説明

時間依存パラメータの測定値の時間的シーケンスを処理する方法

人体内又は人体上で測定される時間依存パラメータ、特に生理的グルコース濃度の測定値の時間的シーケンスを処理する方法は、測定値のシーケンスの時間セグメントをデータベース内に記録として格納する段階と、格納されたセグメントの測定値のうちの少なくとも3つをユーザインタフェースディスプレイ(270)上に同時にグラフ表示する段階とを含む。人体内又は人体上で測定される時間依存パラメータ、特に生理的グルコース濃度の測定値の時間的シーケンスを処理するシステムは、時間依存パラメータの測定値の複数の時間的シーケンスを格納するデータベースを含む演算及び表示機器(200)を備え、該演算及び表示機器(200)は、測定値のうちの少なくとも3つがユーザインタフェースディスプレイ(270)上に同時にグラフ表示されるように設計及び制御される。本方法並びにシステムは、患者がパラメータの行動様式に影響を及ぼす治療に関して自分の自己管理能力を向上させることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体内又は人体上で測定される時間依存パラメータ、特に生理的グルコース濃度の測定値の時間的シーケンスを処理する方法及びシステムに関するものである。本発明は、更に、時間依存パラメータの測定値の時間的シーケンスを処理する方法を実装するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所与の体液中の特定の物質の濃度のような、人体内又は人体上で測定されるモニタリング・パラメータは、多くの用途を有することができる。詳細には、モニタリングは、1つ又は複数の生理的パラメータの値に応じて調整される活性物質の投与を伴う治療の関連では重要である。顕著な例は、患者の体液中の実測グルコース濃度に応じてインシュリンの投与が行われる糖尿病治療である。
【0003】
従来、規則的にインシュリンを投与する必要がある糖尿病患者は、例えば、手持ち式ストリップベースの血糖計を使用して血糖レベルの測定を定期的に行っている。しかしながら、測定回数が少ないので(通常は1日4回)、グルコースレベル(時間的「スナップショット」)の経過の非常に粗い図しか提供していない。患者の食事又は身体活動などの特定の事象に対する代謝反応に関する動的情報、又はより一般的には、ある時間期間中のグルコース傾向を得ることができない。
【0004】
持続グルコースモニタリング(CGM)は、糖尿病を自己管理するための新しい技術である。持続グルコースモニタリング用の器具では、数時間から数日、数週間、更には数ヶ月続くある時間期間にわたってグルコース濃度を記録する。測定頻度は、上述の従来のスポット血糖(bG)測定の頻度よりも遙かに多い(通常、1時間あたりに少なくとも10回の測定)。原理的には、時間分解能の増大により、時変グルコース情報の豊富なデータセットが患者並びにその医療提供者(HCP)に与えられる。原理的には、連続測定グルコースデータを用いて、基礎インシュリンレート並びにボーラスのタイミング及び量を調整することにより個々のニーズに即して糖尿病治療をより具体的に調整し改良することができる。更にその上、このデータは、例えば、異なる食物選択(種類、部分)又は活動の変化に関する、患者の行動様式の望ましい変化に関する指標を提供する。
【0005】
しかしながら、糖尿病と戦っている人達が持続グルコースモニタリングから最大の利益を得ようとする理由が幾つかある。第1に、経時的な未処理のグルコース信号は、理解しにくい可能性がある。持続グルコースモニタリングはデータ集約型の診断ツールであり、従って、これが原因となって、ユーザは、用途又は説明がない情報過多に圧倒される可能性がある。
【0006】
傾向矢印及び低下アラームなどの簡略リアルタイム機能をCGM機器ユーザに提供することは公知である。しかしながら、これらの機能では、患者に対してより深い学習及び行動修正に必要とされる「全体像」を提供することはできない。
【0007】
米国特許出願第2005/004439(A1)号(Medtronic MiniMed)は、グルコースモニタリングシステムに関し、詳細には、このようなシステムの較正方法に関する。この較正法は、一定期間にわたって所定の間隔でグルコース検出装置データを取得する段階と、取得されたグルコース検出装置データに対応する少なくとも2つの基準グルコース値を基準ソース(例えば、血糖計)から取得する段階とを含み、すなわち、対応するデータから始めて、較正特性を計算し、その後、これを取得されたグルコースモニタデータを較正するのに使用する。受信データすなわち血糖履歴は、分析、表示及び記録することができる。ソフトウェアを使用して、データをダウンロードし、データファイルを作成し、データを較正して、チャート、用紙、レポート、グラフ、表、リスト及び同様のものなどを含む様々なフォーマットでデータを表示する。表示情報は、特性(例えば、グルコースの変化率)、履歴データのグラフ、平均的特性レベル(例えば、グルコース)、安定化及び較正情報、生データ、表(日付、時間、サンプル番号、対応する血糖レベル、アラームメッセージ他と相関性のある生データを示す)及び同様のものに関する動向情報を含む。
【0008】
米国特許出願第2003/125612(A1)号(J.Kelly Fox他)は、医用モニタリングシステムに関し、詳細には、糖尿病の人々の血糖モニタリングに関する。記載のシステムは、予測分析を行って、高血糖発症など、有害な病状を予測することを可能にする。この方法は、それぞれの生理値を繰り返し測定して、一連の生理特性値を取得し、生理的特性が経時的にどのように変化しているかについて判断する段階を含むことができる。更に、この方法は、曲線外挿、一連の生理特性値の平均値の計算、又は、例えば、定義された時間スパン(例えば1時間)にわたる直線フィット(適合)の計算を含むことができる。記載のシステムは、センサを使用する患者に意味がある遡及情報を提供すること、及びこのような有用な情報を好都合に効率的に格納及び表示することを目的とする。この目的のために、収集データは、エクスカーションデータ提示として、特性値分布データ提示として、又は、統合特性値データ提示として、最小値データ及び最大値データ提示の形で遡及的に表示することができる。
【0009】
PCT出願第00/19887(A100(A1)号(Minimed)は、例えば血糖を測定する埋め込み可能な皮下センサセットと遠隔配置モニタとの間の無線通信を特徴として備える遠隔測定皮下センサ装置に関する。モニタは、受信したグルコース読取り値を表示及び記録する。モニタディスプレイ上に表示される情報は、特性(例えば、グルコースの変化率)の動向情報、履歴データのグラフ、平均特性レベル(例えば、グルコース)又は同様のものを含むことができる。
【0010】
米国特許出願第2002/002326(A1)号(Minimed)は、医療装置と共に使用される遠隔プログラム及び/又は携帯情報端末(PDA)に関するものである。モニタディスプレイ上に表示される情報は、特性(例えば、グルコース変化率)の動向情報、履歴データのグラフ、平均特性レベル(例えば、グルコース)又は同様のものを含むことができる。実際の実施形態によっては、未処理の受信センサ信号或いは較正済み又は調整済み結果は、ダウンロード、その後の分析又はレビューに備えて格納することができる。
【0011】
米国特許出願第2006/031094(A1)号(Medtronic MiniMed)は、広域ネットワークを介して複数の被験者(例えば糖尿病被験者)の病状又は生物学的状態に関するデータを管理するシステム及び方法に関する。対応するシステムは、広域ネットワークに接続された1つ又はそれ以上のサーバ上で動作している一群のソフトウェアモジュールにより実現される。ユーザは、インターネットを介して医学データ管理システムと通信することができ、一方、被験者支援装置(例えば計測器又は生物学的センサなど)をユーザ側コンピュータに接続することができる。薬物注入ポンプなどの被験者支援装置は、複数の計測器又はセンサと(例えば、無線インタフェースにより)通信し、後で広域ネットワークを介して通信するめにこれらの追加装置から受信される情報を格納することができる。更なる情報は、例えば、食事情報、食事回数及び量、運動回数及び量又は同様のものなど、被験者の活動に関する情報を被験者側コンピュータ又は被験者支援装置に入力することによって、ユーザが手動で提供することができる。このシステムは、後でアクセス及び検索できるように編成されたフォーマットで格納データを保管及びアーカイブすることを担う集中データベースリポジトリを含むことができるデータベース層を備えることを特徴とする。集中格納データを利用して、被験者の生物学的状態、被験者支援装置の動作、治療、個人の習慣、その他に関する履歴情報を分析することができる。レポート生成層は、データベース内の選択された場所からデータを引き出して、関心のある所望のパラメータからレポート情報を生成するレポートウィザードプログラムを含むことができる。レポートは、棒グラフ、x−y座標グラフ、円グラフ、散布図、積み重ね棒グラフ、その他の形を有することができる。
【0012】
しかしながら、遡及的分析中に、グルコースレベルに対する特定の顕著な影響を伴った又は引き起こした特定の状況を患者が既に忘れているという共通の問題がある。原理的には、毎日の日誌を維持管理することがこの問題に対する解決策であるが、かなりの規律が必要である。
【0013】
