納装置24を制御するコントローラ26と、コントローラ26の色調整操作を補助する色調整補助入力装置27と、カメラ18で撮影して得られたカメラ映像データを記憶して格納する撮影映像格納装置28と、を有する。
【0029】
カメラ18は、被写体を撮影してカメラ映像データ信号を取得するためのものである。このようなカメラとしては、カメラ映像データ信号が取得できればどのようなカメラでも良いが、デジタル映像データが取得できるデジタルビデオカメラ又はデジタルカメラであるのが好ましい。なお、図示例の撮影システム12では、2台のカメラA18a及びB18bを備えているが、3台以上のカメラを備えていても良い。
本発明で用いられるカメラは、異なるメーカや異なる機種であっても良いことはもちろんであり、その場合には、本発明は、より高い効果を発揮することができる。
【0030】
映像変換装置A20a及びB20bは、本発明の実施の形態の映像変換装置であり、カメラA18a及びB18bにそれぞれ1対1(1:1)対応で設けられるもので、撮影現場の撮影システム12において、撮影監督やカラリスト等が撮影後直ちに色調整でき、映像の最終出力となる最終出力デバイス、例えば、デジタルプロジェクタやフィルムプロジェクタで用いる上映ポジフィルムの色空間へ変換した際に得られる、上映システム16のデジタルプロジェクタやフィルムプロジェクタ等の映写機で再現される色、上映される映像の色を事前に映写機とは異なる表示デバイスであるモニタA22a及びB22bでそれぞれ確認させるようにするためのものである。
なお、以下では、映画システム10の最終出力デバイスは、デジタルプロジェクタを代表例として説明する。
上述したように、3台以上のカメラを備えている場合には、それぞれに対応して3台以上の映像変換装置を備えているのが良い。
【0031】
また、映像変換装置A20a及びB20b(20で総称する)は、撮影監督等によって行われた色調整等の編集加工の内容(色調整パラメータ、階調調整パラメータ、その他の画像処理パラメータ等)、例えばCDL(カラーディシジョンリスト)や色調整用の3DLUT(3次元ルックアップテーブル)等の編集加工の内容を記述した編集情報ファイルEDL(エディットディシジョンリスト)をカメラ映像データのタイムコードと共に、ポストプロダクションの映像制作システム14に送信する。ここで、CDLは、生データであるカメラ映像データに対して行う編集加工(色・階調の変更、その他の画像処理全般を含む)の内容を記述したものであり、3DLUTは、その編集加工の内容を実施するために用いるものである。このようなタイムコード付きCDLや、3DLUT等のEDLは、映像制作システム(ポストプロダクション)14に送信され、映像制作システム14において、映像ソースデータを作成するためのカメラ映像データの編集加工に用いられる。
こうすることにより、撮影現場での色調整状態を撮影システム12からポストプロダクション14に伝えることができる。
【0032】
ここで、映像変換装置20で用いるカメラ映像データは、映像確認や色調整のために用いられるものであるので、必ずしも、カメラ18で撮影されたフルサイズのカメラ映像データである必要はなく、小サイズのカメラ映像データ、低解像度のカメラ映像データであっても良い。色調整のリアルタイム性を重要視する場合には、小サイズ、低解像度カメラ映像データであるのが好ましい。
なお、映像変換装置20の詳細な構成については後述する。
【0033】
モニタA22a及びB22b(22で総称する)は、映像変換装置A20a及びB20bにそれぞれ1対1(1:1)対応で設けられるもので、映像変換装置A20a及びB20bによる色調整の結果をそれぞれ表示するための表示デバイスであって、撮影監督等が撮影後直ちに色調整した映写機で上映される映像の色を、撮影現場で直ちに確認するためのモニタである。
上述したように、3台以上の映像変換装置を備えている場合には、それぞれに対応して3台以上のモニタを備えているのが良い。
本発明で用いられるモニタは、上映システム16の映写機で上映される映像の色を再現し、表示できれば特に制限的ではなく、従来公知の表示デバイスを用いることができる。なお、本発明で用いられるカメラは、異なるメーカーや異なる機種であっても良いことはもちろんであり、その場合には、本発明は、より高い効果を発揮することができる。
【0034】
本実施形態では、上述したように、複数台のカメラ18が用いられ、複数台のカメラ18に対し、それぞれに対応する複数台の映像変換装置20が備えられ、複数台の映像変換装置20に対し、それぞれに対応する複数台のモニタ22が備えられるのが好ましいが、即ち、カメラ18、映像変換装置20及びモニタ22は、1:1:1対応であるのが好ましいが、本発明はこれに限定されず、1台の映像変換装置20を用いる場合であっても、複数台の映像変換装置20を用いる場合であっても、1台の映像変換装置20に対して複数台のカメラ18が備えられ、複数台のモニタ22が備えられていても良い。
【0035】
編集加工映像格納装置24は、映像変換装置20で色調整等の編集加工がなされた低解像度の出力用編集加工映像データを記憶して格納するためのものであり、ハードディスクやメモリ等によって構成される。ここで、低解像度の出力用編集加工映像データは、生データであるカメラ映像データに対して編集加工(色・階調の変更、その他の画像処理全般を含む)された映像データである。なお、この低解像度編集加工映像データは、低解像度のカメラ映像データに対して編集加工された映像データであるのが好ましい。
