説明

映像表示装置および映像表示方法

【課題】単一映像によって、装置の利用者に対して、鮮明度が劣化しない字幕を視聴させることと字幕のない映像を提供することとを容易に並行して実行する。
【解決手段】映像表示装置は、生成手段と、シャッタ制御手段と、輝度制御手段と、を具備する。生成手段は、字幕が多重された第1映像フレームと字幕が多重されない第2映像フレームとを含む映像データを生成する。シャッタ制御手段は、生成手段で生成された第1映像フレームに対応してシャッタ付き眼鏡のシャッタを閉じ、生成された第2映像フレームに対応してシャッタ付き眼鏡のシャッタを開く制御をする。輝度制御手段は、字幕の輝度を上げる制御をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、映像を表示する映像表示装置および映像表示放送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル放送ではコンテンツに字幕情報が付加されている。このコンテンツの映
像を表示する映像表示装置では、コンテンツの字幕の表示有無を切り替えることができる
ことが一般的である。一方で、コンテンツの映像とともに字幕を表示する状態と字幕を表
示しない状態とを並行して同時に実現することが求められている。例えば、聴力の弱い高
齢者または難聴者と健常者とが同時にコンテンツを視聴する場合などにこのようなニーズ
が生じる。このようなニーズに応じるため、例えば、偏光表示装置で表示される映像を偏
光フィルタの有無に応じて異なる画像を利用者に視聴させる技術が開示されている。また
、立体視用(3D)映像の視聴に用いられるシャッタ付き眼鏡を使用していない視聴者に
対して、立体視映像の視聴のためにシャッタ付き眼鏡の使用を促す字幕が表示される画像
を視聴させる技術を適用することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−009050号公報
【特許文献2】特開2010−276721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし従来は、単一映像によって、字幕を表示しない状態と並行して字幕を表示する状
態を実現する際に、字幕画像の鮮明さが考慮されていなかった。すなわち、単一映像によ
って、装置の利用者に対して、鮮明度が劣化しない字幕を視聴させることと字幕のない映
像を提供することとを容易に並行して実行することは困難であった。
【0005】
そこで本発明は上述した課題を解決するために、単一映像によって、装置の利用者に対
して、鮮明度が劣化しない字幕を視聴させることと字幕のない映像を提供することとを容
易に並行して実行することができる映像表示装置および映像表示方法を提供することを目
的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の映像表示装置は、生成手段と、シャッタ制御手段と、輝度制御手段と、を具
備する。生成手段は、字幕が多重された第1映像フレームと字幕が多重されない第2映像
フレームとを含む映像データを生成する。シャッタ制御手段は、生成手段で生成された第
1映像フレームに対応してシャッタ付き眼鏡のシャッタを閉じ、生成された第2映像フレ
ームに対応してシャッタ付き眼鏡のシャッタを開く制御をする。輝度制御手段は、字幕の
輝度を上げる制御をする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態にかかる放送受信装置であるテレビジョン受像機10の構成を示すブロック図。
【図2】信号処理制御部40に備えられ、字幕付き映像を生成するとともに生成した映像に合わせたシャッタの開閉制御を実行する複数のブロックからなるシステム構成図。
【図3】本実施形態において実行される、字幕付き映像を生成するとともに生成した映像に合わせたシャッタの開閉制御の動作を説明するためのフローチャート。
【図4】本実施形態にかかる字幕付き映像に合わせたシャッタの開閉制御のシャッタ制御モードにおける動作を説明するためのタイミングチャート。
【図5】本実施形態にかかる字幕付き映像に合わせたシャッタの開閉制御の通常モードにおける動作を説明するためのタイミングチャート。
