説明

最小アクセス処置のための挿入可能装置およびシステム

本発明は、最小侵襲性外科的処置に関連して、対象部位へのアクセスを提供するために、被検者の腹腔などの管腔あるいは中空空間を有する構造体内に挿入されて、一時的に配置されるかあるいは移植されることができる、システムおよび単一あるいは多機能エレメント装置を提供する。挿入可能装置は、機能エレメントが、処置の指令に応じて複数のおよび異なる向き/視野から部位へのアクセスを提供するため、例えば、部位の複数の選択可能な画像を提供するため、また対象部位の立体的な画像を提供するため、該機能エレメントまたはエレメントを方向付けることに関する移動の様々な自由度を有するように、構成されていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最小侵襲性外科的処置のような最小あるいは限定アクセス処置に関して使用するためのシステムおよび装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば腹腔鏡の処置などの最小侵襲性外科的処置は、患者の回復時間を激減させる。しかしながら、減少した回復時間は、外科医の観点からは外科的処置の複雑さの増大に対応することになる。これは部分的には、例えば直径約10mmの相対的に小さな独特の切開によるものであり、これを通して外科医が手術部位にアクセスして最小侵襲性手術を施す。外科医は、切開を通過するのに十分に小さな器具をリモート操作しなければならず、また小さな切開を通して手術部位を見なければならないため、限定されたアクセスが、外科的処置の複雑さを増大させる。
【0003】
最小アクセス外科的処置のための手術部位の画像を提供するイメージングシステムは、特許文献1に開示された内視鏡のような、例えば光学レンズと外部ビデオカメラおよびモニターにイメージを送るライトガイドとを含む管状器具とされる内視鏡を一般に含んでいる。しかしながら、内視鏡は、欠点を有している。例えば、外科医は、処置で使用される鉗子、鋏、凝固剤/焼灼剤プローブなどの他の器具を操作するのに通常は両手を使用するため、アシスタントが、処置中に画像を調節するために、内視鏡を保持して方向付けることが必要となる。最近では、最小侵襲性外科的処置中に内視鏡を方向付ける作業を自動化するため、「Automated Endoscopic System for Optimal Positioning (AESOP)」のようなロボット工学が導入されている。AESOPは、内視鏡を方向付けるため、音声指示によって命令されるロボットアームを使用する。AESOPがアシスタントの負荷を減らしてより安定した画像を提供する一方で、AESOPのために必要な設備は、複雑であって手術室フロアの大部分を占める。
【0004】
挿入ポイントに直接配置することが可能な小さくて簡略なロボット内視鏡マニピュレータが、「Institut National de Recherche en Informatique et en Automatiqueinria (INRIA)」において開発された。しかしながら、INRIAシステムは、他のロボットシステムと同様に、手術部位にアクセスするために内視鏡および他の器具を通過させる腹壁において、支点に関する限定された有効可動域を扱うことができない。限定された可動域は、器具を手術部位へ方向付けることができる自由度に関する限定となる。
【0005】
参照によって本明細書に組み込まれる特許文献2に開示されたアクティブ内視鏡のような、一般にカメラが取り付けられたマルチリンクロボットアームからなるアクティブあるいはハイパー内視鏡システムが提案されており、内視鏡カメラを方向付けることに関してさらなる自由を提供する。しかしながら、これらのシステムは、手術部位に内視鏡をアクセスさせるための専用の切開を必要とし、また、一般に、外科的処置で使用された場合に安全性の観点が問題となる、ハイパー内視鏡を操作するのに必要なアクチュエータを動作させるための相対的に高い電圧を必要とする。特許文献3および4に開示された錠剤型カメラのような、結腸鏡が到達できない小腸のイメージングセクションのための錠剤型カメラも採用されている。しかしながら、錠剤型カメラは、カメラを方向付けるための手段を一般に含んでおらず、それどころか、錠剤型カメラは、カメラの方向付けを単に蠕動に依存しているのみである。
【特許文献1】米国特許第4,651,201号明細書
【特許文献2】特開2000−175865号公報
【特許文献3】米国特許第5,604,531号明細書
【特許文献4】米国特許第6,428,469号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、最小アクセス処置のためのシステムおよび装置であって、器具を保持して方向付けることをアシスタントに要求せず、また、対象部位の方へ器具を方向付けることに関して、内視鏡あるいは他の器具に提供されるよりも、さらなるあるいはより大きな自由を提供する最小アクセス処置のためのシステムおよび装置の要求が存在している。また、最小アクセス処置のためのシステムおよび装置であって、対象部位の方へ器具を方向付けることに関して、アクティブあるいはハイパー内視鏡に提供されるよりも、さらなるあるいはより大きな自由を提供し、器具のための部位内に専用のアクセス切開を必要としない最小アクセス処置のためのシステムおよび装置の要求も存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一般に、管腔あるいは中空空間を有する構造体に挿入されて一時的に配置されるかあるいは移植されうる、単一あるいは多機能エレメント挿入可能装置を提供する。構造体の管腔内に一旦挿入されると、装置は、対象部位の近くで、被検者の腹壁の内部などの構造体の内部に取り外し可能に取り付けられるかあるいは固定され、1つまたは複数の機能エレメントが、好ましくは対象領域を見下ろすように、対象部位に方向付けられる。本発明の挿入可能および移植可能な特色は、外科医が腹壁上で異なる位置に装置を移動させるという、他の器具と同様に内視鏡に関連する挿入ポイントの不具合に関する限定された運動を不要にする。さらに、挿入可能および挿入可能な特色は、外科医が、単一の切開を通して複数の装置を構造体の管腔内に挿入して、それによって最小の切開で部位へのアクセスを向上させることができる。本発明が最小侵襲性外科的処置に関する一例として説明されるが、本発明は、様々な他の機能だけではなく管腔を有する多数の構造体のイメージを提供するためにも等しく適用でき、したがってそれに限定されないことが理解される。イメージングは、ここでは、手術部位のビデオイメージを生じさせることなど、部位のイメージを生じさせることに関連するものであることを一般に示すために使用されている。
【0008】
本発明はさらに、機能エレメントを方向付けることに関する移動の様々な自由度を有するかあるいは示すように構成された、1つ以上の機能エレメントを有する挿入可能装置を提供する。1つ以上の機能エレメントがカメラエレメントである場合、装置は、標準の内視鏡カメラによって提供されるよりも、手術部位のより広い視野を提供する。そのうえ、そのように構成された挿入可能装置はさらに、処置の指定に応じて管腔内で複数のおよび異なる向きあるいは視野からの対象部位へのアクセスを提供し、内視鏡に関連する挿入のポイントの不具合に関する限定された可動性を不要にする。本発明の複数カメラエレメントの実施例において、イメージング装置は、部位の複数の選択可能な画像を提供し、従来のビデオモニターでは失われている奥行きの感知を再現するために、手術部位の立体画像を提供する立体的イメージングシステムと関連して使用されてもよい。
