説明

暖房装置の置台保護部材

【課題】 暖房機の置台の形状や大きさに関係なく取付けできる暖房機の置台保護部材の構造に関する。
【解決手段】 暖房機の熱源1と熱源1を囲む枠体Aとを取付けた置台2において、置台2の周縁には床面と接する床面接触部2aと、床面接触部2aの周縁から外方に向けて立ち上げた周壁部2bを備え、該周壁部2bは4箇所のコーナ部を構成する曲線部4と、曲線部4の間に位置する直線部5もしくは湾曲部6とによって構成している。置台2と床面との間に配置する保護部材7の一部は周壁部2bの縁部3に伸ばされて縁部3に係合保持し、保護部材7は曲線部4を除く直線部5もしくは湾曲部6のみに配置している。保護部材7が係合保持する直線部5や湾曲部6の周壁部2bの縁部3は置台2の大きさや形状が異なっても、形状が大きく異なることがないから、置台2を選ばない汎用性の高い保護部材7が提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、暖房装置の置台に装着する保護部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
暖房機の底板を兼ねる置台の上には熱源となるバーナとバーナに燃料を供給する燃料タンクとを配置し、このバーナや燃料タンクを囲むように枠体を配置している。そして、ファンヒータなどの温風暖房機は、枠体内に燃焼空気を供給するための燃焼ファンや、温風を吹き出すための室内対流ファンを備えており、これらのファンを駆動するためのファンモータ等が配置されている。
【0003】
最近の住宅は、フローリングの床面の部屋が増えてきており、フローリングの床面の部屋で暖房機を使用する時は、枠体内に備えた燃焼ファンや室内対流ファンを駆動させるファンモータから発生する振動が置台を介して床面に伝わって、カタカタという音を発生させることがある。
【0004】
また、フローリングの床面は滑りやすくなっているため、地震やその他の衝撃によって暖房機本体が床面上を滑って移動してしまうことがあり、対震消火装置が正常に作動しない恐れがあった。また、暖房機が滑ると床面に傷がつくことがあった。この為、置台の下面にゴム体あるいは同等の摩擦力を有する保護部材を取り付けて、暖房機が床面を滑らないようにして、床面の傷の防止や安全性の向上を図った提案がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭48−77957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1の保護部材は、置台の下面全体の形状に一致するように形成したものであるが、置台の大きさや形状は製造メーカーや暖房機の種類や能力などによって異なっている為、置台のサイズや形状ごとに保護部材を用意しなければならず、保護部材の汎用性が低いものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記の課題を解決するもので、暖房装置の熱源1と、その熱源1を囲むように配置した枠体Aとが取付けられる暖房装置の置台2において、該置台2は床面と接する床面接触部2aと、該床面接触部2aから外方に立ち上げた周壁部2bとによって、皿状に形成されており、前記周壁部2bの縁部3は、4箇所のコーナ部を構成する曲線部4と、この曲線部4を連続する直線部5もしくは曲率半径の大なる湾曲部6とによって形成し、前記床面接触部2aと床面との間に配置された保護部材7は、その一部が前記周壁部2bの縁部3に伸ばされてこの縁部3に係合保持すると共に、前記保護部材7は、前記曲線部4を除く前記直線部5もしくは湾曲部6の周壁部2bの縁部3のみに係合保持されていることを特徴とする。
【0007】
また、保護部材7は前記曲線部4以外の床面接触部2aに複数箇所配置するものとしたから、保護部材7の汎用性が高くなると共に、保護部材7を取付ける位置の自由度も高くなった。
【0008】
また、保護部材7は同一断面を有する棒状の柔軟性素材から切り出された単片によって構成され、前記保護部材7は4箇所の前記周壁部2bの直線部5もしくは湾曲部6にそれぞれ配置することで、保護部材7は容易に製造でき、安価に提供できるものである。
【0009】
また、保護部材7は前記周壁部2bの外側面から内側面に向けて形成し、周壁部2bの縁部3に係合する係合部7aを設け、保護部材7の係合部7aが周壁部2bの縁部3に係合し、その一部が床面接触部2bの下部に伸ばすものであり、暖房機本体を持ち上げても保護部材7が外れることはない。
【0010】
