説明

映像表示装置及び映像表示方法

【課題】2画面表示開始命令が入力されると、映像信号が入力されている入力端子が自動的に選択され、2画面で表示される映像表示装置を提供すること。
【解決手段】リモコン54により2画面表示を開始するための操作がなされると、制御部66は、入力セレクター56aおよび入力セレクター56bにより入力端子T1〜T6を順次選択させる。また、制御部66は、切り替えた入力端子ごとに、識別部57aおよび識別部57bにより映像信号が入力されているか否かを識別させる。入力端子に信号が入力されている場合、制御部66は、選択された入力端子に対応する映像を表示部に表示させる。以上の映像ソース選択方法を2画面のうち少なくとも一方に適用し、1つの表示デバイスに2画面で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置及び映像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプロジェクターなどの映像表示装置には、複数の映像ソース(パーソナルコンピューター(PC)、DVD、VTR、その他の映像機器、インターネット等)から2つの映像ソースを選択し、1つの表示デバイスに2画面で表示することが可能なものがある。
【0003】
このような映像表示装置では、モードスイッチやリモコン等により2画面表示開始命令を入力すると、OSDにより映像ソースの一覧が表示される。一覧から2画面表示したい映像ソースを選択することにより、任意の映像ソースで2画面表示が可能になる。
【0004】
また、OSDでの映像ソース一覧が表示される代わりに、ある特定の映像ソースが強制的に選択されるものもある。これにより、映像ソースを選択する手間が省略でき、速やかに2画面表示を開始することができる。
また、特許文献1には、2つの信号源からの画像信号の有無に応じて、1画面表示と2画面表示を自動的に切り替えて表示する、表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−346121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の2画面表示に対応する映像表示機器では、2画面表示開始命令を入力するだけで、意図した映像ソースの組み合わせで2画面表示することができないという問題があった。
例えば、OSDにより映像ソースの一覧が表示される映像表示装置の場合は、2画面表示開始命令を入力した後に表示させたい映像ソースを選択しなければならない。
また、2画面表示開始時に、ある特定の映像ソースが強制的に選択される映像表示装置の場合は、もし表示された映像ソースが意図したものではなければ、映像ソースを切り替える操作を行わなければならない。
【0007】
一方、特許文献1に開示されている表示装置では、外部から切替信号を与えることなく、1画面表示と2画面表示との切り替えを自動的に行わせる技術が示されているが、これは入力系統からの映像信号の同期信号の有無から判断して画面の切り替えを行うものであり、2画面表示開始命令の入力時に意図した映像ソースの組み合わせが自動的に選択されるものではない。
【0008】
さらに、上記の課題は、1つの表示デバイスに3画面以上表示できる映像表示装置についても同様である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]本適用例に係る映像表示装置は、映像信号にて表される映像を表示部に表示する映像表示装置であって、複数の映像ソースから供給される前記映像信号を、前記映像信号ごとに入力するための複数の入力端子と、前記複数の入力端子から所望の前記入力端子を選択する入力セレクターと、前記選択された入力端子に、前記映像信号が入力されているか否かを識別する識別部と、前記入力セレクターが選択した、少なくとも2つの入力端子から入力された前記映像信号を、1つの画像に合成する複数画像合成処理を行う映像信号処理部と、前記複数画像合成処理を開始および終了するための操作を受け付ける操作部と、を備え、前記操作部により前記複数画像合成処理を開始するための操作がなされると、前記入力セレクターは前記複数の入力端子を所定の順に選択し、前記識別部は前記選択された入力端子における前記映像信号の入力の有無を識別し、前記識別部により前記映像信号の入力が確認された入力端子からの映像信号による映像を、前記合成画像の1つとして前記表示部に表示することを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、2画面表示を開始するための操作を受け付けると、入力端子ごとに映像信号が入力されているか否かを識別し、映像信号が入力されている入力端子を優先して選択し2画面表示を行う。これによって、2画面表示開始命令を入力するだけで、映像信号が入力されている入力端子が確実に選択され、意図した映像ソースの組み合わせで2画面表示を行うことが可能となる。
【0012】
