説明

映像表示システム、映像表示装置および映像出力装置

【課題】OSD信号を合成した後の映像信号に対し、OSDが示す画像の画質に影響を与えることなく、画質調整処理を可能にする。
【解決手段】映像表示装置10は、外部から入力された映像信号11の画質調整を行う画質調整処理部12と、外部から入力された映像信号を遅延させる遅延処理部13と、外部から入力された映像信号中のOSD表示領域を示す制御信号14に応じて、画質調整処理部12の出力と遅延処理部13の出力を選択してディスプレイ16に出力する出力選択部15とを備え、制御信号14が映像表示領域である場合は画質調整処理部12の出力を選択し、OSD表示領域である場合は遅延処理部13の出力を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メニュー画面等のオンスクリーンデータ(On Screen Data)(以下、OSDと記載する)を含んだ映像信号に、画質調整処理を行って表示する映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションやテレビ等の映像機器においては、文字や図形などのOSDの画像を映像ソースに合成して表示するOSD機能が搭載されている。合成するOSDの画像としては、例えば、機器設定のメニューやタッチパネルの釦などがあげられる。
【0003】
これらの映像機器には、表示する映像のコントラスト、色合い、色の濃さといった画質を調整する機能も搭載されているが、上記OSDが示す画像の画質を調整してしまうと、事前に設計したデザインとは異なる表示となってしまう。
【0004】
そこで、映像信号に画質調整処理を行った後でOSD信号を合成する方法や、OSD信号の画質に影響を与えずに合成する方法が考案されている。
【0005】
例えば、従来の映像信号処理技術として、合成前の映像信号に帯域制限を行うことで、OSD信号の画質を変化させないものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−304218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の映像信号処理技術においては、OSD信号を合成する前の映像信号が入力される状態においてのみ効果を有するものであり、OSD信号を合成した後の映像信号に対しては画質調整処理ができない。このため、例えば、商品グレードや仕向けなどによって、表示するOSDの仕様を分ける場合などでは、OSD仕様の数だけ映像表示装置が必要となってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、OSD信号を合成した後の映像信号に対し、OSDが示す画像の画質に影響を与えることなく、画質調整を行うことのできる映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、映像出力装置から送られるオンスクリーンデータ(OSD)を合成した映像信号を入力し、前記映像信号を表示する映像表示装置であって、前記映像出力装置から入力された映像信号の画質調整を行う画質調整処理部と、前記映像出力装置から入力された映像信号を遅延させる遅延処理部と、前記映像出力装置から送られる、前記映像信号中のOSD表示領域を示す制御信号を入力し、前記制御信号に応じて前記画質調整処理部の出力と前記遅延処理部の出力を選択して出力する出力選択部と、前記出力選択部から出力される映像信号を表示する表示部と、を備え、前記出力選択部は、前記制御信号によって前記映像信号がOSD表示領域であるかを判定し、前記OSD表示領域である場合は前記遅延処理部の出力を映像信号として出力し、前記OSD表示領域でない場合は前記画質調整処理部の出力を映像信号として出力するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、OSDが示す画像の画質に影響を与えることなく、画質調整を行うことが可能となり、異なるOSD仕様に対応させる場合でも同じ映像表示装置を使用できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における映像表示装置および映像出力装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態における映像信号およびOSD信号の例を示す図
【図3】OSD信号を合成した後の映像信号1フレームの一例を示す図
【図4】本発明の実施の形態1における映像信表示装置の動作説明のためのフロー図
【図5】本発明の実施の形態2における映像表示装置および映像出力装置の構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態2における映像信表示装置の動作説明のためのフロー図
