説明

暖房システムの制御装置

【課題】複数系統の暖房端末を複数の居室に分配設置しホットダッシュ運転制御などの暖房運転制御を各系統毎に行う暖房システムを一つの制御装置で制御可能にするとともに、ユーザーの要望により各系統間を連係させたり単独運転させたりすることを可能にする。
【解決手段】少なくとも2以上の居室に分配設置された複数系統の暖房端末が共通の熱源機に接続された暖房システムを各系統毎に暖房運転制御可能に構成した制御装置において、各系統の暖房端末の暖房運転制御の制御内容として、単独運転制御内容及び連係運転制御内容のいずれかを自動選択する制御内容選択手段と、各系統の暖房端末が他の系統の暖房端末と同一の居室に設置されているか否かを予め設定する同一居室設定手段とを設け、同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ連係運転制御内容が選択されるように制御内容選択手段を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床暖房リモコンなどの暖房システムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の床暖房システムとして、下記特許文献1〜4に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3636249号公報
【特許文献2】特許第4030709号公報
【特許文献3】特開2002−139226号公報
【特許文献4】特許第4157074号公報
【特許文献5】特開2001−4158号公報
【0004】
特許文献1〜3は、複数系統の床暖房端末を備える床暖房システムを操作するためのリモコンが開示されたものである。
【0005】
上記特許文献1記載の床暖房システムでは、複数の居室(1〜N)毎に1系統の床暖房パネル(暖房端末)と遠隔制御装置(リモコン)とを設け、これら複数の床暖房パネルを1つの熱源機に接続し、各遠隔制御装置の制御部から熱源機に高温又は低温の温水供給を要求するように構成して、高温要求と低温要求が競合した場合に、熱源機から出力される温水の温度を予め定めた温度に設定するように構成している。
【0006】
また、特許文献2記載の床暖房システムは、1つの居室の床に配設された複数系統の温水マット(暖房端末)を制御する床暖房コントローラ(リモコン)を備えるものであり、該コントローラは、複数系統の全てを運転する場合には室内温度の設定温度と実測温度との差に基づいて床を暖める室温制御を行い、複数系統の一部を運転する場合には設定温度に基づいて床を暖める固定制御を行うものである。
【0007】
また、特許文献3記載の床暖房器は、複数の床暖房ユニット(暖房端末)を用いて一つの居室を複数の暖房エリアに区分して暖房するものであって、各床暖房ユニットを独立して運転制御する暖房制御手段と、該暖房制御手段を遠隔制御するリモコンとを備えている。
【0008】
特許文献4又は5は、運転開始直後に通常運転時より高温の熱媒を供給するホットダッシュ運転制御が行われる床暖房システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記各特許文献1〜3に開示されたリモコンは、複数の暖房端末が特定の配置である場合の専用装置として構成されており、例えば、特許文献1記載のリモコンを一つの居室に設けられた複数系統の暖房端末の制御に用いることはできないし、また、特許文献2又は3に記載のリモコンは、複数の居室に分配設置された複数系統の暖房端末の制御を行うように設計されていない。
【0010】
一方、近年の新築住宅は施主の要望に合わせた居室割りで設計されることも多く、各居室の広さや居室数などが多様化し、これに伴い床暖房システムにも多様性が求められているとともに、増改築の際にも施主の要望に合わせた柔軟な床暖房システムの構成が求められている。さらに、居間などの広い居室には複数系統の床暖房端末を設置することにより生活スタイルに応じて居間の一部のスペースのみを暖房したり全体を暖房したりすることができるようにするとともに、居間とは空間的に区切られた別の居室にも床暖房端末を設置し、これら複数の居室に分配設置された複数系統の床暖房端末を一つのリモコンで操作したいという要望がある。
【0011】
ところで、近年の床暖房システムには特許文献4又は5に開示されているようなホットダッシュ制御をリモコンにより行うものが一般的であるが、例えば居間に複数系統の床暖房端末を設置している場合、その一部の系統のみを最初に運転してある程度時間が経過した後に他の系統の床暖房端末の運転を開始すると、既にある程度室温が上がっているため、他の系統の床暖房端末のホットダッシュ運転を一番目に運転していた床暖房端末のホットダッシュ運転と同じ時間継続させると、床面が暖まりすぎてしまい、使用者に不快感を与えることが懸念されるとともに、必要以上に高温水を供給することとなるためランニングコストも高くなるという問題がある。
【0012】
そのため、複数系統の床暖房端末を連係させ、一の床暖房端末が既に運転しているなどの場合には他の床暖房端末を運転開始する際のホットダッシュ運転時間を通常よりも短縮する制御を行うことが好ましいが、その一方、さらに別の床暖房端末が別の居室に設置される場合にはその運転開始時にはホットダッシュ運転時間を短縮させたくない場合もある。
【0013】
そこで本発明は、複数系統の暖房端末を複数の居室に分配設置しホットダッシュ運転制御などの暖房運転制御を各系統毎に行う暖房システムを一つの制御装置で制御可能にするとともに、ユーザーの要望により各系統間を連係させたり単独運転させたりすることを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。
【0015】
