暖房用ラジエータ
【課題】掃き出し窓部分に設置しても採光や通風を妨げることなく、かつ、布団乾燥機能を有する暖房用ラジエータを提供する。
【解決手段】暖房時においては、手動で全てのフィン5bを背面(壁面又は窓面)に対して直角方向に回動させる。これにより、温水ラジエータ1を掃き出し窓又は嵌め込み窓の前面に設置しても、採光を妨げることなく使用可能となる。また、布団乾燥時においては、全てのフィン5bを暖房時の位置に対して90度回動させ、壁面又は窓面と平行に配置させる。なお回動を可能とするため、隣接する温水パイプ間距離d0、温水パイプ4の中心からフィン5b先端までの距離(回動半径)をr1として、2・r1<d0 となるように、パイプ間隔及びフィン幅が設定されている。
【解決手段】暖房時においては、手動で全てのフィン5bを背面(壁面又は窓面)に対して直角方向に回動させる。これにより、温水ラジエータ1を掃き出し窓又は嵌め込み窓の前面に設置しても、採光を妨げることなく使用可能となる。また、布団乾燥時においては、全てのフィン5bを暖房時の位置に対して90度回動させ、壁面又は窓面と平行に配置させる。なお回動を可能とするため、隣接する温水パイプ間距離d0、温水パイプ4の中心からフィン5b先端までの距離(回動半径)をr1として、2・r1<d0 となるように、パイプ間隔及びフィン幅が設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は暖房用ラジエータに係り、特に布団乾燥機能を兼ね備えた暖房用ラジエータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅における採光性、通風性の向上を図るため、窓(開口部)を大きくとる傾向にあり、この場合の冬期におけるコールドドラフトや結露防止として、ペリメータ輻射式暖房である暖房用ラジエータが注目されている。
暖房用ラジエータの熱源としては温水、オイル、電気等が用いられている。また、放熱部のタイプとしては、パネル式や並列パイプ式が多く用いられており、特にパネルヒータについては、トイレ等の比較的狭い空間の暖房に適した機器が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1による温水パネルヒータ100は、図11に示すように、熱源機から供給される温水が内部を通過する蛇行形状の温水管路101を、放熱部として機能する表裏2枚の熱伝導性パネル102、103で挟んで固定することにより構成されている。
パネルヒータを、壁面や腰高窓の直下に設置する場合には特に問題はないが、掃き出し窓部分に設置した場合、採光、通風を妨げることとなる。これに対して、パイプ群を一定間隔で並列配置し内部に温水を通過させる並列パイプ式は、隣接パイプ間に空間が形成されるため採光性の問題がなく、掃き出し窓部分にも設置可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−77070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、住宅における布団乾燥については、ベランダなどを利用するいわゆる天日干しが一般的であるが、専用の布団乾燥機も商品化されている。天日干しは天気の良い日に限られ、また、部屋からベランダまで布団を運ぶのに大きな労力を要するケースがある。また、布団乾燥機については収納場所を要し、さらにセッティング及び収納に時間が掛かる等、利便性に欠けるという問題がある。そこで、天気に左右されず、かつ、必要な時に簡単に布団乾燥可能な装置として、暖房用ラジエータの利用が有効な手段として考えられる。
しかしながら、並列パイプ式の場合、上述のように採光性については問題ないものの、放熱面と布団との接触面が小さいため乾燥までに時間が掛かるという問題がある。これに対して、パネル式については放熱面と布団との接触面を大きくとれるという利点があるが、採光性に問題がある。このように、布団乾燥機能に関して両方式には一長一短があり、採光性確保と乾燥性能を両立させる暖房用ラジエータはこれまで提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであって、掃き出し窓部分に設置しても採光や通風を妨げることなく、かつ、布団乾燥機能を有する暖房用ラジエータを提供するものである。
本発明は以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る暖房用ラジエータは、
