説明

春雨

【課題】従来の春雨の製造設備をそのまま利用することができ、春雨に、いわゆる「コシ、粘り」と呼ばれる食感を付与し、ラーメンやうどん類と同様の「モチモチ感」を実現し、しかも調理後も伸びない物性の春雨を実現するものであり、さらに、春雨自体が味を有するように味つけを可能とすることを課題とするものである。
【解決手段】0.05〜3.0重量%タンパク質及び0.5〜30.0重量%の食用植物を導入することにより春雨を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、春雨を製造する際にタンパク質及び食用植物を混合することにより、品質の向上した春雨に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラーメン、うどん等の通常の麺は、原料である麺粉に水分を加えて混練し、熟成してから、麺に成形した後で、用途に応じて乾燥したり、油で揚げたりするものである。
【0003】
このような工程が必要な通常の麺に較べて、春雨はその生産効率がきわめて良いというメリットを有している。即ち、澱粉に水を加えて混合し、成形して熱湯に投入し、乾燥することで製造できるので、工程が簡単で、低コストであるという利点を有する。また、油で揚げる工程を経ないため栄養学的にも優れた特性を有し、近年の健康志向を背景に、春雨を、インスタントラーメンと同様に調理した食品が市販され始めている。
【0004】
しかし、春雨にはいわゆる「ノビ」といったような調理後の麺線の経時変化が大きく、また、製造工程上、熱湯にて直接麺線を加熱する工程を経るため、麺線自体にあらかじめ味を含ませておく事が困難であるといった欠点があった。これらのデメリットは春雨の市場規模拡大の障害となっており、技術開発が待たれていた。
【0005】
従来、ラーメン、うどん、そば等の麺類においては、食感及び味の向上、栄養の補強等を目的とした技術は多数存在するが、春雨に関してはほとんど見当たらない。
【0006】
例えば、エタノールおよび焼成カルシウムを添加し、グルテニンを添加した小麦粉を用いて、スパゲッティなどの生パスタを製造する技術は公知である(特許文献1参照)。又、小麦粉にアルギン酸類およびアルカリ剤を添加すると共に、更に活性グルテン、加工澱粉、卵白、乳化剤及びガム類を添加配合し、水又は熱湯を加えて混練後、麺線を成形することを特徴とする生パスタ類およびその製造方法が公知である(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−295299号公報
【特許文献2】特開2000−83610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の春雨は、前述のとおり澱粉主体で製造され独特の食感を有しているが、一般的に弾性が強く粘りがないので、伸ばすと簡単に切れてしまい、いわゆる「コシ、粘り」という食感に乏しい。さらに、春雨は、一般的に水分を吸収しやすいという性質があり、そのため従来の春雨は、時間の経過とともに水分を吸収して伸びきった状態になりやすく、おいしい麺の条件であるコシ、粘りがないという、麺としては致命的な問題があった。
【0008】
又、一般的に春雨は味がなく、生地に糖等の味を引き出す添加剤を加えても、春雨製造の茹で工程において、湯中に溶け出して麺より失われてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決することを目的とするものであり、従来の春雨の製造設備及び製造工程をそのまま利用し、春雨のメリットである生産効率が良く栄養学的特性にも優れるという点は維持しながら、食感及び味を改良することを課題とするものである。
【0010】
食感については、いわゆる「コシ、粘り」と呼ばれる食感を付与し、ラーメンやうどん類と同様の「モチモチ感」を実現し、しかも調理後も伸びないという物性を有する春雨を実現することを課題とするものである。味については、春雨と一緒に食するスープでしか味を付けられないのではなく、春雨自体に呈味性を持たせることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を解決するために、タンパク質を0.05〜3.0重量%含有し、食感と味成分の保持特性を改善した事を特徴とする春雨を提供する。このタンパク質は、動物性タンパク質である事が好ましい。
【0012】