【図7】本発明の実施の形態3における映像表示装置および映像出力装置の構成を示すブロック図
【図8】実施の形態3の変形例の構成を示すブロック図
【図9】本発明の実施の形態3における映像信表示装置の動作説明のためのフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に述べる実施の形態では、映像ソースである映像信号にOSD信号を合成した合成映像信号を表示する映像表示装置の構成例を示す。
【0013】
この種の映像表示装置において、ディスプレイなどの表示デバイスにおける画像の画質は、実際にできあがった装置の表示内容を目視して画質調整(パラメータ設定など)を行うようにしている。この画質調整の量は、表示デバイスの種別や仕向けごとなど、映像表示装置の機種ごとに異なることが多い。例えば、自動車に搭載する映像表示装置では、最終製品となる自動車の仕様に合わせて画質調整を行う必要があるため、映像表示装置の機種数分だけ、画質調整にかかる開発工数がかかることになる。一方、OSDの仕様(色度、明度、彩度など)は、メーカごとに複数機種で統一を図るなど、厳密に規定されていることが多く、これを変更することはできない。
【0014】
上記のような制約がある状況下で、映像信号とOSD信号を合成した後の合成映像信号に対して画質調整を行うと、要求されるOSDの仕様から外れてしまう問題が生じる。そこで、本実施の形態では、OSD信号を合成した後の映像信号に対して、OSDの表示領域を除いた表示領域のみに画質調整を行えるようにした映像表示装置の構成について説明する。
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における映像表示装置について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態1における映像表示装置および映像出力装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
映像表示装置10は、映像出力装置50と接続され、映像出力装置50から入力される映像信号11の表示を行うものである。映像表示装置10は、映像出力装置50から入力された映像信号11の画質調整を行う画質調整処理部12と、映像出力装置50から入力された映像信号11を遅延させる遅延処理部13とを備える。また、映像表示装置10は、映像出力装置50から入力された制御信号14に応じて画質調整処理部12の出力と遅延処理部13の出力のいずれかを選択してディスプレイ16に出力する出力選択部15を備える。また、映像表示装置10は、ユーザからの操作指示を入力する操作入力部17と、操作入力部17に入力された信号を処理して操作入力情報19として出力する入力制御部18とを備える。
【0018】
画質調整処理部12は、演算によって映像信号のコントラスト、色合い、色の濃さを変化させるための、例えば乗算器や加算器によって構成される。この画質調整処理部12は、映像出力装置50から入力される映像信号11に対して画質調整の処理を行う。遅延処理部13は、映像信号を遅延させるための、例えば遅延器などによって構成される。この遅延処理部13は、画質調整処理部12における処理時間に合わせて、映像信号11に対して所定時間の遅延を行う。
【0019】
また、出力選択部15は、例えばスイッチなどによって構成され、制御信号14に従って入力の切り替えを行い、画質調整処理部12の出力または遅延処理部13の出力を選択して出力する。ディスプレイ16は、例えば液晶表示パネルなどによって構成され、出力選択部15から出力される映像信号を入力し、映像の表示を行う。
【0020】
操作入力部17は、例えばタッチパネル、操作釦、リモコン受光部などによって構成され、ユーザの入力操作による操作指示を入力する。入力制御部18は、例えばプロセッサおよびメモリを有するマイコンなどによって構成され、操作入力部17より伝送される操作入力信号の処理を行い、操作入力情報19として外部に出力する。
【0021】
なお、操作入力部17は、映像出力装置50側に設けても良い。この場合、入力制御部18も映像出力装置50側に移動することで、装置間での入力情報の伝達がなくなり、装置の構成および処理手順を簡単化できる。
【0022】
なお、映像表示装置10において、操作入力部17およびディスプレイ16以外の構成要素は、一つのICによって構成することも可能である。
【0023】
映像出力装置50は、映像表示装置10に対して映像信号11および制御信号14を出力して提供するものであり、操作内容解析部51、OSD信号生成部52、OSD信号合成部54を備える。操作内容解析部51は、例えばプロセッサおよびメモリを有するマイコンなどによって構成され、映像表示装置10の入力制御部18から与えられる操作入力情報19の解析処理を行い、OSD信号生成部52およびOSD信号合成部54に対して動作指示を行う。