更に、(処理済み)情報を表示する異なる方法が多数ある場合、多くの人々は、表示されたデータを解釈する上で担当のHCPに左右される。これらの理由によって、大部分の人々は、遡及的分析及びCGMデータに関するガイダンスに対して大部分はHCPに頼る必要があるので、現在のところCGMからの恩恵を100%受けることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願第2005/004439(A1)号公報
【特許文献2】米国特許出願第2003/125612(A1)号公報
【特許文献3】PCT出願第00/19887(A100(A1)号公報
【特許文献4】米国特許出願第2002/002326(A1)号公報
【特許文献5】米国特許出願第2006/031094(A1)号公報
【特許文献6】欧州特許第1688085(A1)号公報
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、初めに言及した技術分野に関連するシステム並びに方法を提供し、これにより患者が自分の治療及び生活様式上の選択に関する自己管理能力を向上できるようにすることである。
【0016】
本発明の解決策は、請求項1の特徴によって明示される。本発明によれば、測定値の時間的シーケンスの時間セグメントは、データベース内に記録として格納され、格納されたセグメントの測定値の少なくとも3つは、PDA、パーソナルコンピュータ、携帯電話又はスマートフォン、薬物注入ポンプ用専用リモコン、或いは分析物測定装置又はその組合せのディスプレイなど、ユーザインタフェースディスプレイ上に同時にグラフ表示される。
【0017】
理論的に永続するシーケンスの範囲が定められたセグメントを格納することにより、対応するグラフ表示(形状)により注目すべき事象(例えば生理的グルコースレベルまでの特定のインシュリン投与及び特定の食事の影響)を識別することが可能になる。異なる時間に取得されたパラメータの複数の値で表されるセグメントをグラフ表示すると、ユーザ又はそのHCPにより測定されたデータの直観的なパターン分析を可能にする。
【0018】
大部分の人々にとって、数字よりもグラフィックな画像又は形状を記憶又は比較するほうが遙かに簡単である。それでも尚、人間の注意力は、例えば、丸1日又は数日の間に測定されたパラメータの経過を表す種々の長い曲線を解釈又は比較しなければならないことで過度に緊張する。従って、特定の事象に対応するグラフ表示データを見る選択肢は、患者が類似したパターンを有する前の事象(データベース内に既に格納されている可能性がある)を思い出す一助となる。直観的なグラフィッ表現形式を利用することにより、非専門家のユーザに、複雑なCGMデータを評価及び使用するための改良された新規な方法が与えられる。測定シーケンスをデータベース内に格納することにより、アクセス及び相互参照が可能なシーケンス(或いは形状)として事象特有の代謝反応の個人用アーカイブを蓄積することが可能になる。
【0019】
糖尿病管理の最も重要且つ困難な局面は、空腹期間中のグルコースレベルを制御することではない点に留意することが重要である。本当の課題は、事象ベースのグルコース反応を制御及び/又は補正することであり、ここでいう事象とは、食事、運動又は他の代謝上の課題である。
【0020】
測定値は、少なくとも3つの測定値が基準線に対する時間値データペアとして時間値座標系で表示され、すなわち、測定値(例えば、グルコース濃度)がグラフの第1の軸上に表示され、一方、測定の上の時間情報は、グラフの第2の軸上に表示されるように表示することができる。
【0021】
好ましくは、時間的に隣接したデータペアが接続されて曲線を構成し、曲線と基準線との間の幾何学的な区域は強調表示され、格納された時間セグメントに対応する特性形状を構成する。従って、基準線より上及び下にある対応する区域は、所与の基準線の関数の「山」及び「谷」として読み取られる。時間スケール並びに数値スケールは、好ましくは、認識及び区別しやすいようにユーザインタフェースディスプレイの表示区域(境界ボックス)に組み込まれる。記載される表示モードは、単一の単純なグラフスペースから複数のタイプの情報、すなわち、
・測定値の表示シーケンスの持続時間(例えば15分の時間間隔)
・基準線よりも上/下にあるパラメータの値に関して費やされた相対時間、
・最小値並びに最大値(基準線並びにディスプレイ上の最小値/最大値の表示器から推測)との比較におけるパラメータの相対値、
及び
・変化率(傾斜)
を容易且つ迅速に読み取ることを可能にする。
【0022】
詳細情報は、患者の治療に関する自分の自己管理能力を向上させることになる。該詳細情報により、患者が、ボーラスの量及びタイミングの選択を改善し、最適レベルにまで基礎レートを調整する(HCPと協力して)一助とすることができる。
【0023】
この詳細情報は、携帯電話/スマートフォン、PDA又はMP3プレーヤなど、記録を表示するため及びユーザが既に熟知しているシステムを操作するための装置が使用される場合に有利である。これにより、実質的にユーザインタフェースへの精通が容易になる。
【0024】
基準線は、パラメータ(例えば望ましい目標値又は閾値)の基準値に対応するのが好ましい。これは、所与の値(例えば、現在のパラメータ値)がこの基準よりも下にあるか、又は上にあるかを判断することが可能になる。基準値は、空腹時グルコース、低血糖閾値又は高血糖閾値とすることができる。所定の基準値に対して表示される形状は、値が基準値(「海面」)よりも上又は下にある時間間隔に対応する「山」及び「谷」をそれぞれ比較することによって簡単に比較することができる。
【0025】
基準値は、ユーザ(患者又はそのHCP)により変更可能であることが好ましい。変更の場合には、データベース内に格納された全データは、変更された基準値に従って更新される。形状(「谷」及び「山」の位置及びサイズ)の外観は、基準線の位置に強く依存するが、時間値データペア自体は、基準値を変更することにより影響を受けない。これは、例えば最適目標値に対するような、新しい基準値に応じた以前の記録の再解釈を可能にする。更に、以前の記録と後の記録との間の比較可能性が保証される。
【0026】
本方法は、特に糖尿病患者に有利であり、ここでパラメータは、持続グルコース測定(CGM)システムにより測定されたグルコース濃度である。CGMにより、グルコースレベルに関する特定の事象(特定の食事、特定の量のインシュリンボーラス、身体活動など)の長期並びに中期及び短期の結果を識別できるようにする高い時間分解能が得られる。
【0027】
しかしながら、原理的に、本方法はまた、他の物質濃度(例えば外因性インシュリン)、導電率のような生理特性、心拍数又は呼吸数、温度、動き、空気による音又は構造上の音、ECG(心電図)などのような生理的生命徴候といった、人体内又は人体上で測定される他の時間依存パラメータのモニタリングに関連して適用可能である。
【0028】
グルコースレベルの測定は、組織液中のグルコース値を測定するために人体内又は人体上に配置される持続グルコースセンサ装置により実施することができる。測定値は、演算及び表示機器、特にPDA、パーソナルコンピュータ、携帯電話又はスマートフォン、薬物注入ポンプ用専用リモコン、例えば手持ち式血糖計、更に好ましくはストリップベースの血糖計のようなグルコース測定装置などの分析物測定装置、或いはその組合せに伝達される。演算及び表示機器は、測定値をデータベース内に格納して、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、LEDディスプレイ又はOLEDディスプレイとすることができるユーザインタフェースディスプレイ上で所望のシーケンスをグラフ表示する。
【0029】
好ましくは、測定値は、無線通信により、特にRF通信によりセンサ装置から演算及び表示機器に伝達される。「ブルートゥース」などの適切な規格及び対応する機器が存在し、簡単に利用可能である。適切なデータ通信手段は、例えば、欧州特許第1688085(A1)号明細書(Disetronic Licensing AG)で説明されている。
【0030】
或いは、測定値は、有線リンクにより伝達することができる。一部の応用では、センサ装置が演算及び表示機器と直接連絡することで測定値を伝達することが適切な場合がある。情報の伝達は、センサ装置が人体上に配置されている間、及び/又はセンサ装置(「パッチ」装置など)が人体から取り除かれた後に起こることができる。
【0031】
有利には、演算及び表示機器は、ユーザ入力を受信する手段、特に押しボタン又はタッチスクリーンと、ユーザ入力に応じてデータベース内に格納されるシーケンスを編集及び/又は管理する手段とを含む。
【0032】
演算及び表示機器の機能性は、ハードウェア又はファームウェアにおいて完全又は部分的に実現することができる。しかしながら、この機能性は、演算及び表示機器上で実行されたとき、上記又は以下で説明する本方法を実行することになるコンピュータプログラム製品によって優先的に部分的又は完全に提供される。原理的には、これは、測定値を処理及び表示するための上述の市販の装置を使用することを可能にする。
【0033】
