説明

書籍搬送用トレー及びピッキング設備

【課題】搬送装置にて搬送するときに段積み書籍が崩れ難く且つ収納容器への書籍の収納作業を効率良く行える書籍搬送用トレー、及び、それを搬送する搬送装置が設けられているピッキング設備を提供する。
【解決手段】傾斜面に形成された上面に段積みされた段積み書籍Wを載置支持する支持体21と、上面に沿って前方側に移動する段積み書籍Wを受け止める受け止め体22とを設け、支持体21を、複数冊の書籍を収納する収納容器を載置支持可能に構成し、受け止め体22を、支持体21に載置支持された収納容器の高さ及び段積み書籍Wの高さより高い書籍用高さと支持体21に載置支持された収納容器の高さ及び段積み書籍Wの高さより低い容器用高さとに高さを変更可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置にて搬送されてピッキング作業により複数冊の書籍が段積みされる書籍搬送用トレー、及び、その書籍搬送用トレーをピッキングエリアを経由するように搬送する搬送装置が備えられているピッキング設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるピッキング設備は、書店やコンビニエンスストア等の書籍の出荷先に応じて書籍搬送用トレーが割り当てられており、搬送装置にてピッキングエリアを経由するように書籍搬送用トレーを搬送して、出荷先に出荷する複数冊の書籍をピッキングエリアにおいて書籍搬送用トレーに段積みするようになっている。
このように書籍搬送用トレーに載せられた複数冊の書籍は、カートンケースや折り畳みコンテナ等の複数冊の書籍を収納する収納容器に収納した状態、又は、ビニールで梱包した状態等、出荷先に応じた形態で出荷先に出荷される。
【0003】
そして、従来では、書籍搬送用トレーは、上面が水平面に形成されて当該上面に複数冊の書籍を段積み状態で載置支持する支持体と、その支持体の前方側(搬送上手側)に立設された受け止め体とを設けてL字状に構成されており、ピッキング設備は、ピッキングエリアを経由するように書籍搬送用トレーをその前後方向に沿って平面視で直線状に搬送する搬送装置が設けられていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−257738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の書籍搬送用トレーでは、支持体の前方側には受け止め体が設けられており、支持体の後方側には隣接する書籍搬送用トレーの受け止め体が存在しているため、支持体上で前後方向に移動する段積み書籍は受け止め体にて受け止めることができるが、支持体の横側方には受け止め体が存在しないため、支持体上で横幅方向に移動する段積み書籍を受け止めることができない。よって、書籍搬送用トレーの水平な上面上の段積み書籍は横幅方向に崩れ易いものとなっていた。
【0006】
ちなみに、上記従来のピッキング設備では、搬送装置により書籍搬送用トレーの搬送を平面視で直線状に搬送し、平面視で曲線状には搬送しないようにすることで、搬送装置にて書籍搬送用トレーを搬送するときに段積み書籍に横幅方向の慣性力が作用しないようにして、段積み書籍が崩れることを防止している。しかしながら、搬送装置により書籍搬送用トレーの搬送を平面視で直線状に搬送することで、ピッキング作業の長さが制約されるため、ピッキング作業により扱う書籍の種類を増やし難いという問題がある。
【0007】
また、上記従来のピッキング設備では、複数冊の書籍を収納容器に収納した状態で出荷先に出荷する場合は、複数冊の書籍を一旦書籍搬送用トレーに段積みした後、その段積みした書籍を収納容器に移載する必要があるため、作業効率が悪いものであった。そこで、搬送装置にて書籍搬送用トレーを搬送するときに書籍搬送用トレーに収納容器を載置させておき、書籍を収納容器に直接収納することも考えられるが、受け止め体の存在により書籍を収納容器に収納させ難い。
【0008】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、搬送装置にて搬送するときに段積み書籍が崩れ難く且つ収納容器への書籍の収納作業を効率良く行える書籍搬送用トレー、及び、それを搬送する搬送装置が設けられているピッキング設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる書籍搬送用トレーは、搬送装置にて搬送されてピッキング作業により複数冊の書籍が段積みされたものであって、
その第1特徴構成は、上面が前方側ほど下方に位置する傾斜面に形成されて当該上面に段積みされた段積み書籍を載置支持する支持体と、前記上面に沿って前方側に移動する前記段積み書籍を受け止めるべく前記支持体の前方側に立設された受け止め体とが設けられ、前記支持体が、複数冊の書籍を収納する収納容器を載置支持可能に構成され、前記受け止め体が、前記支持体に載置支持された前記収納容器の高さ及び前記段積み書籍の高さより高い書籍用高さと前記支持体に載置支持された前記収納容器の高さ及び前記段積み書籍の高さより低い容器用高さとに高さを変更可能に構成されている点にある。
【0010】
すなわち、受け止め体を、書籍用高さに高さを変更することにより、受け止め体の高さを支持体に載置支持された段積み書籍の高さより高くすることができるため、傾斜する支持体の上面に沿って移動する段積み書籍を受け止め体にて受け止めることができる。そして、このように支持体の傾斜面に載置支持された段積み書籍は自重によって受け止め体に押し付けられるため、書籍搬送用トレーの前後方向への荷崩れが生じ難くなり、また、受け止め体との間に生じる摩擦力によって、書籍搬送用トレーの横幅方向への荷崩れも生じ難くなる。
【0011】
