最小限に侵略可能な血管内処理装置
本発明は、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置のための折りたたみ可能な処置器具ガードであって、該装置が、血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、拡張可能部分から半径方向外側に延びる少なくとも1つの処置器具とを有しており、装置の収縮構成において、器具が少なくとも部分的にガードによって保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、ガードを提供する。人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置に嵌まる保護鞘、人体または動物の血管壁の狙った領域を処置するための装置、及び人体または動物の血管壁の1つ以上の狙った領域を処置するための方法が開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用具に関する。特に、本発明は、動脈や静脈やその他の中空器官のような内部体腔の処理のためのカテーテルを基本とする医療用具に関する。
【背景技術】
【0002】
循環系の病気は、世界中で主な死亡原因であり、若い患者におけるこの病気の普及が拡大している。加えて、世界規模の社会で流行して、多くの人口が欠陥の病気に関連する危険因子により多くさらされているのである。
【0003】
例えば、アイルランド社会における肥満の増加率は、アイルランド国営新聞の最近の第1面の記事「規模の予想:子供の肥満は3倍になる」(アイルランドの調査官2004年11月22日)において、公衆に提供された。更に、死亡原因の統計は問題の真の規模を提供しており、アイルランドでは、1998年から2003年の間に国内の死者の40%が循環系の病気である(出典:アイルランド中央統計局)。この傾向は、国内の問題ばかりではなく、国際的にも反響を呼んでおり、1998年に米国では全死者の39%が、循環系の病気が原因となっていた(米国人口統計報告2000、48巻、第11、7月24日)。
【0004】
アテローム性動脈硬化(血管疾患)は、動脈壁内の血小板の蓄積である。病気が進行期であると、心臓のような器官への血液の流れが減り、結果として、心臓発作やその他の緊急事態が生じる。バルーン血管形成は、粥状硬化性動脈の再開のために開発された。この手順は、動脈障害物の位置で小型のバルーンを膨らませる。バルーンの拡張は、血小板を圧縮し、動脈壁を拡張し、これにより、動脈をその元の直径に再開し、血液の流れを回復する(バルーン血管形成は、それ自体、或いは、ステントの付加的治療として使われる)。血管形成術用バルーンは、24気圧(自動車タイヤの平均膨張圧力の10倍以上に相当する350p.s.i(2.4x106パスカル)に等しい)にまで、高圧に膨張される。このような高圧で、動脈壁への厳しい損傷が生じる。多くの場合、高圧バルーン血管形成は、動脈の障害物を膨張させることができず、専門的な装置が、障害を膨張させるために必要とされるか、或いはバイパス手術が行われる。
【0005】
これにより、米国特許No.5,196,024号に開示されるようなカッティングバルーンが開発された。この特許は、血管壁に縦方向カットを形成するための切断縁を備えたバルーンカテーテルを用いて、病気の欠陥を膨張したり再疎通する装置及び方法を開示している。
【0006】
この最初の特許が提出されたので、カッティングバルーンのブレード遮蔽能力を改善することに注目した改良カッティングバルーンの開発が著しく行われるようになった。
【0007】
前述した米国特許No.5,196,024号に開示されたバルーンカテーテルにおいては、折りたたみ状態でのバルーンの折り目は、バルーンカテーテルの挿入と除去の間にブレードを血管壁から保護するために用いられる。この装置の1つの欠点は、ブレードがバルーン自体を損傷することから保護されていないことである。
【0008】
米国特許出願番号2005/0137617号は、この短所を解消することを目的とするカッティングバルーンを開示している。伸縮自在の膨張可能折りたたみ部材が、折りたたみ部材が応力を受けていない状態のときに実質的に管状に形成された壁を備えて形成され得るものとして開示されている。管状に形成された折りたたみ部材は、管軸を画定し、壁を貫通する軸方向に整合されたスリットを有することができる。折りたたみ部材は、バルーンに取り付けられ、管状折りたたみ部材の内腔に位置決めされる切り込み要素を覆うように使われる。バルーン膨張の間、折りたたみ部材は、組織の切込みを可能とするように、切込み要素の先をさらすように変形可能である。
【0009】
オブライエン等(O’Brien et al.)の米国特許出願番号2005/0119678号は、比較的低ディロメータの柔軟な材料でできた圧縮性鞘がバルーンに搭載されてカッティングバルーンの組み立てとカッティングバルーンの処理位置への輸送の間にそれぞれの切り込み要素の有効切断表面を保護するようになった代替解決法を開示している。各鞘は、対応する切り込み要素よりも縦方向軸から遠くまで延びており、バルーンの膨張の間に組織と最初に接触する。組織と鞘の間に接触が起こると、更なるバルーンの膨張は、鞘が組織と組織の切り込みのための有効切断表面をさらす膨張可能バルーンの間を半径方向に圧縮するようにする。
【0010】
ウィーバー(Weber)の米国特許出願番号2004/0133223号は、カッティングバルーン上のブレードのカッティングエッジ上を延びる弾性のある材料の使用を開示しており、この弾性材料は、カッティングエッジが突き刺すことができるように圧縮下で変形する。
【0011】
上述した米国特許No.5,196,024号は、バルーン全体を覆う保護鞘の使用を開示している。鞘の連続性は、(バルーンの)切れ刃の先を収容し、案内し、保護するように作用する縦方向溝によって中断されている。保護鞘は、バルーンを膨張する前に切れ刃を適切な位置に送り保持する間に血管が傷つくのを防止する。バルーンが膨張すると、保護鞘の溝は、鋭い縁で切り込みを作るように切れ刃が血管の壁に侵入するように切り開く。収縮した後、切れ刃は、保護鞘の後に引っ込み、カッティングバルーンの回収の間に血管が損傷することを防止する。露出したブレードがバルーンを損傷する問題の代替的な解決策は、米国特許No.5,196,024号1つの実施例に開示されており、ここでは、ブレードは、バルーンを取り囲むプラスチック外被に位置決めされている。外被の連続性は、バルーンが膨張したときに大きくなる縦スロットによって中断される。
【0012】
同様の装置が、米国特許No.5,797,935号に開示されており、膨張可能な血管形成術用バルーンと共に使用されるバルーン活性化力濃縮器は、少なくとも1つの細長い可とう性パネルと、細長い可とう性パネルの外側面に取り付けられる細長い切断刃と、細長い可とう性パネルを血管形成術用バルーンに固定するための細長い可とう性パネルの各端部に取り付けられる伸縮自在の円形バンドを有している。
【0013】
上述したようなカッティングバルーンは、高度に石灰化した病変やしつこい病変に一般に使われ、時としてこれら病変に関して或いはステント留置の前に使われる。しかし、このような装置は、故障する傾向があることが分っており、比較的大きく脈管構造内で操作するのが難しく、また、時として高価である。
【0014】
