説明

時刻同期システム

【課題】 光バーストスイッチ網を介して携帯電話や無線センサ端末等の基地局に基準時刻や周波数を高い精度で安定的に供給する。
【解決手段】 本発明は、入力された光バースト信号にそれぞれ適切な遅延を与えて出力する光バーストスイッチ装置(OBS)が、時刻同期プロトコルにおけるSyncメッセージ及びDelayReqメッセージを転送したときに光遅延器の遅延設定データを当該メッセージに対応付けて記録し、スレーブクロック側のノードがこの記録された遅延設定データを取得し、取得した遅延設定データに基づいて時刻同期誤差を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻同期システムに係り、特に、光バーストスイッチ網を介して、携帯電話や無線センサ端末等の基地局に供給する基準時刻や周波数を同期させるための時刻同期システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年におけるネットワーク上のトラヒックの増大に対し、スイッチング処理を光領域で効率的に行う光バーストスイッチ(OBS)が注目を集めている。このOBSの構成例を図1に示す。入力ポート1-1から入力された光バースト信号は、光スプリッタ2-1で一部のパワーを分岐される。分岐された光バースト信号は光-電気変換部(O/E)3-1で電気信号に変換される。光スイッチ制御回路4は電気信号に含まれるラベルを解析し、その宛先情報に基いてN×N光スイッチ6を制御して、光バースト信号を出力ポート7-1〜7-nの適切なポートに出力させる。入力ポート1-2〜1-Nから入力された光バースト信号についても同様である。ここで、各入力ポートから入力された光バースト信号が同じ出力ポートに出力されると、光バースト信号の衝突が発生する。光遅延器5-1〜5-Nを用いてそれぞれの光バースト信号に適切な遅延を与える事により、光バースト信号の衝突を回避することができる。
【0003】
この光遅延器5-1〜5-Nの構成例を図2に示す。光バースト信号に対する遅延は、K種類のファイバ遅延線(Fiber Delay Line: FDL)8-1〜8-Kによって与えられる。ここで、Dを単位遅延量(光バースト信号の最大長)とすると、FDL 8-1の遅延量はD0(ラベル解析などに必要な固定遅延量)、FDL 8-2の遅延量はD0+D、FDL 8-3の遅延量はD0+2D、FDL 8-Kの遅延量はD0+(K -1)*Dとなる。1×K 光スイッチ9およびK×1 光スイッチ10は、光スイッチ制御回路4からの制御信号によって、光バースト信号が衝突しないように適切なFDLを選択する。なお、光損失は大きくなるが、1×K 光スイッチ9の代わりに光スプリッタを用いた構成、あるいは、K×1 光スイッチ10の替りに光合流器を用いた構成も可能である。
【0004】
携帯電話や無線センサ端末の基地局では高精度の時刻または周波数が必要とされる。そのため、OBSで構成された光バーストスイッチ網を介した時刻同期が必要となる。ここでは、光バーストスイッチ網を介してIEEE 1588(例えば、非特許文献1参照)ベースで時刻同期を行うケースを考える。図3に、IEEE1588ベースの時刻同期の仕組みを示す。同図において、ノード101にマスタクロック102、ノード103にスレーブクロック104が搭載されている。
【0005】
図3におけるノード101の構成を図4に示す。ノード101は、パケットインタフェース20、光バースト変換部21、時刻同期メッセージ処理部22、時刻情報インタフェース23、タイムスタンパ24、光バーストインタフェース25から構成される。パケットインタフェース20はパケット網(IP網やイーサネット)との接続インタフェースである。光バースト変換部21はパケットインタフェース20から入力された単一もしくは複数(同一の宛先ノードに転送される)IPパケットやイーサネットフレームを光バースト信号のフォーマットに変換する。また、受信した光バースト信号をIPパケットやイーサネットフレームに変換してパケットインタフェース20から出力する。時刻同期メッセージ処理部22は時刻同期用メッセージを送受信する。タイムスタンパ24は時刻情報インタフェース23を介してマスタクロック102から時刻情報を取得し、時刻同期用メッセージを含む光バースト信号がタイムスタンパ24を通過した時刻情報を時刻同期メッセージ処理部22に出力する。
【0006】
また、図3におけるノード103の構成を図5に示す。図4と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図5に示す構成は、ノード101とほぼ同様である(タイムスタンパ24は時刻情報インタフェース23を介してスレーブクロック104から時刻情報を取得する)が、時刻同期メッセージ処理部22が取得した時刻情報に基づいてスレーブクロック104を制御するスレーブクロック制御部26を有し、クロック制御インタフェース27を介してスレーブクロック104の周波数や位相を制御する。
【0007】
