説明

映像記録装置及び映像記録方法

【課題】記録容量を増加させることなく高速に記録フォーマット変換を行うことができるようにする。
【解決手段】複数の記録フォーマットに対応した映像記録装置において、動画像の記録時に2つの記録フォーマット処理を実行し、一方の記録フォーマットによる符号化データ内に、他方の記録フォーマットによる変換支援情報を多重化して記録することで、微小なデータ量の増加で、容易且つ高速な記録フォーマット変換を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像記録装置及び映像記録方法に関し、特に、圧縮動画のフォーマット変換に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
今日のディジタル・スチル・カメラには動画撮影機能が一般的に搭載されるようになっており、映像符号化方式には、MPEG−4 AVC(ISO/IEC 14496−10)の採用が進んでいる。その動画データの記録フォーマットとして、MPEG−4システム規格(ISO/IEC 14496−1)で規定されているMP4形式が広く普及している。
【0003】
一方、ディジタル・ビデオ・カメラにおいても、MPEG−4 AVCが用いられ、AVCHD(Advanced Vide Coding High Definition)規格が広く普及している。AVCHD規格では、記録フォーマットとしてMPEG−2 TS形式を採用している。ディジタル・スチル・カメラにおいてもAVCHD規格の採用が進んでおり、MP4形式とMPEG−2 TS形式の両形式を選択的に記録可能な機種も登場している。
【0004】
一般に、MP4形式等のファイル・ベースの記録フォーマットは、主にPC(パーソナルコンピュータ)による閲覧が前提となる。また、MPEG−2 TS形式等のストリーム・ベースの記録フォーマットは、ディジタル放送に対応したビデオ・プレーヤ等に代表される動画再生機器による閲覧が前提となる。
【0005】
MP4形式は、保存する記録メディアを選ばない反面、MPEG−4 AVCをリアルタイムに復号化可能なハイスペックなPCに限定される。一方、MPEG−2 TS形式は、記録メディアを再生環境の普及しているDVD(Digital Versatile Disc)やBlu−rayディスク等に限定される。しかしながら、手軽に動画再生機器による再生が可能となり、再生環境に対する限定が少ないと言える。ユーザーは、閲覧する再生環境に応じて記録フォーマットを選択することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−076175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、ファイル・ベースの記録フォーマットとストリーム・ベースの記録フォーマットとで再生環境は保存する記録メディアの観点からそれぞれメリット・デメリットがある。このため、一度記録した記録フォーマット・データに対して任意の記録フォーマットへの変換が行えることが望ましい。
【0008】
しかしながら、記録フォーマット変換処理は、各記録フォーマット特有の情報やパケット処理等を必要とするため変換に伴う処理時間が懸念される。こうした課題を解決するための記録方法が提案されている。特許文献1では、同一コンテンツに対して異なる2つの記録フォーマットで記録を行い、それぞれの記録フォーマット・データを1つのデータとして管理する方法が提案されている。
【0009】
特許文献1にて提案されている方法では、記録フォーマット変換処理が不要になる反面、本来1つのコンテンツであるデータに対して約2倍のデータ容量が必要になるという課題が生じる問題点があった。
本発明は前述の問題点に鑑み、記録容量を増加させることなく高速に記録フォーマット変換を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の映像記録装置は、映像符号化データを複数の記録フォーマットから選択的に記録可能に構成されているとともに、相互に記録フォーマットの変換が可能な映像記録装置であって、入力された映像信号を符号化し、映像符号化データを生成する符号化手段と、前記映像符号化データに対する第1の記録フォーマットを指定する記録フォーマット指定手段と、前記映像符号化データに対して第1の記録フォーマット処理を行う記録フォーマット処理手段と、前記第1の記録フォーマットとは異なる第2の記録フォーマットへの変換を支援するための情報を生成する記録フォーマット変換支援情報生成手段と、前記第1の記録フォーマットに対して前記記録フォーマット変換支援情報を多重化する記録フォーマット変換支援情報多重化手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、実際に記録する記録フォーマット・データに対して異なる記録フォーマットに対する記録フォーマット変換支援情報を多重化して記録するようにしたので、微小なデータ量の増加で容易に、且つ高速なフォーマット変換処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に関わる映像記録装置の構成を示すブロック図である。
