説明

映像機器

【課題】ユーザーが所望する通りの視聴制限条件を、簡単に設定することが出来る映像機器を提供する。
【解決手段】映像コンテンツの再生中において、リモコンの操作による視聴制限が行われ(ステップS4a)、当該映像コンテンツと同等以上の視聴制限レベルが設定されているコンテンツに対しても視聴制限を行うことがユーザーにより選択された場合(ステップS6a:YES)は、映像コンテンツに設定されているレーティング情報が、ユーザーが所望する視聴制限条件の一つとして、記憶部に予め記憶されている視聴制限データベースに登録される(ステップS7a)。その後は、視聴制限データベースに登録されたレーティング情報に基づいて視聴制限が行われる(ステップS9a、S10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン受像機等の映像機器に関し、特に、視聴制限機能を備えた映像機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビジョン受像機(以下、「テレビ」と記載)や、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)プレーヤ等の映像機器において、視聴制限機能と呼ばれる機能が普及し始めている。視聴制限機能とは、子供の教育上好ましくない内容を含んだコンテンツの視聴を制限する機能であり、「ペアレンタル(パレンタル)機能」とも呼ばれている。
【0003】
この視聴制限機能を利用した場合、視聴しようとするコンテンツに設定されている視聴制限レベルと、映像機器側に予め設定されている視聴制限レベルとに基づいて、当該コンテンツの視聴を行っても良いか否かが検証され、検証の結果、視聴不可と判定された場合は、映像と音声の出力を停止する処理(以下、「ミュート処理」と記載)が実行される。以下においては、視聴制限レベルを「レーティング」と記載する。
【0004】
視聴制限の対象となるコンテンツとしては、例えば、テレビジョン放送の番組(以下、「テレビ番組」と記載)や、光ディスク(例えば、BD)等の記録媒体に記録されて製品化された映画等がある。
【0005】
テレビ番組のレーティング情報は、通常、テレビジョン放送の放送信号に組み込まれている。例えば、デジタルテレビジョン放送(以下、「テレビ放送」と記載)の場合、放送信号は、映像や音声、データ等の個別のストリームを共通の信号形式で扱い、多重化信号としたトランスストリーム信号である。テレビ番組のレーティング情報は、このトランスストリーム信号中のデータストリーム(データ信号)に組み込まれて、放送局から送信される。
【0006】
また、光ディスク等の記録媒体に記録された映画等のレーティング情報は、当該映画の映像データや音声データと共に、当該記録媒体に予め記録されている。
【0007】
視聴者は、子供の視聴を制限したいテレビ番組や映画等がある場合は、当該テレビ番組や映画のレーティングを、例えば、テレビに設定する。テレビにおいてレーティングの設定を行う場合は、例えば、当該テレビを操作するためのリモート・コントロール装置(以下、「リモコン」と記載)を用いて、テレビ画面にレーティング設定画面を表示させ、当該レーティング設定画面に表示される各種レーティングの中から所望するレーティングを選択して、選択内容を確定する。
【0008】
このようにすることで、設定されたレーティングと同等のレーティングをもつテレビ番組が受信されたり、映画等が再生されたりすると、テレビでは、ミュート処理が実行されるため、テレビ番組や映画の視聴が出来なくなる。
【0009】
図10は、「The TV Parental Guidelines」に基づくレーティングを設定するための画面の一例である。米国のテレビ業界では、例えば、この「The TV Parental Guidelines」に基づいて、テレビ番組のレーティングが定められている。「The TV Parental Guidelines」では、「視聴年齢」を対象としたレーティングと、「番組内容」を対象としたレーティングを定めている。
【0010】
図10中の画面W1において、R1は、「視聴年齢」を対象としたレーティングであり、R2は、「番組内容」を対象としたレーティングである。レーティングR1では、上から順にレーティングが高くなっている。
【0011】
レーティングR1において、「TV−MA(Mature Audience Only)」は、成人向けに製作された番組であることを表している。よって、当該レーティングの番組は、17歳以下の子供には不適当である。
【0012】
「TV−14(Parents Strongly Cautioned)」は、14歳未満の子供には不適当と判断される内容が含まれた番組であることを表している。当該レーティングの番組の視聴に際しては、保護者の同伴を要する警告が出る。
【0013】
「TV−PG(Parental Guidance Suggested)」は、低年齢の子供に適さないと考えられる内容を含む恐れのある番組であることを表している。当該レーティングの番組の視聴には、保護者の同伴が望まれる。
【0014】
「TV−G(General Audience)」は、全年齢に適したプログラム(番組)であることを表している。
【0015】
「TV−Y7(Directed to Older Children)」は、7歳以上の子供を対象に製作された番組であることを表している。当該レーティングの番組は、子供を怖がらせる内容が含まれている場合があるため、保護者は、番組が子供に適しているか否かを考慮する必要がある。
【0016】
「TV−Y(All Children)」は、子供に適するように製作された番組であることを表している。対象年齢は2歳から6歳であり、特に低年齢層に適している。
【0017】
レーティングR2において、「FV(Fantasy Violence;children’s programming only)」は、子供向けの番組において、空想的な暴力が含まれていることを表している。
【0018】
「V(Violence)」は、暴力的な場面が含まれている番組であることを表している。「S(Sexual Situations)」は、性的描写が含まれている番組であることを表している。
【0019】
「L(Coarse or Crude Language)」は、下品な言葉や露骨な表現が含まれている番組であることを表している。「D(Suggestive Dialogue;usually means talks about sex)」は、淫らな会話が含まれている番組であることを表している。
【0020】
米国においてテレビ番組のレーティングを設定する場合は、例えば、リモコンを操作して、テレビ画面上に図10の画面W1を表示させる。そして、リモコン操作により、画面W1上のカーソルCuを移動させて、視聴制限したい項目を選択した後、選択した内容を確定する。選択した内容が確定されると、視聴制限が行われる項目の枠内に、例えば、鍵印Loが表示される。
【0021】
尚、画面W1において、「白色」の枠A1は、選択可能な視聴制限項目を表しており、「灰色」の枠A2は、選択不能な視聴制限項目を表している。このため、例えば、レーティングR1の「TV−Y」においては、レーティングR2、つまり、番組内容毎の視聴制限が出来ない構成となっている。
