説明

暖房装置

【課題】
暖房能力が高く、熱損失が少なく、全館暖房に好適である暖房装置を提供する。
【解決手段】
暖房装置は床下空間にファンと熱交換器を有するファンコイル30と吸込装置50と吹出装置60とダクト71と72を備える。ボイラー39に温められた熱媒体が、循環する空気を温めて床下空間を温め、床全体を温め、居住空間を温める。床下空間に温風を吹き出す吹出装置60は、上面と下面の間隔が吹出口に向かって徐々に小さくなり、両側面の間隔が吹出口に向かって徐々に大きくなる吹出筐体を含む。吹出装置60は床と仕切り部材81の間に形成される流路領域に温風を吹き出し、仕切り部材81の上に配置されたガイド85と85Aと85Bはその温風をスムーズに分散させる。この構造により、吹出装置60から吹き出された温風は床の直下の広い領域に乱流を生成し、暖房能力を大幅に高めると共に熱損失を大幅に削減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床を温めて室内を暖房する暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、床を温めて暖房する床暖房は、室内の温度がほぼ均一で、且つ室内に温風が無く、快適な居住空間を提供するので広く使われている。床に温水管や電熱線を埋設した床暖房が普及しているが設備費が高価である。外断熱の住宅のように床下に換気口がない、または換気口が冬季に閉じられている住宅向けに安価な床暖房装置として床下を温風で暖める床下暖房装置が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載された太陽熱利用暖房システムは、太陽熱の集熱器で温められた熱媒がファンコイルユニットに送られ、ファンコイルユニットによって、熱媒の熱が床下空間に放出される。この放出された熱は、基礎に設けた断熱材によって地中や屋外に漏れるのが阻止され、床下空間、並びにこの床下空間に面する基礎の側板、土台、根太、および床材に顕熱として蓄熱される。この顕熱は、床材の上面から室内に放射される。
特許文献2に記載された温風床暖房装置は、床下空間の内側上部に、温風通路ボックスを床板の裏面に密着して取付けて二重の空間を形成し、この温風通路ボックスの内部に仕切板を設けて蛇行した温風循環通路を形成し、この温風循環通路の内側底面に断熱材を設け、温風循環通路の途中に、温水が循環して放熱する温風発生器を設置したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−132986号公報
【特許文献2】特開2007−127372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された太陽熱利用暖房システムは、ファンコイルユニットで生成された温風が床材を温め、温められた床材が室内を暖房する構造であるが、温風がファンコイルユニットから直接床下空間に放出されるので温風が床に直接接触する面積が比較的小さく、そのため太陽熱利用暖房システムの暖房能力は比較的低い。
【0006】
次に、太陽熱利用暖房システムの暖房能力が比較的低い理由を詳細に説明する。図18に従来の暖房装置160と建物10の床下の平面図と床の直下の空気の流れを模式的に示す。図19は図18のA−Aの断面とその断面における温風の流れを模式的に示す。なお、暖房装置160は太陽熱利用暖房システムと同様に温風41Cをファンコイルユニット30から直接床下空間21に放出する構造である。
暖房装置160が配置される建物10は、基礎部11の上に柱と壁を含む側壁12が構築され、床17が側壁12に支持される構造である。床下空間21は床17と基礎部11と四面の側壁12で囲まれた空間である。基礎部11は床下空間21の底面であり、コンクリートや地盤等で構築される。床17は床板16と根太15と大引き14で構成される。床17は建物の構造や部屋の大きさ等により床板16だけで構成される場合もあり、また床板16と根太15で構成される場合もある。
床下空間21に換気口のような外気との直接の空気の通路がある建物の場合、熱損失を削減するために、その換気口を閉じるのが好ましい。しかし、床下空間21は密閉空間である必要はなく、床下空間21と居住空間22は床板16の隙間や床板16と水道の配管との隙間等で連結されていても良い。
【0007】
暖房装置160は、暖房の熱源であるボイラー39と、床下空間21に配置されるファンコイルユニット30と、ボイラー39とファンコイルユニット30との間に熱媒体を循環させるための熱媒体循環路38と、熱媒体循環路38に熱媒体を循環させるポンプ37で構成される。
ファンコイルユニット30はファンコイル吸込口34から吸い込まれた空気をファンコイル吹出口35に導く空気通路36を形成するファンコイル筐体31と空気通路36に配置された熱交換器33と空気を送風する送風機32で構成される。熱交換器33は熱媒体を流す流路を有し、空気通路36に流れる空気と流路に流れる熱媒体との熱交換を行なう。熱媒体循環路38は熱交換器33の熱媒体を流す流路に接続される。この構成により、ボイラー39の熱は熱媒体により熱交換器33に運ばれ、熱交換器33で空気通路36に流れる空気に伝達され、送風機32により床下空間21に送られ、床17を温める。そして温められた床17が居住空間22を温める。
【0008】