【図2】記録モード画面を示すイメージ図である。
【図3】NALユニットを示す図である。
【図4】MP4形式のデータ構造を示す図である。
【図5】MPEG−2 TS形式のデータ構造を示す図である。
【図6】MPEG−2 TS変換支援情報の多重化方法を示すフローチャートである。
【図7】MPEG−2 TS変換支援情報及びその多重化例を示す図である。
【図8】MP4形式・MPEG−2 TS形式変換を示すイメージ図である。
【図9】MP4変換支援情報の多重化方法を示すフローチャートである。
【図10】MP4変換支援情報及びその多重化例を示す図である。
【図11】MPEG−2 TS形式・MP4形式変換を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用可能な第1の実施形態である映像記録装置の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態の映像記録装置100は、映像符号化データを複数の記録フォーマットから選択的に記録可能に構成されているとともに、相互に記録フォーマットの変換が可能に構成されている。
【0014】
操作部101は、映像記録装置100に対するコントローラーであり、電源のON・OFF、記録開始・停止を指示する操作キーに加えて、各種設定を行うためのメニュー・ボタンが含まれる。CPU102は、ユーザー操作により操作部101から送信される信号に基づいて映像記録装置100を構成する各処理部を制御する。
【0015】
映像処理部103は、入力された映像信号を映像符号化部104へ供給すると共に、入力された映像信号のモニター映像出力を行う。また、映像信号に対して任意の文字情報や図形情報を重畳可能な図示されないOSD(オン・スクリーン・ディスプレイ)処理部を内蔵し、映像出力に対してOSDを多重表示可能となっている。
【0016】
映像符号化部104は、映像処理部103から供給される映像信号に対してMPEG−4 AVC(ISO/IEC 14496−10)方式で符号化を行う処理部であり、その構成は一般的なものであるため詳細な説明は省略する。なお、符号化方式はMPEG−2方式(ISO/IEC13818−2)であってもよい。
【0017】
記録フォーマット処理部105は、映像符号化部104から供給される符号化データに対して記録フォーマット処理を行う処理部である。本実施形態の記録フォーマット処理部105は、MPEG−2 TS(トランスポート・ストリーム)形式(第1の記録フォーマット)または、MP4形式(第2の記録フォーマット)の2種類の記録フォーマット処理が可能となっている。CPU102は、映像符号化データに対する記録フォーマットとして、ユーザーが操作部101を操作して指定した記録フォーマットを指定する記録フォーマット指定処理を行う。
【0018】
図2は、操作部101のメニュー・ボタンにより呼び出し可能な記録モード設定画面であり、映像処理部103により映像出力される。図2に示す「記録フォーマット」項目の「MP4」は、MP4形式を示す。「MTS」は、MPEG−2 TS形式を示しており、ユーザーが指定した記録フォーマットに従って第1の記録フォーマット処理が行われ、記録フォーマット化された符号化データは記録フォーマット変換支援情報多重化部107へ供給される。
【0019】
記録フォーマット変換支援情報生成部106は、記録フォーマット処理部105へ指定された記録フォーマットとは異なるもう片方の記録フォーマットへ変換するための記録フォーマット変換支援情報を生成する処理部である。記録フォーマット処理部105が符号化データを含む記録フォーマット・データを生成するのに対し、記録フォーマット変換支援情報生成部106では、符号化データを含まない記録フォーマット依存情報のみを生成する。そして、記録フォーマット変換支援情報を記録フォーマット変換支援情報多重化部107へ供給する。
【0020】
