説明

時計のムーブメント

【課題】 透過型フォトセンサの構造を合理化してなる時計のムーブメントを提供すること。
【解決手段】 ケース体600は、背面側の第1ケース部材610及び正面側の第2ケース部材620を組付けてなるものであり、回路基板500は、第2ケース部材に装着し、透過型フォトセンサ700は、発光素子710を回路基板に設けるとともに、受光素子720を第1ケース部材に設けてなるものであり、受光素子は、リード線740にて回路基板に接続し、第1ケース部材には、素子装着部610aと、リード線の端部を延出する貫通孔610bと、リード線の端部を固定するガイド片610cと、それらを囲む枠部610dとを設け、素子装着部の端面及び枠部の端面には、遮光性を有するシール部材610eをケース体の背面側から受光素子を覆うように貼り付けた。或は、素子装着部、貫通孔、及びガイド片を囲む凹部610fを設け、凹部にシール部材を装着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針を駆動するムーブメントであって、透過型フォトセンサにて指針の位置を検出するものに関する。
【背景技術】
【0002】
時計の指針を駆動するムーブメントは、指針パイプが減速機構を介してモータにより駆動する構成となっている。ムーブメントのケース体には、モータを制御する駆動回路が設けられている。モータは、駆動回路に設定されたプログラムに基づいて制御される。特に、標準時刻電波を受信してその表示時刻を修正する電波修正時計の使用が広まっており、電波修正時計のムーブメントには、表示時刻を認識する必要から、指針の位置を検出する位置センサが設けられる。特許文献1及び2には、位置センサとして透過型フォトセンサを採用してなるムーブメントが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3514644号明細書
【特許文献2】特許第3534648号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて近年では、時計の形態は益々多様化される傾向にあり、電波修正時計に用いるムーブメントについても、構造の簡素化や製造性の向上等を踏まえつつ、更なる工夫が求められている。
【0005】
透過型フォトセンサを設ける場合、従来では、駆動回路を設けた回路基板(A)に発光素子及び受光素子の一方を搭載するとともに、他の基板(B)に発光素子及び受光素子の他方を搭載し、これらの基板(A,B)をケース体の構成部材にそれぞれ配置し、基板(A)と基板(B)とをリード線又はコネクタにて接続する構成となっている。これに対し、発光素子及び受光素子の他方をリード線にて基板(A)に直接接続すれば、基板(B)を省略することが可能であると考えられる。部品点数が削減されるという点で有利である。
【0006】
但し、透過型フォトセンサの構造をどうするかは、ムーブメントを製造するうえでその作業性を左右する重要な問題である。基板(B)を省略する場合は、ムーブメントの製造性を考慮しつつ、基板(B)に搭載していた素子の支持構造及び接続構造を改めて検討する必要がある。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、透過型フォトセンサの構造を合理化してなる時計のムーブメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願第1請求項に記載した発明は、モータ(210,220)と、前記モータ(210,220)に連結された減速機構(310,320)と、指針を装着する指針パイプ(410,420,430)と、前記モータ(210,220)を制御する駆動回路を設けた回路基板(500)と、前記指針の位置を検出する透過型フォトセンサ(700)と、それらを支持するケース体(600)とを備え、前記指針パイプ(410,420,430)が前記減速機構(310,320)を介して前記モータ(210,220)により駆動する時計のムーブメント(1)において、前記ケース体(600)は、背面側の第1ケース部材(610)及び正面側の第2ケース部材(620)をその厚さ方向に組付けてなる扁平型のものであり、前記ケース体(600)の内部には、前記モータ(210,220)、前記減速機構(310,320)、及び前記指針パイプ(410,420,430)の基端部を収納するとともに、前記指針パイプ(410,420,430)の先端部は、前記第2ケース部材(620)から正面に向けて突出するものとし、前記回路基板(500)は、前記第2ケース部材(620)に装着し、前記透過型フォトセンサ(700)は、発光素子(710)を前記回路基板(500)に設けるとともに、受光素子(720)を前記第1ケース部材(610)に設け、前記発光素子(710)及び受光素子(720)の間に位置する前記減速機構(310,320)又は前記指