[適用例2]上記適用例に記載の映像表示装置において、さらに、前記複数画像合成処理を終了した際に選択されていた入力端子を記憶する記憶部を備え、前記入力セレクターは、前記操作部により前記複数画像合成処理を開始するための操作がなされると、前記記憶部に記憶されている前記入力端子を優先的に選択することを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、2画面表示を開始するための操作を受け付けると、映像信号が入力されている入力端子の中から、特に前回2画面表示を終了した際に選択されていた入力端子が優先される。これによって、2画面表示開始命令を入力するだけで、前回の使用状況を速やかに再現することができる。
【0014】
[適用例3]上記適用例に記載の映像表示装置において、さらに、少なくとも2つの入力端子の組み合わせについて2画面表示可能か否かを判別する判別手段を備え、前記入力セレクターにより前記複数の入力端子を選択する場合に、前記判別手段により、他の画面に選択された入力端子との組み合わせについて複数画面表示が可能か否かを判別し、前記入力セレクターは複数画面表示が可能な入力端子を選択することを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、2画面表示を開始するための操作を受け付けた際に、入力端子の組み合わせを考慮し、2画面投写が可能な入力端子のみを対象として信号入力の有無が識別される。これによって、表示すべき映像ソースを選択するまでの時間が短縮され、速やかに2画面表示を行うことが可能となる。
【0016】
[適用例4]本適用例に係る映像表示方法は、映像信号にて表される映像を表示する映像表示方法であって、複数の映像ソースから供給される前記映像信号が入力される複数の入力端子を、所定の順に選択し、前記選択された入力端子に、前記映像信号が入力されているか否かを識別し、前記映像信号の入力が確認された、少なくとも2つの入力端子から入力された前記映像信号による映像を、1つの画像に合成して表示することを特徴とする。
【0017】
2画面表示を開始するための操作を受け付けると、入力端子ごとに映像信号が入力されているか否かを識別し、映像信号が入力されている入力端子を優先して選択し2画面表示を行う。これによって、2画面表示開始命令を入力するだけで、映像信号が入力されている入力端子が確実に選択され、意図した映像ソースの組み合わせで2画面表示を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図。
【図2】第1実施形態における表示画面の一例を示す図。
【図3】第1実施形態の映像ソース選択方法を示したフローチャート。
【図4】第1実施形態における入力端子の選択順番を示す図。
【図5】第1実施形態における表示画面の一例を示す図。
【図6】第1実施形態における表示画面の一例を示す図。
【図7】第3実施形態のプロジェクターの概略構成図。
【図8】第3実施形態における選択可能な映像ソースの組み合わせを示す表。
【図9】第3実施形態における入力端子の選択順番を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
(第1実施形態)
《プロジェクターの構成》
図1は、本発明の第1実施形態にかかる映像表示装置としてのプロジェクターの概略構成を示すブロック図である。以下、プロジェクター100の概略構成について、図1を用いて説明する。
プロジェクター100は、光源としてのランプ51が放射した白色光を、赤色光、青色光、緑色光の、光の3原色成分に分離し、色光毎に表示部としての各色光用の液晶ライトバルブ52R,52G,52Bにより映像ソースから供給される映像信号に応じて変調し、再度合成したフルカラーの変調光を投写レンズ65によりスクリーンSCに拡大投写する、いわゆる「液晶3板式プロジェクター」である。
なお、液晶ライトバルブ52R,52G,52Bは、光変調素子であり、それぞれが赤色光、緑色光、青色光用として設けられ、光学部64の構成に含まれている。
【0021】
プロジェクター100は、ランプ51、操作部53、リモコン54、操作受付部55、入力端子T1〜T6、入力セレクター56a,56b、識別部57a,57b、映像コンバーター58a,58b、映像信号処理部59、フレームメモリー60、映像信号補正部61、OSDメモリー62、液晶パネル駆動部63、光学部64、投写レンズ65、制御部66、記憶部67、電源部68、ランプ駆動部69などから構成されている。
ランプ51は、例えば、高圧水銀ランプや、メタルハライドランプ及びハロゲンランプなどの高輝度が得られる放電式ランプである。
【0022】
操作部53は、プロジェクター100の本体上面に設けられており、プロジェクター100を操作するための複数の操作用ボタンを備えている。複数の操作用ボタンには、プロジェクター100を起動およびシャットダウンするための「電源ボタン」や、映像信号を供給している映像ソースを探索するための「映像探索ボタン」、所望の映像ソースを選択するための映像ソースごとの「ソース選択ボタン」(いずれも図示せず)などが含まれている。