また、複数冊の書籍を収納容器に収納した状態で出荷先に出荷する場合では、書籍搬送用トレーに収納容器を載置させておくことで、複数冊の書籍を収納容器に直接投入することで、書籍を収納した収納容器をそのまま出荷できるため、収納効率を高めることができる。
【0012】
しかも、受け止め体を容器用高さに変更することにより、受け止め体の高さを支持体に載置支持させた収納容器の高さより低くすることができるため、支持体に収納容器を載置させたときに受け止め体が収納容器より上方に飛び出さないので、収納容器に書籍を収納するときに受け止め体が邪魔になり難く、書籍を収納容器に収納させ易くなる。
つまり、支持体に収納容器を載置支持させたときに受け止め体を書籍用高さとした状態では、受け止め体の高さが支持体に載置支持された容器本体の高さより高いため、書籍を収納容器に収納させるときに書籍が受け止め体に当たりやすく、受け止め体が邪魔になるが、受け止め体を容器用高さに変更することにより、収納容器に書籍を収納するときに受け止め体が邪魔になり難く、書籍を収納容器に収納させ易くなる。
【0013】
従って、搬送装置にて搬送するときに段積み書籍が崩れ難く且つ収納容器への書籍の収納作業を効率良く行える書籍搬送用トレーを提供することができるに至った。
【0014】
本発明にかかる書籍搬送用トレーの第2特徴構成は、第1特徴構成において、上面が前方側ほど下方に位置する傾斜面に形成されて前記支持体の一部を構成する書籍支持部材と、前記支持体の前方側に前記容器用高さで位置して前記受け止め体の一部を構成する容器受け止め部材と、前記受け止め体の一部として前記容器受け止め部材に隣接する受け止め用位置に起立姿勢で装着可能で且つ前記支持体の一部として前記書籍支持部材と上下に重なる支持用位置に倒状姿勢で装着可能に構成された板状の着脱部材とが設けられ、前記支持体が、前記着脱部材を前記支持用位置から離脱させた状態で前記書籍支持部材の上面に前記段積み書籍を載置支持する書籍用状態と、前記着脱部材を前記支持用位置に装着した状態で前記書籍支持部材又は前記着脱部材のうちの上方に位置する部材の上面に前記収納容器を載置支持する容器用状態とに切り換え自在に構成され、前記受け止め体が、前記着脱部材を前記受け止め用位置に装着させることで前記書籍用高さに高さが変更され、且つ、前記着脱部材を前記受け止め用位置から離脱させることで前記容器用高さに高さが変更されるように構成されている点にある。
【0015】
すなわち、受け止め体の高さを切り換えるときは着脱部材が常に書籍搬送用トレーに装着されており、受け止め体の高さに関らず書籍搬送用トレーを搬送することで着脱部材も共に搬送されるため、搬送先で受け止め体の高さを変更するときに、この書籍搬送用トレーに装着されていた着脱部材を搬送先に別途搬送することや搬送先で別の着脱部材を用意する必要がないので、受け止め体の高さを変更し易いものとなる。
【0016】
また、書籍を書籍搬送用トレーごと重量測定してピッキング作業が正確に行われたか否かを判別する場合があるが、段積み書籍を支持するべく着脱部材を受け止め体用位置に装着した状態と収納容器を支持するべく着脱部材を支持用位置に装着した状態とで書籍搬送用トレーの重量が変わらないので、重量計測が行い易くなる。
【0017】
本発明にかかる書籍搬送用トレーの第3特徴構成は、第2特徴構成において、前記書籍支持部材が、板状に形成され、前記支持体の一部を構成する板状の介在部材が設けられ、前記支持体が、前記書籍支持部材の後端部の下方に前記介在部材を起立姿勢で介在させて前記書籍用状態に切り換えることにより、前記書籍支持部材を傾斜姿勢としてその上面が前方側ほど下方に位置する傾斜面となり、前記容器用状態では、水平方向に並べた転倒姿勢の前記着脱部材と前記介在部材とを水平姿勢の前記書籍支持部材の上方又は下方に重ねて前記容器用状態に切り換えることにより、上方に位置する部材の上面を水平面となるように構成されている点にある。
【0018】
すなわち、書籍搬送用トレーは、支持体を書籍用状態に切り換えて段積み書籍を載置する状態に切り換えることで、段積み書籍を傾斜面に載置支持させて段積み書籍が崩れることを防止することができながら、支持体を容器用状態に切り換えて収納容器を載置する状態に切り換えることで、収納容器を水平面に載置支持させて水平な姿勢の収納容器に書籍を投入することができる。
【0019】
本発明にかかる書籍搬送用トレーの第4特徴構成は、第2又は第3特徴構成において、前記書籍支持部材が、前記段積み書籍の後端より後方側の箇所に、ピッキング作業の作業内容が示されたピッキング指示書を収納するために下方に凹入する凹入部を形成して構成されている点にある。
【0020】
すなわち、書籍支持部材に凹入部を形成することで、この凹入部にピッキング指示書を収納することができるため、搬送装置にて書籍搬送用トレーを搬送しているときにピッキング指示書に他物が接触しないようにできる。
つまり、例えば、ピッキング指示書を書籍搬送用トレーの側面に貼付した場合では、搬送装置にて搬送している間に書籍搬送用トレーを案内するガイド部材等の他物に接触してピッキング指示書が破損することや書籍搬送用トレーから外れてしまう虞があるが、ピッキング指示書を凹入部に収納することでピッキング指示書に他物が接触しないようにできるため、搬送装置の搬送途中によるピッキング指示書が破損することや書籍搬送用トレーから外れてしまうことを防止することができる。
【0021】
本発明にかかる書籍搬送用トレーの第5特徴構成は、第4特徴構成において、前記書籍支持部材の前記凹入部が、前記段積み書籍の後端より後方側の箇所から前記段積み書籍の後端より前方側の箇所に亘って形成されている点にある。
【0022】
すなわち、ピッキング指示書を収納するための凹入部が、段積み書籍の後端より後方側の箇所から段積み書籍の後端より前方側の箇所に亘って形成されているため、作業者が手作業で段積み書籍を掬い取る場合に、この凹入部に手を差し込んで段積み書籍を掬い取ることができるため、作業者が段積み書籍を持ち上げ易く、書籍搬送用トレーから段積み書籍を移載させ易くなる。