編集加工映像格納装置24に格納された低解像度編集加工映像データは、映像制作システム(ポストプロダクション)14に送信され、映像制作システム14において、映像ソースデータを作成するためのカメラ映像データの編集加工に用いられる。
なお、本実施形態においては、低解像度のカメラ映像データや低解像度の編集加工映像データや、編集加工映像の低解像度画像は、元々低解像度の映像データや画像であるものに限定されず、高解像度又は通常の解像度の映像データや映像や画像を圧縮したものであっても良いし、圧縮して低解像度にしたものであって良い。
【0036】
コントローラ26は、映像変換装置20及びに編集加工映像格納装置24を制御するためのものであり、映像変換装置20と共に本発明の映像変換装置を構成する。
コントローラ26は、撮影監督等が撮影後、モニタ22に表示された撮影映像の再現色を確認しながら、色調整する際に、色調整のための色調整パラメータを入力すると共に、色調整された映像、及び/又はその解析、特に映像の色の解析の結果をその表示部に表示し、色調整された映像の各画素、もしくは映像の色調整の結果、少なくとも選択部分の解析結果が、最終出力デバイスであるデジタルプロジェクタの色空間から外れる場合などには、警告を表示したり、警報を発したりするためのものである。
コントローラ26としては、映像変換装置20及び編集加工映像格納装置24と有線又は無線で通信でき、映像変換装置20及び編集加工映像格納装置24を制御できれば、どのようなものでも良く、例えば、イーサネット(登録商標)等の通信網を介して接続されるパソコン(PC)、例えば、ノート型PCや、デスクトップ型PCや、iPad(商品名)等のタブレット型PC等を用いることができる。
なお、コントローラ26の詳細な構成については後述する。
【0037】
色調整入力補助装置27は、図9に示すように、コントローラ26又は映像変換装置20に接続することにより、コントローラ26で行う色調整操作の操作性を向上させるためのものである。色調整入力補助装置27は、図9にその外観を示すが、トラックボール29aやダイアル29b等のユーザーインターフェース29を持ち、トラックボール29aやダイアル29b等のユーザーインターフェース29の操作に応じて、コントローラ26の色調整パラメータが連動することにより、色調整を実現する。
【0038】
撮影映像格納装置28は、カメラ18で撮影して得られたカメラ映像データ自体、即ちカメラ映像データを編集加工することなく生データのまま記憶して格納するもので、ハードディスクやメモリ等によって構成される。
撮影映像格納装置28に格納されたカメラ映像データは、映像制作システム(ポストプロダクション)14に送信され、映像制作システム14において、映像ソースデータを作成するための編集加工に供される。
【0039】
以上のように構成される撮影システム12においては、撮影監督等が撮影後、撮影現場で、カメラ18で撮影して得られたカメラ映像データを、それぞれ映像変換装置20、及びコントローラ26を用いて色調調整等の編集加工を行うことができ、モニタ22において、編集加工の結果、映画システム10の最終出力デバイスであるデジタルプロジェクタで再現される映像や色を表示することができるので、メーカや機種の異なる複数台のカメラ18で撮影されたカメラ映像データを、メーカや機種の異なる複数台のモニタ22に表示して映像を確認しながら、色調調整等の編集加工を行う場合あっても、複数台のカメラ18間、複数台のモニタ22間の色等のマッチングを高精度に行うことができる。
【0040】
次に、ポストプロダクションの映像制作システム14は、撮影システム12からカメラ映像データや撮影現場でなされた色調整等の編集加工の内容及び低解像度の出力用編集加工データなどを取得する映像データ取得装置30と、映像データ取得装置30で取得された色調整等の編集加工の内容及び低解像度の出力用編集加工データに従って、カメラ映像データに対して色調調整等の編集加工を行い、編集加工された映像ソースデータを生成する編集装置32と、この編集装置32で生成された映像ソースデータからデジタルプロジェクタ出力用デジタル映像データを生成してハードディスク等に記録する、又は最終的にフィルムプロジェクタ用上映用ポジフィルムを製作する記録装置34とを有する。
映像データ取得装置30は、撮影システム12の撮影映像格納装置28からカメラ映像データを取得し、映像変換装置A20a及びB20bからタイムコード付きCDLや3DLUT等の編集加工の内容を記述した編集情報ファイル(EDL)を取得し、編集加工映像格納装置24から低解像度の出力用編集加工映像データを取得するためのものである。
【0041】
編集装置32は、映像データ取得装置30で取得されたタイムコード付きCDLや3DLUT等の色調整等の編集加工の内容を記述した編集情報ファイル(EDL)、及び低解像度の出力用編集加工データに従って、映像データ取得装置30で取得されたカメラ映像データに対して色調調整等の編集加工を行い、編集加工された映像ソースデータを生成するためのものである。編集装置32で行われる編集加工には、CDLやEDLに従った合成・編集・カット、3DLUT等を用いた色調整(色調調整)・階調調整など、映画制作に必要となるあらゆる編集加工が含まれる。
【0042】