最大の問題の1つは、膨張後のカッティングバルーンの除去に関連している。バルーンの圧力は、場合によっては、切れ刃或いはブレードが血管壁に深く侵入するようにすることができる。後にブレードを回収するには、強い力が必要である。カッティングバルーンの上記した例のそれぞれでは、この引き込める力を提供するのは、バルーン自体の収縮である。ブレードを引き込めるのは困難であるとわかっており、極端な場合には、カッティングバルーンの除去は不可能であり、カッティングバルーンが患者の冠動脈に残され、(予め打ち込まれた)ステントに挟まる可能性があった。
【0015】
必要とされるのは、従って、より効果的で、使い易く、安全なカッティングバルーンを提供する代替策である。
【0016】
上述したように、カッティングバルーンは、一般的に血管疾患によって閉塞された血管を再開するために用いられる。しかし、カッティングバルーンは、そのような血管疾患の処理に取り組まない。血管疾患による死亡の継続傾向と糖尿病の関連する増加リスクと共に肥満症に若い患者が増加的にさらされているので、革新的で効果的な治療が、血管疾患の若者と伝統的な高齢の被災者の双方を処置するように概念化されねばならない。このような傾向は、技術の進歩と共に、経カテーテル技術において概ね20%の年間成長率をもたらしている。
【0017】
この成長率の主たる原動力の1つは、冠動脈薬溶離ステントである。しかし、このようなステントが効率的に使えない領域、すなわち、慢性総閉塞や、末梢動脈の病気や、損傷しやすい血小板が存在する。更に、新たな装置や処置が、薬物溶離ステントの縁部と関連する狭窄や鉄肌ステントと関連するインステント再狭窄を処理するのに必要とされる。上記した領域の全てが、いかなる技術もこれらの条件を適切に処理することができないような著しくまだ対処されたことのない臨床的必要性を表わしている。
【0018】
局所的薬物供給の進歩は、冠動脈領域において極めて効果的であることが証明され、よって、薬物溶解ステントは、インステント再狭窄の防止において、著しい突破口を開いた。エクスプレス1(Express−1)プラットフォームのタクサス・エスアール(TAXUS SR)薬物溶解ステントと、同等の鉄肌エクスプレス1(Express−1)ステントを比較したボストン科学(Boston Scientific)の提供するタクサスIV(TAXUS IV)試験においては、9ヶ月のインステント再狭窄が、同等の薬物溶解ステントを使うことによって、鉄肌ステントの24.4%から5.5%に減るということが実証された(インターベンショナル心臓学ジャーナル2004;第17巻、第5、279頁)。全身治療よりも局所的薬物供給は、冠動脈薬物溶解ステントの場合にすぐれた結果をもたらし、遺伝子治療や基幹細胞治療のような将来の治療が、局所的供給装置のいくつかの形態を必要とし、このような治療が、高価でごく少量の分子や化合物の時間のかかる生産物を必要とする。分子や化合物のほとんどが必要とされる目的位置に到達しないので、全身の非効率的なやり方は、遺伝子治療にとって費用的に効率の良いものではなく、異なる更に効率的なやり方が必要とされる。
【0019】
アテローム性動脈硬化の現在の状況、特に閉塞された冠状動脈の処理は、薬物溶解冠動脈ステントの移植を必要とする。この動作は、心筋の虚血領域に血液の流れを再構築する。しかし、ステントが移植できないような病気や血管疾患が影響する異なる血管の異なる段階によって引き起こされる状態が存在する。このような状態では、異なる方策が採用されねばならない。分子心臓学や分子血管干渉のための生物学的局所的供給のような将来の治療は、臨床医学の最先端にあり、次世代の患者のための治療上の処置を提供することを約束する。これらの新しい処置方法は、以下の状況を有する患者の生命の質に変化をもたらす。
【0020】
慢性全体閉塞(CTO)
CTOは、動脈管腔の完全閉塞であり、全冠動脈血管形成術過程の10から20%が、CTOに関係していると思われる(フリード(Freed)とサフィアン(Safian)、介入心臓学の手引き、第3版、287頁)。CTOは、他の動脈、例えば、大腿動脈でも起こりうる。大腿動脈のCTOは、患者の足の残り部分への血液の流れを制限し、重大な手足の虚血を引き起こす可能性があり、結果として、潰瘍形成や壊疽が起こり得、時には、切断が必要となる。加えて、僅かな脈管形成(新たな血管の形成)は、少量の血液が下肢に届くようにする。いくつかの場合の脈管形成は、生き残るために極めて重要である。血管形成の過程は、血管内皮成長要素(VEGF)の注入によって人工的に加速され得、このことは、CTOの動物モデルで実証されている。ニコル(Nikol)等(生理学上のスカンヂナビア議事録2002、第176巻、第2刷、151頁)は、VEGFの注入がCTOの豚モデルにおいて、動脈分岐の数や分岐の面積を著しく増やしたことを示している。動物モデルからの励みとなる結果によって、もし、医者が治療の解決策の提供のために安全な効率的なカテーテルを必要としているのであれば、CTOの遺伝子治療のこの形態が近い将来、臨床的適用へと伝達されることを期待させる。
【0021】
末梢動脈障害(PAD)
PADは、冠動脈障害に類似した状況である。PADにおいては、脂肪沈殿物が、動脈壁の内部層、主に、腎臓、胃、腕、脚、足への動脈に積みあがる。これは、ここの器官や手足の機能障害を引き起こす。PADは、心臓の(外部の機械的負荷から)良く保護された動脈と較べて人体の表面に近い動脈に影響するので、冠動脈障害とは少し異なっている。ステンレス或いはコバルトクロムのステントは、過度の外部負荷を経験すると、材料の可塑性のためにその形状を維持しないので、安全に使うことができない。この場合の外部負荷は、動脈管腔内の瞬時の障害と血液流の間接損害をもたらす。末梢動脈のやりがいのある解剖や、長期の総合的な閉塞の普及や多くの独特の機械負荷は全て、大腿膝窩動脈や膝窩干渉の高狭窄率につながり、表面的な大腿動脈狭窄を持つ患者が、1から3年の臨床的追跡調査で50%より少ない開放度である(放射線学、1994;191;第727〜733頁)。ステントは、末梢動脈のための不十分な処置選択肢であるように思われ、生物学的問題のための機械的解決策に頼らない抹消干渉用の追加的方法や処置策が用いられねばならない、すなわち、このような病変への治療薬の局所的な供給が用いられねばならない。
【0022】
ステント縁狭窄とインステント狭窄
鉄肌ステント(BMS)と薬物溶解ステント(DES)の縁部に局部的に生物学的に供給する潜在性がある。セリー(Serruys)等において、DESとBMSの近位縁部における著しい狭窄率が、IVUS研究において報告され、ステント後6ヶ月の追跡で、近位の内腔領域における著しい減少が、緩開放で観察され、TAXUS溶解ステントと鉄肌ステントで中程度の開放で観察された(循環2004、第109巻、第627〜633頁)。
【0023】
傷つきやすい血小板
傷つきやすい血小板は、動脈壁内に埋もれた病変の一種であり、必ずしも膨れ出るわけではなく血液の流れを閉鎖するわけでもない。これは、この種の血小板が、急性冠動脈症候群の大部分の原因となるという認められた事実である(心血管研究1999、第41巻、第323〜333頁)。傷つきやすい血小板は、無症候性で、現在の技術では診断が困難である。しかしながら、ふるいわけ技術や診断技術の進歩(仮想組織学IVUS及びサーモグラフィカテーテル)は、これらの病変が確認されるようにする。この種の病変は、非狭窄性で、機械的な解決策を必要としないが、生物学的解決策を病変位置に送ることによって組織の機能を変えることがより有利である。
【0024】
血管や動脈内の対象位置を直接ねらう遺伝子治療製品(または薬)の送り出しのための非常に多くのカテーテルに基づく局部的治療送り出し装置が、開発されてきている。
【0025】