【0024】
OSD信号生成部52は、例えばデジタル信号処理回路などによって構成され、所定のOSDを表示するためのOSD信号を生成する。OSD信号合成部54は、例えばデジタル信号処理回路などによって構成され、映像ソース53から与えられる映像信号とOSD信号生成部52から出力されるOSD信号との合成処理を行う。このOSD信号合成部54は、OSD合成後の映像信号11と、OSDが表示される領域を示す制御信号14とを出力する。この場合、OSD信号合成部54が制御信号生成部および信号出力部の機能を含んでいる。
【0025】
映像ソース53は、OSD合成前の表示用の映像信号のソースであり、DVDプレーヤ、BD(Blu-ray Disc)(商標)プレーヤ、カメラ、ビデオデッキ、TVチューナ、ナビゲーション装置、外部入力機器など、映像信号を出力できる装置であればどのようなものでも良い。
【0026】
なお、映像出力装置50において、映像ソース53以外の構成要素は、一つのICによって構成することも可能である。
【0027】
図2は本発明の実施の形態における映像信号およびOSD信号の例を示す図である。映像出力装置50から出力される映像信号11は、垂直同期信号や水平同期信号などとともに、映像データを1ピクセルずつに分解した信号で表現される。
【0028】
映像信号11は、垂直同期信号(VSYNC)121、水平同期信号(HSYNC)122、データ有効信号(DE)123、データ信号124を含んでいる。水平同期信号122の間において、水平方向の各ラインのピクセルデータが存在する位置は、データ有効信号123がハイレベル(以下、Hレベル)となっている。このデータ有効信号123のHレベルに合わせて、データ信号124において0〜mピクセルのピクセルデータが配置されている。
【0029】
図2の例では、データ信号124のk+1ライン目において、0ピクセル目からmピクセル目までのうち、j+1ピクセル目からj+xピクセル目にOSDが合成されたものが示されている。制御信号14は、映像信号11のデータ信号124におけるOSDの位置に対応して、Hレベルとなる信号である。
【0030】
すなわち、制御信号14は、出力している映像信号11に対して、OSDが表示されている領域(OSD表示領域)にある場合はハイレベル(以下、Hレベル)、OSDが表示されていない元の映像の領域(映像表示領域)にある場合はローレベル(以下、Lレベル)となるデジタル信号で表現される。映像出力装置50は、映像信号11に同期して制御信号14を出力する。なお、制御信号14において、HレベルとLレベルの論理は逆であっても構わない。
【0031】
図3は映像出力装置50から出力される映像信号の例として、OSD信号を合成した後の映像信号1フレームの一例を示した図である。図3では、映像信号1フレームを表示した状態での映像イメージ130を示している。映像信号において、映像データ131にはOSD132が合成されている。図3の例は、図2に示した映像信号11および制御信号14の例に対応して、OSD132を合成した例である。この場合、OSD132は、k+1ライン目からyライン分、j+1ピクセル目からxピクセル分の矩形領域に表示されている。制御信号14は、このOSD132が表示されるピクセルの部分だけがHレベルとなる。
【0032】
なお、図3の例では、OSD132が1個の矩形領域となっているが、1フレーム中に複数個ある場合や、矩形領域でなくても良い。
【0033】
以上のように構成された映像表示装置10および映像出力装置50について、以下にその処理動作を説明する。
【0034】
映像表示装置10において、ユーザが操作入力部17より入力操作を行うと、入力制御部18は、操作入力部17から伝送される操作入力信号の処理を行い、操作入力情報19として映像出力装置50の操作内容解析部51に送信する。操作入力情報19としては、押下した操作釦の識別情報、タッチパネルにおいてタッチした位置の座標情報などが想定される。
【0035】
映像出力装置50において、操作内容解析部51は、操作入力情報19を解析してユーザの操作内容を判断する。ここで、OSDの表示(以下、OSD表示)が必要な場合には、操作内容解析部51は、OSD信号生成部52に対し表示するOSD信号の生成指示を行い、OSD信号合成部54に対しOSD信号の合成指示を行う。
【0036】
なお、映像表示装置10側で操作入力部17の操作内容の解析、OSD信号の生成および合成の指示を行っても良い。あるいは、操作入力部17の出力を直接、映像出力装置50側に伝送しても良い。
【0037】