すなわち、本発明は、少なくとも2以上の居室に分配設置された複数系統の暖房端末が共通の熱源機に接続された暖房システムの制御装置であって、各系統の運転開始初期は前記熱源機から比較的高温の熱媒を供給するホットダッシュ運転制御を行い、その後熱源機から比較的低温の熱媒を間欠的に供給する通常運転制御を行うように各系統毎に暖房運転制御可能に構成された制御装置において、各系統の暖房端末の運転開始初期のホットダッシュ運転制御の制御内容として、所定の単独運転制御内容及び該単独運転制御内容とは異なる所定の連係運転制御内容のいずれかを所定の条件に基づき自動選択する制御内容選択手段と、各系統の暖房端末が他の系統の暖房端末と同一の居室に設置されているか否かを予め設定する同一居室設定手段と、各系統毎に前記ホットダッシュ運転制御を有効にするか無効にするかを予め設定するホットダッシュ設定手段と、前記熱源機から供給される熱媒が比較的高温か比較的低温かを判定する熱媒温度判定手段と、各系統の通常運転制御中に前記熱媒温度判定手段の判定結果に基づいて熱源機からの間欠的な熱媒供給のデューティー比を変更する温度調整制御手段とを備え、同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ前記連係運転制御内容が選択されるように制御内容選択手段が構成されているとともに、ホットダッシュ設定手段により無効に設定された系統の暖房端末の運転開始時にはホットダッシュ運転制御を行うことなく通常運転制御を開始するように構成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0016】
かかる本発明の暖房システムの制御装置の具体例は、熱源機に内蔵された給湯制御装置などの熱源機コントローラに対して各種制御指令を送出するリモコンであり、該リモコン(暖房制御装置)がユーザーに対する入出力と暖房に関する高レベルな制御とを行い、熱源機コントローラが熱動弁や燃焼機器などの各制御機器に対する低レベルな制御を行うように構成できる。
【0017】
単独運転制御内容と連係運転制御内容の具体的内容はどのようなものであってもよく、これらの名称は本発明を後述する実施形態に限定するものではなく、各系統の暖房端末を単独運転する場合の制御内容と、各系統の暖房端末を他の系統の暖房端末と何らかの(所定の)連係を行いつつ運転する場合の制御内容であればよい。例えば、単独運転制御内容は、ホットダッシュ運転時間を比較的長時間(例えば60分)とするものとし、連係運転制御内容は、他のいずれかの系統の暖房端末が通常運転中であることを上記の「所定の条件」として、ホットダッシュ運転時間を比較的短時間(例えば30分)とするものとすることができる。
【0018】
また、上記の各手段は、好適には記憶手段に記憶されたプログラムを実行するCPUによって実現することが可能であるが、専用の電子回路によって構成されていても良いし、また、ホットダッシュ設定手段や同一居室設定手段はディップスイッチなどのスイッチによって構成することもできる。また、複数系統の暖房端末が設置される居室は居間のみであることが多いので、同一居室設定手段は、複数の居室のうちの特定の一の居室(例えば居間)に設置されているか否かを設定するものであってもよく、また、各系統の暖房端末毎にどの居室に設置されているかを設定するものであってもよい。また、暖房端末としては、床暖房端末や壁暖房端末などの低温暖房端末を好適に用いることができる。
【0019】
上記本発明の暖房システムの制御装置によれば、同一居室設定手段を設けたので、複数の暖房端末の施工時に各系統の暖房端末を他のいずれかの系統の暖房端末と連係させた運転を行わせるか連係させずに単独で運転を行わせるかの設定をすることができ、単一の制御装置で、ユーザーの要望に合わせた多様な制御を行わせることができる。また、ある一の系統の暖房端末を運転開始する際、同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ制御内容選択手段によって一の系統の暖房端末のホットダッシュ運転制御の制御内容が連係運転制御内容に設定されるように構成されているので、例えば異なる部屋に設置された他の系統の暖房端末が通常運転制御中であることによって、一の系統の暖房端末のホットダッシュ運転制御の制御内容を連係運転制御内容とするための上記の「所定の条件」が満たされてしまう場合であっても、同一居室設定手段の設定に応じて「所定の条件」の判断をパスして強制的に通常のホットダッシュ運転制御を行わせることができる。また、同一居室設定手段により同一居室であると設定された他の暖房端末の運転状態が所定の状態であるか否かを「所定の条件」とすることも可能となる。また、同一居室内の複数系統の暖房端末が同時運転される場合には、後から運転開始される系統の暖房端末の運転開始時のホットダッシュ運転制御として連係運転制御内容を選択することにより、過加熱を防止して、低温やけどの発生を防止するとともに、ランニングコストを抑えることができる。
【0020】
さらに、ホットダッシュ設定手段を設けたので、比較的狭い部屋に暖房端末が設置されている場合や、暖房端末の上層に設置される床材の材質等によってそもそもホットダッシュ運転を行う必要がない系統については、ホットダッシュ運転制御を無効にすることができ、様々な要望に柔軟に対応できるようになる。
【0021】
また、温度調整手段を設けたので、ある一の系統が通常運転中に、他の系統がホットダッシュ運転されることによって熱源機から一の系統の暖房端末に供給される熱媒温度が高温になったとしても、間欠的な熱媒供給タイミングを調整することによって一の系統の暖房端末を適切な温度に維持することができる。
【0022】