図示例のポストプロダクション14の編集装置32においては、本発明の映像変換装置20を用いる撮影システム12において、複数台のカメラ18で撮影されたカメラ映像データであっても、撮影現場で予め撮影監督等により映像確認しながら色調整等編集加工が行われており、その編集加工の内容(CDL、3DLUT等のEDL)やその低解像度編集加工映像データが提供されるので、ポストプロダクション14における撮影監督及びカラリスト等による全映像を見ながらの試行錯誤の色調調整を行う必要がなく、ポストプロダクション14の映像製作工程をさらに効率化することができると共に、コストダウンを図ることができ、映像の品質を向上させることができる。
【0043】
記録装置34は、編集装置32で生成された映像ソースデータからデジタルプロジェクタ出力用デジタル映像データを生成してハードディスク等に記録するためのものである。
なお、記録装置34は、編集装置32で生成された映像ソースデータから、図10に示すように、フィルムレコーダによってインターネガを作成し、光学プリントによって映画用ポジフィルムを作成し、最終的にフィルムプロジェクタで上映するための上映用ポジフィルムを製作するものであっても良い。
【0044】
次に、シアターの上映システム16は、映像制作システム14で作成された出力用デジタル映像データに基づいてデジタル映像として映画を上映する、又は映像制作システム14で作製された上映用ポジフィルムを用いて映画を上映する映写機36を有する。
映写機36としては、映像制作システム14から配信される出力用デジタル映像データに基づいてデジタル映像を映写するデジタルプロジェクタであっても良いし、映像制作システム14で作製された上映用ポジフィルムの映像を映写するフィルムプロジェクタであっても良い。
【0045】
次に、図2に基づいて、本発明の実施の形態に係る映像変換装置について説明する。
図2は、図1に示す映像変換装置の構成及び処理の流れ一例を示す概念模式図である。
同図に示す映像変換装置20は、基本的に、映画システム10のポストプロダクション14で用いられる図10に示すAMPAS-IIFの色変換アーキテクチャを、撮影システム12に適用可能にしたもので、入力部38と、入力色変換部(インプットトランスフォームセクション:Input Transform Section)40と、色調整部(ルックモディフィケーションセクション:Look Modification Section)42と、出力色変換部(ターゲットレンダリングセクション:Target Rendering Section)44と、撮影側モニタ色変換部(オンセットモニタートランスフォームセクション:Onset Monitor Transform Section)46と、コントローラ色変換部(コントローラトランスフォームセクション:Controller Transform Section)48と、データ出力部50と、モニタ出力部52とを有する。
【0046】
入力部38は、カメラ18で撮影されたカメラ映像データが入力され、入力色変換部40内にカメラ映像データ54を取得する部分である。
入力色変換部40は、図10に示すAMPAS-IIFの色変換アーキテクチャの場合と同様に、カメラ映像データ54を入力色空間ACES60(における映像データ)に変換するためのもので、入力デバイス変換のIDT変換部56と、カメラキャリブレーション部58と、を有する。
【0047】
IDT変換部56は、図10に示すIDT106と同様に、カメラ18で撮影されたカメラ映像データ54(カメラ18の色空間)を入力の共通色空間であるACES60(の映像データ)に変換するものである。
カメラキャリブレーション部58は、IDT変換部56で入力色空間ACES60(の映像データ)に変換された映像データを、カメラの個体差に応じて補正するものである。
こうすることにより、メーカや機種の異なる複数台のカメラ18で撮影されたカメラ映像データは、シーン基準の色空間として定義される入力色空間ACES60(の映像データ)に変換されるので、同一シーンであれば、同一の色の映像データに変換される。
こうして、メーカや機種の異なる複数台のカメラ18で撮影されたカメラ映像データであっても、高精度にマッチングの取れた入力色空間ACES60の映像データとすることができる。
【0048】
色調整部42は、本発明の最も特徴とする部分であって、ルックモディフィケーションセクションと呼ばれ、撮影現場で色を調整することを可能とするためのもので、入力色空間ACES60において、上述したコントローラ26による色調整パラメータに基づいて映像の色、例えばシーンの色を調整させる、即ち撮影監督等に撮影現場で映像確認しながら調整させることを可能にするためのものであり、入力色空間ACES60においてコントローラ26による色調整パラメータに基づく色調整を行うLMT(ルックモディフィケーショントランスフォーム:Look Modification Transform)変換部62を有する。
ここで、LMT変換部62は、映像コンテンツやストーリ、シーンの雰囲気にあわせた演出のための現場監督等のユーザ指示に基づく色調整を実施するものである。なお、LMT変換部62は、入力色空間ACES60において、映像データを色調整済映像データに変換するので、色調整済映像データの色空間も、ACESであるが、ここでは、入力色空間ACES60aとして表わす。
なお、色調整部42で行われる色調整の詳細については、後述する。
【0049】