【0022】
テレビ番組については、これ以外にも、複数の団体がレーティングの規格を作成しており、例えば、PTC(Parents Television Council)によって作成された「Family TV Guide」等がある。
【0023】
図11は、「MPAA(Motion Picture Association of America)」に基づくレーティングを設定するための画面の一例である。米国においては、例えば、この「MPAA」により、映画のレーティングが定められている。
【0024】
図11中の画面W2において、R3は、「視聴年齢」を対象としたレーティングである。レーティングR3では、上から順にレーティングが高くなっている。
【0025】
レーティングR3において、「NC−17(NO ONE 17 AND UNDER ADMITED)」は、17歳以下の視聴を全面的に禁止する作品であることを表している。
【0026】
「R(RESTRICTED)」は、17歳以下の観賞は、保護者の同伴が必要とされる作品であることを表している。
【0027】
「PG−13(PARENTS STRONGLY CAUTIONED)」は、視聴制限は無いが、13歳未満の子供の観賞については、保護者の厳重な注意が必要とされる作品であることを表している。
【0028】
「PG(PARENTAL GUIDANCE SUGGESTED)」は、保護者の教育方針によっては、子供に適さないと判断される恐れのある内容が含まれた作品であることを表している。
【0029】
「G(GENERAL AUDIENCES)」は、全年齢に適した作品であることを表している。
【0030】
米国において光ディスク(例えば、BD)等の記録媒体に記録された映画等のコンテンツのレーティングを設定する場合は、例えば、リモコンを操作して、テレビ画面上に図11の画面W2を表示させる。そして、リモコン操作により、画面W2上のカーソルCuを移動させて、視聴制限したい項目A3を選択した後、選択した内容を確定する。選択した内容が確定されると、視聴制限が行われる項目の枠内に、例えば、鍵印Loが表示される。
【0031】
このようなレーティングに基づいて視聴制限を行う映像機器は、例えば、後掲の特許文献1に開示されている。特許文献1では、再生された動画に対して独自のレーティングを設定した後、当該設定情報をEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体に記憶し、これ以降の動画再生を行う場合に、再生しようとする動画に予め設定されているレーティングと、記憶媒体に記憶されているレーティングとを比較して、当該動画の再生可否を判断する動画再生装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特開2000−287155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
このように、視聴制限機能を備えた従来の映像機器(特許文献1の動画再生装置等)においては、ユーザーが、画面W1(図10)や画面W2(図11)等のレーティング設定画面の設定項目の中から、所望する視聴制限に見合った設定項目を選択することで、特定のコンテンツにおいて視聴が制限されるため、設定項目の選択漏れ等によって、ユーザーが所望する通りの視聴制限条件が設定されていない場合は、視聴制限されるはずのコンテンツがテレビ画面に表示されて、子供に視聴されてしまう。
【0034】
この場合、ユーザーは、リモコン等を操作して映像機器の電源を切ったり、チャンネルを変更したりして、コンテンツの視聴を中断させる必要があり、コンテンツの視聴を中断した後は、当該コンテンツが今後視聴されないように、再度、テレビ画面にレーティング設定画面を表示させて、視聴制限の条件を設定し直さなければならない。
【0035】
このため、機器操作に不慣れなユーザにとっては、視聴制限の条件設定に手間と時間がかかる。また、所望する通りの視聴制限条件を設定するためには、各レーティングにおける視聴対象年齢等をよく理解しておく必要がある。さらに、映像機器を買い換えた場合や、視聴制限に係る新技術が開発された場合等においては、視聴制限の条件を設定するための手順や機能を初めから学び直さなければならない。よって、従来の視聴制限機能は、ユーザーにとって使い勝手の良い機能とは言い難い。
【0036】
本発明は、上述した問題点に鑑み、ユーザーが所望する通りの視聴制限条件を、簡単に設定することが出来る映像機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明に係る映像機器は、コンテンツに設定されている視聴制限レベルと機器側に設定されている視聴制限レベルとに基づいて、当該コンテンツの再生を制限する視聴制限機能を備えた映像機器であって、コンテンツの再生中において視聴制限を行うための操作手段と、操作手段によるコンテンツの視聴制限を継続するか否かを選択する第1の選択手段と、第1の選択手段によりコンテンツの視聴制限を継続することが選択されたことに基づいて、当該コンテンツと同等以上の視聴制限レベルが設定されている他のコンテンツに対しても視聴制限を行うか否かを選択する第2の選択手段と、コンテンツに設定されている視聴制限レベルを記憶する記憶手段と、第1の選択手段および第2の選択手段の選択結果に応じて視聴制限を制御する制御手段を備える。制御手段は、第1の選択手段によりコンテンツの視聴制限を継続することが選択され、かつ、第2の選択手段によりコンテンツと同等以上の視聴制限レベルが設定されている他のコンテンツに対しても視聴制限を行うことが選択された場合は、コンテンツに設定されている視聴制限レベルを記憶手段に記憶し、コンテンツとは異なる新コンテンツが再生された場合は、当該新コンテンツに設定されている視聴制限レベルと、記憶手段に記憶されている視聴制限レベルとを比較し、新コンテンツに、記憶手段に記憶されている視聴制限レベルと同等以上の視聴制限レベルが設定されている場合は、当該新コンテンツに対して視聴制限を行い、同等未満の視聴制限レベルが設定されている場合は、当該新コンテンツに対して視聴制限を行わない。
【0038】
このようにすると、再生中に視聴が制限されたコンテンツに設定されている視聴制限レベルが、ユーザーが所望する視聴制限条件の一つとして映像機器側に設定(記憶)され、当該設定内容に基づいて視聴制限が行われるため、例えば、レーティング(視聴制限レベル)を設定するための画面W1(図10)や画面W2(図11)をテレビ画面に表示させて、細かい条件設定を行わなくても良い。これにより、視聴制限の条件設定にかかる手間と時間を省略することが出来る。また、画面W1や画面W2に表示されているレーティングに対応する視聴対象年齢等を理解していなくても、最適な視聴制限条件を設定することが出来る。さらに、映像機器を買い換えた場合や、視聴制限に係る新技術が開発された場合等においても、本発明の視聴制限機能が備えられている場合は、視聴制限の条件を設定するための手順や機能を初めから学び直さなくてよい。