本発明は上記課題を解決するために、タンパク質を0.05〜3.0重量%及び0.5〜30.0重量%の食用植物を含有し、食感と味成分の保持特性を改善するとともに呈味性を向上した事を特徴とする春雨。この食用植物は、生地に均一に混合する必要があるため、ペースト、粉末又は汁状である事が好ましい。また、食用植物は、炭水化物を7.0重量%以上含む事が好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上の構成から成る本発明に係る春雨及びその製造方法によると、次のような効果が生じる。
(1)タンパク質を添加して春雨を製造したので、いわゆる「コシ、粘り」と呼ばれる食感が付与され、ラーメンやうどん類と同様の「モチモチ感」を実現できる。さらに、調理後、いわゆる「麺が伸びてしまう」ことが従来の春雨に較べて少なくなり、調理後もコシ、粘りを比較的長く維持することができる。
【0014】
(2)従来、春雨は無味であることが常識であったが、原料である生地にタンパク質を配合することで、春雨それ自体に味の保持能力を付与することができ、さらに、食用植物を添加することで呈味性を有する春雨を得ることができる。
【0015】
(3)従来の春雨製造設備及び製造工程をそのまま利用でき、即席ラーメンの製造に較べて、生地の混練、熟成、揚げ(フライ麺等の場合)の工程が不要であるから、低コストで生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る春雨を製造するための最良の形態を実施例に基づいて図面を参照して以下に説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明に係る春雨は、タンパク質を、春雨全重量に対し0.05重量%〜3.0重量%配合(この重量%は最終の乾燥春雨に対する重量比である。本願の明細書及び図面に記載されている重量%は、同様に最終の乾燥春雨に対する重量比である。)することにより、いわゆる「コシ、粘り」と呼ばれる食感が生じ、ラーメンやうどんと同様のいわゆる「モチモチ感」を付与されている。さらに、添加されたタンパク質により呈味成分の保持が可能となり、従来、無味とされていた春雨に味つけされ、味の点でも改善される。
【0018】
本発明における春雨の製造方法は定法によればよい。一般的な製造工程は次のとおりである。なお、乾燥工程を経ずにいわゆる生春雨として商品化が可能である事は論を待たない。
(1)澱粉、タンパク質及び水を容器内に入れて混合し、澱粉を主体とする生地を得る。(2)このようにして得られた澱粉を主体とする生地を、麺線に成形して沸騰した熱湯中に投入して麺を形成する。
(3)湯中から春雨を取り出して、乾燥する。この乾燥は自然乾燥でも、加熱乾燥でもよい。
【0019】
前述のとおり、本発明は、配合中にタンパク質を導入することにより、春雨の品質を画期的に向上させるものである。ここで、加えるべきタンパク質は、精製の有無を問わず、好ましくは動物性タンパク質が良い。また、タンパク質は、凍結もしくは凍結乾燥、有機溶媒による沈殿等のような保存のための処理が施されている形態でも構わない。
【0020】
本発明では、生地にタンパク質を添加するが、タンパク質の添加量は、0.05重量%〜3.0重量%の範囲内であることが好ましい。このタンパク質の添加量は、用途(ラーメン用、うどん用等)や好みに応じて調整すればよい。上記範囲を超える添加量ではコシや粘り等はさらに大きくなるが、余り多すぎると、春雨全体が固くなりまた湯で戻り難くなるため、所望の品質の範囲を超えるものであり、経済的なメリットが失われる。タンパク質の添加量が上記範囲より少ないと、品質改善効果は生じない。
【0021】
本発明において生地にタンパク質を混合することにより得られる食感は、次のとおりである。
(1)いわゆる「コシ、粘り」と呼ばれる食感(麺の弾力性、咬み応え)の付与
(2)調理後の食感の持続(伸びにくい麺)
【0022】
本発明者は、本発明に関する研究開発の過程で、食感を左右する春雨の物性が、タンパク質の添加量、タンパク質の種類等の条件でどのように変化するかについて各種の試験を実施した。この試験の結果、本発明者は、生地に対するタンパク質の添加量、種類等の条件で春雨の物性が異なる、という知見を得た。以下、この点について説明する。
【0023】
(タンパク質の添加量と麺の物性の関係)