時刻同期を行う時、ノード101からノード103にSync メッセージを送信する。ここで、ノード101がSync メッセージを送信した時刻をマスタクロック102に基づいてタイムスタンパ24で測定してT1とする。SyncメッセージはOBS200-1〜OBS200-Mを経由してノード103に到達する。ここで、ノード103がSync メッセージを受信した時刻をスレーブクロック104に基づいてタイムスタンパ24で測定してT2とする。ノード103はT2を保存する。次に、ノード101からノード103にFollow-upメッセージを送信する。Follow-up メッセージには前記の時刻T1が書き込まれている。Follow-upメッセージはOBS200-1〜200-Mを経由してノード103に到達する。ノード103はFollow-upメッセージを受信して時刻、T1を保存する。Follow-upメッセージを受信したノード103はノード101にDelayReqメッセージを送信する。ここで、ノード103がDelayReqメッセージを送信した時刻をスレーブクロック104に基づいてタイムスタンパ24で測定してT3とする。ノード103は時刻T3を保存する。DelayReqメッセージはOBS200-M〜200-1を経由してノード101に到達する。ここで、ノード101がDelayReqメッセージを送信した時刻をマスタクロック102に基づいてタイムスタンパ24で測定してT4とする。DelayReqメッセージを受信したノード101はノード103にDelayRespメッセージを送信する。DelayRespメッセージには前記の時刻T4が書き込まれている。DelayRespメッセージはOBS200-1〜200-Mを経由してノード103に到達する。ノード103はDelayRespメッセージを受信して、時刻T4を保存する。以上のメッセージ交換により、ノード103のスレーブクロック制御部26にはT1、T2、T3、T4の4つの時刻データが保存される。マスタクロック102とスレーブクロック104の誤差をδ、Syncメッセージの遅延時間をΔT1、DelayReqメッセージの遅延時間をΔT2とすると、
T2 +δ = T1 + ΔT1
T4 -δ = T3 + ΔT2
より、
δ = (T1 - T2 - T3 + T4 + ΔT1 - ΔT2)/2
が成立する。ここで、ΔT1 = ΔT2と仮定すると、マスタクロック102とスレーブクロック104の誤差δは、
δ = (T1 - T2 - T3 + T4)/2
で与えられる。ここで、δが0になるように、スレーブクロック104を制御することにより、マスタクロック102とスレーブクロック104の時刻同期を確立できる。
【0008】
ここまで、ΔT1 = ΔT2が成立すると仮定してきたが、実際のネットワークではこの仮定は成立しないことが多い。前記のように、各OBS200-iでは光バーストの衝突回避のために光遅延器5-iを使用しており、Syncメッセージがノード101からノード103に到達するまでに要したOBSの遅延時間と、DelayReqメッセージがノード103からノード101に到達するまでに要したOBSの遅延時間とは一般的に異なるからである。
【0009】
DL_0: ノード101とOBS200-1の間の伝送路遅延
DL_1: OBS200-1とOBS200-2の間の伝送路遅延
DL_2: OBS200-2とOBS200-3の間の伝送路遅延

DL_M: OBS200-Mとノード103の間の伝送路遅延
とすると、
ΔT1 =ΣDL_i +Σ(D0 + K_i*D)
ΔT2 =ΣDL'_i +Σ(D0 + K'_i*D)
となる(Σは、伝送路遅延DL_iおよびDL'_iについてはi = 0〜Mの和を取ることを表し、スイッチ内遅延D0 + K_i*DおよびD0 + K'_i*Dについてはi = 1〜Mの和を取ることを表す。以下同じ)ので、時刻同期誤差は
(ΔT1 -ΔT2) = (ΣDL_i -ΣDL'_i +ΣK_i*D -ΣK'_i*D)/2
で与えられる。ここで、DL_iおよびD0 + K_i*DはSyncメッセージに対する伝送路遅延および装置内遅延、DL'_iおよびD0 + K'_i*DはDelayReqメッセージに対する伝送路遅延および装置内遅延である。Syncメッセージ転送時とDelayReqメッセージ転送時の間に温度変動などによる伝送路長の変化が生じていないと仮定すると、
DL_i = DL'_i
が成り立つので、時刻同期誤差は
(ΔT1 -ΔT2) = (ΣK_i -ΣK'_i)*D2
となる。しかし、K_iおよびK'_iは光バースト毎に異なるので、この差分は誤差として残り、時刻同期精度を劣化させる。また、誤差は時間的に変動するので、時刻同期安定度を劣化させる。
【0010】
この問題を解決する手段としては、ラウンドトリップ時間(RTT)を
RTT = (T4 - T1) - (T3 - T2)
で算出し、多数のRTTの中から最小値(すなわち、すべてのOBSで光バーストが固定遅延時間D0だけで転送された場合の値)を抽出し、この時のT1〜T4の値だけを時刻同期に用いる事が考えられる。しかし、ネットワークに多くのトラヒックが流れている場合、光バーストが同一の出力ポートに集中しやすくなるので、RTTが最小値になる確率は低くなる。RTTの最小値を求めるためのサンプル数を増やすためには、単位時間あたりの同期メッセージの交換頻度を増やすか、長時間をかけてサンプル数を増やす事になるが、前者はネットワークの帯域を浪費する事になるし、後者はスレーブクロックに高価な高安定発振器(多数のサンプルを取得するために長時間において十分安定している)を使用する必要がある。このような問題を解決するため、IEEE 1588(非特許文献1)ではトランスペアレントクロックが導入されている。これはメッセージが通過する途中のスイッチにもクロック機能を持たせ、スイッチがSyncメッセージやDelayReqメッセージを受信した時刻と送信した時刻の差分(スイッチ内遅延時間)をSyncメッセージやDelayReqメッセージの補正フィールドに書き込んでエンドノードで遅延時間を補正する(E2E-TCと呼ばれる)などの方法により、時刻同期精度を改善することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】"IEEE Standard for a Precision Clock Synchronization Protocol for Networked Measurement and Control Systems", IEEE 1588-2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、IEEE 1588(非特許文献1)に開示されているトランスペアレントクロックを導入し、時刻同期精度を改善することができても、OBSでは光バーストは電気的処理を行うことなく転送されるので、このトランスペアレントクロックのような手法を用いることは困難である。