【0009】
したがって、本発明の1つの特色において、管腔を有する構造体に挿入可能な装置が、第1のハウジングと、第1のハウジングに接続される少なくとも1つの機能エレメントであって、最小アクセス処置中に使用するための機能エレメントと、管腔を有する構造体の壁上にあるいは壁に対して挿入可能装置を取り外し可能に固定するための固定エレメントと、を含むものとして提供される。1つの実施例において、少なくとも1つの機能エレメントは、第1のハウジングに移動可能に接続され、装置は、第1のハウジングおよび機能エレメントに接続された少なくとも1つの作動エレメントを含んでいる。作動エレメントは、一般に、少なくとも1つの自由度でハウジングに対して機能エレメントを移動させることができる。固定エレメントは、装置の長手軸線とほぼ位置合わせされてイメージング装置から突出する針や、マグネット、クランプ、粘着剤などであってもよい。1つの実施例において、挿入可能装置は、最小アクセス外科的処置に関連して使用するために構成されている。この場合、固定エレメントは、装置の長手軸線とほぼ位置合わせされて挿入可能装置から突出する針を含んでいる。挿入可能装置は、針を腹壁の組織に挿入することにより、被検者の腹壁に対して取り外し可能に固定されることができる。
【0010】
機能エレメントは、所望の機能に応じて変化してもよく、カメラエレメント、ライトエレメント、レーザーエレメントなどを含んでいる。1つの実施例において、機能エレメントは、CMOSイメージングセンサあるいはCCDイメージセンサのようなカメラエレメントを含んでいる。他の実施例において、機能エレメントは、レンズと、レンズを受け入れるとともに焦点調整部を収容するネジ山を内部に有したレンズハウジング内に取り付けられたCCDイメージセンサと、を含むカメラエレメントである。
【0011】
1つの実施例において、少なくとも1つの機能エレメントが、第1のハウジングに移動可能に接続され、装置が、第1のハウジングおよび機能エレメントに接続された少なくとも1つの作動エレメントを含んでいる。この場合、作動エレメントは、カメラエレメントを少なくとも1つの自由度で第1のハウジングに対して移動させることができ、該少なくとも1つの自由度は、長手軸線に対してほぼ直角の第1の回転自由度と、長手軸線とほぼ一直線に並ぶ第2の回転自由度と、長手軸線とほぼ一直線に並ぶ第3の並進自由度と、からなるグループから選択されている。
【0012】
他の実施例において、少なくとも1つの機能エレメントは、第1のハウジングに移動可能に接続された複数のカメラエレメントであり、装置は、第1のハウジングおよびカメラエレメントに接続された複数の作動エレメントを含んでいる。この場合、作動エレメントは、カメラエレメントのそれぞれを、上述したグループから選択された少なくとも1つの自由度で第1のハウジングに対して移動させることができる。
【0013】
他の実施例において、少なくとも1つの機能エレメントは、第1のハウジングに移動可能に接続され、装置は、第1のハウジングおよび機能エレメントに接続された少なくとも1つの作動エレメントを含んでいる。この場合、作動エレメントは、カメラエレメントを長手軸線に対してほぼ直角の第1の回転自由度でハウジングに対して移動させることができ、機能エレメントが第1のハウジング内に引き込まれかつ第1のハウジングから引き出されることを許容する。作動エレメントは、回転移動を生じさせるモータであってもよく、モータによって生じる回転移動を、長手軸線に対してほぼ直角の方向に変換あるいは方向付けし直すように、ベベルスクリューあるいはウォームギヤ組立体などで機能エレメントに連結している。
【0014】
他の実施例において、挿入可能装置は、第1のハウジングに回転可能に取り付けられた第2のハウジングと、第1および第2のハウジングに接続された少なくとも1つの作動エレメントと、を含んでいる。この場合、作動エレメントは、機能エレメントを第2の回転自由度でハウジングに対して移動させることができ、第2の回転自由度は、長手軸線とほぼ一直線に並び、第1のハウジングを第2のハウジングに対して回転させる。
【0015】
他の実施例において、少なくとも1つの機能エレメントは、第1のハウジングに移動可能に接続され、装置は、第1のハウジングおよび機能エレメントに接続された少なくとも1つの作動エレメントを含んでいる。この場合、作動エレメントは、機能エレメントを第3の長手方向自由度で第1のハウジングに対して移動させることができ、第3の長手方向自由度は、長手軸線とほぼ一直線に並び、機能エレメントが第3の自由度に沿って並進することを許容する。
【0016】
第3の長手方向自由度における移動は、長手軸線に沿って移動可能なシャトルに取り付けられた機能エレメントで得られていてもよい。作動エレメントは、親ネジに接続されて回転移動を生じさせるモータであってもよく、該親ネジは、モータの回転移動を長手軸線に沿ったシャトルの長手方向の移動に変換するように、シャトルのネジ付き部分に連結している。そのような移動はまた、複数の機能エレメントと、回転移動を生じさせる対応する数のモータと、対応する数のシャトルと、によって得られていてもよく、各機能エレメントは、長手軸線に沿って移動可能なシャトルに取り付けられている。この場合、各シャトルは、ネジ付き部分およびホールを含み、親ネジに接続された各モータは、モータの回転移動を長手軸線に沿ったシャトルの長手方向の移動に変換するように、シャトルの1つのネジ付き部分に連結し、各親ネジは、もう一つのシャトルのホールを通過して、他のシャトルのためのガイドを提供する。各シャトルは、それに取り付けられ、機能エレメントを第1の回転自由度でハウジングに対して移動させることができる少なくとも1つの作動エレメントを含んでいてもよく、第1の回転自由度は、長手軸線に対してほぼ直角であり、機能エレメントが第1のハウジング内に引き込まれかつ第1のハウジングから引き出されることを許容する。1つの実施例において、複数の作動エレメントは、互いに独立して機能エレメントのそれぞれを移動させることができる。また、並進移動は、リニアレール/アクチュエータシステムで達成されていてもよい。
【0017】
他の実施例において、挿入可能装置は、第1のハウジングに回転可能に取り付けられた第2のハウジングと、第1および第2のハウジングに接続された少なくとも1つの作動エレメントと、を備えている。この場合、作動エレメントは、第1のハウジングを第2のハウジングに対して回転させることができ、各ハウジングは、互いに位置合わせ可能なアクセス開口部を有していて、第1のハウジングが、機能エレメントをカバーするように回転され、かつ、機能エレメントを露出させるためにアクセス開口部を位置合わせするように回転されてもよい。
【0018】