「窪みのある多孔性注入バルーン」という名称の米国特許No.6,048,332号(ダフィー(Duffy)等)は、カテーテルの遠位端に取り付けられた、窪みのある多孔性バルーンを有する薬物供給カテーテルを開示している。1つの実施例では、バルーンは、人体の内腔の組織壁に治療薬を送るようにされており、このために、バルーンの外面に形成された複数の窪みを含み、各窪みが、バルーンの内部に送られた流体が噴出することができるような少なくとも1つの開口を有している。ここに記載されたバルーンは、特に、薬が送られるべき組織壁の範囲を増加し、送られる薬と組織壁の間の外傷性接触を少なくすることが理解される。
【0026】
米国特許No.5,336,178号(カプラン(Kaplan)等)は、注入列を備えた血管内カテーテルを開示している。血管内カテーテルは、薬を人体内腔の処置位置に注入する手段と、処置位置に隣接する注入手段を配置する手段を提供し、これらは、互いに独立して作用する。1つの実施例では、可とう性のカテーテル本体が、膨張通路と連絡してその遠位端に取り付けられた膨張部材と、1つ以上の供給通路に連絡して膨張部材のまわりに配置された注入列を有している。この注入列は、側方に向けられたオリフィスを有する複数の供給導管を含んでいる。この供給導管は、カテーテル本体から半径方向に延びて、膨張流体で膨張部材を膨張することによって処置位置に接触する。薬は、供給通路に導入され、供給導管のオリフィスを通って処置位置に注入される。膨張部材は、注入前、注入の間、または注入後に拡張のために膨張させられる。
【0027】
「高効率局部的薬供給」という名称の米国特許No.6,369,039号(パラシス(Palasis)等)は、治療薬を体腔や、脈管構造や組織内の狙った位置に送る、特定の場所への供給方法を開示している。この方法は、関連する治療薬の実質的な飽和溶液を有する医療装置を提供する工程と、医療装置を体腔や、脈管構造や組織に導入する工程と、多量の治療薬の溶液を約5分に至るまで約0から約5気圧の圧力で狙った位置で医療装置から解放する工程と、医療装置を体腔や、脈管構造や組織から引き出す行程を有している。この装置の1つの問題は、その低送り圧力である。
【0028】
「治療薬の壁内供給のためのカテーテル装置」という名称の米国特許No.5,112,305号(バラス(Parath)等)は、アテローム性血管の処理方法を開示している。特に、治療薬は、特殊なカテーテルシステムによって、血管内皮への最小の侵入を伴って血管壁の深い層へと送られる。このシステムは、アテローム性血小板の位置に直接毒薬を他の方法で高度の局所的な集中をすることを可能にする。カテーテルシステムと方法は、病気であるが薬を血液循環に末端まで拡散することのないような正確な血管部分に、化学薬品を送る。開示された1つの例は、最も外側の内腔の外表面から様々な角度で突出する追加的な管状延長部を有する2重内腔カテーテルを用いる。外側内腔の圧力を急に上げることによって、管状延長部は、治療薬を血管壁内の深い位置へと送る。
【0029】
バルーンとニードルを結合する技術が開発されていないときに、これは、ニードルを用いる初期の装置の例であった。更に、バルーンは、突出部に関連した孔のために気密ではない時に膨張される必要があり、これは、実用にかなっておらず、治療薬が目的位置よりも血液流を過度に送られてしまうという問題を引き起こす。バルーンの収縮にも問題がある。
【0030】
バラスは、後の米国特許No.5,615,149号において、切れ刃を備えたバルーンカテーテルを開示している。1つの実施例には、鞘が設けられている(図12及び図13参照)。ナイマーク(Naimark)等(以下を参照)と共通して、バルーンは、鞘が接触する前に拡張されねばならない。
【0031】
「流体を血管の壁に注入する装置」という名称の米国特許No.5,873,852号(ビジル(Vigil)等)は、流体を血管壁の処置領域に注入する方法及び装置を開示している。この装置の第1例は、カテーテルに取り付けられる膨張可能なバルーンと、外向きに延びバルーンと共に移動する複数のインジェクタを有する。少なくとも1つの流体通路が各インジェクタを流体連絡して流体源に接続する。この装置の使用中には、バルーンは、処置領域に最も近い血管に、まず位置決めされる。次に、バルーンは、インジェクタを血管壁にはめ込むために膨張される。続いて、流体源からの流体は、流体通路に導入されインジェクタを通って処置領域に案内される。
【0032】
従って、装置の供給と戻しの際に、ニードルが内皮の表面を自由に傷つけることが理解される。
【0033】
「複数のニードルインジェクションカテーテル」という名称の米国特許No.5,354,279号(ホフリング(Hofling)は、流体、例えば、薬を静脈やその他の中空器官のような体腔に注入するカテーテルを開示している。カテーテルは、体腔に挿入可能で、引き込め位置と延長位置の間で移動可能に設けられた中空のニードルを内部に有するヘッドを備え、ヘッドに対向するカテーテルの端部に取り付けられ、流体や薬を処理されるべき体腔の壁部分に直接中空のニードルを通って供給するための体腔の壁に外から接触する前端を動かすためのニードルに作動連結された作動機構を備えている。バルーンは、カテーテルヘッドの前に配置されてもよいし、カテーテルを貫通する通路によって膨張収縮されてもよい。このニードルインジェクションカテーテルは、使いづらく、操作者によって精密に制御される必要のある追加の工程を必要とし、何らの間違いを起こしやすい。ニードル前進機構の制御の困難のためにニードルの予測できない前進が起こり得、そして、血管に穴が開くかもしれない、これらは共に、望ましくない。
【0034】
「薬と遺伝子を供給する方法及び装置」という名称の米国特許No.6,197,013号(リード(Reed)等)は、患者を処置する装置及び方法を開示している。この装置は、表面を有する展開機構を有している。この装置は、展開機構表面に設けられた少なくとも1つのプローブを有している。プローブは、展開機構の表面から25ミクロンから1000ミクロン延びている。この装置は、また、プローブに塗布された材料を有している。処置方法は、展開機構の表面から1000ミクロンより少なく延びるプローブに材料を配置する工程を有している。次に、プローブを好ましくは患者の血管に挿入する工程がある。そして、展開機構を作動することによってプローブを血管の内壁に貫通させ、材料が血管に接触するようにする工程がある。
【0035】
この装置の問題は、膨張の前に取り除かれる保護鞘の記載があるが、ステントまたはカテーテルの外側の鋭いプローブが、ステントの送り或いは戻しの間に傷つくかもしれないということである。
【0036】
「局所的な薬供給インジェクションカテーテル」という名称の米国特許No.6,283,947号(ミルザー(Mirzaee))は、患者の中の特定部位に薬物を注入するカテーテルであって、カテーテルの近位端から注入口に延びる薬供給内腔を備えたものを開示している。このカテーテルは、注入口をカテーテルの本体から動脈壁へと外向きに角度をつけて押して、薬物が動脈壁に直接注入されるようにする機構を備えている。カテーテルは、その末端に或いは末端の近くに注入口を備え、注入口をカテーテルの中心軸から動脈壁へと角度をつけて方向付ける機構を備えている。(注入口は、薬物やその他の材料を患者に導入するために使われる構成である。注入口は、一般に中空ニードルである。)1つの実施例では、カテーテルは、医者がカテーテルを患者の脈管系内の所望の位置に向けることができるようにするガイドワイヤを収容するガイドワイヤ内腔を有している。また、1つの実施例では、カテーテルは、複数のニードルを有しており、各ニードルは、カテーテルの中央縦軸から外向きに角度をつけて操作され、ニードルが薬或いは、薬物を周辺組織に注入することができるようになっている。ニードルの展開前に、ニードルは、カテーテルの縦軸に略平行になるように保持されている。1つの実施例では、ニードルを動脈壁に外向きに押すように、バルーンがカテーテルの末端に向けて設けられている。別の実施例では、他の機械的手段がニードルを外向きに押すように設けられている。