【0013】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、光バーストスイッチ網を介して携帯電話や無線センサ端末等の基地局に基準時刻や周波数を高い精度で安定的に供給することが可能な時刻同期システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明(請求項1)は、第1の時刻供給手段と、
前記第1の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能を有する第1の通信手段と、
第2の時刻供給手段と、
前記第2の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能および該第2の時刻供給手段の時刻あるいは周波数を制御する機能を有する第2の通信手段と、
前記第1の通信手段および前記第2の通信手段との間でメッセージの転送を行う少なくとも1つのメッセージ転送手段から構成される時刻同期システムであって、
前記メッセージ転送手段は、メッセージが衝突するのを回避するためにメッセージを遅延させるメッセージ遅延手段を具備し、
前記第1の通信手段は、第1のメッセージに送信時刻T1を書き込んで第2の通信手段に転送し、
前記メッセージ転送手段は、前記第1のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD1を遅延データ記憶手段に記録し、
前記第1のメッセージを受信した前記第2の通信手段は、該第1のメッセージに書き込まれた前記送信時刻T1と、該第1のメッセージを受信した受信時刻T2を第2の記憶手段に保持し、
前記第2の通信手段は、第2のメッセージを前記第1の通信手段に送信し、該第2のメッセージの送信時刻T3を前記第2の記憶手段に保持し、
前記メッセージ転送手段は、前記第2のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD2を前記遅延データ記憶手段に記録し、
前記第2のメッセージを受信した前記第1の通信手段は、前記第2のメッセージの受信時刻T4を第1の記憶手段に保持し、
前記第1の通信手段は前記受信時刻T4を前記第2の通信手段に通知し、
前記第2の通信手段は、前記メッセージ転送手段の記録した前記メッセージ遅延データD1およびD2を前記遅延データ記憶手段から取得し、
前記第2の通信手段は、前記送信時刻T1、前記受信時刻T2、前記送信時刻T3、前記受信時刻T4、および前記メッセージ遅延データD1およびD2に基づいて、前記第1の時刻供給手段と前記第2の時刻供給手段との誤差δを計算し、
前記第2の通信手段は、前記誤差δが一定値になるように前記第2の時刻供給手段を制御する。
【0015】
また、本発明(請求項2)は、第1の時刻供給手段と、
前記第1の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能を有する第1の通信手段と、
第2の時刻供給手段と、
前記第2の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能および該第2の時刻供給手段の時刻あるいは周波数を制御する機能を有する第2の通信手段と、
前記第1の通信手段および前記第2の通信手段との間でメッセージの転送を行う少なくとも1つのメッセージ転送手段から構成される時刻同期システムであって、
前記メッセージ転送手段は、メッセージが衝突するのを回避するためにメッセージを遅延させるメッセージ遅延手段を具備し、
前記第1の通信手段は、第1のメッセージを前記第2の通信手段に転送し、
前記第1のメッセージの送信時刻T1を前記第2の通信手段に通知し、
前記メッセージ転送手段は、前記第1のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD1を遅延データ記憶手段に記録し、
前記第1のメッセージを受信した前記第2の通信手段は、前記第1の通信手段から通知された前記送信時刻T1と、前記第1のメッセージを受信した受信時刻T2を第2の記憶手段に保持し、
前記第2の通信手段は、第2のメッセージを前記第1の通信手段に送信し、該第2のメッセージの送信時刻T3を前記第2の記憶手段に保持し、
前記メッセージ転送手段は、前記第2のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD2を前記遅延データ記憶手段に記録し、
前記第2のメッセージを受信した前記第1の通信手段は、前記第2のメッセージの受信時刻T4を第1の記憶手段に保持し、
前記第1の通信手段は、前記受信時刻T4を前記第2の通信手段に通知し、
前記第2の通信手段は、前記メッセージ転送手段の記録した前記メッセージ遅延データD1およびD2を前記遅延データ記憶手段から取得し、
前記第2の通信手段は、前記送信時刻T1、前記受信時刻T2、前記送信時刻T3、前記受信時刻T4、および前記メッセージ遅延データD1およびD2に基づいて、前記第1の時刻供給手段と前記第2の時刻供給手段との誤差δを計算し、