針パイプ(410,420,430)の基端部に、前記発光素子(710)の光を透過する透光部(730)を設けてなるものであり、前記受光素子(720)は、リード線(740)にて前記回路基板(500)に接続し、前記第1ケース部材(610)には、前記受光素子(720)を前記ケース体(600)の背面側から装着する素子装着部(610a)と、前記リード線(740)の端部を前記ケース体(600)の内部から背面側に延出する貫通孔(610b)と、前記リード線(740)の端部を固定するガイド片(610c)と、前記素子装着部(610a)、前記貫通孔(610b)、及び前記ガイド片(610c)を囲む枠部(610d)とを設け、前記素子装着部(610a)の端面と前記枠部(610d)の端面とは、高さが等しく設定されており、前記素子装着部(610a)の端面及び前記枠部(610d)の端面には、遮光性を有するシール部材(610e)を前記ケース体(610)の背面側から前記受光素子(720)を覆うように貼り付けて、前記受光素子(720)は、前記シール部材(610e)によって抜け止めされ且つ外部からの光が遮断されるようにした構成の時計のムーブメント(1)である。
【0009】
本願第2請求項に記載した発明は、モータ(210,220)と、前記モータ(210,220)に連結された減速機構(310,320)と、指針を装着する指針パイプ(410,420,430)と、前記モータ(210,220)を制御する駆動回路を設けた回路基板(500)と、前記指針の位置を検出する透過型フォトセンサ(700)と、それらを支持するケース体(600)とを備え、前記指針パイプ(410,420,430)が前記減速機構(310,320)を介して前記モータ(210,220)により駆動する時計のムーブメント(1)において、前記ケース体(600)は、背面側の第1ケース部材(610)及び正面側の第2ケース部材(620)をその厚さ方向に組付けてなる扁平型のものであり、前記ケース体(600)の内部には、前記モータ(210,220)、前記減速機構(310,320)、及び前記指針パイプ(410,420,430)の基端部を収納するとともに、前記指針パイプ(410,420,430)の先端部は、前記第2ケース部材(620)から正面に向けて突出するものとし、前記回路基板(500)は、前記第2ケース部材(610)に装着し、前記透過型フォトセンサ(700)は、発光素子(710)を前記回路基板(500)に設けるとともに、受光素子(720)を前記第1ケース部材(610)に設け、前記発光素子(710)及び受光素子(720)の間に位置する前記減速機構(310,320)又は前記指針パイプ(410,420,430)の基端部に、前記発光素子(710)の光を透過する透光部(730)を設けてなるものであり、前記受光素子(720)は、リード線(740)にて前記回路基板(500)に接続し、前記第1ケース部材(610)には、前記受光素子(720)を前記ケース体(600)の背面側から装着する素子装着部(610a)と、前記リード線(740)の端部を前記ケース体(600)の内部から背面側に延出する貫通孔(610b)と、前記リード線(740)の端部を固定するガイド片(610c)と、前記素子装着部(610a)、前記貫通孔(610b)、及び前記ガイド片(610c)を囲む凹部(610f)とを設け、前記凹部(610f)は、その開口部の周囲に環状段部(610g)を有するものとし、前記素子装着部(610a)の端面と前記環状段部(610g)の端面とは、高さが等しく設定されており、前記凹部(610f)には、遮光性を有するシール部材(610e)を前記ケース体(600)の背面側から前記受光素子(720)を覆うように前記素子装着部(610a)の端面及び前記環状段部(610g)の端面に当接しつつ装着して、前記受光素子(720)は、前記シール部材(610e)によって抜け止めされ且つ外部からの光が遮断されるようにした構成の時計のムーブメント(1)である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透過型フォトセンサの構造を合理化してなる時計のムーブメントを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係り、時計のムーブメントを示す正面図である。
【図2】本発明の実施例に係り、時計のムーブメントを示す背面図である。
【図3】本発明の実施例に係り、時計のムーブメントを示す下面図である。
【図4】本発明の実施例に係り、ケース体の内部構造を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例に係り、ケース体及び透過型フォトセンサの要部を示す側面断面図である。