記録フォーマット変換支援情報多重化部107では、記録フォーマット処理部105から供給される記録フォーマット化された符号化データに対して、記録フォーマット変換支援情報生成部106から供給される記録フォーマット変換支援情報を多重化する。図2に示す記録モード設定において「記録フォーマット変換支援情報」が「ON」に設定された場合に記録フォーマット変換支援情報の多重化を行い、符号化データを記憶媒体108へ記録する。
【0021】
「記録フォーマット変換支援情報」が「OFF」に設定された場合は、記録フォーマット処理部105から供給される記録フォーマット化された符号化データをそのまま記憶媒体108へ記録する。ここで記憶媒体108は、不揮発性メモリやHDD(ハードディスク・ドライブ)などで構成されている。
以上の処理部により映像記録装置100が構成されている。
【0022】
続いて、記録フォーマット変換支援情報生成部106で生成される記録フォーマット変換支援情報と、記録フォーマット変換支援情報多重化部107での多重化方法について説明を行う。
まず、始めにMP4形式及びMPEG−2 TS形式で共通となるMPEG−4 AVC方式による符号化データの構造について説明を行う。
【0023】
MPEG−4 AVCでは、様々なネットワークでの利用が考慮されている。このため、映像符号化処理を扱うビデオ符号化層(VCL:Video Coding Layer)と実際の伝送・蓄積のシステムとの間にネットワーク抽象化層(NAL:Network Abstraction Layer)が規定されている。NALは、NALヘッダとRBSP(Row Byte Sequence Payload)から構成されるNALユニットと呼ばれる単位でパケット化される。
【0024】
NALヘッダによりNALユニットの種類と参照画像かどうかを識別できるようになっており、続くRBSPに実際の符号化データが格納される(図3(a))。NALユニットの種類は、図3(b)に示すように定義されており、主に映像符号化データ(スライス)、映像符号化データのシーケンスに関する情報であるSPS(Sequence Parameter Set)。映像符号化データのピクチャに関する情報であるPPS(Picture Parameter Set)。映像符号化データの付加情報であるSEI(Supplemental Enhancement Information)等がある。これらのNALユニットが映像符号化部104により生成される各記録フォーマットに共通となる符号化データとなる。
【0025】
続いて、MP4形式の記録フォーマットについて説明を行う。
図4は、MP4形式の記録フォーマット構造の概要を示しており、図4(a)に示すように、先頭にftypと呼ばれるMP4形式であることを識別するための情報を含むヘッダが配置される。続くデータ領域は、「Atom」と呼ばれるデータ構造にパッキングして記録される。各Atomの先頭には、図4(b)に示すように定義される共通のヘッダ情報が付加される。「size」は、Atomのデータ長を示す。「type」は、Atomの種類を示し、各Atomに対して割り当てられている4文字の識別子がセットされる。「data」は、Atomが内包するデータの実体であり、その内容はtypeによって異なる。
【0026】
図4(a)で示されるように、MP4形式では、Atom構成は、2つで構成されている。1つは、「Movie Atom」(typeフィールドの値は‘moov’)と呼ばれる映像(または音声)の管理情報を格納するためのAtomである。他の1つは、映像(または音声)データを格納する「Media Data Atom」(typeフィールドの値は‘mdat’)と呼ばれるAtomである。moovは、MP4データ全体の共通となるヘッダ情報となるmvhdと映像(または音声)データの各トラックのヘッダ情報となる個別のtrakから構成されており、各トラックは、各trak内のtkhdに示されるトラックIDによって識別可能となっている。
【0027】
Media Data Atomに格納される映像(または音声)データは、「チャンク」と呼ばれる論理的に分割されたデータブロックに格納される。各チャンクは、時間的に連続するサンプルデータから構成されている。図4(c)に示すように、図3(a)で示した各NALユニットにNALユニットのデータサイズをLengthとして付加し、継続時間やフレームといった単位で分割された符号化データの連続で構成される。
【0028】
次に、MPEG−2 TS形式の記録フォーマットについて説明を行う。
図5は、MPEG−2 TS形式の記録フォーマット構造の概要を示しており、1パケット188バイトで構成されるトランスポート・パケットの連続で構成される。トランスポート・パケットは、4バイトのパケットヘッダと184バイトのデータバイトから構成されている。パケットヘッダは、0x47で始まる8ビットのシンク・バイトで始まる。データバイトの内容を示すパケット識別子となる13ビットのPIDや、データバイト内のペイロード、アダプテーション・フィールドの構成を示すアダプテーション・フィールド・コントロール等を含んでいる。これにより、トランスポート・パケットの内容を識別できるようになっている。