暖房装置160はボイラー39とポンプ37と送風機32を制御する暖房制御部(不図示)を有する。暖房制御部は、暖房スイッチ等から生成される信号に基づいてボイラー39とポンプ37の運転を制御する。ボイラー39とポンプ37が運転されると、熱媒体循環路38を循環する熱媒体の温度が上昇する。暖房制御部は、室温が所定の暖房設定温度より低く、且つ熱交換器33付近の熱媒体の温度を検出する熱媒体温度検出器(不図示)の検出温度が所定の熱媒体設定温度より高い場合に送風機32を運転する。送風機32が運転された場合、ファンコイル吸込口34から床下空間21の空気が吸い込まれ、その空気は熱交換器33で温められ、ファンコイル吹出口35から床下空間21に戻される。この空気の循環により熱交換器33で放出された熱が床下空間21の空気と床17を温める。そして温められた床17が居住空間22を温める。
【0009】
次に、温風41Cの床下空間21内の流れと、床17と温風41Cとの間の熱伝達について説明する。温風41Cは、送風機32と熱交換器33により生成され、空気通路36と床下空間21を循環する温かい空気の流れである。温風41Cは、ファンコイル吹出口35から吹き出される時の速度が充分高く、ファンコイル吸込口34とファンコイル吹出口35付近に乱流を生成するとする。温風41Cは、床下空間21において、層流42Cと乱流43Cで構成される。温風41Cは、床下空間21の空気の定常状態(上方の空気の温度が下方の空気の温度より高い状態)の温度分布を乱すので自然対流44Cを発生させ、自然対流44Cは温風41Cの熱を床17に伝達する。床17の直下の乱流43Cは温風41Cと床17の間の熱伝達率を大幅に大きくする。そして、床17の直下の乱流43Cの面積が大きいほど温風41Cと床17との間の熱伝達量は大きい。自然対流44Cが床に接触する面積は大きいが自然対流44Cの熱伝達率は極めて小さいので、温風41Cから自然対流44Cを介して床へ伝達される熱量は少ない。
【0010】
図18は床17の直下の空気の流れを矢印で模式的に示す。空気の粘性により床17に極めて近い領域では空気の流れが小さいので層流の粘性底層がある。図18はその粘性底層より下方の乱流が存在する領域の空気の流れを示す。乱流領域23Cはファンコイル吸込口34に吸い込まれる温風41Cが生成する乱流の領域であり、乱流領域24Cはファンコイル吹出口35から吹き出される温風41Cが生成する乱流の領域である。乱流領域23Cと24C以外の領域には層流と自然対流が存在し、温風41Cと床17との間の熱伝達は層流42Cと自然対流44Cにより行なわれる。層流42Cは主に気圧の勾配による流れであり、その速度は乱流領域23Cと24Cから離れるに従って急激に低くなる。一方、自然対流44Cは定常状態の温度分布の乱れによる流れであり、その速度は乱流領域23Cと24Cから離れるに従って徐々に低くなる。
乱流領域23Cと24C付近において、層流42Cの速度は自然対流44Cの速度より遥かに大きいので、温風41Cと床17との間の層流42Cによる熱伝達率は、温風41Cと床17との間の自然対流44Cによる熱伝達率より遥かに大きい。一方、乱流領域23Cと24Cから充分離れた場所において、層流42Cの速度は自然対流44Cの速度より小さくなるので、温風41Cと床17との間の層流42Cによる熱伝達率は、温風41Cと床17との間の自然対流44Cによる熱伝達率より小さい。
層流領域25Cは、温風41Cと床17との間の層流42Cによる熱伝達率が、温風41Cと床17との間の自然対流44Cによる熱伝達率より大きい領域とし、自然対流領域26Cは、温風41Cと床17との間の自然対流44Cによる熱伝達率が、温風41Cと床17との間の層流42Cによる熱伝達率より大きい領域とする。
乱流領域23Cと24Cにおける温風41Cと床17との間の平均の熱伝達率は層流領域25Cにおける温風41Cと床17との間の平均の熱伝達率より遥かに大きい。層流領域25Cは乱流領域23Cまたは24Cを囲んで存在し、自然対流領域26Cは層流領域25Cの外側に存在する。なお、乱流領域23Cと24Cにおいても自然対流44Cは存在する。
【0011】
ファンコイル吹出口35から吹き出る時の温風41Cの速度が大きいほど乱流領域23Cと24Cと層流領域25Cが大きくなり、自然対流領域26Cが小さくなる。乱流領域23Cと24Cの形状は、根太15と大引き14のサイズ、ファンコイル吹出口35の向き、床17とファンコイル吹出口35間の距離、温風41Cの温度と風速等の条件により大きく変わる。また、層流領域25Cの形状も条件により大きく変わる。
以下、図に示す乱流領域の形状は、吹出口または吸込口の形状が、他の条件を変えずに、相対的に乱流領域の面積をどのように変えるかを示すための模式的な形状を示すものとし、具体的な形状を示すものではない。
層流領域25Cにおいて、空気の浮力により、床17で冷された温風41Cは下降し、温かい温風41Cは上昇し、床17で冷されて下降する。また、空気に対して気圧が低いファンコイル吸込口34の方向に力が働くので、ファンコイル吸込口34の方向に徐々に方向を変える。つまり、層流領域25Cにおいて、温風41Cは、上昇または下降しながら、または上昇と下降を繰り返しながら、ファンコイル吸込口34の方向に徐々に方向を変えて流れ、ファンコイル吸込口34に吸い込まれる。
【0012】
図20にファンコイルユニット30のファンコイル筐体31の斜視図を示す。送風機32と熱交換器33はファンコイル筐体31の内部に配置される。送風機32は一台または複数台の送風機で構成する場合があり、熱交換器33も一台または複数台の熱交換器で構成する場合がある。
