説明

映像表示システム

【課題】映像表示システムにおいて、製造コストを抑制し、動作モードの移行を精度よく行う。
【解決手段】映像表示システムは、PCとLCD装置とを含む。PCは、通常動作モードと待機モードとを有する。LCD装置は、通常表示モードとエネルギーセービングモードとを有する。PCは、待機モードで動作しているときに、動作モード指示信号の送信、すなわち、Y信号の垂直ブランキング期間における最初の1ライン分の信号をハイにして送信する処理を繰り返す。LCD装置は、通常表示モードで動作しているとき、PCから出力された映像信号を受信して、動作モード指示信号の検出、すわなち、Y信号の垂直ブランキング期間における最初の1ライン分の信号レベルを検出する。そして、ハイである状態を所定回数以上検出したとき、動作モード切替リスト34bに従って、動作モードを通常表示モードからエネルギーセービングモードに移行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像出力装置と、この映像出力装置から出力される映像を表示する映像表示装置とを備える映像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パソコン(以下、PCという)等の映像出力装置と、PCに接続され、PCから出力された映像信号に基づく映像を表示するディスプレイ等の映像表示装置とを含む映像表示システムが知られている。PCは、通常動作モードや、ユーザによる操作を待つ待機モード等の複数の動作モードを有する。ディスプレイ装置は、通常表示モードや、省電力で動作するためのエナジーセービング動作モード(以下、省エネモード)等の複数の動作モードを有する。
【0003】
PCの動作モードが待機モードであるとき、ディスプレイ装置が自装置の動作モードを自動的に省エネモードに移行させて節電を行う映像表示システムが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。この種の映像表示システムでは、例えばI2C(Inter−Integrated Circuit)ライン等の専用ラインを設けてPCとディスプレイ装置とを接続することにより、PCの動作モードが待機モードである旨をディスプレイ装置に通知している。しかしながら、この種の映像表示システムでは、動作モードを通知するための専用ラインを設ける必要があるため、設定上の負担が増加し、製造コストが抑制できないという問題がある。
【0004】
これに対して、特許文献3には、ビデオ信号の水平又は垂直垂直ブランキング期間に、表示タイマリセット信号をビデオ信号線に重畳してディスプレイモニタに送信するコンピュータシステムが開示されている。このコンピュータシステムでは、専用ラインを設ける必要がないため、製造コストを抑制できるが、ビデオ信号にノイズが乗ることにより、ディスプレイモニタが、表示タイマリセット信号を誤検出することを抑制できないという新たな問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−158811号公報
【特許文献2】特開2007−206233号公報
【特許文献3】特開2000−259140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、製造コストを抑制できると共に、動作モードの移行を精度よく行うことができる映像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、映像信号を出力する映像出力装置と、この映像出力装置に接続され、該映像出力装置から出力される映像信号に基づいて映像を表示する映像表示装置とを含む映像表示システムにおいて、前記映像出力装置は、走査期間と垂直ブランキング期間とを交互に繰り返して輝度信号を出力する輝度信号出力手段と、前記輝度信号出力手段によって出力される垂直ブランキング期間中の輝度信号に、前記映像出力装置に対して動作モードの移行を指示する動作モード指示信号を重畳させて送信する指示信号送信手段とを備え、該映像出力装置が待機モードで動作しているときに、前記指示信号送信手段を用いて、前記動作モード指示信号を前記映像表示装置に送信する処理を繰り返し、前記映像表示装置は、前記映像出力装置から出力される輝度信号を受信して入力する映像信号入力手段と、前記映像信号入力手段によって入力される輝度信号に含まれる前記動作モード指示信号を検出する指示信号検出手段とを備え、該映像表示装置が通常表示モードで動作しているときに、前記指示信号検出手段を用いて、前記動作モード指示信号を所定回数以上検出したときに、該映像表示装置の動作モードを前記通常表示モードから省エネモードに移行させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、映像出力装置は垂直ブランキング期間中の輝度信号に動作モード指示信号を重畳させて送信し、映像入力装置は、自装置が通常表示モードで動作しているときに、動作モード指示信号を所定回数以上検出したとき、動作モードを通常表示モードから省エネモードに移行する。このように、映像出力装置が輝度信号に重畳させて動作モード指示信号を送信するため、映像出力装置と映像入力装置とを接続する専用の信号線を新たに設ける必要がないため、設計上の負担を軽減でき、映像表示システムの製造コストを抑制できる。
【0009】
また、映像入力装置は、動作モード指示信号を所定回数以上検出したときに、通常表示モードから省エネモードに移行するので、例えばノイズ等によって動作モード指示信号を誤検出した場合であっても、所定回数以上検出しなければ省エネモードに移行しないため、動作モード指示信号の検出による動作モードの移行を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るPCと、このPCに接続されたLCD装置とを含む映像表示システムの概略構成図。