【図6】本実施形態にかかる字幕付き映像に合わせたシャッタの開閉制御のシャッタ制御モードの変形例における動作を説明するためのタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態にかかる放送受信装置であるテレビジョン受像機10の構成を示す
ブロック図である。
テレビジョン受像機10は、放送波処理部20、外部機器IF部31、信号処理制御部
40、操作部51、受光部52、表示器61、スピーカ62、シャッタ制御部81などで
構成されている。表示器61は、液晶パネル101、バックライト102などで構成され
ている。放送波処理部20にはアンテナ99が接続され、アンテナ99で受信された放送
波の情報が放送波処理部20に供給される。受光部52はリモートコントローラ(以下、
リモコンと称する)98と、シャッタ制御部81はシャッタ付き眼鏡97とそれぞれ情報
のやりとりを行う。シャッタ付き眼鏡97には、従来から立体視用映像(3D映像)を視
聴するために一般的に用いられるものを適用することが可能である。
【0009】
本実施形態にかかるテレビジョン受像機10は、映像情報および音声情報とともに字幕
情報が付加された放送波を受信する。受信された放送波に付加された字幕情報は、映像情
報に基づく映像に重畳された字幕付き映像として表示機61に表示される。この字幕付き
映像は複数生成され、その一つは、字幕のある画像とない画像とがフレームシーケンシャ
ルで配置される映像である。この字幕付き映像の表示に際して、字幕のある画像とない画
像とが表示されるタイミングに合わせてシャッタ付き眼鏡97のシャッタが開閉制御され
る。
【0010】
放送波処理部20は、放送種類に対応するチューナ及び復調器を有する。放送波処理部
20は、アンテナ99で受信された信号を取得し、取得した信号にかかる特定チャンネル
に対する選局処理や復調処理などを実行する。また放送波処理部20は、これらの処理を
実行して得られた、番組の映像音声情報や字幕情報、番組名等の番組関連情報が含まれる
トランスポートデータ信号(以下、TS信号と称する)を信号処理制御部40へ出力する
。この放送波処理部20は、ECM及びEMMといったSI情報が含まれる受信信号を受
け、これらの情報が含まれるTS信号を出力する。
【0011】
外部機器IF部31は、HDMI(登録商標)規格やUSB規格、IEEE1394規
格などの規格に準じた接続部によりテレビジョン受像機10の外部機器に接続し、この接
続した外部機器から提供される映像音声情報や字幕情報、番組名等の番組関連情報が含ま
れるTS信号を取得して信号処理制御部40へ出力する。また、外部機器IF部31は、
HDMI規格やUSB規格、IEEE1394規格などに準じた接続部によりテレビジョ
ン受像機10の外部HDDやメモリカードなどの記録媒体に接続し、この接続した記録媒
体との間で映像音声情報や字幕情報、番組名等の番組関連情報が含まれるTS信号を出力
または入力する。
【0012】
操作部51は、テレビジョン受像機10を操作する操作入力の情報を受信して信号処理
制御部40へ出力する。受光部52は、リモコン98からの操作入力の情報を受光(受信
)して信号処理制御部40へ出力する。
【0013】
信号処理制御部40は、信号処理制御部40自身に備えられた各ブロックや信号処理制
御部40に接続された各ブロックを利用して様々な処理を実行する。例えば信号処理制御
部40は、操作部51又は、受光部52を介したリモコン98からの操作情報に応じて、
複数の入力ソースのうちの何れかからのTS信号の入力を選択する。また信号処理制御部
40は、選択した入力ソースから入力された番組のTS信号に基づいてデスクランブルし
て、表示器61へ映像情報を出力すると共にスピーカ62へ音声情報を出力する。信号処
理制御部40は、入力されたTS信号から字幕PESを抽出し、抽出した字幕PESのデ
コード処理を実行する。デコード処理された字幕情報は、映像情報に基づいて生成される
所定フレームに重畳(多重)される。
【0014】
本実施形態にかかる信号処理制御部40は、シャッタ制御部81との間で、字幕のある
画像が出力されるタイミングに基づくシャッタ付き眼鏡97のシャッタの開閉制御に関す