操作部としてのリモコン54は、プロジェクター100を遠隔操作するためのリモコンであり、操作部53と同様のプロジェクター100を操作するための複数の操作用ボタンを備えている。また、複数の操作用ボタンには2画面表示を開始・終了するための「2画面設定ボタン」も含まれる。
操作受付部55は、操作部53あるいはリモコン54への操作がなされると、当該操作を受付け、制御部66へ各種動作のトリガーとなる操作信号を送る。
【0023】
入力端子T1〜T6は、複数の映像ソースとしての外部電子機器である、パーソナルコンピューターPC1,PC2,PC3、デジタルプレーヤーDV、ビデオプレーヤーVI、および、ブルーレイディスクプレーヤーBDから供給される映像信号を、映像信号ごとにプロジェクター100に入力するための入力端子である。
入力端子T1,T2は、例えば、ミニD−sub15ピン端子であり、パーソナルコンピューターPC1,PC2から供給されるアナログRGB信号に対応している。また、ミニD−sub15ピン端子の持つ15ピンの信号線の使用割り当てを変えることにより、コンポーネント信号も入力することができる。
入力端子T3は、例えば、DVI−D端子であり、パーソナルコンピューターPC3から供給されるデジタルRGB信号に対応している。
入力端子T4は、例えば、S端子であり、DVDプレーヤーDVや、Sビデオプレーヤーなどから供給されるS信号に対応している。
入力端子T5は、例えば、1RCA端子であり、ビデオプレーヤーVIや、TVチューナーなどから供給されるコンポジット信号に対応している。
入力端子T6は、例えば、HDMI端子であり、ブルーレイディスクプレーヤーBDや、DVDプレーヤーDVなどから供給されるデジタルRGB信号やデジタルコンポーネント信号に対応している。
プロジェクター100の入力端子としては、上記の映像入力端子の他に、音声信号を入力するための、例えば、ステレオミニジャックなどの音声入力端子や、外部のパーソナルコンピューターとプロジェクター100との間で各種の情報のやり取りを行うためのUSB端子、RS232C端子などが設けられているが、説明を簡単にするため図示を省略している。
【0024】
以下、外部電子機器である、パーソナルコンピューターPC1,PC2,PC3、デジタルプレーヤーDV、ビデオプレーヤーVI、および、ブルーレイディスクプレーヤーBDのことを、映像ソース名での表現も交えながら説明する。
具体的には、パーソナルコンピューターPC1,PC2のことを、映像ソース名では、「Computer1」,「Computer2」と表現する。同様に、パーソナルコンピューターPC3を「DVI-D」、DVDプレーヤーDVを「S-Video」、ビデオプレーヤーVIを「Video」、ブルーレイディスクプレーヤーBDを「HDMI」と表現する。
入力セレクター56aは、入力端子T1〜T6の選択スイッチであり、制御部66からの選択信号に従い、6つの入力端子T1〜T6の内、いずれか1つを選択する。これにより、選択された入力端子に対応する映像ソースが、映像信号Vinを供給している場合、プロジェクター100は、当該映像信号Vinによる映像を投写する。
プロジェクター100の出荷段階におけるデフォルトの映像ソースは、「Computer1」となっている。プロジェクター100が起動した後、例えば、リモコン54の「映像探索ボタン」を操作すると、入力セレクター56aは、入力端子T1〜T6を順番に選択することにより、映像ソースを、「Computer1」,「Computer2」,「DVI-D」,「S-Video」,「Video」,「HDMI」の順番で切替える。
また、プロジェクター100のシャットダウン時には、シャットダウンの時点で選択されていた映像ソース情報が記憶部67に記憶され、次回起動時において再現される。
【0025】
識別部57aは、例えば、コンパレーターであり、入力セレクター56aにより選択されている映像ソースから映像信号Vinが供給されているか否かを、映像信号Vinに含まれている同期信号の有無を確認することにより、識別し、映像信号Vinの入力の有無を伝える識別信号を制御部66に送る。
映像コンバーター58aは、アナログ映像信号VinをA/D変換し、デジタル映像信号Dinとして出力する。これは、映像信号Vinに各種の映像信号処理を施すために行なわれる。また、デコーダーを内蔵している。
具体的には、映像コンバーター58aは、映像信号Vinが映像ソース「Computer1」,「Computer2」のアナログRGB信号の場合は、そのままA/D変換処理を含む映像信号処理を施す。映像信号Vinが映像ソース「S-Video」のS信号または、「Video」のコンポジット信号の場合は、内蔵するデコーダーにより、コンポーネント信号に変換してからA/D変換処理を含む映像信号処理を施す。映像ソース「DVI-D」,「HDMI」のデジタル信号の場合は、A/D変換処理は行われない。
【0026】
