説明

景品払出装置

【課題】景品が不正に抜き取られた可能性があるかどうかを監視でき、景品が不正に抜き取られた可能性がある場合には、その旨を報知することができる景品払出装置を提供する。
【解決手段】景品管理機103は、在庫確認コマンドの定期的な送信タイミングである場合には、在庫確認コマンドを景品払出機104に送信し、景品払出機104から在庫データが送られてくるのを待機する。景品管理機103は、景品払出機104からの在庫データを受信すると、受信した在庫データに基づいて、景品種類毎に、受信した在庫データと、現在の在庫管理データとが一致するか否かを判別する。少なくとも1つの景品種類において、両者が一致しないと判別した場合には、景品管理機103は、不正な景品抜取の可能性があることを係員用表示部307に表示するとともに、会員管理サーバ106に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばパチンコ玉等の遊技媒体と交換される景品を払い出すための景品払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技施設において、景品払出機と景品払出機に電気的に接続された景品管理機とを備えた景品払出装置が知られている。景品払出機で取り扱われる景品は、遊技施設において遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体の数に応じて交換される有価カード体で特殊景品とも呼ばれる。この景品は一般的に、1〜3mm程度の厚みを有する樹脂製のカードである。景品には、所定の金銭価値を有する物体が内蔵されており、たとえば、200円、1000円、5000円といった金銭価値に応じた3つの種類が存在する。
【0003】
このような景品払出システムでは、次のようにして、遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体が景品に交換されて遊技客に手渡され、遊技客が受け取った景品が景品交換所で買い取られる。
遊技客は、遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体を、遊技施設内に設置された玉計数装置に投入する。玉計数装置は、投入された遊技媒体の計数を行い、計数結果を表すバーコードが印字されたレシートを発行する。遊技客は、玉計数装置によって発行されたレシートを景品カウンタに持参して係員に手渡す。係員は遊技客から受け取ったレシートにバーコード記録されている計数結果を景品管理機に読み取らせる。景品管理機は、読み取った計数結果に基づいて払出すべき景品の種類および枚数を決定し、決定内容を含む景品払出指令を景品払出機に与える。景品払出機は、景品管理機からの景品払出指令に基づいて、景品を払出す。係員は、景品払出機から払い出された景品を遊技客に手渡す。遊技客は、受け取った景品を遊技施設外に設置された景品交換所に持参し、景品交換所にて景品に相当する価値で買い取ってもらう。
【0004】
ところで、景品は、現金と同じ価値があるため、不正防止の観点から、在庫管理を厳重に行う必要がある。従来において、在庫管理は、次のように行われている。
(a)入庫:開店準備時に、係員は、景品が空の状態の景品払出機に景品を補充し、景品種類毎の補充数を景品管理機に数値入力する。景品管理機は、入力された景品種類毎の補充数を在庫データとして記憶する。
(b)出庫(払出):景品払出し時に、景品管理機は、遊技客に払い出した景品数(出庫数)を在庫データから減算することにより、在庫データを更新する。
(c)追加入庫:営業時間中に、係員は、景品の補充を行った際に、景品種類毎の補充数を景品管理機に数値入力する。景品管理機は、入力された景品種類毎の補充数を在庫データに加算することにより、在庫データを更新する。
(d)締上処理(本締処理):閉店後、係員は、景品管理機によって在庫データを印字出力させるとともに、景品払出機から景品(現物)を回収して計数し、在庫データと現物の計数結果を比較・照合する。比較・照合が終了した後においては、回収した景品(現物)は、金庫等に保管するため、景品払出機は空の状態となる。
【0005】
営業時間内においても、当該景品払出システムを担当する係員が交代する際には、締上処理と同様な処理(中締処理)を行って、在庫データと現物の計数結果を比較・照合している。ただし、この場合には、係員は、比較・照合が終了した後に、回収した景品(現物)を景品払出機に戻す。
このように、従来の景品払出装置では、景品の在庫管理や不正防止のために、開店処理時、係員の交代時、閉店処理時の各タイミングにおいて、景品払出機内の景品数を係員が手作業で数えている。この種の景品払出機内には、一般的に複数の景品カセットが収納されている。このため、計数作業を行なうには、景品カセットを取り出して、各景品カセット内の景品数を計数する必要がある。したがって、計数作業を行なうには、手間と時間がかかる。特に、中締処理のように、営業時間内において景品数の計数作業を行なう場合には、景品交換を希望する遊技客を待たせることになる。
【0006】
そこで、本出願人は、下記の特許文献1に示すように、景品カセット毎の景品数を計数するための計数装置が搭載され、所定の条件が成立したときに、計数装置を利用して景品カセット内の景品数を自動的に計数する機能(景品計数機能)を備えた景品払出機を開発している。所定の条件が成立したときとは、たとえば、電源がオンされたとき、景品補充後に景品払出機の扉が閉鎖されたとき、係員の操作によって所定の計数指令が入力されたとき等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-017285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、景品払出機に収納されている景品は現金と同じ価値があるため、景品払出機から景品が不正に抜き取られるおそれがある。前記の景品計数機能を備えた景品払出機および景品管理機からなる従来の景品払出装置は、所定の条件が成立したときに景品を自動的に計数する機能を備えているが、景品が不正に抜き取られた可能性があるかどうかを監視する機能を備えていない。このため、不正な景品の抜き取りがあったとしても、景品管理者等はそのことを認識できないので、適切な対応をとることができない。
【0009】
また、前記の景品計数機能を備えた従来の景品払出機では、景品の計数処理が行なわれている場合には、景品払出機から景品を払出すことができなかった。このため、景品の計数処理が行なわれている際に、景品交換を希望する遊技客が現われた場合には、遊技客を待たせることになる。
この発明は、景品が不正に抜き取られた可能性があるかどうかを監視でき、景品が不正に抜き取られた可能性がある場合には、その旨を報知することができる景品払出装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、この発明は、景品の計数処理が行なわれている途中においても、景品の払出しが可能となる景品払出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、景品が収納される景品収納部と、前記景品収納部内の景品数を計数するための計数手段と、定期的に、前記計数手段を利用して、前記景品収納部内の景品数を計数する定期的計数処理手段と、前記定期的計数処理手段による計数結果と管理データに基づいて、景品の不正抜取の可能性が有るか否かを判別する判別手段と、前記判別手段によって、景品の不正抜取の可能性が有ると判別された場合には、その旨を報知する手段と、を含む景品払出装置である。
【0012】
定期的計数処理手段によって、定期的に、計数手段を利用して、景品収納部内の景品数が計数される。判別手段によって、定期的計数処理手段による計数結果と管理データに基づいて、景品の不正抜取の可能性が有るか否かが判別される。景品の不正抜取の可能性が有ると判別された場合には、その旨が報知される。
この構成によれば、景品が不正に抜き取られた可能性があるかどうかを監視できる。また、景品が不正に抜き取られた可能性がある場合には、その旨を報知できる。これにより、景品管理者、係員等は、景品の不正抜取の可能性が有ることを認識できるから、調査等の適切な対応をとることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記管理データが、景品収納部内の景品在庫に関する景品在庫データであって、景品が払出されたときに前記景品在庫データを更新する手段をさらに含む、請求項1に記載の景品払出装置である。この構成では、定期的計数処理手段による計数結果と景品在庫データとに基づいて、景品の不正抜取の可能性が有るか否かが判別される。景品在庫データは、景品が払出されたときに更新されるので景品収納部から景品が払出された場合でも、不正な景品の抜取がなければ、景品収納部内の景品在庫に対応したデータとなるはずである。したがって、定期的計数処理手段による計数結果と景品在庫データとを比較し、両者が一致しないときに、景品の不正抜取の可能性が有ると判別することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、不定期的に、前記計数手段を利用して、前記景品収納部内の景品数を計数する不定期的計数処理手段と、前記不定期的計数処理手段によって計数が行われたときに、計数結果に基づいて前記景品在庫データを更新する手段と、前記定期的計数処理手段によって計数処理が行われときには、前記判別手段による判別処理が行われた後に、計数結果に基づいて前記景品在庫データを更新する手段と、をさらに含む請求項2に記載の景品払出装置である。