る情報を通信する。信号処理制御部40は、シャッタ制御部81との間で行われる通信結
果に応じて、字幕のある画像とない画像とがフレームシーケンシャルで配置される字幕付
き映像を生成し、生成した映像を表示機61に表示させる。また、信号処理制御部40は
、シャッタ制御部81との間で行われる通信結果に応じて、字幕のある画像の輝度を調整
する輝度調整制御を行う。
【0015】
表示器61は、信号処理制御部40から入力された映像信号を表示する表示パネル10
1を含む表示モジュールである。表示器61には、例えばLCD(Liquid Crystal Displ
ay)に代表される薄型平面ディスプレイを適用することができる。この表示器61は、信
号処理制御部40から入力された映像信号を、映像を表示する光透過型の映像表示パネル
である液晶パネル101に表示し、また、信号処理制御部40からの制御信号に応じてバ
ックライト102の照明を点灯または消灯する。なお、本実施形態では、表示器61に液
晶ディスプレイを適用した例を説明するが、これに限定されるものでなく、有機ELパネ
ルなど自発光パネルであってもよい。
【0016】
液晶パネル101は、信号処理制御部40から入力された映像信号を表示する複数の表
示画素を、所定数量のマトリクス状に配置している映像表示パネルである。この液晶パネ
ル101は、信号処理制御部40から入力された映像信号に基づいて、所定の走査線に対
する走査に従って、画面上の表示を順次書き換えていくことで映像を表示していく。
【0017】
バックライト102は、液晶パネル101の裏面から当該液晶パネル101を照明する
ための光源であって、直下型の冷陰極管や、直下型又はサイド照射型のLED、EL(El
ectro-Luminescence)などを利用した光源である。本実施形態では、バックライト102
は、直下型又はサイド照射型を利用したLED光源であり、信号処理制御部40からの制
御情報に応じて、所定の光量で点灯または消灯する。
【0018】
スピーカ62は、信号処理制御部40から入力された音声信号を出力する。
シャッタ制御部81は、信号処理制御部40から入力された情報に基づいて、シャッタ
付き眼鏡97に備えられたシャッタの開閉を制御するためのシャッタ制御信号を出力する
。シャッタ制御部81は、シャッタ付き眼鏡97から、シャッタの開閉制御のモードを示
すモード情報を受信して、受信したモード情報を信号処理制御部40へ送信する。
【0019】
本実施形態では、シャッタ制御部81は、信号処理制御部40と別体として構成される
例を説明するが、信号処理制御部40に一体で構成される実施形態であってもよい。また
、シャッタ制御部81が、シャッタ付き眼鏡97から、モード情報を受信するのではなく
、操作部51又は、受光部52を介したリモコン98からモード情報を受信するように構
成されてもよい。この構成の場合、シャッタ制御部81は、シャッタ付き眼鏡97に対し
て、受信したモード情報を送信する。
【0020】
なお、テレビジョン受像機10は、前述した複数のブロックだけでなく、LAN又はW
ANなどのネットワーク、光回線を介して通信を行う通信処理部を有するネットワークI
F機能を実現するブロックを備えてもよい。このブロックは、接続したネットワーク先の
特定サーバや記録媒体などの情報提供源から、映像音声情報や字幕情報、番組名等の番組
関連情報が含まれる信号を取得して、この信号に基づくTS信号を信号処理制御部40へ
出力する。信号処理制御部40は、入力ソースの一つとして、このブロックから入力され
るTS信号を選択することも可能である。
【0021】
また、本実施形態では、映像表示装置としてテレビジョン受像機10を適用した例を説
明するが、本実施形態と同様の構造を有するパーソナルコンピュータ、携帯移動端末など
を適用しても構わない。また、アンテナ99によって受信される放送波としてはテレビ放
送だけでなくラジオ放送であってもよい。
【0022】
このような構成により、本実施形態にかかるテレビジョン受像機10は、字幕のある画
像とない画像とがフレームシーケンシャルで配置される字幕付き映像が表示機61に表示
される。また、字幕のある画像が出力されるタイミングに基づくシャッタ付き眼鏡97の
