説明

映像機器

【課題】像倍率の異なる複数の静止画に基づいて動画を生成する映像機器を提供する。
【解決手段】本発明による映像機器は、複数の静止画を記録する画像記録手段と、上記静止画の像倍率を記録する像倍率記録手段と、上記複数の静止画と、該静止画に対応した像倍率とに基づいて、該複数の静止画とは異なる複数の静止画を生成する静止画生成手段と、上記画像記録手段が記録している静止画と、上記静止画生成手段が生成した複数の静止画とに基づいて、動画を生成する動画生成手段と、を有し、上記静止画生成手段は、上記複数の静止画の内二つの静止画と、該二つの静止画に対応した像倍率とに基づいて、像倍率が中間となる静止画を生成し、動体検出技術を基に補正する、または、モーフィング技術に基づいて静止画を生成する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像倍率の異なる複数の静止画に基づいて動画を生成する映像機器に関する。
【背景技術】
【0002】
写真を撮るときに、数枚でストーリー性が出るように撮影を行うが、単独でその写真で見た場合撮影者の意図にあった関連性が見出せないことがある。
【0003】
また、最近のデジタルカメラやパーソナルコンピュータには、複数の静止画を所定時間間隔で連続表示したり、複数の静止画をつなげて動画を生成する機能を持つものがある。
【0004】
動画に対して静止画は、画素数が多い、解像度が高い、画像処理し易い、表示が簡単、手振れが気にならない等のメリットがある。静止画に対して動画は、臨場感がある、音声がある、等のメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−018968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近の動画は高画質になっているが為に、被写体の粗が目立ってしまうことがある。例えば人物の顔の場合、シミ・ソバカスや顔色、化粧崩れ、目の充血等である。
【0007】
これら被写体の粗について、最近のデジタルカメラやパーソナルコンピュータでは、静止画を画像処理して目立たなくする技術がある。従って、静止画ならば被写体の粗を目立たなくすることができるものの、動画では画像処理が重くなることもあり、この技術を適用する例は少ない。
【0008】
そこで、画像処理して粗を目立たなくした静止画を元に動画を生成する、或いは動画の態様に表示することが行われている。
【0009】
ところが、複数の静止画を所定時間間隔で連続表示することにより動画の態様に表示しても、静止画と次の静止画の切り替わりでは画が飛んでしまい、動画のような連続性のある画を得ることは出来ない。これは、複数の静止画をつなげて動画を生成する場合でも同様である。
【0010】
また特開2011−018968号公報に開示されている技術では、ズームアップ・ズームダウンする際の動作を段階的にして劇的な効果を得るのみであり、静止画をつなげて動画を生成することについては述べられていない。
【0011】
本発明は上記課題に鑑み、像倍率の異なる複数の静止画に基づいて動画を生成する映像機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、第1の発明に係る映像機器は、複数の静止画を記録する画像記録手段と、上記静止画の像倍率を記録する像倍率記録手段と、上記複数の静止画と、該静止画に対応した像倍率とに基づいて、該複数の静止画とは異なる複数の静止画を生成する静止画生成手段と、上記画像記録手段が記録している静止画と、上記静止画生成手段が生成した複数の静止画とに基づいて、動画を生成する動画生成手段と、を有し、上記静止画生成手段は、上記複数の静止画の内二つの静止画と、該二つの静止画に対応した像倍率とに基づいて、像倍率が中間となる静止画を生成し、動体検出技術に基づいて補正する、または、モーフィング技術に基づいて静止画を生成する、ことを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するために、第2の発明に係る映像機器は、上記静止画生成手段は、上記二つの静止画の類似度が所定以上、または上記二つの静止画の像倍率の差が所定値以内ならば、像倍率が中間となる静止画を生成し、動体検出技術に基づいて補正する。上記二つの静止画の類似度が所定以下、または上記二つの静止画の像倍率の差が所定値以外ならば、モーフィング技術に基づいて静止画を生成する、ことを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するために、第3の発明に係る映像機器は、上記静止画生成手段は、上記画像記録手段が記録している静止画の像倍率順に静止画を生成する、ことを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するために、第4の発明に係る映像機器は、焦点距離可変の光学系を持つ撮像手段を更に有し、上記撮像手段は、撮影時に上記光学系の焦点距離を変えると、像倍率が所定値変わるごとに撮影する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の映像機器によれば、像倍率の異なる複数の静止画に基づいてストーリー性のある動画を生成することが出来、また、画像処理で補正した静止画に基づいて、被写体の粗を目立たなくした動画を生成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る映像機器の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】図2は、図1に係る撮影時の動作の流れ図である。
【図3】図3は、図1に係る動画作成時の動作の流れ図である。