前記第2の通信手段は、前記誤差δが一定値になるように前記第2の時刻供給手段を制御する。
【0016】
また、本発明(請求項3)は、第1の時刻供給手段と、
前記第1の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能を有する第1の通信手段と、
第2の時刻供給手段と、
前記第2の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能および前記第2の時刻供給手段の時刻あるいは周波数を制御する機能を有する第2の通信手段と、
前記第1の通信手段および前記第2の通信手段との間でメッセージの転送を行う少なくとも1つのメッセージ転送手段から構成される時刻同期システムであって、
前記メッセージ転送手段は、メッセージが衝突するのを回避するためにメッセージを遅延させるメッセージ遅延手段を具備し、
前記第2の通信手段は、第1のメッセージに送信時刻T1を書き込んで前記第2の通信手段に転送し、
前記メッセージ転送手段は、前記第1のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD1を遅延データ記憶手段に記録し、
前記第1のメッセージを受信した前記第1の通信手段は、前記第1のメッセージに書き込まれた前記送信時刻T1と、該第1のメッセージを受信した受信時刻T2を第1の記憶手段に保持し、
前記第1の通信手段は、前記送信時刻T1と前記受信時刻T2と送信時刻T3を書き込んだ第2のメッセージを前記第2の通信手段に送信し、
前記メッセージ転送手段は、前記第2のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD2を前記遅延データ記憶手段に記録し、
前記第2のメッセージを受信した前記第2の通信手段は、該第2のメッセージの受信時刻T4を第2の記憶手段に保持し、
前記第2の通信手段は、前記メッセージ転送手段の記録した前記メッセージ遅延データD1およびD2を前記遅延データ記憶手段から取得し、
前記第2の通信手段は、前記送信時刻T1、前記受信時刻T2、前記送信時刻T3、前記受信時刻T4、および前記メッセージ遅延データD1およびD2に基づいて、前記第1の時刻供給手段と前記第2の時刻供給手段との誤差δを計算し、
前記第2の通信手段は、前期誤差δが一定値になるように前記第2の時刻供給手段を制御する。
【0017】
また、本発明(請求項4)は、前記第1の時刻供給手段と、
前記第1の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能を有する第1の通信手段と、
前記第2の時刻供給手段と、
前記第2の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能および該第2の時刻供給手段の時刻あるいは周波数を制御する機能を有する第2の通信手段と、
前記第1の通信手段および前記第2の通信手段との間でメッセージの転送を行う少なくとも1つのメッセージ転送手段から構成される時刻同期システムであって、
前記メッセージ転送手段は、メッセージが衝突するのを回避するためにメッセージを遅延させるメッセージ遅延手段を具備し、
前記第2の通信手段は、第1のメッセージに送信時刻T1を書き込んで第2の通信手段に転送し、該送信時刻T1を第2の記憶手段に保持し、
前記メッセージ転送手段は、前記第1のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD1を遅延データ記憶手段に記録し、
前記第1のメッセージを受信した前記第1の通信手段は、受信時刻T2を第1の記憶手段に保持し、
前記第1の通信手段は、第2のメッセージを前記第2の通信手段に送信し、送信時刻T3を前記第1の記憶手段に保持し、
前記第1の通信手段は、前記受信時刻T2および前記送信時刻T3を、前記第2の通信手段に送信し、
前記メッセージ転送手段は、前記第2のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD2を前記遅延データ記憶手段に記録し、
前記第2のメッセージを受信した前記第2の通信手段は、該第2のメッセージの受信時刻T4を前記第2の記憶手段に保持し、
前記第2の通信手段は、前記メッセージ転送手段の記録した前記メッセージ遅延データD1およびD2を前記遅延データ記憶手段から取得し、
前記第2の通信手段は、前記送信時刻T1、前記受信時刻T2、前記送信時刻T3、前記受信時刻T4、および前記メッセージ遅延データD1およびD2に基づいて、前記第1の時刻供給手段と前記第2の時刻供給手段との誤差δを計算し、
前記第2の通信手段は、前記誤差δが一定値になるように前記第2の時刻供給手段を制御する。
【0018】
また、本発明(請求項5)は、上記の請求項1または2において、前記第1の通信装置は、
前記第1の通信装置と前記第2の通信装置の組み合わせを一意に識別するための識別情報を作成し、
前記メッセージ転送手段は、
前記メッセージ遅延手段における前記メッセージ遅延データD1およびD2に前記識別情報を紐付け、
前記第2の通信装置は、前記識別情報に基づいて、前記遅延データ記憶手段から紐付けられた前記メッセージ遅延データD1およびD2を取得する。
【0019】
また、本発明(請求項6)は、請求項3または4において、前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置と当該第2の通信装置の組み合わせを一意に識別するための識別情報を作成し、
前記メッセージ転送手段は、
前記メッセージ遅延手段における前記メッセージ遅延データD1およびD2に前記識別情報を紐付け、