ファンコイルユニット30は、温風または冷風を生成する装置であり、一般的に暖房と冷房に使用される。ファンコイルユニット30は暖房能力または冷房能力が高く、小型で、安価なものが好ましい。ファンコイル吹出口35の幅W対高さHの比(W/H)を大きくすると、多数の送風機が必要、特殊なファンが必要等によりコストパフォーマンスが低下するために、空気通路36の断面の幅対高さの比は比較的小さく設定される。その結果、ファンコイル吹出口35の幅Wが比較的小さく設定されるので、乱流領域23Cと24Cの幅が比較的小さい。なお、ファンコイル吹出口35の温風41Cの風速は送風機32の回転数等により調整でき、乱流領域23Cと24Cの長さ(温風41Cが吹き出す方向の長さ)は、温風41Cの風速が大きいほど大きい。
従って、ファンコイル吹出口35の幅が比較的小さく、乱流領域23Cと24Cの幅が比較的小さいので乱流領域23Cと24Cの面積が比較的小さい。
また、温風41Cがファンコイル吹出口35から直接(ダクトを経由せずに)床下空間21に吹き出され、ファンコイル吸込口34から直接(ダクトを経由せずに)吸い込まれるので床下空間21内の温風41Cの経路が短く、層流領域25Cの面積は比較的小さい。
従って、暖房装置160は乱流領域23Cと24Cと層流領域25Cの面積が比較的小さいので温風41Cから床17に伝達される熱量は比較的少ない。つまり、暖房装置160の暖房能力は比較的低い。
【0013】
従って、特許文献1に記載された太陽熱利用暖房システムの構造は暖房装置160の構造と同様であるので、その暖房能力は比較的低い。なお、温風41Cは基礎部11に接触するが基礎部11上に断熱材13が敷設されているので暖房装置160の熱損失は少ない。
【0014】
特許文献2に記載された温風床暖房装置は、熱損失が少なく、暖房能力が高いが、温風通路ボックスは温風を蛇行させる通路を有するので気密性が必要であり、更に、温風通路ボックス毎に放熱器と送風機が必要であるので高価であり、全館暖房には適さない。
【0015】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、暖房能力が高く、熱損失が少なく、全館暖房に好適である暖房装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の暖房装置は、床下空間に細長い略矩形の吹出口を有する吹出装置を備え、吹出装置から温風を床下に幅広く吹き出す。その温風は床下に大きい面積の乱流領域を生成する。乱流領域において温風と床の間の熱伝達率が大きいので本発明の暖房装置の暖房能力は高い。更に、温風は基礎部から離れているので熱損失が少ない。更に、温風は、床下空間の空気の定常状態の温度分布を乱すので自然対流を発生させ、自然対流は温風の熱を床全体に伝達するので本発明の暖房装置は全館暖房に好適である。
【0017】
本発明の暖房装置は、床下に配置された仕切り部材を備え、温風を吹出口から床と仕切り部材の間に吹き出す。仕切り部材は、乱流領域の面積を大きくするので本発明の暖房装置の暖房能力を高くする。更に、仕切り部材の下方の基礎部へ流れる温風を抑制するので本発明の暖房装置の基礎部への熱損失は小さい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の暖房装置は、暖房能力が高く、熱損失が少なく、全館暖房に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の暖房装置の第一実施形態である暖房装置100と建物10の床下の平面図と床の直下の空気の流れを模式的に示す。
【図2】図1のA−Aの断面とその断面における温風の流れを模式的に示す。
【図3】吸込装置50と吹出装置60の斜視図を示す。
【図4】吹出装置60Aの斜視図を示す。
【図5】吸込装置50Bと吹出装置60Bの斜視図を示す。
【図6】吹出装置60Cの斜視図を示す。
【図7】本発明の暖房装置の第二実施形態である暖房装置110と建物10の床下の平面図を模式的に示す。
【図8】図7のA−Aの断面を模式的に示す。
【図9】本発明の暖房装置の第三実施形態である暖房装置120と建物10の床下の平面図を模式的に示す。
【図10】図9のA−Aの断面を模式的に示す。
【図11】仕切り部材82と83の斜視図を示す。
【図12】本発明の暖房装置の第四実施形態である暖房装置130と建物10の床下の平面図を模式的に示す。
【図13】図12のA−Aの断面を模式的に示す。
【図14】本発明の暖房装置の第五実施形態である暖房装置140と建物10の床下の平面図を模式的に示す。
【図15】図14のA−Aの断面を模式的に示す。
【図16】本発明の暖房装置の第六実施形態である暖房装置150と建物10の床下の平面図を模式的に示す。
【図17】図16のA−Aの断面を模式的に示す。
【図18】従来の暖房装置160と建物10の床下の平面図と床の直下の空気の流れを模式的に示す。
【図19】図18のA−Aの断面とその断面における温風の流れを模式的に示す。
【図20】ファンコイル筐体31の斜視図を示す。