本発明の他の特色において、関連する長手軸線を有した挿入可能装置が、第1のハウジングと、第1のハウジングに回転可能に接続された第2のハウジングと、第1のハウジングに移動可能に接続されたイメージセンサを有する少なくとも1つのカメラエレメントと、第1のハウジングおよびカメラエレメントに接続された少なくとも1つの作動エレメントと、管腔を有する構造体の壁上にあるいは壁に対してイメージング装置を取り外し可能に固定するための、第2のハウジングに関連する固定エレメントと、を含むものとして提供される。作動エレメントは、カメラエレメントを少なくとも1つの自由度でハウジングに対して移動させることができ、該少なくとも1つの自由度は、長手軸線に対してほぼ直角の第1の回転自由度と、長手軸線とほぼ一直線に並ぶ第2の回転自由度と、長手軸線とほぼ一直線に並ぶ第3の長手方向自由度と、からなるグループから選択されている。
【0019】
本発明の他の特色において、関連する長手軸線を有した挿入可能装置が、第1のハウジングと、第1のハウジングに回転可能に接続された第2のハウジングと、第1のハウジングに移動可能に接続されたイメージセンサをそれぞれ有する複数のカメラエレメントと、第1のハウジングおよび第2のハウジングに接続された少なくとも1つの作動エレメントであって、第1のハウジングを第2のハウジングに対して回転させることができる作動エレメントと、カメラエレメントのそれぞれに接続された少なくとも1つの作動エレメントであって、カメラエレメントを第1の回転自由度で第1のハウジングに対して移動させることができ、第1の回転自由度は、長手軸線に対してほぼ直角であるように構成された作動エレメントと、管腔を有する構造体の壁上にあるいは壁に対してイメージング装置を取り外し可能に固定するための、第2のハウジングに関連する固定エレメントと、を含むものとして提供される。
【0020】
本発明の他の特色において、管腔を有する構造体に挿入可能な少なくとも1つの装置に通信接続された駆動装置を含む最小アクセスシステムは、装置が、最小アクセス処置中に使用するための、関連する少なくとも1つの機能エレメントと、管腔を有する構造体の壁に対して挿入可能装置を固定するための少なくとも1つの固定エレメントと、を含むものとして提供される。1つの実施例において、挿入可能装置は、少なくとも1つの自由度で機能エレメントを移動させることができる少なくとも1つの作動エレメントを含み、駆動装置は、機能エレメントの移動をリモート制御するために駆動信号を供給する。
【0021】
駆動装置は、挿入可能装置のハイブリッド制御を提供するように構成され、駆動装置が、少なくとも1つの自由度で機能エレメント移動を独立して制御するようにしてもよい。例えば、機能エレメントがカメラエレメントであり、異なる視野から対象部位のイメージを得るため、少なくとも1つの自由度でカメラエレメント移動をユーザーが制御する間に、駆動装置が、ユーザーが認識した目的物を視野内に維持するようにカメラエレメント移動を独立して制御するようにしてもよい。さらに、少なくとも1つの機能エレメントが複数のカメラエレメントであり、駆動装置が、対象部位の立体的イメージを生成するか、あるいは、自動のよせ運動アルゴリズムに基づいてリアルタイムに対象部位の立体イメージを生成するように、カメラエレメントの移動を独立して制御してもよい。
【0022】
本発明のさらなる特色は、以下の説明を考慮すると明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の1つの特色において、単一あるいは多機能エレメント、挿入可能装置が提供され、これは、管腔あるいは中空空間を有する構造体内に挿入されて、一時的に配置されるかあるいは移植されることができる。管腔を有する構造体は、被検者の心臓、肺、食道、胃、腸、胸腔、腹腔、血管などの被検者の解剖学的構造体であってもよいし、タンク、パイプ、限られた空間、室などの非解剖学的構造体であってもよい。1つの実施例において、本発明は、腹腔鏡処置のような最小侵襲性外科的処置に関連する使用のための手術部位のイメージを提供するため、被検者の腹腔内に挿入されて一時的に移植されるように構成されている。被検者は、両生類、鳥類、魚類、哺乳類、および有袋類を含むどんな動物であってもよい。
【0024】
図1および2を参照すると、本発明の挿入可能装置100は、第1のハウジング102と、管腔を有する構造体の壁上にあるいは壁に対して該装置を取り外し可能に固定する、例えば取り付けたり保持したりするための固定エレメント104と、を一般に含んでおり、少なくとも1つの機能エレメント106がハウジングに移動可能に取り付けられ、少なくとも1つの作動エレメント108が、機能エレメントをハウジングに関して動かしたり移動させたりするために第1のハウジングに接続されている。機能エレメントは、一般に、最小アクセス処置に関して望ましい機能を提供する器具あるいは装置である。例えば、機能エレメント106は、カメラエレメント、ライトエレメント、レーザーエレメントなどであってもよい。装置100は、第1のハウジング102に移動可能に接続された第2のハウジング112をさらに含んでいてもよく、以下でより詳細に説明する。
【0025】
1つの実施例において、挿入可能装置は、外科的用途のために構成されている。この場合、固定エレメント104は、ペンのポケットクリップと同様に、挿入可能装置100から、例えば第1あるいは第2の細長いハウジング102,112から、長手軸線120と略平行な向きあるいは略一直線に並ぶ向きに突出する針110であってもよく、針110は、装置100を腹壁に固定するために腹壁の筋肉層の下の内脂肪組織に挿入されてもよい。針の寸法は変化してもよいことが理解されるが、この寸法は、組織内へ挿入されたときの針によって生成される貫通あるいは切開のサイズを制限して、貫通あるいは切開が手術後に相対的に速く回復することができるように、限定されていてもよい。1つの実施例において、針110は、矩形断面を有し、約1mm×約3mmの寸法に限定されている。固定エレメント104は、代わりに、マグネットであってもよいし、腹壁に対して装置を保持するために本体の外側に配置された対応するマグネットを有する腹壁に、挿入可能装置を取り外し可能に固定するのに使用される、マグネットに引きつけられる物質であってもよいし、クランプ、粘着性物質などであってもよい。固定エレメント104のタイプおよび構造は、装置が適合されるさらなる特定の用途に応じて変化してもよい。
【0026】
機能エレメント106がカメラエレメントである場合、挿入可能装置100のために適合されたカメラシステムのタイプは同様に変化してもよいが、最小アクセス処置、例えば最小アクセスイメージングのための装置の使用を容易にするため、装置100のために選択されたカメラシステムは、管腔を有する構造体内へのアクセスをもたらす開口部の寸法によって指定される、装置100のコンパクトな寸法に適合しなければならない。最小侵襲性外科的処置に関連した使用のために装置100が構成されている場合、例えば、装置100の寸法は、一般に部位へのアクセスを提供するポートあるいはトロカールのサイズによって指定され、例えばポートは直径約20mmである。装置100のカメラ部分に関するコンパクトなサイズは、互いに離れて配置された相対的にコンパクトなエレメントからなる、例えばCMOSあるいはCCDセンサチップベースのカメラで得られてもよい。1つの実施例において、カメラは、リモートCCDイメージあるいはCMOSイメージセンサ組立体のようなリモートカメラエレメントを有するチップベースのカメラであり、手術部位に導入されるカメラのイメージ感知部分が残りのカメラ回路に関して可動となっている。他の実施例において、カメラは、長さ17mmの駆動基板に略垂直に取り付けられた周囲8mmのCCDカラーイメージセンサを含み、駆動基板は、挿入可能装置100から離れたカメラ制御ユニット(CCU)に電気的に接続されている。