【0015】
不定期的計数処理手段によって、不定期的に、計数手段を利用して、景品収納部内の景品数が計数される。不定期的計数処理手段によって計数が行われたときには、計数結果に基づいて景品在庫データが更新される。定期的計数処理手段によって計数処理が行われときには、判別手段による判別処理が行われた後に、計数結果に基づいて景品在庫データが更新される。この構成では、計数処理が行なわれたときには、計数結果に基づいて景品在庫データが更新されるので、景品在庫データを景品収納部内の景品在庫に対応したデータにより確実に一致させることができる。これにより、景品の不正抜取の可能性が有るか否かをより正確に判別できるようになる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記判別手段が、前記定期的計数処理手段による計数結果と前記景品在庫データとが一致するか否かを判別し、両者が不一致のときに、景品の不正抜取の可能性が有ると判別するものである、請求項2または3に記載の景品払出装置である。この構成では、定期的計数処理手段による計数結果と景品在庫データとが一致するか否かが判別され、両者が不一致のときに、景品の不正抜取の可能性が有ると判別される。
【0017】
なお、景品収納部は複数の景品収納体を含み、複数の景品収納体には、互いに異なる種類の景品が収納された2以上の景品収納体が含まれていてもよい。この場合には、定期的計数処理手段および非定期的計数処理は、景品収納体毎に景品数を計数するものであってもよい。また、景品在庫データは、景品種類毎の景品数データであってもよい。また、判別手段は、定期的計数処理手段による計数結果に基づいて景品種類毎の景品数と景品在庫データとを、景品種類毎に比較し、少なくとも1つの景品種類において両者が不一致である場合に、景品の不正抜取の可能性が有ると判別するものであってもよい。
【0018】
請求項5に記載の発明は、不定期的に、前記計数手段を利用して、前記景品収納部内の景品数を計数する不定期的計数処理手段をさらに含み、前記管理データが、前記定期的計数処理手段または前記不定期的計数処理手段によって前回の計数処理が行なわれてから今回の前記定期的計数処理手段による計数処理が行なわれるまでの間に払出された景品数に関する第1データと、前記前回の計数処理によって得られた第2データとからなる請求項1に記載の景品払出装置である。
【0019】
請求項6に記載の発明は、前記判別手段が、今回の前記定期的計数処理手段による計数結果と、前記第1データと前記第2データとから求められる景品在庫データとが一致するか否かを判別し、両者が不一致のときに、景品の不正抜取の可能性が有ると判別するものである、請求項5に記載の景品払出装置である。
不定期的計数処理手段によって、不定期的に、計数手段を利用して、景品収納部内の景品数が計数される。定期的計数処理手段または不定期的計数処理手段によって前回の計数処理が行なわれてから今回の定期的計数処理手段による計数処理が行なわれるまでの間に払出された景品数に関する第1データと、前回の計数処理によって得られた第2データとから景品在庫データが求められる。具体的には、第2データから第1データが減算されることにより、景品在庫データが求められる。そして、今回の前記定期的計数処理手段による計数結果と、前記第1データと前記第2データとから求められる景品在庫データとが一致するか否かが判別し、両者が不一致のときに、景品の不正抜取の可能性が有ると判別される。
【0020】
なお、景品収納部は複数の景品収納体を含み、複数の景品収納体には、互いに異なる種類の景品が収納された2以上の景品収納体が含まれていてもよい。この場合には、定期的計数処理手段および非定期的計数処理は、景品収納体毎に景品数を計数するものであってもよい。また、第1データは、前記定期的計数処理手段または前記不定期的計数処理手段によって前回の計数処理が行なわれてから今回の前記定期的計数処理手段による計数処理が行なわれるまでの間に払出された景品種類毎の景品数であってもよい。同様に、第2データは、前回の計数処理から求められる景品種類毎の景品数であってもよい。また、判別手段は、今回の前記定期的計数処理手段による計数結果から求められる景品種類毎の景品数と、前記第1データと前記第2データとから求められる景品種類毎の景品在庫データとを、景品種類毎に比較し、少なくとも1つの景品種類において両者が不一致である場合に、景品の不正抜取の可能性が有ると判別するものであってもよい。
【0021】
請求項7に記載の発明は、景品が景品種類別に収納され、少なくとも1種類の景品を収納するための景品収納体が複数設けられている複数の景品収納体と、前記各景品収納体内の景品数を計数するための計数手段と、前記計数手段を利用して前記各景品収納体内の景品数を計数する手段であって、景品収納体が複数設けられている景品種類の景品収納体群については、当該景品収納体群を複数組に分け、各組間で時間をずらして計数処理を行なう計数処理手段と、前記計数処理手段によって計数処理が行なわれている途中において、景品払出指令が与えられたときには、計数処理実行中の景品収納体以外の景品収納体から景品を払出す景品払出手段と、を含む景品払出装置である。
【0022】
計数手段を利用して各景品収納体内の景品数が計数される。この際、景品収納体が複数設けられている景品種類の景品収納体群については、当該景品収納体群が複数組に分けられ、各組間で時間をずらして計数処理が行なわれる。計数処理が行なわれている途中において、景品払出指令が与えられたときには、計数処理実行中の景品収納体以外の景品収納体から景品が払出される。これにより、景品の計数処理が行なわれている途中においても、景品の払出しが可能となる。この結果、景品交換を希望する遊技客の待ち時間を減少させることができるから、顧客サービスを向上させることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、前記景品払出手段は、前記計数処理手段によって計数処理が行なわれている途中において、景品払出指令が与えられたときには、計数処理が未だ開始されていない景品収納体から景品を払出すものである請求項7に記載の景品払出装置である。この構成では、計数処理が行なわれている途中において、景品払出指令が与えられたときには、計数処理が未だ開始されていない景品収納体から景品が払出される。
【発明の効果】
【0024】
請求項1〜6に記載の発明によれば、景品が不正に抜き取られた可能性があるかどうかを監視でき、景品が不正に抜き取られた可能性がある場合には、その旨を報知することができる。
請求項7または8に記載の発明によれば、景品の計数処理が行なわれている途中においても、景品の払出しが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】遊技施設内に設けられた景品払出システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】景品払出機を示す斜視図である。
【図3】景品払出ユニットを示す斜視図である。
【図4】カセットを示す斜視図である。
【図5】景品払出機の縦断面を模式的に示す模式図である。
【図6】景品払出機の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】景品管理機の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】景品払出機によって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS2,S7で実行される在庫確認処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】景品管理機によって実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】景品管理機によって実行される処理の変形例を示すフローチャートである。
【図12】景品払出機によって実行される在庫確認処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。
〔1〕景品払出システムの構成
図1は、遊技施設内に設けられた景品払出システムの構成を示している。
景品払出システムは、1または複数の玉計数機101と、各玉計数機101に接続されたレシート発行機102と、1または複数の景品管理機(POS端末)104と、各景品管理機103に接続された景品払出機104を含んでいる。景品管理機103とそれに接続された景品払出機104とによって、景品払出装置105が構成されている。各玉計数機101および景品管理機103は、会員情報等を管理する会員管理サーバ106に接続されている。玉計数機101およびレシート発行機102は、いわゆる島端に配置される。景品管理機103および景品払出機104は、景品カウンタに設置される。会員管理サーバ106は、事務所に設置される。
【0027】