シャッタの開閉制御が実行されるとともに、字幕のある画像の輝度を調整する輝度調整制
御が行われる。従って、本実施形態にかかるテレビジョン受像機10は、単一映像によっ
て、装置の利用者に対して、鮮明度が劣化しない字幕を視聴させることが可能となる。
【0023】
次に、図2を用いて、図1で説明した信号処理制御部40に備えられ、字幕付き映像を
生成するとともに生成した映像に合わせたシャッタの開閉制御を実行する複数のブロック
を説明する。
【0024】
図2は、信号処理制御部40に備えられ、字幕付き映像を生成するとともに生成した映
像に合わせたシャッタの開閉制御を実行する複数のブロックからなるシステム構成図であ
る。
【0025】
信号処理制御部40は、分離部201、映像デコーダ202、字幕デコーダ203、音
声デコーダ204、フレームメモリ205、多重部206、シャッタ制御管理部207を
備える。
【0026】
分離部201は、選択された入力ソースから入力されたTS信号に基づいて、映像PE
S、音声PES、字幕PESに分離する。分離された映像PESは映像デコーダ202へ
、音声PESは音声デコーダ204へ、字幕PESは字幕デコーダ203へそれぞれ出力
される。
【0027】
映像デコーダ202は、入力された映像PESをデコードし、デコードした映像情報を
フレームメモリ205へ出力する。
字幕デコーダ203は、入力された字幕PESをデコードし、デコードした字幕情報を
多重部206へ出力する。
音声デコーダ204は、入力された音声PESをデコードし、デコードした映像情報に
所定の処理を施してスピーカ62へ出力する。
フレームメモリ205は、入力された映像情報に基づく映像のフレームレートを変換し
て複数の映像フレームを含む映像データを生成する。フレームレートの変換は、元の映像
フレームに対して内挿フレームや補間フレームの追加を行うことで実現される。フレーム
レート変換された映像データのフレーム数は、元のフレーム数のN[倍](Nは1以上の
整数)に増す。また、フレームメモリ205は、多重部206による制御に応じて、多重
部206より入力された字幕映像を、フレームレート変換された映像データの特定の映像
フレームに多重する。一例では、N[倍]した映像フレームのうちのMフレーム目(Mは
1以上N以下の整数)の映像フレームに字幕情報が多重される。他の例では、N[倍]し
た映像フレームのすべての映像フレームに字幕情報が多重される。
【0028】
多重部206は、入力された字幕情報に基づく字幕映像をフレームメモリ205に出力
して、フレームレート変換された映像データの所定の映像フレームに多重させる。多重部
206は、シャッタ制御管理部207から送信された情報に基づいて、フレームレート変
換された映像データの何れの映像フレームに字幕情報を多重させるかをフレームメモリ2
05に対して制御する。また、多重部206は、シャッタ制御管理部207から送信され
た情報に基づいて、フレームレート変換された映像データの所定の映像フレームに多重す
る字幕情報の輝度を調整する。さらに、多重部206は、フレームメモリ205で字幕情
報が多重されるタイミングに同期した同期情報を、シャッタ制御管理部207に出力する

【0029】
シャッタ制御管理部207は、シャッタ制御部81と通信する。シャッタ制御管理部2
07は、シャッタ制御部81から送信されたモード情報に応じて、フレームメモリ205
における字幕情報の多重に関する情報を多重部206に対して送信する。例えば、シャッ
タ制御管理部207は、シャッタ制御部81から送信されたモード情報に応じて、フレー
ムメモリ205において映像データの所定の映像フレームに多重される字幕の輝度を調整
するための情報を多重部206に送信する。また、シャッタ制御管理部207は、多重部
206から出力された同期情報に基づいて、シャッタ制御部81によるシャッタ付き眼鏡
97のシャッタ制御と、フレームメモリ205における字幕情報が多重される映像フレー
ムとのタイミングを同期させる。
【0030】
なお、シャッタ制御管理部207が、シャッタ制御部81から送信されたモード情報に
応じて、多重される字幕の輝度を調整するための情報を多重部206に送信するのではな
く、多重部206から出力された同期情報に基づいて、表示器61に備えられるバックラ