(1)内部を高温流体が流れる放熱パイプ群を並列に配置した暖房用ラジエータであって、該放熱パイプに装着される放熱促進体を、さらに備え、該放熱促進体は、該放熱パイプ表面に密接して嵌合する嵌合部と、該嵌合部の長手方向両端に付設される放熱フィン部と、を備え、かつ、該放熱パイプ表面に沿って回動自在に構成され、て成ることを特徴とする。
(2)上記発明において、前記放熱促進体の前記嵌合部は、薄肉円筒を前記放熱パイプの中心軸に平行な面で切断した形状に構成され、かつ、前記放熱フィンは、前記嵌合部の長手方向両端の該切断面上に配置するように付設され、て成ることを特徴とする。
(3)上記各発明において、前記放熱促進体は、前記嵌合部の背面側に第二の放熱フィンを、さらに備えたことを特徴とする。
(4)上記(3)において、前記放熱促進体を、並列に配置された前記放熱パイプ群の隔列(一列置き)に装着して成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記各発明によれば、採光性、通風性を妨げないため、掃き出し窓や、近年、住宅メーカ等により多く提案されているはめ込み窓際にも、輻射式暖房である暖房用ラジエータの設置が可能となる。これにより、冬期における窓際のコールドドラフトや結露を防止することができるという効果がある。
また、本発明による暖房用ラジエータにより布団乾燥が可能となるため、専用の布団乾燥機を用いる場合と比較して収納場所を必要とせず、また、セッティングや収納の手間も掛からないという利点がある。
また、本発明による暖房用ラジエータを窓際に設置した場合、太陽光・熱とパイプ放熱により、布団を内外両面から同時乾燥可能となり、乾燥時間の短縮及び省エネ性に寄与するという効果がある。
また、従来、冬季以外には用途がなかった暖房用ラジエータについて、通年で有効利用可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第一の実施形態に係る温水ラジエータ1の全体構成(暖房時態様)を示す図である。
【図2】放熱促進体5の詳細構成を示す図である。
【図3】温水ラジエータ1の布団乾燥時の態様を示す図である。
【図4】放熱促進体5の暖房時及び布団乾燥時における位置関係を比較した図である。
【図5】第一の実施形態に放熱促進体5の他のバリエーションを示す図である。
【図6】第二の実施形態に係る放熱促進体21の詳細構成を示す図である。
【図7】放熱促進体21の暖房時及び布団乾燥時における位置関係を比較した図である。
【図8】温水ラジエータ20の布団乾燥時の態様を示す図である。
【図9】第三の実施形態に係る放熱促進体31の詳細構成を示す図である。
【図10】放熱促進体31の暖房時及び布団乾燥時における位置関係を比較した図である。
【図11】従来の温水パネルヒータ100の構成を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る暖房用ラジエータの一態様である、温水ラジエータの実施形態について、図1乃至10を参照してさらに詳細に説明する。重複説明を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0009】
(第一の実施形態)
図1を参照して、温水ラジエータ1は、下ヘッダー2と、上ヘッダー3と、両ヘッダー間に並列に配置される複数の温水パイプ4と、を備えたラジエータ本体1aと、各温水パイプ4の表面に回動自在に嵌めこまれる放熱促進体5と、を主要構成とする。長手方向両端の温水パイプ4の下側には、最下端に床固定板7aを有する脚部7が取り付けられており、床固定板7aを床面にビス固定することにより、温水ラジエータ1を自立可能としている。温水パイプ4と各ヘッダーの接合部4c、4dの内部には温水流路孔(図示せず)が設けられており、温水パイプ4と下ヘッダー2又は上ヘッダー3間の温水の流入、流出を可能とするように構成されている。下ヘッダー2の一端側には、温水配管(図示せず)との接続部6が設けられており、温水配管を介して熱源機(図示せず)と温水ラジエータ1間の温水循環を可能としている。接続部6にはバルブ6aが設けられており、温水ラジエータ1内の温水の循環・停止を制御可能に構成されている。なお、接続部にバルブを持つことなく、熱源機側の制御弁により制御する形態としてもよい。
下ヘッダー2及び上ヘッダー3内部の流路区画により、同図手前側の温水パイプ群(全本数の約1/3)については下ヘッダー2から上ヘッダー3側に、奥側の温水パイプ群(残りの本数)については上ヘッダー3から下ヘッダー2側に温水が通過するように構成されている。
