暗視装置における二元的焦点合せ用のシステムおよび方法
暗視光学装置において対物レンズアセンブリの焦点位置を制御するための焦点合せ装置および方法が提供される。焦点合せ装置は、画像形成装置から第1または第2の焦点位置に位置決めされる対物レンズアセンブリと、対物レンズアセンブリに結合されていて対物レンズアセンブリを第1または第2のいずれかの焦点位置まで画像形成装置に対して並進運動させるように構成される二元的焦点合せ制御装置と、を備える。対物レンズアセンブリは暗視光学装置の配向に応答して第1または第2のいずれかの焦点位置まで並進運動させられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗視ゴーグルの適用に特に適した、光学装置と共に使用するための二元的焦点合せ(binary focus)機構に関する。
【背景技術】
【0002】
暗視システムは、多様な軍事、工業および住宅の適用において、暗環境において視認可能にするために使用される。例えば、暗視システムは、夜間飛行中の軍事パイロットまたは地上を巡回する軍兵士によって利用される。別の例として、セキュリティカメラには、暗所を監視するための暗視システムが使用される。
【0003】
従来の画像増強型暗視機器は、低照度(LL)の光景を増幅するためにイメージインテンシファイア(I2)を使用する。イメージインテンシファイアは、環境中に存在するものの人間の目には知覚不能であり得る赤外線スペクトルの下方部分を含む暗環境内における僅かな量の光を収集する。イメージインテンシファイアは、光を増幅して人間の目がその画像を知覚できるようにする。イメージインテンシファイアから出力された光は、カメラに供給されるか、または視認者の目に直接供給される。イメージインテンシファイア装置は、使用者の頭に装着される暗視ゴーグル、すなわち単眼鏡または双眼鏡において一般に使用され、出力された光を視認者に直接伝達する。
【0004】
暗視システムは典型的には、オートフォーカス装置を含まない。従来のオートフォーカス装置は、対物レンズ、電子画像形成装置(例えば電荷結合素子(CCD)または相補型金属酸化物半導体(CMOS)回路)、対物レンズを画像形成装置に対して位置決めするための電気機械式駆動装置および実時間画像解析を実行する電子プロセッサを備える。作動中、電子プロセッサは、実時間画像解析に基づいて適切な焦点調整を決定する。電子プロセッサは、焦点指令を電気機械式駆動装置に送信して、画像の最適な焦点合せのために対物レンズを位置決めする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プロセッサは画像を連続的に解析していて、広範な焦点位置範囲にわたって対物レンズを調整する場合があるため、オートフォーカス構成要素は連続的電力を使用するのが一般的である。従来の適用例では、オートフォーカス構成要素に付与される電力は、利用可能な電力の顕著な割合を占め得る。個人によって携帯され、電池駆動される適用例においては、一回の電池充電での合計作動時間は、オートフォーカス装置の電力消費量によって大きく影響され得る。さらに、既存のオートフォーカス装置の重量、特に電気機械式駆動装置及び電池構成要素の重量は、観察者の移動性を低下させる傾向にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、暗視光学装置と共に使用するための焦点合せ装置に関する。焦点合せ装置は、画像形成装置から第1または第2の焦点位置に位置決めされる対物レンズアセンブリと、該対物レンズアセンブリに結合されていて該対物レンズアセンブリを第1または第2のいずれかの焦点位置まで画像形成装置に対して並進運動させるように構成される、二元的焦点合せ制御装置と、を備える。対物レンズアセンブリは暗視光学装置の配向に応答して第1または第2のいずれかの焦点位置まで並進運動させられる。
【0007】
また、本発明は暗視光学装置に関する。暗視光学装置は、画像形成装置からの第1または第2の焦点位置に位置決めされる対物レンズアセンブリと、対物レンズアセンブリに結合される二元的焦点合せ制御装置と、を備える。二元的焦点合せ制御装置は暗視光学装置に結合されていて、水平方向のLOSに対する暗視光学装置の配向を検出するように構成される視線(LOS)センサと、検出される暗視光学装置の配向に応答して第1または第2のいずれかの焦点位置を選択するための焦点セレクタと、を備える。二元的焦点合せ制御装置は、焦点セレクタに応答して、対物レンズアセンブリを第1または第2のいずれかの焦点位置まで画像形成装置に対して並進運動させるように構成される。
【0008】
また、本発明は、暗視光学装置において画像形成装置から位置決めされる対物レンズアセンブリの焦点位置を制御する方法に関する。この方法は、水平の視線(LOS)に対する暗視光学装置の配向を検出し、検出された暗視光学装置の配向に応答して第1または第2のいずれかの焦点位置を選択するとともに、対物レンズアセンブリを選択された焦点位置まで画像形成装置に対して並進運動させることを含む。
【0009】
本発明は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて読むことで理解され得る。図面に含まれるのは次のような図である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】対物レンズから異なる距離における対象物のための対物レンズに対する焦点面の位置を示すブロック図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態に係る焦点合せ装置の断面図である。
【図3A】本発明の例示的な実施形態に関連し、遠位の対象物のための対物レンズアセンブリの二元的位置決め作用を示す暗視光学装置の一部としての図2に示される焦点合せ装置の断面図である。
【図3B】本発明の例示的な実施形態に関連し、近位の対象物のための対物レンズアセンブリの二元的位置決め作用を示す暗視光学装置の一部としての図2に示される焦点合せ装置の断面図である。
【図4】本発明の例示的な実施形態に関連し、図2に示される焦点合せ装置に含まれる二元的焦点合せ制御装置のブロック図である。
【図5A】本発明の実施形態に係る対物レンズアセンブリの二元的位置決め作用の例示的方法を示すフローチャートである。
【図5B】本発明の実施形態に係る対物レンズアセンブリの二元的位置決め作用の例示的方法を示すフローチャートである。
【図6A】本発明の例示的な実施形態に係る暗視光学装置のブロック図である。
【図6B】本発明の別の例示的な実施形態に係る暗視光学装置のブロック図である。
【図7A】本発明の例示的な実施形態に関連し、図4に示される二元的焦点合せ制御装置に含まれる視線(LOS)センサの断面図である。
【図7B】本発明の例示的な実施形態に関連し、遠位の焦点位置における暗視光学装置の配向に対するセンサ配向の例を示す、図7Aに示されるLOSセンサの側面図である。
【図7C】本発明の例示的な実施形態に関連し、近位の焦点位置における暗視光学装置の配向に対するセンサ配向の例を示す、図7Aに示されるLOSセンサの側面図である。
【図8A】本発明の例示的な実施形態に関連し、図7Aに示されるLOSセンサに含まれる傾斜角検出器の回路図である。
【図8B】本発明の別の例示的な実施形態に関連し、図7Aに示されるLOSセンサにおける傾斜角検出器の斜視図である。
【図9A】本発明の別の例示的な実施形態に関連し、図4に示される二元的焦点合せ制御装置に含まれる視線(LOS)センサの斜視図である。
【図9B】本発明の例示的な実施形態に関連し、遠位の焦点位置における暗視光学装置の配向に対するセンサの配向の例を示す、暗視光学装置に結合される図9Aに示されるLOSセンサの側面図である。
【図9C】本発明の例示的な実施形態に関連し、近位の焦点位置における暗視光学装置の配向に対するセンサの配向の例を示す、暗視光学装置に結合される図9Aに示されるLOSセンサの側面図である。
【図10A】本発明の例示的な実施形態に関連し、図4に示される二元的焦点合せ制御装置に含まれるレンズ位置決め部の回路図である。
【図10B】本発明の例示的な実施形態に関連し、図4に示される二元的焦点合せ制御装置に含まれるレンズ位置決め部の回路図である。
【図11A】本発明の別の例示的な実施形態に関連し、図4に示される二元的焦点合せ制御装置の断面図である。
【図11B】本発明の別の例示的な実施形態に関連し、図4に示される二元的焦点合せ制御装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図を参照しながら本発明について説明する。このような図は、限定的ではなくむしろ例示的であるように意図されており、本発明の説明を容易にするために本明細書に組入れられる。図は原寸に比例しておらず、設計図として機能するようには意図されていない。
図1を参照すると、対物レンズから異なる距離に在る対象物104(または対象物104’)のための対物レンズ102に対する焦点面(FP)FP1(またはFP2)の位置を示すブロック図が示されている。対物レンズ102は一般的な対物レンズを表わしていて、1つまたは2つ以上の光学レンズ要素を含み得る。一般に、対物レンズ102は対象物104(または対象物104’)からの光線106(または光線108)を通過させ、FP1(またはFP2)上に収束する光線106’(または光線108’)を生成する。焦点面は、焦点合せされた対象物の画像の位置を表わす。典型的には、焦点面は画像形成装置(図示せず)、例えばCCD検出器、CMOS検出器またはイメージインテンシファイアの位置を表わす。
【0012】
図1において、焦点合せのための2つの異なる条件が示されている。第1の条件は、対物レンズ102から遠位に配置される対象物104に対応する。対象物104は、対物レンズ102から光学的無限遠に在るとみなされるほど十分遠位に配置されているものとして示されている。対象物104からの光線106は、それらが対物レンズ102に達するときに概ね平行な光線である。光線106は対物レンズ102を通過して、FP1で収束する光線106’を形成する。FP1は、BFD1の後方焦点距離(BFO)に配置される。
【0013】
第2の条件は対物レンズ102の近位に配置される対象物104’に対応する。対象物104’は対物レンズ102の比較的近傍に在る(すなわち無限遠ではない)ものとして示されていて、対物レンズ102に達するときに発散する光線108を生成する。光線108は対物レンズ102を通過して、FP2において収束する光線108’を形成する。FP2はBFD2に位置設定される。第1の焦点面FP1は、第2の焦点面FP2に比べて対物レンズ102のより近傍に在ること、および対象物104、104’が対物レンズ102の像空間において異なる後方焦点距離BFD1、BFD2において焦点合せされることが分かる。
【0014】
次に図2を参照すると、符号200が全体として付与される、二元的焦点合せを提供する焦点合せ装置が示されている。焦点合せ装置200は、暗視光学装置、例えば(図3Aに示される)暗視光学装置300において使用され得る。焦点合せ装置200は、対物レンズアセンブリ202、画像形成装置204および二元的焦点合せ制御装置206を備える。画像形成装置204はハウジング208に結合される。対物レンズアセンブリ202は、同じくハウジングに結合されているレンズ並進運動機構部210に取付けられる。こうして、対物レンズアセンブリ202は、レンズ並進運動機構部210を介して並進運動方向Tに沿って画像形成装置204に対して並進運動する。
【0015】
作動時において、二元的焦点合せ制御装置206は暗視光学装置(例えば暗視光学装置300(図3A))の配向を決定し、対物レンズアセンブリ202を2つの離散的な焦点位置の一方まで画像形成装置204に対して並進運動させる。