【0027】
圧電アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、ソレノイド、形状記憶合金アクチュエータ、リニアモータ、回転移動を生じさせるモータ、リニア移動をもたらすように適合された回転移動を生じさせるモータなどのような、ハウジングに関して機能エレメントを移動させるための作動エレメント108あるいはアクチュエータの様々なタイプおよび数は、機能エレメント106の移動に関する望ましい自由度を達成するために使用されていてもよい。作動エレメント108のタイプと作動エレメント108の数とは、挿入可能装置100の設計制約、例えば、アクセスポートあるいは開口部のサイズによって指定される寸法、1つまたは複数の機能エレメント106が移動されることになる自由度、機能エレメントの数などに応じて変化するであろう。1つの実施例において、作動エレメント108のうちの少なくとも1つは、機能エレメント106を望ましく移動させるために、十分なトルクを生じさせるブラシレスDCモータを備えている。DCモータはさらに、親ネジに接続されていてもよく、該親ネジは、回転されたときに親ネジの軸線に沿った両方の方向にシャトルあるいはキャリッジ135を並進させることができ、リニア運動を生じさせ、かつモータによって生じる回転移動をベベルスクリューあるいはウォームギヤ組立体で方向付けし直す。1つの実施例において、モータは、6ボルト続いており、長さ約27mmであり、約5mmの直径を有している。
【0028】
少なくとも1つの実施例において、装置100は、1つ以上の機能エレメント106の移動に関して様々な自由度を提供するように構成されている。ここでは一般に、自由度が、装置100の長手軸線120に関して示されている。また、様々な自由度がイメージ平面に関して示されていてもよく、例えば、一般にはイメージ平面を通る垂直軸線に関する回転、イメージ平面を通る水平軸線に関する傾斜、および光軸に関する回転として、パンが行われてもよい。例えば、装置100の長手軸線120に対して略直角の第1の回転自由度130は、1つまたは複数のエレメント106がハウジング102に引き込まれたりハウジング102から引き出されたりすることを許容し、さらに、1つまたは複数のエレメント106、例えば1つまたは複数のカメラが、図8と図9との間で示されているように、第1の自由度130に沿ってパンすることを許容する。長手軸線120と略平行あるいは一直線に並ぶ第2の回転自由度140は、1つまたは複数のエレメント106が第2の自由度140に沿って傾斜することを許容する。長手軸線120と略平行あるいは一直線に並ぶ第3の長手方向自由度150は、1つまたは複数のエレメント106が第3の自由度150に沿って並進することを許容する。複数の機能エレメント装置の場合、複数のエレメント106は、独立してあるいは同時に、第1および第3の自由度130,150において、相前後して第2の自由度140において、回転および/または移動されてもよい。この特定の特徴は、例えば、複数のエレメント106が立体的なイメージングのために使用されるカメラエレメントである場合に適している。他の例において、複数の機能エレメント106は、互いに独立していてもよく、したがって、独立してあるいは同時に、第1、第2および第3の自由度130,140,150において、回転および/または移動されてもよい。
【0029】
様々な自由度は、複数のおよび異なる向き/視点から、対象部位へのアクセスあるいは対象部位の画像を提供する。そのうえ、独立した制御に加えて移動の様々な自由度は、立体的イメージングシステムにおいて、一対の立体カメラエレメントのよせ運動角度の制御と立体イメージングのためのベースラインの確立とに関するに関する柔軟性を提供する。1つの実施例において、挿入可能装置100は、5つの作動エレメント108、例えば、第1、第2および第3の自由度130,140、150において移動されうる2つの機能エレメント106の移動を制御するモータを含んでいる。1つの実施例において、機能エレメント106はカメラエレメントであり、ズームおよび特定の回転が、イメージング処理能力を有するソフトウェアで達成される。
【0030】
挿入可能装置100は最小あるいは限定アクセス処置に関する機能を提供するように意図されているため、相対的に小さなアクセス開口部を通じた、管腔を有する構造体への挿入を容易にするために、装置100の全体的な寸法のうちの少なくとも1つを限定することが望ましいかもしれない。例えば、最小侵襲性外科的処置のため、細長い管状および/または円筒状の挿入可能装置100が、約20mmまでの直径を有するアクセスポートを通した挿入を許容するように構成されてもよい。したがって、1つの実施例において、挿入可能装置100は、約20mm以下の直径を有するように構成される。
【0031】
様々な自由度を得るため、作動エレメント108は一般に、作動エレメント108が装置100の寸法に適合するように構成されていなければならない。少なくとも、約20mm以下の直径を有する装置100に関して、回転移動を生じさせるモータが、例えば、機能エレメント106を動かす動力を提供するために使用されるならば、モータは、該モータが一般には装置100の約20mm以下の寸法制約を上回るため、長手軸線120と略一直線に並ぶかあるいは平行になるように位置合わせされる必要があるであろう。したがって、モータは、第2の自由度140に沿った回転移動を提供するように有利に使用されてもよいし、第3の自由度150に沿った長手方向移動を提供するように親ネジおよびシャトル構成と結合されてもよいし、また、第1の自由度130に沿った回転移動を提供するウォームギヤあるいはベベルスクリュー構成と結合されてもよい。
【0032】
1つの実施例において、装置100は、ベアリングの有無にかかわらず第1の細長いハウジング102に回転可能に接続された第2の細長いハウジング112を含んでおり、第1および第2のハウジング102,112が、少なくとも1つの自由度において互いに関して回転されるようにしてもよい。この場合、装置100は、第2のハウジング112の1つの特色とされる固定エレメントで、管腔、例えば腹壁を有する構造体の壁に対して取り外し可能に固定されてもよい。この場合、第2の自由度140に沿った傾斜は、1つまたは複数の機能エレメントをその中に含む第1のハウジング102を、第2のハウジング112に関して回転させることによって達成されてもよい。第1および第2のハウジング102,112は、ハウジング102,112のそれぞれに適切に接続された回転移動を生じさせるモータで互いに関して回転されてもよい。
【0033】