OSD信号生成部52は、操作内容解析部51からの生成指示に従い、OSDを表示するためのOSD信号を生成する。OSD信号合成部54は、操作内容解析部51からの生成指示に従い、映像信号とOSD信号とを合成する。そして、合成後の映像信号として、映像ソース53から入力される映像信号の一部を、OSD信号生成部52から入力されるOSD信号に書き換えた映像信号11と、どの部分をOSD信号に書き換えたかを示す制御信号14とを、映像表示装置10に出力する。
【0038】
映像表示装置10において、画質調整処理部12は、入力された映像信号11の画質調整処理を行って、出力選択部15に出力する。遅延処理部13は、入力された映像信号11を画質調整処理部12の処理時間に合わせて遅延させ、出力選択部15に出力する。
【0039】
出力選択部15は、制御信号14に基づき、画質調整処理部12から出力される映像信号と遅延処理部13から出力される映像信号のいずれかを選択し、ディスプレイ16に出力する。ここで、制御信号14は映像信号11に同期しているため、遅延処理部13での映像信号11の遅延処理と同様に、制御信号14についても、出力選択部15の内部または外部に設けた遅延回路によって画質調整処理部12の処理時間に合わせて遅延させる。ディスプレイ16は、出力選択部15から出力される映像信号の表示を行う。これにより、OSDが重畳された映像がディスプレイ16の表示画面に表示される。
【0040】
図4は本発明の実施の形態1における映像表示装置10の動作を示すフローチャートである。図4では出力選択部15の動作を中心に示している。
【0041】
まず、映像出力装置50から映像表示装置10に入力された映像信号11は、画質調整処理部12と遅延処理部13の両方に入力される。画質調整処理部12では、映像信号のコントラスト、色合い、色の濃さなどを調整して出力選択部15に出力する。遅延処理部13では、画質調整処理部12の処理時間と同じ時間だけ映像信号を遅延して出力選択部15に出力する。
【0042】
この状態において、出力選択部15では、映像出力装置50から入力された制御信号14のH/Lレベルによって、映像信号中の対象ピクセルがOSD表示領域であるか(制御信号14がOSD表示領域を示すHレベルであるか)を判断する(ステップS100)。OSD表示領域(制御信号14がHレベル)である場合(ステップS100でYESの場合)には、出力選択部15は、ディスプレイ16に出力する信号を遅延処理部13で遅延させた映像信号に変更する(ステップS101)。一方、映像表示領域(制御信号14が映像表示領域を示すLレベル)である場合(ステップS100でNOの場合)には、出力選択部15は、ディスプレイ16に出力する信号を画質調整処理部12で画質調整した映像信号に変更する(ステップS102)。
【0043】
以上のように本実施の形態1によれば、映像信号中のOSD表示領域を示す制御信号が映像表示領域であるかOSD表示領域であるかに応じて、画質調整処理部の出力と遅延処理部の出力を選択することにより、OSDを含む映像信号に対して映像表示領域のみ画質調整処理を行うことができる。このとき、映像信号において、OSD表示領域をピクセル単位で除外して映像表示領域のみに画質調整を実行可能である。したがって、OSD信号が合成された後の映像信号であってもOSDが示す画像の画質を変化させることなく画質調整を行うことができる。本実施の形態は、制御信号を用いて表示領域によって画質調整処理した映像信号と画質調整を行わない映像信号とを切り替える構成のため、簡単な構成で実現でき、汎用性を持たせることが可能である。
【0044】
なお、本実施の形態1において、出力選択部15とディスプレイ16の間に画質に影響を与えない別の処理が含まれていても構わない。このような処理の例としては、ディスプレイ16に映像を表示するためのタイミングの調整処理やテスト映像を表示するための処理などがある。
【0045】
なお、本実施の形態1において、OSDを表示するトリガーとしてユーザの入力操作を例にあげたが、これ以外にも映像ソースで再生中の曲やチャプター、TV番組が変わったことをトリガーにしても良い。
すなわち、本実施の形態1の構成に、映像ソースから再生中の曲やチャプター、TV番組の変更を通知する信号を受け、通知内容の解析処理を行い、OSD信号生成部52およびOSD信号合成部54に対して動作指示を行う処理部を追加する構成としても良い。この場合、ユーザの操作によるOSD表示以外の場合であっても、OSDが示す画像の画質を変化させることなく画質調整を行うことが可能となる。
【0046】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における映像表示装置について図面を参照しながら説明する。
【0047】
図5は本発明の実施の形態2における映像表示装置および映像出力装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態において、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0048】