人には、未処理のCGM曲線及び標準的なタイムラインが対処することができない意味のある時間及び/又はデータ間隔に対して個人的な選好がある。従って、事象に対応する時間的開始点及び終点が定義され、特にこれらがユーザによって指定されており、更に上記の開始点と上記の終点との間にあるシーケンスの測定値がデータベース内に格納される記録に含まれることが好ましい。人が自分の時間及びデータセグメイトを定義することができることによって、個人的に意味があるグルコース事象が強調される。開始点及び停止点は、直接的に時間の点、又は間接的にパラメータ(例えば、グルコースレベル)が特性値を取る点として定義することができる。一貫した表示を確保すると共に幾つかの形状の比較を容易にできるようにするため、標準記録周期(15分又は1時間セグメント)を使用することが好ましい。従って、グルコース値ベースの間隔を最近の時間まで記録することが有利である。通常のシーケンスは、事象に対する代謝の意味のある反応時間に従って、1〜6時間の長さとなる。事象関連に対するデータの準拠を確保するために、シーケンスとして保存することができる最大記録時間を制限することが有利である。
【0034】
好ましくは、複数の記録は、幾つかの選択パラメータに従って自動的に作成することができる。この目的のために、選択パラメータに従って、時間的開始点及び時間的終点を各々が有する複数の(本質的に重なり合わない)セグメントが時間的シーケンスの測定値から選択される。各選択セグメントにおいて、記録は、データベース内に格納されるように生成される。
【0035】
これにより、ある所与の事象(例えば、食事)に関係するグルコース経過セグメントを各々が表す多数の記録を容易に作成可能になる。選択パラメータは、データベース内に既に格納されているデータ、例えば、以前に入力された食事回数又はインシュリン供給装置から受信されるボーラスの投与回数を含むことができる。セグメントは、それぞれの選択パラメータに従って、その事象の前(又は後)にトリガ事象又は特定の時間間隔から直接始まることができる。特定のセグメントの持続時間は、予め定義することができ(例えば4時間)、或いは、セグメントの終点は、実際の経過(特定のグルコースレベル又は安定性に到達するとすぐに終了する)に基づいて決定することができる。更なる選択パラメータを使用して、生成を特定の時間スパン(例えば最後の4日間)に、又は特定の時刻(例えば朝食時間)に制限することができる。
【0036】
生成された記録は、データベース内に既に格納されている追加データ(ユーザメタデータ、グルコース経過に関する統計情報、その他)により自動的に補完することができる。更に、自動生成は、更なる情報を入力するか又は自動的に作成された記録を受け付ける/拒否するようにユーザを促す段階、或いは、更なるデータ収集装置及び/又は記憶装置(以下で説明する)などの更なるデータソースから更なる情報を収集する段階を含むことができる。更に、自動生成は、特定の事象に関する記録が以前に既に作成されていたかどうかをチェックし、その場合には新しい記録を再度作成しないようにする段階を含むことができる。
【0037】
新しい記録の自動生成は、システムのリアルタイムの動作中に連続的に実施することができ、すなわち、特定の基準(予め定義された選択パラメータに対応)が満たされるとすぐに、新しい記録が生成される。これにより、測定されたシーケンスの本質的に全ての関連部分が意味のある事象関連レポートの形でデータベース内に確実に保存される。ユーザは、自動的に生成された記録を後で適合、修正、又は削除することができる。この目的のために、ユーザにより積極的には確認(又は修正又は削除)されなかった自動生成記録が、目に付きやすい「新規」フラグによりマークされた場合には有用とすることができる。
【0038】
優先的に、データベース内に格納された記録は、そのシーケンスの測定値と関連したメタデータ、すなわち特に以下の少なくとも1つで補完される。
a)ユーザにより供給されたシーケンスを識別する記述、
b)シーケンスの開始点及び終点、
c)時間情報及び/又は日付情報、
d)人体内又は前記人体上で測定されたパラメータの相補的測定、
及び/又は
e) 業務日誌注釈などのユーザ指定の注記。
【0039】
参照及び比較を後でするために、以前に格納された測定値のシーケンスの関連が既知であることは非常に重要である。しかしながら、今まで、事象情報(食事、スポーツなど)は最も取り込むのが難しい患者情報であることが多かった。本方法は、人々が特定の事象に関連したデータを記録する簡単なツールを提供するものであり、自己管理の向上並びにHCPによるCGMデータの分析の改善が得られる。本方法は、未処理のデータだけで達成可能であるよりも原因及び結果を遙かに深く理解できるようにすることによって、医者が遡及的CGMデータを解釈するのをサポートする。上記に記載したメタデータの一部には、ユーザが問合わせることができ(例えば、記載事項)、各記録に対して、他のデータも自動的に生成して格納することができる(例えば時間情報及び/又は日付情報)。メタデータは、「一般的な記録」(テンプレート)、「異常な記録」、「良好」、「不適切」など)の個々の記録のユーザマーキングを含むことができる。
【0040】
更に、システムが利用可能である場合、メタデータの少なくとも一部は、インシュリン供給装置、血糖計、携帯電話、個人用携帯情報端末(「PDA」)(PDA)又はパーソナルコンピュータなどの1つ又はそれ以上のデータ収集装置及び/又は記憶装置から通信リンクを介して自動的に取得される。その後、関連の取得データは、好ましくは、データベース内に記録と共に自動的に格納される。関連データは、記録事象と関連があり、且つ測定のシーケンスと同じ時間及び日付に関係するあらゆるデータを含む。言及したデータ収集及び/又は記憶装置は、例えば、インシュリン適用のタイミング及び割合について、個々の血糖測定の結果について、ユーザの活動について、薬物投与について、心的状態について、移動について、月経周期、その他についての情報を提供することができる。格納事象に関連することができる情報を自動的に収集することにより、ユーザ又はそのHCPによる事象に関連したパラメータ経過のその後の解釈が可能になる。
【0041】
有利には、格納された記録は、特にユーザが以下のことの少なくとも1つを行うことができるようにして、ユーザにより編集可能及び/又は管理可能である。
a)メタデータを編集する、
b)指定された場所にて、特にユーザ定義可能なフォルダ内に記録を保存する、
c)記録を呼び出す、
d)記録をサーチする、
e)記録をソートする、
f)記録を削除する、
g)記録をエクスポートする、
及び/又は
h)記録を比較する。
【0042】
これにより、ユーザは、データベースを高度にカスタマイズし、格納データの検索を可能にすることができる。記録(又は形状)は、例えば事象タイプによりグループ化することができる。ユーザは、予め定義されたタイプに加えて作成することができるカスタム事象タイプ及び/又はグループを設定することができる。基礎データの改変を回避するために、測定値(ソースデータ)のシーケンスの格納時間セグメント自体はユーザが編集することができない点に留意することが重要である。
【0043】
ユーザインタフェースは、既存の記録の選択をグラフィックレベルで行うことができるように、所与の記録を特徴付ける形状のサムネイル図がファイル名と共に表示されるように設計されるのが好ましい。加えて、ユーザにより行われるマーキング(「テンプレート」、「良好」、「不適切」、その他)は、例えばアイコン又はカラーコードの形で表示することができる。特定の事象の以前のバージョン(例えば「昼食用ピザ」)は、比較のために容易にアクセスすることができる(この場合、最近の事象が初期設定であるのが好ましい)。類似した事象の複数の記録が推奨される。この理由は、同様の事象に対する個人の反応のこの比較には、有益な学習効果があることによる。特定の事象に関する任意的な詳細事項は、追加及び修正をいつでも行うことができる。
【0044】
全てのこれらの可能性により、ユーザは、糖尿病の自己管理の実施の個々の知識を向上させることができる。本発明は、糖尿病の理論モデル、標準的ケア、又は汎用治療指針に依存するものではない。糖尿病の様々な人達は、特に重複する食事、ストレス、病期、可変の身体活動、薬物投与、移動及びホルモン変化に関する実生活条件下では、同じ食物及び治療に対してさえ反応が異なるので、個別化の程度は本発明の最も重要な利点の1つである。
【0045】
2つ又はそれ以上のシーケンスの比較を可能にするために、データベース内に格納された測定値の第1のシーケンスと測定値の第2のシーケンス(恐らくは別のシーケンス)を同時にグラフ表示することができるのが好ましい。
【0046】
これはまた、データベースに格納されたセグメントの測定値及びリアルタイムシーケンスの測定値を同時にグラフ表示することができ、セグメントのグラフ表示がリアルタイム測定シーケンスのタイムラインに沿って所望の位置に配置可能である場合に有利である。
【0047】
表示されたシーケンスは、比較ニーズに従って時間シフトすることができるが、常に元の日付/タイムスタンプを保持することができる。これは、類似事象(「昼食用ピザ」として)、又は異なる事象(それぞれ、「夕食用ピザ」と比較した「昼食用ピザ」、又は「昼食用パスタ」と比較した「昼食用ピザ」)の異なるインスタンスの影響を容易に比較することを可能にする。
【0048】
この点において、データのグラフ表示は、誰もが特定の事象に対する自分の身体の反応についての感受性を養うことを可能にする上で非常に重要である。これはまた、測定されたパラメータの値のシーケンスにより表されるこれらの反応は、患者にとって個人的に意味がある事象又は状況に関連したものであるときに最も良く理解されるからでもある。これは、持続グルコースデータを記録し、意味があるデータセグメイトを強調及び格納して、適切なデータ比較を行う組み合わせ方法により達成される。
【0049】