【0029】
トランスポート・パケットとしてパケット化されるデータの種類として主にPSI(Program Specific Information)。時刻情報であるPCR(Program Clock Reference)。映像(または音声)データがある。PSIには、プログラムを構成する映像データのPID値を指定するプログラム・マップ・テーブル(PMT)や、プログラム番号とPMTを含むトランスポート・パケットのPIDとの関連付けを示すプログラム・アソシエーション・テーブル(PAT)等がある。PATのPIDへは、0x00割り当てられている。
【0030】
MPEG−2 TS形式のデータを復号化する場合には、まずPID=0x00のトランスポート・パケット(PAT)から、プログラム番号と関連付けされたPMTのPIDを検出する。続いて、対象とするプログラム番号のPIDとなるトランスポートパケット(PMT)からプログラム番号に対応する映像(または音声)データのPIDを検出することで、映像(または音声)データを含むトランスポート・パケットを識別することが可能となる。
【0031】
PCRは、27MHzの分解能を持つ復号化処理のための基準クロックであり、100ms間隔で多重化されることが推奨されている。映像データは、図3(a)で示した各NALユニットに「start_code_prefix_one_3bytes(=0x000001)」と呼ばれるシンク・コードを付加した「バイトストリーム」形式にした符号化データにPTSまたはDTS等のタイムスタンプを含むPESヘッダを付加する。そして、PES化された符号化データを184バイト単位に分割し、トランスポート・パケット化する。こうして、トランスポート・パケット化された映像データにPSI、PCRパケットを所定単位時間に多重化することでMPEG−2 TS形式の記録フォーマットが構成される。ここで、PTSはPresentation Time Stampである。DTSはDecoding Time Stampである。PESはPacketized Elementary Streamである。
【0032】
記録フォーマット処理部105では、図3(a)に示すNALユニットで構成される符号化データに対して、上記に示したMP4形式またはMPEG−2 TS形式の記録フォーマット処理が可能となっている。一方、記録フォーマット変換支援情報生成部106は、記録フォーマット処理部105で処理を行う記録フォーマットとは異なるもう片方の記録フォーマット処理を行うが、映像データの実体となるNALユニットデータを除く記録フォーマット・データの生成を行う。
【0033】
記録フォーマット処理部105に指定された記録フォーマットはMP4形式である。「記録フォーマット変換支援情報」が「ON」に設定された場合の記録フォーマット変換支援情報多重化部107における多重化方法について図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。CPU102は、映像記録装置100を構成する各処理部を制御する。
【0034】
ユーザーにより操作部101から記録開始が指示されると映像符号化部104では、映像処理部103より入力される映像信号に対して符号化を行う(S601)。続いて記録フォーマット処理部105では、図4(a)に示すように符号化データに対してMP4形式の記録フォーマット処理が行われる(S602)。
【0035】
ここでは、「記録フォーマット変換支援情報」が「ON」に設定されているため(S603)、同時に記録フォーマット変換支援情報生成部106では、MPEG−2 TS形式での記録フォーマット処理を行う。そして、図7(a)に示すように映像データを含まないMPEG−2 TS形式記録フォーマット情報、即ちMPEG−2 TS変換支援情報を生成する(S604)。
【0036】
記録フォーマット変換支援情報多重化部107では、図7(b)に示すように、MP4形式の記録フォーマット・データに対し、MPEG−2 TS変換支援情報を記録フォーマット変換支援情報チャンクとして多重化する。MP4形式の記録フォーマット・データは、記録フォーマット処理部105から入力される。また、MPEG−2 TS変換支援情報は、記録フォーマット変換支援情報生成部106から入力される。
【0037】