また、本発明は、少なくとも2以上の居室に分配設置された複数系統の暖房端末が共通の熱源機に接続された暖房システムを各系統毎に暖房運転制御可能に構成した制御装置において、各系統の暖房端末の運転開始初期、及び/又は、運転開始から所定時間経過後、の暖房運転制御の制御内容として、所定の単独運転制御内容及び該単独運転制御内容とは異なる所定の連係運転制御内容のいずれかを所定の条件に基づき自動選択する制御内容選択手段と、各系統の暖房端末が他の系統の暖房端末と同一の居室に設置されているか否かを予め設定する同一居室設定手段とを備え、該同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ前記連係運転制御内容が選択されるように前記制御内容選択手段が構成されていることを特徴とするものである(請求項2)。
【0023】
これによれば、同一居室設定手段を設けたので、複数の暖房端末の施工時に各系統の暖房端末を他のいずれかの系統の暖房端末と連係させた運転を行わせるか連係させずに単独で運転を行わせるかの設定をすることができ、単一の制御装置で、ユーザーの要望に合わせた多様な制御を行わせることができる。また、ある一の系統の暖房端末を運転開始する際、同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ制御内容選択手段によって一の系統の暖房端末の暖房運転制御の制御内容が連係運転制御内容に設定されるように構成されているので、例えば異なる部屋に設置された他の系統の暖房端末が運転開始から所定時間経過していることによって、一の系統の暖房端末の暖房運転制御の制御内容を連係運転制御内容とするための上記の「所定の条件」が満たされてしまう場合であっても、同一居室設定手段の設定に応じて「所定の条件」の判断をパスして強制的に通常の暖房運転制御を行わせることができる。また、同一居室設定手段により同一居室であると設定された他の暖房端末の運転状態が所定の状態であるか否かを「所定の条件」とすることも可能となる。また、同一居室内の複数系統の暖房端末が同時運転される場合には、後から運転開始される系統の暖房端末の暖房運転制御として連係運転制御内容を選択することにより、過加熱を防止して、低温やけどの発生を防止するとともに、ランニングコストを抑えることができる。
【0024】
また、本発明は、少なくとも2以上の居室に分配設置された複数系統の暖房端末が共通の熱源機に接続された暖房システムの制御装置であって、各系統の運転開始初期はホットダッシュ運転制御を行いその後通常運転制御するように各系統毎に暖房運転制御可能に構成された制御装置において、各系統の暖房端末の運転開始初期のホットダッシュ運転制御の制御内容として、所定の単独運転制御内容及び該単独運転制御内容とは異なる所定の連係運転制御内容のいずれかを所定の条件に基づき自動選択する制御内容選択手段と、各系統の暖房端末が他の系統の暖房端末と同一の居室に設置されているか否かを予め設定する同一居室設定手段と、各系統毎に前記ホットダッシュ運転制御を有効にするか無効にするかを予め設定するホットダッシュ設定手段とを備え、同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ前記連係運転制御内容が選択されるように制御内容選択手段が構成されているとともに、ホットダッシュ設定手段により無効に設定された系統の暖房端末の運転開始時にはホットダッシュ運転制御を行うことなく通常運転制御を開始するように構成されていることを特徴とするものである(請求項3)。
【0025】
かかる本発明によれば、同一居室設定手段を設けたので、複数の暖房端末の施工時に各系統の暖房端末を他のいずれかの系統の暖房端末と連係させた運転を行わせるか連係させずに単独で運転を行わせるかの設定をすることができ、単一の制御装置で、ユーザーの要望に合わせた多様な制御を行わせることができる。また、ある一の系統の暖房端末を運転開始する際、同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ制御内容選択手段によって一の系統の暖房端末のホットダッシュ運転制御の制御内容が連係運転制御内容に設定されるように構成されているので、例えば異なる部屋に設置された他の系統の暖房端末が通常運転制御中であることによって、一の系統の暖房端末のホットダッシュ運転制御の制御内容を連係運転制御内容とするための上記の「所定の条件」が満たされてしまう場合であっても、同一居室設定手段の設定に応じて「所定の条件」の判断をパスして強制的に通常のホットダッシュ運転制御を行わせることができる。また、同一居室設定手段により同一居室であると設定された他の暖房端末の運転状態が所定の状態であるか否かを「所定の条件」とすることも可能となる。また、同一居室内の複数系統の暖房端末が同時運転される場合には、後から運転開始される系統の暖房端末の運転開始時のホットダッシュ運転制御として連係運転制御内容を選択することにより、過加熱を防止して、低温やけどの発生を防止するとともに、ランニングコストを抑えることができる。さらに、ホットダッシュ設定手段を設けたので、比較的狭い部屋に暖房端末が設置されている場合や、暖房端末の上層に設置される床材の材質等によってそもそもホットダッシュ運転を行う必要がない系統については、ホットダッシュ運転制御を無効にすることができ、様々な要望に柔軟に対応できるようになる。
【0026】
