説明

映像監視装置

【課題】 プラントなどの監視のための情報を表示する画面上に動画像を重ね合わせた監視画面を表示および印刷する映像監視装置に関し、動画像データを含んだプラントの監視画面の動画像データ部分を、静止画像データに変更した画面の印刷画像データをプリンタに出力することを課題とする。
【解決手段】 計算機1に印刷要求手段4から印刷要求があると、監視カメラ5で取得した動画像データ24の信号形式を変換する信号変換装置6で、この動画像データ24を静止画像データ26に変換し計算機1に入力し、計算機1では取得した静止画像データ26を印刷画像データ13aに貼り付け、この印刷画像データ13aをプリンタ9に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラントなどの監視のための情報を表示する画面上に動画像を重ねた監視画面を表示および印刷する映像監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラントなどの監視を行うための計算機は、プラント状態を監視するためのパラメータなどの情報をリアルタイムで処理して監視画面データを作成し、モニタに表示している。この監視画面データにプラントの監視点を撮像した動画像データを重ねるためには、計算機で監視画面データ上に確保したウィンドウにオーバレイ装置で動画像データを重ねた上でモニタに出力し表示する手法をとる。計算機で動画像データの処理を行わない理由は、動画像データの処理を計算機で行うと計算機の負荷が高くなり、パラメータなどの監視情報の処理をリアルタイムで行えなくなる可能性があるからである。この監視画面を印刷するためには、計算機に対し印刷要求を行い、画面データをプリンタに転送して印刷することとなる。ただし、上記の通り計算機では動画像データを処理していないので、計算機から出力する画面の情報には動画像データを印刷するときの状態である静止画像データが含まれておらず、動画像部分は印刷できないこととなる。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−199444号(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の映像監視装置では、計算機で動画像データを処理していないため、印刷要求を計算機に行っても動画像部分が印刷できないという問題点があった。また、動画像データを含んだ監視画面を印刷するために動画像データを計算機に取り込むと、動画像の処理による計算機の負荷が高くなり、監視情報のリアルタイム処理が行えなくなる可能性があるという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、プラントの監視画面に含まれる動画像データ部分を、静止画像データに変更した画面の印刷画像データをプリンタに出力することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る映像監視装置においては、計算機に印刷要求があると、監視カメラで取得した動画像データの信号形式を変換する信号変換装置で、動画像データを静止画像データに変換し計算機に入力する。計算機では取得した静止画像データを監視画面の印刷画像データに貼り付け、この印刷画像データをプリンタに転送するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、計算機からプリンタに静止画像データを含んだ監視画面の印刷画像データを出力するようにしたことにより、動画像データの印刷状態である静止画像データを含んだ監視画面を印刷できるようになる。また、計算機で静止画像データを扱い、動画像データを扱わないようにしたので、計算機で監視情報のリアルタイム処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1はこの発明を実施するための実施の形態1における映像監視装置のシステム構成図、図2はこの発明を実施するための実施の形態1における映像監視装置の監視画面表示の動作フロー図、図3はこの発明を実施するための実施の形態1における映像監視装置の監視画面印刷の動作フロー図である。
【0009】
図1において、1はプラントの監視情報を処理し画面を生成する計算機であり、プラントからの情報であるプラント監視情報2、および動画像表示要求手段3から発信される動画像表示要求から、監視画面データ21と制御信号22を生成する監視画面生成手段11と、この監視画面生成手段11に動画像を表示するウィンドウの管理番号であるウィンドウID12aとこのウィンドウの位置の情報である表示位置情報12bからなるデータベースであるオーバレイウィンドウ管理テーブル12と、印刷要求手段4から監視画面の印刷要求があったときに、前述の監視画面生成手段11に対し要求した監視画面データ21と制御情報22をもとに印刷画像データ13aを作成してプリンタ9に出力する監視画面生成手段13からなる。