出力色変換部44は、ターゲットレンダリングセクションと呼ばれ、その後、ACES映像を、予め指定されている、映像コンテンツの出力ターゲット(映画館向けなのかTV放送向けなのか? デジタル上映なのかフィルム映写なのか? フィルムの種類は何なのか?等)に応じたレンダリング(編集加工)を施し、ターゲット出力デバイスの、出力デバイスに依存しない出力標準色空間内に変換する。即ち、出力色変換部44は、入力色空間ACES60a(60)を、出力デバイスに依存しない出力標準色空間(DIC:Device Independent Color:デバイスインディペンデントカラー)66に色変換するためのもので、入力色空間ACES60a(60)の映像データを、出力色に編集加工して、出力標準色空間DIC66の編集加工された画像データとする出力色へのレンダリング変換部64を有する。
【0050】
ここで、出力標準色空間DIC66は、出力デバイスに依存しない標準色空間であれば特に制限はないので、図10に示すAMPAS-IIFの色変換アーキテクチャーの出力の共通色空間であるOCES102であっても良い。従って、この場合には、レンダリング変換部64は、図10に示すRRT変換部104であれば良い。
この他、例えば、レンダリング変換部64を、RDT変換部、映画用フィルムのためのフィルムプレビューのための変換部等で構成しても良い。
したがって、出力標準色空間(DIC)は、理想的な出力デバイスのダイナミックレンジを、確認用表示デバイスへの色空間変換を行った後の、表示品質を低下させない範囲で削減した色空間でも良く、10000:1以上のダイナミックレンジに削減した色空間でも良い。
また、出力標準色空間(DIC)は、標準出力デバイスを想定した出力色空間、又は映画システムで映写機で上映される映写用フィルムのプレビューを想定した出力色空間であっても良い。
【0051】
撮影側モニタ色変換部46は、オンセットモニタートランスフォームセクションと呼ばれ、撮影現場のプレビューモニタ表示用(MCV:Monitor Code Value)に、色空間及びガンマ変換、モニタ22単体ごとのキャリブレーションが施され、接続されているプレビューモニタ22へ映像データ信号として映像を送るためのものである。即ち、撮影側モニタ色変換部46は、出力デバイスに依存しない出力標準色空間(DIC)66から、現実の出力デバイスであるモニタ22に依存する色空間(DDC:Device dependent Color:デバイスディペンデントカラー)に変換し、出力標準色空間(DIC)66の映像データから、映画システム10の最終出力デバイスであるデジタルプロジェクタで再現される色をモニタ22で表示するためのモニタ映像データ72に変換するためのもので、色空間やγ値を変換するモニタ色空間変換部68と、モニタ22の個体差に応じた変換を行うモニタキャリブレーション部72と、を有する。
【0052】
モニタ色空間変換部68は、モニタ22に表示するために、出力標準色空間(DIC)66の映像データを、モニタ22の色空間に変換すると共に、モニタ22のγ特性に合わせるように変換するものである。
モニタキャリブレーション部72は、モニタ色空間変換部68でモニタ22の色空間に変換された映像データを、モニタ22の個体差に応じて補正するものである。
こうすることにより、メーカや機種の異なる複数台のモニタ22で表示される映像であっても、映画システム10の最終出力デバイスであるデジタルプロジェクタで再現される色と同じ色を表示することができる。
こうして、メーカや機種の異なる複数台のモニタ22で表示された映像であっても、高精度にマッチングの取れた映像とすることができる。
【0053】
コントローラ色変換部48は、コントローラトランスフォームセクションと呼ばれ、コントローラ26でのサムネイル映像確認用に、コントローラ26の表示部(ディスプレイ84:図3参照)の(CCV:Controller Code Value)に合わせたキャリブレーションを行い、出力しても良い。即ち、コントローラ色変換部48は、出力色変換部44の出力標準色空間(DIC)66のサムネイル映像データを、映画システム10の最終出力デバイスであるデジタルプロジェクタで再現される色をコントローラ26の表示部(84)で表示するためのコントローラ映像データに変換して、コントローラ表示用サムネイル画像76(図4、図5、図6の各参照符号86d、88g、90d参照)として表示するもので、コントローラ26の個体差に応じた変換を行うコントローラキャリブレーション部74を有する。
コントローラキャリブレーション部74は、出力色変換部44の出力標準色空間(DIC)66の映像データを、コントローラ26の表示部(84)の色空間の映像データに変換すると共に、コントローラ26の個体差に応じて補正するものである。
こうすることにより、コントローラ26の表示部(84)にも、映画システム10の最終出力デバイスであるデジタルプロジェクタで再現される色と同じ色を表示することができる。
【0054】
データ出力部50は、撮影側モニタ色変換部46のモニタ色空間変換部68から、標準的な色空間とガンマ変換(例えばrec709やsRGB等)のみを施した信号を撮影後に毎日行われる映像試写(Dailies)用のデータとしてポストプロダクション14に出力するためのものである。データ出力部50は、設けられていなくても良い。
モニタ出力部52は、撮影側モニタ色変換部46からプレビュー用モニタ22にモニタ映像データ信号を出力するためのものである。
本発明に係る映像変換装置は、基本的に以上のように構成される。
【0055】
コントローラ26は、上述したように、映像変換装置20と共に本発明の映像変換装置を構成するものであり、映像変換装置20及びに集加工映像格納装置24を制御するためのものである。