図1は、タンパク質の添加量と麺の物性の関係の試験結果を示す図である。具体的には、生地にタンパク質を添加して製造した本発明の春雨について、引張試験(弾力の指標の試験)(試験結果は図1(a)参照)、及び1バイトによる破断試験(咬み応えの指標の試験)(試験結果は図1(b)参照)を行った。これらの物性の測定試験では、TAKETOMO製の「テンシプレッサーTTP−50BX」を使用した。
【0024】
なお、本発明のタンパク質の添加量は、前述のとおり0.05重量%〜3.0重量%の範囲内であるが、この試験では、タンパク質を加えたこと及びその添加量による春雨の物性の変化を確認するために、その範囲内のうち特に0.0%〜1.0重量%の範囲について試験結果を示した。この範囲を超えても、図示はしないが、同様の傾向を示している。
【0025】
図1(a)は、タンパク質の添加量を変えて製造した春雨に、それぞれ引っ張り応力を与えて、断裂までの最大応力および伸びの長さを測定して物性の比較を行った引張試験の結果である。この図でも明らかなとおり、タンパク質を加え、そしてその添加量を増加すると、最大応力及び伸びともに徐々に増加し、春雨に弾力性、粘りが付与されることが確認できた。
【0026】
図1(b)は、破断試験の結果を示す図である。この破断試験では、タンパク質の添加量を変えて製造した春雨に、プランジャーの1バイト(プランジャーにより破断具に春雨を切断する方向の力を1回加える意味。)で剪断力を加え、破断するまでの最大応力(破断応力)を測定した。この図でも明らかなとおり、タンパク質を少量でも添加することで、破断応力が増加し、これにより春雨に「咬み応え」が付与されることが確認できた。
【0027】
(タンパク質の種類と物性との関係)
図2は、タンパク質の種類と物性との関係についての試験結果を示す図である。生地に、4種類の異なったタンパク質それぞれを1.0重量%を添加して4種類の異なった春雨を製造し、タンパク質が無添加の春雨も加え、5種類の春雨について引張試験を行った。
【0028】
4種類のタンパク質としてはグルテン、大豆たん白、乾燥卵白、鶏肉を使用した。なお、この引張試験の方法は、前述の「タンパク質の添加量と麺の物性の関係」に係る試験と同じ測定機器で同様の試験方法であり、断裂までの最大応力と伸びを測定した。
【0029】
図2で明らかなように、生地に添加するタンパク質として乾燥卵白及び鶏肉を使用した 場合、断裂までの最大応力は、無添加の場合に較べて2〜3倍に増加した。これにより、添加するタンパク質は、動物性タンパク質が好ましいことが確認できた。
【0030】
(調理後の吸水率への影響)
図3は、調理後の吸水率への影響を示す試験結果を示す図である。この試験では、生地にタンパク質を、添加率で0.0%(無添加)、0.5重量%、1.0重量%を添加して製造した3種類の春雨について、通常の調理で行うように湯で茹でてから(湯戻し後)、吸水率の測定のために温水中に放置し、重量を測定して、増加分を吸水量とし吸水率を算出した。
【0031】
この図3で明らかなように、タンパク質を添加していない場合(0.0%)に較べて、タンパク質を1.0重量%添加した場合には、吸水率が顕著に減少している。よって、本発明によるタンパク質を添加した春雨は、調理後の伸びが少ないので、調理後時間が若干経過しても食感を保持できるという効果が生じる。
【0032】
(調理時間への影響)
なお、図3では0−5分まで吸水速度に差が見られない事から、湯戻し調理の速度にはタンパク質の影響が少ない事をもあらわしている。
【0033】
(調理後の時間経過と物性の関係)
図4は、調理後の時間経過と物性の関係を示す試験結果を示す図である。具体的には、この試験では、タンパク質を添加しない春雨(図4中の無添加区)と、0.5重量%添加して製造した春雨(図4中の添加区)の2種類の春雨について、調理後、即ち、通常の調理と同様に湯で茹でてから(湯戻し後)、引張試験(弾力試験)及び破断試験(咬み応えの指標)を、10分毎に60分まで経時的に行った。なお引張試験及び破断試験の方法は、前述の「タンパク質の添加量と麺の物性の関係」に係る試験方法と同じである。
【0034】
図4(a)は、引っ張り試験の結果であり、タンパク質を添加しない春雨及び添加した春雨は、共に調理後15分程度まで最大応力が低下するが、それ以降は、経時的にほぼ一定である。しかし、タンパク質を添加しない春雨に較べて、タンパク質を添加した春雨は、より高い最大応力、即ち弾力性を維持できることが確認できた。