【0016】
一般に、対物レンズアセンブリ202は、対物レンズアセンブリ全体において互いに対して固定位置に在る1つまたは複数の光強度要素、例えばレンズ要素および鏡の少なくとも一方を含んでもよい。したがって、レンズ並進運動機構部210は、対物レンズアセンブリ202全体を画像形成装置204に対して並進運動させるものとして示されている。別の例示的な実施形態によると、対物レンズアセンブリ202は、他の光強度要素に対して移動して後方焦点距離を画像形成装置204に調整する1つ以上の光強度要素を含んでもよい。この実施形態において、レンズ並進運動機構部210は、1つまたは複数の光強度要素を対物レンズアセンブリ202における他の光強度要素に対して並進運動させるとともに、さらに後述する二元的焦点合せ作用を提供してよい。
【0017】
画像形成装置204は、対象物の画像を得るための任意の適切な装置、例えばCCD検出器、CMOS検出器またはイメージインテンシファイアを含んでいてよい。レンズ並進運動機構部210は、対物レンズアセンブリ202を画像形成装置204に対して並進運動させるためのキャリッジなどの任意の適切な機構であり得る。二元的焦点合せ制御装置206については、図4に関連してさらに後述する。
【0018】
次に図3Aおよび図3Bを参照すると、焦点合せ装置200の断面図が、暗視光学装置300の部分Aとして示されている。特に、図3Aは、(後方焦点距離D1における)遠位対象物302のための対物レンズアセンブリ202の配置を示しており、図3Bは、(後部焦点距離D2における)近位対象物304のための対物レンズアセンブリ202の配置を表している。
【0019】
図3Aにおいては、暗視光学装置306が遠位対象物302の方に向けられていて、水平方向306に対して概ね平行である視線(LOS)を有する(すなわち、暗視光学装置300は水平方向のLOSを有する)。この場合、対物レンズアセンブリ202は、画像形成装置204に対して距離D1において位置決めされている。距離D1は、対物レンズアセンブリ202における第1の焦点位置(すなわち遠位焦点位置)を表わす。
【0020】
図3Bにおいては、暗視光学装置300が、近位対象物304に向けられたLOS308’に配向されている。こうして、LOS308’は水平平面306に対して傾斜角θをなして暗視光学装置300を配向させる。この場合、対物レンズアセンブリ202は、画像形成装置204に対して距離D2において位置決めされる。距離D2は、対物レンズアセンブリ202の第2の焦点位置(すなわち近位焦点位置)を表わす。この場合、傾斜角θは閾値角度(さらに後述する)よりも大きいものと仮定されており、それにより対物レンズアセンブリは近位焦点位置に位置決めされるようになる。
【0021】
本発明によると、第1および第2の焦点位置は、暗視光学装置300の配向に基づいて二元的焦点合せ制御装置206によって自動的に決定される。したがって、傾斜角θが既定の閾値以下であることが検出された場合、二元的焦点合せ制御装置206によって第1の焦点位置が選択され得る。傾斜角θが既定の閾値よりも大きい場合は、二元的焦点合せ制御装置206によって第2の焦点位置が選択され得る。したがって、本発明は、LOSが既定の閾値を超える場合に、対物レンズアセンブリ202を近位焦点位置まで自動的に駆動させる視線センサを有する。
【0022】
典型的なモデルにおいて、使用者/視認者は、水平方向のLOSに沿って遠位対象物を見る場合に無限焦点であることが望ましい場合がある。従来のオートフォーカス装置の無限焦点位置は、遠位の標的および光景が明確に視認され得るようにするとともに、一般的な可動性タスクを支援するのが典型的である。しかしながら、兵士が近位の障害物(例えば移動時の丸太または溝)を観察する必要がある場合には、従来の焦点合せ装置の焦点を近位位置と遠位位置との間において手動で繰り返し調整するのは不便であるか、または実行不可能である。これらの場合、兵士は、従来の焦点合せ装置の焦点を遠位焦点位置に合わせたままにしておき、暗視光学装置が兵士の足元の前方領域に瞬間的に照準決めされたときには、大きく焦点から外れた近位障害物の画像を得るのが典型的である。一般に、障害物の周囲におけるおよび障害物を通る作戦行動を支援するためには、約1.524m(約5フィート)(対象物距離)の近位焦点が使用されるのが典型的である。
【0023】
本発明は、兵士のために、自動的に決定されて予め設定される2つの対物レンズ焦点位置を提供する。本発明は、兵士が焦点調整のために武器から手を離すことを要求することなく第1または第2の焦点位置を自動的に選択する。本発明の二元的焦点合わせは、降車した兵士にとって、遠位の標的および光景の両方を視認するため、及び近位障害物の周囲における作戦行動のために有用であり得る。
【0024】
図4を参照すると、例示的な二元的焦点合せ制御装置206が示されている。二元的焦点合せ制御装置206は、LOSセンサ402、焦点セレクタ404およびレンズ位置決め部406を備える。一般に、LOSセンサ402は、地球の重力ベクトルを使用して、暗視光学装置300の配向を決定する(図3A)。図7〜図9に関連して、異なる例示的な実施形態のLOSセンサ402がさらに後述される。図7〜図9に関連して述べる通り、LOSセンサ402は、電気的コンポーネント及び機械的コンポーネントのうちの少なくとも一方を備えていてよい。
【0025】
焦点セレクタ404は、LOSセンサ402から傾斜角情報を受信し、傾斜角情報から傾斜角θを決定する。焦点セレクタ404は、瞬間的な傾斜角θに基づいて第1または第2の焦点位置のいずれかを選択する。焦点セレクタ404が電子プロセッサおよび/または機械的コンポーネントを備えてもよいことが理解される。空気圧式コンポーネントを備える例示的な焦点セレクタ404が、図11Aおよび図11Bに関連してさらに後述される。焦点セレクタ404は、(例えば焦点指令として)選択された焦点位置設定をレンズ位置決め部406に付与する。
【0026】
レンズ位置決め部406は、焦点セレクタ404から焦点位置設定(例えば焦点指令)を受信し、レンズ並進運動機構部210(図2)を介して対物レンズの並進運動を制御するための力を付与する。レンズ位置決め部406の例は、図10Aおよび図10Bに関連してさらに後述される。別の例示的な実施形態の二元的焦点合せ制御装置206は、図11Aおよび図11Bに関連してさらに後述される。レンズ位置決め部406は、対物レンズアセンブリ(図2)を並進運動させるための電気的コンポーネントおよび機械的コンポーネントのうちの少なくとも一方を備えてもよいことが理解される。
【0027】
次に図5Aおよび図5Bを参照すると、対物レンズアセンブリ202(図2)を離間した二元的な焦点位置まで画像形成装置204に対して並進運動させるための例示的な方法が示されている。特に、図5Aは、単一の閾値に基づいて焦点位置を選択するための例示的な実施形態を表わしており、図5Bは、2つの閾値(閾値A、閾値B)に基づいて焦点位置を選択し、それによりヒステリシス機能を実行するための別の例示的な実施形態を表わしている。
【0028】
図5Aを参照すると、ステップ500において、例えば、LOSセンサ402から受信する傾斜角情報に基づいて焦点セレクタ404(図4)により傾斜角θが決定される。ステップ502においては、傾斜角θが閾値以下であるか否かが決定される。例示的な実施形態では閾値は水平面306の40°下方(図3B)であるものの、閾値は使用者が近位の焦点合せ条件と遠位の焦点合せ条件とを識別するのに適切な任意の閾値であり得ることが理解される。
【0029】
傾斜角θが閾値以下である場合、ステップ502はステップ504に進む。ステップ504において、焦点は、例えば焦点セレクタ404(図4)によって、第1の焦点位置(すなわち図3Aに示される遠位位置)に設定される。例えば第1の焦点位置を指示する焦点指令が焦点セレクタ404(図4)によって生成され得る。ステップ506において、例えば焦点指令に応答して、レンズ並進運動機構部210(図2)と協働してレンズ位置決め部406によって、対物レンズアセンブリ202(図3A)が第1の焦点位置(距離D1の位置)まで並進運動させられる。ステップ506はステップ500に進む。
【0030】
傾斜角θが閾値よりも大きい場合、ステップ502はステップ508に進む。ステップ508において、焦点は、例えば焦点セレクタ404(図4)によって第2の焦点位置(すなわち図3Bに示される近位焦点位置)に設定される。例えば第2の焦点位置を指示する焦点指令が焦点セレクタ404(図4)によって生成されてもよい。ステップ510において、例えば焦点コマンドに応答して、レンズ並進運動機構部210(図2)と協働してレンズ位置決め部406(図4)によって、対物レンズアセンブリ202が第2の焦点位置(図3Bに示される距離D2の位置)まで並進運動させられる。ステップ510はステップ500に進む。更新される傾斜角情報を得るためにステップ500〜510が継続され得る。
【0031】
図5Bを参照すると、ステップ512において、例えば、LOSセンサ402から受信する傾斜角情報を利用して焦点セレクタ404(図4)により傾斜角θが決定される。ステップ514において、傾斜角θが第1の閾値である閾値A以下であるか否かが決定される。例示的な実施形態では閾値Aは水平面306から40°下方(図3B)であるものの、第1の閾値は、使用者が近位の焦点合わせ条件と遠位の焦点合せ条件とを識別するのに適切な任意の閾値であり得ることが理解される。
【0032】
傾斜角θが閾値A以下であると決定された場合、ステップ514はステップ516に進む。ステップ516において、焦点は、例えば焦点セレクタ404(図4)によって、第1の焦点位置(すなわち図3Aに示される遠位位置)に設定される。ステップ518において、例えばレンズ並進運動機構部210(図2)と協働してレンズ位置決め部406(図4)によって、対物レンズアセンブリ202(図3A)が第1の焦点位置(距離D1の位置)まで並進運動させられる。ステップ518はステップ512へと進む。
【0033】
傾斜角θが閾値aよりも大きいと決定された場合、ステップ514はステップ520に進む。ステップ520において、傾斜角θが第2の閾値である閾値B以下であるか否かが決定される。例示的な実施形態において、閾値Bは水平面306の45°下方(図3B)である。例示的な実施形態において閾値Bは水平面306の45°下方(図3B)であるものの、第2の閾値は、近位の焦点合せ条件と遠位の焦点合せ条件とを識別する境界領域を使用者に提供するのに適切な任意の閾値であり得ることが理解される。
【0034】
傾斜角θが閾値B以上である場合、ステップ520はステップ526に進む。ステップ526において、焦点は、例えば焦点セレクタ404(図4)によって、第2の焦点位置(すなわち図3Bに示される近位位置)に設定される。ステップ528において、例えばレンズ並進運動機構部210(図2)と協働するレンズ位置決め部406(図4)によって、対物レンズアセンブリ202(図3B)が第2の焦点位置(距離D2の位置)まで並進運動させられる。ステップ528はステップ512に進む。
【0035】
ステップ514において、傾斜角θが閾値Bよりも小さい(かつステップ514において閾値Aよりも大きい)と決定された場合、ステップ520はステップ522に進む。ステップ522において、焦点設定は、例えば焦点セレクタ404(図4)によって現在の焦点位置に維持される。ステップ524において、対物レンズアセンブリ202は現在の位置(第1の焦点位置または第2の焦点位置)に維持される。ステップ524はステップ512に進む。