上記した本発明の制御装置において、設定された所定の時に所定の複数系統の暖房端末の暖房運転制御を開始させる共通の予約運転制御手段を備えることができる(請求項4)。これによれば、一回の予約設定で、予め設定した複数系統の暖房端末の予約運転を行わせることができ、より一層ユーザーの利便性を向上できる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る暖房システムの制御装置によれば、同一居室設定手段を設けたので、複数の暖房端末の施工時に各系統の暖房端末を他のいずれかの系統の暖房端末と連係させた運転を行わせるか連係させずに単独で運転を行わせるかの設定をすることができ、単一の制御装置で、ユーザーの要望に合わせた多様な制御を行わせることができる。また、ある一の系統の暖房端末を運転開始する際、同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ制御内容選択手段によって一の系統の暖房端末のホットダッシュ運転制御の制御内容が連係運転制御内容に設定されるように構成されているので、同一居室設定手段の設定に応じて「所定の条件」の判断をパスして強制的に通常のホットダッシュ運転制御を行わせることができる。また、同一居室設定手段により同一居室であると設定された他の暖房端末の運転状態が所定の状態であるか否かを「所定の条件」とすることも可能となる。また、同一居室内の複数系統の暖房端末が同時運転される場合には、後から運転開始される系統の暖房端末の運転開始時のホットダッシュ運転制御として連係運転制御内容を選択することにより、過加熱を防止して、低温やけどの発生を防止するとともに、ランニングコストを抑えることができる。さらに、ホットダッシュ設定手段を設けたので、比較的狭い部屋に暖房端末が設置されている場合や、暖房端末の上層に設置される床材の材質等によってそもそもホットダッシュ運転を行う必要がない系統については、ホットダッシュ運転制御を無効にすることができ、様々な要望に柔軟に対応できるようになる。また、温度調整手段を設けたので、ある一の系統が通常運転中に、他の系統がホットダッシュ運転されることによって熱源機から一の系統の暖房端末に供給される熱媒温度が高温になったとしても、間欠的な熱媒供給タイミングを調整することによって一の系統の暖房端末を適切な温度に維持することができる。
【0028】
また、本発明の請求項2に係る暖房システムの制御装置によれば、同一居室設定手段を設けたので、複数の暖房端末の施工時に各系統の暖房端末を他のいずれかの系統の暖房端末と連係させた運転を行わせるか連係させずに単独で運転を行わせるかの設定をすることができ、単一の制御装置で、ユーザーの要望に合わせた多様な制御を行わせることができる。また、ある一の系統の暖房端末を運転開始する際、同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ制御内容選択手段によって一の系統の暖房端末の暖房運転制御の制御内容が連係運転制御内容に設定されるように構成されているので、同一居室設定手段の設定に応じて「所定の条件」の判断をパスして強制的に通常の暖房運転制御を行わせることができる。また、同一居室設定手段により同一居室であると設定された他の暖房端末の運転状態が所定の状態であるか否かを「所定の条件」とすることも可能となる。また、同一居室内の複数系統の暖房端末が同時運転される場合には、後から運転開始される系統の暖房端末の暖房運転制御として連係運転制御内容を選択することにより、過加熱を防止して、低温やけどの発生を防止するとともに、ランニングコストを抑えることができる。
【0029】
また、本発明の請求項3に係る暖房システムの制御装置によれば、同一居室設定手段を設けたので、複数の暖房端末の施工時に各系統の暖房端末を他のいずれかの系統の暖房端末と連係させた運転を行わせるか連係させずに単独で運転を行わせるかの設定をすることができ、単一の制御装置で、ユーザーの要望に合わせた多様な制御を行わせることができる。また、ある一の系統の暖房端末を運転開始する際、同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ制御内容選択手段によって一の系統の暖房端末のホットダッシュ運転制御の制御内容が連係運転制御内容に設定されるように構成されているので、同一居室設定手段の設定に応じて「所定の条件」の判断をパスして強制的に通常のホットダッシュ運転制御を行わせることができる。また、同一居室設定手段により同一居室であると設定された他の暖房端末の運転状態が所定の状態であるか否かを「所定の条件」とすることも可能となる。また、同一居室内の複数系統の暖房端末が同時運転される場合には、後から運転開始される系統の暖房端末の運転開始時のホットダッシュ運転制御として連係運転制御内容を選択することにより、過加熱を防止して、低温やけどの発生を防止するとともに、ランニングコストを抑えることができる。さらに、ホットダッシュ設定手段を設けたので、比較的狭い部屋に暖房端末が設置されている場合や、暖房端末の上層に設置される床材の材質等によってそもそもホットダッシュ運転を行う必要がない系統については、ホットダッシュ運転制御を無効にすることができ、様々な要望に柔軟に対応できるようになる。
【0030】
また、本発明の請求項4に係る暖房システムの制御装置によれば、一回の予約設定で、予め設定した複数系統の暖房端末の予約運転を行わせることができ、より一層ユーザーの利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】床暖房システムの全体ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る床暖房リモコンの床暖房運転操作中の正面図である。
【図3】同リモコンの予約運転設定操作中の正面図である。
【図4】同リモコンのホットダッシュ有効/無効設定中の正面図である。
【図5】同リモコンの同一居室設定中の正面図である。
【図6】同リモコンによる各系統の床暖房端末の暖房運転制御の基本フローチャートである。
【図7】同リモコンによるホットダッシュ運転制御のフローチャートである。
【図8】同リモコンによる通常運転制御のフローチャートである。
【図9】2系統の床暖房端末が同時運転される場合の熱媒供給タイミングを示すタイムチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る床暖房リモコンの同一居室設定中の正面図である。