【図21】吸込装置50Bと吹出装置60Bを備える暖房装置100Aと建物10の床下の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1に本発明の暖房装置の第一実施形態である暖房装置100と建物10の床下の平面図と床の直下の空気の流れを模式的に示す。図2は図1のA−Aの断面とその断面における温風の流れを模式的に示す。
暖房装置100は、暖房装置160と同様に、建物10に配置される。また、暖房装置100は、暖房装置160と同様に、暖房の熱源であるボイラー39と、床下空間21に配置されるファンコイルユニット30と、ボイラー39とファンコイルユニット30との間に熱媒体を循環させるための熱媒体循環路38と、熱媒体循環路38に熱媒体を循環させるポンプ37を備える。更に、暖房装置100は、吸込装置50と、吸込装置50とファンコイル吸込口34を接続するダクト71と、吹出装置60と、吹出装置60とファンコイル吹出口35を接続するダクト72とを備える。つまり、暖房装置100は、暖房装置160にダクト71と72と吸込装置50と吹出装置60を追加した構成である。
暖房装置100は、熱媒体を温める熱源としてボイラー39を使用した例であるが、暖房の熱源として燃料電池の排熱を使用しても良い。また、ヒートポンプを利用し外気の熱で熱媒体を温めても良い。更に、熱交換器33を使わずに、電気ヒータで空気通路36内の空気を直接温めても良い。
【0021】
図3(A)に吸込装置50の斜視図を示し、図3(B)に本発明の第一吹出装置の一実施形態である吹出装置60の斜視図を示す。吸込装置50は細長い略矩形の吸込口53から吸込んだ空気を吸込筐体出口51に導く空気の通路を形成する吸込筐体52とダクト71に連結するための部品(不図示)等で構成される。吸込筐体52の上面は床17に略並行であり、吸込口53の床17に略並行な長辺の長さは吸込筐体出口51の床17に略並行な辺の長さより大きく、吸込口53の短辺の長さは吸込筐体出口51の床17に略直交な辺の長さより小さい。吸込筐体52の上面と下面は平板で構成され、吸込筐体52の上面と下面の間隔は吸込口53に向かって徐々に小さくなる。吸込筐体52の両側面は平板で構成され、吸込筐体52の両側面の間隔は、吸込口53に向かって徐々に大きくなる。この吸込装置50の構造は吸込口53と吸込筐体出口51の間の圧力損失を抑制する。
吹出装置60は、吹出筐体入口61から吸込んだ空気を細長い略矩形の吹出口63に導く空気の通路を形成する吹出筐体62とダクト72に連結するための部品(不図示)等で構成される。吹出筐体62の上面は床17に略並行であり、吹出口63の床17に略並行な長辺の長さは吹出筐体入口61の床17に略並行な辺の長さより大きく、吹出口63の短辺の長さは吹出筐体入口61の床17に略直交な辺の長さより小さい。吹出筐体62の上面と下面は平板で構成され、吹出筐体62の上面と下面の間隔は吹出口63に向かって徐々に小さくなる。吹出筐体62の両側面は平板で構成され、吹出筐体62の両側面の間隔は、吹出口63に向かって徐々に大きくなる。この吹出装置60の構造は吹出筐体入口61と吹出口63の間の圧力損失を抑制する。
熱交換器33が本発明の加熱器に相当し、ダクト72の吹出装置60側の端が本発明の通路出口に相当し、吸込筐体52とダクト71とファンコイル筐体31とダクト72を連結したものが本発明の通路形成体に相当し、吹出装置60が本発明の第一吹出装置に相当する。
【0022】
暖房装置100はボイラー39とポンプ37を制御するボイラー制御部(不図示)と、ボイラー制御部と独立に動作し、送風機32を制御する室温制御部(不図示)を有する。ボイラー制御部は、暖房スイッチ等から生成される信号に基づいてボイラー39とポンプ37の運転を制御する。ボイラー39とポンプ37が運転されると、熱媒体循環路38を循環する熱媒体の温度が上昇する。室温制御部は、室温が所定の暖房設定温度より低く、且つ熱交換器33付近の熱媒体の温度を検出する熱媒体温度検出器(不図示)の検出温度が所定の熱媒体設定温度より高い場合に送風機32を運転する。
一般に、ボイラー制御部はボイラーの一部であるのでボイラー制御部を変更するのは困難である。室温制御部はボイラー制御部と独立に動作するので、ボイラー制御部を変更する必要は無い。つまり、暖房装置100は、市販のボイラーを変更せずに使用し、室温制御部を追加することにより室温を制御できる。
【0023】
暖房装置100の温風41と暖房装置160の温風41Cの流れの違いを図1と18を参照して説明する。暖房装置100は、吸込装置50とファンコイルユニット30をダクト71で連結し、ファンコイルユニット30と吹出装置60をダクト72で連結した構成である。ここで、ダクト71と72の両端の形状とサイズは同一とする。つまり、吸込筐体出口51とファンコイル吸込口34の形状とサイズは同一であり、ファンコイル吹出口35と吹出筐体入口61の形状とサイズは同一であるとする。
吹出口63の幅は、吹出筐体入口61の幅より大きいのでファンコイル吹出口35の幅より大きい。従って、吹出口63から吹き出された温風41により生成される乱流領域24の幅は、乱流領域24Cの幅より大きい。また吹出口63の高さは、吹出筐体入口61の高さより小さく、ファンコイル吹出口35の高さより小さいので、吹出口63をファンコイル吹出口35より基礎部11から離して配置できる。更に、吹出口63の高さを十分小さくして吹出口63の面積をファンコイル吹出口35の面積より小さくできる。その場合、吹出口63から吹き出される温風41の風速はファンコイル吹出口35から吹き出される温風41Cの風速より大きくなり、乱流領域24の長さを乱流領域24Cの長さより大きくできる。