入力セレクター56b,識別部57b,映像コンバーター58bは、それぞれ入力セレクター56a,識別部57a,映像コンバーター58aと同等の役割を持ち、2画面表示を行う際に、両者は独立して各処理を行う。リモコン54の「2画面設定ボタン」を操作すると、入力セレクター56bは、入力端子T1〜T6のうち、入力セレクター56aにより選択されている映像ソースと異なる映像ソース、あるいは同一の映像ソースを選択する。識別部57bは、入力セレクター56bにより選択されている映像ソースからの信号の有無を識別し、映像コンバーター58bは、映像信号Vinに各種の映像信号処理を施す。
【0027】
映像信号処理部59は、映像信号Dinを、液晶ライトバルブ52R,52G,52Bで表示するのに適した信号とするために、映像データをフレームメモリー60に書き込み、所定の条件で読み出すなどの映像信号処理を行う。映像信号処理には、映像信号Dinで表される映像を拡大および縮小することにより液晶ライトバルブ52R,52G,52Bの持つ解像度に合わせるスケーリング処理や、1秒間における描画更新回数を示すフレームレート変換などが含まれる。映像信号Dinは、このような映像信号処理が施され、デジタル映像信号Dscとして出力される。
【0028】
映像信号補正部61は、映像信号Dscの有する階調値を液晶ライトバルブ52R,52G,52Bで表示するのに適した階調値に変換するγ補正や、液晶ライトバルブ52R,52G,52Bに固有の輝度むらなどに起因する色むら補正処理を施し、さらにD/A変換を施したアナログ映像信号Voutを出力する。
【0029】
また、映像信号補正部61は、例えば、映像信号Vinにて表される映像に、映像ソース名を重畳させるというような、OSD(On-Screen Display)機能を司る。映像信号補正部61は、制御部66からのOSD信号に従い、OSDメモリー62から、例えば、「映像ソース名」や、映像ソースの「探索画面」を読み出し、映像信号Dscに重畳する。
映像信号補正部61は、映像信号Vinが入力されていない場合、例えば、青色ベタの画面に「映像ソース名」と、「映像信号が入力されていません」という文字が表された「スタンバイ画面」をOSDメモリー62から読み出し、「スタンバイ画面」を表す映像信号Voutを生成して出力する。
OSDメモリー62は、不揮発性のメモリーであり、「映像ソース名」や、映像ソースの「探索画面」の各種態様、「スタンバイ画面」など、OSDに用いられるプロジェクター100の操作状態を示す画面や各種文字パターンなどを記憶している。
【0030】
液晶パネル駆動部63は、液晶ドライバーであり、液晶ライトバルブ52R,52G,52Bに映像信号Voutと、駆動電圧などを供給し、液晶ライトバルブ52R,52G,52Bに映像を写し出す。
光学部64は、ランプ51が放射する白色光を輝度分布の安定した略平行光に変換するインテグレータ光学系と、輝度分布の安定した白色光を光の3原色である赤色、緑色、青色の各色光成分に分離して各色光用の液晶ライトバルブ52R,52G,52Bに供給する分離光学系(いずれも図示せず)と、液晶ライトバルブ52R,52G,52Bにて色光毎に映像信号Voutに応じて変調された各色光の変調光を、再度合成する合成光学系とを含んで構成されている。
液晶ライトバルブ52R,52G,52Bからの各色光の変調光は、青色光を反射し緑色光を透過するダイクロイック膜71と、赤色光を反射し緑色光を透過するダイクロイック膜72と、を備える合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム73により合成され、映像信号Voutに応じて変調されたフルカラーで略平行光の変調光として射出される。
【0031】
投写レンズ65は、凸レンズなどの複数のレンズから構成されており、クロスダイクロイックプリズム73からの変調光を拡大して投写光とし、スクリーンSCに映像を投写する。投写レンズ65は、投写光の拡大率を調整するズーム機能や、投写光の焦点を調整するフォーカス機能を有している。
制御部66は、CPU(Central Processing Unit)であり、バスラインBusを介して、各部との信号のやり取りを行い、また、操作受付部55からの操作信号などに沿って各部の動作を制御する。
記憶部67は、例えば、フラッシュメモリーなどデータの書き換えが可能な不揮発性のメモリーにより構成されている。記憶部67には、プロジェクター100の動作を指示および制御するための様々な制御プログラムや、ファームウエア、および付随するデータが記憶されている。
制御プログラムには、映像信号を供給している映像ソースを探索するための探索支援プログラムとしての「映像探索プログラム」が含まれている。付随するデータとしては、例えば、「映像探索プログラム」を実行するまえに入力セレクターが選択していた入力端子名などが含まれる。
【0032】
電源部68は、外部電源80からの交流電力をプラグから導き、内蔵するAC/DC変換部(いずれも図示せず)にて変圧、整流および平滑するなどの処理を施すことにより安定化させた直流電圧をプロジェクター100の各部に供給する。
ランプ駆動部69は、電源部68からの電力供給を受け、放電式ランプであるランプ51を点灯するために高電圧を発生して放電経路を形成するイグナイタ回路と、点灯後の安定した点灯状態を維持するためのバラスト回路(いずれも図示せず)を備えている。