【0010】
図2(a)を参照して、放熱促進体5は、断面馬蹄形のパイプ嵌合部5aの長手方向両端にフィン5bが末広がり状に付設された形状を備えている。放熱促進体5の材質としては、熱伝導率の高い、例えばアルミニウム、銅等を用いることができる。同図(b)を参照して、放熱促進体5は長手方向両端部を拡げて温水パイプ4外表面に嵌め込み、その状態でパイプ嵌合部5aの内側方向への復元力により、温水パイプ4を嵌合し、かつ、パイプ表面に沿って回動可能に構成されている。さらに、パイプ嵌合部5aの内面側は温水パイプ4の外表面に密接し、これにより温水パイプ4と放熱促進体5間の熱伝導を確保されている。
左右のフィン5bは同図(c)に示すように、嵌合状態において嵌合部5a長手方向両端及びパイプ中心軸x−x’ を含む切断面P上に配置されるように付設されている。温水パイプ4の上端及び下端近傍にはストッパー4a、4bが設けられており、放熱促進体5の上下方向へのずれ動きを抑止している。フィン5bの幅r1’は、後述のように隣接するフィン同士が回動時に接触しない限度で最大長さに設定されている。
【0011】
温水ラジエータ1は以上のように構成されており、次に温水ラジエータ1の暖房時及び布団乾燥時の使用態様について説明する。
暖房時においては、図1、図4(a)を参照して、手動で全てのフィン5bを背面(壁面又は窓面)に対して直角方向に回動させる。これにより、温水ラジエータ1を掃き出し窓又は嵌め込み窓の前面に設置しても、採光を妨げることなく使用可能となる。
また、布団乾燥時においては、図3、図4(b)を参照して、全てのフィン5bを暖房時の位置に対して90度回動させ、壁面又は窓面と平行に配置させる。なお回動を可能とするため、隣接する温水パイプ間距離d0、温水パイプ4の中心からフィン5b先端までの距離(回動半径)をr1として、2・r1<d0 となるように、パイプ間隔d0及びフィン幅d1が設定されている。
【0012】
なお、本実施形態ではパイプ嵌合部5aの断面形状が嵌合状態において半円形となる例を示したが、パイプ間隔に余裕があれば、図5の放熱促進体9に示すように、パイプ中心軸と平行な切断面P‘上にフィン9bが位置するようにし、断面形状をより円形に近い形状にすることもできる。これにより、フィン幅d1’をさらに大きくすることができ、放熱性能がさらに向上する。
また、本実施形態では放熱促進体を手動で個々に回動させる例を示したが、リンク機構を用いて各放熱促進体を連動させ、手動又は電動で同時に回動させる形態とすることもできる。以下の実施形態についても同様である。
さらに、放熱促進体からの輻射放熱のみの例を示したが、下ヘッダー近傍にファンを付設し、対流放熱併用により乾燥促進を図る形態とすることもできる。
【0013】
(第二の実施形態)
次に図6〜図8を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。
本実施に係る温水ラジエータ20の本体部分の構成については、上述の温水ラジエータ1と同一であるので重複説明を省略する。両者の相違点は、放熱促進体のフィン形状である。すなわち図6を参照して、本実施形態に係る放熱促進体21は、パイプ嵌合部21aの長手方向両端に付設の放熱フィン21bに加えて、背面側にも放熱フィン21cを備えている。さらに、温水ラジエータ1の放熱促進体5は、パイプに嵌め込んだ状態でパイプ嵌合部5aの断面が半円形状であるのに対して、放熱促進体21ではより円形に近い形状となる。
【0014】
このような構成により、図7を参照して放熱促進体21を用いた温水ラジエータ20については、同図(a)に示すように、暖房時には放熱促進体5と同様のフィン回動操作により、採光性が確保される。また、布団乾燥時には、同図(b)に示すように温水パイプ4の両面に放熱面を形成させることができる。これにより、さらなる乾燥性能の向上を図ることができる。なお、本実施形態においても、隣接する温水パイプ4の中心間距離d0、放熱促進体21の回動半径をr2とすると、2・r2<d0となるようにフィン幅が設定されている。
図8を参照して、掃き出し窓25際に設置した温水ラジエータ20に布団24を掛けたとき、放熱フィン21b、21cが布団24の裏面全体に亘って相対させることができるため、乾燥時間の短縮が可能となる。
【0015】
(第三の実施形態)
さらに本発明の他の実施形態について説明する。