【0039】
なお、本発明でいうコンテンツには、テレビ番組、光ディスク等の記録媒体に記録されたコンテンツ(例えば、映画)、インターネット等のネットワークを通じて提供されるコンテンツ等、各種のコンテンツが含まれる。
【0040】
本発明においては、第1の選択手段によりコンテンツの視聴制限を継続しないことが選択された場合は、当該コンテンツの視聴制限を解除して、コンテンツの視聴が行える状態に復帰させてもよい。
【0041】
このようにすると、視聴中のコンテンツにおいて子供に視聴させたくない映像の割合が極めて少ない(一時的)場合や、当該コンテンツの視聴に適さない年齢の子供が、テレビ100の付近にいない(離席した)場合等は、コンテンツの視聴を容易に再開することが出来るため、ユーザーの利便性の損失を抑制することが出来る。
【0042】
また、本発明においては、第1の選択手段によりコンテンツの視聴制限を継続することが選択され、かつ、第2の選択手段によりコンテンツと同等以上の視聴制限レベルが設定されている他のコンテンツに対しては視聴制限を行わないことが選択された場合は、コンテンツに設定されている視聴制限レベルを記憶手段に記憶しなくてもよい。
【0043】
このようにすると、ユーザーが、その時々に応じて、コンテンツに対して視聴制限を行うか否かを判断することが出来るため、ユーザーの利便性を保つことが出来る。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、再生中に視聴が制限されたコンテンツに設定されている視聴制限レベルを、視聴制限条件の一つとして映像機器側に設定(記憶)し、当該設定内容に基づいて視聴制限を行うことにより、ユーザーが所望する通りの視聴制限条件を、簡単に設定することが出来る映像機器を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】テレビジョン受像機の構成を示したブロック図である。
【図2】リモコンの操作面を示した図である。
【図3】視聴制限機能の設定に関する手順等を示すフローチャートである。
【図4】子供の教育上好ましくない内容を含む映像(画面)の一例である。
【図5】視聴制限の継続可否に関する画面の一例である。
【図6】未視聴コンテンツの視聴制限に関する画面の一例である。
【図7】レーティング情報を登録するデータベースの一例である。
【図8】レーティング情報が登録されたデータベースの一例である。
【図9】レーティング情報が登録されたデータベースの一例である。
【図10】レーティング設定画面の一例である。
【図11】レーティング設定画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。尚、以下の図では、同一部分または対応する部分に同一符号を付してある。
【0047】
図1は、デジタルテレビジョン放送を受信するテレビジョン受像機100の構成を示したブロック図である。テレビジョン受像機100は、本発明である映像機器の一実施形態である。以下においては、デジタルテレビジョン放送を「テレビ放送」と記載し、テレビジョン受像機を「テレビ」と記載する。
【0048】
テレビ100において、11は、CPU(Central Processing Unit)から構成される制御部である。制御部11は、記憶部21に記憶されている制御プログラムや各種アプリケーションプログラムを実行して、テレビ100の各部を制御する。
【0049】
12は、チューナ等から構成される受信部である。放送局から送信されたテレビ放送の電波は、アンテナNを介して受信部12で受信される。受信部12は、受信した電波の内、操作部14で選局されたチャンネルに対応する周波数の電波から放送信号を抽出して信号処理部15へ出力する。
【0050】
抽出された放送信号は、映像ストリームと、音声ストリームと、データストリームが多重化されたトランスポートストリーム信号から構成されている。映像ストリームは、映像信号を符号化した後、PES(Packetized Elementary Stream)化したストリーム信号である。音声ストリームは、音声信号を符号化した後、PES化したストリーム信号である。データストリームは、データ信号をセクション化したストリーム信号である。以下においては、トランスポートストリーム信号を「TS信号」と記載する。
【0051】
上述した各信号において、映像信号には、映像コンテンツ(テレビ放送の番組等)の映像データが含まれており、音声信号には、映像データに対応する音声データが含まれており、データ信号には、映像コンテンツに設定されているレーティング(視聴制限レベル)の情報や、EPG(Electronic Program Guide:電子番組表)情報等が含まれている(付加されている)。以下においては、テレビ放送の番組を「テレビ番組」と記載する。
【0052】
13は、光学ドライブから構成される記録/再生部である。記録/再生部13は、BD/DVD/CD(Compact Disc)等の光ディスクに対してデータを書き込み(記録し)、また、光ディスクに記録されているデータを読み出す(再生する)。読み出されたデータは、再生信号として信号処理部15に出力される。
【0053】
14は、複数の押しボタンから構成される操作部である。操作部14は、テレビ100の本体前面に設置された操作パネル(図示省略)と、図2に示すリモート・コントロール装置300にそれぞれ設けられている。以下においては、リモート・コントロール装置を「リモコン」と記載する。また、リモコン300の詳細については、後述する。
【0054】
操作部14では、各チャンネルの選局や、後述する視聴制限機能の設定等の所定の入力操作が行われる。視聴制限機能とは、子供の教育上好ましくない内容を含んだ映像コンテンツの視聴を制限する機能である。
【0055】
15は、デマルチプレクサやMPEG(Moving Picture Experts Group)デコーダ等から構成される信号処理部である。信号処理部15は、受信部12から出力された放送信号を復号してTS信号に変換した後、TS信号を映像ストリーム/音声ストリーム/データストリームに分離する。
【0056】
そして、信号処理部15は、映像ストリーム/音声ストリーム/データストリームに対して、各ストリームに対応した処理をそれぞれ実行し、映像ストリームから映像信号を抽出し、音声ストリームから音声信号を抽出し、データストリームからデータ信号を抽出する。
【0057】
抽出された各信号の内、映像信号は、映像信号出力部16へ出力され、音声信号は、音声信号出力部18へ出力され、データ信号は、データ信号出力部20へ出力される。
【0058】
また、信号処理部15は、記録/再生部13から出力された再生信号に対して復号等の処理を実行する。記録/再生部13において読み出されたデータが、例えば、映画等の映像コンテンツである場合、信号処理部15では、再生信号から映像信号/音声信号/データ信号が抽出される。
【0059】
抽出された各信号の内、映像信号は、映像信号出力部16へ出力され、音声信号は、音声信号出力部18へ出力され、データ信号は、データ信号出力部20へ出力される。