玉計数機101は、遊技客が獲得したパチンコ玉を計数する。玉計数機101で得られた計数結果は、当該玉計数機101に接続されたレシート発行機102に送られる。レシート発行機102は、計数結果等を表すバーコードが印字されたレシートを発行する。
景品払出機104は、特殊景品を払い出す景品払出機能、カセット単位で景品数を計数する計数機能、景品管理機103と通信する通信機能等を備えている。景品管理機103は、景品払出機104内の景品在庫を管理する在庫管理機能、景品払出機104や会員管理サーバ106と通信する通信機能を備えている。
【0028】
景品払出機104で取り扱われる景品は、遊技施設において遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体の数に応じて交換される有価カード体で特殊景品とも呼ばれる。図4(b)に示すように、この景品2は、一般的に、1〜3mm程度の厚みを有する樹脂製のカードである。景品2には、所定の金銭価値を有する物体が内蔵されており、たとえば、200円(以下、「景品A」という場合がある)、1000円(以下、「景品B」という場合がある)、5000円(以下、「景品C」という場合がある)といった金銭価値に応じた3つの種類が存在する。
【0029】
遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体を、遊技施設内に設置された計数機101に投入すると、投入された遊技媒体の計数が行われる。そして、計数機101に接続されたレシート発行機102によって、計数結果を表すバーコードが印字されたレシートが発行される。なお、このようなレシートの代わりに、計数結果が磁気記録された磁気カードや、計数結果が記録されたICチップを備えたICカードを発行するようにしてもよい。
【0030】
レシート発行機102によって発行されたレシートを遊技客が景品カウンタに持参すると、係員はそのレシートにバーコード記録されている計数結果を景品管理機103に読み取らせる。景品管理機103は、読み取った計数結果に基づいて払出すべき景品の種類および枚数を決定する。そして、決定した内容を含む景品払出コマンドを景品払出機104に送信する。
【0031】
景品払出機104は、景品管理機103から送られてきた景品払出コマンドにしたがって、景品を払い出す。係員は、景品払出機104から払い出された景品を遊技客に手渡す。遊技客は、受け取った景品を景品交換所に持参し、景品交換所にて景品に相当する価値で買い取ってもらう。
〔2〕景品払出機104の機構
図2は、景品払出機104を前側(係員が操作する側)から見た斜視図である。この図では、景品払出機104において係員側側面の扉5が開かれた状態が示されている。なお、図2では、上下前後左右の方向を指し示す矢印(方向矢印)が示されており、方向を特定するにあたって、この方向矢印を参照する(図2〜図5の各図においても同様)。ここで、左右方向と幅方向とは同義である。水平方向は、前後方向および左右方向を含んでいる。
【0032】
景品の払い出しを受ける客は、景品払出機104の後側に位置し、係員(従業員)は、景品払出機104の前側に位置して接客を行う。
景品払出機104は、略直方体形状のキャビネット3と、キャビネット3内に収納された複数の景品払出ユニット4とを備えている。図2においては、1つの景品払出ユニットしか図示されていないが、実際には、このキャビネット3内には7つの景品払出ユニット4が幅方向に並んだ状態で収納される。キャビネット3内に収納された7つの景品払出ユニット4を、左側から順にそれぞれ、第1レーン、第2レーン、…、第7レーンの景品払出ユニットと呼ぶことにする。
【0033】
複数の景品払出ユニット4は、幅方向に並んだ状態でキャビネット3内に収納される。キャビネット3の前面には扉5が設けられている。キャビネット3には、扉5の開閉状態を検知するための扉開閉検知器408(図6参照)が取り付けられている。
各景品払出ユニット4には、複数(この例では4つ)の景品カセット11(図4参照)が収容される。景品カセット11には、複数の景品2が積み重ねられた状態で収納される。この実施の形態では、1つの景品払出ユニット4内の複数のカセット11には、同じ種類の景品2が収納される。例えば、第1〜第3レーンの3つの景品払出ユニット4には、5000円の景品(景品C)が収納され、第4〜第5レーンの2つの景品払出ユニット4には、1000円の景品(景品B)が収納され、第6〜第7レーンの2つの景品払出ユニット4には、200円の景品(景品A)が収納される。
【0034】
キャビネット3の上面には、表示部6が設けられている。表示部6は、客用表示部411と係員用表示部412とを含んでいる(図5参照)。表示部6の横には、景品払出機104の動作を制御するために操作される複数の操作キーを含む操作部410が設けられている。
キャビネット3の上面には、各景品払出ユニット4の上方位置に、払出口7が形成されている。各払出口7は、シャッタ8によって開閉される。シャッタ8は、後述する送り出し機構31によって前後方向にスライドされる。
【0035】
図3(a)および図3(b)は、景品払出ユニット4を示している。図3(a)に示すように、各景品払出ユニット4は、ケーシング10と、ケーシング10に引き出し可能に設けられた引出部20と、引出部20に前後方向にスライド可能に設けられたキャリア12と、キャリア12に着脱自在に取り付けられる複数(この例では4つ)のカセット11とを備えている。ケーシング10の前面は、上部を残して開口している。
【0036】
引出部20、カセット11およびキャリア12は、常態では、図3(a)に示すように、ケーシング10内に収納されている。キャリア12は、4つのカセット11を前後方向に並んだ状態で一体的に保持する。前後方向に並んだ4つのカセット11を、前から順に、カセット11A、カセット11B、カセット11C、カセット11Dと区別することがある。
【0037】
引出部20は、図3(a)に示す閉位置(ケーシング10に収納された状態)と、図3(b)に示す開位置(ケーシング10から引き出された状態)との間をスライド可能である。引出部20には、キャリア12を前後方向にスライドさせるスライド機構9が設けられている。スライド機構9は、例えばスライド・モータ405(図6参照)によって駆動されるラックアンドピニオン機構等によって構成されている。キャリア12は、引出部20に対して最も後側にある後位置(図5(a)参照)と、引出部20に対して最も前側にある前位置(図5(b)参照)との間をスライド可能である。
【0038】
カセット11は、図4(a)に示すように、上下方向に長く、かつその平断面は、右側面に開口部を有する略コ字形状をなしている。カセット11の上面および底面は、開放されている。カセット11の下端から景品2が抜け落ちないようにするために、カセット11の下端には内方折返部が形成されている。図4(b)に示すように、カセット11は、所定の種類の複数枚の景品2を、上下方向に沿って積み重ねた積層状態で最大でたとえば125枚収納することができる。したがって、1つの景品払出ユニット4には、最大で500枚の景品2を収納することができる。
【0039】
図5(a)および図5(b)は、景品払出機104の縦断面を模式的に示している。景品払出機104には、収納された景品2を払い出すための機構として、カセット11に収納された景品2を上方ヘ持ち上げるためのリフト機構27と、リフト機構27により持ち上げられた景品2を払出口7側に繰り出すための繰出機構14と、繰出機構14により繰り出された景品2を払出口7の下方で保留するための保留部28と、保留部28に保留された景品2を払出口7へ向けて持ち上げるためのエレベータ機構29と、払出口7上方まで持ち上げられた景品2をキャビネット3の上面に押し出すための送出機構31とが設けられている。送出機構31は、上述したシャッタ8をスライドさせるための機構である。これらの各機構としては、例えば、上記特許文献1に開示された機構を用いることができる。
【0040】
リフト機構27、繰出機構14、エレベータ機構29および送出機構31はそれぞれ、リフト・モータ401(図6参照)、繰出モータ402(図6参照)、エレベータ・モータ403(図6参照)および送出モータ404(図6参照)を含んでいる。
図5に示すように、リフト機構27は、ケーシング10内において、カセット11の並び方向(前後方向)に間隔を隔てて2つ設けられている。各リフト機構27は、カセット11内で景品2を載置して上昇するリフト13を含んでいる。リフト13は、ケーシング10に上下移動可能に支持されており、リフト・モータ401によって昇降される。リフト13の待機位置は、ケーシング10の底壁の近くである(点線で示したリフト13を参照)。
【0041】
また、ケーシング10内において、各リフト機構27の上方には、繰出機構14が配置されている。つまり、繰出機構14は、リフト機構27の数に応じて2つ設けられている。繰出機構14は、ケーシング10の上壁に隣接するように配置され、ケーシング10に支持されている。各繰出機構14は、前後方向へスライド自在に支持された移動体18と、回転自在に支持された1対の繰出ローラ19とを含んでいる。移動体18と繰出ローラ19とは、繰出モータ402によって駆動される。移動体18の底面には、下向きに突出した爪18Aが一体的に設けられている。