図9、10を参照して、本実施形態に係る温水ラジエータ30が上述の温水ラジエータ20と異なる点は、温水ラジエータ30は全ての温水パイプ4が放熱促進体31を装着しているのではなく、隔列(一つ置き)に装着していることである。これにより、温水ラジエータ30については、放熱促進体の装着本数を半分に減らすことができ、さらに採光・通風の確保が容易となる。
さらに、放熱促進体31が前面及び背面にそれぞれフィン31b、31cを備えている点については上述の放熱促進体21と同様であるが、放熱促進体31の回動半径r3は放熱促進体21の回動半径r2より大きい点についても異なる。なお、r3の値は、回動時に隣接する温水パイプに接触しない長さに設定されている。その他の構成については、上述の温水ラジエータと同一であるので重複説明を省略する。
【0016】
このような構成により、温水ラジエータ30についても、暖房時には同図(a)に示すように放熱促進体5と同様、採光性を確保することができる。また、布団乾燥時には同図(b)に示すように、放熱促進体の装着本数が半分であるにも関わらず、第二の実施形態と同様の放熱面が確保される。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、布団乾燥のみならず他の被乾燥物の乾燥装置としても広く利用可能である。
【符号の説明】
【0018】
1,20,30・・・・温水ラジエータ
1a・・・ラジエータ本体
2・・・・下ヘッダー
3・・・・上ヘッダー
4・・・・温水パイプ
5、21、31・・・・放熱促進体
5a、21a,31a・・・・パイプ嵌合部
5b、21b、21c、31b・・・・放熱フィン
7・・・・脚部
【技術分野】
【0001】
本発明は暖房用ラジエータに係り、特に布団乾燥機能を兼ね備えた暖房用ラジエータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅における採光性、通風性の向上を図るため、窓(開口部)を大きくとる傾向にあり、この場合の冬期におけるコールドドラフトや結露防止として、ペリメータ輻射式暖房である暖房用ラジエータが注目されている。
暖房用ラジエータの熱源としては温水、オイル、電気等が用いられている。また、放熱部のタイプとしては、パネル式や並列パイプ式が多く用いられており、特にパネルヒータについては、トイレ等の比較的狭い空間の暖房に適した機器が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1による温水パネルヒータ100は、図11に示すように、熱源機から供給される温水が内部を通過する蛇行形状の温水管路101を、放熱部として機能する表裏2枚の熱伝導性パネル102、103で挟んで固定することにより構成されている。
パネルヒータを、壁面や腰高窓の直下に設置する場合には特に問題はないが、掃き出し窓部分に設置した場合、採光、通風を妨げることとなる。これに対して、パイプ群を一定間隔で並列配置し内部に温水を通過させる並列パイプ式は、隣接パイプ間に空間が形成されるため採光性の問題がなく、掃き出し窓部分にも設置可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−77070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、住宅における布団乾燥については、ベランダなどを利用するいわゆる天日干しが一般的であるが、専用の布団乾燥機も商品化されている。天日干しは天気の良い日に限られ、また、部屋からベランダまで布団を運ぶのに大きな労力を要するケースがある。また、布団乾燥機については収納場所を要し、さらにセッティング及び収納に時間が掛かる等、利便性に欠けるという問題がある。そこで、天気に左右されず、かつ、必要な時に簡単に布団乾燥可能な装置として、暖房用ラジエータの利用が有効な手段として考えられる。
しかしながら、並列パイプ式の場合、上述のように採光性については問題ないものの、放熱面と布団との接触面が小さいため乾燥までに時間が掛かるという問題がある。これに対して、パネル式については放熱面と布団との接触面を大きくとれるという利点があるが、採光性に問題がある。このように、布団乾燥機能に関して両方式には一長一短があり、採光性確保と乾燥性能を両立させる暖房用ラジエータはこれまで提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであって、掃き出し窓部分に設置しても採光や通風を妨げることなく、かつ、布団乾燥機能を有する暖房用ラジエータを提供するものである。