【0037】
この装置によって経験される問題は、操作上の困難と、使用後鞘を前進することの困難と、柔軟性の欠如を含んでいる。
【0038】
「物質供給装置及び治療物質を解剖学の通路に供給する方法」という名称の米国特許No.6,494,862号(レイ(Ray)等)は、その末端に設けられたバルーンを有するカテーテル組立体を開示している。このバルーンは、折りたたみ形状から展開形状へと選択的に膨張させるように膨らませ可能となっている。注射器組立体が、治療物質が通路の組織内に注入されるように、カテーテル組立体の供給内腔と流体連絡している。注射器組立体は、バルーンが折りたたみ形状から展開形状に膨らまされるときに、第1位置から第2位置へと枢動可能な部分を含んでいる。注射器組立体の部分は、バルーンが収縮される時に、第2位置から第1位置へと枢動することができる。この装置の1つの問題は、枢動が内部動脈壁の引き裂き・損傷を引き起こすかもしれないことである。
【0039】
「再狭窄を防止するための動脈壁への薬物供給方法」という名称の米国特許No.6,695,830号(ビジル(Vigil)等)は、血管壁内での再狭窄を防止するための方法であって、薬物が血管の所定の位置に送られるように要求され、続いて所定のパターンで分散されるような、方法を開示している。薬物を送るためには、拡張部材を備えたカテーテルは、拡張部材が所望の位置決めがされるまで、患者の脈間構造に前進される。拡張部材は、分配器を血管壁の適切な深さに強制するように膨張される。薬剤は、血管壁内の管状の容積を治療するために続いて分散する、複数の等間隔で配置された薬品を作るように分配器を通って送られる。
【0040】
ナイマーク(Naimark)等の米国特許出願番号US 2004/0044308号は、カテーテルと、バルーンと、バルーン上のマイクロニードルを有し、更に鞘を有することができる生物活性物質の供給装置を開示している。鞘は、金属製として記載されている。1つの代替例は、鞘を拡張可能な材料で作るようにしている。鞘は、マイクロニードル用の複数のポートを有し、或いは、これらニードルによって穴あけ可能な材料によって作られている。ナイマーク等の装置のバルーンは、鞘に接触するように動くように膨張され、一旦接触されると、鞘は、バルーンと共に膨張する。この構成は、例えば、明細書の図5aに見ることができる。鞘を半径方向外側に間隔をあけマイクロニードルから離す(バラス(上記)では、ブレードの外側にする)ことにより、バルーンが拡張されなかったときに血管壁が擦られることから保護される。
【0041】
米国特許No.5,336,178号(カプラン(Kaplan)等)は、薬剤を処置位置に注入する血管内カテーテルを記載している。これは、液体薬剤を注入するための一連の開口を用いている。内部エラストマースリーブが、実施例に記載されている(図13と図14A参照)。この装置は、ニードルや切断ブレードのような処置器具を用いていない。
【0042】
米国特許No.6,051,001号(ボルギ(Borghi))、欧州特許0 697 226号(イガキ(Igaki))、米国特許No.6,018,857号(ダフィー(Duffy)ら)及びWO 98/22044号は全て、ステントを例えばカテーテルに装填する装置を記載している。
【0043】
治療薬を動脈壁に供給する、または切断動作を提供する現在の装置は、安全上と効率の面での問題に直面している。これは、挿入と取り除きの間に器具が血管壁に接触せず、血管壁の狙った領域に接触するように展開可能で、使用後、装置が血管壁に器具が接触することなく安全に人体から取り出せるような位置に戻すことができるような状態で、(鋭利な)作動器具を人体、例えば、人体の内腔に導入することが困難であることによる。更に、現在の装置は、適用領域が制限されている。現在の装置による共通の問題は、バルーンが完全には収縮しなかったり、収縮しそこなったりすることである。これにより、バルーンが速く完全に収縮して、カテーテルが血管から血管壁への損傷なく取り除くことができることが基本であるという重大な安全性の提供を必要とする。
【0044】
従って、必要とされるのは、ニードルやブレードのような処置器具が、カテーテルが位置決めされる時に隠され、所望の処置領域へ装置を安全に送ることを可能にし、送りの間に動脈壁の内壁を傷つけることの無いようにすることのできる局所的カテーテル型治療供給装置である。また、必要とされるのは、カテーテルへの装填をする代替的装填装置である。
【0045】
上記したように、注入装置は、カテーテル型切断装置として知られている。同様のものの更なる例が、米国特許No.5558642号、米国特許No.6638246号、米国特許No.6733474号、米国特許No.6280414号、米国特許No.5571086号、米国特許No.6478778号及び米国特許No.5336178に開示されている。しかし、今までに、カテーテルが位置決めされて供給中に動脈壁の内部壁に損傷を与えることなく所望の処置領域に装置を安全に送ることができるようにするときに、ブレードのような切断器具が隠されるようになった、切断と注入の両技術を用いた装置は、実現されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】米国特許No.5,196,024号
【特許文献2】米国特許出願番号2005/0137617号
【特許文献3】米国特許出願番号2005/0119678号
【特許文献4】米国特許出願番号2004/0133223号
【特許文献5】米国特許No.5,797,935号
【特許文献6】米国特許No.6,048,332号
【特許文献7】米国特許No.5,336,178号
【特許文献8】米国特許No.6,369,039号
【特許文献9】米国特許No.5,112,305号
【特許文献10】米国特許No.5,615,149号
【特許文献11】米国特許No.5,873,852号
【特許文献12】米国特許No.5,354,279号
【特許文献13】米国特許No.6,197,013号
【特許文献14】米国特許No.6,283,947号
【特許文献15】米国特許No.6,494,862号
【特許文献16】米国特許No.6,695,830号
【特許文献17】米国特許出願番号US 2004/0044308号
【特許文献18】米国特許No.6,051,001号
【特許文献19】欧州特許0 697 226号
【特許文献20】米国特許No.6,018,857号
【特許文献21】WO 98/22044号
【特許文献22】米国特許No.5558642号
【特許文献23】米国特許No.6638246号
【特許文献24】米国特許No.6733474号
【特許文献25】米国特許No.6280414号
【特許文献26】米国特許No.5571086号
【特許文献27】米国特許No.6478778号
【特許文献28】米国特許出願番号11/846,887号
【非特許文献】
【0047】
【非特許文献1】アイルランド国営新聞の最近の第1面の記事「規模の予想:子供の肥満は3倍になる」(アイルランドの調査官2004年11月22日)