【図11】同リモコンによるホットダッシュ運転制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る床暖房リモコン1(暖房システムの制御装置)を用いた床暖房システムの概略を示しており、まずこの床暖房システムの構成について説明する。本実施形態の床暖房システムは、居間、寝室及び書斎の3つの部屋の床に分散配置された4系統の床暖房パネル2(暖房端末)と、これら4系統の床暖房パネル2が接続された共通の給湯装置3(熱源機)と、床暖房リモコン1(暖房制御装置)とから主構成されている。居間には系統1及び2の2つの系統の床暖房パネル2が配置され、寝室及び書斎にはそれぞれ1系統の床暖房パネル2が配置されている。また、床暖房リモコン1は居間の壁面に設置されている。
【0034】
給湯装置3は、熱交換器及び燃焼装置から主構成される高温水供給装置4と、該高温水供給装置4から供給される所定温度(例えば80℃)の高温水をそのまま、若しくは、低温水と混合することにより比較的低温(例えば60℃)の低温水として往きヘッダー5から出湯する供給湯温切替装置6と、戻りヘッダー7と、燃焼装置や各種電磁弁などの制御を行う給湯制御装置8とを備えている。往きヘッダー5及び戻りヘッダー7には各系統毎に接続ポート及び電磁開閉弁あるいは熱動弁(図示せず)が設けられ、各系統の床暖房パネル2が往きヘッダー5及び戻りヘッダー7に往き路及び戻り路を介してそれぞれ接続され、供給湯温切替装置6から供給される高温水又は低温水の供給を各系統毎にオンオフすることができるように構成されている。
【0035】
なお、図示していないが、給湯装置3は、一般給湯機能、ふろ給湯機能、ふろ追焚き機能など、従来公知の適宜の機能を備えることができる。このような給湯装置3としては、例えば本願出願人が特開2007−10209号公報に開示した温水循環式暖房機を用いることができ、その他、従来公知の適宜の給湯装置の構成を採用できる。
【0036】
給湯制御装置8は床暖房リモコン1と電気的に接続され、床暖房リモコン1からの指令信号に基づいて給湯制御装置8は給湯装置3内の各種制御対象機器を制御する。また、給湯制御装置8は、供給湯温切替装置6から往きヘッダー5への出湯湯温情報や、温度センサからの温度情報などを床暖房リモコン1に送出するように構成されている。
【0037】
床暖房リモコン1は、図2〜図5に示すように、前面に液晶表示装置及び各種操作ボタンが設けられ、内部にはCPU、RAM及びROMなどの記憶手段、液晶コントローラ及び入出力コントローラなどが設けられており、記憶手段に記憶された暖房運転制御プログラムによって、図6〜図8に示すように、各系統の床暖房パネル2の運転開始初期は給湯装置3から比較的高温(例えば80℃)の温水(熱媒)を供給するホットダッシュ運転制御を行い、その後給湯装置3から比較的低温(例えば60℃)の温水を間欠的に供給する通常運転制御を行うように各系統毎に暖房運転制御可能に構成されている。
【0038】
また、床暖房リモコン1は、各種操作設定画面により床暖房運転操作、予約運転設定操作、ホットダッシュ無効設定操作及び同一居室設定操作が行えるように構成されている。図2は床暖房運転操作画面を示しており、各系統毎に床暖房パネル2を運転するか否かを設定できるようになっているとともに、運転する場合には設定温度を高・中・低の3段階で設定できるようになっており、ここで設定された設定内容は記憶手段に記憶される。また、各系統1の温度センサからの検出温度信号に基づいて各系統の床面温度をメーター表示するようになっている。
【0039】
図3は予約運転設定画面を示しており、予約運転を開始する時間と、予約運転させる系統とを設定できるようになっており、ここで設定された予約時間と各系統の設定情報は記憶手段に記憶される。そして、床暖房リモコン1の内蔵時計が設定された予約運転開始時間になると、予約運転させると設定された系統の床暖房パネル2を運転開始するように制御プログラムが構成されており、而して、かかる制御プログラムを実行するCPUによって、設定された所定の時に所定の複数系統の暖房端末の暖房運転制御を開始させる共通の予約運転制御手段が実現されている。
【0040】
図4は、各系統毎にホットダッシュ運転を有効にするか無効にするかを設定するホットダッシュ設定画面を示しており、ここで設定された各系統毎のホットダッシュ設定も記憶手段に記憶されるように制御プログラムが構成されており、かかる制御プログラムを実行するCPUによりホットダッシュ設定手段が実現されている。
【0041】
図5は、同一居室に設置される複数系統の床暖房パネル2のホットダッシュ運転を連係させるために、連係動作をさせるか否か、すなわちある特定の居室に設置された系統であるか否か設定する同一居室設定画面を示しており、ここで設定された各系統毎の同一居室設定も記憶手段に記憶されように制御プログラムが構成されており、かかる制御プログラムを実行するCPUにより同一居室設定手段が実現されている。なお、図示例では、居間に設置された系統1及び2の同一居室設定を「入」に設定し、居間以外の居室に設置された系統3及び4の同一居室設定は「切」に設定している。
【0042】
図6は、各系統の床暖房パネル2の暖房運転制御の制御フローを示しており、図2に示す床暖房運転操作画面により各系統の運転設定が「停止」から「高」「中」「低」のいずれかに切替えられることにより系統運転が開始される。系統運転が開始されると、まずステップS1において、当該系統のホットダッシュ設定が有効であるか無効であるかを記憶手段を参照することにより判断し、有効であればステップS2のホットダッシュ運転制御に制御を分岐し、無効であればステップS2をパスしてステップS3の通常運転制御に制御を分岐させる。ステップS2のホットダッシュ運転制御が実行された後は、ステップS3に移行して通常運転制御が実行され、当該系統の運転停止操作がなされると系統運転を終了する。
【0043】
図7はホットダッシュ運転制御の制御フローを示しており、まずステップS4において