本発明は以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る暖房用ラジエータは、
(1)内部を高温流体が流れる放熱パイプ群を並列に配置した暖房用ラジエータであって、該放熱パイプに装着される放熱促進体を、さらに備え、該放熱促進体は、該放熱パイプ表面に密接して嵌合する嵌合部と、該嵌合部の長手方向両端に付設される放熱フィン部と、を備え、かつ、該放熱パイプ表面に沿って回動自在に構成され、て成ることを特徴とする。
(2)上記発明において、前記放熱促進体の前記嵌合部は、薄肉円筒を前記放熱パイプの中心軸に平行な面で切断した形状に構成され、かつ、前記放熱フィンは、前記嵌合部の長手方向両端の該切断面上に配置するように付設され、て成ることを特徴とする。
(3)上記各発明において、前記放熱促進体は、前記嵌合部の背面側に第二の放熱フィンを、さらに備えたことを特徴とする。
(4)上記(3)において、前記放熱促進体を、並列に配置された前記放熱パイプ群の隔列(一列置き)に装着して成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記各発明によれば、採光性、通風性を妨げないため、掃き出し窓や、近年、住宅メーカ等により多く提案されているはめ込み窓際にも、輻射式暖房である暖房用ラジエータの設置が可能となる。これにより、冬期における窓際のコールドドラフトや結露を防止することができるという効果がある。
また、本発明による暖房用ラジエータにより布団乾燥が可能となるため、専用の布団乾燥機を用いる場合と比較して収納場所を必要とせず、また、セッティングや収納の手間も掛からないという利点がある。
また、本発明による暖房用ラジエータを窓際に設置した場合、太陽光・熱とパイプ放熱により、布団を内外両面から同時乾燥可能となり、乾燥時間の短縮及び省エネ性に寄与するという効果がある。
また、従来、冬季以外には用途がなかった暖房用ラジエータについて、通年で有効利用可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第一の実施形態に係る温水ラジエータ1の全体構成(暖房時態様)を示す図である。
【図2】放熱促進体5の詳細構成を示す図である。
【図3】温水ラジエータ1の布団乾燥時の態様を示す図である。
【図4】放熱促進体5の暖房時及び布団乾燥時における位置関係を比較した図である。
【図5】第一の実施形態に放熱促進体5の他のバリエーションを示す図である。
【図6】第二の実施形態に係る放熱促進体21の詳細構成を示す図である。
【図7】放熱促進体21の暖房時及び布団乾燥時における位置関係を比較した図である。
【図8】温水ラジエータ20の布団乾燥時の態様を示す図である。
【図9】第三の実施形態に係る放熱促進体31の詳細構成を示す図である。
【図10】放熱促進体31の暖房時及び布団乾燥時における位置関係を比較した図である。
【図11】従来の温水パネルヒータ100の構成を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る暖房用ラジエータの一態様である、温水ラジエータの実施形態について、図1乃至10を参照してさらに詳細に説明する。重複説明を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0009】
(第一の実施形態)
図1を参照して、温水ラジエータ1は、下ヘッダー2と、上ヘッダー3と、両ヘッダー間に並列に配置される複数の温水パイプ4と、を備えたラジエータ本体1aと、各温水パイプ4の表面に回動自在に嵌めこまれる放熱促進体5と、を主要構成とする。長手方向両端の温水パイプ4の下側には、最下端に床固定板7aを有する脚部7が取り付けられており、床固定板7aを床面にビス固定することにより、温水ラジエータ1を自立可能としている。温水パイプ4と各ヘッダーの接合部4c、4dの内部には温水流路孔(図示せず)が設けられており、温水パイプ4と下ヘッダー2又は上ヘッダー3間の温水の流入、流出を可能とするように構成されている。下ヘッダー2の一端側には、温水配管(図示せず)との接続部6が設けられており、温水配管を介して熱源機(図示せず)と温水ラジエータ1間の温水循環を可能としている。接続部6にはバルブ6aが設けられており、温水ラジエータ1内の温水の循環・停止を制御可能に構成されている。なお、接続部にバルブを持つことなく、熱源機側の制御弁により制御する形態としてもよい。