こうして生成されたMP4形式の記録フォーマット・データを記憶媒体108へ記録する(S605)。一方、S603において、「記録フォーマット変換支援情報」が「OFF」に設定されている場合は、記録フォーマット処理部105で生成されたMP4形式の記録フォーマット・データがそのまま記憶媒体108へ記録される(S606)。以上の処理をユーザーにより操作部101から記録停止が指示されるまで繰り返される(S607)。
【0038】
以上のようにMP4形式の記録フォーマット・データにMPEG−2 TS変換支援情報を多重化して記録する。このように記録することで、図8に示すようにMP4形式からMPEG−2 TS形式へ変換する場合に、PSIパケット、PCRパケットの生成多重化を行う必要がなくなる。そして、映像チャンクから抽出した映像データをMPEG−2 TS変換支援情報に対してPESパケットとして184バイト単位に分割して挿入することで容易かつ高速に記録フォーマット変換を行うことが可能となる。
【0039】
第1の記録フォーマットが、MPEG−2 TS形式でない場合、前記記録フォーマット変換支援情報は、プログラム識別情報、クロック情報、またはトランスポート・パケット多重化パターンの何れか1つ、または全てを含むこととする。
【0040】
(第2の実施形態)
本発明を適用可能な第2の実施形態である映像記録装置は、第1の実施形態で示した映像記録装置100と構成は同様であり、その概略構成を示すブロック図に関しては図1を流用する。記録フォーマット処理部105に指定された記録フォーマットが、MPEG−2 TS形式である。「記録フォーマット変換支援情報」が「ON」に設定された場合の記録フォーマット変換支援情報多重化部107における多重化方法について図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0041】
ユーザーにより、操作部101から記録開始が指示されると、映像符号化部104では、映像処理部103より入力される映像信号に対して符号化を行う(S901)。続いて、記録フォーマット処理部105では、図5に示すように符号化データに対してMPEG−2 TS形式の記録フォーマット処理が行われる(S902)。
【0042】
ここでは、「記録フォーマット変換支援情報」が「ON」に設定されている(S903)。このため、記録フォーマット変換支援情報生成部106では、MP4形式での記録フォーマット処理を行い、図10(a)に示すように映像データを含まないMP4形式記録フォーマット情報、即ちMP4変換支援情報を生成する(S904)。
【0043】
記録フォーマット変換支援情報多重化部107では、図10(b)に示すように、MPEG−2 TS形式の記録フォーマット・データに対し、MP4変換支援情報を184バイト単位に分割する。そして、MP4変換支援情報に対するPIDを付加したトランスポート・パケットを生成する。生成されたMP4変換支援情報パケットをMPEG−2 TS形式のデータに多重化する。前述のMPEG−2 TS形式の記録フォーマット・データは、記録フォーマット処理部105から入力される。また、MP4変換支援情報は、記録フォーマット変換支援情報生成部106から入力される。
【0044】
こうして生成されたMPEG−2 TS形式の記録フォーマット・データを記憶媒体108へ記録する(S905)。一方、S903において、「記録フォーマット変換支援情報」が「OFF」に設定されている場合は、記録フォーマット処理部105で生成されたMPEG−2 TS形式の記録フォーマット・データがそのまま記憶媒体108へ記録される(S906)。以上の処理をユーザーにより操作部101から記録停止が指示されるまで繰り返される(S907)。
【0045】
以上のように、MPEG−2 TS形式の記録フォーマット・データにMP4変換支援情報をトランスポート・パケットとして多重化して記録する。これにより、MPEG−2 TS形式からMP4形式へ変換する場合に、図11に示すようにMP4変換支援情報に対するPIDを付加したトランスポート・パケットを抽出してMP4変換支援情報を復元する。そして、映像データパケットから映像データを抽出し、映像チャンクへ挿入することで容易かつ高速に記録フォーマット変換を行うことが可能となる。
【0046】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワークまたは各種のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0047】