実施の形態2の映像表示装置20は、実施の形態1において設けられた出力選択部15がなくなり、外部から入力された制御信号14に応じて、外部から入力された映像信号11を画質調整処理部12あるいは遅延処理部13に出力する入力切替部21を備える。また、映像表示装置20は、画質調整処理部12と遅延処理部13の出力を合成してディスプレイ16に出力する出力合成部22を備える。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0049】
以上のように構成された映像表示装置20について、以下にその処理動作を説明する。
図6は本発明の実施の形態2における映像表示装置20の動作を示すフローチャートである。図6では入力切替部21の動作を中心に示している。
【0050】
本発明の実施の形態2の場合、入力切替部21において、映像出力装置50から入力された制御信号14がOSD表示領域を示しているか判断する(ステップS200)。
【0051】
制御信号14がOSD表示領域を示している(Hレベルである)場合(ステップS200でYESの場合)には、入力切替部21は、映像出力装置50から入力された映像信号11を遅延処理部13に出力するとともに、画質調整処理部12に出力する信号をゼロにする。
【0052】
反対に、制御信号14が映像表示領域を示している(Lレベルである)場合(ステップS200でNOの場合)には、入力切替部21は、映像出力装置50から入力された映像信号11を画質調整処理部12に出力するとともに、遅延処理部13に出力する信号をゼロにする。
【0053】
出力合成部22では、画質調整処理部12の出力と遅延処理部13の出力を合成してディスプレイ16に出力する。このとき、入力切替部21によって、画質調整処理部12と遅延処理部13のいずれか一方の出力はゼロとなるため、合成した出力は画質調整処理部12と遅延処理部13のいずれかの出力と同じになり、実施の形態1の出力選択部15と同じ動作を実現することができる。
【0054】
以上のように本実施の形態2によれば、映像信号中のOSD表示領域を示す制御信号が映像表示領域であるかOSD表示領域であるかに応じて、映像信号の入力経路を切り替えて画質調整処理部または遅延処理部に入力させることにより、映像表示領域のみ画質調整処理を行うことができる。このため、OSD信号が合成された後の映像信号であってもOSDが示す画像の画質を変化させることなく画質調整を行うことができる。本実施の形態は、制御信号を用いて表示領域によって映像信号の入力を画質調整処理部または遅延処理部に切り替える構成のため、簡単な構成で実現でき、汎用性を持たせることが可能である。
【0055】
なお、本実施の形態2において、出力合成部22とディスプレイ16の間に画質に影響を与えない別の処理が含まれていても構わない。このような処理の例としては、ディスプレイ16に映像を表示するためのタイミングの調整処理やテスト映像を表示するための処理などがあげられる。
【0056】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3における映像表示装置について図面を参照しながら説明する。
【0057】
図7は本発明の実施の形態3における映像表示装置および映像出力装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態において、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0058】
実施の形態3の映像表示装置30は、外部から入力された通信信号65に含まれる映像信号1フレーム中のOSD表示領域情報を格納するメモリ31を備える。また、映像表示装置30は、外部から入力された映像信号11とメモリ31の内容からOSD表示領域内かどうかを判定し、判定結果に応じて制御信号14を出力する判定部32を備える。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0059】
メモリ31に格納されるOSD表示領域情報は、図3における映像データ131中のOSD132の表示位置を示すものである。OSD表示領域情報として、例えば、(1)映像データ131の左上を原点としてOSD132の左上(始点)と右下(終点)の座標をピクセル数とライン数で表現する方法、(2)映像データ131の1ライン毎にOSD132の開始位置と終了位置をピクセル数で表現する方法、などがある。(1)の方法では、2フレーム分のメモリを用意しておき、出力中の映像信号の1フレーム先の情報をメモリに書き込むようにする。(2)の方法では、2ライン分のメモリを用意しておき、出力中の映像信号の1ライン先の情報をメモリに書き込むようにする。この場合、(1)の方法ではOSDが示す画像の形状が矩形の場合にしか対応できないが、3箇所以上の座標を格納する方法や(2)の方法を使うことで矩形以外の形状であっても対応できる。