イト102の光量を制御することで、字幕情報が多重された映像フレーム全体の輝度を調
整する構成であってもよい。また、シャッタ制御管理部207が、字幕情報が多重された
映像フレーム全体の輝度を調整するための情報を多重部206またはフレームメモリ20
5に送信する構成であってもよい。
【0031】
このような構成により、本実施形態にかかるテレビジョン受像機10に備えられる信号
処理制御部40により、字幕が多重された画像と字幕が多重されない画像とがフレームシ
ーケンシャルで配置される字幕付き映像(映像データ)が表示機61に表示される。また
、字幕が多重された画像が出力されるタイミングに基づくシャッタ付き眼鏡97のシャッ
タの開閉制御が実行されるとともに、字幕が多重された画像の字幕の輝度を調整する輝度
調整制御が行われる。従って、本実施形態にかかるテレビジョン受像機10は、単一映像
によって、装置の利用者に対して、鮮明度が劣化しない字幕を視聴させることと字幕のな
い映像を提供することとを並行して実行することが可能となる。
【0032】
次に、図3を用いて、本実施形態において実行される、字幕付き映像を生成するととも
に生成した映像に合わせたシャッタの開閉制御の動作を説明する。
図3は、本実施形態において実行される、字幕付き映像を生成するとともに生成した映
像に合わせたシャッタの開閉制御の動作を説明するためのフローチャートである。
【0033】
シャッタ制御部81に対してモードが設定される(S301)。設定されるモードは複
数定義されており、1つは、シャッタ付き眼鏡97を使用しないと字幕情報が視聴され、
シャッタ付き眼鏡97を使用すると字幕情報が視聴されない「シャッタ使用モード」であ
る。また他の1つは、シャッタ付き眼鏡97を使用してもしなくても字幕情報が視聴され
る「通常モード」である。
【0034】
設定されたモードが「シャッタ使用モード」である場合、N[倍]にフレームレート変
換された映像データの各フレーム期間のうちのM番目の映像フレームに字幕情報が多重さ
れる(S302)。また、字幕が多重されたM番目の映像フレームの字幕の輝度が調整さ
れ(S303)、M番目の映像フレームに対応するシャッタは「閉」、M番目以外の映像
フレームに対応するシャッタは「開」となるシャッタ制御が実行される(S304)。
【0035】
設定されたモードが「通常モード」である場合、N[倍]にフレームレート変換された
映像データの各フレーム期間の全ての映像フレームに字幕情報が多重される(S305)
。また、全ての映像フレームの字幕の輝度は通常状態に調整され(S306)、全ての映
像フレームでシャッタが「開」となるシャッタ制御が実行される(S307)。
【0036】
このような構成により、複数のモードに応じて、字幕付き映像(映像データ)が生成さ
れるとともに、生成された映像に合わせたシャッタの開閉制御が実行される。従って、本
実施形態にかかるテレビジョン受像機10は、単一映像によって、装置の利用者に対して
、鮮明度が劣化しない字幕を視聴させることと字幕のない映像を提供することとを並行し
て実行することが可能となる。
【0037】
次に、図4を用いて、本実施形態にかかる字幕付き映像に合わせたシャッタの開閉制御
のシャッタ使用モードにおける動作を説明する。
図4は、本実施形態にかかる字幕付き映像に合わせたシャッタの開閉制御のシャッタ使
用モードにおける動作を説明するためのタイミングチャートである。
図4に示すタイミングチャートは、各フレーム期間が3[倍]にフレームレート変換さ
れた映像データについて、各フレーム期間の3番目の映像フレームに対して字幕情報が多
重される例である。この例では、フレーム1の映像フレーム「F12」とフレーム2の映
像フレーム「F22」とに対して字幕情報「A」が多重される。他の映像フレーム(フレ
ーム1の映像フレーム「F10」、「F11」、フレーム2の映像フレーム「F20」、
「F21」)には、字幕情報が多重されない。
【0038】
「シャッタ使用モード」では、字幕情報が多重されている映像フレーム「F12」、「
F22」で、字幕の輝度が上がる(UPする)ように調整される。例えば、多重される字
幕の輝度が上がるように、多重部206が、明るさを決定する設定値を調整した字幕情報
