説明

暗室用掲示物

【課題】映画館の映画観賞室やプラネタリウムの天体投映室等、白色光照明を使用できない暗室内で、観客にアピールできる掲示物を提供する。
【解決手段】暗室用掲示物1は白色基材2上の印刷部として、白色光下で見える通常インキは用いず、多色の紫外線発色インキのみを用いた多色の組合せで写真などカラー階調画像を表現した、白色光下では白色又は透明を呈する紫外線発色印刷部3を有する印刷物を少なくとも含む。白色光下では何も掲示されず、暗室内で紫外線が照射されることで紫外線発色印刷部の写真や文字等の画像がカラー階調画像として掲示される。暗室用掲示物は巻き取り可能な帯状体とし、複数の観察面を1画面分ずつ掲示しても良く、更に一部の画面を無印刷面や通常印刷面としても良い。暗室用掲示物はブラックライトやそれが直接目に入らない様にするカバーなどを適宜備えた装置の形態としても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗室に用いる掲示物に関する。更に詳しくは、映画館の映画観賞室、プラネタリウムの天体投映室等、白色系等の通常の照明を使用すると不都合が生じる暗い室内で用いる例えばポスター類等の掲示物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、白色光下では白色、または、無色を呈するが、紫外線を照射すると発色する紫外線発色インキが知られている。紫外線発色インキは、紫外線の照射により可視光を発光するインキである。そして、この紫外線発色インキを利用した物品が各種提案されている。例えば、透明基板上に紫外線発色インキで形成した網状、点状の紫外線発色印刷部に対して、その側方に設けた紫外線光源を点灯、消灯するディスプレイ装置(例えば、特許文献1)。また、シート表面に形成された輪郭線内に紫外線発色インキを印刷し、粘着加工を施したボディシール(例えば、特許文献2)、等である。しかし、実用性、および、必然性に乏しく、普及するには至っていないのが実情である。
【0003】
また、紫外線発色インキを発色させるためにはブラックライト等、紫外線光源が必要だが、紫外線は目に悪影響を及ぼすため、この点でも、紫外線発色インキを利用した掲示物は一般には普及し難いのが現実である。
【0004】
また、太陽光、白色電灯、蛍光灯等の通常光は大よそ白色光であるが、この様な白色光を嫌う雰囲気内では、非常口の表示等、必要最低限の白色光しか用いることができない。このため、白色照明が消されてしまう映画館やプラネタリウムの上演中は、観客に対し映写像以外にアピールできる媒体がなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−167589号公報
【特許文献2】実開3128012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、映画館の映画観賞室やプラネタリウムの天体投映室等、白色光照明を使用できない暗室内において、観客にアピールすることができる掲示物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の暗室用掲示物は、次の構成とした。
(1)白色光において視認可能な通常のインキは用いないで、白色光下において白色又は透明を呈する多色の紫外線発色インキのみを用いて白色基材上に印刷形成され、該多色の組合せによってカラー階調画像を表現した紫外線発色印刷部を有し、且つ該紫外線発色印刷部を有する観察面内には、白色光において視認可能な通常のインキによる通常印刷部は有さない印刷物を少なくとも含み、紫外線発色印刷部を有する観察面内では、白色光下では何も掲示されず、暗室内で紫外線が照射されることで前記紫外線発色印刷部が掲示されることを特徴とする暗室用掲示物。
【0008】
(2)前記(1)に於いて、前記印刷物自体が、巻き取り可能な帯状体からなる白色基材上に、前記紫外線発色印刷部が複数の観察面分印刷形成された帯状掲示体であるか、又は、前記印刷物が、白色基材上に前記紫外線発色印刷部を少なくとも1つの観察面分印刷形成した印刷物であり、該印刷物を巻き取り可能な帯状体からなる帯状台紙に複数貼付することで観察面を複数有する様にした帯状掲示体であり、帯状掲示体上の観察面を1画面分ずつ掲示することを特徴とする、暗室用掲示物。