【図4】図4は、図1、2、3に係る表示の態様である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1実施例]以下、本発明の実施形態を図1から図3に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明を適用した映像機器10の主要構成を示すブロック図である。
【0020】
デジタルカメラ10は内部に、入力部分・処理部分・記録部分・出力部分を持つ。
【0021】
まず入力部分として、レンズ11によって結像された被写体像を撮像部12が取り込む。撮像部12はCCD(Charge Coupled Device)等により構成される。
【0022】
集音部13は、マイク等で構成され、被写体及び周辺の音声を取り込む。
【0023】
操作部14は、デジタルカメラ10を操作するキー等のユーザーインターフェースである。
【0024】
次に処理部分として、LSI/ASIC15は、上記入力部から取り込まれた被写体像や音声を処理したり、キー操作に基づいて各種の動作を行う。
【0025】
音声処理ブロック16は、集音部13が取り込んだ音声を処理する。
【0026】
動画処理ブロック17は、撮像部12が取り込んだ被写体像を処理する。
【0027】
音声処理ブロック16と動画処理ブロック17の処理により、動画が生成される。
【0028】
動体検出処理ブロック18は、複数の静止画に基づいて、動いてる被写体像を検出する。
【0029】
次に記録部分として、メモリ19は、上記処理部分が扱うデータを一時的に記録したり、デジタルカメラ10の設定・状態を記録したりする。
【0030】
記録メディア20は、上記処理部部が生成した動画を記録する。
【0031】
最後に出力部分として、音声出力部21は、スピーカー等で構成され、上記処理部部が生成した動画の音声を再生出力する。
【0032】
映像出力部22は、モニタ等で構成され、上記処理部部が生成した動画の映像を表示出力する。
【0033】
図2は、図1に示したデジタルカメラ10の撮影時の動作を表す流れ図である。図1では、通常撮影とは異なる、動画を作成する為の静止画撮影(素材記録)の動作を示している。
【0034】
まず、安定した静止画を撮影する為に必要に応じて三脚等にデジタルカメラ10を固定する(ステップS101)。
【0035】
次に操作部14を操作して、デジタルカメラ10を素材記録モードに切替える(ステップS102)。通常デジタルカメラ10は通常記録モードになっていて通常撮影出来るようになっているので、このモードを切り替えて、動画を作成する為の静止画撮影(素材記録)が出来るようにするのである。
【0036】
次に操作部14を操作して、専用の記録エリア(フォルダ)を記録メディア20に作成する(ステップS103)。通常撮影ではExif等の規格に基づいて記録エリア(フォルダ)が作成されたり、そのフォルダに画像が記録されるので、このフォルダとは異なる、動画を作成する為の静止画撮影(素材記録)専用のフォルダを作成するのである。
【0037】
次に、操作部14を操作して、静止画(素材)が一枚撮影される(ステップS104)。
【0038】
ステップS104に応じて、デジタルカメラ10は、像倍率を記録し(ステップS105)、静止画を記録する(ステップS106)。
【0039】
そして、撮影した素材は粗のある部分を任意で補正処理して撮影者の求める状態にする(ステップS107)。
【0040】
次に、予め設定してある音声記録モードに基づいて音声を記録するかどうか判断する(ステップS108)。
【0041】
ステップS108にて音声を記録するならば、集音部13が取り込んだ音声を記録する(ステップS109)。音声を記録しないならば、ステップS109の処理は省略される。
【0042】
次に、レンズ11を操作して像倍率の変更(レンズ11の焦点距離の変更)が行われる(ステップS110)。
【0043】
続いて、動画を作成する為の静止画撮影(素材記録)を終了するかどうか判断する(ステップS111)。継続するならば、ステップS104に戻って処理を続ける。
【0044】
終了するならば、ステップS103で作成したフォルダを閉じて撮影を終了する。
【0045】
図3は、図2で撮影した静止画に基づいて動画を作成する動作を表す流れ図である。図3aは動画作成処理全体の流れ図で、図3bと図3cはサブルーチンの流れ図である。
【0046】
図3aにて、まず操作部14を操作してデジタルカメラ10を動画作成モードに切り替える(ステップS201)。通常デジタルカメラ10は撮影や再生を行う通常モードになっているので、このモードを切り替えて、記録されている静止画に基づいて動画を作成するモードに切り替えるのである。
【0047】
次に、動画を作成するポイントとなる静止画を選択する(ステップS202)。
【0048】
上記選択された静止画に基づいて、該静止画の属するフォルダ内の静止画を像倍率順に並べ替える(ステップS203)。
【0049】
次に上記並べ替えた静止画の像倍率を元に、動画作成時の検索用に等倍率の画像(リサイズ画像)を作成する(ステップS204)。
【0050】
そして操作部14を操作して、動画の1コマ目となる静止画を指定する(ステップS205)。
【0051】
上記指定された静止画に基づいて、次のコマとなる静止画を検索する(ステップS206)が、この処理はサブルーチン化されているので、詳細は後述する。
【0052】
次に、上記検索された静止画を表示する(ステップS207)。
【0053】
そして操作部14を操作して、次のコマとなる静止画を指定する(ステップS208)。
【0054】
続いて、予め記録されているBGMの中から一つを選択する(ステップS209)。
【0055】
次に、処理を続けるかどうか判断する(ステップS210。継続するならば、ステップS206に戻って処理を続ける。
【0056】