例えば、本発明により、公知の食事課題に対する個々の反応を比較するための持続グルコースモニタリングの使用が可能になる。「昼食用ピザ」など、2つ以上の機会に関して繰り返される食事反応実験により、患者及び担当医者は、意味のあるCGMデータ比較を行い、これによって患者にとって個人的に昼食にピザを食べることの代謝上の重要性が何であるかを評価することができる。類似事象に対する患者のグルコース反応が確かに類似する場合、患者は、自分の管理及び自己認識のレベルに関して正のフィードバックを受け取る。患者のグルコース反応が類似していない場合、患者及び医者は、「食物以外のどの変数が原因で異なるグルコース反応が生じた可能性があるのか?」など、因果関係に関する重要な質問をすることができる。恐らく、その理由は、インシュリンボーラスの量又はタイミング、又は問題の食事実験の前の極めて異なるタイプ又は数量の食物の消費の変動から来るものであろう。重要なことは、CGMが事象ベースの糖血症反応の比較を可能にする豊かな情報源であることである。事象ベースの糖血症反応を比較できることは、糖尿病の人及び担当医にとって極めて有益なことである。同じ比較方法を用いて、運動事象、移動、ホルモン類、ストレス、その他に関する知識を深めることができる。
【0050】
しばらくすると、ユーザのデータベースが構築され、そのうちにデータベースにはある数の記録が収容され、好ましくは、所与の課題(例えば、特定の食事)に対するユーザの身体の「一般的な」(及び良好な)反応に関する記録が、ユーザ(又はそのHCP)により「テンプレート記録」として既にマークされ、これらは、理想化された事象反応曲線及び/又は一般的な事象反応曲線である。後日に同じ課題に直面すると、ユーザは、テンプレート記録に対応する形状をリアルタイム測定シーケンスのタイムライン上に表示し、その形状の開始を現在の事象のタイミングと整合させることができる。その後、ユーザは、ディスプレイ上で、格納された一般的な良好な反応と自分のグルコースレベルの現在の経過を現時点で比較することができる。経過が本質的に早期の事象に追従する限り、ユーザは、全て良好であると仮定することができる。相当な偏差がある場合、ユーザは、対応措置について決めるために、例えばbG測定を行うことを考慮することができる。
【0051】
本方法は、形状全体を通じてCGMメタデータの視認、比較及び区別に依存する。単純な一貫したグラフ規定は、意味のある視覚表現形式を形成することにとって必須である。この点に関して、相対比較は絶対値よりも好ましい。しかしながら、同時に表示されている全ての測定値は、等しい値及び時間スケール上に表示されるべきであり、すなわち、Xスケール及びYスケール(例えば時間及びグルコース分解能)は、ディスプレイ間の相対歪み(特に異なる縦横比の使用)に起因して、意味のある分析及び比較が損なわれるので、全ての形状を表示するために一貫したものでなければならず、縦横比が変わった場合、形状はグラフに歪が発生する。表示された形状の値及び時間スケールが常に同じものであり、同時に表示されない形状でさえも容易に比較できるのが確保されることがより好ましい。このような厳しい規定を設定することにより、自己管理能力の取得が促進され、ユーザ側での誤解が回避される。意味のあるCMパターン解析のために最も効果的なスケーリングは、患者に依存するので、統計的分析を通じて決定され、ユーザ試験により確認される必要がある。
【0052】
ユーザインタフェースがサムネイル図を特徴として備える場合、これらの図は、プリセット値及び時間スケールに比例して拡大縮小されるのが好ましく、すなわち、サムネイル形状は、通常表示された形状の縮小表現である。この種の「均一な拡縮」では、形状自体が変わらないが、サイズだけが変わる。これは、互いの間で、並びに通常のより大きな形状とサムネイル形状を比較することを可能にする。更に、シーケンスの記録持続時間は、サムネイル形状自体から容易に認識することができる。
【0053】
好ましくは、本方法は、測定値シーケンスが、リアルタイム測定値で連続的に動的に補完され、且つ測定値及び格納された記録の表示がこれに相応して連続的に更新される、リアルタイムモードを特徴として備える。これは、パラメータの実際の性能のリアルタイムモニタリング及び早期のシーケンスとの比較を可能にする。有利には、形状比較は、例えば、格納された形状をリアルタイムタイムライン上に重畳することによって、リアルタイムタイムライン上で行うことができる。更に、現在のグルコース値及びbG傾向をリアルタイム表示で示すことができる。
【0054】
優先的に、本方法は、その測定値のシーケンスをデータベース内に以前に格納されたシーケンスとの自動比較を可能にし、この比較は、シーケンスのグラフ特性、統計特性及び/又はメタデータ特性を伴う。この自動比較段階は、パターン認識、又は公知の統計的手法などの他の方法に基づくことができる。これは、ユーザに、データベース内に既に格納され、且つ例えばパラメータの現在の性能に適合する記録に関する情報を自動的に提供することを可能にする。更に、プログラムは蓄積された個人データからパターンを検出するように学習するので、比較又は記録に対する自動プロンプトが可能になる。
【0055】
データ管理及び表示を改善させるために、本発明の方法は、有利には、所与の時間スパンに属する幾つかの測定を収集する段階と、表示されることになる平均値を構成するために収集された値を平均化する段階を更に含む。1分以下の時間的分解能によるグルコースレベルの情報をユーザが有することは、通常は必要ではない。逆に、このようなスケール上で測定されたパラメータの変動は、5〜30分のスケールで通常発生する生理的に重要な態様から逸脱する可能性がある。標準的なCMデータ分析においては、臨床的に関連する時間間隔は約15分である。しかしながら、測定頻度が約15分より多い場合、グラフ表示を単純化し且つ一般的な傾向を強調するために、多数の測定値を平均化することができる。いずれの場合においても、意味のあるCMパターン解析の最も効果的な時間/分解能は、統計的分析を通じて決定され、ユーザ試験により確認される必要がある。
【0056】
好ましくは、平均化された値は表示されるだけでなく、データベース内に格納される。これにより、持続グルコース測定機器のタイプ又は構成とは関係のない一貫したデータ登録が確保される。
【0057】
加えて、初期の測定値のシーケンスをデータベース内に格納することができる。これは、例えば、時間的分解能がその後に変更された場合に平均値を再計算することが可能になる。初期値が必要とされるのは極めて稀であるので、ユーザ装置上で必要メモリを少なく維持するために、初期値がバックアップメディア(パーソナルコンピュータのパソコンの大容量記憶装置など)に定期的に転送されることが好適とすることができる。
【0058】
中間時間に対応する、すなわち測定値の間又は平均化された値の間のパラメータの補間値が計算される場合には、表示された形状の有効性を更に改善させることができる。このようにして、滑らかな曲線セグメントが生成される。これは、上述した平均化法と組み合わせると更に有用である。平均化法では、記録されたパラメータ値の「階段状の」経過をもたらす不必要な短時間情報が排除され、すなわち、その後の補間により、「階段」が平滑化されて、滑らかな曲線セグメントが提供される。異なる事象に対応する滑らかな曲線は、階段状の図又は短時間の詳細を示す曲線よりも容易に比較することができる。
【0059】
他の有利な実施形態及び特徴部の組合せは、以下の詳細な説明及び請求項全体から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】人体内又は人体上で測定された時間依存パラメータの測定値の時間的シーケンスを処理する本発明のシステムの概略図である。
【図2A】本発明の時系列グルコースデータから容易に知覚可能な形状への変換の概略図である。
【図2B】本発明の時系列グルコースデータから容易に知覚可能な形状への変換の概略図である。
【図2C】本発明の時系列グルコースデータから容易に知覚可能な形状への変換の概略図である。
【図2D】本発明の時系列グルコースデータから容易に知覚可能な形状への変換の概略図である。
【図2E】本発明の時系列グルコースデータから容易に知覚可能な形状への変換の概略図である。
【図2F】本発明の時系列グルコースデータから容易に知覚可能な形状への変換の概略図である。
【図3】測定値の時間的シーケンスの処理の概略図である。
【図4】ユーザインタフェースディスプレイ上に表示される形状の概略図である。
【図5】異なる長さのシーケンスに対応する形状の提示を視覚化する図である。
【図6】演算及び表示機器上に表示されるグラフィカルユーザインタフェースの形状メニューを示す図である。
【図7A】時間間隔の終点を定義するため時間点を設定するか、又はグルコースレベルを入力することにより時間間隔を定義するユーザダイアログを示す図である。
【図7B】時間間隔の終点を定義するため時間点を設定するか、又はグルコースレベルを入力することにより時間間隔を定義するユーザダイアログを示す図である。
【図7C】1つ又は複数の新しい形状の自動作成をパラメータ化するユーザダイアログを示す図である。
【図8】データベース内への形状の格納とデータベースからの形状の検索をそれぞれ行うためのディレクトリ構造を示す図である。
【図9】所与のディレクトリ内の形状のサムネイル図である。
【図10】記録の詳細図である。
【図11】システムのリアルタイムモードの表示を示す図である。
【図12】リアルタイムライン及びテンプレート形状の同時グラフ表示を示す図である。