【0033】
《第1の映像ソース選択方法》
第1実施形態では、2画面表示開始命令が入力されると、異なる、または同一の2つの映像ソースから入力された入力信号にて表される映像を、1つのスクリーンSCに同時に投写し表示する。
図2は、2画面表示中の画面配置の一例を示す図である。図2に示すように、2つの映像を、例えば、左右に並べた形で表示する。以下、一方の画面を画面A、もう一方の画面を画面Bとする。
図3は、第1実施形態に係る、2画面表示開始命令が入力された際の映像ソース選択方法を示したフローチャートである。
図4は、入力端子を切り替える際の選択順番を示す図である。また、図5,図6は、第1実施形態における表示画面の一例を示す図である。
ここでは、図3を中心に、適宜図1,図2、および図4〜図6を参照しながら、プロジェクター100における映像ソース選択方法の一様態について説明する。
【0034】
第1実施形態に係る映像ソース選択方法は、プロジェクター100を起動した後、リモコン54の「2画面設定ボタン」により、2画面表示開始命令が入力された場合に行われる映像ソース選択方法である。
リモコン54の「2画面設定ボタン」の操作がなされると、操作受付部55から制御部66へ操作信号が送られる。操作信号を受信した制御部66は、入力セレクター56aおよび入力セレクター56bにより、第1実施形態に係る映像ソース選択方法にて入力端子T1〜T6のいずれかを選択させ、対応する映像信号にて表される映像を2画面として投写させる。このとき、例えば入力セレクター56aにて選択された入力端子に対応する映像を画面Aに表示した場合、入力セレクター56bにて選択された入力端子に対応する映像は画面Bに表示される。
【0035】
第1実施形態に係る映像ソース選択方法は、図3に示すようなステップで実行される。
ステップS11では、制御部66は、入力セレクター56aに、2画面表示が開始される直前に選択されていた映像ソースに対応する入力端子を選択させる。これにより、画面Aに投写される映像は、2画面表示が開始される直前に表示されていた映像と同じ映像となる。
【0036】
ステップS20で表される一連のステップは、画面Bに投写される映像の映像ソースを選択させるものであり、ステップS21〜ステップS23から成る。
ステップS21では、制御部66は、入力セレクター56bが選択している入力端子の次の選択順番の入力端子を選択させる。このとき、映像ソース選択処理が開始されてから初めてステップS21が実行される場合は、入力端子として、2画面表示が開始される直前に選択されていた入力端子の次の端子を選択させる。入力端子の選択順番は、図4に示す通りである。例えば、最初に入力端子T2が選択されていた場合は、図4に示す「入力端子T3」→「入力端子T4」→「入力端子T5」→「入力端子T6」→「入力端子T1」→「入力端子T2」というように循環する。
【0037】
ステップS22では、制御部66は、ステップS21で選択された入力端子に対応する映像ソースからの映像信号の有無を識別部57bにより確認させる。映像信号の入力があった場合、ステップS31へ進む。映像信号の入力がなかった場合、ステップS23へ進む。
ステップS23では、制御部66は、入力端子S1〜S6の全てについて、映像信号の探索を行ったか確認する。全ての入力端子についての探索が終わった場合、2画面表示が開始される直前に、入力セレクター56bが選択していた入力端子が選択された状態で、ステップS31へ進む。まだ探索していない入力端子がある場合、ステップS21へ戻る。
【0038】
ステップS31では、制御部66は、入力セレクター56aおよび入力セレクター56bが現在選択する入力端子に入力された映像信号により、映像を2画面で投写させる。例えば、図5は、画面Aに映像ソース「Computer1」,画面Bに映像ソース「Computer2」が選択された場合の画面を表している。
またこのとき、入力セレクター56aおよび入力セレクター56bが現在選択する入力端子に映像信号が入力されていない場合は、当該画面に無信号を示すメッセージを表示させる。例えば、図6は、画面Aに映像ソース「Computer1」,画面Bに映像ソース「Computer2」が選択され、映像ソース「Computer1」には信号が入力されていない場合の画面を表している。
【0039】
上述した通り、本実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)制御部66は、リモコン54にて2画面設定ボタン操作がなされると、異なる2つの映像ソース、または同一の2つの映像ソースから入力された入力信号にて表される映像を、1つの表示デバイスに同時に表示させる。このとき、画面Aで選択されている映像ソースは、2画面表示が開始される直前に選択されていた映像ソースがそのまま引き継がれ、自動的に映像が表示される。
よって、プロジェクター100において2画面表示を開始する際に、使用者は画面Aに表示させる映像ソースを選択する手間を省略することができる。