【0023】
また、書籍支持部材の凹入部は、ピッキング指示書を収納するために形成されているものであるから、別途、書籍支持部材に段積み書籍を掬い取るための専用の凹入部を形成する必要がなく、書籍支持部材の構成の簡素化を図ることができる。
【0024】
本発明にかかる書籍搬送用トレーの第6特徴構成は、第4又は第5特徴構成において、前記書籍支持部材の凹入部が、その横幅方向の中央部に形成され、前記着脱部材が、その横幅方向の中央部で2枚の着脱片に分割可能に構成されている点にある。
【0025】
すなわち、着脱部材は、横幅方向の中央部で2枚の着脱片に分割構成されているため、2枚の着脱片を横幅方向の位置関係を維持させた状態で2枚の着脱片を裏返すことで、横幅方向の端部に形成された端部切欠きの位置を横幅方向の中央部に変更させることができる。
よって、このように端部切欠きの位置を中央部に変更させた状態で書籍支持部材と上下に重ねることにより、書籍支持部材の横幅方向の中央部に形成された凹入部と着脱部材の端部切欠きを上下に重ねることができ、支持体を容器用状態に切り換えても、書籍支持部材に形成された凹入部を着脱部材で塞がないようにできるから、容器用状態でのピッキング作業時に、凹入部に収納したピッキング支持書を目視することや凹入部からピッキング指示書を取り出すことを行い易くなる。
【0026】
本発明にかかる書籍搬送用トレーの第7特徴構成は、第2〜第6特徴構成のいずれか1つにおいて、前記着脱部材には、前記受け止め用位置に起立姿勢で装着された状態において、横幅方向の端部から前記段積み書籍の横幅方向の外方側端部より内方側に亘って切り欠かれた端部切欠きが形成され、前記端部切欠きが、前記着脱部材の上端から前記段積み書籍の上端より下方側の箇所に亘って形成されている点にある。
【0027】
すなわち、着脱部材の横幅方向の端部に端部切欠きが形成されているため、ピッキング作業により書籍を支持体に載せるときに書籍が着脱部材に接触し難くなるので、書籍をスムーズに支持体に載せることができる。
よって、書籍搬送用トレーの支持体に書籍を載せるときに着脱部材を避け易いため、ピッキング作業のときに着脱部材が邪魔になり難く、ピッキング作業が行い易くなる。
【0028】
本発明にかかる書籍搬送用トレーの第8特徴構成は、第2〜第7特徴構成のいずれか1つにおいて、前記着脱部材には、前記受け止め用位置に起立姿勢で装着された状態において、その横幅方向の中央部に上端から前記段積み書籍の上端より下方側の箇所に亘って切り欠かれた中央部切欠きが形成されている点にある。
【0029】
すなわち、着脱部材の横幅方向の中央部には中央部切欠きが形成されており、その中央部切欠きが着脱部材の上端から前記段積み書籍の上端より下方側の箇所に亘って切り欠かれているため、この中央部切欠きを利用することで段積み書籍を持ち上げ易くなり、書籍搬送用トレーからの段積み書籍を移載させ易くなる。
【0030】
本発明にかかるピッキング設備は、書籍搬送用トレーをピッキングエリアを経由するように搬送する搬送装置が備えられているものであって、
その第1特徴構成は、前記搬送装置が、前記書籍搬送用トレーをその前後方向に沿って平面視で直線状に搬送する主搬送部と、前記書籍搬送用トレーをその前後方向に沿って平面視で円弧状に搬送する副搬送部とを組み合わせて構成されている点にある。
【0031】
すなわち、搬送装置が、書籍搬送用トレーを平面視で直線状に搬送する主搬送部と、書籍搬送用トレーを平面視で円弧状に搬送する副搬送部とを組み合わせて構成されているため、搬送装置により書籍搬送用トレーの搬送ラインを蛇行させる等により、搬送装置を主搬送部のみで構成する場合に比べて、ピッキング作業の長さが制約されないため、ピッキング作業により扱う書籍の種類を増やし易い。
そして、書籍搬送用トレーに載置された段積み書籍は受け止め体に受け止められてそれとの摩擦力によって横幅方向に荷崩れし難いため、副搬送部において書籍搬送用トレーを円弧状に搬送させて、段積み書籍に対して横幅方向の慣性力が作用しても、段積み書籍の荷崩れを生じさせ難い。
【0032】
従って、搬送装置にて搬送するときに段積み書籍が崩れ難く且つ収納容器への書籍の収納作業を効率良く行える書籍搬送用トレーを搬送する搬送装置が設けられているピッキング設備を提供することができるに至った。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ピッキング設備の平面図
【図2】段積み書籍用形態の書籍搬送用トレーを示す斜視図
【図3】段積み書籍を載置支持した書籍搬送用トレーを示す斜視図
【図4】段積み書籍用形態の書籍搬送用トレーを示す三面図
【図5】収納容器用形態の書籍搬送用トレーを示す斜視図
【図6】収納容器を載置支持した書籍搬送用トレーを示す斜視図
【図7】収納容器用形態の書籍搬送用トレーを示す三面図
【図8】別実施形態における着脱部材を示す図
【図9】別実施形態における着脱部材を示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ピッキング設備は、書籍搬送用トレー1を載置搬送する搬送装置2と、ピッキング対象の書籍を収納する自動倉庫3とを備えて構成されている。自動倉庫3は、その自動倉庫3の長手方向に沿って設定された走行経路を走行するスタッカークレーン4と、走行経路を挟む状態で自動倉庫3の横幅方向の並設された一対の収納棚5とを備えて構成されている。そして、自動倉庫3の両側方にはピッキングエリア6が設定されており、このピッキングエリア6は、自動倉庫3の長手方向に沿って複数区域に区分けされている。
ちなみに、ピッキング設備では、A6サイズの文庫本やB5サイズの雑誌等の様々なサイズの書籍がピッキング対象の書籍として取り扱われ、また、同じサイズの書籍でも様々な厚みの書籍がピッキング対象の書籍として扱われる。