【図13】自動比較プロセスを示す図である。
【図14】予め記録されたデータから時間間隔を選ぶグラフィカルユーザインタフェースを示す図である。
【図15】2つの形状の比較に関する表示図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
各図面を用いて実施形態を説明する。各図において、同じ構成部品には同じ参照記号が与えられている。
【0062】
図1は、人体内又は人体上で測定された時間依存パラメータ、すなわちグルコースレベル(例えば、血糖(bG)レベル)の測定値の時間的シーケンスを処理する本発明のシステムの概略図である。システム1は、グルコース測定装置100並びに演算及び表示機器200を含む。2つの装置は、無線RF接続部300によりリンクされる。
【0063】
特定の実施例において、グルコース測定装置100は、人体上に配置されることになり、電気化学(或いは:光度測定の)グルコースセンサ110を用いて組織液中のグルコース値を連続的に測定する。測定装置100は更に、中央演算装置(CPU)120、CPU120に接続された記憶装置130、及びインタフェースユニット140を含む追加の身体部品を備える。CPU120は、センサ110を制御し、実際に測定された血糖値を記憶装置130内に周期的に格納する。測定を行う適切な頻度は、1時間につき10(すなわち、6分毎の測定)から600(すなわち10秒毎の測定)の測定である。周期的に、記憶装置130に格納される測定値は、無線RF接続部300によってグルコース測定装置100に伝達される。この目的のために、伝達されることになるデータは、最初に、CPU120によりインタフェースユニット140に伝達される。インタフェースユニット140は、送信されることになるデータを前処理し、この前処理段階は、データの暗号化を含むことができる。更に、インタフェースユニット140は、アンテナ141にリンクされたトランシーバを含む。
【0064】
RF信号は、演算及び表示機器200のアンテナ241により受信される。この機器は、トランシーバ並びに受信信号及び伝達されることになる信号(下記を参照)を処理するための処理段を含む、アンテナに接続されたインタフェースユニット240を更に備える。機器200は、記憶装置230、追加のインタフェースユニット250、ユーザ入力デバイス260、及び、ディスプレイ270に接続される中央演算装置(CPU)220により制御される。受信された測定値は、記憶装置230に格納されると共に、CPU220により制御されるディスプレイ270上に表示することができる。追加のインタフェースユニット250によって、演算及び表示機器200は、患者又は医療提供者のパーソナルコンピュータ(PC)などの更なる電子装置、或いはインシュリン供給装置、血糖計、携帯電話、個人用携帯情報端末(「PDA」)などの更なるデータ収集及び/又は記憶装置にリンクすることができる。これは、データベースに格納されるメタデータ(インシュリン適用のタイミング及び割合、個々の血糖測定の結果、ユーザの活動、その他)の少なくとも一部を自動的に取得することを可能にする。
【0065】
無線RF接続部300はまた、グルコース測定装置100から演算及び表示機器200に測定値を伝達することに加えて、例えば、測定頻度を変更するため、或いは、伝達が機器200により通常開始される場合(ポーリングモード)、グルコース測定装置100上に格納されたデータの伝達を開始するために、機器200から測定装置100に制御データを伝達する役目を果たす。
【0066】
演算及び表示機器200は、個人用携帯情報端末(PDA、携帯型音楽プレーヤ/携帯型マルチメディアプレーヤを含む)、パーソナルコンピュータ、携帯電話又はスマートフォン、薬物注入ポンプ用の専用リモコン、例えば、手持ち式血糖計、更に好ましくはストリップベースの血糖計のようなグルコース測定装置などの分析物測定装置又はその組合せにより実施することができる。これらの装置の一部は通常、上述した構成部品の大部分又は全てを含み、一例として、PDAは通常、無線並びに有線ベースの接続インタフェース(例えば、それぞれ、ブルートゥース及びUSB)、かなり強力なCPU、記憶手段(例えば内部フラッシュ記憶装置及び交換可能なメモリーカード)、ユーザ入力デバイス(キー、タッチパッド、タッチスクリーンなど)並びにディスプレイ(例えば高解像度色LCDディスプレイ)を備えることを特徴とする。従って、これらの場合、PDAは、本システムの所望の機能性を可能にする実際の機器200に適合した特定のソフトウェアを提供するのに十分である。
【0067】
図2A〜図Fは、時系列グルコースデータから容易に知覚可能な形状への本発明の変換の基本概略図である。このような形状を構築するために、異なる時間に対応する少なくとも3つの時間値データペア(t、G)の2.1、2.2、2.3が必要である(図2A)。第1のデータペア2.1は、形状の時間的開始点に関し、最後のデータペア2.3は、その終点に関する。中間にあるデータペア2.2の数は、時間間隔の長さ及び所望の分解能に従って異なる場合がある。データペア2.1、2.2、2.3は、所与の時点をその瞬間に測定された血糖(bG)値と関係付ける。データペア2.1、2.2、2.3は、横軸3上に時間、縦軸4上にbG値を有する二次元座標系で表される。形状を構築するために、bG目標値に対応する基準線15が必要である(図2b)。水平基準線15に対応するbG値は、それぞれユーザ又はそのHCPが設定することができる。
【0068】
次に、連続的データペア2.1、2.2、2.3に対応する座標系内の点は、曲線5(図2C)を構築する線5.1、5.2によって互いに接続される。その後、例えば特定の色で塗りつぶすことによって(図2D)、曲線5及び基準線15(すなわち、基準線15の両側の「曲線下の区域」)により範囲が定められた幾何学的区域6が強調表示される。図2D、図2E及び図2Fからわかるように、基準線15の位置が変更された場合には、形状の外観は異なるものとなる。
【0069】
図3は、グルコース測定装置100により伝達されて、演算及び表示機器200の記憶装置230内に最初に格納される測定値の時間的シーケンスの処理の概略図である。曲線10を構築する幾つかの時間値データペアで表される測定は、1時間につき20個の測定値(3分毎に1つの格納測定値)又はそれ以上のような、高い時間的分解能を有する。最初に、ユーザは、血糖レベルに関する特定事象及びこの事象の結果を表す時間間隔11(下記を参照)を定義する。時間間隔11の持続時間は、例えば3時間である。この時間間隔11に属する測定値は分離される(曲線12)。
【0070】
更なる段階において、このデータを所与の長さ(例えば15分)のセグメント13.1...13.nに平均化する、すなわち所与の実施例において、一度に5つの測定値が平均化され、この平均は、それぞれのセグメント13.1...13.nの血糖値を表す。この段階により短時間スケールで情報が抑制される。
【0071】
次に、このような(多項式フィット、スプラインなどによる補間)ものとして知られる手段により、平均値13.1...13.nから滑らかな曲線14が生成される。
最後に、曲線形状を強調するために、曲線14と基準線15との間の区域は、「ベタ塗り」形状16として表示される。この境界付けられた簡略形状16は、広範囲の(過度に)詳細な初期曲線10よりも、この種類の他の形状16との目視比較に遙かに好適である。
【0072】
図4は、ユーザインタフェースディスプレイ上に表示される形状の概略図である。形状20は、上述のような平均化及び円滑化により未処理の測定値から得られた曲線21で、並びに曲線21と基準線23の間にある区域22で構成される。これらの区域22は、ベタ塗りにより強調表示される。基準線23よりも上方にある区域22は、「山」24として読み取られ記憶することができ、一方、基準線23より下方にある区域22は、「谷」25として読み取られて記憶することができる。形状20は、ワイヤグリッド26に表示され、曲線21の絶対値は、時間値及びグルコースレベル値がそれぞれ表記された軸線27、28から読み取ることができる。
【0073】
図5は、異なる長さのシーケンスに対応する形状の表示を視覚化する図である。例証として、長さが5時間の例示的な形状30が選択される。完全な形状30がユーザインタフェース上で、又は2時間セグメント31、3時間セグメント32又は4時間セグメント33だけが表示されることになるか否かに関係なく、これらの形状が同時に又は1つずつ表示されるかどうかに拘わらず、時間並びにグルコース値軸線のスケーリングは常に同じである。これにより、異なる形状間の簡単な比較が確保される。シーケンスの典型的な最大長さ(例えば6時間)及び患者のグルコースレベルの通常の変動(例えば50〜350mg/dl)が既知になると、スケールを固定してこれ以上変更しないようにする必要がある。これによって、ある程度熟練した後、ユーザは、例えば軸線ラベルを見る必要もなく一目で形状の本質的な態様を把握できるようになる。
【0074】
図6は、演算及び表示機器上に表示されるグラフィカルユーザインタフェースの形状メニューを示す。所与の実施例において、グラフィカルユーザインタフェースは、Appleのipodインタフェースに似たものである。これに応じて、メニュー選択肢からの選択又はパラメータ調整は、Clickwheelを用いてを行うことができる。しかしながら、タッチスクリーン、タッチパッド又は従来のキー及び/又は他ユーザインタフェース(Microsoft Windowsのような)などの他の入力手段も適切である。対応するメニュー構造をPDA、携帯電話/スマートフォンなどの他の機器上で実現してもよい。