【図6】本発明の実施例に係り、第1ケース部材の背面要部を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例に係り、第1ケース部材の背面要部を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例に係り、第1ケース部材の背面要部(受光素子及びリード線を設けた状態)を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例に係り、第1ケース部材の背面要部(シール部材を素子装着部の端面及び枠部の端面に貼り付けた状態)を示す説明図である。
【図10】本発明の実施例に係り、第1ケース部材の背面要部(シール部材を素子装着部の端面にのみ貼り付けた状態)を示す説明図である。
【図11】本発明の実施例に係り、第1ケース部材の背面要部を示す斜視図シール部材を凹部に装着する前の状態)である。
【図12】本発明の実施例に係り、第1ケース部材の背面要部を示す斜視図(シール部材を凹部に装着した状態)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1乃至図4に示す本例の電波修正時計のムーブメント1は、複数のモータ210,220と、各モータ210,220に連結されたギア列からなる減速機構310,320と、指針を装着する指針パイプ410,420,430と、モータ210,220を制御する駆動回路を設けた回路基板500と、それらを支持するケース体600とを備え、指針パイプ410,420,430が減速機構310,320を介してモータ210,220により駆動する構成となっている。
【0013】
具体的には、時針を装着する時針パイプ410、分針を装着する分針パイプ420、秒針を装着する秒針パイプ430が同心軸状に設けられている。そして、第1ステッピングモータ210に連結された第1減速機構310が分針パイプ420の基端部に設けられた分針車421と連結されている。第2ステッピングモータ220に連結された第2減速機構320が秒針パイプ430の基端部に設けられた秒針車431と連結されている。また、分針パイプ420の基端部に設けられたカナ422が日の裏車311と連結されており、時針パイプ410の基端部に設けられた時針車411が日の裏車311のカナ312と連結されている。
【0014】
時針パイプ410及び分針パイプ420が第1ステッピングモータ210によりそれぞれ所定の速度で回転駆動し、秒針パイプ430が第2ステッピングモータにより所定の速度で回転駆動する。
【0015】
図中の700は、発光素子710及び受光素子720からなる透過型フォトセンサである。発光素子710及び受光素子720の間に位置する駆動系の要所、
すなわち減速機構310,320又は指針パイプ410,420,430の基端部の要所には、発光素子710の光を透過する透光部730が設けられており、受光素子720の検出パターンから各指針パイプ410,420,430の回転位置を検出する構成となっている。この透過型フォトセンサ700の構造については、後に詳述する。
【0016】
また、本例のムーブメント1は、標準時刻電波を受信してその表示時刻を修正する電波修正時計に用いるものであって、標準時刻電波を受信するアンテナ800を備えるとともに、受信の動作を制御する受信回路を回路基板500に設けてなるものである。
【0017】
ケース体600の側部には、アンテナ800を装着可能としたアンテナ装着部611を設けている。このアンテナ800は、鉄芯にコイルを巻いてなる棒状のものである。
【0018】
ケース体600は、背面側の第1ケース部材610及び正面側の第2ケース部材620をその厚さ方向に組付けてなる扁平型のものである。第1ケース部材610及び第2ケース部材620の間には、モータ210,220を装着した中板601が設けられている。
【0019】
このケース体600の内部には、モータ210,220、減速機構310,320、及び指針パイプ410,420,430の基端部が収納されている。第1ケース部材610、第2ケース部材620、及び中板601の要所には、各構成部材を保持する凹凸、ボス、及び支軸等が形成されている。また、中板の要所、すなわち発光素子710及び受光素子720の間に位置する部位には、発光素子710の光を透過する透光部601aが設けられている。指針パイプ410,420,430の先端部は、第2ケース部材620から正面に向けて突出している。第1ケース部材610及び第2ケース部材620は、互いにねじ止めされている。回路基板500は、第2ケース部材620の正面に重ねてねじ止めし、装着されている。回路基板500には、指針パイプ410,420,430を挿通する孔部が設けられている。
【0020】
第1ケース部材610は、ケース体600の正面側から見て第2ケース部材620の側部に食み出した部位に、第1アンテナ装着部611を一体に備えている。第1アンテナ装着部611は、正面側を開口した箱型を呈し、その内部には、アンテナ800の端部を固定するスナップ612が設けられている。