を、フレームメモリ205にて映像フレームに多重させる。これは、シャッタ付き眼鏡9
7を使用しない状態において、映像フレーム「F12」、「F22」に表示される字幕情
報の明るさが、全ての映像フレームに字幕情報が多重される場合と比べて減少する(約1
/3程度になってしまう)ことを回避するためである。すなわち、図4に示したように字
幕の輝度が上がるように調整されることで、映像フレーム「F12」、「F22」の残像
が、他の映像フレーム「F10」、「F11」、「F20」、「F21」に対して影響し
、字幕情報が視認され易くなり、テレビジョン受像機10の利用者に、鮮明度が劣化しな
い字幕を視聴させることが可能となる。
【0039】
また、「シャッタ使用モード」では、字幕情報が多重されている映像フレーム「F12
」、「F22」ではシャッタが「閉」、他の映像フレーム「F10」、「F11」、「F
20」、「F21」ではシャッタが「開」となるようにシャッタの開閉制御が行われる。
この制御により、利用者がシャッタ付き眼鏡97を通して映像を視聴した場合に、映像フ
レーム「F10」、「F11」、「F20」、「F21」の映像は視認され、映像フレー
ム「F12」、「F22」に多重された字幕情報が視認されなくなる。従って、シャッタ
付き眼鏡97を通して映像を視聴する利用者に対して、字幕のない映像を提供することが
可能となる。
【0040】
このようにして、「シャッタ使用モード」におけるシャッタの開閉制御が実行されるこ
とで、本実施形態にかかるテレビジョン受像機10は、単一映像によって、装置の利用者
に対して、鮮明度が劣化しない字幕を視聴させることと字幕のない映像を提供することと
を並行して実行することが可能となる。
【0041】
次に、図5を用いて、本実施形態にかかる字幕付き映像に合わせたシャッタの開閉制御
の通常モードにおける動作を説明する。
図5は、本実施形態にかかる字幕付き映像に合わせたシャッタの開閉制御の通常モード
における動作を説明するためのタイミングチャートである。
図5に示すタイミングチャートは、各フレーム期間が3[倍]にフレームレート変換さ
れた映像データについて、各フレーム期間の全ての映像フレームに対して字幕情報が多重
される例である。この例では、フレーム1の各映像フレーム「F10」、「F11」、「
F12」とフレーム2の映像フレーム「F20」、「F21」、「F22」とに対して字
幕情報「A」が多重される。
【0042】
「通常モード」では、字幕情報が多重されている全ての映像フレームに対して、字幕の
輝度は通常状態に調整される。すなわち、図5に示したように字幕の輝度が通常状態に調
整されることで、各映像フレームの映像情報に対する字幕情報の輝度が安定的に調整され
る。
【0043】
また、「通常モード」では、字幕情報が多重されている全ての映像フレームで、シャッ
タが「開」となるようにシャッタの開閉制御が行われる。この制御により、利用者がシャ
ッタ付き眼鏡97を通して映像を視聴した場合とシャッタ付き眼鏡97を通さずに映像を
視聴した場合とで、同様の映像を提供することが可能となる。
【0044】
このようにして、「通常モード」におけるシャッタの開閉制御が実行されることで、本
実施形態にかかるテレビジョン受像機10は、シャッタ付き眼鏡97を使用する/しない
に係らず、装置の利用者に対して字幕を視聴させることが可能となる。
【0045】
(変形例)
次に、図6を用いて、本実施形態にかかる字幕付き映像に合わせたシャッタの開閉制御
のシャッタ使用モードの変形例の動作を説明する。
図6は、本実施形態にかかる字幕付き映像に合わせたシャッタの開閉制御のシャッタ使
用モードの変形例における動作を説明するためのタイミングチャートである。
図6に示すタイミングチャートは、図4と同様に、各フレーム期間が3[倍]にフレー
ムレート変換された映像データについて、各フレーム期間の3番目の映像フレームに対し
て字幕情報が多重される例である。この例では、フレーム1の映像フレーム「F12」と
フレーム2の映像フレーム「F22」とに対して字幕情報「A」が多重される。他の映像
フレーム(フレーム1の映像フレーム「F10」、「F11」、フレーム2の映像フレー
ム「F20」、「F21」)には、字幕情報が多重されない。
【0046】