前記第2の通信装置は、
前記識別情報に基づいて、前記遅延データ記憶手段から紐付けられた前記メッセージ遅延データD1およびD2を取得する。
【発明の効果】
【0020】
上記のように本発明によれば、時刻同期においてノード間で交換されるメッセージに応じてOBSの遅延設定データを記録しており、この記録された遅延設定データをスレーブクロック側のノードで読み出し、標準的な時刻同期プロトコルにおけるメッセージの送信時刻・受信時刻と組み合わせて時刻同期誤差を補正できる。これによって、光バーストスイッチ網を介して携帯電話や無線センサ端末の基地局に基準時刻や周波数を極めて高い精度・安定度で供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の光バーストスイッチの構成例である。
【図2】従来の光遅延器の構成例である。
【図3】IEEE1588ベースの時刻同期の仕組みである。
【図4】従来のノード101の構成図である。
【図5】従来のノード103の構成図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における時刻同期システムの構成図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるノード103の構成図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における光バーストスイッチの構成例である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における時刻同期システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面と共に、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
本発明は、OBSがSyncメッセージやDelayReqメッセージを転送した時の光遅延器の遅延設定データをメッセージに紐付けて記録しておき、スレーブクロック側のノードからこの遅延設定データを取得できるようにし、記録された遅延設定データをスレーブクロック側のノードで取得し、この遅延設定データに基づいて時刻同期誤差を補正する。
【0024】
[第1の実施の形態]
本実施の形態は、請求項2,5に相当する。
【0025】
図6は、本発明の第1の実施の形態における時刻同期システムの構成を示す。
【0026】
同図において、図3と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図6は、図3の構成に、各OBS200に管理情報転送用ネットワーク105が接続され、当該管理情報転送用ネットワーク105には遅延データコレクタ106が接続されている。
【0027】
図7は、本発明の第1の実施の形態におけるノード103の構成を示す。同図に示すノード103の構成は図5とほぼ同様であるが、管理情報転送用ネットワーク105に転送するための管理情報転送用インタフェース28を有する。
【0028】
また、図8は、本発明の第1の実施の形態におけるOBS200-1から200-Mの構成を示す。同図に示す構成は図1とほぼ同様であるが、管理情報転送用ネットワーク105に転送するための管理情報転送用インタフェース29を有する。また、各ノードは図示しないが送信時刻、受信時刻を保持するためのメモリを有するものとする。
【0029】
ノードが送信する光バーストのラベルにフラグおよびメッセージ識別情報のフィールドを設ける。当該光バーストがSyncメッセージやDelayReqメッセージを含んでいる場合フラグは"1"になり、含んでいない場合フラグは"0"になる。メッセージ識別情報としては、IDおよびSN(シーケンス番号)を用いる。IDは、マスタクロック側ノード101とスレーブクロック側ノード103の組合せに対してマスタクロック側ノード103で一意に定義される(単純にノード101のアドレスとノード103のアドレスの組合せでも良いし、別の数値等を新たに定義しても良い)。SNは、時刻同期用メッセージを送信するたびに各ノード毎にインクリメントする。
【0030】
各OBS200は光バーストのヘッダを受信して、フラグが"1"であればメッセージ識別情報と遅延設定データを遅延データコレクタ106の遅延データテーブルに管理情報転送用インタフェース29を介して書き込む。遅延データテーブルは各OBS200が個別に管理することも可能であるが、本実施の形態では管理情報転送用ネットワーク105を介して遅延データコレクタ106で集中管理する。
【0031】
ノード101は、ノード103にSyncメッセージ(ID = A、SN = X)を送信し、送信時刻T1をメモリに保存する。Syncメッセージを運ぶ光バーストのラベルのフラグは"1"になっており、OBS200-1〜200-Mはメッセージ転送を行い、遅延データコレクタ106の遅延データテーブルに管理情報転送用インタフェース29を介して以下のように書き込む。ノード103はSyncメッセージを受信し、受信時刻T2をメモリに保存する。
【0032】
【表1】

次に、ノード101からノード103にSyncメッセージ送信時刻T1を書き込んだFollow-upメッセージを送信する。Follow-upメッセージを運ぶ光バーストのラベルのフラグは"0"になっており、OBS200-1〜200-Mはメッセージ転送だけを行う。ノード103はFollow-upメッセージを受信し、Syncメッセージ送信時刻T1をメモリに保存する。
【0033】