【0075】
図6に示すメニュー40は、以下の選択肢から選ぶことを可能にする。
a)新しい形状
b)形式/名前による閲覧
c)日付/時間による閲覧
d)パターンファインダ
e)リマインダ
f)選好
g)ヘルプ
【0076】
新しい形状は、選択肢a)を選ぶことにより生成することができる。図7A〜図7Cは、測定された血糖値が形状に寄与することになる時間間隔を定義する3つの異なる選択肢を示す。図7A、図7Bに表示されるユーザダイアログは、単一の新しい形状の作成に関する。これら両方のダイアログは、現在時刻(「午前11時32分」)及び/又は現在の血糖値(「189mg/dl」)を示す。初期設定では、生成される形状の開始時間(時間間隔の出発点)41は、現在時刻(「午前11時32分」)に対応する。図7Aに表示されたユーザダイアログを介して、停止時間(時間間隔の終点)42(「午後2時32分」)は、開始時刻41に幾つかの丸1時間43(「3時間」)を追加することにより、すなわち、形状に寄与する時間間隔の長さを選ぶことによって定義することができる。図7Bに表示されるユーザダイアログを介して、停止時間は、予め設定された血糖(bG)値44(「125mg/dl」)を示すことにより定義される。この時間間隔は、この値になるとすぐに終了することになる。1つの値(それぞれ時間オフセット43又はbG値44)だけを選ばれなければならないことに起因して、時間間隔の定義は極めて簡単で迅速である。新しい形状を生成する途中で、ユーザは、名前を入力するように促されることになる。この名前は、対応する事象に関する短く意味がある説明(例えば「ピザ」又は「昼食用ピザ」でも)である必要があり、一種の「ファイル名」の役目を果たすことになる。これは、事象の主要な識別子(時間と日付、炭水化物の量、インシュリンボーラスの割合、その他などの更なるメタデータ、下記を参照されたい)の1つである。
【0077】
図7Cに表示されるユーザダイアログは、1つ又は複数の新しい形状の自動作成に関する。このユーザダイアログにより、ユーザは、幾つかの選択パラメータを入力することができ、該パラメータは、測定された血糖経過の選択パラメータに適合する部分に対応する新しい形状を生成するために後で使用される。最初に、ユーザは、開始日47a及び停止日47b並びに開始時間46a及び停止時間46bを定義することができる。入力済み日付内と入力済み時間内に共に位置する経過部分だけが考慮される。図7Cに示す実施例において、2007年10月13日〜18日のいずれかに起きた全ての事象が考慮される。選ばれた時間間隔は完全に過去であるか、完全に将来、又は現在時間を対象することができる。従って、データ収集は、既に収集されたデータに全体的に基づくことになるか、或いは、将来のデータを含むことができ、その場合、所要データが利用可能になるとすぐに対応する記録がリアルタイムで作成されることになる。
【0078】
更に、ユーザは、考慮されることになる事象タイプを定義する。この実施例において、予め定義されたタイプA及びCの食事(チェックボックス48)が考慮されることになり、タイプB、D及びEの食事並びにボーラス投与(チェックボックス49)は考慮されない。最後に、ユーザは形状を、開始オフセット45(この実施例ではトリガ事象よりも60分早く)並びに形状に寄与する時間間隔の停止時間に選ぶ。この実施例において、停止時間は、予め設定された血糖(bG)値44(「125mg/dl」)を示すことにより定義される。この時間間隔は、この値になるとすぐに終了することになる。
【0079】
更なるメタデータは、ユーザに問合わせることにより、或いは、インシュリン供給装置、血糖計、携帯電話、個人用携帯情報端末(「PDA」)、その他などの外部装置、又はパーソナルコンピュータにより収集し、自動的にデータベースに格納することができる。
【0080】
15分セグメントから成る標準化された形状を取得するために、グルコースベースの時間間隔は、直近の時間まで記録される。いずれにおいても、最大記録時間は6時間に制限される。これにより事象関連への準拠が確保され、形状を表示するための最大長さが定義され、これは、所定の固定スケールで形状を表示する観点において重要なことである。
【0081】
図6に示すような形状メニューから選択肢b)及びc)を選ぶことにより、
異なる基準を利用してデータベース内に事前に格納されている形状を検索することができる。形状は、タイプ及び名前により(図7、下記のコメントを参照)、又は日付及び時間により閲覧することができる。
【0082】
選択肢d)は、パターン、すなわち特定の形状に適合する形状を早期に見つけることを可能にする。選択肢e)は、リマインダを定義、編集、及び削除することを可能にする。これらのリマインダは、幾つかの事象、すなわち特定の時間周期の経過(秒読み)、特定の時点、特定のグルコースレベルへの到達又はグルコースレベルに関する予め定義された事象(最大値/最低限の通過、bG勾配の超過、その他)によりトリガーすることができる。リマインダは、単なる警告機能を有することができ、或いは、情報を提供するようにユーザに勧めるか、又は特定の行動(新しい形状を生成するため測定を記録し始めるような)を提案するプロンプトと組み合わせて表示することができる。選択肢f)を選ぶことにより、特定のユーザ選好(表示輝度及びコントラスト、色、スクリーンセーバ、グラフ選択肢、その他)を編集することができる。最後に、選択肢g)では、ソフトウェアの使用についての様々な文書へのアクセスを可能にするヘルプメニューを表示する。
【0083】
図8は、データベース内への形状の格納とデータベースからの形状の検索をそれぞれ行うためのディレクトリ構造を示し、ここで形状は、事象タイプにより階層的にグループ化される。第1の(最上)レベルでは、事象は、摂取に関係する事象51及び身体活動に関係する事象52を含む2つのグループ(「食物」、「活動」)に分けられる。第2のレベルでは、事象は、特定の関連(所与の実施例において、摂取事象において朝食、昼食、夕食、軽食、並びに。身体活動事象において、散歩、自転車乗りなど)に関する指定の事象タイプ53に更に分けられる。ユーザは、自由にカスタム事象タイプ及び/又はグループを更に作成することができる。
【0084】
所与の事象タイプディレクトリが選択されると、図9に示すように、収容された記録(「サンドイッチ、パスタ、ピザ、サラダ」)が表示される。これは、所与のディレクトリ内の全ての事象のサムネイル表現54並びに全ての表示された記録に割り当てられる名前55を含む。タイトルバー56は、事象タイプ(「昼食」)の名前に対応するディレクトリの名前を示す。更に現在強調表示されている記録57については、日付及び曜日58(「6月12日月曜」)並びに最新の記録された出来事の時間及び時間間隔59が表示される。時間及び時間間隔の情報59は、時計文字盤のマーク付セグメントとして示される。これは、関連情報を迅速に特定することを可能にする。
【0085】
図10は、図9に表示される事象ディレクトリから選ばれると表われる記録の詳細図を示す。この詳細図は、図9と関連して上述された情報、すなわち記録(「ピザ」)の名前60並びに直近に記録された出来事の形状61、日付/曜日62(「6月12日月曜」)及び時間/時間間隔63を示す。ディスプレイ下部では、食事の炭水化物の量64(「炭水化物125g」)、インシュリンボーラス65の割合及びインシュリンタイプ(「インシュリン10単位(Humalog))、並びにユーザにより提供された注記66(例えば、食事の成分に関するか又は特別な状況に関する更なる情報、すなわち所与の実施例において「キノコ、過剰なチーズ、朝食抜きの注記」)など、表示された出来事に関する追加表示情報が提示されている。注記は、いつでも提示又は修正することができる。しかしながら、正確な情報を確保するために、ユーザは、記録の作成直後に情報を入力するように促される。
【0086】
初期設定では、直前に記録された出来事が表示される。しかしながら、同じ事象の前の出来事にはプルダウンメニュー67によって簡単にアクセスすることができる。特定の課題に対する自分の身体の典型的で良好な反応であるとユーザが考える特定の出来事に対応する形状を「テンプレート形状」とマークすることができる。これらの形状は、対応するアイコンにより強調表示され、更に比較で使用することができる(下図12を参照)。同様に、異常反応に対応する形状は、異常形状としてマークすることができる。
【0087】
図11及び図12は、形状の記録中のシステムのリアルタイムモードにおけるディスプレイを示している。図11は、患者の血糖レベルの目標値に対応する基準線70及び最後の時間中のbGレベルの経過を示す曲線71を含む、リアルタイムタイムラインを示す。軸線のスケールは、上述した所定の固定スケールに対応する。グルコースレベルの現在値を表す曲線71の点72がマークされ、mg/dl単位の現在のbGレベル73が数字(189)で記載されている。現在時刻(表示グラフにおいてもマークされている)の前の特定の時間間隔に基づいて、bG傾向74が計算され、更に表示される。更にまた、メモ名75(「ピザ」)、記録間隔76及び間隔の経過時間対間隔の合計時間を示す経過バー77が表示されている。
【0088】