【0021】
本例のムーブメント1は、ケース体600を組付け、回路基板500及びアンテナ800を装着し、アンテナ800の配線を回路基板500にハンダ付けしてそれらを電気的に接続した後に、回路基板500に搭載されたコンデンサ等の受信回路の電子部品を操作してアンテナ800のチューニングをする構成となっている。
【0022】
本例の場合、このように回路基板500及びアンテナ800を設けた後、更に回路基板500の正面に目安機構900を設けている。この目安機構900は、第2ケース部材620の正面に第3ケース部材630をねじ止めし、この第3ケース部材630と回路基板500との間に設けられている。指針パイプ410,420,430の先端部は、第3ケース部材630を貫通している。
【0023】
目安機構900の具体的構成は、特に限定はしないが、本例の場合、不図示の操作手段にて使用者が任意に回転操作する目安車910と、時針パイプ410と同期回転する時伝え車920と、時伝え車920に追従する目安カム930と、目安カム930を目安車910側に付勢する所定の形状の板バネ940と、回路基板500に設けられた目安接点950とを備え、時針パイプ410の駆動に連動して板バネ940が目安接点950と離合して、目安接点950のOFF/ONが切換えられる構成となっている。
【0024】
目安車910の要所には孔部911が設けられており、目安カム930は、一回転に一度、その突起部931が目安車910の孔部911に没入することにより、目安車910側にある程度移動する。目安カム930が目安車910側に移動すると、板バネ940の所定の部位が目安接点950と接触し、目安接点950がOFFからONとなる。また、突起部931の先端には、所定の向きのテーパーが設けられており、突起部931は、目安車910の孔部911に没入した後、目安カム930がある程度回転したところで、その孔部911から外脱する。突起部931が孔部911から外脱すると、板バネ940が目安接点950から離れて、目安接点950がONからOFFとなる。かかる目安機構900は、必要に応じて取り付け可能となっている。
【0025】
次に、本例の透過型フォトセンサ700について説明する。本例の場合、発光素子710は、回路基板500に設けられたLEDである。受光素子720は、第1ケース部材610に設けらたフォトトランジスタである。図5に示すように、受光素子720は、リード線740にて回路基板500に接続されている。リード線740の基端部は回路基板500にハンダ付けされている。ケース体600の内部には、リード線740の先端部を回路基板500側から第1ケース部材610側へ導く通路600aが設けられている。
【0026】
また、図6乃至図10に示すように、第1ケース部材610には、素子装着部610a、貫通孔610b、ガイド片610c、及び枠部610dを設けている。
【0027】
素子装着部610aは、受光素子720をケース体600の背面側から圧入して装着する部位である。
【0028】
貫通孔610bは、リード線740の先端部をケース体600の内部から背面側に延出する孔である。
【0029】
ガイド片610cは、リード線740の先端部を固定する部位であり、図例では円筒状の凸部となっている。リード線740の端部は、複数のガイド片610cに挟まれて、又はガイド片610cと枠部610dの内面に挟まれてその被覆を圧迫され、固定される。
【0030】
枠部610dは、素子装着部610a、貫通孔610b、及びガイド片610cを囲むリブ状の部位である。図例では矩形環状となっている。
【0031】
素子装着部610aの端面及び枠部610dの端面には、遮光性を有するシール部材610eをケース体600の背面側から受光素子720を覆うように貼り付けて、受光素子720は、シール部材610eによって抜け止めされ且つ外部からの光が遮断される構成となっている。シール部材610eとしては、遮光性を有するフィルムの片面に感圧接着層を設けてなる部材を採用している。或は、遮光性を有する樹脂製又は金属製の薄型プレートを接着材にて貼り付けるうようにしてもよい。
【0032】
透過型フォトセンサ700の組付けは、次の通りである。第1ケース部材と第2ケース部材を組付けた後、これに発光素子710及びリード線740をハンダ付けした回路基板500を組付ける。この際にリード線740の線端部を通路600aに通して貫通孔610bからケース体600の背面側に延出する。
【0033】
そして、受光素子720を素子装着部610aに圧入するとともに、ガイド片にてリード線740の先端部を所定の位置に固定し、その状態でリード線を受光素子720の端子721にハンダ付けする。(図8参照)。
【0034】
或は、受光素子720の端子721にリード線740の先端部をハンダ付けした後に、リード線740の基端部を貫通孔610bから通路600aに通して回路基板500にハンダ付けするようにしてもよい。