図3に、図1に示すコントローラの構成の一例を模式的に示すブロック図を示す。
また、図4、図5及び図7に、それぞれ図3に示すコントローラの表示部の色調整パラメータの入力画面を示し、図6に、図3に示すコントローラの表示部の映像解析の結果を表示する表示画面を示し、図8に、図3に示すコントローラの表示部の過去の色調整情報リストの一例を表示する表示画面を示す。
コントローラ26は、図2に示すコントローラ色変換部48と、映像解析部78と、入力部80と、制御部82と、表示部(ディスプレイ)84と、警報部85とを有する。
【0056】
コントローラ色変換部48は、上述したように、出力色変換部44によって得られた出力標準色空間(DIC)の映像データを、表示部84上に、映画システム10の最終出力デバイスであるデジタルプロジェクタの色を持つ編集加工映像として再現するための色変換をするためのものである。
映像解析部78は、色調整部42によって色調整され、表示部84上に再現された最終出力デバイスの色を持つ編集加工映像を解析するためのものである。
入力部80は、色調整部42による色調整のための色調整パラメータ等を入力すると共に、表示部84の表示を切り換えるためのものである。
制御部82は、入力80から入力された色調整パラメータに応じて色調整部42による色調整を制御するためのものである。
【0057】
表示部84は、表示部84上に再現された最終出力デバイスの色を持つ編集加工映像、及び/又は映像解析部78による映像解析の結果を表示する表示画面、並びに入力部80による色調整パラメータ等の入力画面を備えるものである。
また、表示部84には、
なお、再現される編集加工映像は、映画システム10の最終出力デバイスであるデジタルプロジェクタの色を持つものに限定されず、出力標準色空間(DIC)を持つ編集加工映像であっても良い。
【0058】
なお、表示部84は、色調整部42によって色調整され、表示画面に表示された編集加工映像上の、入力部80によって選択された部分の解析結果を表示画面上に表示することが好ましく、表示部の表示画面は、映像を表示する領域と、入力部80による選択部分の解析結果及び/又は映像解析部78による映像解析の結果を表示する領域とを備えることが好ましい。
また、表示部84は、その表示画面に表示された映像の各画素が、最終出力デバイスであるデジタルプロジェクタの色空間から外れている場合、もしくは入力部80による選択部分の解析結果が最終出力デバイスであるデジタルプロジェクタの色空間から外れている場合に、表示画面上に警告を表示するものであっても良い。
更に、コントローラ26は、色調整された映像の各画素もしくは映像の色調整の結果、例えば、少なくとも選択部分の解析結果が、最終出力デバイスであるデジタルプロジェクタの色空間から外れる場合などに、音声で警告を発する警報部85を備えていても良い。
【0059】
以下に、コントローラ26の表示部84の表示画面及び入力画面の具体例について説明する。
図4は、映像変換装置20の色調整部42のLMT変換部62に色調整を行わせるためのコントローラ26の表示部84に表示されるLMTのユーザインターフェースの入力画面例である。このLMT入力画面86は、コントローラ26の表示部84上に表示され、ユーザは、コントローラ26の入力部80を使って色調整を行うことができる。この入力画面86は、映像の階調特性を調整するためのものであり、映像変換特性グラフ(入力:調整前、出力:調整後)86aのトーンカーブを任意に調整する事ができるものである。これによって、全体の明るさ、ハイライト、中間調、シャドウそれぞれの階調の傾きをコントロールできるようにしている。なお、画面右側の明度スライドバー86bを調整する事でその色温度を調整できる。
【0060】
図5は、ハイライト領域、中間領域、及びシャドウ領域のそれぞれの領域で、原色(RGB)、2次色(CMY)の色相、明度、彩度を調整できるコントロール画面である。この入力画面88は、中央のマーカ領域88aのRGBCMYの6色のそれぞれのマーカ89aを移動することで、6色の中心方向が彩度低下、中心から離れるに従い彩度向上、他の色に近づくように移動させるとその色味を帯びた色相に変化する。また、中心のグレーマーカ89bを移動させることで、色バランスを変更することが可能である。
各マーカ89aを選択した状態で画面右側の左側の明度スライドバー88bを調整することでその色の明度を調整できる。同様に、画面右側の真中のスライドバー88cを調整することでその色の彩度を調整することもでき、画面の最も右側のスライドバー88dを調整することでその色の色温度を調整することもできる。
なお、アイコン88eは、シャドウ(Shadow)領域、ミドル(Middle)部、ハイライト部(Highlight)、及び全体領域(Over All)の内のいずれの領域の色調整であるかを示す。
【0061】
図4に示す領域86d及び図5に示す領域88gは、図6に示すプレビューモニタ画面90に表示させる画像を切り替える部分であり、現在撮影されているライブ動画のサムネイル表示(Live)、選択ボタン(Select)を押したタイミングで取得・設定された静止画のサムネイル表示(Selected)、1回前に選択された静止画のサムネイル表示(LastSelected)を切り替えることができることを示す。ライブ動画表示を選択した場合には、撮影している動画に対してリアルタイムで色調整を適用、表示させることができる。