次に、ノード103からノード101にDelayReqメッセージ(ID = A、SN = Y)を送信し、送信時刻T3をメモリに保存する。DelayReqメッセージを運ぶ光バーストのラベルのフラグは"1"になっており、OBS200-1〜200-Mはメッセージ転送を行い、遅延データコレクタ106の遅延データテーブルに管理情報転送用インタフェース29を介して以下のように追記する。ノード101はDelayReqメッセージを受信し、受信時刻T4をメモリに保存する。
【0034】
【表2】

次に、ノード101からノード103にDelayReqメッセージ受信時刻T4を書き込んだDelayRespメッセージを返信する。DelayRespメッセージを運ぶ光バーストのラベルのフラグは"0"になっており、OBS200-1〜200-Mはメッセージ転送だけを行う。ノード103はDelayReqメッセージの送信時刻T4をメモリに保存する。
【0035】
一連のメッセージ交換の後、ノード103は遅延データコレクタ106のテーブルから
(ID = A) and (SN = X)
および
(ID = A) and (SN = Y)
の条件に合致するデータを読み出し、マスタクロック102とスレーブクロック104の誤差δを、
δ = {T1 - T2 - T3 + T4 + (ΣK_i -ΣK'_i)*D}/2
で計算し、δが0になるように、スレーブクロック104を制御することにより、マスタクロック102とスレーブクロック104の時刻同期を確立できる。
【0036】
本実施の形態では、Follow-upメッセージおよびDelayRespメッセージを光バーストを用いて送受信しているが、管理情報転送用ネットワーク105を用いてT1およびT3をノード103に別途通知しても良い。
【0037】
[第2の実施の形態]
本実施の形態は、請求項3,6に相当する。
【0038】
図9は、本発明の第2の実施の形態における時刻同期システムの構成を示す。
【0039】
前述の第1の実施の形態では、時刻同期プロトコルとしてIEEE 1588(非特許文献1)ベースで説明してきたが、NTP(Network Time Protocol, IETF RFC 1305)(文献1:D. L. Mills, "Network Time Protocol (Version 3) Specification, Implementation and Analysis", IETF RFC-1305.)やSNTP(Simple Network Time Protocol, IETF RFC 4330)(文献2:D. L. Mills, "Simple Network Time Protocol (SNTP) Version 4 for IPv4, IPv6 and OSI", IETF RFC-4330.ベースでも同様の手法を用いることができる。
【0040】
NTPやSNTPベースの場合、IDはマスタクロック側ノード(サーバ)とスレーブクロック側ノード(クライアント)の組合せに対してスレーブクロック側ノード(クライアント)で一意に定義されることがIEEE 1588ベースの第1の実施の形態と異なる。
【0041】
ノード103からQueryメッセージ(ID = A、SN = X)を送信する。Queryメッセージには送信時刻T1が書き込まれている。Queryメッセージを運ぶラベルのフラグは"1"になっており、OBS200-1〜200-MはQueryメッセージを転送し、遅延データコレクタ106の遅延データテーブルに以下のように書き込む。
【0042】
【表3】

次に、ノード101からReplyメッセージ(ID = A、SN = Y)を返信する。Replyメッセージには、Queryメッセージ送信時刻T1、Queryメッセージ受信時刻T2、Replyメッセージ送信時刻T3が書き込まれている。Replyメッセージを運ぶ光バーストのラベルのフラグは"1"になっており、OBS200-1〜200-MはReplyメッセージを転送し、遅延データコレクタ106の遅延データテーブルに以下のように追記する。なお、遅延データテーブルには、第1の実施の形態と同様に、管理情報転送用インタフェース29を介して書き込むものとする。
【0043】
【表4】

一連のメッセージ交換の後、ノード103は遅延データコレクタ106のテーブルから
(ID = A) and (SN = X)
および
(ID = A) and (SN = Y)
の条件に合致するデータを読み出し、マスタクロック102とスレーブクロック104の誤差δを、
δ = {T1 - T2 - T3 + T4 + (ΣK_i -ΣK'_i)*D}/2
で計算し、δが0になるように、スレーブクロック104を制御することにより、マスタクロック102とスレーブクロック104の時刻同期を確立できる。
【0044】
なお、本実施の形態ではQueryメッセージおよびReplyメッセージを用いて送信時刻・受信時刻を送受信しているが、管理情報転送用ネットワーク105を用いてT2およびT3をノード103に別途通知しても良い。
【0045】
また、上記の実施の形態におけるノード101、103、OBS200の各構成要素の動作をプログラムとして構築し、ノード、OBSとして利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0046】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 入力ポート
2 光スプリッタ
3 光-電気変換部(O/E)
4 光スイッチ制御回路
5 光遅延器
6 N×N光スイッチ
7 出力ポート
20 パケットインタフェース
21 光バースト変換部
22 時刻同期メッセージ処理部
23 時刻情報インタフェース
24 タイムスタンパ