【0060】
再生信号から抽出された各信号において、映像信号には、映像コンテンツ(映画等)の映像データが含まれており、音声信号には、映像データに対応する音声データが含まれており、データ信号には、映像コンテンツのレーティング情報や、ディスク識別情報等が含まれている。ディスク識別情報とは、光ディスク毎に予め記憶されているディスク固有のID(Identification)情報である。
【0061】
映像信号出力部16は、信号処理部15から出力された映像信号に対し、画像サイズ変換や画質調整等の処理を行って、当該映像信号を表示部17に出力する。また、映像信号出力部16は、後述するOSD(On Screen Display)生成部22からOSD信号が出力された場合、信号処理部15から出力された映像信号と当該OSD信号を合成して、新たな映像信号を生成し、表示部17に出力する。
【0062】
映像信号出力部16において、OSD信号と合成させる映像信号が無い場合、当該映像信号出力部16では、OSD信号のみで新たな映像信号が生成される。
【0063】
表示部17は、LCD(Liquid Crystal Display)から構成されており、映像信号出力部16から出力された映像信号に基づいて映像を表示する。
【0064】
音声信号出力部18は、信号処理部15から出力された音声信号に対し、増幅等の処理を行って、当該音声信号をスピーカ19に出力する。
【0065】
スピーカ19は、音声信号出力部18から出力された音声信号に基づいて音声を出力する。
【0066】
データ信号出力部20は、信号処理部15から出力されたデータ信号を記憶部21に出力する。
【0067】
記憶部21は、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)から構成されており、データ信号出力部20から出力されたデータ信号に含まれる各種データは、記憶部21内の所定の記憶領域に記憶される。
【0068】
記憶部21には、上述したとおり、制御プログラムや各種アプリケーションプログラムが予め記憶されている。これに加えて、記憶部21には、放送信号から抽出したデータ信号に含まれるレーティング情報/EPG情報等や、再生信号から抽出したデータ信号に含まれるレーティング情報/ディスク識別情報等が記憶される。
【0069】
OSD生成部22は、制御部11の制御の下、操作部14における各種操作に対応したOSD画面を生成する。OSD生成部22において生成されたOSD画面は、信号化された後、OSD信号として映像信号出力部16に出力される。例えば、操作部14にて、テレビ100の本体の設定を行うための操作が行われた場合、OSD生成部22では、当該操作に対応するメニュー画面が生成される。
【0070】
以上において、制御部11および信号処理部15は、本発明における制御手段の一実施形態を構成し、操作部14は、本発明における操作手段の一実施形態を構成し、記憶部21は、本発明における記憶手段の一実施形態を構成する。
【0071】
テレビ100には、上述した以外にも種々の装置(例えば、電源装置)等が備えられているが、本発明には直接関係がないため、これらに関する説明およびその図示を省略する。
【0072】
図2は、操作部14(図1)が設けられているリモコン300の操作面を示した図である。
【0073】
リモコン300において、31は、テレビ100(図1)を起動させるための電源ボタンである。32は、選局操作や暗証番号入力操作等で使用される数字ボタンである。
【0074】
33は、放送信号から抽出されたデータ信号に含まれているEPG情報に基づいて、テレビ放送の番組表を表示部17(図1)に表示させるための番組表ボタンである。表示部17に表示される番組表では、例えば、各番組の名称や内容に加えて、番組に設定されているレーティング情報が表示される場合もある。
【0075】
34は、テレビ100の本体の設定を行うための本体設定ボタンである。本体設定ボタン34が押された場合、OSD生成部22(図1)によって、メニュー画面(図示省略)が生成されて、表示部17(図1)に表示される。このメニュー画面では、例えば、上述した視聴制限機能の設定や、表示部17のコントラスト設定、テレビ放送の受信地域の設定等の各種設定が行われる。
【0076】
35は、表示部17に表示されたOSD画面(例えば、メニュー画面)の画面上にあるカーソルを移動させて、当該画面上にある所定の項目を選択するカーソルボタンである。
【0077】
36は、数字ボタン32で入力された情報や、カーソルボタン35で選択された項目等を確定するための決定ボタンである。
【0078】
37は、テレビ100において選局されているチャンネルを進めたり、戻したりして、選局変更をするチャンネルボタンである。例えば、チャンネルボタン37の上端が押された場合は、チャンネルが進み、下端が押された場合は、チャンネルが戻る。
【0079】
38は、スピーカ19(図1)から出力される音量を増減させるための音量ボタンである。例えば、音量ボタン38の上端が押された場合は、音量が増大し、下端が押された場合は、音量が減少する。
【0080】
39は、テレビ100において、上述した視聴制限機能を利用するためのダイレクトブロックボタンである。ダイレクトブロックボタン39を利用した視聴制限機能の設定方法に関しては、後述する。
【0081】
40は、記録/再生部13において、光ディスクに記録されているデータを読み出す(再生する)ための再生ボタンである。41は、テレビ100が備える種々の機能が割り当てられた機能ボタンである。
【0082】
以上において、リモコン300の操作面上に設けられているダイレクトブロックボタン39は、本発明における操作手段の具体例である。
【0083】
リモコン300には、上述した以外にも様々な機能が割り当てられた各種ボタンが設けられているが、本発明には直接関係が無いため、説明を省略する。
【0084】
図3は、以上のような構成のテレビ100において視聴制限機能が設定される場合の設定手順や、各設定手順において実施される処理等を説明するためのフローチャートである。
【0085】
図3のフローチャートにおいて、ステップS1では、テレビ100(図1)の操作部14(図1)において所定の操作が実行されて、映像コンテンツの視聴が開始される。具体的には、ユーザーによって、例えば、リモコン300(図2)の電源ボタン31(図2)が操作され、当該操作に基づいて、テレビ100が起動する。
【0086】
テレビ100の起動後において、テレビ放送によって配信される映像コンテンツが視聴される場合は、例えば、ユーザーによって、リモコン300の数字ボタン32(図2)、または、チャンネルボタン37(図2)が操作されて、当該ユーザーが所望するチャンネルに変更(選局)される。
【0087】
これにより、選局されたチャンネルで放送されているテレビ番組等の映像が、表示部17(図1)に表示され、当該テレビ番組の音声が、スピーカ19(図1)から出力される。尚、ユーザーが所望するチャンネルと同じチャンネルが、テレビ100において予め選局されている場合は、上述した選局操作は行われない。
【0088】