従って、吹出口63の幅を吹出筐体入口61の幅より大きくし、吹出口63の高さを吹出口63の面積が吹出筐体入口61の面積より小さくなるように小さくすることにより乱流領域24の面積を乱流領域24Cの面積より大きくできる。
【0024】
吸込口53の幅は、吸込筐体出口51の幅より大きいのでファンコイル吸込口34の幅より大きい。従って、吸込口53に吸い込まれる温風41により生成される乱流領域23の幅は乱流領域23Cの幅より大きい。また吸込口53の高さは、吸込筐体出口51の高さより小さく、ファンコイル吸込口34の高さより小さいので、吸込口53をファンコイル吸込口34より基礎部11から離して配置できる。更に、吸込口53の高さを十分小さくして吸込口53の面積をファンコイル吸込口34の面積より小さくできる。その場合、吸込口53に吸い込まれる温風41の速度は、ファンコイル吸込口34に吸い込まれる温風41Cの速度より大きくなり、乱流領域23の長さを乱流領域23Cの長さより大きくできる。
従って、吸込口53の幅を吸込筐体出口51の幅より大きくし、吸込口53の高さを吸込口53の面積が吸込筐体出口51の面積より小さくなるように小さくすることにより乱流領域23の面積を乱流領域23Cの面積より大きくできる。
吸込口53と吹出口63の間の距離は、ファンコイル吸込口34とファンコイル吹出口35の間の距離より大きいので層流領域25の面積は層流領域25Cの面積より大きい。
従って、暖房装置100の乱流領域23と24と層流領域25の面積は、それぞれ、暖房装置160の乱流領域23Cと24Cと層流領域25Cの面積より大きいので、暖房装置100の暖房能力は暖房装置160の暖房能力より高い。
【0025】
図4に吹出装置60の吹出口63にノズル65を連結した構造の吹出装置60Aの斜視図を示す。ノズル65は、ノズル入口64から流入した空気をノズル吹出口66に導く通路を形成する。ノズル入口64は吹出口63に連結される。ノズル65は、ノズル上面とノズル下面と両ノズル側面で構成され、そのノズル上面とノズル下面は互いに略平行であり、両ノズル側面の間隔はノズル吹出口66に向けて徐々に大きくなっている。
ノズル65は、ノズル上面とノズル下面が互いに略平行であり、空気の流れを吹き出す方向に整えるので、ノズル吹出口66から吹き出された温風が生成する乱流領域の長さを大きくする。またノズル吹出口66から吹き出された温風が生成する乱流領域の幅は乱流領域24の幅より少し大きい。つまり、ノズル吹出口66から吹き出された温風が生成する乱流領域の面積は乱流領域24の面積より大きい。従って、吹出装置60Aを備えた暖房装置の暖房能力は、吹出装置60を備えた暖房装置の暖房能力より高い。
【0026】
図5(A)と(B)に吸込装置50Bと本発明の暖房装置に備えられる第二吹出装置の第一実施形態である吹出装置60Bの斜視図を示す。図21に吸込装置50Bと吹出装置60Bを備える暖房装置100Aと建物10の床下の平面図を示す。暖房装置100Aの構成は吸込装置50の代わりに吸込装置50Bを配置し、吹出装置60の代わりに吹出装置60Bを配置し、ダクト71の代わりにダクト71Aを配置し、ダクト72の代わりにダクト72Aを配置した暖房装置100の構成と同様であり、暖房装置100Aの動作は暖房装置100の動作と同様である。
吸込装置50Bは直方体の構造の吸込筐体62Bとダクト等に連結するための部品(不図示)等で構成され、上面が床17に略並行になるように配置される。床下空間21から温風を吸込む吸込口53Bの形状は細長い略矩形であり、略矩形のダクトやファンコイル等に連結する吸込筐体入口51Bの形状は略矩形である。
吹出装置60Bは、直方体の構造の吹出筐体62Bとダクト等に連結するための部品(不図示)等で構成され、上面が床17に略並行になるように配置される。床下空間21に温風を吹き出す吹出口63Bの形状は細長い略矩形であり、略矩形のダクトやファンコイル等に連結する吹出筐体入口61Bの形状は略矩形である。
吹出口63Bの床17に略並行な長辺の長さは吹出筐体入口61Bの床17に略並行な辺の長さの二倍以上であり、吹出口63Bの短辺の長さは吹出筐体入口61Bの床17に略直交な辺の長さの二分の一以下である。
ダクト72Aの吹出装置60B側の端が本発明の通路出口に相当し、吸込筐体52Bとダクト71Aとファンコイル筐体31とダクト72Aを連結したものが本発明の通路形成体に相当し、吹出装置60Bが本発明の第二吹出装置に相当する。
【0027】
乱流領域の幅は温風の幅に略比例するので吹出口63Bから吹き出された温風が生成する乱流領域24Dの幅は、吹出筐体入口61Bと同一のサイズの温風吹出口から吹き出された温風が生成する乱流領域の幅より略二倍以上大きい。また、吹出口63Bの面積を吹出筐体入口61Bの面積より小さくすることができ、吹出口63Bの温風の速度を吹出筐体入口61Bの温風の速度より大きくすることができるので乱流領域24Dの長さを、吹出筐体入口61Bと同一のサイズの温風吹出口から吹き出された温風が生成する乱流領域の長さより大きくすることが可能である。つまり、吹出装置60Bは、乱流領域24Dの面積を吹出筐体入口61Bと同一のサイズの温風吹出口から吹き出された温風が生成する乱流領域の面積より大きくすることを可能にする。