【図2】上記PCの内部構成を示すブロック図。
【図3】(a)は、上記PCにおける動作モード指示信号の送信処理を説明する説明図であり、(b)は、この送信処理における垂直垂直ブランキング期間内の動作モード指示信号を示す説明図。
【図4】上記LCD装置の内部構成を示すブロック図。
【図5】上記LCD装置における動作モード切替リストの一例を示すリスト。
【図6】上記PCにおける動作モード指示信号の送信処理の手順を示すフローチャート。
【図7】上記LCD装置における動作モード指示信号の受信処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係るPC(Personal Computer;請求項における映像出力装置)と、LCD装置(映像入力装置)とを含む映像表示システムについて、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、PC2と、このPC2に伝送ケーブル4を介して接続されたLCD装置3とを含む映像表示システム1の概略構成を示す。図2は、PC2の内部構成を示し、図3は、PC2の後述する動作モード指示信号の説明図を示し、図4は、LCD装置3の内部構成を示す。
【0012】
PC2は、伝送ケーブル4を介して映像信号をLCD装置3に出力するものである。LCD装置3は、PC2から出力される映像信号に基づく映像を液晶パネル31に表示するものである。
【0013】
図2に示すように、PC2は、伝送ケーブル4の一端が接続される映像出力端子21と、ネットワークインタフェース22と、ユーザによって操作されるキーボードやマウス等を含む操作部23と、各種情報を記録するメモリ24と、制御用マイコン25とを備える。
【0014】
ネットワークインタフェース22は、LANケーブル(図示せず)を接続することにより、PC2をインターネット等のネットワークに接続するものである。メモリ24は、制御用マイコン25を動作させるためのプログラム24aを記憶する。
【0015】
制御用マイコン25は、映像信号出力部(輝度信号出力手段)25aと、指示信号送信部(指示信号送信手段)25bと、動作モード切替部25cとを有する。制御用マイコン25は、PC2各部を通常の動作を行うように制御する通常動作モードと、PC2各部をユーザの操作指示を待つ動作を行うように制御する待機モード等の複数の動作モードを有する。
【0016】
映像信号出力部25aは、色差信号や輝度信号等を含む映像信号を、映像出力端子21に接続された伝送ケーブル4を介してLCD装置3に出力する。また、映像信号出力部25aは、走査期間と垂直ブランキング期間とを交互に繰り返して輝度信号を出力する。
【0017】
指示信号送信部25bは、PC2が待機モードで動作しているときに、映像信号出力部25aによって出力される垂直ブランキング期間中の輝度信号(以下、Y信号という)に、LCD装置3に対して動作モードの移行を指示する動作モード指示信号を重畳させて送信する処理を繰り返す。
【0018】
具体的には、図3の(a)(b)に示すように、指示信号送信部25bによって送信される動作モード指示信号は、LCD装置3の液晶パネル31に表示される輝度信号の垂直ブランキング期間における最初の1ライン分に相当する期間Lの間のY信号をハイとしてLCD装置3に送信するものである。すなわち、指示信号送信部25bは、垂直ブランキング期間におけるY信号を期間Lの間、ハイにすることによって、動作モード指示信号を送信する。
【0019】
図4に示すように、LCD装置3は、映像を表示する液晶パネル31と、PC2と接続された伝送ケーブル4の他端が接続される映像入力端子(映像信号入力手段)32と、ユーザによって操作される操作ボタン等を有する操作部33と、各種情報を記録するメモリ34と、制御用マイコン35とを備える。また、LCD装置3は、液晶パネル31の駆動部(図示せず)を有している。
【0020】
映像入力端子32は、伝送ケーブル4を介してPC2から出力される輝度信号を含む映像信号を受信して、受信した映像信号を制御用マイコン35に入力する。メモリ34は、制御用マイコン35を動作させるためのプログラム34aと、PC2から送信される動作モード指示信号に対応する動作モードの切替情報を格納した動作モード切替リスト34bとを記憶する。
【0021】
制御用マイコン35は、映像出力処理部35aと、指示信号検出部(指示信号検出手段)35bと、動作モード切替部35cとを有する。また、制御用マイコン35は、自装置(LCD装置3)を通常状態として動作させるように制御する通常表示モードと、消費電力を低減させるように自装置を動作させるエネルギーセービングモード等の複数の動作モードを有する。
【0022】
映像出力処理部35aは、映像入力端子32から入力された映像信号に基づく映像を液晶パネル31に出力する。
【0023】
指示信号検出部35bは、映像入力端子32によって入力される輝度信号に含まれる動作モード指示信号を検出する。具体的には、垂直ブランキング期間における最初の1ライン分の期間LのY信号がハイであるか否かを検出する。
【0024】
動作モード切替部35cは、ユーザによる操作指示や、動作モード切替リスト34bに基づいて、自装置3の動作モードを例えば、通常表示モードからエネルギーセービングモードに切り替える処理を行う。
【0025】
次に、動作モード切替リスト34bの内容の一例について、図5に示すリストを参照して説明する。動作モード切替リスト34bに示すように、垂直ブランキング期間における最初の1ライン分のY信号がロー(L)のとき、LCD装置3は、LCD装置側のエネルギーセービング(省エネ)設定に応じた状態(モード)のままである。一方、垂直ブランキング期間における最初の1ライン分のY信号がハイ(H)である状態を所定回数以上検出したとき、すなわち、PC2から動作モードの移行を指示されたとき、LCD装置3の制御用マイコン25は、エネルギーセービングモードになる。
【0026】