また、テレビ100の起動後において、光ディスクに記録されている映像コンテンツが視聴される場合は、例えば、ユーザーによって、記録/再生部13(図1)にBDが収容され、その後、リモコン300の再生ボタン40(図1)が操作されて、BDに記録されている映画の再生が開始される。
【0089】
これにより、記録/再生部13で再生された映画の映像が表示部17に表示され、当該映画の音声がスピーカ19から出力される。以下においては、BDに記録されている映画を「BD映画」と記載する。
【0090】
ステップS2において、映像コンテンツの視聴中に、子供の教育上好ましくない内容を含む映像(画面)が、表示部17に表示された場合(ステップS2:YES)は、ステップS3へ進み、表示されていない場合(ステップS2:NO)は、ステップS4bへ進む。以下においては、子供の教育上好ましくない内容を含む映像を「有害映像」と記載する。また、表示部17において表示された映像が有害映像であるか否かは、映像コンテンツの視聴者(保護者等)によって判断される。
【0091】
有害映像とは、例えば、図4において表示部17に表示されている画面V1である。画面V1では、戦闘場面が描かれており、当該画面V1は、所謂、暴力シーンに該当する。
【0092】
このため、ユーザー(例えば、保護者)の教育方針等にもよるが、このような有害映像が含まれる映像コンテンツは、一般的に、子供(特に、低年齢の子供)の視聴に適さない映像コンテンツとされている。
【0093】
ステップS3において、有害映像が表示部17に表示された(ステップS2:YES)ことに基づき、視聴(再生)中の映像コンテンツに対する視聴制限操作が必要な場合(ステップS3:YES)は、ステップS4aへ進み、視聴制限操作が必要でない場合(ステップS3:NO)は、ステップS4bへ進む。視聴中の映像コンテンツに対する視聴制限操作が必要であるか否かは、当該映像コンテンツの視聴者(保護者等)によって判断される。
【0094】
視聴制限操作が必要な場合(ステップS3:YES)とは、例えば、ユーザーが、画面V1(図4)のような有害映像が含まれる映像コンテンツを、当該映像コンテンツの視聴に適さない年齢の子供と一緒に視聴している場合や、当該年齢の子供がテレビ100の周辺にいる場合等である。
【0095】
また、視聴制限操作が必要でない場合(ステップS3:NO)とは、例えば、ユーザーが、画面V1のような有害映像が含まれる映像コンテンツを、当該映像コンテンツの視聴に適さない年齢の子供と一緒に視聴していない場合や、当該年齢の子供がテレビ100の周辺にいない場合等である。
【0096】
ステップS4aでは、視聴中の映像コンテンツに対する視聴制限操作が必要な場合(ステップS3:YES)、当該映像コンテンツに対する視聴制限操作が実行される。この場合、例えば、ユーザーによって、リモコン300のダイレクトブロックボタン39(図2)が操作される。
【0097】
ステップS4aでの視聴制限操作が行われると、視聴中の映像コンテンツに対して視聴が制限される。具体的には、信号処理部15(図1)では、当該信号処理部15から出力される映像信号/音声信号/データ信号の内、映像信号および音声信号の出力が停止され、データ信号のみが出力される。これらの出力処理は、制御部11(図1)によって実行される。
【0098】
つまり、信号処理部15から映像信号出力部16(図1)に対しては、視聴中の映像コンテンツに対応する映像信号が出力されなくなるため、映像信号処理部16から表示部17に対しても、当該映像信号の出力が出来なくなる。
【0099】
また、信号処理部15から音声信号出力部18(図1)に対しては、視聴中の映像コンテンツに対応する音声信号が出力されなくなるため、音声信号処理部18からスピーカ19に対しても、当該音声信号の出力が出来なくなる。
【0100】
このため、視聴制限される映像コンテンツが、例えば、テレビ番組である場合は、表示部17にテレビ番組の映像が表示されなくなり、スピーカ19からテレビ番組の音声が出力されなくなる。視聴制限される映像コンテンツが、例えば、BD映画である場合は、表示部17にBD映画の映像が表示されなくなり、スピーカ19からBD映画の音声が出力されなくなる。
【0101】
以上のようにすることにより、ユーザーが視聴中の映像コンテンツは、テレビ100において視聴制限される。以下においては、視聴制限された映像コンテンツを「視聴制限済みコンテンツ」と記載する。
【0102】
映像信号や音声信号の出力が停止される一方で、信号処理部15からデータ信号出力部20(図1)に対しては、視聴中の映像コンテンツに対応するデータ信号が出力される。よって、データ信号処理部20から記憶部21(図1)に対しても、当該データ信号が出力される。
【0103】
このため、視聴制限される映像コンテンツが、例えば、テレビ番組である場合は、当該テレビ番組のレーティング情報やEPG情報等が、記憶部21内の所定の記憶領域に記憶される。視聴制限される映像コンテンツが、例えば、BD映画である場合は、当該BD映画のレーティング情報や、BD映画が記録されている光ディスクのディスク識別情報等が、記憶部21内の所定の記憶領域に記憶される。
【0104】
また、ステップS4aにおいて視聴制限操作が行われた後、ステップS5aにおいて、OSD生成部22(図1)では、「視聴制限済みコンテンツに対する視聴制限を継続させるか否か」を確認するためのOSD画面が生成される。そして、OSD生成部22にて生成された当該OSD画面は、信号化された後、OSD信号として映像信号出力部16に出力される。映像信号出力部16は、入力されたOSD信号から新たな映像信号を生成して、表示部17に出力する。これによって、画面V1(図4)に代わり、図5に示す画面V2が表示部17に表示される。画面V2は、OSD生成部22で生成されたOSD画面の一例である。これらの処理は、制御部11によって実行される。
【0105】
画面V2では、例えば、「視聴が制限された状態をこのまま継続しますか?」という表示がなされる。図5の表示部17において、画面V2以外の部分を示している斜線部は、映像が表示されていない(ブラックバックである)ことを表している。
【0106】
そして、画面V2に表示されている内容を確認したユーザーの判断より、視聴制限済みコンテンツに対する視聴制限が継続される場合(ステップS5a:YES)は、例えば、当該ユーザーにより、リモコン300のカーソルボタン35(図2)が操作されて、画面V2上の2つの項目の内、「はい」と書かれた項目が選択され、その後、決定ボタン36(図2)が操作されて、選択した項目の内容が確定される。これにより、視聴制限済みコンテンツに対する視聴制限が継続される。
【0107】
視聴制限が継続される場合としては、例えば、視聴中の映像コンテンツにおいて、画面V1のような有害映像の割合が極めて多い場合や、当該映像コンテンツの視聴に適さない年齢の子供が、テレビ100の付近にいる(退席していない)場合等がある。
【0108】
視聴制限済みコンテンツに対する視聴制限が継続されない場合(ステップS5a:NO)は、例えば、ユーザーにより、リモコン300のカーソルボタン35が操作されて、画面V2上の2つの項目の内、「いいえ」と書かれた項目が選択され、その後、決定ボタン36が操作されて、選択した項目の内容が確定される。これにより、視聴制限済みコンテンツに対する視聴制限が解除される。