【0009】
(3)前記(2)に於いて、前記観察面を複数有する帯状掲示体が、観察面として、無印刷面、または、紫外線発色インキを用いない通常のインキによる通常印刷面のいずれか1画面を含むことを特徴とする暗室用掲示物。
【0010】
(4)前記(1)〜(3)に於いて、映画館の映画観賞室内、または、プラネタリウムの天体投映室内に掲示されることを特徴とする暗室用掲示物。
【発明の効果】
【0011】
(1)本発明に係る暗室用掲示物は、白色照明光を使用できない暗い環境下において、単色の文字・図形、或いは単色で色の異なる文字・図形の組合せではなく、写真などに代表されるフルカラー等のカラー階調画像の掲示が可能であるため、前記環境下に存在する観察者へのアピール度合いが大きい。
特に、映画館の映画観賞室内、プラネタリウムの天体投映室内、お化け屋敷内、演劇舞台上等における、白色の通常光による照明光を落とした暗室状態下において、周囲を明るくすることなく、文字、絵柄、写真等の印刷物を明示することができるので、暗室効果を損なうことなく印刷内容をアピールでき、従来不可能だった、暗室内におけるカラーポスター掲示による広告が可能となる。
【0012】
しかも、紫外線発色印刷部乃至はそれを含む観察面は、白色光下において白色又は透明を呈する紫外線発色インキのみを用いて白色紙面など白色基材に印刷した印刷物であるため、通常の白色光照明下や、映写光、投写光、補助照明では印刷内容を確認し難くい。しかも、紫外線は光源が見えなければ、その存在に気付き難い。このため、印刷内容が暗闇に浮かび出たような視覚効果を観察者に抱かせることができるので、映画の内容や、お化け屋敷の展示内容に合わせた、効果的な掲示が可能となる。
【0013】
(2)また、複数の観察面を有する帯状掲示体とすることで、異なる画面など1画面分ずつ掲示することができる。
(3)また、その際、無印刷面又は通常印刷面のいずれか1画面を含めることで、紫外線発色インキの耐光性が低く退色し易い場合でも、白色照明下では掲示しない様にして、暗室用掲示物をより長期に亘って掲示できる。
(4)また、映画観賞室やプラネタリウムの天体投映室の暗室内で、印刷内容をアピールできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る暗室用掲示物の一形態を示す概略図(正面図)である。
【図2】本発明に係る他の暗室用掲示物の一形態(印刷物を帯状台紙に貼付した形態の帯状掲示体)を示す概略図(斜視図)である。
【図3】本発明に係る暗室用掲示物について、その掲示方法及び掲示装置としての一例を示す概略外観図(斜視図)である。
【図4】図3の線X−X断面での構造を示す概略図(断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明について、実施の形態を詳述する。
【0016】
〔第1実施形態〕
図1は本発明に係る暗室用掲示物の一形態を例示する正面図であり、同図に示す暗室用掲示物1は、白色基材2としての白色紙面上に、紫外線発色印刷部3を白色光下において白色又は透明を呈する紫外線発色インキを用いて印刷した印刷物である。なお、図1では、暗室用掲示物1は枚葉形態の枚葉掲示物として図示してある。
【0017】
なお、本発明で言う「暗室」とは、写真現像や光学実験等を行う空間である所謂「暗室」を排除するものではないが、映画観賞室、プラネタリウム天体投映室、お化け屋敷、舞台等での暗い場所や空間である「暗所」の事を意味する。
【0018】
[印刷方式]
紫外線発色印刷部3を印刷形成する為の印刷方式は、グラビア印刷、オフセット印刷、活版印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷等、基材上に紫外線発色インキを印刷できる方式であれば特に制限はない。なかでも、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などが代表的である。
なお、白色光で視認可能な通常インキによる通常印刷部乃至は通常印刷面を印刷形成する為の印刷方式は公知の方式でよく、例えば上記各種印刷方式などである。
【0019】
[白色基材]
白色基材2として用い得る白色紙は、前記印刷方式で使用可能であれば良く、例えば、アート紙、コート紙、軽量コート紙、その他の塗工印刷紙、上質紙、合成紙、コート白ボール、アイボリー紙等の紙、板紙などである。