【0035】
搬送装置2は、書籍搬送用トレー1をその前後方向に沿って平面視で直線状に搬送する前後方向搬送部2a(主搬送部に相当)、書籍搬送用トレー1をその横幅方向に沿って平面視で直線状に搬送する横幅方向搬送部2b、書籍搬送用トレー1をその前後方向に沿って平面視で円弧状に搬送する円弧方向搬送部2c(副搬送部に相当)、及び、書籍搬送用トレー1の搬送方向を90°変更する直角方向搬送部2dとを組み合わせて構成されている。そして、自動倉庫3に対してその長手方向の同じ一方側に、書籍搬送用トレー1を投入するトレー投入箇所7と書籍搬送用トレー1を払出すトレー払出箇所8とが設けられており、搬送装置2は、トレー投入箇所7から自動倉庫3の両側のピッキングエリア6を経由してトレー払出箇所8に書籍搬送トレー1を搬送するように、自動倉庫3の周囲を囲むように配設されている。
【0036】
トレー投入箇所7では、トレー投入作業者が、搬送装置2に書籍搬送用トレー1を載せて、予め書籍搬送用トレー1に貼付されているバーコード26をバーコードリーダ(図示せず)にて読み取るようになっている。このバーコード26では書籍搬送用トレー1の個別IDが表わされており、バーコードリーダにてバーコード26を読み取ることで、書籍搬送用トレー1と上位のコントローラの管理情報とが関連付けられて、当該書籍搬送用トレー1に対して行うピッキング作業の作業内容を示したピッキング指示書としての伝票27や、当該書籍搬送用トレー1に載せられた書籍の出荷先を示す宛名紙28が印刷装置(図示せず)にて印刷される。トレー投入作業者は、印刷された伝票27や宛名紙28を書籍搬送用トレー1に備え付けるようになっている。
【0037】
また、書籍搬送用トレー1は、ピッキング作業により載せる書籍を書籍搬送用トレー1上に直接に段積みする段積み書籍用形態(図2及び図3参照)と、折り畳みコンテナやカートンケース等の複数冊の書籍を収納する収納容器9を書籍搬送用トレー1上に載置させておいてピッキング作業により載せる書籍を収納容器9に収納する収納容器用形態(図5及び図6参照)とに切り換え可能に構成されており、トレー投入作業者は、出荷先に応じて書籍搬送用トレー1を段積み書籍用形態又は収納容器用形態に切り換え、収納容器用形態の書籍搬送用トレー1については収納容器9を載せるようになっている。
【0038】
ピッキングエリア6では、ピッキング作業を行うピッキング作業者が、書籍搬送用トレー1に備え付けられた伝票27を見て、書籍搬送用トレー1に載せる書籍がある場合は、該当する書籍を収納棚5から取り出して書籍搬送用トレー1に載せるようになっている。ちなみに、段積み書籍用形態の書籍搬送用トレー1において大型サイズの書籍の上に小型サイズの書籍(大型サイズの書籍の半分以下のサイズの書籍)を段積みする場合は、図3に示すように、大型サイズの書籍の上に小型サイズの書籍を書籍搬送用トレー1の横幅方向に2列に並べた状態で段積みされる場合がある。
【0039】
ピッキングエリア6とトレー払出箇所8との間には、書籍Wが載せられた書籍搬送用トレー1の重量を重量検査装置10にて検査する重量検査箇所11、段積み書籍用形態の書籍搬送用トレー1から段積み書籍Wを降ろして梱包装置12にてビニール梱包する梱包箇所13が設定されており、ピッキングエリア6から搬送されてきた書籍搬送用トレー1は、重量検査箇所11において重量が検査される。その後、段積み書籍用形態の書籍搬送用トレー1は、梱包箇所13において梱包作業者にて書籍搬送用トレー1から段積み書籍Wが降ろされて空の状態でトレー払出箇所8まで搬送される。また、収納容器用形態の書籍搬送用トレー1は、トレー払出箇所8において払出作業者にて書籍搬送用トレー1から収納容器9が降ろされて空の状態となる。トレー払出箇所8における空の状態の書籍搬送用トレー1は、払出作業者にて搬送装置2から降ろされる。
【0040】
トレー払出箇所8で書籍搬送用トレー1から降ろされた収納容器9は、出庫用コンベヤ14に載せられて外部に出庫される。また、梱包箇所13で書籍搬送用トレー1から降ろされた段積み書籍Wは、梱包装置12にてビニール梱包された後、出庫用コンベア14に載せられて外部に出庫される。
【0041】
〔書籍搬送用トレー〕
次に、書籍搬送用トレー1について説明する。尚、書籍搬送用トレー1を説明するにあたり、水平な平坦面に載置させた状態の書籍搬送用トレー1を説明する。
【0042】
図2〜図7に示すように、書籍搬送用トレー1は、平面視矩形状の底板部16dから前壁部16a、後壁部16b及び一対の側壁部16cを立設させたトレー本体16に、書籍支持部材17、着脱部材18及び介在部材19を装着して構成されている。これら書籍支持部材17、着脱部材18及び介在部材19を装着させる位置や姿勢を変更することにより、書籍搬送用トレー1の形態を図2や図3に示す段積み書籍用形態と図5や図6に示す収納容器用形態とに切り換え可能に構成されている。尚、書籍支持部材17と着脱部材18と介在部材19との夫々は板状に形成されている。
【0043】
トレー本体16の前壁部16a、後壁部16b及び一対の側壁部16cは、書籍搬送用トレー1が搬送装置2にて搬送されるときに搬送装置2の載置面から設定高さに設けられたガイド部材(図示せず)に当接案内される高さに形成されている。そして、側壁部16cの前部分は側壁部16cの後部分よりも高く形成されており、その側壁部16cの前部分におけるガイド部材が当接する箇所より上方の箇所の外面側にバーコード26が貼付されている。また、前壁部16aは、側壁部16cの前部分と同じ高さに形成され、後壁部16bは、側壁部16cの後部分と同じ高さに形成されている。そして、前壁部16aは、書籍搬送用トレー1に載置支持された段積み書籍Wや収納容器9の高さより低い高さに形成されている。
【0044】