従って、吹出装置60Bを備えた暖房装置の暖房能力を吹出装置60Bを備えない暖房装置の暖房能力より大きくすることができる。更に、吹出口63Bを吹出筐体入口61Bと同一のサイズの温風吹出口より基礎部11から離すことができるので熱損失を削減できる。
【0028】
図6に本発明の暖房装置に備えられる第二吹出装置の第二実施形態である吹出装置60Cの斜視図を示す。吹出装置60Cは、直方体の構造の吹出筐体62Cとダクト等に連結するための部品(不図示)等で構成され、上面が床17に略並行になるように配置される。吹出装置60Cが備えられる暖房装置は、空気の通路の形状を除いて暖房装置100Aと同様であるので、その説明は省く。
床下空間21に温風を吹き出す吹出口63Cの形状は細長い略矩形であり、略円形のダクト等に連結する吹出筐体入口61Cの形状は略円形である。吹出口63Cの床17に略並行な長辺の長さは吹出筐体入口61Cの直径の二倍以上であり、吹出口63Cの短辺の長さは吹出筐体入口61Cの直径の三分の一以下である。
【0029】
乱流領域の幅は温風の幅に略比例するので吹出口63Cから吹き出された温風が生成する乱流領域の幅は、吹出筐体入口61Cと同一のサイズの温風吹出口から吹き出された温風が生成する乱流領域の幅より略二倍以上大きい。また、吹出口63Cの面積を吹出筐体入口61Cの面積より小さくすることができ、吹出口63Cの温風の速度を吹出筐体入口61Cの温風の速度より大きくすることができるので吹出口63Cから吹き出された温風が生成する乱流領域の長さを、吹出筐体入口61Cと同一のサイズの温風吹出口から吹き出された温風が生成する乱流領域の長さより大きくすることが可能である。つまり、吹出装置60Cは、吹出口63Cから吹き出された温風が生成する乱流領域の面積を吹出筐体入口61Cと同一のサイズの温風吹出口から吹き出された温風が生成する乱流領域の面積より大きくすることを可能にする。
従って、吹出装置60Cを備えた暖房装置の暖房能力を吹出装置60Cを備えない暖房装置の暖房能力より大きくすることができる。更に、吹出口63Cを吹出筐体入口61Cと同一のサイズの温風吹出口より基礎部11から離すことができるので熱損失を削減できる。
【0030】
図7に本発明の暖房装置の第二実施形態である暖房装置110と建物10の床下の平面図を模式的に示す。図8は図7のA−Aの断面を模式的に示す。
暖房装置110は暖房装置100に仕切り部材81を追加したものである。仕切り部材81は平板であり、吹出口63の下に、床17に並行に、床17との間に空気の流路を形成するように配置される。流路領域28は床17と仕切り部材81の間の領域であり、流路領域28の側面は開いている。
吹出口63から流路領域28に吹き出された温風は、仕切り部材81により下方への流れは制限され、流路領域28の側面から流路領域28の外部に流れる。流路領域28の外部に流れた温風は、流れの方向を気圧の低い吸込装置50の方向に徐々に変えながら流れ、吸込装置50に吸い込まれる。仕切り部材81は流路領域28内の乱流を強くし、乱流の領域を拡大する。つまり、仕切り部材81は乱流領域24Aの面積を暖房装置100の乱流領域24の面積より大きくする。また暖房装置110の乱流領域23Aと層流領域25Aの面積は暖房装置100の乱流領域23と層流領域25の面積と略等しい。従って、暖房装置110の暖房能力は暖房装置100の暖房能力より高い。つまり、仕切り部材81は暖房能力を高める効果を果たす。
更に、吹出口63から吹き出された温風は、仕切り部材81により下方への流れは抑制されるので、その温風と基礎部11との接触が抑制される。
仕切り部材81の形状が乱流領域24Aの形状と略同一の場合、流路領域28の外部に生成される乱流は弱いので温風は基礎部11と接触せず、熱損失が生じない。従って、仕切り部材81は暖房装置110の熱損失を減少させ、基礎部11の上の断熱材を不要にする。仕切り部材81の形状は乱流領域24Aの形状と略同一が好ましい。
連結した吸込筐体52とダクト71とファンコイル筐体31とダクト72と吹出筐体62が本発明の通路形成体に相当し、吹出口63が本発明の通路出口に相当する。
【0031】
図9に本発明の暖房装置の第三実施形態である暖房装置120と建物10の床下の平面図を模式的に示す。図10に図9のA−Aの断面を模式的に示す。
暖房装置120は、暖房装置160に仕切り部材82と83を追加したものである。図11(A)に仕切り部材82の斜視図を示す。仕切り部材82は底板82Aと傾斜した傾斜板82Bと82Cと82Dで構成される。仕切り部材82は底板82Aがファンコイル吸込口34の下に位置するように配置される。
流路領域29は床17と仕切り部材82の間の領域であり、流路領域29の側面は開いている。流路領域29内の空気はファンコイル吸込口34の方向に流れ、乱流を生成し、ファンコイル吸込口34に吸い込まれる。流路領域29の外側の空気は流路領域29の側面を通り、ファンコイル吸込口34に吸い込まれる。流路領域29の側面は床17と仕切り部材82の端の隙間であり、その全側面の合計の面積が充分小さい場合、流路領域29の側面を通過する温風の速度は大きく、流路領域29の側面付近に乱流が生成される。つまり、仕切り部材82は、流路領域29内の乱流を強くし、乱流が生成される領域を拡大し、乱流領域23Bの面積を暖房装置160の乱流領域23Cの面積より大きくする。更に、仕切り部材82は温風と基礎部11との接触を抑制する。
【0032】