当該系統の同一居室設定が「入」であるか「切」であるかを判断し、「入」であればステップS5に分岐し、「切」であればステップS7に分岐する。
【0044】
ステップS5では、後述するように同一居室設定がなされた系統の床暖房パネル2が通常運転中であるときはその系統に対応して記憶手段に記憶されたホットダッシュ短縮モードフラグがONに設定されており、いずれかの系統のホットダッシュ短縮モードフラグがONであるか否かを判断する。なお、本実施形態では全ての系統のホットダッシュ短縮モードフラグを参照しているが、居間以外の書斎や寝室に設置された系統3,4の通常運転制御においては、これら系統3,4には同一居室設定がなされていないのでホットダッシュ短縮モードフラグがONになることはないため、実質的には居間に設置された系統1,2のホットダッシュ短縮モードフラグに基づく判断をステップS5で行っていることになる。
【0045】
このステップS5でいずれかの系統のホットダッシュ短縮モードフラグがONであると判定された場合はホットダッシュ短縮運転モード(連係運転制御内容)を設定するステップS6へ分岐し、上記フラグがいずれもOFFであると判定された場合はホットダッシュ通常運転モード(単独運転制御内容)を設定するステップS7へ分岐する。
【0046】
ステップS6では、記憶手段に記憶される目標時間変数Tgに、ホットダッシュ短縮運転時間(例えば30分)をセットする。一方、ステップS7では、目標時間変数Tgに、ホットダッシュ通常運転時間(例えば60分)をセットする。而して、これらステップS5〜S7を実行する制御プログラムによって、各系統の床暖房パネル2の運転開始初期のホットダッシュ運転制御の運転時間(制御内容)として、ホットダッシュ短縮運転時間(連係運転制御内容)とホットダッシュ通常運転時間(単独運転制御内容)のいずれかを所定の条件に基づき運転制御中に自動選択する制御内容選択手段が構成されており、該制御内容選択手段は、同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ前記連係運転制御内容が選択されるようになっている。
【0047】
ステップS6又はステップS7を実行すると、次に、ステップS8においてタイマーTを初期化する。なお、上記目標時間変数Tg及びタイマーTは、各系統毎に別途設けられている。
【0048】
次に、ステップS9において、当該系統のホットダッシュ運転を開始する指令信号を給湯制御装置8に送出し、該信号を受けた給湯制御装置8は、供給湯温切替装置6から供給される湯温を高温(80℃)に制御するとともに、当該系統に対応する電磁開閉弁を開いて当該系統の床暖房パネル2への温水の供給を開始する。なお、給湯制御装置8は、複数の系統のホットダッシュ運転制御が実行されているときは、すべての系統のホットダッシュ運転が終了するまで、供給湯温切替装置6から送出される湯温を高温に維持するように構成されている。
【0049】
次に、ステップ10では、タイマーTと目標時間変数Tgとを比較することによってホットダッシュ運転開始から所定のホットダッシュ運転時間が経過したか否かを判断し、ホットダッシュ運転時間が経過していればステップS12へ移行して当該系統のホットダッシュ運転を停止する。一方、ホットダッシュ運転時間が経過していないときは、ステップS11に移行して、ホットダッシュ運転の停止要求があるか否かを判断する。かかる停止要求は、リモコン1のユーザー操作によるものであってもよいし、給湯装置内部の異常に起因して給湯制御装置8からリモコンに送出される指令信号によるものであってもよいし、また、当該系統の床暖房パネルの温度センサの検出温度に基づいてリモコン1が自ら要求するものであってもよい。このような停止要求がなければステップS10に戻り、停止要求があればステップS12に移行してホットダッシュ運転を停止するように構成されている。
【0050】
ステップS12では、当該系統のホットダッシュ運転を停止する指令信号を給湯制御装置8に送出し、該信号を受けた給湯制御装置8は、当該系統に対応する電磁開閉弁を閉じて当該系統の床暖房パネル2への温水の供給を一旦停止するとともに、他にホットダッシュ運転を行っている系統がなければ供給湯温切替装置6から供給される湯温を低温(60℃)に制御する。
【0051】
図8は、通常運転制御の制御フローを示している。
【0052】
当該系統の通常運転制御が開始されると、まず、ステップS13において、当該系統の同一居室設定が「入」に設定されているか否かを判断し、「入」であれば同一居室内に設置された他の系統が遅れて運転開始される場合のホットダッシュ運転時間を短縮制御することが可能となるように、ステップS14に移行して当該系統のホットダッシュ短縮モードフラグをONに設定する。なお、本実施形態ではホットダッシュ短縮モードフラグは各系統毎に個別に記憶手段に記憶するようにしているが、一つのホットダッシュ短縮モードフラグのみで制御するように構成することも可能である。
【0053】
ステップS13で同一居室設定が「切」に設定されていた場合、及び、ステップS14の実行後は、ステップ15に処理が移行して当該系統の通常運転を開始する指令信号を給湯制御装置8に送出し、該信号を受けた給湯制御装置8は通常運転を行うために必要な制御を開始する。
【0054】
次に、ステップS16でタイマーTを初期化し、その後ステップS17で供給湯温切替装置6から送出される湯温が高温であるか低温であるかを判断する。而して、かかるステップS17を実行するプログラムによって、給湯装置3から供給される温水が比較的高温か比較的低温かを判定する温水温度判定手段が構成されている。
【0055】