図2〜図4に示すように、書籍搬送用トレー1を段積み書籍用形態に切り換えた状態では、上面が前方側ほど下方に位置する傾斜面に形成されて当該上面に段積みされた段積み書籍Wを載置支持する支持体21が、傾斜姿勢の書籍支持部材17と鉛直姿勢の介在部材19とで構成され、支持体21の上面に沿って前方側に移動する段積み書籍Wを受け止めるべく支持体21の前方側に立設された受け止め体22が、トレー本体16の鉛直姿勢の前壁部16aと鉛直姿勢の着脱部材18とで構成されている。
また、図5〜図7に示すように、書籍搬送用トレー1を収納容器用形態に切り換えた状態では、収納容器9を載置支持可能に構成された支持体21が、水平姿勢の書籍支持部材17と水平姿勢の介在部材19と水平姿勢の着脱部材18とで構成され、受け止め体22が、トレー本体16の鉛直姿勢の前壁部16aにて構成されている。
【0045】
つまり、トレー本体16の前壁部16aは、受け止め体22の一部を構成し、書籍支持部材17及び介在部材19は、支持体21の一部を構成している。そして、着脱部材18は、受け止め体22の一部として前壁部16aの後方側に隣接する受け止め用位置に鉛直姿勢で装着可能で且つ支持体21の一部として書籍支持部材17と上下方向に重なり且つ介在部材19と前後方向に並ぶ支持用位置に水平姿勢で装着可能に構成されており、装着する位置により受け止め体22の一部又は支持体21の一部を構成している。
【0046】
次に、書籍支持部材17、着脱部材18及び介在部材19について説明を加える。
書籍支持部材17は矩形の板状体から矩形状の切欠き17aを切欠いた形状、着脱部材18は矩形の板状体から矩形状の中央部切欠き18aを切欠いた形状、介在部材19は矩形の板状体に形成されている。そして、書籍支持部材17、着脱部材18及び介在部材19は、横方向の長さが同じ長さに形成され且つ厚みが同じ厚みに形成されている。また、書籍支持部材17、着脱部材18及び介在部材19は、その横方向が書籍搬送用トレー1の横幅方向に沿う姿勢でトレー本体16の一対の側壁部16cの間に装着できるように、横方向の長さが一対の側壁部16cの間隔より僅かに短い長さに形成されている。ちなみに、書籍支持部材17、着脱部材18及び介在部材19は、縦方向が鉛直方向に沿う姿勢とすることで鉛直姿勢となり、縦方向が水平方向に沿う姿勢とすることで水平姿勢となる。
【0047】
図4(a)に示すように、介在部材19の縦方向の長さは、後壁部16bの底板部16dからの高さと同じ長さに形成されており、鉛直姿勢で底板部16d上に立設させることで後壁部16bと同じ高さとなるように形成されている。
【0048】
図4(c)に示すように、着脱部材18の縦方向の長さは、前壁部16aの内方側(後方側)に隣接する位置に立設させた受け止め用位置に鉛直姿勢で装着した状態での支持体21からの高さが支持体21に段積みされた段積み書籍Wより高くなる長さに形成されており、例えば、ピッキング作業にて最も書籍が段積みされた段積み書籍Wとして30cmまで書籍を段積みすることが想定されている場合では、着脱部材18の縦方向の長さは、受け止め用位置に鉛直姿勢で装着した状態での支持体21からの高さが30cmより高くなる長さに形成されている。また、図7(b)に示すように、着脱部材18の縦方向の長さは、支持用位置に水平姿勢で装着した状態で、前壁部16aと後壁部16bとの間に水平姿勢の介在部材19と前後方向に並べることができるように、前壁部16aと後壁部16bとの間隔から介在部材19の縦方向の長さを差し引いた長さより僅かに短い長さに形成されている。
【0049】
図7(a)に示すように、書籍支持部材17の縦方向の長さは、一対の側壁部16cの夫々に内方側に突出する状態で設けられた位置決めピン23と後壁部16bとの間に水平姿勢で装着できるように、位置決めピン23と後壁部16bとの間隔より僅かに短い長さに形成されている。また、図4(a)に示すように、書籍支持部材17の縦方向の長さは、縦方向の一端側を位置決めピン23に当接させた状態で、後壁部16bの内方側(前方側)に隣接する位置に立設させた介在部材19上に他端側を載置できる長さに形成されている。
【0050】
図2及び図4に示すように、位置決めピン23は、側壁部16cの夫々に上下方向に並ぶ状態で一対設けられており、下方側に位置する位置決めピン23にて書籍支持部材17が位置決めされており、一対の位置決めピン23にて受け止め姿勢の着脱部材18が位置決めされている。つまり、一対の位置決めピン23は、前壁部16aから着脱部材18の厚みより僅かに広い間隔を隔てた状態で設けられており、前壁部16aと一対の位置決めピン23との間に着脱部材18を鉛直姿勢で上方から差し込むことで、着脱部材18を受け止め位置で保持して受け止め位置に装着でき、また、受け止め用位置から着脱部材18を上方に引き抜くことで受け止め用位置から離脱できるように構成されている。
【0051】
次に、書籍搬送用トレー1を段積み書籍用形態や収納容器用形態に切り換えるときの支持体21について説明する。
図2〜図4に示すように、支持体21は、着脱部材18を支持用位置から離脱させ且つ書籍支持部材17の縦方向の一端部(前端部)を位置決めピン23に当接させて介在部材19を書籍支持部材17の他端部(後端部)の下方に鉛直姿勢で介在させることで、書籍支持部材17の上面に段積み書籍Wを載置支持する書籍用状態に切り換えることができ、書籍搬送用トレー1を段積み書籍用形態に切り換えるときは支持体21をこの書籍用状態に切り換える。このように支持体21を書籍用状態に切り換えることにより、書籍支持部材17を傾斜姿勢としてその上面が前方側ほど下方に位置する傾斜面となり、この書籍支持部材17の上面が支持体21の上面となって段積み書籍Wが載置支持される。
【0052】