【0035】
図4(b)は、破断試験の結果であり、タンパク質を添加しない春雨及び添加した春雨は、共に調理後20分程度まで最大応力が低下するが、それ以降は、経時的にほぼ一定である。しかし、タンパク質を添加しない春雨に較べて、タンパク質を添加した春雨は、より高い破断応力を維持することができ、調理後でも咬み応えを維持できることが確認できた。
【0036】
以上のとおり実施例1では、生地に対するタンパク質の添加量、種類等の条件で変化する春雨の物性について説明したが、その結果、冒頭に述べたように、本発明の春雨は、タンパク質を混合することにより、コシ、粘りと呼ばれる食感(麺の弾力性、咬み応え)が得られ、調理後も伸びにくいのでこれらの食感が持続するということが確認できた。
【0037】
次に、本発明の春雨の実際の食品としての応用の可能性を確認するために、市販のラーメン及びうどんのそれぞれと同様の調理を行って、市販のラーメン及びうどんのそれぞれと、食感の比較試験を行った。以下、この試験について説明する。
【0038】
(ラーメンとの食感についての比較試験)
図5は、市販のラーメンとの食感の比較試験の結果を示す図である。 この試験では、タンパク質を1.0重量%を添加して麺線径が約1mmの試験品を製造し、この試験品と市販のラーメン(ノンフライ麺)をそれぞれ熱湯で3分間茄でて、冷水で直ちに室温まで冷却し、それぞれの引張試験を行い比較した。この試験で用いた測定機器及び試験方法は、前述の「タンパク質の添加量と麺の物性の関係」における引張試験と同様である。
【0039】
図5によると、ラーメンに較べて本発明の春雨の試験品は、最大応力(弾力の指標)が高く、伸びもラーメンに較べて遜色なく、この結果、コシ、粘りと呼ばれる食感がラーメンと類似程度、あるいはそれ以上有するということが確認できた。
【0040】
(うどんとの食感についての比較試験)
図6は、市販のうどんとの食感の比較試験の結果を示す図である。 この試験では、タンパク質を1.0重量%添加して麺線径が約3mmの試験品を製造し、この試験品と市販のうどん(生麺)をそれぞれ熱湯で3分間茄でて、冷水で直ちに室温まで冷却し、それぞれの引張試験を行い比較した。この試験で用いた試験方法は、前述の「タンパク質の添加量と麺の物性の関係」における引張試験と同じである。
【0041】
図6によると、うどんに較べて本発明の春雨の試験品は、最大応力(弾力の指標)及び伸びも大きく、コシ、粘りと呼ばれる食感がうどんと類似程度、あるいはそれ以上有するということが確認できた。
【実施例2】
【0042】
本発明に係る春雨の実施例2について説明する。実施例1では、生地にタンパク質を添加することで、食感及び味の改善が図られた。このような品質(食感、味)の改善効果は、生地にタンパク質単独を添加しても十分効果は期待できるが、さらに味を改善するために、タンパク質に加えて食用植物を加えるとよい。食用植物は均一性を保つ事ができれば生のペースト、乾燥粉末、絞り汁、等の形態を問わない。なお、食用植物としては、一般に食用に供されている植物類を広く指し、穀類、いも類、豆類、種実類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類を含む。このようにさらに改善された春雨を実施例2として説明する。
【0043】
本発明に係る実施例2では、春雨は、タンパク質に加え、さらに食用植物を加えて、水を加えて混合し、澱粉主体の生地を得て、実施例1と同様に、定法の春雨の製造方法に従って製造され、食感を改善するとともに、さらに麺自体の味(甘み、うまみ等)の改善を図ったものである。
【0044】
前述のとおり、製造の際に、食味をつける目的で、生地に単に糖類(砂糖等)やアミノ酸等を添加しても、熱湯にて加熱成形する際に、呈味成分が溶出し、製造された春雨は無味なものとなってしまう。これは、タンパク質を添加することによりある程度改善を見ることができるが、充分とは言いがたい。
【0045】
この点を改善するために発明者が鋭意研究開発を進めた結果、糖類やアミノ酸を直接添加するのではなく、食用植物のペースト、汁状、及び粉末、等を生地に導入すれば、前述のとおり澱粉を主体とする生地を熱湯に投入しても呈味成分が消失しない、という知見を得た。
【0046】
この理由(メカニズム)は明確ではないが、おそらく、春雨の生地が熱湯内に投入されても、食用植物の糖質、アミノ酸等の呈味成分が澱粉粒や細胞構造に保護され、熱湯内に溶け出ることがないものと考えられる。