下ヘッダー2及び上ヘッダー3内部の流路区画により、同図手前側の温水パイプ群(全本数の約1/3)については下ヘッダー2から上ヘッダー3側に、奥側の温水パイプ群(残りの本数)については上ヘッダー3から下ヘッダー2側に温水が通過するように構成されている。
【0010】
図2(a)を参照して、放熱促進体5は、断面馬蹄形のパイプ嵌合部5aの長手方向両端にフィン5bが末広がり状に付設された形状を備えている。放熱促進体5の材質としては、熱伝導率の高い、例えばアルミニウム、銅等を用いることができる。同図(b)を参照して、放熱促進体5は長手方向両端部を拡げて温水パイプ4外表面に嵌め込み、その状態でパイプ嵌合部5aの内側方向への復元力により、温水パイプ4を嵌合し、かつ、パイプ表面に沿って回動可能に構成されている。さらに、パイプ嵌合部5aの内面側は温水パイプ4の外表面に密接し、これにより温水パイプ4と放熱促進体5間の熱伝導を確保されている。
左右のフィン5bは同図(c)に示すように、嵌合状態において嵌合部5a長手方向両端及びパイプ中心軸x−x’ を含む切断面P上に配置されるように付設されている。温水パイプ4の上端及び下端近傍にはストッパー4a、4bが設けられており、放熱促進体5の上下方向へのずれ動きを抑止している。フィン5bの幅r1’は、後述のように隣接するフィン同士が回動時に接触しない限度で最大長さに設定されている。
【0011】
温水ラジエータ1は以上のように構成されており、次に温水ラジエータ1の暖房時及び布団乾燥時の使用態様について説明する。
暖房時においては、図1、図4(a)を参照して、手動で全てのフィン5bを背面(壁面又は窓面)に対して直角方向に回動させる。これにより、温水ラジエータ1を掃き出し窓又は嵌め込み窓の前面に設置しても、採光を妨げることなく使用可能となる。
また、布団乾燥時においては、図3、図4(b)を参照して、全てのフィン5bを暖房時の位置に対して90度回動させ、壁面又は窓面と平行に配置させる。なお回動を可能とするため、隣接する温水パイプ間距離d0、温水パイプ4の中心からフィン5b先端までの距離(回動半径)をr1として、2・r1<d0 となるように、パイプ間隔d0及びフィン幅d1が設定されている。
【0012】
なお、本実施形態ではパイプ嵌合部5aの断面形状が嵌合状態において半円形となる例を示したが、パイプ間隔に余裕があれば、図5の放熱促進体9に示すように、パイプ中心軸と平行な切断面P‘上にフィン9bが位置するようにし、断面形状をより円形に近い形状にすることもできる。これにより、フィン幅d1’をさらに大きくすることができ、放熱性能がさらに向上する。
また、本実施形態では放熱促進体を手動で個々に回動させる例を示したが、リンク機構を用いて各放熱促進体を連動させ、手動又は電動で同時に回動させる形態とすることもできる。以下の実施形態についても同様である。
さらに、放熱促進体からの輻射放熱のみの例を示したが、下ヘッダー近傍にファンを付設し、対流放熱併用により乾燥促進を図る形態とすることもできる。
【0013】
(第二の実施形態)
次に図6〜図8を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。
本実施に係る温水ラジエータ20の本体部分の構成については、上述の温水ラジエータ1と同一であるので重複説明を省略する。両者の相違点は、放熱促進体のフィン形状である。すなわち図6を参照して、本実施形態に係る放熱促進体21は、パイプ嵌合部21aの長手方向両端に付設の放熱フィン21bに加えて、背面側にも放熱フィン21cを備えている。さらに、温水ラジエータ1の放熱促進体5は、パイプに嵌め込んだ状態でパイプ嵌合部5aの断面が半円形状であるのに対して、放熱促進体21ではより円形に近い形状となる。
【0014】
このような構成により、図7を参照して放熱促進体21を用いた温水ラジエータ20については、同図(a)に示すように、暖房時には放熱促進体5と同様のフィン回動操作により、採光性が確保される。また、布団乾燥時には、同図(b)に示すように温水パイプ4の両面に放熱面を形成させることができる。これにより、さらなる乾燥性能の向上を図ることができる。なお、本実施形態においても、隣接する温水パイプ4の中心間距離d0、放熱促進体21の回動半径をr2とすると、2・r2<d0となるようにフィン幅が設定されている。
図8を参照して、掃き出し窓25際に設置した温水ラジエータ20に布団24を掛けたとき、放熱フィン21b、21cが布団24の裏面全体に亘って相対させることができるため、乾燥時間の短縮が可能となる。
【0015】
(第三の実施形態)
さらに本発明の他の実施形態について説明する。