また、図5〜図7に示すように、支持体21は、介在部材19を書籍支持部材17の下方から取り除いて書籍支持部材17を水平姿勢とし、その書籍支持部材17の上に水平姿勢の介在部材19を重ね、書籍支持部材17の上に水平姿勢の着脱部材18を重ねて介在部材19と水平方向に並べて着脱部材18を支持用位置に装着することで、着脱部材18の上面に収納容器9を載置支持する容器用状態に切り換えることができ、書籍搬送用トレー1を収納容器用形態に切り換えるときは支持体21を容器用状態に切り換える。このように容器用状態に切り換えられることにより、着脱部材18の上面が水平面となり、この着脱部材18の上面が支持体21の上面となって収納容器9が載置支持される。
【0053】
次に、書籍搬送用トレー1を段積み書籍用形態や収納容器用形態に切り換えるときの受け止め体22について説明する。
受け止め体22は、支持体21に載置支持された収納容器9の高さ及び段積み書籍Wの高さより高い書籍用高さ(図2〜図4参照)と支持体21に載置支持された収納容器9の高さ及び段積み書籍Wの高さより低い容器用高さ(図5〜図7参照)とに高さを変更可能に構成されており、書籍搬送用トレー1を段積み書籍用形態に切り換えるときは、着脱部材18を受け止め用位置に装着させて受け止め体22の高さを書籍用高さに切り換え、書籍搬送用トレー1を収納容器用形態に切り換えるときは、着脱部材18を受け止め用位置から離脱させて受け止め体22の高さを容器用高さに変更させる。
【0054】
次に、書籍支持部材17に形成された切欠き17aや、着脱部材18に形成された中央部切欠き18aについて説明を加える。
図3及び図4(b)に示すように、書籍支持部材17には、受け止め体22に当接させた状態で支持体21に載置支持された段積み書籍Wの後端より後方側の箇所に切欠き17aが横幅方向の中央部に形成されており、この切欠き17aにより、伝票27や宛名紙28を収納するために下方に凹入する凹入部が形成されている。このときの段積み書籍Wは、例えば、ピッキング対象の最大の書籍がB5サイズの書籍である場合では、B5サイズの書籍を段積みさせたものであり、最大サイズの段積み書籍Wを支持体21上に横向きで前端を着脱部材18に当接させた状態で、当該段積み書籍Wの後端より後方側の箇所に切欠き17aが形成されており、支持体21に最大サイズの段積み書籍Wを載置させた場合でも切欠き17aが塞がれないように構成されている。
【0055】
また、書籍支持部材17の切欠き17aは、その横幅が後方側ほど幅広に形成され、且つ、段積み書籍Wの横幅方向の大きさより幅狭に形成されており、段積み書籍Wを切欠き17aを跨いだ状態で載置支持できるように形成されている。つまり、例えば、図4(b)に示すように、書籍がA6サイズの書籍を段積みした場合では、そのA6サイズの書籍を支持体21上に横向きで前端を着脱部材に当接させた状態において、少なくとも当該段積み書籍Wを支持する部分における切欠き17aの横幅が段積み書籍Wの横幅より幅狭に形成されており、また、書籍がB5サイズの書籍を段積みした場合では、そのB5サイズの書籍を支持体21上に横向きで前端を着脱部材に当接させた状態において、少なくとも当該段積み書籍Wを支持する部分における切欠き17aの横幅が段積み書籍Wの横幅より幅狭に形成されている。
【0056】
そして、図3及び図4(a)に示すように、支持体21を書籍用状態に切り換えた状態では、切欠き17aにより形成される空間に書籍支持部材17と底板部16dとの間に形成される空間を加えたスペースが、伝票27や宛名紙28を収納する収納スペースとして確保されており、図6及び図7(c)に示すように、支持体21を容器用状態に切り換えた状態では、切欠き17aにより形成される空間に着脱部材18の中央部切欠き18aにより形成される空間を加えたスペースが、伝票27や宛名紙28を収納する収納スペースとして確保されている。
【0057】
そして、図4(b)に示すように、書籍支持部材17は、支持体21を書籍用状態に切り換えた状態では、切欠き17aが後方側に位置するように書籍搬送用トレー1に装着されており、書籍支持部材17の切欠き17aは、受け止め体22に当接させた状態で支持体21に載置支持された段積み書籍Wの後端より後方側の箇所から段積み書籍Wの後端より前方側の箇所に亘って形成されている。このときの段積み書籍Wは、例えば、ピッキング対象の最小の書籍がA6サイズの書籍である場合では、A6サイズの書籍を支持体21上に横向きで前端を着脱部材18に当接させた状態で段積みさせた段積み書籍の後端より後方側の箇所から当該段積み書籍Wの後端より前方側の箇所に亘って形成されており、最小サイズの書籍を段積みした段積み書籍でも掬い取ることができるように構成されている。
【0058】
図4(c)に示すように、着脱部材18には、受け止め用位置に装着された状態において、その横幅方向の中央部に上端から段積み書籍Wの上端より下方側の箇所に亘って切り欠かれた中央部切欠き18aが形成されている。この中央部切欠き18aは、例えば、ピッキング作業にて最も書籍が段積みされた段積み書籍Wとして30cmまで書籍を段積みすることが想定されている場合では、支持体21からの高さが30cmより低い高さまで形成されており、後壁部16bと同高さまで形成されている。
【0059】
そして、図5及び図7(b)に示すように、着脱部材18は、支持体21を容器用状態に切り換えた状態では、中央部切欠き18aが後方側に位置するように書籍搬送用トレー1に装着されており、このように書籍搬送用トレー1に装着された状態では、書籍支持部材17の切欠き17aの上方に着脱部材18の中央部切欠き18aが位置して、書籍支持部材17の切欠き17aの全てを着脱部材18にて塞がないようになっている。
【0060】
書籍支持部材17、着脱部材18や介在部材19は、木材等の静電気が発生し難い材質にて構成されており、トレー本体16は、木材よりも硬質な金属材等の削れ難い材質にて構成されている。
【0061】