【0109】
視聴制限が継続されない場合としては、例えば、視聴中の映像コンテンツにおいて、画面V1のような有害映像の割合が極めて少ない(一時的)場合や、当該映像コンテンツの視聴に適さない年齢の子供が、テレビ100の付近にいない(離席した)場合等がある。
【0110】
表示部17に表示された画面V2は、リモコン300の操作面に設けられたカーソルボタン35および決定ボタン36と共に、本発明における第1の選択手段の一実施形態を構成する。
【0111】
ステップS6aでは、現在視聴していないその他の映像コンテンツ(以下、「未視聴コンテンツ」と記載)について、未視聴コンテンツに、視聴制限済みコンテンツと同等以上のレーティング(視聴制限レベル)が設定されている場合に、当該未視聴コンテンツに対しても視聴制限を行うか否かをユーザーに確認するための画面が、表示部17に表示される。そして、視聴制限を行う場合(ステップS6a:YES)は、ステップS7aへ進み、視聴制限を行わない場合(ステップS6a:NO)は、ステップS8へ進む。
【0112】
具体的には、OSD生成部22では、「視聴制限済みコンテンツと同等以上のレーティングが設定されている未視聴コンテンツに対しても視聴制限を行うか否か」を確認するためのOSD画面が生成される。そして、OSD生成部22にて生成された当該OSD画面は、信号化された後、OSD信号として映像信号出力部16に出力される。映像信号出力部16は、入力されたOSD信号から新たな映像信号を生成して、表示部17に出力する。これによって、画面V2(図5)に代わり、図6に示す画面V3が表示部17に表示される。画面V3は、OSD生成部22で生成されたOSD画面の一例である。これらの処理は、制御部11によって実行される。
【0113】
画面V3では、例えば、「同等以上のレーティングが設定されているコンテンツに対しても視聴制限しますか?」という表示がなされる。図6の表示部17において、画面V3以外の部分を示している斜線部は、映像が表示されていない(ブラックバックである)ことを表している。
【0114】
そして、画面V3に表示されている内容を確認したユーザーの判断より、視聴制限済みコンテンツと同等以上のレーティングが設定されている未視聴コンテンツに対しても視聴制限を行う場合(ステップS6a:YES)は、例えば、当該ユーザーにより、リモコン300のカーソルボタン35が操作されて、画面V3上の2つの項目の内、「はい」と書かれた項目が選択され、その後、決定ボタン36が操作されて、選択した項目の内容が確定される。これにより、視聴制限済みコンテンツと同等以上のレーティングが設定されている未視聴コンテンツに対しても視聴制限が行われる。
【0115】
視聴制限済みコンテンツと同等以上のレーティングが設定されている未視聴コンテンツに対しても視聴制限が行われる場合としては、例えば、ユーザーの不在時において、あらゆるレーティングの映像コンテンツが、子供によって視聴されることを防止したい場合等がある。
【0116】
視聴制限済みコンテンツと同等以上のレーティングが設定されている未視聴コンテンツに対しては視聴制限を行わない、つまり、視聴制限済みコンテンツのみ視聴制限を行う場合(ステップS6a:NO)は、例えば、ユーザーにより、リモコン300のカーソルボタン35が操作されて、画面V3上の2つの項目の内、「いいえ」と書かれた項目が選択され、その後、決定ボタン36が操作されて、選択した項目の内容が確定される。これにより、視聴制限済みコンテンツと同等以上のレーティングが設定されている未視聴コンテンツに対しては視聴制限が行われない。
【0117】
視聴制限済みコンテンツと同等以上のレーティングが設定されている未視聴コンテンツに対しては視聴制限を行わない場合としては、例えば、ユーザーが、その時々に応じて、映像コンテンツに対して視聴制限を行うか否かを判断したい場合等がある。
【0118】
表示部17に表示された画面V3は、リモコン300の操作面に設けられたカーソルボタン35および決定ボタン36と共に、本発明における第2の選択手段の一実施形態を構成する。
【0119】
ステップS6aにおいて、上述した「はい」または「いいえ」の項目が確定された後は、表示部17に表示されていた画面V3は自動消去される。このため、表示部17の画面上は、ブラックバックとなる。つまり、表示部17の画面上において、映像が非表示の状態となる。
【0120】
ステップS7aでは、視聴制限済みコンテンツと同等以上のレーティングが設定されている未視聴コンテンツに対しても視聴制限が行われる(ステップS6a:YES)ことに基づいて、当該視聴制限済みコンテンツのレーティング情報が、テレビ100に登録される。
【0121】
具体的には、ステップS4aの操作により、視聴制限済みコンテンツのレーティング情報は、記憶部21に記憶されている。このため、ステップS7aでは、制御部11の制御の下、視聴制限済みコンテンツのレーティング情報が、記憶部21から読み出されて、例えば、図7に示す視聴制限データベースDBに登録される。視聴制限データベースDBは、例えば、記憶部21内の所定の記憶領域に予め記憶されている。
【0122】
視聴制限済みコンテンツが、例えば、米国のテレビ番組であって、当該テレビ番組の年齢に関するレーティングが、例えば、米国の「The TV Parental Guidelines」が定める「TV−MA」に該当し、番組内容に関するレーティングが、例えば、米国の「The TV Parental Guidelines」が定める「V」に該当する場合、これらのレーティング情報は、視聴制限データベースDBに登録される。これらのレーティング情報を登録した視聴制限データベースDBは、図8に示すデータベースDB1で表される。
【0123】
図8のデータベースDB1では、年齢に関するレーティングが「TV−MA」であり、番組内容に関するレーティングが「V」である枠内(灰色部)において、当該レーティングに該当する映像コンテンツに対して視聴制限が行われることを意味する円形の印「○」が記されている。尚、年齢に関するレーティングが、例えば、「TV−PG」である場合は、これと同等以上の「TV−14」,「TV−MA」についても、視聴制限が行われる。
【0124】
視聴制限済みコンテンツが、例えば、米国で販売されているBD映画であって、当該BD映画のレーティングが、例えば、米国の「MPAA」が定める「NC−17」に該当する場合、当該レーティング情報は、視聴制限データベースDBに登録される。このレーティング情報を登録した視聴制限データベースDBは、図9に示すデータベースDB2で表される。
【0125】
図9のデータベースDB2では、レーティングが「NC−17」である枠内(灰色部)において、当該レーティングに該当する映像コンテンツに対して視聴制限が行われることを意味する円形の印「○」が記されている。尚、レーティングが、例えば、「PG−13」である場合は、これと同等以上の「R」,「NC−17」についても、視聴制限が行われる。
【0126】