【0060】
なお、メモリに書き込む情報は、出力中の映像信号よりも先の情報であれば1フレームや1ライン以上先であってもよい。その場合、先に行くほどメモリが多く必要となる。
【0061】
映像出力装置60は、通信信号65を生成する通信信号生成部61を備え、操作内容解析部51およびOSD信号合成部54の動作が実施の形態1と一部異なっている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0062】
操作内容解析部51は、通信信号生成部61に対して表示するOSD信号の情報を送信する。OSD信号合成部54は、操作内容解析部51からの生成指示に従い、映像信号とOSD信号とを合成し、合成後の映像信号11のみを映像表示装置30に出力する。
【0063】
通信信号生成部61は、入力されるOSD信号の情報から、OSDが合成される領域の座標やピクセル位置を示すOSD表示領域情報を含む通信信号65を生成し、映像表示装置30に出力する。
【0064】
映像表示装置30は、映像出力装置60から通信信号65を受信すると、通信信号65に含まれるOSD表示領域情報をメモリ31に書き込む。判定部32は、メモリ31からOSD表示領域情報を読み取り、映像信号11の同期信号から算出したピクセル位置がOSD表示領域内かどうかを判定し、判定結果を出力選択部15に出力する。
【0065】
なお、実施の形態3では、通信信号として伝送する情報内容を変更した変形例が考えられる。図8は実施の形態3の変形例の構成を示すブロック図である。
【0066】
実施の形態3の変形例は、映像出力装置70において、通信信号生成部71が生成出力する通信信号75の情報内容が異なり、これに対応して、映像表示装置40において、判定部42およびメモリ41の機能が異なっている。その他の構成は実施の形態3と同様である。
【0067】
映像出力装置70の通信信号生成部71は、入力されるOSD信号の情報から、表示するOSDを識別するためのID情報(OSD仕様情報、OSD識別情報)を含む通信信号75を生成し、映像表示装置40に出力する。
【0068】
映像表示装置40の判定部42は、映像出力装置70から通信信号75を受信すると、通信信号75に含まれるID情報をもとに、メモリ41からID情報に対応するOSD表示領域情報を読み出す。ここで、メモリ41には、複数のOSD仕様にそれぞれ対応するOSD表示領域情報をテーブル等によって格納している。そして、判定部42は、映像信号11の同期信号から算出したピクセル位置がOSD表示領域内かどうかを判定し、判定結果を出力選択部15に出力する。
【0069】
以上のように構成された映像表示装置30について、以下にその処理動作を説明する。なお、変形例の映像表示装置40についても同様である。
【0070】
図9は本発明の実施の形態3における映像表示装置30の動作を示すフローチャートである。図9では判定部32と出力選択部15の動作を中心に示している。
【0071】
本発明の実施の形態3の場合、あらかじめ映像出力装置60からの通信信号65により、1フレーム中のOSD表示領域情報をメモリ31に書き込んでいる。
【0072】
この状態において、判定部32は、映像出力装置60から入力された映像信号11の1フレーム中のライン数とピクセル数をカウントする(ステップS300)。そして、判定部32は、メモリ31に書き込まれているOSD表示領域情報から、映像信号11の現在のピクセル位置がOSD表示領域内かどうかに応じて制御信号14を出力する(ステップS301)。このとき、実施の形態1と同様のOSD表示領域がHレベルとなる制御信号14を出力する。
【0073】
出力選択部15では、判定部32から出力された制御信号14がOSD表示領域を示しているか判断する(ステップS100)。制御信号14がOSD表示領域を示している(Hレベルである)場合(ステップS100でYESの場合)には、出力選択部15は、ディスプレイ16に出力する信号を遅延処理部13で遅延させた映像信号に変更する(ステップS101)。一方、制御信号14が映像表示領域を示している(Lレベルである)場合(ステップS100でNOの場合)には、出力選択部15は、ディスプレイ16に出力する信号を画質調整処理部12で画質調整した映像信号に変更する(ステップS102)。
【0074】
以上のように本実施の形態3によれば、映像出力装置から伝送された通信信号を用いてメモリに格納したOSD表示領域情報を読み出し、映像信号の現在位置がOSD表示領域内かどうかに応じて、画質調整処理部の出力と遅延処理部の出力を選択することにより、OSDを含む映像信号に対して映像表示領域のみ画質調整処理を行うことができる。このため、OSD信号が合成された後の映像信号であってもOSDが示す画像の画質を変化させることなく画質調整を行うことができる。本実施の形態は、通信信号を用いて表示領域によって画質調整処理した映像信号と画質調整を行わない映像信号とを切り替える構成のため、簡単な構成で実現でき、汎用性を持たせることが可能である。