25 光バーストインタフェース
26 ステー部クロック制御部
27 クロック制御インタフェース
28 管理情報転送用インタフェース
29 管理情報転送用インタフェース
101,103 ノード
102 マスタクロック
104 スレーブクロック
105 管理情報転送用ネットワーク
106 遅延データコレクタ
200 光バーストスイッチ装置(OBS)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の時刻供給手段と、
前記第1の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能を有する第1の通信手段と、
第2の時刻供給手段と、
前記第2の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能および該第2の時刻供給手段の時刻あるいは周波数を制御する機能を有する第2の通信手段と、
前記第1の通信手段および前記第2の通信手段との間でメッセージの転送を行う少なくとも1つのメッセージ転送手段から構成される時刻同期システムであって、
前記メッセージ転送手段は、メッセージが衝突するのを回避するためにメッセージを遅延させるメッセージ遅延手段を具備し、
前記第1の通信手段は、第1のメッセージに送信時刻T1を書き込んで第2の通信手段に転送し、
前記メッセージ転送手段は、前記第1のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD1を遅延データ記憶手段に記録し、
前記第1のメッセージを受信した前記第2の通信手段は、該第1のメッセージに書き込まれた前記送信時刻T1と、該第1のメッセージを受信した受信時刻T2を第2の記憶手段に保持し、
前記第2の通信手段は、第2のメッセージを前記第1の通信手段に送信し、該第2のメッセージの送信時刻T3を前記第2の記憶手段に保持し、
前記メッセージ転送手段は、前記第2のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD2を前記遅延データ記憶手段に記録し、
前記第2のメッセージを受信した前記第1の通信手段は、前記第2のメッセージの受信時刻T4を第1の記憶手段に保持し、
前記第1の通信手段は前記受信時刻T4を前記第2の通信手段に通知し、
前記第2の通信手段は、前記メッセージ転送手段の記録した前記メッセージ遅延データD1およびD2を前記遅延データ記憶手段から取得し、
前記第2の通信手段は、前記送信時刻T1、前記受信時刻T2、前記送信時刻T3、前記受信時刻T4、および前記メッセージ遅延データD1およびD2に基づいて、前記第1の時刻供給手段と前記第2の時刻供給手段との誤差δを計算し、
前記第2の通信手段は、前記誤差δが一定値になるように前記第2の時刻供給手段を制御することを特徴とする時刻同期システム。
【請求項2】
第1の時刻供給手段と、
前記第1の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能を有する第1の通信手段と、
第2の時刻供給手段と、
前記第2の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能および該第2の時刻供給手段の時刻あるいは周波数を制御する機能を有する第2の通信手段と、
前記第1の通信手段および前記第2の通信手段との間でメッセージの転送を行う少なくとも1つのメッセージ転送手段から構成される時刻同期システムであって、
前記メッセージ転送手段は、メッセージが衝突するのを回避するためにメッセージを遅延させるメッセージ遅延手段を具備し、
前記第1の通信手段は、第1のメッセージを前記第2の通信手段に転送し、
前記第1のメッセージの送信時刻T1を前記第2の通信手段に通知し、
前記メッセージ転送手段は、前記第1のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD1を遅延データ記憶手段に記録し、
前記第1のメッセージを受信した前記第2の通信手段は、前記第1の通信手段から通知された前記送信時刻T1と、前記第1のメッセージを受信した受信時刻T2を第2の記憶手段に保持し、
前記第2の通信手段は、第2のメッセージを前記第1の通信手段に送信し、第2のメッセージの送信時刻T3を前記第2の記憶手段に保持し、
前記メッセージ転送手段は、前記第2のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD2を前記遅延データ記憶手段に記録し、
前記第2のメッセージを受信した前記第1の通信手段は、前記第2のメッセージの受信時刻T4を第1の記憶手段に保持し、
前記第1の通信手段は、前記受信時刻T4を前記第2の通信手段に通知し、
前記第2の通信手段は、前記メッセージ転送手段の記録した前記メッセージ遅延データD1およびD2を前記遅延データ記憶手段から取得し、
前記第2の通信手段は、前記送信時刻T1、前記受信時刻T2、前記送信時刻T3、前記受信時刻T4、および前記メッセージ遅延データD1およびD2に基づいて、前記第1の時刻供給手段と前記第2の時刻供給手段との誤差δを計算し、
前記第2の通信手段は、前記誤差δが一定値になるように前記第2の時刻供給手段を制御することを特徴とする時刻同期システム。
【請求項3】
第1の時刻供給手段と、
前記第1の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能を有する第1の通信手段と、
第2の時刻供給手段と、
前記第2の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能および当該第2の時刻供給手段の時刻あるいは周波数を制御する機能を有する第2の通信手段と、