【0036】
ステップ520〜524は、傾斜角θが閾値Aと閾値Bとの間である条件において以前に決定された焦点位置を使用するヒステリシス機能を表わしている。この実施形態においては、閾値Aおよび閾値Bの2つの閾値を使用することにより、LOS308’(図3B)が閾値Aと閾値Bとの間の境界配向に在る場合に、近位レンズ位置と遠位レンズ位置との間での反復的な切換えが回避され得る。
【0037】
ステップ512〜528は、検出された各傾斜角のために例えば無制限に反復され得る。
【0038】
次に図6Aを参照すると、例示的な暗視光学装置300のブロック図が示されている。暗視光学装置300は、対物レンズアセンブリ202と、二元的焦点合せ制御装置206と、イメージインテンシファイア602と、接眼レンズ604と、を備えている。暗視光学装置300は、他のコンポーネント、例えば高圧電力供給部(HVPS)を備えていてもよい。
【0039】
対物レンズアセンブリ202は、二元的焦点合せ制御装置206によって、第1または第2の焦点位置における対象物606から光線を受信するように位置決めされる。対物レンズアセンブリ202は、HVPSによって電力付与され得るイメージインテンシファイア602に対して、低照度の光景の焦点合せされた画像を付与する。イメージインテンシファイア602は入力部において不鮮明な画像を増幅し、出力表面においてより高輝度タイプの同じ画像を再形成する。この画像は接眼レンズ604にコヒーレントに伝送されて、形成された画像が表示される。図6Aにおいて、画像形成装置204はイメージインテンシファイア602によって表されている。
【0040】
次に図6Bを参照すると、別の例示的な暗視光学装置300’のブロック図が示されている。暗視光学装置300’は、対物レンズアセンブリ202と、二元的焦点合せ制御装置206と、画像形成アレイ610と、ビデオ電子モジュール612と、ビデオ表示部614と、を備えている。暗視光学装置300’は、暗視光学装置300’が対象物606の画像を生成するための画像形成アレイ610を備えている点を除いて、暗視光学装置300に類似しているか、または機能的に同等である。さらに、暗視光学装置300’は、対象物606の実時間ビデオ画像を形成するためのビデオ電子モジュール612およびビデオ表示部614を含む。
【0041】
対物レンズアセンブリ202は、二元的焦点合せ制御装置206によって、第1または第2の焦点位置において対象物606からの光線608を受信するように位置決めされる。対物レンズアセンブリ202は、ビデオ用途のための画像形成アレイ610に対して、低照度の光景の焦点合せされた画像を提供する。図6Bにおいて、画像形成装置204は画像形成アレイ610によって表されている。例えばCMOSタイプまたはCCDタイプのものであり得る画像形成アレイ610は、焦点合せされた画像を検出し、画像のレンディションを含む実時間ビデオデータを作成する。ビデオデータは、画像形成アレイ610からのビデオデータをデジタルビデオデータに変換するために、ビデオ電子モジュール612に付与される。ビデオ表示部614は、デジタルビデオデータを受信し、実時間デジタルビデオ画像を表示する。
【0042】
次に図7A〜図7Cを参照すると、例示的なLOSセンサ402が示されている。特に、図7Aは、暗視光学装置300(図3A)の本体702に結合されたLOSセンサ402の断面図であり、図7Bは遠位焦点条件におけるLOSセンサ402の側面図であり、図7Cは近位焦点条件におけるLOSセンサ402の側面図である。
【0043】
図7A〜図7Cにおいて、LOSセンサ402は、振子アーム706に堅固に連結された振子質量体704を備えている。また、振子アーム706は傾斜角検出器708に連結されている。さらに、傾斜角検出器708は、暗視光学装置300(図3A)の本体702に連結される。振子質量体704は、振子質量体704が重力ベクトルgに対応する位置に維持されるように本体702に連結されている。
【0044】
図7Bおよび図7Cから分かるように、水平面(すなわちX−Y平面)に対して本体702が運動する際に、振子質量体704の位置は重力ベクトルgの方向において維持される。同時に、本体702の運動によって、振子アーム706のY軸に対する回転方向Rにおける回転がもたらされる。傾斜角検出器708は振子アーム706の回転を検出し、傾斜角情報を提供する。傾斜角情報は焦点セレクタ404(図4)に付与され得る。こうして、振子アーム706の回転によって傾斜角情報が提供される。
【0045】
次に図8Aおよび図8Bを参照すると、LOSセンサ402(図7A)と共に使用される例示的な傾斜角検出器708、708’が示されている。特に、図8Aは傾斜角検出器708の回路図であり、図8Bは別の傾斜角検出器708’の斜視図である。
【0046】
図8Aにおいて、傾斜角検出器708は、電位差計804と、電圧供給部802と、電位差計804に接続された出力端子808と、を含む。振子アーム706は電位差計804のワイパー806に連結されている。こうして、振子アーム706の回転によって、ワイパー位置を変動させ、その結果として出力端子808において生成される電圧を変動させる。出力端子808における電圧信号は、焦点セレクタ404(図4)に付与され得る。焦点セレクタ404は、例えばデジタルルックアップテーブルによって、電圧信号を傾斜角に変換してもよい。適切な任意のデジタル電子機器およびアナログ電子機器のうちの少なくとも一方を使用して、焦点セレクタ404が実装され得ることが理解される。
【0047】
図8Bを参照すると、傾斜角検出器708’は、磁石810および磁気式回転位置符号化回路812を含む磁気回転センサを備えてもよい。振子アーム706は磁石810に連結され得る。振子アーム706の回転Rによって、符号化回路812を介して振子位置信号が生成され得る。振子位置信号は焦点セレクタ404に付与され得る。焦点セレクタ404は、例えばルックアップテーブルを介して位置信号を傾斜角に変換し得る。電位差計および符号化回路は当該技術分野において公知であり、当業者によって理解され得る。傾斜角検出器708、708’は、水平面306(図3A)に対する暗視光学装置300(図6)の配向を検出するための2つの例示的な実施形態を表わすこと、および他の適切な傾斜角検出器を使用してもよいことが理解される。
【0048】
ここで図9A〜図9Cを参照すると、別の例示的なLOSセンサ402’が示されている。特に、図9Aは、LOSセンサ402’として使用される3軸加速度計900の斜視図である。図9Bおよび図9Cは、遠位焦点条件および近位の焦点条件それぞれにおける重力ベクトルgに対する加速度計900の配向を表す例である。
【0049】
加速度計900は、重力ベクトルgを検出するために3つの軸線X’、Y’およびZ’に沿ってデータを収集し得る任意の適切な微小電子機械システム(MEMS)であり得る。図9Bおよび図9Cに示されるように、加速度計900は、暗視光学装置300(図3A)の本体702に結合されている。図示されないものの、加速度計900は、他のコンポーネント、例えばプリアンプと、重力ベクトルgを検出するための適切なフィルタ係数を有するフィルターとのうちの少なくとも一方を備えていてもよい。加速度計900は、焦点セレクタ404(図4)に対して、傾斜角情報を表わす位置信号(X’、Y’およびZ’軸のデータを含む)を提供する。
【0050】
例えば図9Bに示されるように、本体702は遠位焦点位置に配向されている(すなわち水平方向のLOSを有する)。本体702が遠位焦点位置に移動させられると、Z’軸データのみが位置信号に寄与し得る。したがって、加速度計900は、0m/s2のX’軸データ、0m/s2のY’軸データおよび9.8m/s2のZ’軸のデータを生成し得る。
【0051】
図9Cを参照すると、本体702が遠位焦点条件(図9B)から近位焦点条件に移動させられる場合、Z’軸からの加速度データならびにX’軸およびY’軸からの加速度データの少なくとも一方が位置信号に寄与し得る。例えば、加速度計900は、6.93m/s2のX’軸データ、6.93m/s2のZ’軸データおよび0m/s2のY’軸データを生成し得る。X’、Y’およびZ’によって生成される加速度データは、傾斜角を決定するために使用され得る。
【0052】
次に図10Aおよび図10Bを参照すると、静電荷に基づいて対物レンズアセンブリ202(図2)を並進運動させるための例示的なレンズ位置決め部406の回路図が示されている。特に、図10Aは遠位焦点位置の並進運動をもたらすための回路図を表し、図10Bは近位焦点位置の並進運動をもたらすための回路図を表す。
【0053】
レンズ位置決め部406は、レンズ並進運動機構部210(図2)およびハウジング208にそれぞれ連結されている帯電プレート1002−1および帯電プレート1002−2を備えている。対物レンズアセンブリ202(図3A、図3B)をそれぞれの後方焦点距離D1、D2まで並進運動させるための力F1または力F2を発生させるために、プレート1002には同一または反対の電荷が付与されている。適切な電荷をプレート1002に付与するために、レンズ位置決め部406はHVPS1006およびスイッチ1004を備えている。スイッチ1004の位置は、焦点セレクタ404(図4)に基づいて設定され得る。所望の後方焦点距離D1、D2に基づいて対物レンズアセンブリ202(図3A、図3B)を並進運動させるように適切な力F1、F2が決定され得ることが理解される。
【0054】
図10Aに示されるように、スイッチ1004は第1の位置に設定され、プレート1002−1およびプレート1002−2を反対に帯電させる。プレート1002は反対に帯電しているので、互いに引き寄せられ、吸引力を発生させる。吸引力F1によって、対物レンズアセンブリ202(図3A)は距離D1まで移動させられる。
【0055】
図10Bに示されるように、スイッチ1004は第2の位置に設定され、プレート1002−1およびプレート1002−2が同一の電荷(例えば負の電荷)を有するようになる。プレート1002は同一の電荷を有するので、それらプレートは互いに反発し、反発力F2を発生させる。反発力F2によって、対物レンズアセンブリ202(図3B)が距離D2まで移動させられる。
【0056】
例示的な一実施形態において、HVPS1006はDC3Vの入力電圧(10〜15mA)を受けて、4〜5kVの出力電圧(10〜15nA)を生成し得る。対物レンズアセンブリ202(図3A、図3B)を適切な第1および第2の焦点位置(すなわち後方焦点距離D1、D2)まで並進運動させるのに適切な力Fを生成するために、任意の適切な電力供給部が使用され得ることが理解される。
【0057】
次に図11Aおよび図11Bを参照すると、空気圧式の二元的焦点合せ制御装置206’が示されている。特に、図11Aは、近位焦点位置(すなわち図3Bに示される後方焦点距離D2)をもたらすための二元的焦点合せ制御装置206’の断面図であり、図11Bは、遠位焦点位置(すなわち図3Aに示される後方焦点距離D1)をもたらすための二元的焦点合せ制御装置206’の断面図である。
【0058】
二元的焦点合せ制御装置206’は、枢着点1102において振子アームに連結される振子質量体704を備えている。振子質量体704は枢着点1104においてリンク部1106にも連結されているので、振子質量体704は、暗視光学装置300(図3A)の移動に応答して、T1方向におけるリンク部1106の並進運動をもたらす。リンク部1106は、第1のシリンダ1110(すなわち第1の空気圧式システム)内に位置決めされた第1のピストン1108に連結されている。第2のリンク部1118は、第2のシリンダ1112(すなわち第2の空気圧式システム)内に位置決めされた第2のピストン1116に連結されている。第1のシリンダ1110及び第2のシリンダ1112は互いに空気圧的に結合されている(すなわち第2のシリンダ1112は第1のシリンダ1110に従属している)。また、リンク部1118はレンズ並進運動機構部210に連結されている。