第2のハウジング112は、装置100の長さの様々な部分を占めてもよいことが理解される。例えば、第2のハウジング112は、装置100の全長を占めることなく、装置100に作用する曲げ力に耐える十分な支持面を提供するように、長手軸線120に関して十分に長くてもよい。第2の自由度140の方向における最も大きな量の回転自由は、エレメント106が引き出し位置とされている間に第2のハウジング112が機能エレメント106の移動に干渉しないならば、この場合に達成されてもよい。第2のハウジング112は、機能エレメント106のための保護カバーを提供するように、装置100の長さのより大きな部分を占めていてもよい。この場合、第2のハウジング112は、第1のハウジング102のアクセス開口部118に位置合わせ可能なアクセス開口部114を含むことになり、第2のハウジング112が、構造体への挿入のために第1のハウジング102内に引き込まれた機能エレメント106をカバーし、一旦構造体に挿入されるかあるいは取り外し可能に固定されたならば、第1のハウジング102は、アクセス開口部114を通して機能エレメント106を現すために例えば180度回転されてもよい。第1のハウジング102のアクセス開口部118は、1つまたは複数の機能エレメント106が、第1のハウジング102に引き込まれたり、引き出されたりすることをさらに許容してもよい。1つの実施例において、第1および第2のハウジング102,112のアクセス開口部114,118は、第2の自由度140に沿って最大量の回転移動を許容するようにサイズ設定されており、例えば、第2のハウジング112のアクセス開口部114が、図3に示されているように、第1のハウジング102のアクセス開口部118と円周方向において寸法的に等しいかあるいは大きい。1つの実施例において、第1および第2のハウジングは、機能エレメント106が引き込み位置とされているときに、互いに関して少なくとも270度回転することができ、および/または、機能エレメント106が引き出されているときに少なくとも180度回転することができる。
【0034】
1つの実施例において、第3の自由度150の方向における長手方向移動は、第1のハウジング102の管腔内で長手軸線120に沿って移動可能なシャトル135に少なくとも1つの機能エレメント106を取り付けることによって生じる。各シャトル135は、それに関連する、第1のハウジング102内で長手方向移動を生じさせるための作動エレメント108をさらに含んでいる。図4および5を参照すると、1つの実施例において、シャトル135は、シャトル135のネジ付き部分122に連結された親ネジ180に接続されているモータ190により、第1のハウジング102内で長手軸線120に沿って移動される。したがって、シャトル135は、親ネジ180がシャトル135に関してねじ込まれたり緩められたりするのにしたがって、第1のハウジング102内で移動する。シャトル135の望ましくない回転を制限するため、トラックあるいはガイドが第1のハウジング102に設けられ、対応するキーがシャトル135に設けられている。第1のシャトル135とは逆方向のネジ山を有するネジ付き部分122が設けられた第2のシャトル135は、対応する逆のネジ山を有する親ネジ180と連結して、第1のハウジング102内で両シャトル135を互いに近づく方向へ、および互いに離れる方向へ移動させてもよい。1つの実施例において、両シャトル135のそれぞれのための独立した長手方向移動が、両シャトル135のそれぞれのためのモータ190および親ネジ180の組合せによって達成される。各シャトル135のための回転移動は、ガイドおよびキー構成で制限されていてもよいし、あるいは代わりに、互いの親ネジで制限されていてもよい。この場合、各シャトル135は、該シャトルに関連するそれぞれのモータ190に接続された1つの親ネジ180に連結するネジ付き部分122と、他のシャトル135に関連するモータ190に接続された親ネジ180のネジ山よりも大きい1つのホール124と、を含んでおり、シャトルが互いの親ネジ180をガイドとして使用することを許容する。
【0035】
第1の自由度130の方向における回転移動は、機能エレメントを装置100内へ引き込んだり装置100から引き出すために機能エレメント106に係合する作動エレメント108で達成される。1つの実施例において、図6に示されるように、作動エレメント108はモータ190であり、該モータ190は、ウォームギヤ組立体で機能エレメント106に連結して、モータ190の軸線あるいは長手軸線120と略直角あるいは略垂直な方向に、モータ190によって生じる回転を方向付けし直す。1つの実施例において、機能エレメント106は、シャトル135に取り付けられており、第3の自由度150の方向における最大の自由が、例えば機能エレメントが互いに向き合うようにして達成される。1つの実施例において、機能エレメント106あるいはシャトル同士の間の距離は、10mmまでとされている。
【0036】
1つの実施例において、機能エレメント106のうちの少なくとも1つは、カメラエレメントであり、シャトル135は、それに回転可能に取り付けられたカメラエレメントを含み、該カメラエレメントは、焦点調整部を収容する整合ネジ山とともにレンズを受け入れるために内部にネジ山を有するレンズハウジング内に取り付けられた、CCDあるいはCMOSイメージセンサのようなイメージセンサを含んでいる。1つの実施例において、CCDセンサおよびレンズは、シャトル135に回転可能に接続された基台に取り付けられており、基台は、シャトルモータに対して直角の軸線に関して傾斜していてもよい。シャトル135に取り付けられた駆動基板は、可撓性リボンケーブルの有無にかかわらず、CCDイメージセンサに接続されていてもよい。
【0037】
装置100の様々なコンポーネントは、ポリエステル、ゴアテックス(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、シリコン、鋼、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、あるいは他の形状記憶合金、銅、銀、金、プラチナ、ケブラー繊維(登録商標)、カーボンファイバーなどのような、生物適合性および非生物適合性物質の集合体および/または組合せから製造されてもよいことが理解される。非生物適合性物質が解剖学的構造体と接触するかもしれない場合、非生物適合性物質からなるコンポーネントは、生物適合性物質でカバーあるいはコーティングされていてもよい。1つの実施例において、装置100のハウジング102,112は、ステンレス鋼から製造されている。ハウジングは、様々な直径のステンレス鋼管であってもよい。1つの実施例において、第2のハウジング112は、約5mm(0.197インチ)から約25mm(0.984インチ)までの直径を有し、長さが約127mm(5インチ)から約228mm(9インチ)までである。1つの実施例において、第2のハウジングは、9/16インチの直径を有し、長さが約7.8インチである。他の実施例において、装置は、0.028インチの壁厚を有している。装置は、構造体の挿入を容易にするために球面端部キャップをさらに有していてもよい。約50mm(2インチ)から約152mm(6インチ)までの第2のハウジング112の長いセクションは、引き出されたときの機能エレメント106が傾斜するのを許容するアクセス開口部114を生じさせるために、切り欠かれていてもよい。1つの実施例において、アクセス開口部は、長さが約2.6インチである。1つの実施例において、第1のハウジング102は、0.028インチの厚みを有している。他の実施例において、第1のハウジングは、約5mm〜25mmの間とされる第2のハウジングよりも小さな直径と、約127mm〜約228mmの間の長さとを有している。1つの実施例において、第1のハウジングは、1/2インチの直径を有し、長さが6インチである。第1のハウジング102の一部は、カメラがその中に引き込まれたりそこから引き出されたりすることを許容するアクセス開口部118を生じさせるために、切り欠かれている。第1のハウジング102は、好ましくはケーブルを収容するための十分な空間を含んでおり、該ケーブルは、ここで記載したように、機能エレメント106の移動に適合した十分なたるみを提供する。