供給湯温が高温である場合はステップS18に分岐し、高温時温水供給デューティー時間関数fh(t)の値を目標時間変数Tgにセットする。一方、供給湯温が低温である場合はステップS19に分岐し、低温時温水供給デューティー時間関数fl(t)の値を目標時間変数Tgにセットする。これら関数fh(t)およびfl(t)は、図2に示す床暖房運転操作画面で設定された当該系統の設定温度、当該系統の床暖房パネル2の温度センサの検出温度tなどに基づいて時々刻々と変化する状態にあわせて適切なデューティー時間を出力するものであり、高温時温水供給デューティー時間関数fh(t)の値は、低温時温水供給デューティー時間関数fl(t)の値よりも小さい。なお、これら関数の値が後述する制御周期時間よりも小さくなるように各関数が設定されている。
【0056】
而して、ステップS18又はS19を実行する制御プログラムによって、各系統の通常運転制御中に上記温水温度判定手段の判定結果に基づいて給湯装置3からの間欠的な温水供給のデューティー比を随時自動変更する温度調整制御手段が構成されている。
【0057】
次に、ステップS20において、タイマーTが目標時間Tgを経過したか否かを判断し、経過していなければステップS21において給湯制御装置8に当該系統に温水を供給させる要求信号を送出し、一方、経過していればステップS22において給湯制御装置8に当該系統への温水の供給を停止させる要求信号を送出する。
【0058】
次に、ステップS23において、タイマーTが制御周期時間(例えば20分)を経過しているか否かを判断し、経過していればステップS24に移行してタイマーTを初期化した後ステップS25へ移行し、経過していなければタイマーを初期化することなくステップS25へ移行する。
【0059】
ステップS25では、通常運転停止要求が有るか否かを判断する。かかる停止要求は、リモコン1のユーザー操作によるものであってもよいし、給湯装置内部の異常に起因して給湯制御装置8からリモコンに送出される指令信号によるものであってもよいし、また、当該系統の床暖房パネルの温度センサの異常な検出温度に基づいてリモコン1が自ら要求するものであってもよい。このような停止要求がなければステップS17に戻ってステップS17〜ステップS25を繰り返し実行するとともに、停止要求があればステップS26に移行して通常運転を停止するように構成されている。
【0060】
ステップS26では当該系統の通常運転を停止させる指令信号を給湯制御装置8に送出し、該信号を受けた給湯制御装置8は当該系統に対応する電磁開閉弁を閉じて当該系統の床暖房パネル2への温水供給を停止させ、他に運転中の系統がなければ高温水供給装置4の作動も停止させるなど必要な停止制御を行うようになっている。
【0061】
最後に、ステップS27において、当該系統のホットダッシュ短縮モードフラグをOFFに設定し、通常運転制御が終了する。なお、本実施形態では、ホットダッシュ短縮モードフラグは各系統が通常運転中であるか否かによってオンオフ設定したが、例えば、各系統の暖房運転制御とは無関係に室温が所定の閾値を超えるか否かによってホットダッシュ短縮モードフラグをオンオフ設定するように構成することも可能である。
【0062】
図9は、上記実施形態において、居間に設置された系統1(一系統目)の床暖房パネル2が通常運転制御に入った後に、同じ居間に設置された系統2(二系統目)の床暖房パネル2の暖房運転が開始されたときの各系統の温水供給の状態を示すタイムチャートである。図に示すように、一系統目の運転開始初期は、同一居室内の他の系統も運転されておらず居間が冷えた状態であり、十分な暖房能力を確保するためにホットダッシュ運転が通常時間(60分)行われ、その後通常運転制御が行われている。この通常運転制御の初期においては、温水供給温度は低温(60℃)であるため、目標時間変数Tgは低温時温水供給デューティー時間関数fl(t)の値がセットされ、制御周期時間(20分)のうち比較的長い時間低温水が供給されている。
【0063】
二系統目の暖房運転が開始されると、その運転開始初期のホットダッシュ運転によって全ての系統への温水供給温度が高温(80℃)となるため、一系統目の通常運転制御のステップS17及びステップS18によって一系統目の目標時間変数Tgが高温時温水供給デューティー時間fh(t)の値となる。これにより、二系統目の運転開始時点で一系統目のタイマーTがfh(t)の値を超えていれば、一系統目の温水供給が次の周期時間となる迄停止されることとなる。
【0064】
一方、二系統目の運転開始初期のホットダッシュ運転時間としては、既に一系統目の通常運転制御が実行されているため、図7のステップS5及びステップS6によりホットダッシュ短縮時間(例えば30分)が設定され、比較的短い時間高温水の継続供給によるホットダッシュ運転が行われるようになっている。
【0065】
図10及び図11は、本発明の床暖房リモコン1の第2実施形態を示しており、上記第1実施形態と同様の構成については同符号を付して詳細説明を省略し、異なる構成、作用効果について説明する。
【0066】
本第2実施形態では、同一居室設定画面で複数(図示例では4つ)の系統1〜4を、複数(図示例では4つ)のグループのいずれに所属させるか否かを設定することによって、各系統の床暖房パネル2が同一居室に設置されているか否かを設定できるように同一居室設定手段を構成している。
【0067】
また、ホットダッシュ運転制御においては、図11に示すように、図7のステップS4の同一居室設定の有無判定を省略し、ステップS5において、所属グループのいずれかの系統のホットダッシュ短縮モードフラグがONか否かを判定している。かかる構成であっても、同一居室に他の系統が配置されていない独立した系統(例えば、図10の系統3及び4)は、参照される他の系統のホットダッシュ短縮モードフラグが存在しないので、ホットダッシュ短縮時間(連係運転制御内容)が選択されることがない。したがって、かかる構成とすれば、図8の通常運転制御におけるステップS13を省略して通常運転制御の開始初期に必ず当該系統のホットダッシュ短縮モードフラグをONに設定することも可能である。