【0040】
(2)また、リモコン54の2画面設定ボタン操作により2画面表示が開始されると、制御部66は、画面Bに対して、映像信号の入力が確認された入力端子からの映像信号による映像を優先して投写させる。
よって、プロジェクター100において2画面表示を開始する際に、使用者は画面Bに表示させる映像ソースを選択する手間を省略することができ、映像信号を出力している映像ソースを効率よく探索することができる。
【0041】
以上により、使用者は2画面表示設定を入力するだけで、映像信号が入力されている入力端子が確実に選択され、意図した映像ソースの組み合わせで2画面表示が行われる。これにより、操作性の良いプロジェクター100を提供することができる。
【0042】
(第2実施形態)
《第2の映像ソース選択方法》
第2実施形態に係る映像ソース選択方法は、第1実施形態と同様、プロジェクター100を起動した後、リモコン54の「2画面設定ボタン」により、2画面表示開始命令が入力された場合に行われる映像ソース選択方法である。
プロジェクターの構成は、図1で表される第1実施形態のプロジェクター100と同様である。また、第2実施形態に係る、2画面表示開始命令が入力された際の映像ソース選択方法についても、第1実施形態と同様、図3で示したフローチャートで表される。ただし、図3の一部のステップにおいて、処理の内容が異なる。
ここでは、図3を中心に、適宜図1,図2および図4を参照しながら、第1実施形態での説明との相違点についてのみ説明する。
【0043】
プロジェクター100が2画面で投写している場合、リモコン54にて「2画面設定ボタン」操作がなされると、制御部66は、入力セレクター56aで選択されている入力端子から入力された映像信号にて表される映像のみ、1画面で表示させる。これにより、2画面表示時の画面Aに表示されていた映像のみが残り、画面Bに表示されていた映像は消去される。
このとき、制御部66は、2画面表示を終了する直前に画面Bで選択されていた映像ソースに対応する入力端子を、記憶部67に記憶させる。
【0044】
ステップS21では、制御部66は、入力セレクター56bが選択している入力端子の次の選択順番の入力端子を選択させる。入力端子の選択順番は、図4に示す通りである。
このとき、映像ソース選択処理が開始されてから初めてステップS21が実行される場合は、入力セレクター56bに、記憶部67に記憶されている前回の2画面表示終了時に選択されていた入力端子を選択させる。例えば、前回の2画面表示終了時に選択されていた入力端子が「入力端子T4」であった場合は、入力セレクター56aの初期状態に係わらず、「入力端子T4」→「入力端子T5」→「入力端子T6」→「入力端子T1」→「入力端子T2」→「入力端子T3」の順で選択される。
【0045】
第2実施形態に係る映像ソース選択方法は、上記以外の点については、第1実施形態に係る映像ソース選択方法の場合と同様である。
【0046】
上述した通り、本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて以下の効果が得られる。
(1)制御部66は、リモコン54にて2画面設定ボタン操作がなされると、画面Bに対して、映像信号が入力されている入力端子に対応する映像ソースの中から、特に前回2画面表示を終了した際に画面Bで選択されていた映像ソースを優先して選択し、映像を投写させる。
よって、プロジェクター100において、使用者は2画面表示開始命令を入力するだけで、前回の使用状況を速やかに再現することができる。
【0047】
(2)また、記憶部67は不揮発性メモリーであるため、プロジェクター100の電源を一度切断した場合においても、同様に前回の使用状況を速やかに再現することができる。
【0048】
(第3実施形態)
《第3の映像ソース選択方法》
図7は、第3実施形態に係る映像表示装置としてのプロジェクター概略構成の一部を示すブロック図である。プロジェクター200は、入力セレクター156aおよび入力セレクター156bが、それぞれ図1の入力セレクター56aおよび入力セレクター56bと入れ替わっていることを除き、第1実施形態のプロジェクター100と同様である。
入力セレクター156aは、入力端子T1,T2,T4,T5の選択スイッチであり、制御部66からの選択信号に従い、4つの入力端子T1,T2,T4,T5の内、いずれか1つを選択する。また、入力セレクター156bは、入力端子T3,T6の選択スイッチであり、制御部66からの選択信号に従っていずれか1つを選択する。
これらの構成により、2画面表示を行う際、画面Aおよび画面Bで選択可能な映像ソースの組み合わせが制限される。つまり、画面Aの映像ソースとして、入力セレクター156aで選択できる映像ソースが選択されている場合は、画面Bの映像ソースとして選択可能な入力端子は、入力セレクター156bが選択できる入力端子T3,T6に限られる。なお入力セレクター156a,156bと、画面A,Bとの対応については制限がない。
図8は、第3実施形態のプロジェクター200における選択可能な映像ソースの組み合わせを示した表である。