また、白色基材2としては、樹脂シート(乃至はフィルム)やガラス板でも良い。樹脂シートの樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等、特に制限はない。
また、紙や樹脂シートの場合は、巻き取り可能な帯状体(ウェブ)でも良く、枚葉物でも良い。
【0020】
なお、本発明では紫外線発色印刷部3を印刷形成する被印刷物は白色基材2であるが、一般に被印刷物に於いては、白色以外の基材として、例えば、樹脂シートやガラスでは透明な物もある。この様な透明な透明基材を被印刷物として採用する場合は、紫外線発色インキに白色光下で白色を呈するインキを用いると、通常光の白色光下では紫外線発色印刷部のパターンが白く見えてしまう点で好ましくない。但し、この様な場合は、紫外線発色インキとして透明なインキを用いれば、紫外線発色印刷部の存在を気付き難く出来る。ただ、通常、容易に入手できる紫外線発色インキは通常光の白色光下で白色を呈するのが多いので、基材としては白色基材を用いるが、製作が容易にできる点で好ましい。
【0021】
[紫外線発色インキ]
また、本発明に用いる紫外線発色インキは、近紫外線等の紫外線を照射すると、可視光領域の特定の波長の光を選択的に蛍光を発光し、その発光色に応じて、赤、青、緑等に観察されるインキである。しかも、網点印刷の多色刷りによって紫外線観察下における多色のカラー階調画像の表現が可能である。
紫外線発色インキとしては市場から入手できるものを適宜選択使用すれば良い。なお、紫外線発色インキは、蛍光顔料や蛍光染料を含むインキである(蛍光インキとも呼ばれている)。
例えば、紫外線発色インキに、紫外線照射時の発光色(蛍光色)として、光の三原色である赤、緑、青を用いれば、この三色の組合せによって、フルカラーの階調画像を表現できる。もちろん、表現する内容に応じて、これ以外の色を用いても良い。
【0022】
また、昼白色、白色等を発する、蛍光灯、電球、LED電球、ハロゲンランプ、HIDランプ(High Intensity Discharge Lamp;高輝度放電ランプ)、水銀灯、太陽光等の下では、白色又は透明を呈する紫外線発色インキを使用すれば、白色基材2上に印刷した紫外線発色印刷部3を、その存在に気付き難くできる。そして、照明を落とした暗室内で、肉眼では照明と感じ難い紫外線を照射することにより、何もなかった面に照明無しに図柄等が浮かび上がるような錯覚を観察者に与えることができる。
この為には、紫外線発色印刷部3内では白色光において視認可能な通常のインキは用いず、且つ該紫外線発色印刷部3を有する観察面内でも、白色光において視認可能な通常のインキによる通常印刷部を有さない様にするのが好ましい。
【0023】
[紫外線光源]
紫外線光源としては、近紫外線を発する電球、蛍光灯、LED、水銀灯等、一般的に紫外線ランプと称するものであれば、紫外線発色印刷部を見える様に出来ると言う点に於いて用いることができる。ただし、暗室状態をなるべく維持できると言う点では、可視光成分が少なく、周囲を明るくし難い、例えば、ブラックライトが好適に使用できる。また、可視光成分が多い光源でも、深い青紫色の光学フィルターを通すことにより可視光が大幅にカットされるので使用することができる。
【0024】
ところで、後述図3及び図4で示す様に、紫外線ランプ6を直視すると目に危害を及ぼすので、本発明に係る暗室用掲示物の観察者12からは紫外線光源6を直視できないように、紫外線ランプ6の観察者12側にカバー7を取り付ける等の工夫を施して紫外線を紫外線観察部5(観察面)に照射するのが好ましい。また、紫外線ランプ6を、観察者から見えないように配置することは、観察者の目に紫外線が悪影響を及ぼすことを回避することにもつながる。
もし、微弱な紫外線の長時間暴露による観察者への危害が懸念される場合、紫外線ランプ6を備えた紫外線照射部と観察者との中間に、ポリエチレンテレフタレート、または、ポリカーボネート等、紫外線を通し難く透明な、フィルム、シート又は板を、設置するとよい。尚、殺菌灯、水銀アーク電灯等、強力な紫外線を放出する電灯は、人に危害を与える危険性が高いので、使用は控えるべきである。
【0025】
〔第2実施形態〕