ステップS210にて終了するならば、上記指定された静止画に基づいて動画を作成する(ステップS211)。この処理はサブルーチン化されているので、詳細は後述する。動画作成が終わると、一連の処理を終了する。
【0057】
図3bは、次のコマとなる静止画を検索するサブルーチンである。
【0058】
まず、一つ前のコマと未検索のコマの像倍率を比較する(ステップS301)。
【0059】
次に、上記像倍率が違うかどうか判断する(ステップS302)。
【0060】
ステップS302にて像倍率が違うならば、上記コマ間の像倍率の高低を特定し(ステップS303)、像倍率の低いコマの中央部分から、像倍率の高いコマの類似度を上記ステップS204で作成したリサイズ画像を使って検索する(ステップS304)。
【0061】
ステップS302にて像倍率が同じならば、上記コマ間の類似度を調べる(ステップS305)。
【0062】
そして、類似度の高いコマを次のコマとなる静止画として並べて(ステップS306)、処理を終わる。
【0063】
図3cは、動画を作成するサブルーチンである。
【0064】
まず、ユーザーが選択した順に静止画を並べる(ステップS401)。
【0065】
次に、各静止画間の類似度を調べる(ステップS402)。
【0066】
ステップS402にて類似度が低ければ、二つの静止画を元にモーフィング処理を行う(ステップS403)。
【0067】
そして、ステップS209で指定したBGM等の長さに応じて、必要となる枚数分の中間静止画を生成する(ステップS404)。
【0068】
ステップS402にて類似度が高ければ、動体検出技術を元に補正した中間静止画を生成する(ステップS405)。
【0069】
そして、ステップS209で指定したBGM等の長さに応じて、必要となる枚数分の中間静止画を生成する(ステップS406)。
【0070】
その後、上記静止画とBGMをつなげて動画を生成して(ステップS407)、処理を終わる。
【0071】
図4は本実施例にて動画を生成する様子である。
【0072】
図4a、c、eが動画を作成する為の静止画撮影(素材記録)で撮影された静止画で、図4bとdが中間静止画として生成された静止画である。そして図4a〜eがつなげられて動画となるのである。
【0073】
以上のように本実施例のデジタルカメラでは、像倍率の異なる複数の補正された静止画に基づいて動画を生成するので、静止画だけでは得られないストーリー性のある動画を生成することが出来、動画として撮影したものより、被写体の粗を目立たなくした動画を生成することが出来る。
【0074】
上記実施例では映像機器としてデジタルカメラで説明したが、本発明はこれらの機器に限るものではなく、コンピュータ等の情報処理機器やカメラ付き携帯電話等の可搬映像機器にも適用して良い。
【0075】
また、本発明は上記実施形態をそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組合せても良い。
【符号の説明】
【0076】
10・・・デジタルカメラ、11・・・レンズ、12・・・撮像部(CCD)、13・・・集音部(マイク)、14・・・操作部(キー/ユーザーインターフェース)、15・・・LSI/ASIC、16・・・音声処理ブロック、17・・・動画処理ブロック、18・・・動体検出処理ブロック、19・・・メモリ、20・・・記録メディア、21・・・音声出力部(スピーカー/サラウンドスピーカー)、22・・・映像出力部(モニタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の静止画を記録する画像記録手段と、
上記静止画の像倍率を記録する像倍率記録手段と、
上記複数の静止画と、該静止画に対応した像倍率とに基づいて、該複数の静止画とは異なる複数の静止画を生成する静止画生成手段と、
上記画像記録手段が記録している静止画と、上記静止画生成手段が生成した複数の静止画とに基づいて、動画を生成する動画生成手段と、
を有し、
上記静止画生成手段は、上記複数の静止画の内二つの静止画と、該二つの静止画に対応した像倍率とに基づいて、
像倍率が中間となる静止画を生成し、動体検出技術を基に補正する、または、
モーフィング技術に基づいて静止画を生成する、
ことを特徴とする映像機器。
【請求項2】
上記静止画生成手段は、上記二つの静止画の類似度が所定以上、または上記二つの静止画の像倍率の差が所定値以内ならば、像倍率が中間となる静止画を生成し、動体検出技術を基に補正し、
上記二つの静止画の類似度が所定以下、または上記二つの静止画の像倍率の差が所定値以外ならば、モーフィング技術に基づいて静止画を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の映像機器。
【請求項3】
上記静止画生成手段は、上記画像記録手段が記録している静止画の像倍率順に静止画を生成する、
ことを特徴とする請求項1乃至2に記載の映像機器。
【請求項4】
焦点距離可変の光学系を持つ撮像手段を更に有し、
上記撮像手段は、撮影時に上記光学系の焦点距離を変えると、像倍率が所定値から変わるごとに撮影する、
ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の映像機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図4c】
image rotate

【図4d】
image rotate

【図4e】
image rotate


【公開番号】特開2013−5255(P2013−5255A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134916(P2011−134916)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】