ステップS7aにおいて説明した視聴制限データベースDBは、本発明における記憶手段の具体例である。
【0127】
ステップS8において、ユーザーが視聴する映像コンテンツが変更された場合(ステップS8:YES)は、ステップS9aへ進み、変更されない場合(ステップS8:NO)は、ステップS9bへ進む。
【0128】
視聴する映像コンテンツが変更された場合(ステップS8:YES)とは、例えば、ユーザーによって、リモコン300の数字ボタン32またはチャンネルボタン37が操作されて、当該ユーザーが所望する他のチャンネルに変更(選局)された場合や、ユーザーによって、記録/再生部13に収容されていたBDが取り出された後、他のBDが当該記録/再生部13に収容され、その後、リモコン300の再生ボタン40が操作されて、映画等の再生が開始される場合である。
【0129】
視聴する映像コンテンツが変更されない場合(ステップS8:NO)とは、例えば、ユーザーによる操作が何ら行われずに、表示部17の画面上において、映像が非表示状態となっている場合である。
【0130】
ステップS9aにおいて、新たに視聴が開始される映像コンテンツに、視聴制限データベースDB(図7)に登録されているレーティングと同等以上のレーティングが設定されている場合(ステップS9a:YES)は、ステップS10へ進み、同等以上のレーティングが設定されていない、つまり、同等未満のレーティングが設定されている、または、レーティングの設定が無い場合(ステップS9a:NO)は、ステップS2の直前に戻る。以下においては、新たに視聴が開始される映像コンテンツを「新コンテンツ」と記載する。
【0131】
具体的には、制御部11により、新コンテンツのレーティング情報が抽出されて、記憶部21内の所定の記憶領域に記憶されている視聴制限データベース(図7)に登録されているレーティング情報と比較される。
【0132】
そして、新コンテンツに、例えば、データベースDB1(図8)に登録されているレーティングと同等以上のレーティングが設定されている場合や、データベースDB2(図9)に登録されているレーティングと同等以上のレーティングが設定されている場合は、当該ステップS9aにおいて「YES」となり、同等未満のレーティングが設定されている場合は、当該ステップS9aにおいて「NO」となる。
【0133】
ステップS10では、新コンテンツに、視聴制限データベースDBに登録されているレーティングと同等以上のレーティングが設定されている(ステップS9a:YES)ため、当該新コンテンツに対して視聴制限を行う。ステップS10の終了後は、ステップS8の直前に戻る。ここで、ステップS10からステップS8へ戻る場合は、例えば、「登録済みのレーティングと同等以上のレーティングが設定されているコンテンツであるため、再生出来ません。」という表示がなされるOSD画面(図示省略)をOSD生成部22で生成して、表示部17に表示しても良い。これにより、ユーザーは、新コンテンツが再生されない理由を容易に知ることが出来る。
【0134】
尚、ステップS2において、有害映像が表示部17に表示されていない場合(ステップS2:NO)は、ステップS4bへ進み、当該ステップS4bにおいて、テレビ100の電源がOFFされた場合(ステップS4b:YES)は、本フローチャートが終了し、テレビ100の電源がOFFされていない場合(ステップS4b:NO)は、ステップS5bへ進む。ステップS5bでは、ステップS2に続いて、映像コンテンツの視聴が継続されるため、当該ステップS5bから再びステップS2の直前に戻る。
【0135】
ステップS3において、視聴中の映像コンテンツに対する視聴制限操作が必要でない場合(ステップS3:NO)は、ステップS4bへ進み、当該ステップS4bにおいて、テレビ100の電源がOFFされた場合(ステップS4b:YES)は、本フローチャートが終了し、テレビ100の電源がOFFされていない場合(ステップS4b:NO)は、ステップS5bへ進む。ステップS5bでは、ステップS3に続いて、映像コンテンツの視聴が継続されるため、当該ステップS5bから再びステップS2の直前に戻る。
【0136】
ステップS5aにおいて、視聴制限済みコンテンツに対する視聴制限が継続されない場合(ステップS5a:NO)は、ステップS6bへ進み、当該ステップS6bにおいて、テレビ100の電源がOFFされた場合(ステップS6b:YES)は、本フローチャートが終了し、テレビ100の電源がOFFされていない場合(ステップS6b:NO)は、ステップS7bへ進む。ステップS7bでは、視聴制限済みコンテンツに対する視聴制限が解除されて、通常視聴に復帰し、映像コンテンツの視聴が再開されるため、当該ステップS7bから再びステップS2の直前に戻る。
【0137】
ステップS8において、ユーザーが視聴する映像コンテンツが変更されない場合(ステップS8:NO)は、ステップS9bへ進み、当該ステップS9bにおいて、テレビ100の電源がOFFされた場合(ステップS9b:YES)は、本フローチャートが終了し、テレビ100の電源がOFFされていない場合(ステップS9b:NO)は、再度ステップS8の直前に戻る。
【0138】
ステップS9aにおいて、新コンテンツのレーティングに、視聴制限データベースDBに登録されているレーティングと同等未満のレーティングが設定されている場合(ステップS9a:NO)は、当該新コンテンツの視聴を開始し、当該ステップS9aから再びステップS2の直前に戻る。
【0139】
以上述べたように、上記実施形態によれば、再生中の映像コンテンツに対して視聴制限が行われ(ステップS4a)、当該映像コンテンツと同等以上のレーティングが設定されているコンテンツに対しても視聴制限を行うことがユーザーにより選択された場合(ステップS6a:YES)は、映像コンテンツに設定されているレーティング情報が、ユーザーが所望する視聴制限条件の一つとして、記憶部21内の所定の記憶領域に予め記憶されている視聴制限データベースDBに登録される(ステップS7a)。その後は、視聴制限データベースDBに登録されたレーティング情報に基づいて視聴制限が行われる(ステップS9a、S10)ため、例えば、レーティングを設定するための画面W1(図10)や画面W2(図11)をテレビ画面に表示させて、細かい条件設定を行わなくても良い。これにより、視聴制限の条件設定にかかる手間と時間を省略することが出来る。また、画面W1や画面W2に表示されているレーティングに対応する視聴対象年齢等を理解していなくても、最適な視聴制限条件を設定することが出来る。さらに、映像機器を買い換えた場合や、視聴制限に係る新技術が開発された場合等においても、本発明の視聴制限機能が備えられている場合は、視聴制限の条件を設定するための手順や機能を初めから学び直さなくてよい。
【0140】
また、上記実施形態によれば、再生中の映像コンテンツに対して視聴制限が行われ(ステップS4a)、その後、当該映像コンテンツに対する視聴制限が継続されない場合(ステップS5a:NO)は、映像コンテンツの視聴制限を解除して、コンテンツの視聴が行える状態に復帰させる(ステップS7b)ため、視聴中のコンテンツにおいて子供に視聴させたくない映像の割合が極めて少ない(一時的)場合や、当該コンテンツの視聴に適さない年齢の子供が、テレビ100の付近にいない(離席した)場合等は、コンテンツの視聴を容易に再開することが出来る。これにより、ユーザーの利便性の損失を抑制することが出来る。