次に、PC2における動作モード指示信号の送信処理について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。PC2の制御用マイコン25は、PC2が待機モードで動作しているときに(S1でYES)、指示信号送信部25bを用いて、動作モード指示信号をLCD装置3に送信する処理を繰り返す(S2)。具体的には、制御用マイコン25は、指示信号送信部25bを用いて、Y信号の垂直ブランキング期間における最初の1ライン分の信号をハイにして送信する処理を繰り返す。
【0027】
一方、制御用マイコン25は、自装置2が待機モードで動作していないとき(S1でNO)、動作モード指示信号をLCD装置3に送信しない。すなわち、制御用マイコン25は、Y信号の垂直ブランキング期間における最初の1ライン分の信号をローのままで送信する処理を繰り返す(S3)。
【0028】
次に、LCD装置3における動作モード指示信号の受信処理について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。ここでは、LCD装置3が通常表示モードで動作しているものとする。また、PC2は、現在待機モードで動作しており、LCD装置3に対して動作モード指示信号を送信しているものとする。
【0029】
まず、映像入力端子32は、PC2から出力された映像信号を受信して制御用マイコン35に入力し(S11)、制御用マイコン35は、指示信号検出部35bを用いて、動作モード指示信号の検出、すわなち、Y信号の垂直ブランキング期間における最初の1ライン分の信号レベルを検出する(S12)。
【0030】
そして、指示信号検出部35bが、動作モード指示信号を所定回数以上検出したとき、すなわち、垂直ブランキング期間における最初の1ライン分の信号がハイであるY信号を所定回数(例えば、10回)以上検出したとき(S13でYES)、制御用マイコン35は、動作モード切替リスト34bの内容に従って、動作モード切替部35cを用いて、自装置(LCD装置3)の動作モードを通常表示モードからエネルギーセービングモードに移行させる(S14)。一方、上記S12の処理により、所定回数以上のハイを検出しなかった場合(S13でNO)、動作モードの移行を行うことなく、通常表示モードのままで動作させる(S15)。
【0031】
上述したように、本実施形態に係る映像表示システム1によれば、PC2は、垂直ブランキング期間のY信号に動作モード指示信号を重畳させて送信し、LCD装置3は、自装置3が通常表示モードで動作しているときに、動作モード指示信号を所定回数以上検出したとき、動作モードを通常表示モードからエネルギーセービングモードに移行させる。このように、PC2がY信号に重畳させて動作モード指示信号を送信するため、PC2とLCD装置3とを接続するために専用の信号線を新たに設ける必要がないため、設計上の負担を軽減でき、映像表示システム1の製造コストを抑制できる。
【0032】
また、LCD装置3は、動作モード指示信号、すなわち、垂直ブランキング期間の最初の1ライン分の信号がハイである状態を所定回数以上検出したときに、通常表示モードからエネルギーセービングモードに移行するので、例えばノイズ等によって動作モード指示信号を誤検出した場合であっても、所定回数以上検出しなければエネルギーセービングモードに移行しない。そのため、動作モード指示信号の検出によるエネルギーセービングモードへの移行を精度よく行うことができる。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記の実施形態において、請求項における映像出力装置がPCである例を示したが、本発明を構成する映像出力装置は、DVDレコーダ等の映像信号を出力する装置であってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 映像表示システム
2 PC(映像出力装置)
3 LCD装置(映像入力装置)
25a 映像出力部(輝度信号出力手段)
25b 指示信号出力部(指示信号送信手段)
32 映像入力端子(映像信号入力手段)
35b 指示信号検出部(指示信号検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号を出力する映像出力装置と、この映像出力装置に接続され、該映像出力装置から出力される映像信号に基づいて映像を表示する映像表示装置とを含む映像表示システムにおいて、
前記映像出力装置は、
走査期間と垂直ブランキング期間とを交互に繰り返して輝度信号を出力する輝度信号出力手段と、
前記輝度信号出力手段によって出力される垂直ブランキング期間中の輝度信号に、前記映像出力装置に対して動作モードの移行を指示する動作モード指示信号を重畳させて送信する指示信号送信手段とを備え、
該映像出力装置が待機モードで動作しているときに、前記指示信号送信手段を用いて、前記動作モード指示信号を前記映像表示装置に送信する処理を繰り返し、
前記映像表示装置は、
前記映像出力装置から出力される輝度信号を受信して入力する映像信号入力手段と、
前記映像信号入力手段によって入力される輝度信号に含まれる前記動作モード指示信号を検出する指示信号検出手段とを備え、
該映像表示装置が通常表示モードで動作しているときに、前記指示信号検出手段を用いて、前記動作モード指示信号を所定回数以上検出したときに、該映像表示装置の動作モードを前記通常表示モードから省エネモードに移行させることを特徴とする映像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−128460(P2011−128460A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288444(P2009−288444)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】