【0038】
装置100がさらなる機能を提供するように構成されていてもよいことが理解される。例えば、機能エレメント106は、対象部位を照らすためのライト、焼灼、凝固、切除のためのレーザー、鋏超音波切開具、切開器具、針、把持装置、メス、ジアテルミー/焼灼器具、あるいは、任意の他のタイプの外科用器具のような器具であってもよい。器具は、装置に対して固定されていてもよいし、上述したように、様々な自由度のうちの1つのおいて装置に対して移動可能とされていてもよい。さらに、装置は、ライト、レーザー、およびカメラエレメントのうちの少なくとも2つのような、複数の機能エレメント106を含んでいてもよい。ライトは、ハウジングのいずれか1つに固定されていてもよいし、あるいは、カメラエレメントに組み込まれていてもよい。1つの実施例において、複数の器具が、互いに一貫して制御されていてもよい。例えば、ライトが、カメラエレメントの移動と一致した部位を照らすために、様々な自由度で制御されてもよい。1つの実施例において、挿入可能装置100は複数のシャトル135を含み、1つのシャトル100がカメラエレメントを含み、少なくとも1つのシャトル135がライト、レーザーなどのような機能エレメントを含んでいる。
【0039】
図7を参照すると、1つの実施例による最小アクセスシステムは、少なくとも1つの挿入可能装置100と駆動装置202とを含んでいる。駆動装置202は、一般に、運動の自由度に関する移動、イメージング、パワー、焼灼、凝固、切除のためのエネルギーなどに関連する望ましい機能を生じさせる駆動信号を、挿入可能装置100に供給する装置である。1つの実施例において、駆動装置202は、装置100と関連する少なくとも1つのモータを駆動し、かつ対象部位のイメージを再生する少なくとも1つの制御器204を含んでいる。1つの実施例において、システムは、イメージング、ライト、切除、凝固、および切除のような異なる機能を提供する装置100のそれぞれを有する、駆動装置に通信接続された複数の挿入可能装置100を含んでいる。
【0040】
1つの実施例において、システムは、ユーザーが装置の自由度の一部に関する移動を制御する一方、該システムが残りの自由度に関する移動を独立して制御することを許容するハイブリッド制御を提供する。例えば、システムは、ユーザーが認識した目的物を視界に入れたままにしておくために、第1および第2の自由度130,140においてカメラ移動を独立して制御する一方で、異なる向き/視野からイメージを提供するために第3の自由度に沿ったカメラ移動をユーザーが制御するように構成されていてもよい。1つの実施例において、自律システムは、ユーザーが少なくとも1つのカメラエレメントを方向付ける間に、臓器などのユーザーが認識した目的物を視界に入れ続ける。これは、モデル化された目的物の視点に関連する、制約に基づくセンサ計画システムで達成される。計画システムは一般に、正しい視界パラメータおよび位置を計画するように、視点可視度、被写界深度、およびイメージ解像度における制約を組み込んでいる。この特色は、外科医に潜在的視点の選択を提供するとともに立体的イメージングを提供する複数のカメラ型挿入可能装置を使用するときに特に有益である。
【0041】
システムは、さらに、自由度に関連した1つまたは2つの機能エレメントの開ループ位置制御を実行する、音声起動あるいは入力装置を介して開ループ制御を外科医につなぎ合わせる、部位のビデオイメージを生じさせる、本体内で構造体を追跡する、および/または、自動よせ運動アルゴリズムに基づいてリアルタイムに立体イメージを生成するように構成されていてもよい。
【0042】
駆動装置202は一般に、例えば駆動装置202が本体の外側に配置されるようにして、挿入可能装置100から離れて制御を提供するが、挿入可能装置100は、最小アクセス処置に関して関連する機能を提供するように移植されてもよい。駆動装置202は、長さ2mで直径1〜12mmのケーブルのようなケーブルで、装置100に連結していてもよい。ケーブルは一般に、装置100のエレメントを制御するために、パワー、エネルギー、ビデオ、および/または駆動信号を伝達する複数のワイヤを備えている。あるいは、ビデオおよび/または駆動信号は、装置100を動作させるのに必要なワイヤの数を減少させるため、装置にワイヤレスで伝達されてもよい。完全にケーブルを取り除くため、駆動装置100内でバッテリーでパワーが供給されてもよい。延長した使用のために、バッテリーが、ワイヤレスエネルギー変換器で充電されたり維持されていてもよい。
【0043】
本発明が明瞭さおよび理解のために詳細に説明されたが、当業者によって、この開示内容から、添付の請求項における本発明の真の範囲から逸脱することなく、形状および細部を様々に変化させうることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】引き込み位置での機能エレメントを有した、本発明の1つの実施例による最小アクセス処置のための挿入可能装置の斜視図である。
【図2】引き出し位置での機能エレメントを有した、本発明の1つの実施例による最小アクセス処置のための挿入可能装置の斜視図である。
【図3】引き出し位置での機能エレメントと、装置の長手軸線に対して直角の方向における機能エレメントの可動域とを示す、本発明の1つの実施例による最小アクセス処置のための挿入可能装置の断面図である。
【図4】それぞれがシャトルに回転可能に取り付けられた機能エレメントと、モータおよび親ネジ組立体に連結されたシャトルとを示す、本発明の1つの実施例による最小アクセス処置のための挿入可能装置の断面図である。
【図5】それぞれがモータおよび親ネジ組立体に連結されたシャトルを示す、本発明の1つの実施例による最小アクセス処置のための挿入可能装置の断面図である。
【図6】機能エレメントが回転可能に取り付けられたシャトルと、ウォームギヤ組立体を有するモータに連結された機能エレメントとの斜視図である。
【図7】本発明の1つの実施例による最小アクセスシステムのダイアグラムである。
【図8】引き込み位置での機能エレメントを有する、本発明の1つの実施例による最小アクセス処置のための挿入可能装置の側面図である。
【図9】引き出し位置での機能エレメントを有する、本発明の1つの実施例による最小アクセス処置のための挿入可能装置の側面図である。
【符号の説明】
【0045】
100 挿入可能装置
102 第1のハウジング
104 固定エレメント
106 機能エレメント
108 作動エレメント
110 針
112 第2のハウジング
114 アクセス開口部
118 アクセス開口部
120 長手軸線
122 ネジ付き部分
124 ホール
130 第1の自由度
135 シャトル
140 第2の自由度
150 第3の自由度
180 親ネジ
190 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔を有する構造体に挿入可能な装置であって:
第1のハウジングと;
前記第1のハウジングに接続された少なくとも1つの機能エレメントであって、最小アクセス処置中の使用のための機能エレメントと;