このように、書籍搬送用トレー1は、段積み書籍用形態と収納容器用形態とに切り換え可能に構成されており、図2〜図4に示すように、書籍搬送用トレー1を段積み書籍用形態に切り換えた状態では、支持体21が傾斜姿勢となり且つ受け止め体22が書籍用高さとなることで、支持体21に載置支持した段積み書籍Wを受け止め体22に押し当てて段積み書籍Wが崩れないようにできながら、図5〜図7に示すように、書籍搬送用トレー1を収納容器用形態に切り換えた状態では、支持体21が水平姿勢となり且つ受け止め体22が容器用高さとなることで、支持体21に載置支持した収納容器9を安定よく支持しながら収納容器9に書籍を収納させ易いものとなっている。
【0062】
〔別実施形態〕
(1) 図8に示すように、着脱部材18に、受け止め用位置に起立姿勢で装着された状態において、横幅方向の端部から段積み書籍Wの横幅方向の外方側端部より内方側に亘って切り欠かれた端部切欠き18bを形成し、その端部切欠き18bを、着脱部材18の上端から段積み書籍Wの上端より下方側の箇所に亘って形成してもよい。つまり、着脱部材18に、中央部切欠き18aに加えて端部切欠き18bを形成してもよい。また、着脱部材18に、中央部切欠き18aを形成せずに端部切欠き18bのみを形成してもよい。
【0063】
そして、着脱部材18に端部切欠き18bを形成した場合、着脱部材18を、その横幅方向の中央部で2枚の着脱片18A,18Bに分割可能に構成してもよく、このように構成することで、図9(a)に示すように、2枚の着脱片18A,18Bの横幅方向の位置関係を維持させた状態で2枚の着脱片18A,18Bを裏返すことで、端部切欠き18bの位置を横幅方向の中央部に位置変更させることができる。そして、この状態で着脱部材18を支持用位置に装着することで、書籍支持部材17の切欠き17aの上方に着脱部材18の端部切欠き18bが位置するように構成されている。
【0064】
つまり、上述の如く端部切欠き18bを着脱部材18の横幅方向の中央部に位置変更させることで、中央部切欠き18aを形成せずに端部切欠き18bのみを形成した場合でも着脱部材18にて書籍支持部材17の切欠き17aの全てを塞がないようにでき、また、図8に示すように、中央部切欠き18aに加えて端部切欠き18bを形成した場合でも、着脱部材18の横幅方向の両端に形成した端部切欠き18bの横幅の合計(L2×2)が中央部切欠き18aの横幅(L1×2)より幅広の場合では、端部切欠き18bを中央部に位置変更させることで、書籍支持部材17の切欠き17aの上方に横幅方向に幅広な切欠きを位置させることができる。
ちなみに、着脱部材18を2枚の着脱片18A,18Bで構成した場合、底板部16dから上方に突出する状態で位置決めピン23を設けることで、着脱部材18(2枚の着脱片18A,18B)を受け止め位置で保持することができる。
【0065】
(2) 上記実施形態では、書籍支持部材17に凹入部17aを形成したが、ピッキング指示書を書籍支持部材17上に置く又はトレー本体16の側壁部16cに貼付することや、ピッキング指示書を用いずにピッキング作業の作業内容をピッキングエリア6のモニタに表示させる等により、ピッキング指示書を収納するスペースが必要ない場合は、書籍支持部材17に凹入部17aを形成しなくてもよい。
また、書籍支持部材17に凹入部17aを形成する場合でも、段積み書籍Wの後端より後方側の箇所から段積み書籍Wの後端より前方側の箇所に亘って凹入部17aを形成するのではなく、段積み書籍Wの後端より後方側の箇所のみに凹入部17aを形成してもよい。また、書籍支持部材17の凹入部17aを、書籍支持部材17における横幅方向の端部に形成してもよい。
【0066】
(3) 上記実施形態では、着脱部材18を着脱することで、受け止め体22を書籍用高さと容器用高さとに高さを変更するように構成したが、例えば、受け止め体22を上部分と下部分との2分割構成として、上部分を上下方向にスライド移動させることにより受け止め体22を書籍用高さと容器用高さとに高さを変更させる等、受け止め体22を書籍用高さと容器用高さとに高さを変更させる構成は適宜変更可能である。
【0067】
(4) 上記実施形態では、着脱部材18を支持用位置に装着して支持体21を容器用状態に切り換えるように構成したが、着脱部材18を支持用位置に装着することなく支持体21を容器用状態としてもよい。つまり、例えば、支持体21の書籍用状態と容器用状態とを同じ状態としてもよく、また、介在部材19を書籍搬送用トレー1から取り外し且つ書籍支持部材17の姿勢を傾斜姿勢から水平姿勢に姿勢変更させることで支持体21を書籍用状態から容器用状態に切り換えるようにしてもよい。
【0068】
(5) 上記実施形態では、起立姿勢の着脱部材18を鉛直姿勢としたが、起立姿勢の着脱部材18として、上方側ほど前方側に位置する傾斜姿勢として鉛直姿勢から前方側に数度傾けた姿勢としてもよい。
【0069】
(6) 上記実施形態では、受け止め体22の書籍用高さの高さや着脱部材18の中央部切欠き18a及び端部切欠き18bの下方側への切欠き量を、ピッキング作業にて最も高く段積みされた段積み書籍Wの高さに基づいて設定したが、ピッキング作業にて段積みされる平均的な高さの段積み書籍Wや、ピッキング作業にて段積みされる頻度が高い高さの段積み書籍W等、他の高さの段積み書籍Wに基づいて設定してもよい。
また、同様に、書籍支持部材17の凹入部17aや着脱部材18の中央部切欠き18a及び端部切欠き18bを、ピッキング作業にて扱われる平均的なサイズの段積み書籍Wや、ピッキング作業にて扱われる頻度が高いサイズの段積み書籍W等、他のサイズの段積み書籍Wに基づいて設定してもよい。
【0070】
(7) 上記実施形態では、着脱部材18の受け止め用位置を、容器受け止め部材の内方側(前方側)に隣接する位置としたが、着脱部材18の受け止め用位置を、容器受け止め部材の上方に隣接する位置としてもよく、このように着脱部材18を受け止め用位置に装着する場合は容器受止部材18の上端に着脱部材18の下端を接続することが考えられる。