図4に示すアイコン86c及び図5に示すアイコン88fでは、コントローラ26の表示部84の色調整の方法を選択できるようになっており、前述した図4のトーンカーブ調整ToneCurveの入力画面86、前述の図5の6色調整6Colorsの入力画面86、図7のCDL調整CDLの入力画面92が選択できる。LMTログボタン(LMTLog)を押すと、図8に示すように、過去に作成した色調整情報リストを表示し、それを選択/適用することで、過去の調整値を現在の動画に適用/編集できるようにすることが可能である。
【0062】
図7は、コントローラ26の表示部84に表示されたCDL調整の入力画面92を示している。トラックボール94aやダイアル94bのコントロールを回転操作により変更することで、CDLの色調整パラメータ(オフセット、ガンマ、ゲイン、彩度)を変更することができる。
図8は、表示部84に表示された、過去に作成した色調整情報リストの表示画面96を示し、表示画面96には、色調整された静止画の複数のサムネイルと、各色調整日と、各色調整の内容と、各LMT設定値(図4、図5に示すアイコン86c、88fと同様)のリストが示される。
また、図9に示す色調整入力補助装置27を、コントローラ26または映像変換装置20に接続し、色調整入力補助装置27の操作がコントローラ26の色調整画面のコントロールGUI(トラックボールやダイヤルの回転量、グラフ、数値等)に反映させるようにすることで操作性を向上させることができる。
【0063】
図6は、撮影映像の解析を行うためのコントローラ26の表示部84の表示画面の一例である。
この表示画面90では、動画像90a上の画素91aを入力部80のマウス等で指定することで、画像ヒストグラム90c上におけるその画素(部位)91bの位置を知ることができる。また、真中のグラフ90bは、ガマット(色再現域)外判定グラフであり、その画素がディスプレイの色再現範囲を超えているか否かを知ることができる。このガマット外判定を、映像変換フローの段階毎に確認する事が出来るようにし、どの段階でガマット外になってしまうのかを確認することができる。なお、表示画面90の左側の領域90dは、図4、図5に示す領域86d、88gと同様に、表示画面90に表示させる画像を切り替える部分であり、ライブ動画表示Live、選択ボタンで選択された静止画の表示Selected、1回前に選択された静止画の表示LastSelectedに加え、カメラによる取得画像Captureを切り替えることができる。
【0064】
これによって、カメラ入力の段階であれば、撮影条件の変更の判断に使用できるし、出力標準色空間(DIC)66であれば、LMT変換部62の調整を見直す判断の参考になる。モニタ映像データ(MCV)72やコントローラ表示映像(CCV)であれば、プレビューしているモニタ22では表示不可能であるが、最終出力では色再現域であることを知ることができる。
このガマット判定グラフに表示する映像変換フローの段階、色空間と、下に表示する画像は必ずしも一致している必要は無いので、映像は、常にMCVを表示することで評価・鑑賞に適した映像にしながら、グラフの段階のみを変えることができる。
また、画像上の画素のみでなく領域を選択可能とすることで、選択された領域内の画素がヒストグラムや、ガマットのどの範囲に分布しているかを表示することも可能である。
【0065】
なお、本実施形態においては、色調整部42による色調整値及び/又は色調整参照テーブル(CDL、3DLUT等)、及び/又は、色調整部42によって色調整された、最終出力デバイスの色又は出力の標準色空間を持つ編集加工映像の低解像度及び/又は圧縮画像を、コントローラ26の表示部84や、映像変換装置20のデータ出力部50やモニタ出力部52(モニタ22)や、その他の出力ユニットに出力することが好ましい。
更に、本実施形態においては、色調整部42による色調整値及び/又は色調整参照テーブル、及び/又は、色調整部42によって色調整された、最終出力デバイスの色又は出力の標準色空間を持つ編集加工映像やその低解像度画像を、撮影時の日付及び/又はタイムコードと対応付けて、コントローラ26の表示部84や、映像変換装置20のデータ出力部50やモニタ出力部52(モニタ22)や、その他の出力ユニットに出力することが好ましい。即ち、タイムコード等と色調整値及び/又は色調整参照テーブルとを対応させた色調整情報ファイル(CDL,EDL等)が出力されるように構成するのが好ましい。
【0066】
本発明は、図2に示す映像変換装置の処理の流れを映像変換方法として実施することができる。
即ち、本発明の映像変換方法は、カメラで撮影されたカメラ映像データ信号を取得し、カメラ映像データ信号を、カメラで撮影したシーン基準の色空間へ変換して該シーン基準の色空間の第1の画像の映像データを求め、この第1の画像の映像データに対して色調整を行なわせ、色調整後の第1の画像の映像データを得、この色調整後の第1の画像の映像データを、映像の出力の標準色空間へ変換して、この出力の標準の色空間の第2の画像の映像データを求め、この第2の画像の映像データを映像の最終出力となる最終出力デバイスの色空間へ変換した際に得られる最終出力デバイスの色を事前に異なる表示デバイスで確認させるために、第2の画像の映像データを確認用表示デバイスの色空間に変換してこの確認用表示デバイスの色空間の第3の画像の映像データを求めることにより、実施することができる。
【0067】
なお、上述の映像変換方法は、映像変換プログラムを実行することによってコンピュータ上で処理することができる。