【0059】
また、二元的焦点合せ制御装置206’は、第1の空気シリンダ1110に結合されていて例えば装着型ポンプ(図示せず)から僅かに加圧された空気を受入れて貯蔵するプレナムチャンバ1114を備えている。空気シリンダ1110は、周囲圧力(P)に開放されたポートを有する。
【0060】
リンク部1106は傾斜角検出器(例えば傾斜角検出器708(図7A))を表わしている。リンク部1118、ピストン1116および第2の空気シリンダ1112は、レンズ位置決め部(例えばレンズ位置決め部406(図6))を表わしている。第1のピストン1108および第1の空気シリンダ1110は、焦点セレクタ(例えば焦点セレクタ404(図4))を表わしている。
【0061】
作動時において、振子質量体704の回転によって、傾斜角θに応じて、第1のピストン1108が2つの位置のうちの一方まで駆動される。第1のピストン1108が位置を変えた場合、プレナムチャンバ114からの加圧空気は、第2のピストン116の一側に流れ、こうして第2のピストン1116を第2のシリンダ1112の反対の端部まで駆動する。第1のピストン1108によって、第2のシリンダ1112の容積減少側からの空気が局所的周囲圧力に対して平衡状態に達することができるようになる。こうして、振子質量体704の運動によって、リンク部1106の直線状の並進運動T1がもたらされるとともに、リンク部1118の並進運動T2がもたらされる。次いで、リンク部1118の並進運動T2によって、対物レンズアセンブリ202を近位焦点位置(図11A)または遠位焦点位置(図11B)まで並進運動させる。
【0062】
本明細書において具体的な実施形態を参照しながら、本発明が図示され、説明されるものの、本発明が示される細部に限定されることは意図されない。むしろ、本発明から逸脱することなく特許請求の範囲及び均等の範囲内においてこれら細部に対し種々の改変が行われ得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗視ゴーグルの適用に特に適した、光学装置と共に使用するための二元的焦点合せ(binary focus)機構に関する。
【背景技術】
【0002】
暗視システムは、多様な軍事、工業および住宅の適用において、暗環境において視認可能にするために使用される。例えば、暗視システムは、夜間飛行中の軍事パイロットまたは地上を巡回する軍兵士によって利用される。別の例として、セキュリティカメラには、暗所を監視するための暗視システムが使用される。
【0003】
従来の画像増強型暗視機器は、低照度(LL)の光景を増幅するためにイメージインテンシファイア(I2)を使用する。イメージインテンシファイアは、環境中に存在するものの人間の目には知覚不能であり得る赤外線スペクトルの下方部分を含む暗環境内における僅かな量の光を収集する。イメージインテンシファイアは、光を増幅して人間の目がその画像を知覚できるようにする。イメージインテンシファイアから出力された光は、カメラに供給されるか、または視認者の目に直接供給される。イメージインテンシファイア装置は、使用者の頭に装着される暗視ゴーグル、すなわち単眼鏡または双眼鏡において一般に使用され、出力された光を視認者に直接伝達する。
【0004】
暗視システムは典型的には、オートフォーカス装置を含まない。従来のオートフォーカス装置は、対物レンズ、電子画像形成装置(例えば電荷結合素子(CCD)または相補型金属酸化物半導体(CMOS)回路)、対物レンズを画像形成装置に対して位置決めするための電気機械式駆動装置および実時間画像解析を実行する電子プロセッサを備える。作動中、電子プロセッサは、実時間画像解析に基づいて適切な焦点調整を決定する。電子プロセッサは、焦点指令を電気機械式駆動装置に送信して、画像の最適な焦点合せのために対物レンズを位置決めする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プロセッサは画像を連続的に解析していて、広範な焦点位置範囲にわたって対物レンズを調整する場合があるため、オートフォーカス構成要素は連続的電力を使用するのが一般的である。従来の適用例では、オートフォーカス構成要素に付与される電力は、利用可能な電力の顕著な割合を占め得る。個人によって携帯され、電池駆動される適用例においては、一回の電池充電での合計作動時間は、オートフォーカス装置の電力消費量によって大きく影響され得る。さらに、既存のオートフォーカス装置の重量、特に電気機械式駆動装置及び電池構成要素の重量は、観察者の移動性を低下させる傾向にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、暗視光学装置と共に使用するための焦点合せ装置に関する。焦点合せ装置は、画像形成装置から第1または第2の焦点位置に位置決めされる対物レンズアセンブリと、該対物レンズアセンブリに結合されていて該対物レンズアセンブリを第1または第2のいずれかの焦点位置まで画像形成装置に対して並進運動させるように構成される、二元的焦点合せ制御装置と、を備える。対物レンズアセンブリは暗視光学装置の配向に応答して第1または第2のいずれかの焦点位置まで並進運動させられる。
【0007】
また、本発明は暗視光学装置に関する。暗視光学装置は、画像形成装置からの第1または第2の焦点位置に位置決めされる対物レンズアセンブリと、対物レンズアセンブリに結合される二元的焦点合せ制御装置と、を備える。二元的焦点合せ制御装置は暗視光学装置に結合されていて、水平方向のLOSに対する暗視光学装置の配向を検出するように構成される視線(LOS)センサと、検出される暗視光学装置の配向に応答して第1または第2のいずれかの焦点位置を選択するための焦点セレクタと、を備える。二元的焦点合せ制御装置は、焦点セレクタに応答して、対物レンズアセンブリを第1または第2のいずれかの焦点位置まで画像形成装置に対して並進運動させるように構成される。
【0008】
また、本発明は、暗視光学装置において画像形成装置から位置決めされる対物レンズアセンブリの焦点位置を制御する方法に関する。この方法は、水平の視線(LOS)に対する暗視光学装置の配向を検出し、検出された暗視光学装置の配向に応答して第1または第2のいずれかの焦点位置を選択するとともに、対物レンズアセンブリを選択された焦点位置まで画像形成装置に対して並進運動させることを含む。
【0009】
本発明は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて読むことで理解され得る。図面に含まれるのは次のような図である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】対物レンズから異なる距離における対象物のための対物レンズに対する焦点面の位置を示すブロック図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態に係る焦点合せ装置の断面図である。
【図3A】本発明の例示的な実施形態に関連し、遠位の対象物のための対物レンズアセンブリの二元的位置決め作用を示す暗視光学装置の一部としての図2に示される焦点合せ装置の断面図である。
【図3B】本発明の例示的な実施形態に関連し、近位の対象物のための対物レンズアセンブリの二元的位置決め作用を示す暗視光学装置の一部としての図2に示される焦点合せ装置の断面図である。
【図4】本発明の例示的な実施形態に関連し、図2に示される焦点合せ装置に含まれる二元的焦点合せ制御装置のブロック図である。
【図5A】本発明の実施形態に係る対物レンズアセンブリの二元的位置決め作用の例示的方法を示すフローチャートである。
【図5B】本発明の実施形態に係る対物レンズアセンブリの二元的位置決め作用の例示的方法を示すフローチャートである。
【図6A】本発明の例示的な実施形態に係る暗視光学装置のブロック図である。
【図6B】本発明の別の例示的な実施形態に係る暗視光学装置のブロック図である。
【図7A】本発明の例示的な実施形態に関連し、図4に示される二元的焦点合せ制御装置に含まれる視線(LOS)センサの断面図である。
【図7B】本発明の例示的な実施形態に関連し、遠位の焦点位置における暗視光学装置の配向に対するセンサ配向の例を示す、図7Aに示されるLOSセンサの側面図である。
【図7C】本発明の例示的な実施形態に関連し、近位の焦点位置における暗視光学装置の配向に対するセンサ配向の例を示す、図7Aに示されるLOSセンサの側面図である。
【図8A】本発明の例示的な実施形態に関連し、図7Aに示されるLOSセンサに含まれる傾斜角検出器の回路図である。
【図8B】本発明の別の例示的な実施形態に関連し、図7Aに示されるLOSセンサにおける傾斜角検出器の斜視図である。
【図9A】本発明の別の例示的な実施形態に関連し、図4に示される二元的焦点合せ制御装置に含まれる視線(LOS)センサの斜視図である。
【図9B】本発明の例示的な実施形態に関連し、遠位の焦点位置における暗視光学装置の配向に対するセンサの配向の例を示す、暗視光学装置に結合される図9Aに示されるLOSセンサの側面図である。
【図9C】本発明の例示的な実施形態に関連し、近位の焦点位置における暗視光学装置の配向に対するセンサの配向の例を示す、暗視光学装置に結合される図9Aに示されるLOSセンサの側面図である。
【図10A】本発明の例示的な実施形態に関連し、図4に示される二元的焦点合せ制御装置に含まれるレンズ位置決め部の回路図である。
【図10B】本発明の例示的な実施形態に関連し、図4に示される二元的焦点合せ制御装置に含まれるレンズ位置決め部の回路図である。
【図11A】本発明の別の例示的な実施形態に関連し、図4に示される二元的焦点合せ制御装置の断面図である。
【図11B】本発明の別の例示的な実施形態に関連し、図4に示される二元的焦点合せ制御装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図を参照しながら本発明について説明する。このような図は、限定的ではなくむしろ例示的であるように意図されており、本発明の説明を容易にするために本明細書に組入れられる。図は原寸に比例しておらず、設計図として機能するようには意図されていない。
図1を参照すると、対物レンズから異なる距離に在る対象物104(または対象物104’)のための対物レンズ102に対する焦点面(FP)FP1(またはFP2)の位置を示すブロック図が示されている。対物レンズ102は一般的な対物レンズを表わしていて、1つまたは2つ以上の光学レンズ要素を含み得る。一般に、対物レンズ102は対象物104(または対象物104’)からの光線106(または光線108)を通過させ、FP1(またはFP2)上に収束する光線106’(または光線108’)を生成する。焦点面は、焦点合せされた対象物の画像の位置を表わす。典型的には、焦点面は画像形成装置(図示せず)、例えばCCD検出器、CMOS検出器またはイメージインテンシファイアの位置を表わす。
【0012】
図1において、焦点合せのための2つの異なる条件が示されている。第1の条件は、対物レンズ102から遠位に配置される対象物104に対応する。対象物104は、対物レンズ102から光学的無限遠に在るとみなされるほど十分遠位に配置されているものとして示されている。対象物104からの光線106は、それらが対物レンズ102に達するときに概ね平行な光線である。光線106は対物レンズ102を通過して、FP1で収束する光線106’を形成する。FP1は、BFD1の後方焦点距離(BFO)に配置される。