図9、10を参照して、本実施形態に係る温水ラジエータ30が上述の温水ラジエータ20と異なる点は、温水ラジエータ30は全ての温水パイプ4が放熱促進体31を装着しているのではなく、隔列(一つ置き)に装着していることである。これにより、温水ラジエータ30については、放熱促進体の装着本数を半分に減らすことができ、さらに採光・通風の確保が容易となる。
さらに、放熱促進体31が前面及び背面にそれぞれフィン31b、31cを備えている点については上述の放熱促進体21と同様であるが、放熱促進体31の回動半径r3は放熱促進体21の回動半径r2より大きい点についても異なる。なお、r3の値は、回動時に隣接する温水パイプに接触しない長さに設定されている。その他の構成については、上述の温水ラジエータと同一であるので重複説明を省略する。
【0016】
このような構成により、温水ラジエータ30についても、暖房時には同図(a)に示すように放熱促進体5と同様、採光性を確保することができる。また、布団乾燥時には同図(b)に示すように、放熱促進体の装着本数が半分であるにも関わらず、第二の実施形態と同様の放熱面が確保される。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、布団乾燥のみならず他の被乾燥物の乾燥装置としても広く利用可能である。
【符号の説明】
【0018】
1,20,30・・・・温水ラジエータ
1a・・・ラジエータ本体
2・・・・下ヘッダー
3・・・・上ヘッダー
4・・・・温水パイプ
5、21、31・・・・放熱促進体
5a、21a,31a・・・・パイプ嵌合部
5b、21b、21c、31b・・・・放熱フィン
7・・・・脚部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を高温流体が流れる放熱パイプ群を並列に配置した暖房用ラジエータであって、
該放熱パイプに装着される放熱促進体を、さらに備え、
該放熱促進体は、該放熱パイプ表面に密接して嵌合する嵌合部と、該嵌合部の長手方向両端に付設される放熱フィン部と、を備え、かつ、該放熱パイプ表面に沿って回動自在に構成され、
て成ることを特徴とする暖房用ラジエータ。
【請求項2】
前記放熱促進体の前記嵌合部は、薄肉円筒を前記放熱パイプの中心軸に平行な面で切断した形状に構成され、かつ、
前記放熱フィンは、前記嵌合部の長手方向両端の該切断面上に配置するように付設され、
て成ることを特徴とする請求項1に記載の暖房用ラジエータ。
【請求項3】
前記放熱促進体は、前記嵌合部の背面側に第二の放熱フィンを、さらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の暖房用ラジエータ。
【請求項4】
前記放熱促進体を、並列に配置された前記放熱パイプ群の隔列に装着して成ることを特徴とする請求項3に記載の暖房用ラジエータ。
【請求項1】
内部を高温流体が流れる放熱パイプ群を並列に配置した暖房用ラジエータであって、
該放熱パイプに装着される放熱促進体を、さらに備え、
該放熱促進体は、該放熱パイプ表面に密接して嵌合する嵌合部と、該嵌合部の長手方向両端に付設される放熱フィン部と、を備え、かつ、該放熱パイプ表面に沿って回動自在に構成され、
て成ることを特徴とする暖房用ラジエータ。
【請求項2】
前記放熱促進体の前記嵌合部は、薄肉円筒を前記放熱パイプの中心軸に平行な面で切断した形状に構成され、かつ、
前記放熱フィンは、前記嵌合部の長手方向両端の該切断面上に配置するように付設され、
て成ることを特徴とする請求項1に記載の暖房用ラジエータ。
【請求項3】
前記放熱促進体は、前記嵌合部の背面側に第二の放熱フィンを、さらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の暖房用ラジエータ。
【請求項4】
前記放熱促進体を、並列に配置された前記放熱パイプ群の隔列に装着して成ることを特徴とする請求項3に記載の暖房用ラジエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−58648(P2011−58648A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205817(P2009−205817)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
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