また、置台2の周壁部2bの縁部3を外側に巻き込んだカーリング部8を設け、前記保護部材7の係合部7aは該カーリング部8に係合する形状で形成すると共に、保護部材7の係合部7aがカーリング部8に係合し、その一部が床面接触部2bの下部に伸ばすものであり、保護部材7は確実に置台2に係合することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、置台2の周壁部2bの縁部3に係合保持する保護部材7を設け、この保護部材7の一部を置台2の床面接触部2aと床面との間に位置させたから、置台2の床面接触部2aが直接床面と接触することはなく、床面を傷から守ることができるようになった。また、この保護部材7は、置台2の周壁部2bの4箇所のコーナ部を構成している曲線部4を除く直線部5もしくは湾曲部6にのみ係合保持させたものであり、置台2の大きさや形状によって置台2の直線部5や湾曲部6の寸法は異なっても、保護部材7を係合する置台2の周壁部2bや縁部3の形状は大きく異なることはないものであり、様々な置台に取り付けることができる汎用性の高い保護部材7となった。
【0012】
また、保護部材7は曲線部4以外の床面接触部2aにそれぞれ複数箇所取り付けたものであり、保護部材7を取付ける位置の自由度が高くなると共に、保護部材7の材料費を低減することができた。
【0013】
また、この発明の保護部材7は棒状の柔軟性素材から切り出した単片によって構成したものであり、保護部材7は所定寸法に連続的に切り出すことで、容易に同じ寸法の保護部材7を製造することができるから、製造コストを大幅に低減することができた。
【0014】
また、保護部材7には置台2の周壁部2bの縁部3に係合する係合部7aを設け、この係合部7aは縁部3を覆うように縁部3で折り返して形成しており、この折り返したU字状の溝の幅を縁部3の厚みよりも狭く設定することで、柔軟性素材で形成した保護部材7の係合部7aが縁部3に確実に係合保持することができるようになったから、暖房機を持ち上げても保護部材7が置台2から外れることはない。
【0015】
また、置台2の周壁部2bの縁部3を外側にカールさせたカーリング部8を設け、前記保護部材7の係合部7aは前記カーリング部8に係合する形状で形成し、保護部材7の係合部7aの内径をカーリング部8の外径よりも小さく設定することで、柔軟性素材で形成した保護部材7は係合部7aの内周面がカーリング部8の外周面を押圧することでカーリング部8に確実に係合することができるようになった。
【実施例】
【0016】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1は暖房機の熱源、2は熱源1が配置される暖房機の底板を兼ねる略長方形からなる置台、Aは置台2の上に取り付けた枠体であり、図に示す実施例の暖房機はファンヒータと呼ばれる燃焼ガスを室内に放出するタイプの温風暖房機であり、9は置台2の上に設置する熱源1を構成するバーナ、9aはバーナ9の上部に連続する燃焼室、10は枠体A内に配置した燃料タンク、11は燃料タンク10の上面に取り付けた燃料ポンプ、12は燃料ポンプ11とバーナ9とを結ぶ燃料パイプ、13はバーナ9に燃焼空気を供給する燃焼ファン、14は燃焼ファン13を駆動するファンモータ、15はバーナ9内を加熱して燃焼可能にする点火ヒータであり、予め点火ヒータ15に通電してバーナ9を高温にしておき、燃料ポンプ11と燃焼ファン13を作動すると燃料タンク10の燃料がバーナ9内に送られ、バーナ9に送られた燃料は気化して点火ヒータ15の熱で着火し、燃焼ファン13で送られる空気によって燃焼を開始し、バーナ9で発生した燃焼炎と燃焼ガスは燃焼室9aに送られて完全燃焼する。
【0017】
16は枠体Aの前面に配置した温風吹出口、17は枠体Aの背面に設けた空気吸込口、18は温風吹出口16と空気吸込口17との間の枠体A内に配置した送風路、19は空気吸込口17付近の送風路18に取付けた室内対流ファンであり、前記バーナ9の一部と燃焼室9aが送風路18内に配置され、室内対流ファン19によって送風路18内に送られた室内空気と、燃焼室9aから排出される燃焼排ガスとが送風路18内で混合し、温風吹出口16から温風となって吹出す。
【0018】
図に示す実施例において、2cは枠体A及びバーナ9が配置される置台2の中央付近に形成した枠体取付部、2aは枠体取付部2cの周りを囲むように置台2の周縁に形成した床面接触部であり、置台2は枠体取付部2cより内側が床面と所定間隔を形成するように高くし、枠体取付部2cの外方の床面接触部2aが床面と接触するように設定している。
温風暖房機を運転すると、バーナ9や送風路18を流れる温風からの熱で枠体A内が高温となるが、上記の構成であればバーナ9や送風路18からの熱で床面が直接加熱されないようにして床面の温度上昇を防いでいる。
【0019】