【0013】
第2の条件は対物レンズ102の近位に配置される対象物104’に対応する。対象物104’は対物レンズ102の比較的近傍に在る(すなわち無限遠ではない)ものとして示されていて、対物レンズ102に達するときに発散する光線108を生成する。光線108は対物レンズ102を通過して、FP2において収束する光線108’を形成する。FP2はBFD2に位置設定される。第1の焦点面FP1は、第2の焦点面FP2に比べて対物レンズ102のより近傍に在ること、および対象物104、104’が対物レンズ102の像空間において異なる後方焦点距離BFD1、BFD2において焦点合せされることが分かる。
【0014】
次に図2を参照すると、符号200が全体として付与される、二元的焦点合せを提供する焦点合せ装置が示されている。焦点合せ装置200は、暗視光学装置、例えば(図3Aに示される)暗視光学装置300において使用され得る。焦点合せ装置200は、対物レンズアセンブリ202、画像形成装置204および二元的焦点合せ制御装置206を備える。画像形成装置204はハウジング208に結合される。対物レンズアセンブリ202は、同じくハウジングに結合されているレンズ並進運動機構部210に取付けられる。こうして、対物レンズアセンブリ202は、レンズ並進運動機構部210を介して並進運動方向Tに沿って画像形成装置204に対して並進運動する。
【0015】
作動時において、二元的焦点合せ制御装置206は暗視光学装置(例えば暗視光学装置300(図3A))の配向を決定し、対物レンズアセンブリ202を2つの離散的な焦点位置の一方まで画像形成装置204に対して並進運動させる。
【0016】
一般に、対物レンズアセンブリ202は、対物レンズアセンブリ全体において互いに対して固定位置に在る1つまたは複数の光強度要素、例えばレンズ要素および鏡の少なくとも一方を含んでもよい。したがって、レンズ並進運動機構部210は、対物レンズアセンブリ202全体を画像形成装置204に対して並進運動させるものとして示されている。別の例示的な実施形態によると、対物レンズアセンブリ202は、他の光強度要素に対して移動して後方焦点距離を画像形成装置204に調整する1つ以上の光強度要素を含んでもよい。この実施形態において、レンズ並進運動機構部210は、1つまたは複数の光強度要素を対物レンズアセンブリ202における他の光強度要素に対して並進運動させるとともに、さらに後述する二元的焦点合せ作用を提供してよい。
【0017】
画像形成装置204は、対象物の画像を得るための任意の適切な装置、例えばCCD検出器、CMOS検出器またはイメージインテンシファイアを含んでいてよい。レンズ並進運動機構部210は、対物レンズアセンブリ202を画像形成装置204に対して並進運動させるためのキャリッジなどの任意の適切な機構であり得る。二元的焦点合せ制御装置206については、図4に関連してさらに後述する。
【0018】
次に図3Aおよび図3Bを参照すると、焦点合せ装置200の断面図が、暗視光学装置300の部分Aとして示されている。特に、図3Aは、(後方焦点距離D1における)遠位対象物302のための対物レンズアセンブリ202の配置を示しており、図3Bは、(後部焦点距離D2における)近位対象物304のための対物レンズアセンブリ202の配置を表している。
【0019】
図3Aにおいては、暗視光学装置306が遠位対象物302の方に向けられていて、水平方向306に対して概ね平行である視線(LOS)を有する(すなわち、暗視光学装置300は水平方向のLOSを有する)。この場合、対物レンズアセンブリ202は、画像形成装置204に対して距離D1において位置決めされている。距離D1は、対物レンズアセンブリ202における第1の焦点位置(すなわち遠位焦点位置)を表わす。
【0020】
図3Bにおいては、暗視光学装置300が、近位対象物304に向けられたLOS308’に配向されている。こうして、LOS308’は水平平面306に対して傾斜角θをなして暗視光学装置300を配向させる。この場合、対物レンズアセンブリ202は、画像形成装置204に対して距離D2において位置決めされる。距離D2は、対物レンズアセンブリ202の第2の焦点位置(すなわち近位焦点位置)を表わす。この場合、傾斜角θは閾値角度(さらに後述する)よりも大きいものと仮定されており、それにより対物レンズアセンブリは近位焦点位置に位置決めされるようになる。
【0021】
本発明によると、第1および第2の焦点位置は、暗視光学装置300の配向に基づいて二元的焦点合せ制御装置206によって自動的に決定される。したがって、傾斜角θが既定の閾値以下であることが検出された場合、二元的焦点合せ制御装置206によって第1の焦点位置が選択され得る。傾斜角θが既定の閾値よりも大きい場合は、二元的焦点合せ制御装置206によって第2の焦点位置が選択され得る。したがって、本発明は、LOSが既定の閾値を超える場合に、対物レンズアセンブリ202を近位焦点位置まで自動的に駆動させる視線センサを有する。
【0022】
典型的なモデルにおいて、使用者/視認者は、水平方向のLOSに沿って遠位対象物を見る場合に無限焦点であることが望ましい場合がある。従来のオートフォーカス装置の無限焦点位置は、遠位の標的および光景が明確に視認され得るようにするとともに、一般的な可動性タスクを支援するのが典型的である。しかしながら、兵士が近位の障害物(例えば移動時の丸太または溝)を観察する必要がある場合には、従来の焦点合せ装置の焦点を近位位置と遠位位置との間において手動で繰り返し調整するのは不便であるか、または実行不可能である。これらの場合、兵士は、従来の焦点合せ装置の焦点を遠位焦点位置に合わせたままにしておき、暗視光学装置が兵士の足元の前方領域に瞬間的に照準決めされたときには、大きく焦点から外れた近位障害物の画像を得るのが典型的である。一般に、障害物の周囲におけるおよび障害物を通る作戦行動を支援するためには、約1.524m(約5フィート)(対象物距離)の近位焦点が使用されるのが典型的である。
【0023】
本発明は、兵士のために、自動的に決定されて予め設定される2つの対物レンズ焦点位置を提供する。本発明は、兵士が焦点調整のために武器から手を離すことを要求することなく第1または第2の焦点位置を自動的に選択する。本発明の二元的焦点合わせは、降車した兵士にとって、遠位の標的および光景の両方を視認するため、及び近位障害物の周囲における作戦行動のために有用であり得る。
【0024】
図4を参照すると、例示的な二元的焦点合せ制御装置206が示されている。二元的焦点合せ制御装置206は、LOSセンサ402、焦点セレクタ404およびレンズ位置決め部406を備える。一般に、LOSセンサ402は、地球の重力ベクトルを使用して、暗視光学装置300の配向を決定する(図3A)。図7〜図9に関連して、異なる例示的な実施形態のLOSセンサ402がさらに後述される。図7〜図9に関連して述べる通り、LOSセンサ402は、電気的コンポーネント及び機械的コンポーネントのうちの少なくとも一方を備えていてよい。
【0025】
焦点セレクタ404は、LOSセンサ402から傾斜角情報を受信し、傾斜角情報から傾斜角θを決定する。焦点セレクタ404は、瞬間的な傾斜角θに基づいて第1または第2の焦点位置のいずれかを選択する。焦点セレクタ404が電子プロセッサおよび/または機械的コンポーネントを備えてもよいことが理解される。空気圧式コンポーネントを備える例示的な焦点セレクタ404が、図11Aおよび図11Bに関連してさらに後述される。焦点セレクタ404は、(例えば焦点指令として)選択された焦点位置設定をレンズ位置決め部406に付与する。
【0026】
レンズ位置決め部406は、焦点セレクタ404から焦点位置設定(例えば焦点指令)を受信し、レンズ並進運動機構部210(図2)を介して対物レンズの並進運動を制御するための力を付与する。レンズ位置決め部406の例は、図10Aおよび図10Bに関連してさらに後述される。別の例示的な実施形態の二元的焦点合せ制御装置206は、図11Aおよび図11Bに関連してさらに後述される。レンズ位置決め部406は、対物レンズアセンブリ(図2)を並進運動させるための電気的コンポーネントおよび機械的コンポーネントのうちの少なくとも一方を備えてもよいことが理解される。
【0027】
次に図5Aおよび図5Bを参照すると、対物レンズアセンブリ202(図2)を離間した二元的な焦点位置まで画像形成装置204に対して並進運動させるための例示的な方法が示されている。特に、図5Aは、単一の閾値に基づいて焦点位置を選択するための例示的な実施形態を表わしており、図5Bは、2つの閾値(閾値A、閾値B)に基づいて焦点位置を選択し、それによりヒステリシス機能を実行するための別の例示的な実施形態を表わしている。
【0028】
図5Aを参照すると、ステップ500において、例えば、LOSセンサ402から受信する傾斜角情報に基づいて焦点セレクタ404(図4)により傾斜角θが決定される。ステップ502においては、傾斜角θが閾値以下であるか否かが決定される。例示的な実施形態では閾値は水平面306の40°下方(図3B)であるものの、閾値は使用者が近位の焦点合せ条件と遠位の焦点合せ条件とを識別するのに適切な任意の閾値であり得ることが理解される。
【0029】
傾斜角θが閾値以下である場合、ステップ502はステップ504に進む。ステップ504において、焦点は、例えば焦点セレクタ404(図4)によって、第1の焦点位置(すなわち図3Aに示される遠位位置)に設定される。例えば第1の焦点位置を指示する焦点指令が焦点セレクタ404(図4)によって生成され得る。ステップ506において、例えば焦点指令に応答して、レンズ並進運動機構部210(図2)と協働してレンズ位置決め部406によって、対物レンズアセンブリ202(図3A)が第1の焦点位置(距離D1の位置)まで並進運動させられる。ステップ506はステップ500に進む。
【0030】
傾斜角θが閾値よりも大きい場合、ステップ502はステップ508に進む。ステップ508において、焦点は、例えば焦点セレクタ404(図4)によって第2の焦点位置(すなわち図3Bに示される近位焦点位置)に設定される。例えば第2の焦点位置を指示する焦点指令が焦点セレクタ404(図4)によって生成されてもよい。ステップ510において、例えば焦点コマンドに応答して、レンズ並進運動機構部210(図2)と協働してレンズ位置決め部406(図4)によって、対物レンズアセンブリ202が第2の焦点位置(図3Bに示される距離D2の位置)まで並進運動させられる。ステップ510はステップ500に進む。更新される傾斜角情報を得るためにステップ500〜510が継続され得る。
【0031】
図5Bを参照すると、ステップ512において、例えば、LOSセンサ402から受信する傾斜角情報を利用して焦点セレクタ404(図4)により傾斜角θが決定される。ステップ514において、傾斜角θが第1の閾値である閾値A以下であるか否かが決定される。例示的な実施形態では閾値Aは水平面306から40°下方(図3B)であるものの、第1の閾値は、使用者が近位の焦点合わせ条件と遠位の焦点合せ条件とを識別するのに適切な任意の閾値であり得ることが理解される。
【0032】
傾斜角θが閾値A以下であると決定された場合、ステップ514はステップ516に進む。ステップ516において、焦点は、例えば焦点セレクタ404(図4)によって、第1の焦点位置(すなわち図3Aに示される遠位位置)に設定される。ステップ518において、例えばレンズ並進運動機構部210(図2)と協働してレンズ位置決め部406(図4)によって、対物レンズアセンブリ202(図3A)が第1の焦点位置(距離D1の位置)まで並進運動させられる。ステップ518はステップ512へと進む。