【0071】
(8) 上記実施形態では、搬送装置2を、書籍搬送用トレー1をその前後方向に沿って直線状に搬送する主搬送部と、書籍搬送用トレー1をその前後方向に沿って円弧状に搬送する副搬送部とを組み合わせて構成したが、搬送装置2を、主搬送部のみで構成してもよい。
また、主搬送部において、書籍搬送用トレー1をその前方側が搬送下手側に位置する状態で書籍搬送用トレー1をその前後方向に沿って直線状に搬送したが、主搬送部において、書籍搬送用トレー1をその後方側が搬送下手側に位置する状態で書籍搬送用トレー1をその前後方向に沿って直線状に搬送してもよく、また、主搬送部において、書籍搬送用トレー1をその横幅方向に沿って直線状に搬送してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 書籍搬送用トレー
2 搬送装置
2a 主搬送部
2c 副搬送部
6 ピッキングエリア
9 収納容器
16a 容器受け止め部材
17 書籍支持部材
17a 凹入部
18 着脱部材
18a 中央部切欠き
18b 端部切欠き
19 介在部材
21 支持体
22 受け止め体
W 段積み書籍


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置にて搬送されてピッキング作業により複数冊の書籍が段積みされる書籍搬送用トレーであって、
上面が前方側ほど下方に位置する傾斜面に形成されて当該上面に段積みされた段積み書籍を載置支持する支持体と、
前記上面に沿って前方側に移動する前記段積み書籍を受け止めるべく前記支持体の前方側に立設された受け止め体とが設けられ、
前記支持体が、複数冊の書籍を収納する収納容器を載置支持可能に構成され、
前記受け止め体が、前記支持体に載置支持された前記収納容器の高さ及び前記段積み書籍の高さより高い書籍用高さと前記支持体に載置支持された前記収納容器の高さ及び前記段積み書籍の高さより低い容器用高さとに高さを変更可能に構成されている書籍搬送用トレー。
【請求項2】
上面が前方側ほど下方に位置する傾斜面に形成されて前記支持体の一部を構成する書籍支持部材と、
前記支持体の前方側に前記容器用高さで位置して前記受け止め体の一部を構成する容器受け止め部材と、
前記受け止め体の一部として前記容器受け止め部材に隣接する受け止め用位置に起立姿勢で装着可能で且つ前記支持体の一部として前記書籍支持部材と上下に重なる支持用位置に倒状姿勢で装着可能に構成された板状の着脱部材とが設けられ、
前記支持体が、前記着脱部材を前記支持用位置から離脱させた状態で前記書籍支持部材の上面に前記段積み書籍を載置支持する書籍用状態と、前記着脱部材を前記支持用位置に装着した状態で前記書籍支持部材又は前記着脱部材のうちの上方に位置する部材の上面に前記収納容器を載置支持する容器用状態とに切り換え自在に構成され、
前記受け止め体が、前記着脱部材を前記受け止め用位置に装着させることで前記書籍用高さに高さが変更され、且つ、前記着脱部材を前記受け止め用位置から離脱させることで前記容器用高さに高さが変更されるように構成されている請求項1記載の書籍搬送用トレー。
【請求項3】
前記書籍支持部材が、板状に形成され、
前記支持体の一部を構成する板状の介在部材が設けられ、
前記支持体が、前記書籍支持部材の後端部の下方に前記介在部材を起立姿勢で介在させて前記書籍用状態に切り換えることにより、前記書籍支持部材を傾斜姿勢としてその上面が前方側ほど下方に位置する傾斜面となり、水平方向に並べた転倒姿勢の前記着脱部材と前記介在部材とを水平姿勢の前記書籍支持部材の上方又は下方に重ねて前記容器用状態に切り換えることにより、上方に位置する部材の上面を水平面となるように構成されている請求項2記載の書籍搬送用トレー。
【請求項4】
前記書籍支持部材が、前記段積み書籍の後端より後方側の箇所に、ピッキング作業の作業内容が示されたピッキング指示書を収納するために下方に凹入する凹入部を形成して構成されている請求項2又は3記載の書籍搬送用トレー。
【請求項5】
前記書籍支持部材の前記凹入部が、前記段積み書籍の後端より後方側の箇所から前記段積み書籍の後端より前方側の箇所に亘って形成されている請求項4記載の書籍搬送用トレー。
【請求項6】
前記書籍支持部材の凹入部が、その横幅方向の中央部に形成され、
前記着脱部材が、その横幅方向の中央部で2枚の着脱片に分割可能に構成されている請求項4又は5記載の書籍搬送用トレー。
【請求項7】
前記着脱部材には、前記受け止め用位置に起立姿勢で装着された状態において、横幅方向の端部から前記段積み書籍の横幅方向の外方側端部より内方側に亘って切り欠かれた端部切欠きが形成され、
前記端部切欠きが、前記着脱部材の上端から前記段積み書籍の上端より下方側の箇所に亘って形成されている請求項2〜6のいずれか1項に記載の書籍搬送用トレー。
【請求項8】
前記着脱部材には、前記受け止め用位置に起立姿勢で装着された状態において、その横幅方向の中央部に上端から前記段積み書籍の上端より下方側の箇所に亘って切り欠かれた中央部切欠きが形成されている請求項2〜7のいずれか1項に記載の書籍搬送用トレー。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の書籍搬送用トレーをピッキングエリアを経由するように搬送する搬送装置が備えられているピッキング設備であって、
前記搬送装置が、前記書籍搬送用トレーをその前後方向に沿って平面視で直線状に搬送する主搬送部と、前記書籍搬送用トレーをその前後方向に沿って平面視で円弧状に搬送する副搬送部とを組み合わせて構成されているピッキング設備。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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