図11(B)に仕切り部材83の斜視図を示す。仕切り部材83は底板83Aと傾斜した傾斜板83Bと83Cと83Dで構成される。仕切り部材83は底板83Aがファンコイル吹出口35の下に位置するように配置される。
流路領域28Aは床17と仕切り部材83の間の領域であり、流路領域28Aの側面は開いている。ファンコイル吹出口35から流路領域28Aに吹き出された温風は、仕切り部材83により、床17の方向に変更され、流路領域28Aの側面を通り、流路領域28Aの外部に流れる。流路領域28Aの側面は床17と仕切り部材83の端の隙間であり、その全側面の合計の面積が充分小さい場合、流路領域28Aの側面を通過する温風の速度は大きく、流路領域28Aの側面付近に乱流が生成される。つまり、仕切り部材83は、流路領域28A内の乱流を強くし、乱流が生成される領域を拡大し、乱流領域24Bの面積を暖房装置160の乱流領域24Cの面積より大きくする。更に、仕切り部材83は温風と基礎部11との接触を抑制する。
従って、暖房装置120は暖房装置160より暖房能力が高い。
ファンコイル吸込口34とファンコイル吹出口35とファンコイル筐体31がそれぞれ本発明の吸込口と通路出口と通路形成体に相当する。なお、仕切り部材81、82、83の材料は金属でも木材でも他の材料でも良い。
【0033】
図12に本発明の暖房装置の第四実施形態である暖房装置130と建物10の床下の平面図を模式的に示す。図13に図12のA−Aの断面を模式的に示す。
暖房装置130は暖房装置110に流路上面部材84を追加したものである。流路上面部材84は平板であり、仕切り部材81と略同一の形状とサイズであり、床17と吹出口63の間に床17に並行に配置される。流路領域28Bは流路上面部材84と仕切り部材81の間の領域であり、流路領域28Bの側面は開いている。温風は吹出口63から流路領域28Bに吹き出される。
暖房装置110において、吹出口63から吹き出された温風は流路領域28を流れるが、流路領域28の上面は大引き14と根太15と床板16で構成され、凹凸があるので、温風の流れが抑制さる。一方、暖房装置130において、吹出口63から吹き出された温風は流路領域28Bを流れ、流路領域28Bの上面は流路上面部材84であり、平面であるので、流路領域28B内の温風の速度は、暖房装置110の場合に比べて、大きくなる。従って、暖房装置130の乱流領域(不図示)の面積は暖房装置110の乱流領域24Aの面積より大きい。
【0034】
床17と流路上面部材84との間に空気の流路は必要ではないので、流路上面部材84を大引き14に密着して取り付けても良い。流路上面部材84の上の床17を温風で温めるために、流路上面部材84は高熱伝導性の金属板や金属箔が好ましい。流路上面部材84として木材のような熱伝導性が低い部材を使用する場合、流路上面部材84に空気を流通させる複数の孔を開けて流路領域28B内に流れる温風と床17との熱伝達率を高くするのが好ましい。
流路上面部材84は、吹出口63から吹き出された温風を直接床板16に接触させず、また床17の凹凸を回避し高速に温風を流すので、温められる床17の面積を拡大し、床17の温度をより均一にする。従って、流路上面部材84を備える暖房装置130は、暖房装置110より高い温度の温風をより高速に吹き出すことができ、暖房装置130は大容量の暖房が必要とされる建物に好適である。
【0035】
図14に本発明の暖房装置の第五実施形態である暖房装置140と建物10の床下の平面図を模式的に示す。図15に図14のA−Aの断面を模式的に示す。
暖房装置140は暖房装置110にガイド85と85Aと85Bを追加したものである。流路領域28Cは床17と仕切り部材81の間の領域であり、流路領域28Cの側面は開いている。ガイド85と85Aと85Bは、吹出口63から吹き出された温風が、流路領域28C内をスムーズに流れ、流路領域28Cの側面から流路領域28Cの外部に流出するように、仕切り部材81の上に配置される。ガイド85と85Aと85Bは温風の速度を大きくするので、乱流領域の面積を大きくし、暖房能力を大きくする。
側壁12に沿って配置されたガイド85は温風と側壁12との接触を抑制する。なお、温風を放熱が大きい側壁に沿って流し、室内の温度をより均一にするようにガイドを配置することも可能である。また、曲面の部材で構成されたガイドは温風の速度を大きくするので好ましい。ガイド85と85Aと85Bの材料は金属でも木材でも他の材料でも良い。
【0036】
図16に本発明の暖房装置の第六実施形態である暖房装置150と建物10の床下の平面図を模式的に示す。図17に図16のA−Aの断面を模式的に示す。
暖房装置150は暖房装置130にガイド86と86Aと86Bを追加したものである。流路領域28Dは流路上面部材84と仕切り部材81の間の領域であり、流路領域28Dの側面は開いている。
ガイド86と86Aと86Bは、吹出口63から吹き出された温風が、流路領域28D内をスムーズに流れ、流路領域28Dの側面から流路領域28Dの外部に流出するように、仕切り部材81と流路上面部材84の間に配置される。ガイド86と86Aと86Bは温風の速度を大きくするので、乱流領域の面積を大きくし、暖房能力を大きくする。
側壁12に沿って配置されたガイド86は温風と側壁12との接触を抑制する。なお、温風を放熱が大きい側壁に沿って流し、室内の温度をより均一にするようにガイドを配置することも可能である。また、曲面の部材で構成されたガイドは温風の速度を大きくするので好ましい。ガイド86と86Aと86Bの材料は金属でも木材でも他の材料でも良い。