2bは置台2の床面接触部2aの周縁から上方に伸ばした周壁部であり、周壁部2bは床面接触部2aの周縁を囲むようにして上方へ向けて皿状に形成したものであり、暖房機に振動を与えたり、暖房機を移動する時に燃料タンク10内の燃料が置台2に落下することがあるが、置台2に落下した燃料は周壁部2bに受け止められて床面に流出しないようにしている。
【0020】
4は略長方形の置台2の四隅のコーナ部を構成する曲線部、5は曲線部4の間に位置する置台2の後部と側部を構成する直線部、6は置台2の前部の曲線部4の間に位置する曲率半径の大きい円弧状に形成した湾曲部であり、置台2の周縁は曲線部4と直線部5と湾曲部6との組み合わせによって構成している。
【0021】
ところで、床面に直接設置している暖房機は置台を床面と接触させたまま暖房機を移動させると床面に傷がつくことがある。また、フローリングなどの摩擦力が少ない床面に暖房機を設置した時には、地震やその他の衝撃が加わると暖房機が床面を滑ってしまい、暖房機内に備えた対震消火装置が正常に作動しない恐れがある。更に、燃焼ファンや対流ファンを駆動しているモータの作動中に発生する振動が置台を介して床面に伝わって床面と置台との間でカタカタと振動音を発生させることがあった。
【0022】
この発明は、上記の課題を解決するものであり、7は置台2に着脱自在に装着する保護部材、3は置台2の周壁部2bの上縁部分を構成している縁部であり、保護部材7は置台2の周縁を構成している曲線部4を除く直線部5と湾曲部6の中央付近にそれぞれ係合保持しており、保護部材7の一端を周壁部2bの縁部3に係合保持し、他端を床面接触部2aと床面との間に伸ばして床面接触部2aが直接床面に接触しないようにしている。図4(a)に示す保護部材7は保護部材7の間を結んでリング状にして一体に形成しており、置台2の周縁の形状に合わせてリング状に形成した保護部材7を置台2の直線部5と湾曲部6に係合保持させている。
【0023】
一般的に暖房機の置台2は製造メーカーや暖房機の種類や能力などによってその大きさや形状は様々であり、これらの置台2の周縁を構成している直線部5や湾曲部6の寸法は置台2の大きさや形状によって異なるが、形状には大きな違いはないものである。また、この直線部5や湾曲部6に形成している床面接触部2aや周壁部2bや縁部3の形状も大きな違いはないものである。
【0024】
この発明では、上記のように置台2の大きさや形状が異なっても、形状が大きく異なることのない置台2の直線部5や湾曲部6に保護部材7を配置し、かつ、置台2の周壁部2bの縁部3に保護部材7を係合保持し、一端を床面接触部2aと床面との間に位置させたから、置台2の大きさや形状に関係なく様々な置台に保護部材7を装着することができるようになり、汎用性の高い保護部材7となった。
【0025】
また、図4(b)に示すように保護部材7を置台2の曲線部4以外の床面接触部2aに複数箇所配置するものとしたから、保護部材7は必要な箇所のみに取付けたり、重点的に置台2を保護したい箇所に任意に取付けることができるようになった。また、保護部材7は単片から形成した簡単な部材で構成したから、保護部材7の材料費を低減することができた。
【0026】
また、保護部材7は押し出し成型により一体に成型した棒状の柔軟性素材から2〜3センチ程度に切り出した単片によって構成したものであり、保護部材7は所定の長さに切り出すだけでよいから、同じ寸法の保護部材7を容易に複数個製造することができるようになって製造コストを低減することができ、保護部材7を安価に提供することができる。
【0027】
また、従来の保護部材のように置台2の下面全体を覆うようにした保護部材は大変大がかりなものとなっていたが、この発明の保護部材7は2〜3センチ程度の小さな保護部材7を置台2の周縁の直線部5や湾曲部6にそれぞれ配置することで、保護部材7は小さくとも置台2の床面接触部2aが床面に接触することはなく、簡単な構成で床面を傷から守ることができると共に、保護部材7は柔軟性素材で形成しているから、暖房機の滑り止めと防振効果を得ることができる。
【0028】
7aは保護部材7の一端を構成する係合部であり、係合部7aは断面をU字状に形成しており、断面U字状の係合部7aは置台2の周壁部2bの外側面から連続して縁部3を覆うようにして周壁部2bの内側面へ折り曲げて形成している。この係合部7aをU字状に折り曲げたときのU字状溝の幅を周壁部2bの縁部3の厚みよりも僅かに狭く形成することで、保護部材7の係合部7aのU字状の開口端を広げて縁部3に取り付けると柔軟性素材で形成した係合部7aが元の形状に戻ろうとする力が働き、縁部3に確実に係合させることができた。この発明の実施例では保護部材7の係合部7aは断面U字状に形成してあるが、断面V字状に形成してもよい。
【0029】