例えば、本発明の映像変換プログラムは、上述した映像変換方法の各ステップをコンピュータ、具体的にはそのCPUに行わせる手順を有するものである。これらの手順からなるプログラムは、1つまたは複数のプログラムモジュールとして構成されていても良い。
これらのコンピュータが実行する手順からなる映像変換プログラムは、コンピュータまたはサーバのメモリ(記憶装置)内に記憶されるものであっても良いし、記録媒体に記憶されるものであっても良く、実行時に、当該コンピュータ(CPU)または他のコンピュータによって、メモリまたは記録媒体から読み出されて実行されるものである。したがって、本発明は、上記映像変換方法をコンピュータに実行させるための映像変換プログラムを記憶したコンピュータに読み取り可能なメモリもしくは記録媒体であっても良い。
【0068】
以上、本発明に係る映像変換装置、これを用いる映画システムの撮影システム、映像変換方法、及び映像変換プログラム並びに記録媒体について詳細に説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 映画システム
12 撮影システム(撮影現場)
14 映像制作システム(ポストプロダクション)
16 上映システム(シアター)
18、18a、18b カメラ
20、20a、20b 映像変換装置
22、22a、22b モニタ
24 編集加工映像格納装置
26 コントローラ
28 撮影映像格納装置
38 入力部
40 入力色変換部(インプットトランスフォームセクション)
42 色調整部(ルックモディフィケーションセクション)
44 出力色変換部(ターゲットレンダリングセクション)
46 撮影側モニタ色変換部(オンセットモニタートランスフォームセクション)
48 コントローラ色変換部(コントローラトランスフォームセクション)
50 データ出力部
52 モニタ出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラで撮影されたカメラ映像データ信号から映写用画像を作成する映画システムで、前記カメラによる撮影が行われる撮影システムに用いられる映像変換装置であって、
前記カメラ映像データ信号を取得するカメラ映像信号取得ユニットと、
前記カメラ映像データ信号を、前記カメラで撮影したシーン基準の色空間へ変換して該シーン基準の色空間の第1の画像の映像データを求める第1の色変換ユニットと、
前記第1の画像の映像データに対して色調整を行なわせ、色調整後の前記第1の画像の映像データを得る色調整ユニットと、
この色調整後の前記第1の画像の映像データを、映像の出力の標準色空間へ変換して該出力の標準の色空間の第2の画像の映像データを求める第2の色変換ユニットと、
前記第2の画像の映像データを映像の最終出力となる最終出力デバイスの色空間へ変換した際に得られる前記最終出力デバイスの色を事前に異なる表示デバイスで確認させるために、前記第2の画像の映像データを確認用表示デバイスの色空間に変換して該確認用表示デバイスの色空間の第3の画像の映像データを求める第3の色空間変換ユニットを有することを特徴とする映像変換装置。
【請求項2】
前記最終出力デバイスは、複数台の前記カメラで撮影された複数種類の前記カメラ映像データ信号から前記映写用画像を作成する前記映画システムで前記映写用画像を上映するための映写機であり、
前記映像変換装置は、複数台の前記カメラに、又は該複数台の前記カメラのそれぞれに対応して接続され、また、複数台の前記確認用表示デバイスに、又は該複数台の前記確認用表示デバイスのそれぞれに対応して接続されるものであり、
前記確認用表示デバイスは、前記映画システムの撮影側で、前記最終出力デバイスの色を確認させるためのものである請求項1に記載の映像変換装置。
【請求項3】
更に、前記色調整ユニットにおいて行われた色調整を含む編集加工の内容を記述した編集情報ファイルは、低解像度の前記第3の画像の映像データのタイムコードと共に、前記映画システムのポストプロダクションである映像制作システムに送信される請求項1又は2に記載の映像変換装置。
【請求項4】
前記出力の標準の色空間は、出力デバイスに依存しない色空間である請求項1〜3のいずれか1項に記載の映像変換装置。
【請求項5】
前記出力の標準の色空間は、10000:1以上のダイナミックレンジを有する理想的な出力デバイスを想定した出力色空間、標準出力デバイスを想定した出力色空間、又は映画システムで映写機で上映される映写用フィルムのプレビューを想定した出力色空間である請求項1〜4のいずれか1項に記載の映像変換装置。
【請求項6】
前記カメラは、被写体を撮影して前記カメラ映像データ信号を取得するデジタルビデオカメラ又はデジタルカメラである請求項1〜5のいずれか1項に記載の映像変換装置。
【請求項7】
さらに、前記映像変換装置に接続され、前記色調整ユニットによる色調整を制御するためのコントローラを備え、
該コントローラは、表示部と、コントローラ色変換ユニットと、映像解析ユニットと、制御ユニットと、入力ユニットと、を備え、
前記コントローラ色変換ユニットは、前記第2の色変換ユニットによって得られた前記出力の標準の色空間の前記第2の画像の映像データを、前記表示部上に、前記最終出力デバイスの色を持つ編集加工映像として再現するための色変換をするためのものであり、
前記映像解析ユニットは、前記色調整ユニットによって色調整され、前記表示部上に再現された前記最終出力デバイスの色を持つ前記編集加工映像を解析するためのものであり、
前記入力ユニットは、前記色調整ユニットによる色調整のための色調整パラメータを入力すると共に、前記表示部の表示を切り換えるためのものであり、