【0033】
傾斜角θが閾値aよりも大きいと決定された場合、ステップ514はステップ520に進む。ステップ520において、傾斜角θが第2の閾値である閾値B以下であるか否かが決定される。例示的な実施形態において、閾値Bは水平面306の45°下方(図3B)である。例示的な実施形態において閾値Bは水平面306の45°下方(図3B)であるものの、第2の閾値は、近位の焦点合せ条件と遠位の焦点合せ条件とを識別する境界領域を使用者に提供するのに適切な任意の閾値であり得ることが理解される。
【0034】
傾斜角θが閾値B以上である場合、ステップ520はステップ526に進む。ステップ526において、焦点は、例えば焦点セレクタ404(図4)によって、第2の焦点位置(すなわち図3Bに示される近位位置)に設定される。ステップ528において、例えばレンズ並進運動機構部210(図2)と協働するレンズ位置決め部406(図4)によって、対物レンズアセンブリ202(図3B)が第2の焦点位置(距離D2の位置)まで並進運動させられる。ステップ528はステップ512に進む。
【0035】
ステップ514において、傾斜角θが閾値Bよりも小さい(かつステップ514において閾値Aよりも大きい)と決定された場合、ステップ520はステップ522に進む。ステップ522において、焦点設定は、例えば焦点セレクタ404(図4)によって現在の焦点位置に維持される。ステップ524において、対物レンズアセンブリ202は現在の位置(第1の焦点位置または第2の焦点位置)に維持される。ステップ524はステップ512に進む。
【0036】
ステップ520〜524は、傾斜角θが閾値Aと閾値Bとの間である条件において以前に決定された焦点位置を使用するヒステリシス機能を表わしている。この実施形態においては、閾値Aおよび閾値Bの2つの閾値を使用することにより、LOS308’(図3B)が閾値Aと閾値Bとの間の境界配向に在る場合に、近位レンズ位置と遠位レンズ位置との間での反復的な切換えが回避され得る。
【0037】
ステップ512〜528は、検出された各傾斜角のために例えば無制限に反復され得る。
【0038】
次に図6Aを参照すると、例示的な暗視光学装置300のブロック図が示されている。暗視光学装置300は、対物レンズアセンブリ202と、二元的焦点合せ制御装置206と、イメージインテンシファイア602と、接眼レンズ604と、を備えている。暗視光学装置300は、他のコンポーネント、例えば高圧電力供給部(HVPS)を備えていてもよい。
【0039】
対物レンズアセンブリ202は、二元的焦点合せ制御装置206によって、第1または第2の焦点位置における対象物606から光線を受信するように位置決めされる。対物レンズアセンブリ202は、HVPSによって電力付与され得るイメージインテンシファイア602に対して、低照度の光景の焦点合せされた画像を付与する。イメージインテンシファイア602は入力部において不鮮明な画像を増幅し、出力表面においてより高輝度タイプの同じ画像を再形成する。この画像は接眼レンズ604にコヒーレントに伝送されて、形成された画像が表示される。図6Aにおいて、画像形成装置204はイメージインテンシファイア602によって表されている。
【0040】
次に図6Bを参照すると、別の例示的な暗視光学装置300’のブロック図が示されている。暗視光学装置300’は、対物レンズアセンブリ202と、二元的焦点合せ制御装置206と、画像形成アレイ610と、ビデオ電子モジュール612と、ビデオ表示部614と、を備えている。暗視光学装置300’は、暗視光学装置300’が対象物606の画像を生成するための画像形成アレイ610を備えている点を除いて、暗視光学装置300に類似しているか、または機能的に同等である。さらに、暗視光学装置300’は、対象物606の実時間ビデオ画像を形成するためのビデオ電子モジュール612およびビデオ表示部614を含む。
【0041】
対物レンズアセンブリ202は、二元的焦点合せ制御装置206によって、第1または第2の焦点位置において対象物606からの光線608を受信するように位置決めされる。対物レンズアセンブリ202は、ビデオ用途のための画像形成アレイ610に対して、低照度の光景の焦点合せされた画像を提供する。図6Bにおいて、画像形成装置204は画像形成アレイ610によって表されている。例えばCMOSタイプまたはCCDタイプのものであり得る画像形成アレイ610は、焦点合せされた画像を検出し、画像のレンディションを含む実時間ビデオデータを作成する。ビデオデータは、画像形成アレイ610からのビデオデータをデジタルビデオデータに変換するために、ビデオ電子モジュール612に付与される。ビデオ表示部614は、デジタルビデオデータを受信し、実時間デジタルビデオ画像を表示する。
【0042】
次に図7A〜図7Cを参照すると、例示的なLOSセンサ402が示されている。特に、図7Aは、暗視光学装置300(図3A)の本体702に結合されたLOSセンサ402の断面図であり、図7Bは遠位焦点条件におけるLOSセンサ402の側面図であり、図7Cは近位焦点条件におけるLOSセンサ402の側面図である。
【0043】
図7A〜図7Cにおいて、LOSセンサ402は、振子アーム706に堅固に連結された振子質量体704を備えている。また、振子アーム706は傾斜角検出器708に連結されている。さらに、傾斜角検出器708は、暗視光学装置300(図3A)の本体702に連結される。振子質量体704は、振子質量体704が重力ベクトルgに対応する位置に維持されるように本体702に連結されている。
【0044】
図7Bおよび図7Cから分かるように、水平面(すなわちX−Y平面)に対して本体702が運動する際に、振子質量体704の位置は重力ベクトルgの方向において維持される。同時に、本体702の運動によって、振子アーム706のY軸に対する回転方向Rにおける回転がもたらされる。傾斜角検出器708は振子アーム706の回転を検出し、傾斜角情報を提供する。傾斜角情報は焦点セレクタ404(図4)に付与され得る。こうして、振子アーム706の回転によって傾斜角情報が提供される。
【0045】
次に図8Aおよび図8Bを参照すると、LOSセンサ402(図7A)と共に使用される例示的な傾斜角検出器708、708’が示されている。特に、図8Aは傾斜角検出器708の回路図であり、図8Bは別の傾斜角検出器708’の斜視図である。
【0046】
図8Aにおいて、傾斜角検出器708は、電位差計804と、電圧供給部802と、電位差計804に接続された出力端子808と、を含む。振子アーム706は電位差計804のワイパー806に連結されている。こうして、振子アーム706の回転によって、ワイパー位置を変動させ、その結果として出力端子808において生成される電圧を変動させる。出力端子808における電圧信号は、焦点セレクタ404(図4)に付与され得る。焦点セレクタ404は、例えばデジタルルックアップテーブルによって、電圧信号を傾斜角に変換してもよい。適切な任意のデジタル電子機器およびアナログ電子機器のうちの少なくとも一方を使用して、焦点セレクタ404が実装され得ることが理解される。
【0047】
図8Bを参照すると、傾斜角検出器708’は、磁石810および磁気式回転位置符号化回路812を含む磁気回転センサを備えてもよい。振子アーム706は磁石810に連結され得る。振子アーム706の回転Rによって、符号化回路812を介して振子位置信号が生成され得る。振子位置信号は焦点セレクタ404に付与され得る。焦点セレクタ404は、例えばルックアップテーブルを介して位置信号を傾斜角に変換し得る。電位差計および符号化回路は当該技術分野において公知であり、当業者によって理解され得る。傾斜角検出器708、708’は、水平面306(図3A)に対する暗視光学装置300(図6)の配向を検出するための2つの例示的な実施形態を表わすこと、および他の適切な傾斜角検出器を使用してもよいことが理解される。
【0048】
ここで図9A〜図9Cを参照すると、別の例示的なLOSセンサ402’が示されている。特に、図9Aは、LOSセンサ402’として使用される3軸加速度計900の斜視図である。図9Bおよび図9Cは、遠位焦点条件および近位の焦点条件それぞれにおける重力ベクトルgに対する加速度計900の配向を表す例である。
【0049】
加速度計900は、重力ベクトルgを検出するために3つの軸線X’、Y’およびZ’に沿ってデータを収集し得る任意の適切な微小電子機械システム(MEMS)であり得る。図9Bおよび図9Cに示されるように、加速度計900は、暗視光学装置300(図3A)の本体702に結合されている。図示されないものの、加速度計900は、他のコンポーネント、例えばプリアンプと、重力ベクトルgを検出するための適切なフィルタ係数を有するフィルターとのうちの少なくとも一方を備えていてもよい。加速度計900は、焦点セレクタ404(図4)に対して、傾斜角情報を表わす位置信号(X’、Y’およびZ’軸のデータを含む)を提供する。
【0050】
例えば図9Bに示されるように、本体702は遠位焦点位置に配向されている(すなわち水平方向のLOSを有する)。本体702が遠位焦点位置に移動させられると、Z’軸データのみが位置信号に寄与し得る。したがって、加速度計900は、0m/s2のX’軸データ、0m/s2のY’軸データおよび9.8m/s2のZ’軸のデータを生成し得る。
【0051】
図9Cを参照すると、本体702が遠位焦点条件(図9B)から近位焦点条件に移動させられる場合、Z’軸からの加速度データならびにX’軸およびY’軸からの加速度データの少なくとも一方が位置信号に寄与し得る。例えば、加速度計900は、6.93m/s2のX’軸データ、6.93m/s2のZ’軸データおよび0m/s2のY’軸データを生成し得る。X’、Y’およびZ’によって生成される加速度データは、傾斜角を決定するために使用され得る。
【0052】
次に図10Aおよび図10Bを参照すると、静電荷に基づいて対物レンズアセンブリ202(図2)を並進運動させるための例示的なレンズ位置決め部406の回路図が示されている。特に、図10Aは遠位焦点位置の並進運動をもたらすための回路図を表し、図10Bは近位焦点位置の並進運動をもたらすための回路図を表す。
【0053】
レンズ位置決め部406は、レンズ並進運動機構部210(図2)およびハウジング208にそれぞれ連結されている帯電プレート1002−1および帯電プレート1002−2を備えている。対物レンズアセンブリ202(図3A、図3B)をそれぞれの後方焦点距離D1、D2まで並進運動させるための力F1または力F2を発生させるために、プレート1002には同一または反対の電荷が付与されている。適切な電荷をプレート1002に付与するために、レンズ位置決め部406はHVPS1006およびスイッチ1004を備えている。スイッチ1004の位置は、焦点セレクタ404(図4)に基づいて設定され得る。所望の後方焦点距離D1、D2に基づいて対物レンズアセンブリ202(図3A、図3B)を並進運動させるように適切な力F1、F2が決定され得ることが理解される。
【0054】
図10Aに示されるように、スイッチ1004は第1の位置に設定され、プレート1002−1およびプレート1002−2を反対に帯電させる。プレート1002は反対に帯電しているので、互いに引き寄せられ、吸引力を発生させる。吸引力F1によって、対物レンズアセンブリ202(図3A)は距離D1まで移動させられる。
【0055】
図10Bに示されるように、スイッチ1004は第2の位置に設定され、プレート1002−1およびプレート1002−2が同一の電荷(例えば負の電荷)を有するようになる。プレート1002は同一の電荷を有するので、それらプレートは互いに反発し、反発力F2を発生させる。反発力F2によって、対物レンズアセンブリ202(図3B)が距離D2まで移動させられる。