【0042】
ケーシング10の上壁には、2つの繰出機構14の間に位置する部分に、開口部15が形成されている。ケーシング10の開口部15は、キャビネット3において対応する払出口7に、下から対向している。
各繰出機構14において、繰出ローラ19は、移動体18よりも、開口部15に近い位置に配置されている。繰出ローラ19に最も近付いたときの移動体18の位置を進出位置といい、繰出ローラ19から最も離れたときの移動体18の位置を退避位置という。図5では、退避位置にある移動体18が示されており、退避位置が、移動体18の待機位置となる。
【0043】
ケーシング10内において、開口部15の下方に保留部28が形成されている。保留部28には、エレベータ機構29が設けられている。エレベータ機構29は、保留部28に保留した景品2を持ち上げるためのエレベータ16を含んでいる。エレベータ16は、ケーシング10に上下動可能に支持されており、エレベータ・モータ403により昇降される。エレベータ16が待機位置にあるとき、エレベータ16の上面は、繰出機構14の繰出ローラ19よりも低い位置にある。
【0044】
この景品払出機104による景品2の払い出し動作について、1つの景品払出ユニット4に着目して説明する。まず、キャビネット3の扉5が開かれた後、図3(b)に示すように、景品払出ユニット4の引出部20が開位置まで引き出される。そして、この状態で、景品2を収納した4つのカセット11がキャリア12に対して上側から差し込まれ、キャリア12に保持される。その後、引出部20は、閉位置へ押し込まれ(図3(a)参照)、カセット11およびキャリア12を伴って、ケーシング10内に収納される。このとき、キャリア12は後位置にあるものとする(図5(a)参照)。そして、扉5が閉じられると、景品払出機104による景品2の払い出しが可能となる。
【0045】
このように引出部20が閉位置にあり、キャリア12が後位置にある場合、図5(a)に破線13で示すように、前側のリフト13の上方には、前から1番目のカセット11Aの底面が位置し、後側のリフト13の上方には、前から3番目のカセット11Cの底面が位置している。この状態からキャリア12が前位置へ移動すると、図5(b)に示すように、4つのカセット11がリフト13に対して前側へ相対移動する。この場合、図5(b)に破線13で示すように、前側のリフト13の上方には、前から2番目のカセット11Bの底面が位置し、後側のリフト13の上方には、前から4番目のカセット11Dの底面が位置する。
【0046】
図5(a)に示すように、キャリア12が後位置にある場合には、カセット11Aおよびカセット11Cのいずれか、または、両方から景品2を払い出すことができる。一方、図5(b)に示すように、キャリア12が前位置にある場合には、カセット11Bおよびカセット11Dのいずれか、または、両方から景品2を払い出すことができる。
次に、カセット11Aを例にとって、カセット11から景品2を払い出す手順について具体的に説明する。
【0047】
まず、図5(a)に示すように、カセット11Aの下方に位置していたリフト13が、実線で示すように、カセット11Aの開放された底面からカセット11A内を通って上昇する。これにより、カセット11A内の景品全体が、このリフト13によって押し上げられる。最上位にある景品2が繰出機構14まで押し上げられると、リフト13の上昇が停止する。
【0048】
そして、繰出機構14が、最上位の景品2を保留部28側に繰り出す。具体的には、退避位置にある移動体18が進出位置まで移動する。カセット11Aの場合、移動体18は、進出位置へ向けて後方へ移動する。このとき、移動体18の爪18Aが最上位の景品2に引っ掛かり、この景品2を保留部28側へ搬送する。この後、移動体18は、すぐに退避位置に戻る。そして、この景品2は、回転する1対の繰出ローラ19によって、待機位置にあるエレベータ16上へ放出され、エレベータ16の上面に載置される。
【0049】
このようなリフト13の上昇と繰出機構14による景品2の繰り出しとが、景品2毎に繰り返され、カセット11A内の景品2が、上から順に、エレベータ16上に積み重ねられる。なお、景品2がエレベータ16上に良好に積み重ねられるように、エレベータ16は、待機位置から適宜下降する。具体的には、エレベータ16に景品2が1枚載置される毎に、エレベータ16が下降してもよいし、エレベータ16に所定枚数の景品2が積み重ねられてからエレベータ16が下降してもよい。
【0050】
また、カセット11Aの景品2だけでなく、カセット11Cの景品2も、カセット11Aの場合と同様の手順で、エレベータ16に積み重ねられてもよい。カセット11Aおよびカセット11Cに景品2が無い場合には、キャリア12が後位置から前位置へ移動し(図5(b)参照)、カセット11Bおよびカセット11Dの景品2が、カセット11Aの場合と同様の手順で、エレベータ16に積み重ねられる。
【0051】
図5(a)に示すように、払い出しに必要な枚数の景品2がエレベータ16に積み重ねられると、キャビネット3の上面において、対応するシャッタ8が、前側へ移動し、このエレベータ16の上方にある払出口7を開く。これに伴い、エレベータ16が、景品払出ユニット4の開口部15を介して、払出口7まで上昇する。そして、エレベータ16の上面がキャビネット3の上面と面一になるまでエレベータ16が上昇すると、シャッタ8が、払出口7を閉じようと後側へ移動し、そのときに、エレベータ16の上面に積み重ねられた景品2を、キャビネット3の上面に押し出す。これにより、景品2が客側(後側)へ払い出される。
【0052】
各景品払出ユニット4には、カセット11に積層状態で収納された景品2の枚数をカセット11毎に数えるための計数装置30が備えられている。計数装置30としては、たとえば、前記特許文献1に記載されている計数装置を用いることができる。特許文献1に記載されている計数装置について、簡単に説明しておく。
図5に示すように、計数装置30は、各景品払出ユニット4において、前後方向に間隔を隔てて2つ設けられている。前側の計数装置30は、前側のリフト13と前後方向においてほぼ一致する位置に配置されており、後側の計数装置30は、後側のリフト13と前後方向においてほぼ一致する位置に配置されている。
【0053】
計数装置30は、上下方向に沿ってスライド自在となるように、景品払出ユニット4のケーシング10の右側壁の内面に支持されている。景品払出ユニット4には、各計数装置30に対応して、計数装置用モータ406(図6参照)が設けられている。計数装置用モータ406が駆動されることによってタイミングベルト等が駆動され、これにより、対応する計数装置30が上下方向にスライドする。
【0054】
また、図5に示すように、上述したようにリフト13の待機位置がケーシング10の底壁の近くであるのに対し、待機位置にある計数装置30はケーシング10の上壁の近くにあり、かつ、リフト13の上方にある。なお、計数装置30とリフト13とは左右方向に互いにずれた位置にあるので、計数装置30とリフト13とが動作中に互いに干渉することはない。
【0055】
なお、対応するリフト13も、計数装置30と同様に、右側壁の内面に支持されており、右側壁には、リフト13を昇降させるためのリフト・モータ401が取り付けられている。リフト・モータ401が駆動されることによってタイミングベルト等が駆動され、これにより、リフト13が昇降する。
計数装置30は、ケーシング10に収容されたカセット11の右側に配置されている。そして、計数装置30は、対応するカセット11の右側面の開口部に対向している。
【0056】
図5(b)では、カセット11を保持するキャリア12が前位置にある状態が示されており、この状態で、前側の計数装置30は、前から2番目のカセット11Bと前後方向において一致してこのカセット11Bの開口部に対向可能であり、後側の計数装置30は、前から4番目のカセット11Dと前後方向において一致してこのカセット11Dの開口部に対向可能である。
【0057】
キャリア12が前位置から後位置へ移動すると、図5(a)に示すように、4つのカセット11が計数装置30に対して後側へ相対移動する。そのため、この状態では、前側の計数装置30は、前から1番目のカセット11Aと前後方向において一致してこのカセット11Aの開放部に対向可能となり、後側の計数装置30は、前から3番目のカセット11Cと前後方向において一致してこのカセット11Cの開放部に対向可能となる。
【0058】
ここで、キャリア12が後位置にあるときのカセット11A〜11Dの前後方向位置を第1位置とし(図5(a)参照)、キャリア12が前位置にあるときのカセット11A〜11Dの前後方向位置を第2位置とする(図5(b)参照)。キャリア12が後位置と前位置との間で前後方向へスライドするのに応じて、カセット11A〜11Dは、一体となって、第1位置と第2位置との間で計数装置30に対して前後方向へ相対移動する。
【0059】
計数装置用モータ406が駆動されると、計数装置30は、対応するカセット11の開放部25に対向しつつ、上下にスライドする。このとき、計数装置30は、カセット11において開放部から露出されている景品2の枚数を数える。たとえば、計数装置30は、反射型光電検出器407(図6参照)を備えており、反射型光電検出器407の出力信号に基づいて、景品2の枚数を数える。より具体的には、上下に隣り合う景品2の右側面の境界からの反射光と、景品2の側面で反射される反射光とは、反射光量が異なる。このため、反射型光電検出器407からの光が、上下に隣り合う景品2の右側面の境界を通過する毎に、反射型光電検出器407の出力信号が変化する。反射型光電検出器407の出力信号が変化する回数をカウントすることによって、景品2の枚数を計数することが可能となる。