選択可能な映像ソースの組み合わせは、あらかじめデータまたはプログラムとして記憶部67に記憶されている。
【0049】
第3実施形態に係る、2画面表示開始命令が入力された際の映像ソース選択方法については、第1実施形態と同様、図3で示したフローチャートで表される。ただし、図3の一部のステップにおいて、処理の内容が異なる。
図9は、入力端子を切り替える際の選択順番を示す図である。
ここでは、図3を中心に、適宜図1,図2,図4および図7〜図9を参照しながら、第1実施形態での説明との相違点についてのみ説明する。
【0050】
ステップS21では、制御部66は、入力セレクター156aが選択している入力端子の次の選択順番の入力端子を選択させる。入力端子の選択順番は、図4に示す通りである。
ただし、このとき記憶部67から「選択可能な映像ソースの組み合わせ」を読み出し、画面Aで既に選択されている映像ソースと同時に選択することのできない映像ソースについては、入力端子の選択をスキップさせる。例えば、画面Aにて映像ソース「Computer1」が選択されていた場合は、図9に示すように「入力端子T3(DVI-D)」→「入力端子T6(HDMI)」の順で選択される。
【0051】
第3実施形態に係る映像ソース選択方法は、上記以外の点については、第1実施形態に係る映像ソース選択方法の場合と同様である。
【0052】
上述した通り、本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて以下の効果が得られる。
制御部66は、リモコン54にて2画面設定ボタン操作がなされると、2画面の映像ソースの組み合わせを考慮し、画面Bに対して2画面投写が可能な入力端子のみを対象として信号入力の有無を識別させる。
よって、プロジェクター200において、表示すべき映像ソースが選択されるまでの時間が短縮され、速やかに2画面表示を行うことが可能となる。
【0053】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0054】
(変形例1)
図3を用いて説明する。前記各実施形態において、ステップS20で表される映像ソース選択方法は画面Bに対してのみ行うものとして説明したが、これに限定するものではなく、任意の画面に対して適用可能である。
すなわち、画面Aの選択方法についても、前記実施形態における画面Bの選択方法と同様、ステップS20で表される方法として良い。これにより、両方の画面に対して、映像信号の入力が確認された入力端子からの映像信号による映像を優先して投写させることができる。
また、第2実施形態において本変形例を適用する場合は、2画面表示を終了する際に、それぞれの画面で選択されていた映像ソースに対応する入力端子を、すべて記憶部67に記憶させると良い。
【0055】
(変形例2)
図1を用いて説明する。前記各実施形態および変形例において、プロジェクター100およびプロジェクター200は、複数の映像ソースから2つの映像ソースを選択し、1つの表示デバイスに2画面で表示することができるプロジェクターとして説明したが、これに限定するものではない。
例えば、入力セレクター56,識別部57,映像コンバーター58をそれぞれ複数(3つ以上)搭載し、複数の映像ソースの映像を複数画面で表示することができるプロジェクターにも適用できる。またこの場合、映像ソース選択方法は、投写する複数画面のうち、いずれの画面にも適用可能である。
【0056】
(変形例3)
図1を用いて説明する。前記各実施形態および変形例において、プロジェクター100およびプロジェクター200は、映像信号処理部59,フレームメモリー60,映像信号補正部61を1つずつ用いた構成として説明したが、これに限定するものではない。
例えば、複数画面に表示するための手段として、映像信号処理部59,フレームメモリー60,映像信号補正部61をそれぞれ画面数だけ用いて構成し、映像信号処理や映像信号補正をそれぞれの画面で独立して行う方式のプロジェクターであっても、前記実施形態および変形例と同様の作用および効果を得ることができる。
【0057】
(変形例4)
図1を用いて説明する。前記各実施形態および変形例において、映像ソースとしては、「Computer1」,「Computer2」,「DVI-D」,「S-Video」,「Video」,「HDMI」の6種類を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、さらに、映像ソースとして「コンポーネントビデオ」と「BNC」を加え、それぞれに対応する入力端子、ミニD-sub15ピン端子とBNC端子とを増設した構成であっても良い。
また、USBなどのシリアル通信端子やLANなどの通信手段による映像ソースを用いた場合であっても、前記実施形態および変形例と同様の作用および効果を得ることができる。
【0058】
(変形例5)
図1を用いて説明する。前記各実施形態および変形例において、プロジェクター100およびプロジェクター200は、光変調素子として3枚の液晶ライトバルブ52R,52G,52Bを用いた液晶3板式の投写型プロジェクターとして説明したが、これに限定するものではない。