【0056】
例示的な一実施形態において、HVPS1006はDC3Vの入力電圧(10〜15mA)を受けて、4〜5kVの出力電圧(10〜15nA)を生成し得る。対物レンズアセンブリ202(図3A、図3B)を適切な第1および第2の焦点位置(すなわち後方焦点距離D1、D2)まで並進運動させるのに適切な力Fを生成するために、任意の適切な電力供給部が使用され得ることが理解される。
【0057】
次に図11Aおよび図11Bを参照すると、空気圧式の二元的焦点合せ制御装置206’が示されている。特に、図11Aは、近位焦点位置(すなわち図3Bに示される後方焦点距離D2)をもたらすための二元的焦点合せ制御装置206’の断面図であり、図11Bは、遠位焦点位置(すなわち図3Aに示される後方焦点距離D1)をもたらすための二元的焦点合せ制御装置206’の断面図である。
【0058】
二元的焦点合せ制御装置206’は、枢着点1102において振子アームに連結される振子質量体704を備えている。振子質量体704は枢着点1104においてリンク部1106にも連結されているので、振子質量体704は、暗視光学装置300(図3A)の移動に応答して、T1方向におけるリンク部1106の並進運動をもたらす。リンク部1106は、第1のシリンダ1110(すなわち第1の空気圧式システム)内に位置決めされた第1のピストン1108に連結されている。第2のリンク部1118は、第2のシリンダ1112(すなわち第2の空気圧式システム)内に位置決めされた第2のピストン1116に連結されている。第1のシリンダ1110及び第2のシリンダ1112は互いに空気圧的に結合されている(すなわち第2のシリンダ1112は第1のシリンダ1110に従属している)。また、リンク部1118はレンズ並進運動機構部210に連結されている。
【0059】
また、二元的焦点合せ制御装置206’は、第1の空気シリンダ1110に結合されていて例えば装着型ポンプ(図示せず)から僅かに加圧された空気を受入れて貯蔵するプレナムチャンバ1114を備えている。空気シリンダ1110は、周囲圧力(P)に開放されたポートを有する。
【0060】
リンク部1106は傾斜角検出器(例えば傾斜角検出器708(図7A))を表わしている。リンク部1118、ピストン1116および第2の空気シリンダ1112は、レンズ位置決め部(例えばレンズ位置決め部406(図6))を表わしている。第1のピストン1108および第1の空気シリンダ1110は、焦点セレクタ(例えば焦点セレクタ404(図4))を表わしている。
【0061】
作動時において、振子質量体704の回転によって、傾斜角θに応じて、第1のピストン1108が2つの位置のうちの一方まで駆動される。第1のピストン1108が位置を変えた場合、プレナムチャンバ114からの加圧空気は、第2のピストン116の一側に流れ、こうして第2のピストン1116を第2のシリンダ1112の反対の端部まで駆動する。第1のピストン1108によって、第2のシリンダ1112の容積減少側からの空気が局所的周囲圧力に対して平衡状態に達することができるようになる。こうして、振子質量体704の運動によって、リンク部1106の直線状の並進運動T1がもたらされるとともに、リンク部1118の並進運動T2がもたらされる。次いで、リンク部1118の並進運動T2によって、対物レンズアセンブリ202を近位焦点位置(図11A)または遠位焦点位置(図11B)まで並進運動させる。
【0062】
本明細書において具体的な実施形態を参照しながら、本発明が図示され、説明されるものの、本発明が示される細部に限定されることは意図されない。むしろ、本発明から逸脱することなく特許請求の範囲及び均等の範囲内においてこれら細部に対し種々の改変が行われ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗視光学装置と共に使用するための焦点合せ装置において、
画像形成装置からの第1または第2の焦点位置に位置決めされた対物レンズアセンブリと、
該対物レンズアセンブリに結合されていて、対物レンズアセンブリを第1および第2のいずれかの焦点位置まで画像形成装置に対して並進運動させるように構成された二元的焦点合せ制御装置と、を備え、
前記対物レンズアセンブリが、前記暗視光学装置の配向に応答して前記第1または第2のいずれかの焦点位置まで並進運動される、焦点合せ装置。
【請求項2】
前記第1の焦点位置が前記対物レンズアセンブリから遠位に位置決めされる対象物に関連付けられ、前記第2の焦点位置が前記対物レンズアセンブリのより近傍に概ね位置決めされる対象物に関連付けられる、請求項1に記載の焦点合せ装置。
【請求項3】
前記二元的焦点合せ制御装置が、前記暗視光学装置の配向に応答して前記第1または第2のいずれかの焦点位置を選択するように構成された焦点セレクタを備え、
前記対物レンズアセンブリが前記焦点セレクタに応答して前記第1または第2のいずれかの焦点位置まで並進運動される、請求項1に記載の焦点合せ装置。
【請求項4】
二元的焦点合せ制御装置が、
振子アームを介して前記暗視光学装置に連結される振子質量体を備えており、前記振子アームは、前記暗視光学装置の配向に応答して前記振子質量体と共に回転するものであり、
さらに、
前記振子質量体に連結されるとともに第1の空気圧システムの第1のピストンにさらに前記される第1のリンク部を備えており、前記第1のピストンは、前記振子質量体の回転に基づいて第1または第2の位置に位置決めされるように構成されており、
さらに、
前記第1の空気圧システムに結合されていて、対応する前記第1のピストンの前記第1または第2の位置に応答して第1または第2のいずれかの追加位置に位置決めされるように構成される第2のピストンを備える第2の空気圧システムと、
前記対物レンズアセンブリおよび前記第2のピストンに連結され、前記第2のピストンの前記第1または第2の追加位置に応答して前記第1または第2のいずれかの焦点位置まで前記対物レンズアセンブリを並進運動させるように構成される第2のリンク部と、
を備える、請求項1に記載の焦点合せ装置。
【請求項5】
前記二元的焦点合せ制御装置が前記暗視光学装置の配向に応答して前記第1または第2のいずれかの焦点位置を選択し、前記二元的焦点合せ制御装置は、選択された前記焦点位置に応答して前記対物レンズアセンブリを並進運動させるように、前記対物レンズアセンブリに連結されたレンズ位置決め部を備える、請求項1に記載の焦点合せ装置。
【請求項6】
前記レンズ位置決め部は、
前記対物レンズアセンブリに連結された第1の帯電プレートおよび当該焦点合せ装置のハウジングに連結された第2の帯電プレートと、
スイッチを介して前記第1および第2の帯電プレートに連結された高圧電力供給部(HVPS)と、
を備えており、
前記第1および第2の帯電プレートは、前記スイッチの位置に応答して前記HVPSによって同一の電荷または反対の電荷を有するように帯電させられており、
前記スイッチの位置が、前記第1または第2のいずれかの焦点位置に対応している、請求項5に記載の焦点合せ装置。
【請求項7】
前記二元的焦点合せ制御装置は、前記暗視光学装置に結合された視線(LOS)センサを備えており、該LOSセンサは前記暗視光学装置の傾斜角を水平方向のLOSに対して決定するように構成されており、前記傾斜角は前記暗視光学装置の配向に対応している、請求項1に記載の焦点合せ装置。
【請求項8】
前記LOSセンサが前記暗視光学装置に結合された加速度計を備える、請求項7に記載の焦点合せ装置。
【請求項9】
前記LOSセンサが、振子アームを介して前記暗視光学装置に連結された振子質量体を備えており、前記振子アームは前記暗視光学装置の配向に応答して回転し、
前記傾斜角が前記振子アームの回転に基づいて決定される、請求項7に記載の焦点合せ装置。
【請求項10】
電圧源に接続される第1および第2の端子と、前記振子アームに接続される調整端子および出力端子と、を有する電位差計を備える傾斜角検出器をさらに備えており、
出力端子における出力電圧が前記振子アームの回転に起因して変化するとともに、
前記傾斜角が前記出力電圧に基づいて決定される、請求項9に記載の焦点合せ装置。
【請求項11】
前記振子アームに連結されていて振子位置を検出するように構成される磁気回転位置エンコーダを備える傾斜角検出器をさらに備えており、
前記傾斜角が前記振子位置から決定される、請求項9に記載の焦点合せ装置。
【請求項12】
画像形成装置から第1または第2の焦点位置に位置決めされる対物レンズアセンブリと、
該対物レンズアセンブリに結合される二元的焦点合せ制御装置と、
を備える、暗視光学装置において、
前記対物レンズアセンブリは、
前記暗視光学装置に結合されていて、水平方向のLOSに対する前記暗視光学装置の配向を検出するように構成される視線(LOS)センサと、
検出される暗視光学装置の配向に応答して前記第1または第2のいずれかの焦点位置を選択するための焦点セレクタと、を備えており、
前記二元的焦点合せ制御装置が、前記焦点セレクタに応答して、前記対物レンズアセンブリを前記第1または第2のいずれかの焦点位置まで前記画像形成装置に対して並進運動させるように構成される、暗視光学装置。
【請求項13】
画像形成装置がイメージインテンシファイアまたは画像形成アレイを備える、請求項12に記載の暗視装置。
【請求項14】
前記第1の焦点位置が前記対物レンズアセンブリから遠位に位置決めされる対象物に関連付けられ、前記第2の焦点位置が前記対物レンズアセンブリのより近傍に概ね位置決めされる対象物に関連付けられる、請求項12に記載の暗視装置。
【請求項15】
前記二元的焦点合せ制御装置は、選択される前記焦点位置に応答して前記対物レンズアセンブリを並進運動させるように、前記対物レンズアセンブリに結合されたレンズ位置決め部を備える、請求項12に記載の暗視装置。
【請求項16】
前記LOSセンサが加速度計を備える、請求項12に記載の暗視装置。
【請求項17】
前記LOSセンサが、振子アームを介して前記暗視光学装置に連結される振子質量体を備えており、前記振子アームは前記暗視光学装置の配向に応答して前記振子質量体と共に回転するものであり、
前記暗視光学装置の配向が前記振子アームの回転に基づいて決定される、請求項12に記載の暗視装置。
【請求項18】
前記LOSセンサが前記振子アームに連結されるリンク部を備えており、
前記焦点セレクタは、
前記リンク部に連結されていて、前記振子質量体の回転に基づいて第1の空気圧システムにおいて第1または第2の位置に位置決めされる第1のピストンを備えており、
前記第1のピストンの前記第1または第2の位置は、前記第1または第2の焦点位置にそれぞれ対応する、請求項17に記載の暗視装置。
【請求項19】
レンズ位置決め部が、
前記第1の空気圧システムに結合されていて、対応する前記第1のピストンの前記第1のピストンの第1または第2の位置に応答して第1または第2の追加位置に配置されるように構成される第2のピストンを備える、第2の空気圧システムと、
前記対物レンズアセンブリおよび前記第2のピストンに連結されていて、前記第2のピストンの前記第1または第2の追加位置に応答して前記対物レンズアセンブリを前記第1または第2のいずれかの焦点位置まで並進運動させるように構成される第2のリンク部と、を備える、請求項18に記載の暗視装置。
【請求項20】
暗視光学装置における画像形成装置から位置決めされる対物レンズアセンブリの焦点位置を制御する制御方法において、
水平方向の視線(LOS)に対する暗視光学装置の配向を検出し、
検出された前記暗視光学装置の配向に応答して第1または第2のいずれかの焦点位置を選択し、
前記対物レンズアセンブリを選択された焦点位置まで前記画像形成装置に対して並進運動させることを含む制御方法。