【0060】
計数装置30は、カセット11A〜11Dが第1位置にあるときには(図5(a)参照)、カセット11AおよびCに収納された景品2の枚数を数え、カセット11A〜11Dが第2位置にあるときには(図5(b)参照)、残りのカセット11(つまりカセット11BおよびD)に収納された景品2の枚数を数える。そのため、計数装置30をカセット11の数に応じて増設しなくても、2つの計数装置30によって、4つ全てのカセット11に収納された景品2の枚数を数えることができる。そのため、部品点数の削減を図ることができる。そして、各計数装置30がカセット11毎に景品2の枚数を数えるので、どのカセット11に何枚の景品2が収納されているのかを把握することができる。
〔3〕景品払出機104の電気的構成
図6は、景品払出機104の電気的構成を示している。
【0061】
景品払出機104は、制御部400を備えている。制御部400は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。制御部400には、リフト機構27に含まれているリフト・モータ401、繰出機構14に含まれている繰出モータ402、エレベータ機構29に含まれているエレベータ・モータ403、送出機構31に含まれている送出モータ404、スライド機構9に含まれているスライド・モータ405、計数装置用モータ406、光電検出器407、扉開閉検知器408、通信部409、操作部410、客用表示部411、係員用表示部412、時計部413、記憶部414等が接続されている。
【0062】
記憶部414には、レーン(各景品払出ユニット4)毎に、そのレーンに収容される景品の種類を記憶したレーン別景品種類テーブル415が設けられている。なお、同じ景品払出ユニット4内に、異なる種類の景品が収納されたカセットが収容される場合には、各レーンのカセット毎に、そのカセットに収納される景品の種類を記憶したカセット別景品種類テーブルが設けられる。
【0063】
景品払出機104は、景品を払出すための処理、景品払出機104内の景品在庫を計数するための処理等を行なう。
〔4〕景品管理機103の電気的構成
図7は、景品管理機103の電気的構成を示している。
景品管理機103は、制御部300を備えている。制御部300は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。制御部300には、通信部301、バーコード・リーダ302、印字部303、記憶部304、操作部305、客用表示部306、係員用表示部307等が接続されている。記憶部304には、在庫管理テーブル308が設けられている。在庫管理テーブル308には、景品払出機104内の景品在庫数に関する情報(在庫管理データ)が記憶される。在庫管理データは、景品種類毎の景品在庫数を表すデータからなる。
【0064】
景品管理機103は、在庫管理処理、景品交換処理、不正抜取監視処理、取引履歴データの収集処理等を行う。在庫管理処理は、景品払出機104内の景品在庫を管理するための処理である。景品交換処理は、景品交換のための処理であり、景品払出機104に景品を払出させるための処理を含む。不正抜取監視処理は、景品払出機104内の景品が不正に抜き取られた可能性があるかどうかを定期的に監視するための処理である。取引履歴データの収集処理は、取引内容、景品補充情報、景品払出機104の扉5の開閉情報等を、発生時刻や担当者情報と紐付けて記憶(保存)するための処理である。
【0065】
景品管理機103は、不正抜取監視処理を行なうために、景品払出機104に在庫確認コマンド(不正抜取監視処理のための在庫確認コマンド)を定期的に送信する。なお、操作部305には、在庫確認ボタンが設けられている。在庫確認ボタンが押下されたときにも、景品管理機103は、在庫確認コマンド(在庫管理データを更新するための在庫確認コマンド)を景品払出機104に送信する。
〔5〕景品払出機104による処理
図8は、景品払出機104の制御部400によって実行される処理の手順を示している。
【0066】
電源が投入されると(ステップS1)、制御部400は、在庫確認処理を行う(ステップS2)。在庫確認処理は、計数装置30を用いた景品計数処理を伴う処理である。在庫確認処理の詳細については、後述する。
ステップS2の在庫確認処理が終了すると、制御部400は、景品管理機103からの景品払出コマンドを受信したか否か(ステップS3)、景品払出機104の扉5が開放状態から閉鎖されたことを検出したか否か(ステップS4)、景品管理機103からの在庫確認コマンドを受信したか否か(ステップS5)を監視する。このような監視は、電源が遮断されるまで行われる。電源が遮断された場合には(ステップS8でYES)、処理を終了する。
【0067】
前記ステップS3の景品払出コマンドは、景品管理機103から送信される。この景品払出コマンドには、払い出すべき景品の種類と枚数に関する情報が含まれている。前記ステップS4の扉5が開放状態から閉鎖されたことを検出したか否かは、扉開閉検知器408の出力に基づいて判別される。前記ステップS7における在庫確認コマンドは、不正な景品抜取を定期的に監視するために景品管理機103から定期的に送信されるとともに、景品管理機103の操作部305上の在庫確認ボタンが操作されたときにも景品管理機103から送信される。
【0068】
景品が景品払出機104に補充される際には、扉5が開かれ、各景品払出ユニット4の引出部20が引き出される。そして、キャリア12からカセット11が取り外される。そして、カセット11に景品2が補充される。景品が補充されたカセット11は、キャリア12に取り付けられる。こうして、キャリア12から取り外された全てのカセット11がキャリア12に戻されると、引出部20が景品払出ユニット4内に押し込まれる。全ての景品払出ユニット4の引出部20が、対応する景品払出ユニット4内に押し込まれると、扉5が閉じられる。したがって、景品補充終了後に扉5が閉鎖されると、そのことが検知されるので、前記ステップS4でYESとなる。
【0069】
景品管理機103からの景品払出コマンドを受信したときには(ステップS3でYES)、制御部400は、景品払出処理を行う(ステップS6)。つまり、制御部400は、景品払出コマンドに含まれている景品種類毎の払出枚数に基づいて、各景品を対応する払出枚数分だけ払出す。ステップS6の景品払出処理が終了すると、ステップS4に移行する。
【0070】
景品払出機104の扉5が開放状態から閉鎖されたことを検出したとき(ステップS4でYES)または景品管理機103からの在庫確認コマンドを受信したとき(ステップS5でYES)には、制御部400は、在庫確認処理を行う(ステップS7)。この在庫確認処理は、ステップS2の在庫確認処理と同じ処理であり、その詳細については後述する。ステップS7の在庫確認処理が終了すると、ステップS8に移行する。
【0071】
ところで、開店準備時において、電源がオフの状態で入庫が行われた場合には、電源がオンになったときに上記ステップS2の在庫確認処理が行われるので、景品払出機104によって在庫数(入庫数)が確認される。開店準備時において、電源がオンの状態で入庫が行われた場合には、当該入庫作業が終了して扉5が開放状態から閉鎖されたときに、上記ステップS7の在庫確認処理が行われるので、景品払出機104によって在庫数(入庫数)が確認される。つまり、開店準備時に各カセットに景品が補充された後の景品在庫数は、開店時までには自動的に計数されて取得される。なお、景品払出機104によって在庫確認処理が行われた場合には、後述するように在庫確認後の在庫データが景品払出機104から景品管理機103に送信されるので、景品管理機103は在庫確認後の在庫データを取得することができる。
【0072】
営業時間中に、追加入庫が行われた場合には、当該追加入庫作業が終了して扉5が開放状態から閉鎖されたときに、上記ステップS7の在庫確認処理が行われるので、追加入庫作業が終了した際には、景品払出機104によって追加入庫後の在庫数が確認される。この場合も、追加入庫後の在庫データが景品払出機104から景品管理機103に送信されるので、景品管理機103は追加入庫後の在庫データを取得することができる。
【0073】
従来、閉店後に行われていた締上処理または営業時間中に係員の交代時に行われていた締上処理においては、係員が計数作業を手作業で行っていたが、本実施形態では、労力削減および時間短縮のために、計数装置30を利用して自動的に行われる。このため、本実施形態では、従来の締上処理を行うべきタイミングにおいては、係員は、景品管理機103の操作部305に設けられた在庫確認ボタンを操作して、在庫確認指令を入力するようにする。この結果、従来の締上処理を行うべきタイミングにおいては、上記ステップS5でYESとなり、上記ステップS7に移行するため、計数作業が自動的に行われる。
【0074】