例えば、プロジェクターは、赤、緑、青色のカラーフィルターが規則的に格子状に配置され、1枚でフルカラーの変調光を射出することが可能な単板の液晶ライトバルブを用いる構成であっても良い。また、反射型液晶表示装置や、ティルトミラーデバイスを用いる構成としても良い。
これらの構成であっても、前記実施形態および変形例と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
(変形例6)
図1を用いて説明する。前記各実施形態および変形例において、プロジェクター100およびプロジェクター200は、光源として放電式ランプを用いているが、これに限らず、LEDやレーザーなどの固体光源を光源に用いてもよい。
【0060】
(変形例7)
図1を用いて説明する。前記各実施形態および変形例において、本発明の映像ソース選択方法をフロント型のプロジェクター100およびプロジェクター200に適用した例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、リア型のプロジェクションテレビ、液晶テレビ、プラズマテレビ、CRTテレビ、パーソナルコンピューターモニター、有機ELディスプレイ、その他各種の映像表示装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
51…光源部としてのランプ、52R,52G,52B…表示部および光変調素子としての液晶ライトバルブ、53…操作部、54…操作部としてのリモコン、55…操作受付部、56a,56b…入力セレクター、57a,57b…識別部、58a,58b…映像コンバーター、59…映像信号処理部、60…フレームメモリー、61…映像信号補正部、62…OSDメモリー、63…液晶パネル駆動部、64…光学部、65…投写レンズ、66…制御部、67…記憶部、68…電源部、69…ランプ駆動部、71,72…ダイクロイック膜、73…クロスダイクロイックプリズム、80…外部電源、100…プロジェクター、T1〜T6…入力端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号にて表される映像を表示部に表示する映像表示装置であって、
複数の映像ソースから供給される前記映像信号を、前記映像信号ごとに入力するための複数の入力端子と、
前記複数の入力端子から所望の入力端子を選択する入力セレクターと、
前記選択された入力端子に、前記映像信号が入力されているか否かを識別する識別部と、
前記入力セレクターが選択した、少なくとも2つの入力端子から入力された前記映像信号を、1つの画像に合成する複数画像合成処理を行う映像信号処理部と、
前記複数画像合成処理を開始および終了するための操作を受け付ける操作部と、
を備え、
前記操作部により前記複数画像合成処理を開始するための操作がなされると、前記入力セレクターは前記複数の入力端子を所定の順に選択し、前記識別部は前記選択された入力端子における前記映像信号の入力の有無を識別し、前記識別部により前記映像信号の入力が確認された入力端子からの映像信号による映像を、前記合成画像の1つとして前記表示部に表示することを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示装置であって、さらに、前記複数画像合成処理を終了した際に選択されていた入力端子を記憶する記憶部を備え、
前記入力セレクターは、前記操作部により前記複数画像合成処理を開始するための操作がなされると、前記記憶部に記憶されている前記入力端子を優先的に選択することを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の映像表示装置であって、さらに、少なくとも2つの入力端子の組み合わせについて2画面表示可能か否かを判別する判別手段を備え、
前記入力セレクターにより前記複数の入力端子を選択する場合に、前記判別手段により、他の画面に選択された入力端子との組み合わせについて複数画面表示が可能か否かを判別し、前記入力セレクターは複数画面表示が可能な入力端子を選択することを特徴とする映像表示装置。
【請求項4】
映像信号にて表される映像を表示する映像表示方法であって、
複数の映像ソースから供給される前記映像信号が入力される複数の入力端子を、所定の順に選択し、
前記選択された入力端子に、前記映像信号が入力されているか否かを識別し、
前記映像信号の入力が確認された、少なくとも2つの入力端子から入力された前記映像信号による映像を、1つの画像に合成して表示することを特徴とする映像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−205419(P2011−205419A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71016(P2010−71016)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】