管腔を有する構造体の壁上にあるいは壁に対して該挿入可能装置を取り外し可能に固定するための、該挿入可能装置に関連する固定エレメントと;
を備えていることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項2】
請求項1に記載の挿入可能装置において、
前記少なくとも1つの機能エレメントは、前記第1のハウジングに移動可能に接続され、
該装置は、前記第1のハウジングおよび前記機能エレメントに接続された少なくとも1つの作動エレメントであって、前記機能エレメントを少なくとも1つの自由度において前記ハウジングに関して移動させうる作動エレメントを備えていることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項3】
請求項1に記載の挿入可能装置において、
前記固定エレメントは、該挿入可能装置から突出して該装置の長手軸線とほぼ位置合わせされた針、マグネット、クランプ、および粘着剤を備えていることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項4】
請求項1に記載の挿入可能装置において、
前記固定エレメントは、マグネット、クランプ、および粘着剤のうちの1つを備えていることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項5】
最小アクセス外科的処置に関連した使用のために構成された請求項1に記載の挿入可能装置において、
前記固定エレメントは、前記挿入可能装置から突出して該装置の長手軸線とほぼ位置合わせされた針を備え、
該挿入可能装置は、前記針を腹壁の組織内に挿入することによって、被検者の腹壁に対して取り外し可能に固定されうることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項6】
請求項1に記載の挿入可能装置において、
前記機能エレメントは、カメラエレメントを備えていることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項7】
請求項6に記載の挿入可能装置において、
前記カメラエレメントは、CMOSイメージングセンサおよびCCDイメージセンサのうちの1つを備えていることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項8】
請求項1に記載の挿入可能装置において、
前記機能エレメントは、レンズと、前記レンズを受け入れるとともに焦点調整部を収容するために内部にネジ山を有したレンズハウジング内に取り付けられたCCDイメージセンサと、を備えたカメラエレメントであることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項9】
請求項1に記載の挿入可能装置において、
前記少なくとも1つの機能エレメントは、前記第1のハウジングに移動可能に接続され、
該装置は、前記第1のハウジングおよび前記機能エレメントに接続された少なくとも1つの作動エレメントであって、カメラエレメントを少なくとも1つの自由度において前記ハウジングに関して移動させうる作動エレメントを備え、
前記少なくとも1つの自由度は:
該装置の長手軸線に対して略直角の第1の回転自由度と;
前記長手軸線と略一直線に並ぶ第2の回転自由度と;
前記長手軸線と略一直線に並ぶ第3の並進自由度と;
からなるグループから選択されていることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項10】
請求項1に記載の挿入可能装置において、
前記少なくとも1つの機能エレメントは、前記第1のハウジングに移動可能に接続された複数のカメラエレメントを備え、
該装置は、前記第1のハウジングおよび前記カメラエレメントに接続された複数の作動エレメントであって、前記カメラエレメントのそれぞれを少なくとも1つの自由度において前記ハウジングに関して移動させうる作動エレメントを備え、
前記少なくとも1つの自由度は:
該装置の長手軸線に対して略直角の第1の回転自由度と;
前記長手軸線と略一直線に並ぶ第2の回転自由度と;
前記長手軸線と略一直線に並ぶ第3の並進自由度と;
からなるグループから選択されていることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項11】
請求項1に記載の挿入可能装置において、
前記少なくとも1つの機能エレメントは、前記第1のハウジングに移動可能に接続され、
該装置は、前記第1のハウジングおよび前記機能エレメントに接続された少なくとも1つの作動エレメントであって、前記カメラエレメントを第1の回転自由度において前記ハウジングに関して移動させうる作動エレメントを備え、
前記第1の回転自由度は、該装置の長手軸線に対して略直角であり、前記機能エレメントが前記第1のハウジング内へ引き込まれかつ前記第1のハウジングから引き出されることを許容することを特徴とする挿入可能装置。
【請求項12】
請求項11に記載の挿入可能装置において、
前記作動エレメントは、回転移動を生じさせるモータであり、前記モータによって生じる前記回転移動を前記長手軸線に対して略直角の方向に方向付けし直すように、前記機能エレメントに連結していることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項13】
請求項12に記載の挿入可能装置において、
前記作動エレメントは、ウォームギヤ組立体で前記機能エレメントに連結していることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項14】
請求項1に記載の挿入可能装置において、
前記第1のハウジングに回転可能に取り付けられた第2のハウジングと、
前記第1および第2のハウジングに接続された少なくとも1つの作動エレメントであって、前記機能エレメントを第2の回転自由度において前記ハウジングに関して移動させうる作動エレメントと、を備え、
前記第2の回転自由度は、該装置の長手軸線と略一直線に並び、前記第1のハウジングを前記第2のハウジングに関して回転させることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項15】
請求項1に記載の挿入可能装置において、
前記少なくとも1つの機能エレメントは、前記第1のハウジングに移動可能に接続され、
該装置は、前記第1のハウジングおよび前記機能エレメントに接続された少なくとも1つの作動エレメントであって、前記機能エレメントを第3の長手方向の自由度において前記第1のハウジングに関して移動させうる作動エレメントを備え、
前記第3の長手方向自由度は、該装置の長手軸線と略一直線に並び、前記機能エレメントが前記第3の自由度に沿って並進することを許容することを特徴とする挿入可能装置。
【請求項16】
請求項15に記載の挿入可能装置において、
前記長手軸線に沿って移動可能なシャトルを備えており、
前記機能エレメントは、前記シャトルに取り付けられ、
前記作動エレメントは、親ネジに接続されて回転移動を生じさせるモータであり、該親ネジは、前記モータの回転移動を前記長手軸線に沿った前記シャトルの長手方向の移動に変換するように、前記シャトルのネジ付き部分に連結していることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項17】