なお、従来の締上処理を行うべきタイミング以外の任意のタイミングにおいて、景品管理機103に設けられた在庫確認ボタンを係員が操作することにより、在庫確認指令を入力したときにも、上記ステップS7の在庫確認処理が行われる。
さらに、この実施形態では、不正な景品抜取を定期的に監視するために、景品管理機103から定期的に在庫確認コマンドが送信される。このように景品管理機103から定期的に送信される在庫確認コマンドを景品払出機104が受信したときにも、上記ステップS7の在庫確認処理が行われる。
【0075】
図9は、図8のステップS2またはステップS7で実行される在庫確認処理の手順を示している。
在庫確認処理においては、制御部400は、景品の計数処理を行う(ステップS11)。つまり、制御部400は、計数装置30を利用して、各景品払出ユニット4のカセット毎の景品在庫数を計数する。計数処理が終了すると、制御部400は、カセット毎の景品在庫数(計数値)と、各カセットに収納されている景品種類とに基づいて、景品種類毎の景品在庫数を演算する(ステップS12)。各カセットに収納されている景品種類は、レーン別景品種類テーブル415によって認識することができる。
【0076】
次に、制御部400は、ステップS12で演算された景品種類毎の景品在庫数を表すデータ(在庫データ)を景品管理機103に送信する(ステップS13)。そして、今回の在庫確認処理が図8のステップS2の在庫確認処理である場合には、上記ステップS13の処理の後、図8のステップS3に戻る。今回の在庫確認処理が図8のステップS7の在庫確認処理である場合には、上記ステップS13の処理の後、図8のステップS8に戻る。
【0077】
図10は、景品管理機103によって実行される処理の手順を示している。ここでは、説明の便宜上、遊技客が獲得した遊技媒体は全て特殊景品に交換されるものとする。
景品管理機103の制御部300は、レシートの読取が行われたか否か(ステップS21)、在庫確認コマンドの定期的な送信タイミングであるか否か(ステップS22)、在庫確認ボタンが押下されたか否か(ステップS23)、景品払出機104からの在庫データを受信したか否か(ステップS24)等を監視している。
【0078】
なお、ステップS24で受信される在庫データは、図8の前記ステップS2の在庫確認処理において景品払出機104から送信される在庫データまたは図8の前記ステップS7の在庫確認処理のうち扉5が閉鎖されたことの検出に基づいて行われた在庫確認処理において景品払出機104から送信される在庫データである。
定期的に送信される在庫確認コマンドに基づいて行われた在庫確認処理において景品払出機104から送信される在庫データは、後述するステップS30において受信される。また、在庫確認ボタンが押下されることによって送信される在庫確認コマンドに基づいて行われた在庫確認処理において景品払出機104から送信される在庫データは、後述するステップS35において受信される。
【0079】
レシートの読取が行われたときには(ステップS21)でYES、つまり、バーコード・リーダ302によってレシートに印字されているバーコードが読取られたときには、制御部300は、”景品交換処理”を行なう。
つまり、制御部300は、バーコード・リーダ302の読取データに基づいて、遊技客が獲得した遊技媒体数を取得する(ステップS25)。次に、制御部300は、取得した遊技媒体数に基づいて、景品種類毎の払出枚数を決定する(ステップS26)。そして、制御部300は、決定した景品種類毎の払出枚数を含む景品払出コマンドを景品払出機104に送信する(ステップS27)。また、制御部300は、決定した景品種類毎の払出枚数に基づいて、在庫管理データを更新する(ステップS28)。具体的には、景品が払出される景品種類については、その景品在庫数から払出枚数が減算されることにより、在庫管理データが更新される。この後、ステップS21に戻る。
【0080】
在庫確認コマンドの定期的な送信タイミングである場合には(ステップS22)、制御部300は、”不正抜取監視処理”を行なう。つまり、制御部300は、在庫確認コマンドを景品払出機104に送信し(ステップS29)、景品払出機104から在庫データが送られてくるのを待機する(ステップS30)。
つまり、在庫確認コマンドは、在庫確認ボタンが押下されなくても、景品管理機103から景品払出機104に一定時間間隔(予め設定される。たとえば、1時間毎。)で自動的に送信される景品管理機103は、この在庫確認コマンドを受信すると、前述した在庫確認処理(図8のステップS7参照)を行う。具体的には、景品の計数処理が行なわれ、計数処理結果に基づいて景品種類毎の景品在庫数が演算され、その演算結果が在庫データとして送信される。
【0081】
制御部300は、景品払出機104からの在庫データを受信すると(ステップS30でYES)、受信した在庫データに基づいて、景品種類毎に、受信した在庫データと、現在の在庫管理データとが一致するか否かを判別する(ステップS31)。少なくとも1つの景品種類において、両者が一致しないと判別した場合には(ステップS31でNO)、制御部300は、不正な景品抜取の可能性があることを係員用表示部307に表示するとともに、会員管理サーバ106に通知する(ステップS32)。これにより、係員や会員管理サーバ106が設置されている事務所で待機している景品管理者等は、不正な景品抜取の可能性があることを認識できるので、調査(たとえば、取引履歴や監視カメラ映像の分析)等の適切な対応をとることができる。
【0082】
なお、前記ステップS31において、受信した在庫データから求められる景品種類毎のの景品数の総和(景品総数)と、現在の在庫管理データから求められる景品種類毎の景品数の総和(景品総数)とが一致するか否かを判別し、両者が不一致である場合に不正な景品抜取の可能性があると判別するようにしてもよい。また、前記ステップS32では、不正な景品抜取の可能性があることを係員用表示部307に表示しているが、これに加えてまたはこれに代えて、景品払出機104の係員用表示部412に不正な景品抜取の可能性があることを表示するようにしてもよい。前記ステップS32の処理が行なわれると、ステップS33に移行する。
【0083】
前記ステップS31において、全ての景品種類において、受信した在庫データと現在の在庫管理データとが一致すると判別された場合には、ステップS33に移行する。ステップS33では、制御部300は、前記ステップS30で受信した在庫データに基づいて在庫管理データを更新する(ステップS36)。具体的には、制御部300は、在庫管理データを受信した在庫データに置き換えることにより、在庫管理データを更新する。この後、ステップS21に戻る。
【0084】
在庫確認ボタンが押下された場合には(ステップS23でYES)、制御部300は、”在庫確認ボタン操作に基づく在庫管理データ更新処理”を行なう。つまり、制御部300は、在庫確認コマンドを景品払出機104に送信し(ステップS34)、景品払出機104から在庫データが送られてくるのを待機する(ステップS35)。そして、景品払出機104からの在庫データを受信すると(ステップS35でYES)、制御部300は、受信した在庫データに基づいて在庫管理データを更新する(ステップS36)。具体的には、制御部300は、在庫管理データを受信した在庫データに置き換えることにより、在庫管理データを更新する。この後、ステップS21に戻る。
【0085】
前記”景品交換処理”、”不正抜取監視処理”および”在庫確認ボタン操作に基づく在庫管理データ更新処理”が行なわれていない場合に、景品払出機104からの在庫データを受信した場合には(ステップS24でYES)、制御部300は、受信した在庫データに基づいて在庫管理データを更新する(ステップS37)。具体的には、制御部300は、在庫管理データを受信した在庫データに置き換えることにより、在庫管理データを更新する。この後、ステップS21に戻る。
【0086】
以上のように、景品管理機103は、景品払出機104からの在庫データを受信した場合には、受信した在庫データに基づいて、在庫管理データを更新する。したがって、受信した在庫データに基づく更新後の在庫管理データは、景品払出機104内の実際の景品在庫数を表していると考えることができる。また、景品交換によって景品が払出されるときには、払出される景品種類毎の払出枚数に基づいて、在庫管理データが更新されるので、当該更新後の在庫管理データは、景品払出後の実際の景品在庫数を表していると考えられる。
【0087】
しかしながら、不正な景品の抜取が行われた場合には、この後に、在庫確認処理が行なわれまでは、実際の景品在庫数と在庫管理データが一致しなくなる。より具体的には、実際の景品在庫数が在庫管理データより少なくなる。そこで、この実施形態では、定期的に在庫確認コマンドを景品管理機103から景品払出機104に送ることにより(図10のステップS22,S29参照)、景品払出機104に定期的に在庫確認処理(図8のステップS7参照)を行わせている。
【0088】
そして、この在庫確認処理によって景品払出機104から送信される在庫データを受信すると、受信した在庫データと現在保持している在庫管理データとを比較することにより、在庫管理データが最新に更新されてから、現在までの間に不正な景品抜取りがあったか否かを判別している。具体的には、少なくとも1つの景品種類に関して受信した在庫データと在庫管理データとが一致しない場合には、不正な景品抜取りの可能性があると判別している。