【0075】
なお、本実施の形態3において、出力選択部15とディスプレイ16の間に画質に影響を与えない別の処理が含まれていても構わない。このような処理の例としては、ディスプレイ16に映像を表示するためのタイミングの調整処理やテスト映像を表示するための処理などがあげられる。
【0076】
なお、本実施の形態3において、実施の形態2と同様に、出力選択部15の代わりに入力切替部21および出力合成部22を設けて入力側で表示領域ごとの画質調整の有無を切り替えることも可能である。
【0077】
本発明に係る実施形態の種々の態様として、以下のものが含まれる。
オンスクリーンデータ(OSD)を合成した映像信号と、前記映像信号中のOSD表示領域を示す制御信号とを出力する映像出力装置と、前記映像出力装置から入力された映像信号の画質調整を行う画質調整処理部と、前記映像出力装置から入力された映像信号を遅延させる遅延処理部と、前記映像出力装置から入力された制御信号に応じて前記画質調整処理部の出力と前記遅延処理部の出力を選択して出力する出力選択部と、前記出力選択部から出力される映像信号を表示する表示部と、を有する映像表示装置と、を備え、前記出力選択部は、前記制御信号によって前記映像信号がOSD表示領域であるかを判定し、前記OSD表示領域である場合は前記遅延処理部の出力を映像信号として出力し、前記OSD表示領域でない場合は前記画質調整処理部の出力を映像信号として出力する、映像表示システム。
上記構成により、OSD信号を合成した後の映像信号に対し、OSD表示領域以外の映像表示領域のみに画質調整を行うことが可能となる。これにより、OSDが示す画像の画質に影響を与えることなく、画質調整を行うことが可能となり、異なるOSD仕様に対応させる場合でも同じ映像表示装置を使用できる。
【0078】
映像出力装置から送られるオンスクリーンデータ(OSD)を合成した映像信号を入力し、前記映像信号を表示する映像表示装置であって、前記映像出力装置から入力された映像信号の画質調整を行う画質調整処理部と、前記映像出力装置から入力された映像信号を遅延させる遅延処理部と、前記映像出力装置から送られる、前記映像信号中のOSD表示領域を示す制御信号を入力し、前記制御信号に応じて前記画質調整処理部の出力と前記遅延処理部の出力を選択して出力する出力選択部と、前記出力選択部から出力される映像信号を表示する表示部と、を備え、前記出力選択部は、前記制御信号によって前記映像信号がOSD表示領域であるかを判定し、前記OSD表示領域である場合は前記遅延処理部の出力を映像信号として出力し、前記OSD表示領域でない場合は前記画質調整処理部の出力を映像信号として出力する、映像表示装置。
上記構成により、OSD信号を合成した後の映像信号に対し、OSD表示領域以外の映像表示領域のみに画質調整を行えるので、OSDが示す画像の画質に影響を与えることなく、画質調整を行うことが可能となる。
【0079】
映像ソースからの映像信号と、オンスクリーンデータ(OSD)を示すOSD信号とを合成するOSD信号合成部と、前記映像信号中のOSD表示領域を示す制御信号を生成する制御信号生成部と、前記OSD表示領域であるか否かによって前記映像信号の画質調整を行う映像表示装置に対して、前記OSD信号を合成した映像信号と、この映像信号に同期した前記制御信号とを出力する信号出力部と、を備える映像出力装置。
上記構成により、映像表示装置において、OSD信号を合成した後の映像信号に対し、OSD表示領域以外の映像表示領域のみに画質調整を行うことができ、OSDが示す画像の画質に影響を与えることなく、画質調整を行うことが可能となる。
【0080】
映像出力装置から送られるオンスクリーンデータ(OSD)を合成した映像信号を入力し、前記映像信号を表示する映像表示装置であって、前記映像信号の画質調整を行う画質調整処理部と、前記映像信号を遅延させる遅延処理部と、前記映像出力装置から送られる、前記映像信号中のOSD表示領域を示す制御信号を入力し、前記制御信号に応じて前記映像出力装置から入力された映像信号を前記画質調整処理部または前記遅延処理部に入力させる入力切替部と、前記画質調整処理部の出力と前記遅延処理部の出力を合成して出力する出力合成部と、前記出力合成部から出力される映像信号を表示する表示部と、を備え、前記入力切替部は、前記制御信号によって前記映像信号がOSD表示領域であるかを判定し、前記OSD表示領域である場合は前記映像信号を前記遅延処理部に入力し、前記OSD表示領域でない場合は前記映像信号を前記画質調整処理部に入力する、映像表示装置。
【0081】