前記制御ユニットは、前記入力ユニットから入力された前記色調整パラメータに応じて前記色調整ユニットによる色調整を制御するためのものであり、
前記表示部は、前記表示部上に再現された前記最終出力デバイスの色を持つ前記編集加工映像、及び/又は前記映像解析ユニットによる映像解析の結果を表示する表示画面、並びに前記入力ユニットによる前記色調整パラメータの入力画面を備えるものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の映像変換装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記色調整ユニットによって色調整され、前記表示画面に表示された前記編集加工映像上の、前記入力ユニットによって選択された部分の解析結果を前記表示画面上に表示する請求項7に記載の映像変換装置。
【請求項9】
前記表示部の表示画面は、前記映像を表示する領域と、前記入力ユニットによる選択部分の解析結果及び/又は前記映像解析ユニットによる前記映像解析の結果を表示する領域とを備える請求項8に記載の映像変換装置。
【請求項10】
前記表示部は、前記映像の各画素が、前記最終出力デバイスの色空間から外れている場合、もしくは前記入力ユニットによる選択部分の解析結果が、前記最終出力デバイスの色空間から外れている場合に、前記表示画面上に警告を表示するものである請求項8又は9に記載の映像変換装置。
【請求項11】
前記コントローラは、さらに、前記映像の各画素が、前記最終出力デバイスの色空間から外れている場合、もしくは前記入力ユニットによる選択部分の解析結果が、前記最終出力デバイスの色空間から外れている場合に、音声で警告を発する警報ユニットを備える請求項8〜10にいずれか1項に記載の映像変換装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記色調整ユニットに回線接続され、前記制御ユニットの制御に基づく前記色調整パラメータに応じて前記色調整ユニットによる色調整を行わせる請求項8〜11にいずれか1項に記載の映像変換装置。
【請求項13】
さらに、前記色調整ユニットによる色調整値及び/又は色調整参照テーブル、及び/又は、前記色調整ユニットによって色調整された、前記最終出力デバイスの色または前記出力の標準色空間を持つ編集加工映像の低解像度及び/又は圧縮画像を出力する出力ユニットを備える請求項1〜12にいずれか1項に記載の映像変換装置。
【請求項14】
前記色調整手段による色調整値及び/又は色調整参照テーブル、及び/又は、前記色調整ユニットによって色調整された編集加工映像画像を、撮影時の日付及び/又はタイムコードと対応付けて出力することを特徴とする請求項1〜13にいずれか1項に記載の映像変換装置。
【請求項15】
複数台のカメラと、
該複数台のカメラに対応してそれぞれ配置された複数台の、請求項1〜14にいずれか1項に記載の映像変換装置と、
該複数台の映像変換装置に対応してそれぞれ配置された確認用表示デバイスと、
前記複数台のカメラで撮影された前記カメラ映像データ信号を格納する撮影映像格納装置と、
前記色調整ユニットによって色調整された、前記最終出力デバイスの色を持つ編集加工映像の低解像度画像を格納する編集加工映像格納装置と、を備えることを特徴とする映画システムの撮影システム。
【請求項16】
前記映像変換装置は、前記色調整ユニットにおいて行われた色調整を含む編集加工の内容を記述した編集情報ファイルは、低解像度の前記第3の画像の映像データのタイムコードと共に、前記映画システムのポストプロダクションである映像制作システムに送信される請求項15に記載の映画システムの撮影システム。
【請求項17】
カメラで撮影されたカメラ映像データ信号から映写用画像を作成する映画システムで、前記カメラによる撮影が行われる撮影システムで行われる映像変換方法であって、
前記カメラ映像データ信号を取得し、
前記カメラ映像データ信号を、前記カメラで撮影したシーン基準の色空間へ変換して該シーン基準の色空間の第1の画像の映像データを求め、
前記第1の画像の映像データに対して色調整を行なわせ、色調整後の前記第1の画像の映像データを得、
この色調整後の前記第1の画像の映像データを、映像の出力の標準色空間へ変換して該出力の標準の色空間の第2の画像の映像データを求め、
前記第2の画像の映像データを映像の最終出力となる最終出力デバイスの色空間へ変換した際に得られる前記最終出力デバイスの色を事前に異なる表示デバイスで確認させるために、前記第2の画像の映像データを確認用表示デバイスの色空間に変換して該確認用表示デバイスの色空間の第3の画像の映像データを求めることを特徴とする映像変換方法。
【請求項18】
コンピュータに、請求項17に記載の映像変換方法の各手順を実行させるための映像変換プログラム。
【請求項19】
コンピュータに、請求項17に記載の映像変換方法の各手順を実行させるための映像変換プログラムを記載したコンピュータに読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−231459(P2012−231459A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89559(P2012−89559)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】