【請求項21】
前記第1または第2の焦点位置の一方を選択する際において、
検出された配向に応答して前記暗視光学装置の傾斜角を決定し、
前記傾斜角が既定の閾値以下である場合には、第1の焦点位置を選択し、
傾斜角が既定の閾値より大きい場合には、第2の焦点位置を選択することを含む、請求項20に記載の制御方法。
【請求項22】
前記第2の焦点位置を選択する際において、
検出された配向に応答して前記暗視光学装置の傾斜角を決定し、
前記傾斜角が第1の既定の閾値以下である場合には、前記第1の焦点位置を選択し、
前記傾斜角が前記第1の規定の閾値よりも大きい第2の既定の閾値以上である場合には、前記第2の焦点位置を選択し、
前記傾斜角が前記第1の既定の閾値よりも大きくかつ前記第2の既定の閾値よりも小さい場合には、以前に選択された焦点位置を維持するステップと、
が含まれる、請求項20に記載の制御方法。
【請求項23】
前記第1の焦点位置を選択することが、前記対物レンズアセンブリから遠位に位置決めされる対象物に対物レンズの焦点を合わせることに対応し、
前記第2の焦点位置を選択することが、前記対物レンズアセンブリのより近傍に位置決めされる対象物に対物レンズの焦点を合わせることに対応する、請求項20に記載の制御方法。
【請求項1】
暗視光学装置と共に使用するための焦点合せ装置において、
画像形成装置からの第1または第2の焦点位置に位置決めされた対物レンズアセンブリと、
該対物レンズアセンブリに結合されていて、対物レンズアセンブリを第1および第2のいずれかの焦点位置まで画像形成装置に対して並進運動させるように構成された二元的焦点合せ制御装置と、を備え、
前記対物レンズアセンブリが、前記暗視光学装置の配向に応答して前記第1または第2のいずれかの焦点位置まで並進運動される、焦点合せ装置。
【請求項2】
前記第1の焦点位置が前記対物レンズアセンブリから遠位に位置決めされる対象物に関連付けられ、前記第2の焦点位置が前記対物レンズアセンブリのより近傍に概ね位置決めされる対象物に関連付けられる、請求項1に記載の焦点合せ装置。
【請求項3】
前記二元的焦点合せ制御装置が、前記暗視光学装置の配向に応答して前記第1または第2のいずれかの焦点位置を選択するように構成された焦点セレクタを備え、
前記対物レンズアセンブリが前記焦点セレクタに応答して前記第1または第2のいずれかの焦点位置まで並進運動される、請求項1に記載の焦点合せ装置。
【請求項4】
二元的焦点合せ制御装置が、
振子アームを介して前記暗視光学装置に連結される振子質量体を備えており、前記振子アームは、前記暗視光学装置の配向に応答して前記振子質量体と共に回転するものであり、
さらに、
前記振子質量体に連結されるとともに第1の空気圧システムの第1のピストンにさらに前記される第1のリンク部を備えており、前記第1のピストンは、前記振子質量体の回転に基づいて第1または第2の位置に位置決めされるように構成されており、
さらに、
前記第1の空気圧システムに結合されていて、対応する前記第1のピストンの前記第1または第2の位置に応答して第1または第2のいずれかの追加位置に位置決めされるように構成される第2のピストンを備える第2の空気圧システムと、
前記対物レンズアセンブリおよび前記第2のピストンに連結され、前記第2のピストンの前記第1または第2の追加位置に応答して前記第1または第2のいずれかの焦点位置まで前記対物レンズアセンブリを並進運動させるように構成される第2のリンク部と、
を備える、請求項1に記載の焦点合せ装置。
【請求項5】
前記二元的焦点合せ制御装置が前記暗視光学装置の配向に応答して前記第1または第2のいずれかの焦点位置を選択し、前記二元的焦点合せ制御装置は、選択された前記焦点位置に応答して前記対物レンズアセンブリを並進運動させるように、前記対物レンズアセンブリに連結されたレンズ位置決め部を備える、請求項1に記載の焦点合せ装置。
【請求項6】
前記レンズ位置決め部は、
前記対物レンズアセンブリに連結された第1の帯電プレートおよび当該焦点合せ装置のハウジングに連結された第2の帯電プレートと、
スイッチを介して前記第1および第2の帯電プレートに連結された高圧電力供給部(HVPS)と、
を備えており、
前記第1および第2の帯電プレートは、前記スイッチの位置に応答して前記HVPSによって同一の電荷または反対の電荷を有するように帯電させられており、
前記スイッチの位置が、前記第1または第2のいずれかの焦点位置に対応している、請求項5に記載の焦点合せ装置。
【請求項7】
前記二元的焦点合せ制御装置は、前記暗視光学装置に結合された視線(LOS)センサを備えており、該LOSセンサは前記暗視光学装置の傾斜角を水平方向のLOSに対して決定するように構成されており、前記傾斜角は前記暗視光学装置の配向に対応している、請求項1に記載の焦点合せ装置。
【請求項8】
前記LOSセンサが前記暗視光学装置に結合された加速度計を備える、請求項7に記載の焦点合せ装置。
【請求項9】
前記LOSセンサが、振子アームを介して前記暗視光学装置に連結された振子質量体を備えており、前記振子アームは前記暗視光学装置の配向に応答して回転し、
前記傾斜角が前記振子アームの回転に基づいて決定される、請求項7に記載の焦点合せ装置。
【請求項10】
電圧源に接続される第1および第2の端子と、前記振子アームに接続される調整端子および出力端子と、を有する電位差計を備える傾斜角検出器をさらに備えており、
出力端子における出力電圧が前記振子アームの回転に起因して変化するとともに、
前記傾斜角が前記出力電圧に基づいて決定される、請求項9に記載の焦点合せ装置。
【請求項11】
前記振子アームに連結されていて振子位置を検出するように構成される磁気回転位置エンコーダを備える傾斜角検出器をさらに備えており、
前記傾斜角が前記振子位置から決定される、請求項9に記載の焦点合せ装置。
【請求項12】
画像形成装置から第1または第2の焦点位置に位置決めされる対物レンズアセンブリと、
該対物レンズアセンブリに結合される二元的焦点合せ制御装置と、
を備える、暗視光学装置において、
前記対物レンズアセンブリは、
前記暗視光学装置に結合されていて、水平方向のLOSに対する前記暗視光学装置の配向を検出するように構成される視線(LOS)センサと、
検出される暗視光学装置の配向に応答して前記第1または第2のいずれかの焦点位置を選択するための焦点セレクタと、を備えており、
前記二元的焦点合せ制御装置が、前記焦点セレクタに応答して、前記対物レンズアセンブリを前記第1または第2のいずれかの焦点位置まで前記画像形成装置に対して並進運動させるように構成される、暗視光学装置。
【請求項13】
画像形成装置がイメージインテンシファイアまたは画像形成アレイを備える、請求項12に記載の暗視装置。
【請求項14】
前記第1の焦点位置が前記対物レンズアセンブリから遠位に位置決めされる対象物に関連付けられ、前記第2の焦点位置が前記対物レンズアセンブリのより近傍に概ね位置決めされる対象物に関連付けられる、請求項12に記載の暗視装置。
【請求項15】
前記二元的焦点合せ制御装置は、選択される前記焦点位置に応答して前記対物レンズアセンブリを並進運動させるように、前記対物レンズアセンブリに結合されたレンズ位置決め部を備える、請求項12に記載の暗視装置。
【請求項16】
前記LOSセンサが加速度計を備える、請求項12に記載の暗視装置。
【請求項17】
前記LOSセンサが、振子アームを介して前記暗視光学装置に連結される振子質量体を備えており、前記振子アームは前記暗視光学装置の配向に応答して前記振子質量体と共に回転するものであり、
前記暗視光学装置の配向が前記振子アームの回転に基づいて決定される、請求項12に記載の暗視装置。
【請求項18】
前記LOSセンサが前記振子アームに連結されるリンク部を備えており、
前記焦点セレクタは、
前記リンク部に連結されていて、前記振子質量体の回転に基づいて第1の空気圧システムにおいて第1または第2の位置に位置決めされる第1のピストンを備えており、
前記第1のピストンの前記第1または第2の位置は、前記第1または第2の焦点位置にそれぞれ対応する、請求項17に記載の暗視装置。
【請求項19】
レンズ位置決め部が、
前記第1の空気圧システムに結合されていて、対応する前記第1のピストンの前記第1のピストンの第1または第2の位置に応答して第1または第2の追加位置に配置されるように構成される第2のピストンを備える、第2の空気圧システムと、
前記対物レンズアセンブリおよび前記第2のピストンに連結されていて、前記第2のピストンの前記第1または第2の追加位置に応答して前記対物レンズアセンブリを前記第1または第2のいずれかの焦点位置まで並進運動させるように構成される第2のリンク部と、を備える、請求項18に記載の暗視装置。
【請求項20】
暗視光学装置における画像形成装置から位置決めされる対物レンズアセンブリの焦点位置を制御する制御方法において、
水平方向の視線(LOS)に対する暗視光学装置の配向を検出し、
検出された前記暗視光学装置の配向に応答して第1または第2のいずれかの焦点位置を選択し、
前記対物レンズアセンブリを選択された焦点位置まで前記画像形成装置に対して並進運動させることを含む制御方法。
【請求項21】
前記第1または第2の焦点位置の一方を選択する際において、
検出された配向に応答して前記暗視光学装置の傾斜角を決定し、
前記傾斜角が既定の閾値以下である場合には、第1の焦点位置を選択し、
傾斜角が既定の閾値より大きい場合には、第2の焦点位置を選択することを含む、請求項20に記載の制御方法。
【請求項22】
前記第2の焦点位置を選択する際において、
検出された配向に応答して前記暗視光学装置の傾斜角を決定し、
前記傾斜角が第1の既定の閾値以下である場合には、前記第1の焦点位置を選択し、
前記傾斜角が前記第1の規定の閾値よりも大きい第2の既定の閾値以上である場合には、前記第2の焦点位置を選択し、
前記傾斜角が前記第1の既定の閾値よりも大きくかつ前記第2の既定の閾値よりも小さい場合には、以前に選択された焦点位置を維持するステップと、
が含まれる、請求項20に記載の制御方法。
【請求項23】
前記第1の焦点位置を選択することが、前記対物レンズアセンブリから遠位に位置決めされる対象物に対物レンズの焦点を合わせることに対応し、
前記第2の焦点位置を選択することが、前記対物レンズアセンブリのより近傍に位置決めされる対象物に対物レンズの焦点を合わせることに対応する、請求項20に記載の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【公表番号】特表2013−501964(P2013−501964A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524725(P2012−524725)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/043473
【国際公開番号】WO2011/059536
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512067159)エクセリス インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/043473
【国際公開番号】WO2011/059536
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512067159)エクセリス インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
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