映像出力装置から送られるオンスクリーンデータ(OSD)を合成した映像信号を入力し、前記映像信号を表示する映像表示装置であって、前記映像出力装置から入力された映像信号の画質調整を行う画質調整処理部と、前記映像出力装置から入力された映像信号を遅延させる遅延処理部と、前記OSDの表示領域を示すOSD表示領域情報を格納するメモリと、前記メモリのOSD表示領域情報によってOSD表示領域であるかを判定し、前記映像信号中のOSD表示領域を示す制御信号を出力する判定部と、前記制御信号に応じて前記画質調整処理部の出力と前記遅延処理部の出力を選択して出力する出力選択部と、前記出力選択部から出力される映像信号を表示する表示部と、を備え、前記出力選択部は、前記制御信号によって、前記OSD表示領域である場合は前記遅延処理部の出力を映像信号として出力し、前記OSD表示領域でない場合は前記画質調整処理部の出力を映像信号として出力する、映像表示装置。
【0082】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、OSD信号を合成した後の映像信号に対し、OSDが示す画像の画質に影響を与えることなく、画質調整を行うことが可能となる効果を有し、例えば、商品グレードや仕向けに応じてOSDの仕様を分ける場合など、異なるOSD仕様に対応させる場合であっても、同一の装置で画質調整処理を行える映像表示装置等の技術として有用である。
【符号の説明】
【0084】
10、20、30、40 映像表示装置
11 映像信号
12 画質調整処理部
13 遅延処理部
14 制御信号
15 出力選択部
16 ディスプレイ
17 操作入力部
18 入力制御部
19 操作入力情報
21 入力切替部
22 出力合成部
31、41 メモリ
32、42 判定部
50、60 映像出力装置
51 操作内容解析部
52 OSD信号生成部
53 映像ソース
54 OSD信号合成部
61、71 通信信号生成部
65、75 通信信号
131 映像データ
132 OSD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンスクリーンデータ(OSD)を合成した映像信号と、前記映像信号中のOSD表示領域を示す制御信号とを出力する映像出力装置と、
前記映像出力装置から入力された映像信号の画質調整を行う画質調整処理部と、前記映像出力装置から入力された映像信号を遅延させる遅延処理部と、前記映像出力装置から入力された制御信号に応じて前記画質調整処理部の出力と前記遅延処理部の出力を選択して出力する出力選択部と、前記出力選択部から出力される映像信号を表示する表示部と、を有する映像表示装置と、を備え、
前記出力選択部は、前記制御信号によって前記映像信号がOSD表示領域であるかを判定し、前記OSD表示領域である場合は前記遅延処理部の出力を映像信号として出力し、前記OSD表示領域でない場合は前記画質調整処理部の出力を映像信号として出力する、映像表示システム。
【請求項2】
映像出力装置から送られるオンスクリーンデータ(OSD)を合成した映像信号を入力し、前記映像信号を表示する映像表示装置であって、
前記映像出力装置から入力された映像信号の画質調整を行う画質調整処理部と、
前記映像出力装置から入力された映像信号を遅延させる遅延処理部と、
前記映像出力装置から送られる、前記映像信号中のOSD表示領域を示す制御信号を入力し、前記制御信号に応じて前記画質調整処理部の出力と前記遅延処理部の出力を選択して出力する出力選択部と、
前記出力選択部から出力される映像信号を表示する表示部と、を備え、
前記出力選択部は、前記制御信号によって前記映像信号がOSD表示領域であるかを判定し、前記OSD表示領域である場合は前記遅延処理部の出力を映像信号として出力し、前記OSD表示領域でない場合は前記画質調整処理部の出力を映像信号として出力する、映像表示装置。
【請求項3】
映像ソースからの映像信号と、オンスクリーンデータ(OSD)を示すOSD信号とを合成するOSD信号合成部と、
前記映像信号中のOSD表示領域を示す制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記OSD表示領域であるか否かによって前記映像信号の画質調整を行う映像表示装置に対して、前記OSD信号を合成した映像信号と、この映像信号に同期した前記制御信号とを出力する信号出力部と、
を備える映像出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−168400(P2012−168400A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30033(P2011−30033)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】