【0010】
5はプラントにある機器や設備、プラント周辺状況、あるいはプラントへの侵入者などを監視するための監視カメラであり、上記監視画面生成手段11から発信される配信要求23を受けて動画像を撮像する動作を行い、動画像データ24を信号変換装置6へ出力する。この信号変換装置6は、上記印刷画像データ13aからの静止画像要求25を受けて、動画像データ24の1フレームを静止画像に変換し、静止画像データ26として印刷画像生成手段13に送信する。この信号変換装置6で受信した動画像データ24は必要であれば後述するデータ形式の変換を行いオーバレイ装置7に送信される。オーバレイ装置7では、計算機1の監視画面生成手段11で生成された監視画面データ21と制御信号22および信号変換装置6から受信した動画像データ24をもとに、監視映像データ27を作成しモニタ8に送信して映写する。
【0011】
上記信号変換装置6で扱う動画像データ24および静止画像データ26の信号形式は、各装置相互間で送受信可能な形式であればアナログ方式やデジタル方式など特に形式を問わないが、例えば監視カメラ5からの動画像データ24がMPEG1(Moving Picture Experts Group)の形式であれば、フレームレート30fps(frame per second)のうち15フレームに1回静止画像が挿入されるので、静止画像要求25があればその直後の静止画像を抜き出して静止画像データ26として印刷画像生成手段13に送信することとなる。また、監視カメラ5から出力する動画像データがアナログ形式であり、オーバレイ装置7に入力する動画像データがデジタル形式であれば、信号変換装置6でサンプリングを行いアナログ形式からデジタル形式に変換することになる。これにより、プラントに既に設置してある監視カメラも活用できる。
【0012】
次に動作について説明する。図2において、監視画面生成手段11は周期的にプラント監視情報2を取得する(ステップ101)。オーバレイウィンドウ管理テーブル12から表示するウィンドウの管理番号であるウィンドウID12aとこのウィンドウを表示する表示位置情報12bを取得する(ステップ102)。これら取得したプラント監視情報2とウィンドウ管理テーブル12の情報から、監視画面データ21と制御情報22を生成する(103)。この監視画面データ21は、所定の画像フォーマットに従ってプラント監視情報2が配置されているものであり、監視カメラ5による動画像を表示する場合であれば動画像を表示するためのウィンドウが設けられているものである。また、上記制御情報22は、動画像を表示するための動画像のIDと、動画像を表示する位置の情報である。監視画面生成手段11は、これら監視画面データ21と制御情報22をオーバレイ装置7に出力する(ステップ104)。この後、動画像表示要求手段3から動画像表示要求があるか確認し(ステップ105)、無い場合はステップ106に移動、有る場合はステップ107に移動する。ステップ106では、監視画面データ21上に動画像が表示されるようになっているかの確認であり、動画像が表示中であればステップ110に移動、表示中で無い場合はオーバレイ装置7への監視画面データ21の入力をそのまま監視映像データ27として出力するようにし、ステップ111に移動する。
【0013】
前述のステップ105で動画像表示要求手段3からの動画像表示の要求があれば、監視画面生成手段11から監視カメラ5に動画像の配信の要求と、オーバレイウィンドウ管理テーブル12に撮影した動画像を表示するウィンドウの位置の設定を行う(ステップ107)。監視カメラ5はこの配信要求23を受けて動作し、動画像データ24を連続的に出力するようになる(ステップ108)。動画像データ24は信号変換装置6を経由してオーバレイ装置7に入力される(ステップ109)。
ステップ106あるいはステップ109を受けて、動画像が表示中、あるいは動画像データ24がオーバレイ装置7に入力されるようになると、オーバレイ装置7で監視画面データ21に動画像データ24を重ね合わせて監視映像データ27を作成する(ステップ110)。監視映像データ27をモニタに映写する(ステップ111)。なお、監視カメラ5への動画像の停止や、一般的に監視カメラに搭載されるカメラのズーム機能、撮影位置の変更の機能などの制御については、上記に特に記載していないが、配信要求23と同じルートで制御されるものである。
【0014】