【非特許文献2】米国人口統計報告2000、48巻、第11、7月24日
【非特許文献3】インターベンショナル心臓学ジャーナル2004;第17巻、第5、279頁
【非特許文献4】フリードとサフィアン、介入心臓学の手引き、第3版、287頁
【非特許文献5】生理学上のスカンヂナビア議事録2002、第176巻、第2刷、151頁
【非特許文献6】放射線学、1994;191;第727〜733頁
【非特許文献7】循環2004、第109巻、第627〜633頁
【非特許文献8】心血管研究1999、第41巻、第323〜333頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0048】
従って、遺伝子治療製品(または薬)を直接、狙った位置に送るようにされた、及び/または体内の位置を処置するのに使われ得る切断器具を備えた、効率的で効果的なカテーテル型の局所的な治療装置を提供することが望ましい。
【0049】
多くの生産物の応用に用いられうる局所的なカテーテル型の治療供給装置を提供することが望ましい。
【0050】
血管や動脈内での少なくとも1つの処置箇所に使うことができる装置を提供することが更に望ましい。この特徴は、多くの傷つきやすい血小板を有する動脈の周辺の病気を拡散するのに特に有用である。
【0051】
使用後に即座に安全に収縮する供給装置を提供することが望ましい。
【0052】
カテーテルが、曲がりくねった動脈を航行することを可能とする十分な可とう性を備えた供給装置を提供することが更に望ましい。
【0053】
薬を含んだ流体のような治療流体が、現在の利用可能なカテーテルに較べて均一に供給され(そして分配され)るような、供給装置を提供することが望ましい。
【0054】
閉塞された血管を開放するのに使われる改良された切断器具を提供することが更に望ましい。
【0055】
切断と注入技術の両方を用いた供給装置を提供することが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0056】
従って、本発明によれば、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置であって、
血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用し、収縮構成における拡張可能部分に収縮力を作用するために拡張可能部分に伸縮可能に嵌まる保護鞘と、
拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも2つの隔置された処置器具とを有し、装置の収縮構成において、該器具が保護鞘内に隠されており、装置の拡張構成において、鞘の厚みが血管壁の狙った領域に接触するように器具を外に出すために減少することを特徴とする装置が提供される。
【0057】
本発明は、このようにして、折りたたまない拡張可能な部分の以下の使用を含む上記した従来技術に関連した多くの問題を未然に防ぐ簡単で効率的な構成を提供する。
【0058】
拡張可能な部分の拡張していない構成における鞘の予め拡げた構成は、拡張可能部分を拡張していない構成に戻すのに十分である。一般に、鞘は、少なくとも10%、望ましくは、少なくとも15%のように、少なくとも12%、(予め)拡げられて、拡張可能部分の拡張していない構成にかぶさるように構成される。このようにして、拡張可能部材の(弾性的)伸張適合における位置エネルギが得られる。
【0059】
好ましくは、拡張可能部分は、バルーンである。これは、簡単で効果的な構成である。
【0060】
一般に、本発明で利用される処置器具は、血管壁を切ったり刻んだりするためのブレードでありうる。代わりに、処置器具は、別の形態をとることもでき、例えば、(中空ニードルやマイクロニードルのような)ニードルであり、この場合、装置は、治療薬を血管壁に送るための薬供給装置として作用する。ニードルが使われるときには、装置は、好ましくは、ニードルを通って血管壁に治療化合物を送るためのニードルと流体連絡する薬供給装置を有している。薬供給装置は、保護鞘に、複数のリザーバを有している。代替的には、薬供給装置は、(可とう性)管を介してニードルに接続される(多数内腔)供給ホースを有してもよい。鞘は、このようにして、狙った位置を処置するための1つ以上の器具を備えた装置にバルーンカテーテルを適合させる目的を提供する。
【0061】
好ましくは、保護鞘は、シリコンやポリウレタン材料やゴムのような弾性ポリマーからなる。ポリウレタンは、器具を鞘に固定するのに多くの方法を許す。好ましくは、保護鞘は、処置器具が設けられるための複数の穴をその中に画定する。
【0062】
装置は、更に、装置の位置決めを補助する(放射線不透過性の目印のような)少なくとも1つの目印を有してもよい。これにより、装置の位置がきっちりと観察される。
【0063】
装置は、円錐型頭部で嵌められる。円錐型頭部は、その先端で、カテーテルと鞘の間の転換形状を提供する。このことは、前進の間に、装置が、カテーテルとそこに取り付けられる鞘との大きさ(直径)の違いによる移動の抵抗に出会う可能性を低くすることを意味している。円錐型頭部は、装置が移動する血管の緩やかな伸縮を許容する。同様にして、その作動位置からの装置の引き戻しのために、後部円錐が設けられ、これは、その後端でのカテーテルと鞘の間の転換形状を提供する。これは、引き戻しをやさしくする。
【0064】
本発明によれば、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置に嵌まる保護鞘であって、
血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも2つの隔置された処置器具と、
装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用するように拡張可能部分に嵌まる(任意には、伸縮可能に嵌まる)保護鞘とを有し、装置の収縮構成において、該器具が保護鞘内に隠されており、装置の拡張構成において、鞘の厚みが血管壁の狙った領域に接触するように器具を外に出すために減少することを特徴とする保護鞘が提供される。一般に、拡張可能部分は、鞘からの収縮力下にあるか、或いは、鞘からの収縮力の拡張を即座に経験する。
【0065】
本発明によれば、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するためのバルーンカテーテルに嵌まる鞘であって、該鞘は、バルーンを拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するためのバルーンに圧縮力を作用するようにバルーンに伸縮可能に嵌まるようになっており、該鞘が、
バルーンから半径方向外方に延びるように前記鞘内に取り付けられる、少なくとも2つの隔置された処置器具を有し、バルーンの収縮構成において、該器具が保護鞘内に隠されており、装置の拡張構成において、鞘の厚みが血管壁の狙った領域に接触するように器具を外に出すために減少することを特徴とする保護鞘が提供される。
【0066】
バルーンのような拡張可能部材を被せるために、鞘は環状の(壁または本体)構造を有していることが理解される。鞘は、環状方向に実質的に連続しているのが望ましい。例えば、もし、鞘が環状方向に不連続、例えば、実質的な範囲で溝を付けられていれば、拡張中の効果は、不連続となり大きくなり、例えば、溝で広がる。そのような場合には、鞘の厚みは、血管壁の狙った領域に接触する器具を外に出すように減少しない。
【0067】