「シャッタ使用モードの変形例」でも、図4を用いて説明した「シャッタ使用モード」
と同様に、字幕情報が多重されている映像フレーム「F12」、「F22」で、字幕の輝
度が上がる(UPする)ように調整される。例えば、多重される字幕の輝度が上がるよう
に、多重部206が、明るさを決定する設定値を調整した字幕情報を、フレームメモリ2
05にて映像フレームに多重させる。これは、シャッタ付き眼鏡97を使用しない状態に
おいて、映像フレーム「F12」、「F22」に表示される字幕情報の明るさが、全ての
映像フレームに字幕情報が多重される場合と比べて減少する(約1/3程度になってしま
う)ことを回避するためである。また、字幕情報が多重されている映像フレーム「F12
」、「F22」の映像情報として、例えば黒画像が用いられる。
【0047】
すなわち、図6に示したように、黒画像の映像情報に多重される字幕の輝度が上がるよ
うに調整されることで、映像フレーム「F12」、「F22」の残像が、他の映像フレー
ム「F10」、「F11」、「F20」、「F21」に対してより影響し、字幕情報がよ
り視認され易くなり、テレビジョン受像機10の利用者に、より鮮明度が劣化しない字幕
を視聴させることが可能となる。
【0048】
また、「シャッタ使用モードの変形例」でも、図4を用いて説明した「シャッタ使用モ
ード」と同様に、字幕情報が多重されている映像フレーム「F12」、「F22」ではシ
ャッタが「閉」、他の映像フレーム「F10」、「F11」、「F20」、「F21」で
はシャッタが「開」となるようにシャッタの開閉制御が行われる。この制御により、利用
者がシャッタ付き眼鏡97を通して映像を視聴した場合に、映像フレーム「F10」、「
F11」、「F20」、「F21」の映像は視認され、映像フレーム「F12」、「F2
2」に多重された字幕情報が視認されなくなる。従って、シャッタ付き眼鏡97を通して
映像を視聴する利用者に対して、字幕のない映像を提供することが可能となる。
【0049】
さらに、「シャッタ使用モードの変形例」では、字幕情報が多重されない映像フレーム
「F10」、「F11」、「F20」、「F21」に対して、映像の輝度が上がる(UP
する)ように調整される。例えば、映像の輝度が上げるためには、フレームメモリ205
が対象となる映像フレーム全体の明るさを決定する設定値を調整する構成や、シャッタ制
御管理部207が、バックライト102の光量を上げるように調整する構成により実現す
ることができる。これは、黒画像の映像情報に字幕情報が多重されている映像フレーム「
F12」、「F22」が映像データに含まれているため、各映像フレーム期間における、
映像情報の明るさが、全ての映像フレームに映像がある場合と比べて減少する(約2/3
程度になってしまう)ことを回避するためである。
【0050】
すなわち、字幕情報が多重された映像フレームについて黒画面の映像とすることで、シ
ャッタ付き眼鏡97を介して字幕のない映像を視聴する利用者(健常者)と、シャッタ付
き眼鏡97を介さず字幕のある映像を視聴する利用者(聴力の弱い高齢者または難聴者な
ど)とに対して、明るさの差がない映像を提供することが可能となる。また、字幕情報が
多重された映像フレームでは黒画面の映像に対して字幕の輝度を上げ、字幕情報が多重さ
れない映像フレームでは映像の輝度を上げることで、本モードでの映像の輝度と「通常モ
ード」における映像の輝度との差が少なくなるので、モードに依存する映像の差が発生す
ることを抑制することが可能である。
【0051】
このようにして、「シャッタ使用モードの変形例」におけるシャッタの開閉制御が実行
されることで、本実施形態にかかるテレビジョン受像機10は、単一映像によって、装置
の利用者に対して、より鮮明度が劣化しない字幕を視聴させることと字幕のない映像を提
供することとを並行して実行することが可能となる。
【0052】
以上説明したように本実施形態によれば、シャッタ付き眼鏡97を利用する/しないに
係らず、装置の利用者に対して字幕を視聴させることが可能となる第1の状態と、シャッ
タ付き眼鏡97を使用しないと字幕情報が視聴され、シャッタ付き眼鏡97を使用すると
字幕情報が視聴されない第2の状態とを実現することが可能となる。この第2の状態によ