形状の記録中(或いは、後の段階で)、ユーザは、リアルタイムタイムライン(図12を参照)上での所定位置における形状比較を可能にする比較モードを起動させることができる。比較モードにおいて、あらゆる保存された形状78は、手動又は自動的にリアルタイムタイムラインにロードすることができる。手動モードにおいて、ロードされる形状は、上記の図8及び図9に関連して説明した通常メニュー構造から選ぶことができる。ロードされた形状78と共に、そのメモ名79(「コーヒー+クロワッサン」)が表示される。ロードされた形状78は、比較ニーズに応じて、リアルタイムタイムラインに沿ってシフトさせることができるが、元の日付80及びタイムスタンプ81(「6月11日日曜」)は常に保持される。詳細には、ユーザは、特定の課題(「コーヒー+クロワッサン」など)に対するユーザの身体の通常の良好な反応を表すテンプレート形状78を選択することができる。これらのテンプレートを選択することは、対応するデータベース記録(上記を参照)のユーザ提供マーキングにより可能にされる。同じ課題に直面すると、ユーザは、形状の開始を現在の事象のタイミングと位置合わせした、テンプレート記録に対応する形状をリアルタイムシーケンスのタイムライン上に表示することができる。その後、血糖レベルの現在の経過は、異常検出のために、格納されたテンプレート反応と比較することができる。
【0089】
自動モードにおいて、保存された形状のデータベースは、可能な限り密接に現在のbG経過に適合する形状をサーチする。比較方法は、現在のリアルタイム経過と全ての形状との間の類似点が格付けされる(例えば、時間軸線に沿ってx距離の合計を計算することにより)格付け方法を含むことができる。
【0090】
図13は自動比較方法を示す。血糖レベルの格納された形状又はリアルタイム経過は、以前にデータベースに格納された形状と比較することができる。適合する形状が検出された場合、図13に示したプロンプト82が表示される。(「パターン検出。「昼食:ピザ」の前のバージョンと比較しますか。その他/いいえ/はい」)。ユーザは、対応する形状をタイムラインにロードする(「はい」)、又はそれぞれ同時に両方の形状を表示する(以下を参照、図15)、別の適合する形状をサーチする(「その他」)、或いはサーチをキャンセルする(「いいえ」)可能性がある。システムは、蓄積された個人データから学習し、データベース内により多くのデータが格納されるにつれて、より良好な適合が得られることになる。
【0091】
本発明の関連において、図7A、図7Bに関連して上述したようにその出発点において時間間隔を定義できるだけでなく、後で時間間隔中に、或いは時間間隔が終了した後でもその時間間隔を定義することが可能である。この目的のために、測定装置から受信された測定値は、リアルタイム前の特定の時間スパン(例えば36時間)の間のグルコースレベルの経過が常に利用可能であるように、演算及び表示機器の記憶装置内に連続的に格納される。図14は、予め記録されたデータから時間間隔を選ぶためのグラフィカルユーザインタフェースを示している。グルコースレベルの経過は、時間及び日付情報84(「6月13日火曜日」、「14 16 18...02」)と共に曲線83として表示される。開始バー85並びに終了バー86をシフトすることにより、ユーザは、測定された血糖値が新しい形状に寄与するものとする時間間隔を定義することができる。1時間のセグメントから成る標準化された形状を得るために、選んだ時間間隔は次の丸1時間まで拡張される。この場合もやはり、最大記録時間は、事象関連への準拠を保証するために6時間に制限される。
【0092】
ユーザが時間間隔を定義した後、新しい形状が図3に関連して上述したように自動的に生成される。その後、ユーザは、表題及び説明など更なる情報に関する新しいインスタンスを修正することができる。最後に、形状は、事象タイプディレクトリ(上記及び図8を参照)内に格納され、既存の記録又は新しい記録に割り当てられる。
【0093】
ユーザによって生理的パラメータの経過が依然として利用可能且つアクセス可能である時間間隔は、約1〜2日に制限されるように意図的に選ばれ、時間間隔及び対応する事象に関係するユーザ供給情報(食物摂食、身体活動、その他)が可能な限り正確であることを保証するようにする。原理的に、より長い時間スパンに関係付けられた情報を装置に格納することは可能であるが、この情報は、新しいインスタンス及び記録を生成するには適格とすべきではない。しかしながら、患者のHCPには有益なものである可能性がある。
【0094】
血糖レベルの現在の経過とデータベース内に格納された既存の形状との比較は、図12に関連して上述されている。データベース内に格納された2つの形状間の比較を行うことも可能である。図15は、このような2つの形状87、88の比較についてのグラフ表現の図である。両方の形状87、88は、重畳した状態で表示されており、ここでの形状は、異なる色、パターン及び/又はハッチングにより区別される。この所与の実施例において、5月5日の時間スパンから生成された第1の形状87(ベタ塗り)並びに6月12日の時間間隔からの第2の形状88(斜線)が表示されている。第1の形状87は、背景で表示されており、第2の形状88は前景で表示されている。第1又は第2の形状の現在値が高いかどうかに拘わらず、両方の形状87、88についての全情報をユーザに提供するために、背景形状87の境界線は破線で示されており、ここでは背景形状87の値は、前景形状88よりも小さく、従って、背景形状87は他方の形状88の後ろに隠れている。
【0095】
図15において表された図から、ユーザは、2つの形状の間の共通性並びに相違性を直ちに特定することができる。
【0096】
本発明によるシステムは、ユーザ及び/又はそのHCPに以下の可能性を更に提供することになる。
a)メタデータ(例えば記録のタイトル及び説明)を編集する、
b)指定された場所において、詳細には、上述のようにユーザ定義可能なフォルダ内に記録を保存する、
c)表示用に記録を呼び出す、
d)異なる基準(日付、時間、タイトル、説明、その他)に従って記録をサーチする、
e)異なる基準(bGレベルの値、日付、時間、持続時間、タイトル、説明、その他)に従って記録をソートする、
f)記録を削除する、
g)例えば更なるインタフェースユニットを介してパーソナルコンピュータに記録をエクスポートする、
及び/又は
h)形状比較を行う。
【0097】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。機能性自体並びにグラフィカルユーザインタフェースは、多くの方法で改変することができる。詳細には、これらは、使用される演算及び表示機器、特に入力手段、表示の種類、表示サイズ、演算能力、メモリーサイズ、その他に適合させることができる。
【0098】
持続グルコース測定(CGM)は、血糖(bG)レベルの測定に限定されるのではなく、例えば、組織液中で測定されるグルコースレベルなど、他のグルコースレベルを対象とすることができる。
【0099】
要約すると、本発明は、人体内又は人体上で測定される時間依存パラメータ、特に生理的グルコース濃度の測定値の時間的シーケンスを処理する方法並びにシステムを提供し、これにより患者が自分の治療に関する自己管理能力を向上できるようにする点に留意されたい。
【符号の説明】
【0100】
1 システム
2.1、2.2、2.3 データペア
3 軸
4 軸
5 曲線
5.1、5.2 曲線
6 区域
10 曲線
11 間隔
12 曲線
13.1...13n セグメント
14 曲線
15 基準線
16 形状
20 形状
21 曲線
22 区域
23 基準線
24 山
25 谷
26 ワイヤグリッド
27 軸
28 軸
30 形状
31 セグメント
32 セグメント
33 セグメント
40 メニュー
41 開始時間
42 停止時間
43 時間
44 血糖(bG)値
45 開始オフセット
46a 開始時間
46b 停止時間
47a 開始日
47b 停止日
48 チェックボックス
49 チェックボックス
51 事象
52 事象
53 事象タイプ
54 サムネイル図
55 名前
56 タイトルバー
57 記録
58 日付及び曜日
59 時間及び間隔
60 名前
61 形状
62 日付/曜日
63 時間/間隔
64 炭水化物量
65 インシュリンボーラス
66 注記
67 プルダウンメニュー
70 基準線
71 曲線
72 点
73 bGレベル
74 bG傾向
75 名前
76 記録間隔
77 経過バー
77 形状
79 名前
80 日付
81 タイムスタンプ
82 プロンプト
83 曲線
84 時間及び日付情報
85 開始バー
86 終了バー
87 形状
88 形状
100 グルコース測定装置
200 演算及び表示機器
220 中央演算処理装置(CPU)
230 記憶装置
240 インタフェースユニット
241 アンテナ
250 インタフェースユニット
260 ユーザ入力デバイス
270 ディスプレイ
300 無線RF接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体内又は人体上で測定された時間依存パラメータ、特に生理的グルコース濃度の測定値の時間的シーケンス(10)を処理する方法であって、
a)前記測定値のシーケンス(10)の時間セグメントをデータベース内に記録(57)として格納する段階と、