上記の構成であれば、保護部材7を置台2に装着したまま、暖房機を持ち上げても保護部材7の係合部7aが置台2の周壁部2bの縁部3に係合保持されているから置台2から外れることはないものである。
【0030】
8は置台2の周壁部2bの縁部3を外側にカーリング加工を施したカーリング部であり、このカーリング部8は置台2の大きさや形状に関係なくほぼ同じ形状となっているものである。この発明では保護部材7の係合部7aを置台2の周壁部2bのカーリング部8の形状に沿ってカーリング部8を包み込むように丸めて形成し、かつ、丸めて形成した係合部7aの内径を置台2の周壁部2bのカーリング部8の外径よりも僅かに小さく形成することで、保護部材7の係合部7aをカーリング部8に装着すると、柔軟性素材で形成した係合部7aが元の形状に戻ろうとする力が働くことで、係合部7aがカーリング部8に確実に係合することができた。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施例を示す暖房機の断面図である。
【図2】この発明の実施例を示す要部の断面図である。
【図3】この発明の保護部材を置台に取付けた状態を示す置台の上面図である。
【図4】この発明の保護部材を置台に取付けた状態を示す置台の底面図である。
【図5】この発明の保護部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
A 枠体
1 熱源
2 置台
2a 床面接触部
2b 周壁部
3 縁部
4 曲線部
5 直線部
6 湾曲部
7 保護部材
7a 係合部
8 カーリング部

























【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房装置の熱源(1)と、その熱源(1)を囲むように配置した枠体(A)とが取付けられる暖房装置の置台(2)において、
該置台(2)は床面と接する床面接触部(2a)と、該床面接触部(2a)から外方に立ち上げた周壁部(2b)とによって、皿状に形成されており、
前記周壁部(2b)の縁部(3)は、4箇所のコーナ部を構成する曲線部(4)と、この曲線部(4)を連続する直線部(5)もしくは曲率半径の大なる湾曲部(6)とによって形成し、
前記床面接触部(2a)と床面との間に配置された保護部材(7)は、その一部が前記周壁部(2b)の縁部(3)に伸ばされてこの縁部(3)に係合保持すると共に、
前記保護部材(7)は、前記曲線部(4)を除く前記直線部(5)もしくは湾曲部(6)の周壁部(2b)の縁部(3)にのみに係合保持されていることを特徴とする暖房装置の置台保護部材。
【請求項2】
前記保護部材(7)は前記曲線部(4)以外の床面接触部(2a)に複数箇所配置されていることを特徴とする請求項1記載の暖房装置の置台保護部材。
【請求項3】
前記保護部材(7)は同一断面を有する棒状の柔軟性素材から切り出された単片によって構成され、前記保護部材(7)は4箇所の前記周壁部(2b)の直線部(5)もしくは湾曲部(6)にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項2記載の暖房装置の置台保護部材。
【請求項4】
前記保護部材(7)は前記周壁部(2b)の外側面から内側面に向けて形成し、周壁部(2b)の縁部(3)に係合する係合部(7a)を設け、
保護部材(7)の係合部(7a)が周壁部(2b)の縁部(3)に係合し、その一部が床面接触部(2b)の下部に伸ばされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載した暖房装置の置台保護部材。
【請求項5】
前記置台(2)の周壁部(2b)の縁部(3)を外側に巻き込んだカーリング部(8)を設け、
前記保護部材(7)の係合部(7a)は該カーリング部(8)に係合する形状で形成すると共に、
保護部材(7)の係合部(7a)がカーリング部(8)に係合し、その一部が床面接触部(2b)の下部に伸ばされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載した暖房装置の置台保護部材。














【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−147182(P2007−147182A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343366(P2005−343366)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【特許番号】特許第3817646号(P3817646)
【特許公報発行日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】