れば、シャッタ付き眼鏡97を使用しない利用者には、鮮明度が劣化しない字幕を視聴さ
せることが可能となり、シャッタ付き眼鏡97を使用する利用者には、字幕のない映像を
提供することが可能となる。従って、本実施形態に係るテレビジョン受像機10によれば
、単一映像によって、装置の利用者に対して、鮮明度が劣化しない字幕を視聴させること
と字幕のない映像を提供することとを容易に並行して実行することができる。
【0053】
なお本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない
範囲において、種々の変更、改変等が可能である。また、前述した実施形態に開示されて
いる複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができ
る。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよく、さ
らに、異なる実施形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0054】
10…テレビジョン受像機、20…放送波処理部、31…外部機器IF部、40…信号
処理制御部、51…操作部、52…受光部、61…表示器、62…スピーカ、81…シャ
ッタ制御部、97…シャッタ付き眼鏡、98…リモコン、99…アンテナ、201…分離
部、202…映像デコーダ、203…字幕デコーダ、204…音声デコーダ、205…フ
レームメモリ、206…多重部、207…シャッタ制御管理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
字幕が多重された第1映像フレームと前記字幕が多重されない第2映像フレームとを含
む映像データを生成する生成手段と、
前記生成手段で生成された第1映像フレームに対応してシャッタ付き眼鏡のシャッタを
閉じ、前記生成された第2映像フレームに対応してシャッタ付き眼鏡のシャッタを開く制
御をするシャッタ制御手段と、
前記字幕の輝度を上げる制御をする輝度制御手段と、
を具備する映像表示装置。
【請求項2】
前記生成手段は、入力された映像フレームに基づいて1以上の整数であるN倍にフレー
ムレートを変換した映像データを生成し、当該生成した映像データのうち前記Nより小さ
い整数であるM番目の映像フレームを前記第1映像フレームとし、前記M番目の映像フレ
ーム以外の映像フレームを前記第2映像フレームとする
請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記輝度制御手段は、前記第1映像フレームについて、前記字幕の輝度を上げ、前記字
幕以外の輝度は上げない
請求項1または2の何れか1項に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記第1映像フレームの前記字幕の背景の映像を黒画像とする
請求項1から3の何れか1項に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記輝度制御手段は、前記第2映像フレームの輝度を上げる制御をする
請求項4に記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記輝度制御手段は、前記第1映像フレームについて、画像全体の輝度を上げる
請求項1または2の何れか1項に記載の映像表示装置。
【請求項7】
字幕が多重された第1映像フレームと前記字幕が多重されない第2映像フレームとを含
む映像データを生成し、
前記生成された第1映像フレームに対応してシャッタ付き眼鏡のシャッタを閉じ、前記
生成された第2映像フレームに対応してシャッタ付き眼鏡のシャッタを開く制御をし、
前記字幕の輝度を上げる制御をする、
映像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−81008(P2013−81008A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218693(P2011−218693)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】