【0047】
実施例2で使用される食用植物の例としては、かぼちゃ、サツマイモ、トウモロコシ等があり、これらをそのままペースト、汁状、粉末、等生地に均一に混合可能な形にして春雨の製造の際に、タンパク質とともに生地に添加し混合するものである。なお、この際、食用植物は炭水化物を7.0%以上含むものを選択する事が好ましく、炭水化物やアミノ酸をあまり含まない青梗菜等の葉もの野菜では効果はあまり得ることができない。
【0048】
0.05〜3.0重量%のタンパク質を配合した春雨である場合、味の付け方の度合いにもよるが、食用植物の添加量は、0.5〜30.0重量%程度が好ましい。よって、0.05〜3.0重量%のタンパク質と、0.5〜30.0重量%程度の食用植物を添加し、水を混合して澱粉を主体とする生地を作る。
【0049】
このようにすると、春雨に甘み、うまみが付与されて、従来、全く無味であった春雨自体に味が付与される。本発明者は、具体的に生地に食用植物粉末を混ぜた春雨を製造し、味、食感についての官能試験を行ったので、以下、この試験について説明する。
【0050】
(食用植物との味の改善の相乗効果)
下記に示す表1は、タンパク質に加えて食用植物の粉末を添加することによる味改善の相乗効果を確認する官能試験の結果を示す表である。
【0051】
この試験は、無添加区として従来のタンパク質及び糖分を添加していない春雨を対象とし、添加区として生地にタンパク質1.0重量%と、食用植物としてカボチャ粉末を1.0重量%添加して製造した春雨を対象とした。そして、甘み、うまみについて、1〜5点の5段階評価で味についての官能試験を行った。なお、この試験では、無添加区及び添加区のサンプル数はそれぞれ10個用意し、それらが、添加区であるのか無添加区であるのか予め分からない状態で、10人で食して、その評価結果をまとめた。
【0052】
【表1】

【0053】
表1によると、添加区については、甘み及びうまみともに、無添加区のものに較べて明らかに評価点が高く、味が著しく改善されたことが確認できた。
【0054】
なお、実施例2では、タンパク質に加えて、食用植物を添加する春雨について説明したが、さらに、その嗜好、用途、目的等に応じて、タンパク質に加えて、食用油脂、その他の増粘多糖類等の食品添加物を添加した春雨も考えられる。
【0055】
以上、本発明に係る春雨及びその製造方法の最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明は特にこのような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明により得られる春雨は、麺としてコシ、粘りと呼ばれる食感に優れており、又麺自体の味も改善されているので、ラーメン及びうどんの類する食品としてだけではなく、そうめん、スパゲッティー等、多くの麺類に類する食品として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】添加量と麺の物性の関係を示す試験結果を示す図である。
【図2】タンパク質の種類と物性との関係についての試験結果を示す図である。
【図3】調理後の吸水率への影響を示す試験結果を示す図である。
【図4】調理後の時間経過と物性の関係を示す試験結果を示す図である。
【図5】市販のラーメンとの食感の比較試験の結果を示す図である。
【図6】市販のうどんとの食感の比較試験の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質を0.05〜3.0重量%含有し、食感と味成分の保持特性を改善した事を特徴とする春雨。
【請求項2】
タンパク質は、動物性タンパク質である事を特徴とする請求項1記載の春雨。
【請求項3】
タンパク質を0.05〜3.0重量%及び0.5〜30.0重量%の食用植物を含有し、食感と味成分の保持特性を改善するとともに呈味性を向上した事を特徴とする春雨。
【請求項4】
食用植物は、ペースト、粉末又は汁状である事を特徴とする請求項3記載の春雨。
【請求項5】
食用植物は、炭水化物を7.0重量%以上含む事を特徴とする請求項3記載の春雨。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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