101 操作部、102 CPU、103 映像処理部、104 映像符号化部、105 記録フォーマット処理部、106 記録フォーマット変換支援情報生成部、107 記録フォーマット変換支援情報多重化部、108 記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像符号化データを複数の記録フォーマットから選択的に記録可能であり、且つ、相互に記録フォーマットの変換が可能な映像記録装置であって、
映像信号を符号化し、映像符号化データを生成する符号化手段と、
前記映像符号化データに対する第1の記録フォーマットを指定する記録フォーマット指定手段と、
前記映像符号化データに対して第1の記録フォーマット処理を行う記録フォーマット処理手段と、
前記第1の記録フォーマットとは異なる第2の記録フォーマットへの変換を支援するための情報を生成する記録フォーマット変換支援情報生成手段と、
前記第1の記録フォーマットに対して前記記録フォーマット変換支援情報を多重化する記録フォーマット変換支援情報多重化手段とを備えることを特徴とする映像記録装置。
【請求項2】
前記第1の記録フォーマット及び第2の記録フォーマットの内、片方はMPEG−2 TS形式であることを特徴とする請求項1に記載の映像記録装置。
【請求項3】
前記第1の記録フォーマットが、MPEG−2 TS形式である場合、前記記録フォーマット変換支援情報多重化手段は、前記記録フォーマット変換支援情報をトランスポート・パケットとして多重化することが可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の映像記録装置。
【請求項4】
前記第1の記録フォーマットが、MPEG−2 TS形式でない場合、前記記録フォーマット変換支援情報は、プログラム識別情報、クロック情報、またはトランスポート・パケット多重化パターンの何れか、または全てを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の映像記録装置。
【請求項5】
映像符号化データを複数の記録フォーマットから選択的に記録するとともに、相互に記録フォーマットの変換が可能な映像記録方法であって、
入力された映像信号を符号化し、映像符号化データを生成する符号化工程と、
前記映像符号化データに対する第1の記録フォーマットを指定する記録フォーマット指定工程と、
前記映像符号化データに対して第1の記録フォーマット処理を行う記録フォーマット処理工程と、
前記第1の記録フォーマットとは異なる第2の記録フォーマットへの変換を支援するための情報を生成する記録フォーマット変換支援情報生成工程と、
前記第1の記録フォーマットに対して前記記録フォーマット変換支援情報を多重化する記録フォーマット変換支援情報多重化工程とを備えることを特徴とする映像記録方法。
【請求項6】
前記第1の記録フォーマット及び第2の記録フォーマットの内、片方はMPEG−2 TS形式であることを特徴とする請求項5に記載の映像記録方法。
【請求項7】
前記第1の記録フォーマットが、MPEG−2 TS形式である場合、前記記録フォーマット変換支援情報多重化工程は、前記記録フォーマット変換支援情報をトランスポート・パケットとして多重化することが可能であることを特徴とする請求項5または6に記載の映像記録方法。
【請求項8】
前記第1の記録フォーマットが、MPEG−2 TS形式でない場合、前記記録フォーマット変換支援情報は、プログラム識別情報、クロック情報、またはトランスポート・パケット多重化パターンの何れか、または全てを含むことを特徴とする請求項5または6に記載の映像記録方法。
【請求項9】
映像符号化データを複数の記録フォーマットから選択的に記録するとともに、相互に記録フォーマットの変換が可能な映像記録方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
入力された映像信号を符号化し、映像符号化データを生成する符号化工程と、
前記映像符号化データに対する第1の記録フォーマットを指定する記録フォーマット指定工程と、
前記映像符号化データに対して第1の記録フォーマット処理を行う記録フォーマット処理工程と、
前記第1の記録フォーマットとは異なる第2の記録フォーマットへの変換を支援するための情報を生成する記録フォーマット変換支援情報生成工程と、
前記第1の記録フォーマットに対して前記記録フォーマット変換支援情報を多重化する記録フォーマット変換支援情報多重化工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−93755(P2013−93755A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234807(P2011−234807)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】