【0089】
図11は、景品管理機103によって実行される処理の変形例を示している。図11において、図10と同じステップには、図10と同じステップ番号を付してある。
この変形例では、制御部300は、”景品交換処理”において、景品払出コマンドを景品払出機104に送信した後(ステップS27)、在庫管理データを更新するのではなく、景品種類毎の払出枚数(以下、「景品払出データ」という)を記憶する(ステップS28A)。
【0090】
また、制御部300は、”不正抜取監視処理”において、景品払出機104からの在庫データを受信すると(ステップS30でYES)、次のようにして、不正な景品抜取りがあったか否かを判別する。
すなわち、制御部300は、前記ステップS30で在庫データを受信した場合には、現在保持している景品管理データと景品払出データとに基づいて、現時点での景品払出機104の景品種類毎の在庫数を推定する(ステップS31A)。具体的には、制御部300は、在庫管理データが最新に更新されたときから現在までの間に記憶された景品払出データを、現在保持している景品管理データから減算することによって、現時点での景品種類毎の在庫数推定値を演算する(ステップS31A)。そして、制御部300は、演算された景品種類毎の在庫数推定値と受信した在庫データとを比較することにより、在庫管理データが最新に更新されてから現在までの間に不正な景品抜取りの可能性があるか否かを判別する(ステップS31B)。つまり、両者が一致していなければ、制御部300は、不正な景品抜取りの可能性があると判別する。なお、前記ステップS31Bにおいて、景品種類毎の在庫数推定値の総和(景品総数)と、受信した在庫データから求められる景品種類毎の景品数の総和(景品総数)とが一致するか否かを判別し、両者が不一致である場合に不正な景品抜取の可能性があると判別するようにしてもよい。
【0091】
図12は、図8のステップS2,S7の在庫確認処理の変形例を示している。
前述したように、景品払出機104内には、7つの景品払出ユニット4が収容されている。また、各景品払出ユニット4には、4つのカセット11が収容されている。また、前述したように、この実施形態では、1つの景品払出ユニット4内の複数のカセット11には、同じ種類の景品2が収納される。例えば、第1〜第3レーンの3つの景品払出ユニット4には、5000円の景品(景品C)が収納され、第4〜第5レーンの2つの景品払出ユニット4には、1000円の景品(景品B)が収納され、第6〜第7レーンの2つの景品払出ユニット4には、200円の景品(景品A)が収納される。
【0092】
さらに、この実施形態では、図5(a)および図5(b)を用いて説明したように、1つの景品払出ユニット4内の4つのカセット11内の景品を同時に計数するのではなく、2つのカセット11A,11Cの組と2つのカセット11B,11Dの組のうち、一方の組の計数処理が終了してから、他方の組の計数処理が開始される。
この実施形態では、計数処理を行なう場合には、まず、第1レーン(景品C)、第2レーン(景品C)、第4レーン(景品B)および第6レーン(景品A)の4つの景品払出ユニット4からなる第1の景品払出ユニット群の計数処理が行なわれる。第1の景品払出ユニット群の計数処理が終了すると、第3レーン(景品C)、第5レーン(景品B)および第7レーン(景品A)の3つの景品払出ユニット4からなる第2の景品払出ユニット群の計数処理が行なわれる。第1の景品払出ユニット群の計数処理が行なわれている間に払出コマンドを受信すると、第2の景品払出ユニット群から必要な景品が払い出される。一方、第2の景品払出ユニット群の計数処理が行なわれている間に払出コマンドを受信すると、第1景品払出ユニット群から必要な景品が払い出される。
【0093】
なお、この変形例が採用される場合には、景品管理機103は、前記”不正抜取監視処理”および前記”在庫確認ボタン操作に基づく在庫管理データ更新処理”において、在庫確認コマンドを景品払出機104に送信してから、景品払出機104からの在庫データが送信されるまでの間において、前記”景品交換処理”の割込みを受け付ける機能を備えていることが好ましい。
【0094】
図12に戻り、在庫確認処理においては、景品払出機104の制御部400は、まず、フラグFをリセットする(ステップS51)。そして、制御部400は、景品の計数処理を開始する(ステップS52)。この実施形態では、前述したように、まず、第1レーン(景品C)、第2レーン(景品C)、第4レーン(景品B)および第6レーン(景品A)の4つの景品払出ユニット4からなる第1の景品払出ユニット群の計数処理が行なわれる。第1の景品払出ユニット群の計数処理が終了すると、第3レーン(景品C)、第5レーン(景品B)および第7レーン(景品A)の3つの景品払出ユニット4からなる第2の景品払出ユニット群の計数処理が行なわれる。景品計数処理は、各景品払出ユニット4内の計数装置30を利用して自動的に行われる。
【0095】
制御部400は、景品計数処理中において、景品管理機103からの景品払出コマンドを受信したか否か(ステップS53)および全てのカセットに対する景品計数処理が終了したか否か(ステップS54)を監視する。景品管理機103からの景品払出コマンドを受信することなく、全てのカセットに対する景品計数処理が終了した場合には(ステップS53でNOかつステップS54でYES)、制御部400は、フラグFがセット(F=1)されているか否かを判別する(ステップS55)。
【0096】
フラグFがリセット(F=0)されている場合には(ステップS55でNO)、制御部400は、カセット毎の景品在庫数(計数値)と、各カセットに収納されている景品種類とに基づいて、景品種類毎の景品在庫数を演算する(ステップS56)。各カセットに収納されている景品種類は、レーン別景品種類テーブル415によって認識することができる。次に、制御部400は、ステップS56で演算された景品種類毎の景品在庫数を表すデータ(在庫データ)を景品管理機103に送信する(ステップS57)。これにより、今回の在庫確認処理を終了する。
【0097】
全てのカセットに対する景品計数処理が終了する前に、景品払出機103からの景品払出コマンドを受信した場合には(ステップS53でYES)、制御部400は、計数処理実行中のカセット以外のカセットから景品の払出を行なう(ステップS58)。具体的には、制御部400は、景品計数処理が未だ開始されていないカセット(以下、「未計数カセット」という)または景品計数処理が終了したカセット(以下、「計数済カセット」という)から、景品を払出す。ただし、制御部400は、同じ景品種類について「未計数カセット」と「計数済カセット」との両方が存在する場合には、その種類の景品を「未計数カセット」から景品を払出す。つまり、「未計数カセット」からの景品払出しを、「計数済カセット」からの景品払出しより優先させる。「未計数カセット」からの景品払出しが行われた場合には、制御部400は、当該景品の払出が終了した後に、当該未計数カセットに対する景品計数処理を実行する。
【0098】
景品払出処理が終了すると(ステップS59でYES)、制御部400は、「計数済カセット」からの景品払出が行なわれたか否かを判別する(ステップS60)。「計数済カセット」からの景品払出が行なわれている場合には(ステップS60でYES)、景品払出が行なわれた「計数済カセット」に対して計数処理をやり直す必要があるため、制御部400は、フラグFをセット(F=1)した後(ステップS61)、ステップS54に移行する。一方、計数済カセットからの景品払出が行なわれていない場合(ステップS60でNO)、すなわち、前記ステップS58において「未計数カセット」のみから景品が払出された場合には、制御部400は、フラグFをセットすることなく、ステップS54に移行する。
【0099】
ステップS54において、全てのカセットに対する景品計数処理が終了したと判別されると(ステップS54でYES)、制御部400はフラグFがセットされているか否かを判別する(ステップS55)。今回の在庫確認処理においてステップS58の景品払出処理が行なわれており、この景品払出処理において、「未計数カセット」のみから景品が払出された場合には、フラグFはリセットされている。したがって、この場合には、ステップS55でNOとなり、ステップS56に移行する。この場合には、景品が払出された「未計数カセット」に対して、景品払出後に景品計数処理が行なわれているので、ステップS56では、景品払出後の景品種類毎の景品在庫数が演算されることになる。
【0100】
一方、今回の在庫確認処理においてステップS58の景品払出処理が行なわれており、この景品払出処理において、「計数済カセット」からの景品払出が行なわれている場合には、フラグFはセットされているので、ステップS55でYESとなり、ステップS62に移行する。この場合には、景品が払出された「計数済カセット」に対して、景品払出前には景品計数処理が行なわれているが、景品払出後には景品計数処理は行なわれていない。そこで、ステップS62では、制御部400は、ステップS58において景品が払出された「計数済カセット」に対し、景品計数処理を再度行ない、当該カセット内の景品在庫数(計数値)を新たな計数値に変更する。この後、ステップS56に移行する。これにより、ステップS56において、景品払出後の景品毎の景品在庫数が演算されることになる。