監視画面の印刷を行う際は、図3のフローに従って動作させる。印刷要求手段4から印刷画像生成手段13に対し監視画面の印刷要求を行う(ステップ121)。印刷要求を受けた印刷画像生成手段13は(ステップ122)、監視画面生成手段11に対し監視画面のデータを要求し、この監視画面生成手段11から監視画面データ21と制御情報22を受け取る(ステップ123)。印刷画像生成手段13でこの監視画面データ21を基に動画像が表示中かどうかを動画像のウィンドウが監視画面データ21に含まれているか否かでチェックする(ステップ124)。動画像のウィンドウが含まれていない場合は、監視画面データ21をそのまま印刷すればよいので、ステップ128に移動し監視画面データ21から印刷画像データ13aを作成する。ステップ124で取得した監視画面データ21が動画像を表示するウィンドウを含んでいればステップ125に移動し、信号変換装置6に静止画像要求25を発信する。信号変換装置6では、動画像データ24から静止画像データ26を作成し印刷画像生成手段13に送信する。印刷画像生成手段13はこの静止画像データ26を受信し(ステップ126)、監視画面データの動画像データを表示するためのウィンドウに静止画像データ25を重ね合わせ(ステップ127)、印刷画像データ13aを生成する(ステップ128)。作成された印刷画像データ13aはプリンタ9に出力され印刷される(ステップ129)。
【0015】
このように、プラントを監視するためリアルタイム処理の必要な計算機で、多くの計算処理が必要となる動画像データを扱わないで、静止画像データを扱うようにして、プリンタに静止画像データを含んだ監視画面の印刷画像データを出力するようにしたことにより、動画像データの印刷状態である静止画像データを含んだ監視画面を印刷できるようになるとともに、計算機でリアルタイムのプラント監視を行えるようになる。
【0016】
実施の形態2.
なお、実施の形態1ではプラントを監視するための監視カメラ5は1台であったが、プラントにある多数の設備や機器の監視や侵入者の監視のために、図4に示すように通常複数の監視カメラ5a、5bが設置される。
【0017】
図4において、この発明の実施の形態1と異なる構成について説明する。プラントを監視するための監視カメラを2台設置し、それを第1の監視カメラ5a、第2の監視カメラ5bとする。なお、本実施の形態では監視カメラを2台としているが、構成として3台以上でもかまわない。動画像表示要求手段3から第1の監視カメラ5aの動画像を表示する要求があると、監視画面生成手段11はこの第1の監視カメラ5aに配信要求23aを発信する。同時にオーバレイウィンドウ管理テーブル12に第1の監視カメラ5aの動画像を表示するウィンドウの表示位置情報12bを登録するとともに、複数の監視カメラの動画像ウィンドウが作成される可能性があるため、その順番が分かるようにZオーダ12cを設定する。Zオーダとは、画面の横軸をX軸、縦軸をY軸としたとき、奥行きを表すためにはZ軸とすることが妥当であるためそのZを採用し、ウィンドウの順番という意味でZオーダと呼んでいる。例えば監視画面の上に第1の監視カメラ5aの動画像ウィンドウを配置し、その上に第2の監視カメラ5bの動画像ウィンドウを配置する場合であれば、第1の監視カメラ5aの動画像ウィンドウのZオーダが1、第2の監視カメラ5bの動画像ウィンドウのZオーダが2のように設定される。この場合、2つのウィンドウの表示位置から重なる場合は、Zオーダが2である第2の監視カメラ5bの動画像ウィンドウが上になるように監視画面データが作成される。
【0018】
配信要求23aを受けた第1の監視カメラ5aは、撮影の動作を開始し動画像データ24aの送信を開始する。同様に動画像表示要求手段3から第2の監視カメラ5bの動画像を表示する要求があると、第2の監視カメラ5bは、撮影の動作を開始し動画像データ24bの送信を開始する。監視画面生成手段11では2つの監視カメラの動画像データを表示するウィンドウを有する監視画面データ21とウィンドウの表示位置とZオーダの情報が含まれた制御情報22をオーバレイ装置7に送信し、このオーバレイ装置7では2つの動画像データ24を制御情報22に従って重ね合わせて監視映像データ27としてモニタ8に送信して表示する。また、印刷画像生成手段13でも同様に、監視画面データ21に2つの静止画像データ26を制御情報22に従って重ね合わせて印刷画像データ13aを生成しプリンタ9に送信する。
【0019】
このように、複数の監視カメラでプラントの設備などを監視する動画像を表示および動画像を変換した静止画像を印刷するときに、動画像を表示するためのウィンドウをZオーダを考慮して配置することにより、動画像あるいは静止画像の重なり具合を考慮した監視映像を表示することと印刷することが可能になる。
【0020】
実施の形態3.