図2は、上記第1実施形態で例示した様な枚葉掲示物としての印刷物(暗室用掲示物1)を、巻取り可能な帯状体からなる帯状台紙4に貼付し巻き取り状にした、暗室用掲示物1aとしての別の実施形態例を示す概略図である。同図に示す形態では、暗室用掲示物1aは形状的に帯状掲示体である。この帯状掲示体であるところの暗室用掲示物1aを、掲示装置の駆動装置(手動又はモータ等による電動。図示せず)に取り付けて、紫外線観察部(観察面)5に複数の絵柄を掲示することができる。特に図示しないが、帯状体を成す暗室用掲示物の両端を接合し、ループ状としても良く、この場合、巻き戻しの手間が不要となる。
この様な構成とすることによって、より多くの観察面を観察者に見せることができる。
【0026】
ところで、紫外線発色インキのなかには耐光性が低く、特に赤発色インキでは通常の蛍光灯照明下でも数時間で退色が始まることが有る。このため、帯状体を成す暗室用掲示物1aの場合では、複数の絵柄(観察面)を交代で掲示すれば、暗室に白色照明が点灯しているときに、紫外線発色インキ印刷部を掲示しないようにすることが可能となる。この為、暗室用掲示物をより長期に亘って掲示することができ、好ましい。
【0027】
[帯状台紙]
なお、巻き取り可能な帯状体から成る帯状台紙4は、プラスチックフィルム、シート、不織布、紙、布、その他の巻き取り可能で、伸縮し難い材質であれば良く、紫外線発色インキを用いて印刷する為の基材として前記した白色紙等の白色基材2をそのまま帯状台紙としてもよい。
また、帯状台紙4に、図1の様な枚葉掲示物になり得る印刷物を取り付ける方法は、接着剤、粘着剤、粘着テープ、両面粘着テープ等を用いた貼り付け、帯状体に設置したクリップ、ガイドレール等への固定等、紫外線観察部を覆わなければよく、特に手段を問わない。
【0028】
〔第3実施形態〕
図3は、上記第1実施形態で例示した様な枚葉掲示物としての印刷物(暗室用掲示物1)を、更に巻取り状の帯状台紙4に貼付して帯状掲示体としての暗室用掲示物1aについて、その掲示方法の或る実施形態を示す概略図である。また、図3の線X−Xにおける概略断面図を図4に示す。図3及び図4に示したように、巻取り状の帯状台紙4に印刷物を貼付する等した帯状掲示体からなる暗室用掲示物1aを備えた暗室用掲示物1b(乃至は暗室用掲示装置)とすることによって、より多くの観察面を観察者に見せることができる。
また、暗室用掲示物1b(乃至は掲示装置20)をボックス型とすることにより、帯状掲示体の交換等、メンテナンスが容易になる。
紫外線は、ボックス8外からスポットライトのように紫外線観察部5に照射しても良いし、図のようにボックス8内に紫外線ランプ6を設置して照射してもよい。要は、観察者12が紫外線ランプ6を直視できず、観察者12の視野を遮ることがなければ、紫外線観察部5に対して、上下左右、側面・正面を問わない。
【0029】
〔その他の変形形態〕
なお、本発明の暗室用掲示物は、上記各実施形態乃至は下記実施例に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内で、各種変形形態をとり得る。
例えば、観察環境が明るさ乃至は暗さを検知する照度センサによって紫外線ランプを暗くなると点灯し明るくなると消灯する様な、紫外線自動点滅部を備えた暗室用掲示物としても良い。
【実施例】
【0030】
次に、実施例により本発明を更に詳述する。
【0031】
〔印刷〕
オフセット枚葉印刷機を用いて寸法788mm×1091mm(四六判)、坪量157g/m2のアート紙からなる白色基材2に、紫外線発色インキ(大日精化工業株式会社製)を用いて人物の上半身を表現した1画面分の紫外線発色印刷部3を印刷した縦長のフルカラーのカラー階調画像の印刷物、および、自動車と企業名を表現した1画面分の紫外線発色印刷部3を印刷した縦長のフルカラーのカラー階調画像の印刷物の、2種類の印刷物を製造した。
これらの印刷物を白色の蛍光灯下で観察したところ、白紙の上に白色のインキが載った状態であるため、5mほど離れた場所から観察すると紫外線発色印刷部3は殆んど見分けが付かなかった。
なお、上記各印刷物自体をもって、図1の様な暗室用掲示物1とすることもできる。
【0032】
〔暗室用掲示物の製造〕