このような実施例では、鞘は、鞘に連結、取り付けられる処置器具の運搬具として作用することが理解される。好ましくは、鞘は、シリコンのような弾性ポリマーからなる。一般に、器具は、鞘から外側に突出するように取り付けられる。器具は、一般に、拡張可能部材に直接取り付けられるわけではない。この装置は、器具と拡張可能部材の相互作用の問題を未然に防ぎ、穴あきやはがれなどの装置の故障の原因となりうる。
【0068】
1つの実施例では、処置器具は、1つ以上のニードル、例えば、中空ニードルでありうる。鞘は、更に、
複数のリザーバが治療化合物を貯蔵するために設けられる外側表面を有する内側鞘と、
内側鞘の上に位置決めされる外側鞘と、
を有し、各ニードルが、基部と注射器部分を有し、各基部が、内側鞘の外側表面でリザーバに取り付けられ、各注射器部分が、内側鞘から半径方向外側に延び外側鞘内に画定された協働穴を通って受容されるようになっていてもよい。
【0069】
処置器具がニードルであるときには、鞘は、標準的なバルーンカテーテルをカテーテル型薬供給装置に転換するために使われる。
【0070】
代替的実施例では、処置器具は、切断器具、例えば、ブレードや小型外科用メスであってもよい。鞘は、好ましくは、その外表面にたくさんの小型外科用メスを含む。このような外科用メスは、最初は、鞘の外側輪郭によって動脈壁から隠されてもよい。
【0071】
鞘は、その外側表面上に少なくとも1つの隆起を有してもよく、各隆起は、各切断器具よりも鞘の外側表面から半径方向外側に更に延びている。
【0072】
好ましくは、各隆起は、折りたたみ可能である。好ましい実施例では、各隆起は、中空の内部ポケット(中空中心)を有しており、バルーンの拡張構成においては、鞘の変形がポケットを平らにして、隆起の大きさを半径方向に小さくして、各切断器具を外に出すようになる。鞘がバルーンの膨張で変形するときに、隆起はそれ故、平らになる。バルーンが膨張すると、鞘の輪郭は、滑らかになり、切れ刃が外に出る。更に、鞘は、より安全でより簡単に装置を使えるようにするようにするバルーンの最適なたたみと最小のバルーン引き抜き抵抗を可能にする。(シリコン)鞘は、以下の多くの機能を有している。(i)カテーテルが所定位置に操作される時に器具(外科用メスのブレード)から動脈壁を保護する、(ii)バルーンがブレードで切り裂かれないように、バルーンや器具(ブレード)の直接の接触を防止している、(iii)器具(ブレード)の全てが常にバルーンと直角になるようにしている、(iv)バルーンの引き抜き抵抗を引き続き減らすようなその最初の輪郭へのバルーンの収縮を助ける、(v)鞘は、現在の技術と比較した時にカテーテルの輪郭を減じるようなバルーンの適切な折り畳みを可能にする。
【0073】
処置器具がブレードであるときには、鞘は、標準的な血管形成バルーンをカッティングバルーンに変換するのに使われ得ることが理解される。
【0074】
鞘は、鞘の位置決めを補助するために、放射線不透過性の目印のような少なくとも1つの目印を備えてもよい。
【0075】
隆起は、一対で設けられてもよく、望ましくは、少なくとも1対の隆起が、処置器具の対向側にそれぞれ設けられる。このことは、器具の効果的な遮蔽を保証している。望ましくは、少なくとも1つの隆起が曲面状外表面を有している。この曲面状の輪郭は、血管での装置の移動を容易にし、引っかかったりぶつかったりするような角のある形状がない。この点で、凸面として曲面状の外表面を有することは有用である。
【0076】
本発明者は、効果的な遮蔽を提供するが、血管内での移動にふさわしい形状を有する1つの適切な構成が、少なくとも1つの隆起が実質的にその断面形状において楕円形であるということを発見した。そのような形状は、効果的な遮蔽を提供し本質的に円形構造に効果的に折りたたむことができることがわかっている。望ましくは、1対の隆起は、作動器具上方の点に互いに収束する。この器具へ向かう輪郭は、効果的な遮蔽と隆起の効果的な収縮を許容する(そして、鞘の厚みにおける全体としての実質的な減少に帰結する)。
【0077】
複数組の隆起が設けられると、複数組の隆起は、その断面形状が実質的に楕円形としてもよい。
【0078】
上記したように、拡張構成においては、少なくとも1つの隆起を含む鞘は、隆起が平らになると、実質的に円形断面と見なされるのが望ましい。基本的に、このことは、鞘の厚みが、拡張されていない鞘や隆起の厚みから拡張された鞘や平らにされた隆起の厚みへと減少することを意味している。
【0079】
1つの実施例では、器具の基端は、鞘に沈められている。望ましくは、器具は、切断器具であり、切断器具の基端は、鞘に沈められる。このことは、例えば、鞘が形成される時に、器具が鞘の中に型成形されうることを意味している。(例えば、凹部の伸縮によって)器具が凹部から外れてしまうのを避けるために、耐伸縮要素が、鞘の局部的な伸縮を防止するように、沈められた切断器具に近接した鞘に、例えば、切断器具の下方に設けられるのが望ましい。
【0080】
本発明の鞘は、一般に、環状リングの形状を有することが理解される。
【0081】
1つの代替例としては、或いは、鞘の環状リングから突出する隆起の存在により中断される外形輪郭を有することに加えて、本願の発明者等は、少なくとも1つの中空内部ポケット内に形成することが有用であり、バルーンの拡張構成において、鞘の変形が、ポケットを平らにすることを発見した。ポケットの存在は、リングの厚みが大きくなるが、外側輪郭は隆起によって中断されないことを意味している。
【0082】
処置器具は、少なくとも1つの中空ポケット内に収納され、バルーンの拡張構成においては、鞘の変形は、ポケットが平らになって処置器具を使用のために外に出す。このことは、ポケット内の内側ハウジングであり、ポケットは器具を横断して、器具はポケットの外側輪郭を越えて延びることはない。器具は、このようにして、非常に効果的に遮蔽される。随意的に、ポケットは、作動器具がバルーンの拡張構成に延びるための開口を備えている。
【0083】
複数のポケットが、各ハウジングの作動器具に設けられてもよいことは理解される。しかし、代替的或いは追加的に、(材料のリング内に)作動器具を収容しない、少なくとも1つのポケットが設けられることが望ましい。そのようなポケットは、鞘の厚みの減少を制御するための制御ポケットとして用いられうる。そのようなポケットは、一般に、鞘の厚みの大きな減少を保証するように作用器具に近接して配置される。このことは、器具のより大きな露出を可能にする。作用器具を収容しないような複数のポケットが設けられるのが望ましい。
【0084】
本発明のいずれの鞘も、バルーンカテーテルのような拡張可能部材を有するカテーテルに作動のために組みつけられうることが理解される。
【0085】
本発明は、伸縮自在な環状鞘をバルーンカテーテルに装填するためのバルーンカテーテル鞘装填装置であって、該装置は、
バルーンカテーテルが鞘内に収容されるように、バルーンカテーテルに鞘を嵌めるために鞘を伸縮する伸縮部を有し、
該装置は、鞘が伸縮される間にバルーンカテーテルが摺動できるようになっているような装置に関する。この装置は、鞘を装置へ嵌めるのを容易にする。特に、この装置は、本発明による鞘をカテーテルに装填するのに使われてもよい。
【0086】
伸縮部は、鞘を伸縮するために互いに拡張可能な複数の部材からなってもよい。このことは、つかんだり嵌めたりするのが容易になる。随意的には、鞘を内部につかむために部材が設けられる。鞘は、その環状リング内につかまれ、外向きに伸縮されてもよい。1つの簡単な構成は、部材がつかみフィンガであることである。一般に、拡張可能部材は、鞘を伸縮するように離れることによって拡がる。