【0037】
以上、本発明の暖房装置の実施形態を述べたが本発明はこれらに限られるものではない。例えば、暖房装置100において、ダクト72または71を分岐し、複数の吹出装置または吸込装置を配置しても良い。
【符号の説明】
【0038】
10 建物、11 基礎部、12 側壁、13 断熱材、14 大引き、15 根太、16 床板、17 床
21 床下空間、22 居住空間、23 24 乱流領域、25 層流領域、26 自然対流領域、28 29 流路領域
30 ファンコイル、31 ファンコイル筐体、32 送風機、 33 熱交換器、34 ファンコイル吸込口、35 ファンコイル吹出口、36 空気通路、37 ポンプ、38 熱媒体循環路、39 ボイラー
41 温風、42 層流、43 乱流、44 自然対流
50 吸込装置、51 吸込筐体出口、52 吸込筐体、53 吸込口
60 吹出装置、61 吹出筐体入口、62 吹出筐体、63 吹出口、64 ノズル入口、65 ノズル、66 ノズル吹出口
71 72 ダクト
81〜83 仕切り部材、84 流路上面部材、85 86 ガイド
100〜160 暖房装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の床の下の床下空間に配置された吸込口から吸い込んだ空気を、一辺が前記床に略並行な略矩形の通路出口に導く空気の通路を形成する通路形成体と、
前記吸込口から前記通路出口に向けて空気を送風する送風機と、
前記通路形成体内の空気を加熱する加熱器と、
前記通路出口に連結する吹出筐体入口から流入した空気を、前記床下空間に空気を吹き出す吹出口に導く空気の通路を形成する吹出筐体を含む第一吹出装置を備え、
前記吹出口は長辺が前記床に略並行な細長い略矩形の形状であり、
前記吹出筐体は上面と下面と両側面で空気の通路を形成し、
前記長辺の長さは前記一辺の長さより大きく、
前記吹出口の短辺の長さは前記一辺に直交する辺の長さより小さく、
前記上面と前記下面の間隔は、前記吹出口に向かって徐々に小さくなり、
前記両側面の間隔は、前記吹出口に向かって徐々に大きくなることを特徴とする暖房装置。
【請求項2】
前記吹出口に連結するノズル入口から流入した空気を、前記床下空間に空気を吹き出す細長い略矩形のノズル吹出口に導く空気の通路を形成するノズルを更に備え、
前記ノズルはノズル上面とノズル下面と両ノズル側面で空気の通路を形成し、
前記ノズル上面と前記ノズル下面は互いに略平行であることを特徴とする請求項1に記載の暖房装置。
【請求項3】
建物の床の下の床下空間に配置された吸込口から吸い込んだ空気を、一辺が前記床に略並行な略矩形の、または略円形の通路出口に導く空気の通路を形成する通路形成体と、
前記吸込口から前記通路出口に向けて空気を送風する送風機と、
前記通路形成体内の空気を加熱する加熱器と、
前記通路出口に連結する吹出筐体入口から流入した空気を、前記床下空間に空気を吹き出す吹出口に導く空気の通路を形成する吹出筐体を含む第二吹出装置を備え、
前記吹出口は長辺が前記床に略並行な細長い略矩形の形状であり、
前記通路出口が略矩形の場合、
前記吹出口の長辺の長さは前記一辺の長さの二倍以上であり、
前記吹出口の短辺の長さは前記一辺に直交する辺の長さの二分の一以下であり、
前記通路出口が略円形の場合、
前記吹出口の長辺の長さは前記通路出口の直径の二倍以上であり、
前記吹出口の短辺の長さは前記通路出口の直径の三分の一以下であることを特徴とする暖房装置。
【請求項4】
建物の床の下の床下空間に前記床との間に空気の流路を形成するように配置された仕切り部材と、
前記床下空間に配置された吸込口から吸い込んだ空気を、通路出口に導くと共に前記通路出口から前記床と前記仕切り部材の間に吹き出すように空気の通路を形成する通路形成体と、
前記吸込口から前記通路出口に向けて空気を送風する送風機と、
前記通路形成体内の空気を加熱する加熱器を備えることを特徴とする暖房装置。
【請求項5】
建物の床の直下に配置された流路上面部材と、
前記流路上面部材の下方に、前記流路上面部材との間に空気の流路を形成するように配置された仕切り部材と、
前記床の下の床下空間に配置された吸込口から吸い込んだ空気を、通路出口に導くと共に前記通路出口から前記流路上面部材と前記仕切り部材の間に吹き出すように空気の通路を形成する通路形成体と、
前記吸込口から前記通路出口に向けて空気を送風する送風機と、
前記通路形成体内の空気を加熱する加熱器を備えることを特徴とする暖房装置。
【請求項6】
前記通路出口から吹き出された空気の流れの方向を所定の方向に導くように、前記仕切り部材の上に配置された単数または複数のガイドを備えることを特徴とする請求項4または5に記載の暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−7816(P2012−7816A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144482(P2010−144482)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【特許番号】特許第4759672号(P4759672)
【特許公報発行日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(303008105)
【Fターム(参考)】