【0035】
更に、素子装着部610aの端面及び枠部610dの端面にシール部材610eを貼り付ける(図9参照)。本例の場合、素子装着部610aの端面と枠部610dの端面は、高さ(第1ケース部材610の平坦面から背面側に突出した寸法)が等しく設定されており、且つその高さはガイド片610cの高さと同じ若しくはガイド片610cの高さよりも若干高く設定されている。リード線740の断面直径は、ガイド片610cの高さよりも小さい。受光素子720は、素子装着部610aに圧入したのみであると、何らかの衝撃で外脱してしまう恐れがあるが、シール部材610eにより抜け止めされるので、そのような事態を防止することができる。
【0036】
枠部610dは、リード線740を保護するという点で、非常に有利なものとなっている。時計の製造時において、ムーブメント1を取り扱う際には、リード線740に指、工具、或は時計の構成部品が引っかかる可能性があるが、枠部610dによれば、そのような事態を防止することができる。受光素子720は、基板に搭載せずともこのように設けることができる。
【0037】
尚、シール部材610eは、素子装着部610aの端面にのみ貼り付けるようにすることも可能である(図10参照)。但し、リード線740を保護するという点、及び見栄えを向上するという点では、前述したように素子装着部610aの端面及び枠部610dの端面に貼り付けた方が有利である。
【0038】
また、シール部材610eとしては遮光性を有するものを採用したので、受光素子720に対する外部からの光を遮断する手段を別途に設ける必要はない。発光素子710及び受光素子720の位置関係は、本例とは逆の場合も考えられるが、その場合は、受光素子720に対する外部からの光を遮断する何らかの手段が必要となる場合がある。すなわち、このようなムーブメント1は、時計の筐体の内部に配置されるので、光を遮断する手段は必ずしも必要とはいえないが、筐体の構造によっては、筐体内部に光が侵入する場合も考えられる訳である。この点、一方の素子をシール部材610eで覆うのであれば、いずれにしてもそのシール部材610eを利用して光を遮断することができるので、本例ではこれを踏まえて、発光素子710及び受光素子720の位置関係を特定している。
【0039】
以上説明したように、本例のムーブメントは、透過型フォトセンサを備えた電波修正時計のムーブメントとして極めて合理的に構成されたものである。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。
【0040】
次に、本発明の他の実施例を図11及び図12に基づいて説明する。前述した実施例が第1ケース部材610に枠部610bを設けたものであるのに対し、本例のムーブメント1は、凹部610fを設けてなるものである。この凹部610fは、素子装着部610a、貫通孔610b、及びガイド片610cを囲むものであり、その開口部の周囲に環状段部610gを有するものである。
【0041】
素子装着部610aの端面と環状段部610gの端面とは、高さが等しく設定されている。そして、凹部610fには、遮光性を有するシール部材610eをケース体600の背面側から受光素子720を覆うように素子装着部610aの端面及び環状段部610gの端面に当接しつつ装着して、受光素子720は、シール部材610eによって抜け止めされ且つ外部からの光が遮断される構成となっている。
【0042】
シール部材610eとしては、遮光性を有するフィルムの片面に感圧接着層を設けてなる部材を採用し、これを素子装着部610aの端面及び環状段部610gの端面に貼り付ける。又は、遮光性を有する樹脂製又は金属製の薄型プレートを接着材にて素子装着部610aの端面及び環状段部610gの端面に貼り付ける。或は、遮光性を有する樹脂製又は金属製の薄型プレートを嵌装又はねじ止めにて凹部610fに装着するようにしてもよい。環状段部610gの段差は、シール部材610eの厚さと等しく又はほぼ等しく設定されている。その他の構成は、前述した実施例と同様である。
【0043】
このような構成によると、前述した実施例と比較した場合、枠部610bによるケース体600表面の出っ張りを解消することができ、見栄えが一層向上するという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の時計のムーブメントは、アナログ式の壁掛け時計や目覚し時計の時刻表示部を構成するユニットとして、極めて好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ムーブメント
210 第1ステッピングモータ
220 第2ステッピングモータ
310 第1減速機構
311 日の裏車
312 カナ
320 第2減速機構
410 時針パイプ
411 時針車
420 分針パイプ