請求項15に記載の挿入可能装置において、
複数の機能エレメントと、回転移動を生じさせる対応する数のモータと、前記長手軸線に沿って移動可能で、ネジ付き部分およびホールをそれぞれ有する対応する数のシャトルと、を備えており、
各機能エレメントは、シャトルに取り付けられ、
各モータは、親ネジに接続され、該親ネジは、前記モータの回転移動を前記長手軸線に沿った前記シャトルの長手方向の移動に変換するように、前記シャトルのうちの1つの前記ネジ付き部分に連結し、
各親ネジは、もう1つのシャトルの前記ホールを通過して、他のシャトルのためのガイドを提供することを特徴とする挿入可能装置。
【請求項18】
請求項17に記載の挿入可能装置において、
各シャトルに取り付けられた少なくとも1つの作動エレメントであって、前記機能エレメントを第1の回転自由度において前記ハウジングに関して移動させうる作動エレメントとを備え、
前記第1の回転自由度は、前記長手軸線に対して略直角であり、前記機能エレメントが前記第1のハウジング内へ引き込まれかつ前記第1のハウジングから引き出されることを許容することを特徴とする挿入可能装置。
【請求項19】
請求項18に記載の挿入可能装置において、
前記複数の作動エレメントは、互いに独立して前記機能エレメントのそれぞれを移動させうることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項20】
請求項1に記載の挿入可能装置において、
前記第1のハウジングに回転可能に取り付けられた第2のハウジングと、
前記第1および第2のハウジングに接続された少なくとも1つの作動エレメントであって、前記第2のハウジングに関して前記第1のハウジングを回転させうる作動エレメントと、を備え、
各ハウジングは、互いに位置合わせ可能なアクセス開口部を有していて、前記第1のハウジングが、前記機能エレメントをカバーするように回転され、かつ、前記機能エレメントを露出させるために前記アクセス開口部を位置合わせするように回転されうることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項21】
管腔を有する構造体に挿入可能な装置において:
第1のハウジングと;
前記第1のハウジングに回転可能に接続された第2のハウジングと;
前記第1のハウジングに移動可能に接続されたイメージセンサを有する少なくとも1つのカメラエレメントと;
前記第1のハウジングおよび前記カメラエレメントに接続された少なくとも1つの作動エレメントであって、前記カメラエレメントを少なくとも1つの自由度において前記第1のハウジングに関して移動することができ、前記少なくとも1つの自由度は、前記前記装置の長手軸線に対して略直角の第1の回転自由度と、前記長手軸線と略一直線に並ぶ第2の回転自由度と、前記長手軸線と略一直線に並ぶ第3の長手方向自由度とからなるグループから選択されるように構成された作動エレメントと;
管腔を有する構造体の壁上にあるいは壁に対して該装置を取り外し可能に固定することのための、前記第2のハウジングに関連する固定エレメントと;
を備えていることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項22】
管腔を有する構造体に挿入可能な装置において:
第1のハウジングと;
前記第1のハウジングに回転可能に接続された第2のハウジングと;
前記第1のハウジングに移動可能に接続されたイメージセンサをそれぞれ有する複数のカメラエレメントと;
前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングに接続された少なくとも1つの作動エレメントであって、前記第1のハウジングを前記第2のハウジングに関して回転させうる作動エレメントと;
前記カメラエレメントのそれぞれに接続された少なくとも1つの作動エレメントであって、前記カメラエレメントを第1の回転自由度において前記ハウジングに関して移動させることができ、前記第1の回転自由度は、該装置の長手軸線に対して略直角であるように構成された作動エレメントと;
管腔を有する構造体の壁上にあるいは壁に対して該装置を取り外し可能に固定するための、前記第2のハウジングに関連する固定エレメントと;
を備えていることを特徴とする挿入可能装置。
【請求項23】
管腔を有する構造体に挿入可能な少なくとも1つの装置に通信接続された駆動装置を備えた最小アクセスシステムにおいて、
挿入可能装置は:
最小アクセス処置中の使用のための少なくとも1つの機能エレメントと;
前記管腔を有する構造体の壁に対して前記挿入可能装置を固定するための少なくとも1つの固定エレメントと;
を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項23に記載のシステムにおいて、
前記挿入可能装置は、前記機能エレメントを少なくとも1つの自由度において移動させうる少なくとも1つの作動エレメントを備え、
前記駆動装置は、前記機能エレメントの移動をリモート制御するために駆動信号を供給することを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記駆動装置は、前記挿入可能装置のハイブリッド制御を提供するように構成され、
前記駆動装置は、少なくとも1つの自由度において機能エレメント移動を独立して制御することを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記機能エレメントは、カメラエレメントを備え、
前記駆動装置は、ユーザーが認識した目的物を視界に入れたままにしておくために、異なる視野から対象部位のイメージを得るようにカメラエレメント移動を少なくとも1つの自由度においてユーザーが制御する一方で、カメラエレメント移動を独立して制御することを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項24に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つの機能エレメントは、複数のカメラエレメントを備え、
前記駆動装置は、対象部位の立体的イメージを生じさせるために前記カメラエレメントの移動を独立して制御することを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項27に記載のシステムにおいて、
前記駆動装置は、自動のよせ運動アルゴリズムに基づいてリアルタイムで対象部位の立体イメージを生成するように、前記カメラエレメントを独立して制御することを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−534350(P2007−534350A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520334(P2006−520334)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/022760
【国際公開番号】WO2005/009211
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(306018457)ザ・トラスティーズ・オブ・コロンビア・ユニバーシティ・イン・ザ・シティ・オブ・ニューヨーク (25)
【Fターム(参考)】