【0068】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、上記実施形態では床暖房リモコン1のみにより本発明の制御装置の機能を実現したが、熱源機に内蔵される熱源機コントローラ(上記実施形態における給湯制御装置)と床暖房リモコン1により本発明の制御装置を構成してもよく、また、熱源機コントローラによって本発明の制御装置を構成してもよい。
【0069】
また、「制御内容」とは、制御に用いるために記憶手段に記憶される上記実施形態のホットダッシュ時間のような設定値であってもよく、また、記憶手段に記憶されたプログラムによって実現される制御フローであってもよい。すなわち、上記実施形態では目標時間変数Tgの設定値をホットダッシュ短縮時間とホットダッシュ通常時間のいずれかを選択することで制御内容を変更しているが、制御フローすなわち実行されるプログラムコード自体を切替えるように構成することも可能である。
【0070】
また、上記実施形態では、暖房運転制御のうちの運転初期のホットダッシュ制御の制御内容のみを制御内容選択手段によって選択するように構成したが、通常運転制御中の制御内容を、他の系統に連係させるか単独運転させるかを切替えるものに本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 暖房システムの制御装置
2 暖房端末
3 熱源機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2以上の居室に分配設置された複数系統の暖房端末が共通の熱源機に接続された暖房システムの制御装置であって、各系統の運転開始初期は前記熱源機から比較的高温の熱媒を供給するホットダッシュ運転制御を行い、その後熱源機から比較的低温の熱媒を間欠的に供給する通常運転制御を行うように各系統毎に暖房運転制御可能に構成された制御装置において、
各系統の暖房端末の運転開始初期のホットダッシュ運転制御の制御内容として、所定の単独運転制御内容及び該単独運転制御内容とは異なる所定の連係運転制御内容のいずれかを所定の条件に基づき自動選択する制御内容選択手段と、
各系統の暖房端末が他の系統の暖房端末と同一の居室に設置されているか否かを予め設定する同一居室設定手段と、
各系統毎に前記ホットダッシュ運転制御を有効にするか無効にするかを予め設定するホットダッシュ設定手段と、
前記熱源機から供給される熱媒が比較的高温か比較的低温かを判定する熱媒温度判定手段と、
各系統の通常運転制御中に前記熱媒温度判定手段の判定結果に基づいて熱源機からの間欠的な熱媒供給のデューティー比を変更する温度調整制御手段とを備え、
同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ前記連係運転制御内容が選択されるように制御内容選択手段が構成されているとともに、ホットダッシュ設定手段により無効に設定された系統の暖房端末の運転開始時にはホットダッシュ運転制御を行うことなく通常運転制御を開始するように構成されていることを特徴とする暖房システムの制御装置。
【請求項2】
少なくとも2以上の居室に分配設置された複数系統の暖房端末が共通の熱源機に接続された暖房システムを各系統毎に暖房運転制御可能に構成した制御装置において、
各系統の暖房端末の運転開始初期、及び/又は、運転開始から所定時間経過後、の暖房運転制御の制御内容として、所定の単独運転制御内容及び該単独運転制御内容とは異なる所定の連係運転制御内容のいずれかを所定の条件に基づき自動選択する制御内容選択手段と、
各系統の暖房端末が他の系統の暖房端末と同一の居室に設置されているか否かを予め設定する同一居室設定手段とを備え、
該同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ前記連係運転制御内容が選択されるように前記制御内容選択手段が構成されていることを特徴とする暖房制御装置。
【請求項3】
少なくとも2以上の居室に分配設置された複数系統の暖房端末が共通の熱源機に接続された暖房システムの制御装置であって、各系統の運転開始初期はホットダッシュ運転制御を行いその後通常運転制御するように各系統毎に暖房運転制御可能に構成された制御装置において、
各系統の暖房端末の運転開始初期のホットダッシュ運転制御の制御内容として、所定の単独運転制御内容及び該単独運転制御内容とは異なる所定の連係運転制御内容のいずれかを所定の条件に基づき自動選択する制御内容選択手段と、
各系統の暖房端末が他の系統の暖房端末と同一の居室に設置されているか否かを予め設定する同一居室設定手段と、
各系統毎に前記ホットダッシュ運転制御を有効にするか無効にするかを予め設定するホットダッシュ設定手段とを備え、
同一居室設定手段により同一の居室に他の系統の暖房端末が設置されていると設定されている場合にのみ前記連係運転制御内容が選択されるように制御内容選択手段が構成されているとともに、ホットダッシュ設定手段により無効に設定された系統の暖房端末の運転開始時にはホットダッシュ運転制御を行うことなく通常運転制御を開始するように構成されていることを特徴とする暖房システムの制御装置。
【請求項4】
請求項1,2又は3に記載の制御装置において、設定された所定の時に所定の複数系統の暖房端末の暖房運転制御を開始させる共通の予約運転制御手段を備えていることを特徴とする暖房システムの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−50260(P2013−50260A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187983(P2011−187983)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】