次に、帯状台紙4として、幅1200mm、長さ3.5m、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、当該帯状台紙の長手方向両端約35cmを空けて、掲示物の間隔を20cm取って前記2種類の印刷物1枚ずつと、前記アート紙の未印刷の白紙1枚の合計3枚を、四隅に貼り付けた両面粘着テープでこの順番で貼り付けて帯状掲示体としたものを図2の様な暗室用掲示物1aとした。
次に、該暗室用掲示物1aの両端に内径25mm、厚さ1mm、長さ1200mmの紙管を取り付け、片方の紙管に、前記印刷物と白紙が前記帯状台紙に対して巻き外面になるように巻き付けた。
【0033】
〔掲示〕
広さ8m×16mの部屋の短辺側の壁際中央に、900mm間隔で設置した床置き式ポールスタンド2基に外径24mm、長さ900mmの木の棒を固定し、前記暗室用掲示物1aの紙管を、該掲示物の観察面が前面を向くように前記木の棒に嵌め込んだ。
夜間、窓のブラインドを下ろし、天井備え付けの照明を消灯して、縦型床置き式の笠付き蛍光灯器具にセットした32Wの蛍光灯型ブラックライトで暗室用掲示物1aの両側手前50cmの位置から紫外線を照射した。掲示面の切り替えは、前記帯状掲示物を紙管に手で巻き取ることにより行った。
その結果、掲示部(観察面)周辺を明るく照らすことなく人物像、および、企業名入り印刷物を観察することが可能であった。また、白紙面に紫外線を照射しても、ぼんやりと紙面を確認できるのみで、周囲が明るくなるようなことはなかった。
【0034】
以上の様に、本発明に係る暗室用掲示物は暗室内で周囲を明るくすることなく観察でき、例えば、映画館の映画観賞室内や、プラネタリウムの天体投映室内等の暗室内に掲示することによって、従来為し得なかった、上映中に企業名や商品をアピールすることが可能である。また、人物像その他の写真、イラストを掲示することにより、観客に心理的特殊効果を与えることも可能であることが確認できた。
【符号の説明】
【0035】
1 暗室用掲示物
1a (帯状掲示体としての)暗室用掲示物
1b 暗室用掲示物(暗室用掲示装置)
2 白色基材
3 紫外線発色印刷部
4 帯状台紙
5 紫外線観察部
6 紫外線ランプ(紫外線光源)
7 カバー
8 掲示ボックス
11 印刷物
12 観察者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光において視認可能な通常のインキは用いないで、白色光下において白色又は透明を呈する多色の紫外線発色インキのみを用いて白色基材上に印刷形成され、該多色の組合せによってカラー階調画像を表現した紫外線発色印刷部を有し、且つ該紫外線発色印刷部を有する観察面内には、白色光において視認可能な通常のインキによる通常印刷部は有さない印刷物を少なくとも含み、紫外線発色印刷部を有する観察面内では、白色光下では何も掲示されず、暗室内で紫外線が照射されることで前記紫外線発色印刷部が掲示されることを特徴とする暗室用掲示物。
【請求項2】
前記印刷物自体が、巻き取り可能な帯状体からなる白色基材上に、前記紫外線発色印刷部が複数の観察面分印刷形成された帯状掲示体であるか、又は、前記印刷物が、白色基材上に前記紫外線発色印刷部を少なくとも1つの観察面分印刷形成した印刷物であり、該印刷物を巻き取り可能な帯状体からなる帯状台紙に複数貼付することで観察面を複数有する様にした帯状掲示体であり、帯状掲示体上の観察面を1画面分ずつ掲示することを特徴とする、請求項1記載の暗室用掲示物。
【請求項3】
前記観察面を複数有する帯状掲示体が、観察面として、無印刷面、または、紫外線発色インキを用いない通常のインキによる通常印刷面のいずれか1画面を含むことを特徴とする、請求項2記載の暗室用掲示物。
【請求項4】
映画館の映画観賞室内、または、プラネタリウムの天体投映室内に掲示されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の暗室用掲示物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−22133(P2012−22133A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159692(P2010−159692)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】