b)前記格納されたセグメントの測定値(30、31、32、33、54、61、78、86、87)のうちの少なくとも3つをユーザインタフェースディスプレイ(270)上に同時にグラフ表示する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記セグメントの時間的開始点(41、84)及び終点(42、44、85)が定義され、前記開始点(41、84)と前記終点(42、44、85)との間にある前記シーケンス(10)の測定値が、前記データベース内に格納されることになる前記記録(57)内に含まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の記録(57)を幾つかの選択パラメータ(44、45、46a、46b、47a、47b、48、49)に従って自動的に作成することができ、時間的開始点(41、84)及び時間的終点(42、44、85)を各々が有する複数のセグメントが、前記選択パラメータ(44、45、46a、46b、47a、47b、48、49)に従って前記時間的シーケンス(10)の測定値から選択され、各選択セグメントにおいて、前記データベース内に格納される記録(57)が生成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも3つの測定値の値が、基準線に対する時間値データペアとして時間値座標系で表示される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の1項に記載の方法。
【請求項5】
時間的に隣接したデータペアが、曲線を構成するように接続され、前記曲線と前記基準線との間の幾何学的な区域が強調表示されて、前記格納された時間セグメントに対応する特性形状を構成する、
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基準線が、前記パラメータの目標又は閾値値のような基準値(15、23、70)に対応する、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基準値(15、23、70)が、ユーザにより変更可能であり、前記データベース内に格納された全てのデータが、変更された基準値に従って更新されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記記録(57)が、前記時間セグメントに関連したメタデータ、特に以下の少なくとも1つで補完される、
ことを特徴とする請求項1から請求項7の1項に記載の方法。
a)ユーザにより提供された前記セグメントを特定する説明(55、60、75)、
b)前記セグメントの開始点及び終点(41、42、44、84、85)、
c)時間及び/又は日付情報(58、59、62、76、79、80、83)、
d)前記人体内又は前記人体上で測定されたパラメータの相補的測定値、
及び/又は
e)業務日誌注釈などのユーザ指定の注記。
【請求項9】
前記メタデータの少なくとも一部が、インシュリン供給装置、血糖計、携帯電話、個人用携帯情報端末(PDA)又はパーソナルコンピュータなどの1つ又はそれ以上のデータ収集装置及び/又は記憶装置から通信リンクを介して自動的に取得される、
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記格納された記録(57)が、特に前記ユーザが以下のことの少なくとも1つを行うことができるようにして、ユーザにより編集可能及び/又は管理可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
a)メタデータを編集する、
b)指定された場所にて、特にユーザ定義可能なフォルダ(53)内に記録を保存する、
c)記録を呼び出す、
d)記録をサーチする、
e)記録をソートする、
f)記録を削除する、
g)記録をエクスポートする、
h)記録をする。
【請求項11】
前記データベース内に格納された第1のセグメント(87)の測定値と第2のセグメント(88)の測定値が同時にグラフ表示される、
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記データベース内に格納されたセグメント(78)の測定値と、リアルタイムシーケンスの測定値(71)とが同時にグラフ表示され、前記セグメント(78)のグラフ表示が、前記リアルタイム測定シーケンスのタイムラインに沿って所望の位置に配置可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
同時に表示されている全測定値が、同じ値スケール及び時間スケール(27、28)上で表示されている、
ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記測定シーケンス(71)が、リアルタイム測定値で連続的に動的に補完され、前記測定の表示及び前記格納された記録が、相応して連続的に更新される、
ことを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記測定値のシーケンスを前記データベース内に以前に格納されたセグメントと自動的に比較する段階を更に含み、前記比較が、前記シーケンス及び前記セグメントのそれぞれのグラフ特性、統計特性及び/又はメタデータ特性を伴う、
ことを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
所与の時間スパン(11)に属する幾つかの測定値(12)を収集する段階と、表示される平均値(13.1...13.n)を構成するために前記収集された測定値(12)の平均を取る段階と、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記平均値(13.1...13.n)が、前記データベース内に格納される、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
初期シーケンス(10)の測定値が、前記データベース内に更に格納される、
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
中間の時間に対応する前記パラメータの補間値が生成され、滑らかな曲線セグメント(14)が生成されるようにする、
ことを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記パラメータが、持続グルコース測定システム(100)により測定されたグルコース濃度である、
ことを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記測定が、組織液中のグルコース値を測定するために人体内又は人体上に配置された持続グルコースセンサ装置(100)によって実行され、
前記測定値が、演算及び表示機器(200)、特にPDA、パーソナルコンピュータ、携帯電話又はスマートフォン、薬物注入ポンプ用専用リモコン、分析物測定装置又はその組合せに伝達される、
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記測定値が、無線通信により、特にRF通信(300)により前記センサ装置(100)から前記演算及び表示機器(200)に伝達される、
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
人体内又は人体上で測定された時間依存パラメータ、特に生理的グルコース濃度の測定値の時間的シーケンス(10)を処理するシステムであって、
前記システムが、演算及び表示機器(200)、特にPDA、パーソナルコンピュータ、携帯電話又はスマートフォン、薬物注入ポンプ用専用リモコン、分析物測定装置又はその組合せを備え、
前記演算及び表示機器(200)が、前記時間依存パラメータの測定値の複数の時間的シーケンスを格納するデータベースを含み、前記格納されたシーケンスの測定値(30、31、32、33、54、61、78、86、87)のうちの少なくとも3つが、ユーザインタフェースディスプレイ(270)上に同時にグラフ表示されるように設計及び制御される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項24】
前記演算及び表示機器(200)が、ユーザ入力を受信する手段(260)、特に押しボタン又はタッチスクリーンと、前記ユーザ入力に応じて前記データベース内に格納されたシーケンスの編集及び/又は管理手段とを含む、
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記システムが、組織液中のグルコース値を測定するために人体内又は人体上に配置されるべき持続グルコースセンサ装置(100)を含み、
前記演算及び表示装置が、前記センサ装置(100)により実施された測定を受信する受信手段、特にRF受信器(240)を含む、
ことを特徴とする請求項23又は請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
データ処理システムにより実行されたときに、前記請求項1から請求項18に記載の方法の前記段階の各々を実行するコード手段を含むコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−508097(P2010−508097A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534974(P2009−534974)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000531
【国際公開番号】WO2008/052374
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】