なお、実施の形態1および2では、印刷画像データを生成した後の処理については特に記載していないが、図5に示すように印刷画像生成手段13で生成した印刷画像データ13aのカメラ静止画像を破棄するための静止画像データ破棄手段14を設けて、印刷画像生成手段13から印刷画像データ13aがプリンタ9に送信され印刷された後、この静止画像データ破棄手段14により印刷画像データ13aにあるカメラ静止画像を削除してもよい。
【0021】
計算機1はプラント監視情報2をモニタ8に映写するためリアルタイムで処理を行っているが、複数の静止画像をデータとして保持、管理するとなるとリアルタイム性が低下する可能性がある。印刷時の短時間であれば許容できてもその後の長期にわたりリアルタイム性が低下することを避けるため、印刷が終了した時点で静止画像を破棄することにより、リアルタイム性の低下を短期間にすることができる。
【0022】
実施の形態4.
なお、実施の形態1ないし3では、印刷画像生成手段13で生成される印刷画像データ13aはプリンタ9に送信され印刷が終了した後は使用されず、次の印刷要求があれば別の印刷画像データが生成されるため、以前の印刷画像データは削除されることになるが、図6に示すように、印刷画像データ保存手段15を備え、プリンタ9に出力した印刷画像データ13aをこの印刷画像データ保存手段15に保存するようにしてもよい。
【0023】
印刷画像データ13aをプリンタ9で印刷すると、複数のカメラ静止画像が重なっている場合は下に隠されるカメラ静止画像は印刷されず、1つのカメラ静止画像でもこのカメラ静止画像により隠されるプラント監視情報は印刷されない。この隠された部分のデータを後で参照できるようにするため、印刷が終了した印刷画像データ13aを、ウィンドウの順番であるZオーダ12cと、個別のウィンドウのデータを別々の情報として印刷画像データ保存手段15に保存する。
【0024】
このようにすることで、上に重ね合わされたウィンドウにより隠された情報を参照することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施の形態1を示す映像監視装置のブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示す映像監視装置の監視画面表示の動作フロー図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示す映像監視装置の監視画面印刷の動作フロー図である。
【図4】この発明の実施の形態2を示す映像監視装置のブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態3を示す映像監視装置のブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態4を示す映像監視装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0026】
1 計算機
6 信号変換装置
7 オーバレイ装置
8 モニタ
9 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像した動画像データを静止画像データに変換する信号変換装置と、
前記静止画像データ及び監視画面を形成するデータを、静止画像が監視画面に重畳されるように合成し印刷画像データとする計算機と、
前記印刷画像データを印刷するプリンタと、
前記動画像データ及び前記監視画面を形成するデータを、動画像が監視画面に重畳されるように合成するオーバレイ装置と、
該オーバレイ装置の出力を画面に表示するモニタとを備えた映像監視装置。
【請求項2】
撮像した複数の動画像データを対応する複数の静止画像データに変換する信号変換装置と、
前記複数の静止画像データ及び監視画面を形成するデータを、静止画像が監視画面に所定の順序で重畳されるように合成し印刷画像データとする計算機と、
前記印刷画像データを印刷するプリンタと、
前記複数の動画像データ及び前記監視画面を形成するデータを、動画像が監視画面に前記所定の順序で重畳されるように合成するオーバレイ装置と、
該オーバレイ装置の出力を画面に表示するモニタとを備えた映像監視装置。
【請求項3】
計算機は、印刷画像データから静止画像データを削除する手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の映像監視装置。
【請求項4】
計算機は、印刷画像データを保存する手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の映像監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−147418(P2009−147418A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319519(P2007−319519)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】