前記第1の通信手段および前記第2の通信手段との間でメッセージの転送を行う少なくとも1つのメッセージ転送手段から構成される時刻同期システムであって、
前記メッセージ転送手段は、メッセージが衝突するのを回避するためにメッセージを遅延させるメッセージ遅延手段を具備し、
前記第2の通信手段は、第1のメッセージに送信時刻T1を書き込んで前記第2の通信手段に転送し、
前記メッセージ転送手段は、前記第1のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD1を遅延データ記憶手段に記録し、
前記第1のメッセージを受信した前記第1の通信手段は、前記第1のメッセージに書き込まれた前記送信時刻T1と、該第1のメッセージを受信した受信時刻T2を第1の記憶手段に保持し、
前記第1の通信手段は、前記送信時刻T1と前記受信時刻T2と送信時刻T3を書き込んだ第2のメッセージを前記第2の通信手段に送信し、
前記メッセージ転送手段は、前記第2のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD2を前記遅延データ記憶手段に記録し、
前記第2のメッセージを受信した前記第2の通信手段は、該第2のメッセージの受信時刻T4を第2の記憶手段に保持し、
前記第2の通信手段は、前記メッセージ転送手段の記録した前記メッセージ遅延データD1およびD2を前記遅延データ記憶手段から取得し、
前記第2の通信手段は、前記送信時刻T1、前記受信時刻T2、前記送信時刻T3、前記受信時刻T4、および前記メッセージ遅延データD1およびD2に基づいて、前記第1の時刻供給手段と前記第2の時刻供給手段との誤差δを計算し、
前記第2の通信手段は、前期誤差δが一定値になるように前記第2の時刻供給手段を制御することを特徴とする時刻同期システム。
【請求項4】
前記第1の時刻供給手段と、
前記第1の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能を有する第1の通信手段と、
前記第2の時刻供給手段と、
前記第2の時刻供給手段から時刻データを取得してメッセージの送信時刻および受信時刻を求める機能および当該第2の時刻供給手段の時刻あるいは周波数を制御する機能を有する第2の通信手段と、
前記第1の通信手段および前記第2の通信手段との間でメッセージの転送を行う少なくとも1つのメッセージ転送手段から構成される時刻同期システムであって、
前記メッセージ転送手段は、メッセージが衝突するのを回避するためにメッセージを遅延させるメッセージ遅延手段を具備し、
前記第2の通信手段は、第1のメッセージに送信時刻T1を書き込んで第2の通信手段に転送し、該送信時刻T1を第2の記憶手段に保持し、
前記メッセージ転送手段は、前記第1のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD1を遅延データ記憶手段に記録し、
前記第1のメッセージを受信した前記第1の通信手段は、受信時刻T2を第1の記憶手段に保持し、
前記第1の通信手段は、第2のメッセージを前記第2の通信手段に送信し、送信時刻T3を前記第1の記憶手段に保持し、
前記第1の通信手段は、前記受信時刻T2および前記送信時刻T3を、前記第2の通信手段に送信し、
前記メッセージ転送手段は、前記第2のメッセージを転送する時に前記メッセージ遅延手段におけるメッセージ遅延データD2を前記遅延データ記憶手段に記録し、
前記第2のメッセージを受信した前記第2の通信手段は、該第2のメッセージの受信時刻T4を前記第2の記憶手段に保持し、
前記第2の通信手段は、前記メッセージ転送手段の記録した前記メッセージ遅延データD1およびD2を前記遅延データ記憶手段から取得し、
前記第2の通信手段は、前記送信時刻T1、前記受信時刻T2、前記送信時刻T3、前記受信時刻T4、および前記メッセージ遅延データD1およびD2に基づいて、前記第1の時刻供給手段と前記第2の時刻供給手段との誤差δを計算し、
前記第2の通信手段は、前記誤差δが一定値になるように前記第2の時刻供給手段を制御することを特徴とする時刻同期システム。
【請求項5】
前記第1の通信装置は、
前記第1の通信装置と前記第2の通信装置の組み合わせを一意に識別するための識別情報を作成し、
前記メッセージ転送手段は、
前記メッセージ遅延手段における前記メッセージ遅延データD1およびD2に前記識別情報を紐付け、
前記第2の通信装置は、前記識別情報に基づいて、前記遅延データ記憶手段から紐付けられた前記メッセージ遅延データD1およびD2を取得する
請求項1または2に記載の時刻同期システム。
【請求項6】
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置と当該第2の通信装置の組み合わせを一意に識別するための識別情報を作成し、
前記メッセージ転送手段は、
前記メッセージ遅延手段における前記メッセージ遅延データD1およびD2に前記識別情報を紐付け、
前記第2の通信装置は、
前記識別情報に基づいて、前記遅延データ記憶手段から紐付けられた前記メッセージ遅延データD1およびD2を取得する
請求項3または4記載の時刻同期システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−9184(P2013−9184A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140858(P2011−140858)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】