421 分針車
422 カナ
430 秒針パイプ
431 秒針車
500 回路基板
600 ケース体
600a 通路
601 中板
601a 透光部
610 第1ケース部材
610a 素子装着部
610b 貫通孔
610c ガイド片
610d 枠部
610e シール部材
610f 凹部
610g 環状段部
611 アンテナ装着部
612 スナップ
620 第2ケース部材
630 第3ケース部材
700 透過型フォトセンサ
710 発光素子
720 受光素子
721 端子
730 透光部
740 リード線
800 アンテナ
900 目安機構
910 目安車
911 孔部
920 時伝え車
930 目安カム
931 突起部
940 板バネ
950 目安接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータに連結された減速機構と、指針を装着する指針パイプと、前記モータを制御する駆動回路を設けた回路基板と、前記指針の位置を検出する透過型フォトセンサと、それらを支持するケース体とを備え、前記指針パイプが前記減速機構を介して前記モータにより駆動する時計のムーブメントにおいて、
前記ケース体は、背面側の第1ケース部材及び正面側の第2ケース部材をその厚さ方向に組付けてなる扁平型のものであり、
前記ケース体の内部には、前記モータ、前記減速機構、及び前記指針パイプの基端部を収納するとともに、前記指針パイプの先端部は、前記第2ケース部材から正面に向けて突出するものとし、
前記回路基板は、前記第2ケース部材に装着し、
前記透過型フォトセンサは、発光素子を前記回路基板に設けるとともに、受光素子を前記第1ケース部材に設け、前記発光素子及び受光素子の間に位置する前記減速機構又は前記指針パイプの基端部に、前記発光素子の光を透過する透光部を設けてなるものであり、
前記受光素子は、リード線にて前記回路基板に接続し、
前記第1ケース部材には、前記受光素子を前記ケース体の背面側から装着する素子装着部と、前記リード線の端部を前記ケース体の内部から背面側に延出する貫通孔と、前記リード線の端部を固定するガイド片と、前記素子装着部、前記貫通孔、及び前記ガイド片を囲む枠部とを設け、
前記素子装着部の端面と前記枠部の端面とは、高さが等しく設定されており、
前記素子装着部の端面及び前記枠部の端面には、遮光性を有するシール部材を前記ケース体の背面側から前記受光素子を覆うように貼り付けて、前記受光素子は、前記シール部材によって抜け止めされ且つ外部からの光が遮断されるようにしたことを特徴とする時計のムーブメント。
【請求項2】
モータと、前記モータに連結された減速機構と、指針を装着する指針パイプと、前記モータを制御する駆動回路を設けた回路基板と、前記指針の位置を検出する透過型フォトセンサと、それらを支持するケース体とを備え、前記指針パイプが前記減速機構を介して前記モータにより駆動する時計のムーブメントにおいて、
前記ケース体は、背面側の第1ケース部材及び正面側の第2ケース部材をその厚さ方向に組付けてなる扁平型のものであり、
前記ケース体の内部には、前記モータ、前記減速機構、及び前記指針パイプの基端部を収納するとともに、前記指針パイプの先端部は、前記第2ケース部材から正面に向けて突出するものとし、
前記回路基板は、前記第2ケース部材に装着し、
前記透過型フォトセンサは、発光素子を前記回路基板に設けるとともに、受光素子を前記第1ケース部材に設け、前記発光素子及び受光素子の間に位置する前記減速機構又は前記指針パイプの基端部に、前記発光素子の光を透過する透光部を設けてなるものであり、
前記受光素子は、リード線にて前記回路基板に接続し、
前記第1ケース部材には、前記受光素子を前記ケース体の背面側から装着する素子装着部と、前記リード線の端部を前記ケース体の内部から背面側に延出する貫通孔と、前記リード線の端部を固定するガイド片と、前記素子装着部、前記貫通孔、及び前記ガイド片を囲む凹部とを設け、
前記凹部は、その開口部の周囲に環状段部を有するものとし、
前記素子装着部の端面と前記環状段部の端面とは、高さが等しく設定されており、
前記凹部には、遮光性を有するシール部材を前記ケース体の背面側から前記受光素子を覆うように前記素子装着部の端面及び前記環状段部の端面に当接しつつ装着して、前記受光素子は、前記シール部材によって抜け止めされ且つ外部からの光が遮断されるようにしたことを特徴とする時計のムーブメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−122846(P2011−122846A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278571(P2009−278571)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)
【Fターム(参考)】