【0141】
さらに、上記実施形態によれば、再生中の映像コンテンツに対して視聴制限が行われ(ステップS4a)、当該映像コンテンツに対する視聴制限が継続することが選択された(ステップS5a:YES)後、当該映像コンテンツと同等以上のレーティングが設定されているコンテンツに対しては視聴制限を行わないことがユーザーにより選択された場合(ステップS6a:NO)は、映像コンテンツに設定されているレーティング情報が、ユーザーが所望する視聴制限条件の一つとして、記憶部21内の所定の記憶領域に予め記憶されている視聴制限データベースDBに登録されないため、ユーザーが、その時々に応じて、映像コンテンツに対して視聴制限を行うか否かを判断することが出来る。これにより、ユーザーの利便性を保つことが出来る。
【0142】
本発明では、以上述べた以外にも種々の実施形態を採用することが出来る。例えば、上記実施形態では、視聴制限される映像コンテンツが、デジタルテレビジョン放送のテレビ番組である場合、当該テレビ番組のレーティング情報を、記憶部21内の所定の記憶領域に記憶したが、これに限定されない。例えば、NTSC(National Television System Committee)方式のアナログテレビジョン放送では、当該放送信号の垂直帰線区間にあるライン(Line)21に、映像コンテンツのレーティング情報が付加されている。また、アナログテレビジョン放送を受信するテレビジョン受像機には、当該レーティング情報を検出する検出器(例えば、「V−Chip」)が、予め備えられている。このため、視聴制限される映像コンテンツが、アナログテレビジョン放送のテレビ番組である場合、当該テレビ番組のレーティング情報を検出器により検出した後、記憶部21内の所定の記憶領域に記憶してもよい。
【0143】
また、上記実施形態では、映像機器の一例として、テレビジョン受像機を挙げたが、本発明は、テレビジョン受像機に限らず、BDやDVD等のディスクを再生するディスク装置、PC(Personal Computer)、携帯端末等の各種映像機器に適用が可能である。
【0144】
また、図7では、視聴制限データベースDBに、米国のテレビ番組や米国で販売されているBD映画において定められているレーティングが用いられているが、他の国において定められているレーティングを追加して、視聴制限条件の設定を行っても良い。
【0145】
また、上記実施形態では、ユーザーによって、リモコン300のダイレクトブロックボタン39が操作されることで、視聴中の映像コンテンツに対する視聴制限操作が実行された(ステップS4a)が、これに限られず、例えば、リモコン300の決定ボタン36において、長めの押圧操作(所謂、長押し操作)が行われたことに基づいて、視聴制限操作が実行されてもよい。つまり、ダイレクトブロックボタン39の機能を、テレビ100の本体前面に設置された操作パネルに設けられている押しボタンや、リモコン300に設けられている他の押しボタンに割り当てても良い。また、ボタンの操作方法を、長押し操作や連続押し操作等としてもよい。
【0146】
さらに、上記実施形態では、レーティングが異なるコンテンツの視聴が開始される(ステップS9a:NO)場合や、視聴コンテンツの変更が行われないままテレビ100の電源がOFFされる(ステップS9b:YES)の場合以外は、テレビ100において視聴が制限された状態が継続されるため、例えば、当該視聴制限状態が所定時間継続した場合に、テレビ100の電源を自動的にOFFさせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0147】
11 制御部
14 操作部
15 信号処理部
21 記憶部
35 カーソルボタン
36 決定ボタン
39 ダイレクトブロックボタン
100 テレビジョン受像機
300 リモート・コントロール装置
V1,V2,V3 画面
DB,DB1,DB2 データベース
W1,W2 レーティング設定画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツに設定されている視聴制限レベルと機器側に設定されている視聴制限レベルとに基づいて、当該コンテンツの再生を制限する視聴制限機能を備えた映像機器において、
前記コンテンツの再生中において視聴制限を行うための操作手段と、
前記操作手段による前記コンテンツの視聴制限を継続するか否かを選択する第1の選択手段と、
前記第1の選択手段により前記コンテンツの視聴制限を継続することが選択されたことに基づいて、当該コンテンツと同等以上の視聴制限レベルが設定されている他のコンテンツに対しても視聴制限を行うか否かを選択する第2の選択手段と、
前記コンテンツに設定されている視聴制限レベルを記憶する記憶手段と、
前記第1の選択手段および前記第2の選択手段の選択結果に応じて視聴制限を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1の選択手段により前記コンテンツの視聴制限を継続することが選択され、かつ、前記第2の選択手段により前記コンテンツと同等以上の視聴制限レベルが設定されている他のコンテンツに対しても視聴制限を行うことが選択された場合は、前記コンテンツに設定されている視聴制限レベルを前記記憶手段に記憶し、
前記コンテンツとは異なる新コンテンツが再生された場合は、当該新コンテンツに設定されている視聴制限レベルと、前記記憶手段に記憶されている視聴制限レベルとを比較し、
前記新コンテンツに、前記記憶手段に記憶されている視聴制限レベルと同等以上の視聴制限レベルが設定されている場合は、当該新コンテンツに対して視聴制限を行い、同等未満の視聴制限レベルが設定されている場合は、当該新コンテンツに対して視聴制限を行わないことを特徴とする映像機器。
【請求項2】
請求項1に記載の映像機器において、
前記制御手段は、
前記第1の選択手段により前記コンテンツの視聴制限を継続しないことが選択された場合は、当該コンテンツの視聴制限を解除して、コンテンツの視聴が行える状態に復帰させることを特徴とする映像機器。
【請求項3】
請求項1に記載の映像機器において、
前記制御手段は、
前記第1の選択手段により前記コンテンツの視聴制限を継続することが選択され、かつ、前記第2の選択手段により前記コンテンツと同等以上の視聴制限レベルが設定されている他のコンテンツに対しては視聴制限を行わないことが選択された場合は、前記コンテンツに設定されている視聴制限レベルを前記記憶手段に記憶しないことを特徴とする映像機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−35723(P2011−35723A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180798(P2009−180798)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】