【0101】
この変形例では、景品払出機104において在庫確認処理における景品計数処理が行なわれている場合にも、景品の払出が可能となる。これにより、景品交換を希望する遊技客の待ち時間を減少させることができるから、顧客サービスを向上させることができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、定期的に不正抜取監視処理を行うために景品管理機103は、常に一定時間間隔で在庫確認コマンドを景品払出機104に送信している(図10または図11のステップ29参照)。つまり、景品管理機103の制御部300は、不正抜取監視処理において在庫確認コマンドを送信する度に、在庫確認コマンドの送信間隔に相当する所定時間の計時を開始し、所定時間が経過したときに、在庫確認コマンドを送信している。
【0102】
しかし、不正抜取監視処理のための在庫確認コマンドが送信されたとき以外に、景品払出機104側で在庫確認処理が行なわれたときには、前記所定時間の計時を中止し、当該在庫確認処理が終了した時点から前記所定時間の計時を最初から開始するようにしてもよい。具体的には、景品管理機103の制御部300は、不正抜取監視処理以外において、景品払出機103からの在庫データを受信したときには(図10または図11のステップS24またはS35でYES)、前記所定時間の計時の開始時点を、当該在庫データを受信した時点に変更する。これにより、比較的短時間内に在庫確認処理が繰り返し行なわれるのを抑制できる。
【0103】
また、図10のステップS24またはS35において、景品管理機103が景品払出機104からの在庫データを受信したときに、ステップS31〜S33の処理(不正な景品抜取の可能性の有無の判別等の処理)を行うようにしてもよい。同様に、図11のステップS24またはS35において、景品管理機103が景品払出機104からの在庫データを受信したときに、ステップS31A,31B〜S33の処理(不正な景品抜取の可能性の有無の判別等の処理)を行うようにしてもよい。
【0104】
また、前記実施形態では、景品管理機103が景品在庫データを管理しているが、景品払出機104も景品管理機103と同様に景品在庫データを管理してもよい。具体的には、景品払出機104は、図8のステップS2,S7において在庫管理処理(図9参照)が行なわれた場合には、計数結果に基づいて演算された景品種類毎の景品在庫数に、在庫管理データを置き換えることにより、在庫管理データを更新する。また、景品払出機104は、図8のステップS6の景品払出処理が行なわれた場合には、在庫管理データを更新する。具体的には、景品が払出される景品種類については、その景品在庫数から払出枚数が減算されることにより、在庫管理データが更新される。
【0105】
このように、景品払出機104が景品在庫データを管理する場合には、景品が不正に抜き取られた可能性があるかどうかを定期的に監視するための不正抜取監視処理を、景品払出機104側で行なうようにしてもよい。具体的には、景品払出機104は、定期的に在庫確認処理を行ない、定期的な在庫確認処理終了後に、図10のステップS31〜S33の処理を行なえばよい。なお、景品払出機104が景品払出処理時には在庫管理データを更新することなく景品種類毎の払出枚数を表す景品払出データを記憶する場合には、景品払出機104は、定期的な在庫確認処理終了後に、図11のステップS31AおよびS31B〜S33の処理を行えばよい。
【0106】
また、図10または図11のステップS32において、予め設定されているメールアドレス(たとえば、管理者の携帯電話のメールアドレス)に、不正な景品抜取の可能性があることを示す警告メールを自動的に送信するようにしてもよい。また、図10または図11のステップS32において、不正な景品抜取の可能性があることを景品管理機103および景品払出機104の係員用表示部307,412に表示させないで、会員管理サーバ106にのみに表示させたり、あるいは前述したように警告メール送信を行なってもよい。このようにすると、不正景品抜取の可能性のあることが検知されたことを、景品カウンタにいる不正景品抜取を行った可能性がある係員に知らせることなく、管理者だけに知らせることが可能となる。
【0107】
また、1台の景品管理機103に複数台の景品払出機104が接続されている場合にも、の発明を適用することができる。具体的には、景品管理機103は、それに接続されている各景品払出機104に対応する在庫管理テーブルを備えている。また、各景品払出機104から景品管理機103に送信される通信電文に送信元の景品払出機104を特定可能な識別情報(たとえば、号機番号)が含まれている。これにより、景品管理機103は、それに接続されている景品払出機104毎に、在庫管理および不正景品抜取の可能性があるか否かの判定を行うことができる。また、不正景品抜取の可能性があることを景品管理機103、会員管理サーバ106等に表示する際にも、対象となる景品払出機104の号機番号等を合わせて表示することにより、不正景品抜取の可能性がある景品払出機104を特定できる。
【0108】
本願発明は、さらに、特開2008−73169号公報に開示されているような卓上タイプの景品払出機を管理・制御する景品管理機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
103 景品管理機
104 景品払出機
30 計数装置
300,400 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
景品が収納される景品収納部と、
前記景品収納部内の景品数を計数するための計数手段と、
定期的に、前記計数手段を利用して、前記景品収納部内の景品数を計数する定期的計数処理手段と、
前記定期的計数処理手段による計数結果と管理データに基づいて、景品の不正抜取の可能性が有るか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段によって、景品の不正抜取の可能性が有ると判別された場合には、その旨を報知する手段と、
を含む景品払出装置。
【請求項2】
前記管理データが、景品収納部内の景品在庫に関する景品在庫データであって、
景品が払出されたときに前記景品在庫データを更新する手段をさらに含む、請求項1に記載の景品払出装置。
【請求項3】
不定期的に、前記計数手段を利用して、前記景品収納部内の景品数を計数する不定期的計数処理手段と、
前記不定期的計数処理手段によって計数が行われたときに、計数結果に基づいて前記景品在庫データを更新する手段と、
前記定期的計数処理手段によって計数処理が行われときには、前記判別手段による判別処理が行われた後に、計数結果に基づいて前記景品在庫データを更新する手段と、をさらに含む請求項2に記載の景品払出装置。
【請求項4】
前記判別手段が、前記定期的計数処理手段による計数結果と前記景品在庫データとが一致するか否かを判別し、両者が不一致のときに、景品の不正抜取の可能性が有ると判別するものである、請求項2または3に記載の景品払出装置。
【請求項5】
不定期的に、前記計数手段を利用して、前記景品収納部内の景品数を計数する不定期的計数処理手段をさらに含み、
前記管理データが、前記定期的計数処理手段または前記不定期的計数処理手段によって前回の計数処理が行なわれてから今回の前記定期的計数処理手段による計数処理が行なわれるまでの間に払出された景品数に関する第1データと、前記前回の計数処理によって得られた第2データとからなる請求項1に記載の景品払出装置。
【請求項6】
前記判別手段が、今回の前記定期的計数処理手段による計数結果と、前記第1データと前記第2データとから求められる景品在庫データとが一致するか否かを判別し、両者が不一致のときに、景品の不正抜取の可能性が有ると判別するものである、請求項5に記載の景品払出装置。
【請求項7】
景品が景品種類別に収納され、少なくとも1種類の景品を収納するための景品収納体が複数設けられている複数の景品収納体と、
前記各景品収納体内の景品数を計数するための計数手段と、
前記計数手段を利用して前記各景品収納体内の景品数を計数する手段であって、景品収納体が複数設けられている景品種類の景品収納体群については、当該景品収納体群を複数組に分け、各組間で時間をずらして計数処理を行なう計数処理手段と、
前記計数処理手段によって計数処理が行なわれている途中において、景品払出指令が与えられたときには、計数処理実行中の景品収納体以外の景品収納体から景品を払出す景品払出手段と、
を含む景品払出装置。
【請求項8】
前記景品払出手段は、前記計数処理手段によって計数処理が行なわれている途中において、景品払出指令が与えられたときには、計数処理が未だ開始されていない景品収納体から景品を払出すものである請求項7に記載の景品払出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−245108(P2011−245108A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122980(P2010−122980)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】