【0087】
1つの例においては、拡張可能部材間に挿入可能なプッシュロッドは、拡張可能部材を離すようになっている。望ましくは、プッシュロッドは、カテーテルがプッシュロッドに挿入できるように中空となっている。適切に位置決めし及び/または保護するために、カテーテルは、鞘への挿入の間、中空の保護部材内に収容される。中空の保護部材は、拡張可能部材を離すようになったプッシュロッドであってもよい。
【0088】
1つの例においては、伸縮部は、伸縮鞘をカテーテルに解放するために分解されうる。代替的には、伸縮部は、鞘をカテーテルに解放するために、切断または破壊されうる。
【0089】
望ましくは、伸縮部は、伸縮された鞘をカテーテルに解放するために、鞘から摺動可能に取り外し可能である。このことは、鞘をカテーテルに解放する効果的な方法である。
【0090】
本発明は、更に、管状鞘をバルーンカテーテルに装填するための代替的バルーンカテーテル鞘装填装置であって、該装填装置は、
バルーンカテーテルが送られる中央通路を画定する内側表面と、鞘が伸縮嵌めされる外側表面を有する内側管を形成するように端部方向に解放可能に相互連結可能な第1と第2の中空で細長い(円筒形)管状部と、
該内側管とそこに取り付けられる鞘を包囲する外側スリーブを形成するように端部方向に解放可能に相互連結可能な第1と第2の中空(円筒状)スリーブ部とを有する、装置を提供する。
【0091】
本発明は、更に、鞘をバルーンカテーテルに装填するための方法であって、該方法は、伸縮部を有する装填装置を提供する工程と、鞘を伸縮部に係合する工程と、必要に応じて十分に鞘を伸縮するために伸縮部を拡張し、伸縮された鞘をカテーテルに嵌める工程と、鞘をカテーテルに解放する工程とを有する方法を提供する。
【0092】
本発明は、更に、管状鞘をバルーンカテーテルに装填するための組み立てられたバルーンカテーテル鞘装填装置であって、該装填装置は、装填装置とそこに嵌められる鞘からなる、装置を提供する。
【0093】
従って、血管壁内の病変や損傷の部位を処置するために効率的で安全な技術を利用する技術基盤に基づいて、治療薬供給装置或いは切断装置として使われる、局所的なカテーテル型処置装置が提供される。この技術は、カテーテルがその使用位置に前進される時に動脈壁から(注射針のような)処置器具を隠すために(例えば、シリコンやミクロ組織材料からなる)柔らかい鞘の材料特性を利用した、カテーテル型装置である。
【0094】
カテーテルがその意図した使用位置に配置されると、バルーンが膨張される。処置器具がニードルである、1つの実施例では、これは一連のニードルを半径方向外向きに強制し、バルーン拡張が鞘をバルーンを越えて伸縮するようになし、バルーンと鞘の間にあるニードルが鞘に設けられた穴を通って押され、動脈壁の病気や薬供給を所望する位置へと押される。
【0095】
装置は、バルーンが膨張される時にニードルが治療的供給の部位に露出されるようにする鞘の圧縮不可能な材料特性を利用するようにニードルを隠すこの原理に基づいている。この技術は、カテーテルが位置決めされる時に動脈に最小限の損傷を与えるように治療薬を送る安全方法論を提供する。
【0096】
拡散ニードル装置は、現在利用可能なカテーテルと較べて均一に薬が分配されるようにする。最小の損傷が、この方法によって生じるので、新内膜過形成は、本発明の装置では重大な問題ではなくなる。
【0097】
装置は、鞘がバルーンとニードルがその最初の位置に引っ込むようにするときに、1ヶ所以上で使われることが理解される。これに続いて、装置は、処置の次の位置に動かされうる。この特徴は、周辺の病気を拡散したり、多くの傷つきやすい血小板を備えた動脈にとって有用でありうる。この特徴は、装置のバルーン引き込み抵抗を減じる。
【0098】
鞘は、器具との接触に対してバルーンを保護することが理解される。器具とバルーンの間の接触は、バルーンの穴あけを引き起こしかねなく、望ましくない。
【0099】
本発明の装置の一時的な利点は、処置器具がカテーテル内に隠されるような、また、鞘の材料特性が正しい位置で器具を見せるように使われるということである。
【0100】
更に、この装置を使うと、薬供給方法は、現在利用可能な方法よりも効率的となる。
【0101】
これら2つの局面が、利用可能な生産物と現在は臨床的に使われていない特許された生産物と本発明を差別化している。動脈壁への損傷を引き起こす、露出されたニードルを受け入れる以前の設計と、以前の局所薬供給カテーテルは、効率のよいものではなく、薬の約15%だけを所望の領域に送るものであった。
【0102】
本発明の装置によれば、弾性の鞘が自動的なバルーンの収縮とニードルの引き込みを引き起こすときに、処置後のバルーンの収縮が起こる。このことは、バルーンの収縮の問題点の疑念を取り除く。従来技術の装置は、このフェールセーフ機構を有してはいない。
【0103】
本発明と従来技術の更なる違いは、以下のようである。
スリーブは、引き込みと拡張の両位置において、常に、バルーンにしっかりとはまっている。
弾税材料は、器具を隠すのに使われる。
鞘は、いかなるバルーンカテーテルにも後から取り付けられる。
【0104】
更に、本発明は、多くの異なる出願のための基本技術として用いられてもよく、単独の装置としても、現在の過程の追加の特徴、すなわち、薬溶解ステントの供給の間の近接端や末端の再狭窄を防止するモジュールとして用いられうる。
【0105】
技術は、動脈壁に治療薬を送るための現在の装置として、著しい商業的な利益を提供することができ、病気の血管を拡張する装置は、提案された基本の技術ほど安全でも効率的でもなく、更に、この本願技術の基本が、多くの生産物の適用が可能であるように設計されているのに対して、現在の装置は、その適用領域が制限されている。
【0106】
装置の形状寸法や設計は、その意図する適用に合わせて適用可能であることが理解される。例えば、慢性全閉塞カテーテルとして使われるときには、あらゆるニードルは、カテーテルの前部に向けて偏せられ、輪郭は、僅かに変更され、特別のバルーン形状寸法が、損傷形状寸法の原因となるように使われる。
【0107】
本発明の装置は、鉄肌ステント(BMS)の縁や薬溶解ステント(DES)への局所的な生物療法的供給のために使われ得る。
【0108】
本発明の装置は、ステント送りカテーテルを組み込まれてもよい。このモジュールの設計は、ステンと送りカテーテルの交雑能力や輪郭を解決するわけではない。BMSでは、本発明のこのような利用は、ステント内再狭窄を減らすかもしれない。このモジュールは、複雑で費用のかかる薬溶解ポリマー被覆剤の開発の必要性なく、反増殖的な薬の動脈壁への直接の注入を可能にする。
【0109】
DESに配置された薬送りモジュールのために、材料特性や寸法形状が、単一のバルーンが全供給(ステントや薬)のために用いられるようなステント拡張の寸法形状に適合するように少し変更されねばならず、ステントが心臓内科医によって保持される時に薬が注入されるということが期待される。
【0110】
本発明は、病変部位に生物学的両方の解決策を送るのに使われ得る。
【0111】
本発明によれば、人体または動物の血管壁の1つ以上の狙った領域を処置するための方法であって、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用し、収縮構成における拡張可能部分に収縮力を作用するために拡張可能部分に嵌まる(随意的には、伸縮可能に嵌まる)保護鞘と、
拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも2つの隔置された処置器具とを有し、装置の収縮構成において、該器具が保護鞘内に隠されており、装置の拡張構成において、鞘の厚みが血管壁の狙った領域に接触するように器具を外に出すために減少することを特徴とする装置を提供する工程と、
b)装置を血管の内部にその収縮構成において挿入する工程と、
c)狙った領域に届くように、血管内で装置を前進させる工程と、
d)血管壁を接触するように器具を露出させるように拡張可能部分を拡張する拡張力を提供する工程と、
e)拡張力を取り除いて、収縮力が、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するようになす工程と、
f)全ての狙った領域が処置されるまで、工程c)から工程e)までを繰り返す工程と、
g)装置を血管から引き出す工程とを有することを特徴とする方法が提供される。
【0112】
本発明の一態様においては、この方法は、血管壁との接触のための器具を露出した後、治療化合物を処置器具を通って血管壁に送る工程を含む。
【0113】
傷つきやすい血小板カテーテルとして使われるときには、病変の繊維質皮膜によって生じる最小の損傷を伴ってニードルを血小板皮膜に侵入することを可能とするように改良する。
【0114】
本発明は、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置のための折りたたみ可能な処置器具ガードであって、該装置が、
血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
拡張可能部分から半径方向外側に延びる少なくとも1つの処置器具と
を有しており、装置の収縮構成において、器具が少なくとも部分的にガードによって保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、ガードが提供される。
【0115】
従って、ガードは、2つの機能を有しており、第1は、装置がその収縮構成において血管を移動するときに、血管の壁を処置器具から保護することである。ガードの第2の機能は、治療物質のような流体をまず貯蔵し、そしてブレードが血管壁に接触するときに血管の狙った領域に追い出すことである。治療物質は、薬を含んでもよい。
【0116】
好ましくは、ガードは、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するために拡張可能部分に圧縮力を加えるように、また、その収縮構成において拡張可能部分に圧縮力を加えるように、装置の拡張可能部分に伸縮可能に嵌められる保護鞘の一部である。
【0117】
本発明は、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置に嵌まる保護鞘であって、該装置が、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
b)拡張可能部分から半径方向外側に延びる少なくとも1つの処置器具と
を有しており、該保護鞘は、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するために拡張可能部分に圧縮力を加えるように、拡張可能部分に伸縮可能に嵌められるようになっており、少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、器具はガードによって少なくとも部分的に保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、保護鞘が提供される。
【0118】
本発明は、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置に嵌まる保護鞘であって、該装置が、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
b)拡張可能部分から半径方向外側に延びる少なくとも1つの処置器具と
を有しており、該保護鞘は、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するために拡張可能部分に圧縮力を加えるように、拡張可能部分に嵌められるようになっており、少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、器具はガードによって少なくとも部分的に保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、保護鞘が提供される。
【0119】
本発明は、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するためのバルーンカテーテルに嵌まる鞘であって、該鞘が、バルーンをその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するためにバルーンに圧縮力を加えるように、バルーンに伸縮可能に嵌められるようになっており、該鞘は、
バルーンから半径方向外側に延びるように鞘内に取り付けられる少なくとも1つの処置器具と、
少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードと、
を有し、装置の収縮構成において、該器具はガードによって少なくとも部分的に保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、鞘が提供される。
【0120】
本発明は、更に、人体または動物の血管壁の狙った領域を処置するための装置であって、該装置は、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
b)装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用し、収縮構成における拡張可能部分に収縮力を作用するために拡張可能部分の第1領域に伸縮可能に嵌まる保護鞘と、
c)保護鞘上にあり拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも1つの処置器具と、
d)保護鞘上の少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、該器具がガードによって少なくとも部分的に隠されており、装置の拡張構成において、ガードが血管壁の狙った領域に接触するように器具を露出させるためにつぶれ、ガードは、ガードのつぶれる動作のもとで装置から流体を追い出すように配置されている、装置を提供する。
【0121】
最後に、本発明は更に、人体または動物の血管壁の1つ以上の狙った領域を処置するための方法であって、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用し、収縮構成における拡張可能部分に収縮力を作用するために拡張可能部分に伸縮可能に嵌まる保護鞘と、拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも1つの処置器具とを有し、装置の収縮構成において、該器具が保護鞘内に隠されており、装置の拡張構成において、鞘の厚みが血管壁の狙った領域に接触するように器具を外に出すために減少する、処置器具と、少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、該器具がガードによって少なくとも部分的に隠されており、装置の拡張構成において、ガードが血管壁の狙った領域に接触するように器具を露出させるためにつぶれ、ガードは、ガードのつぶれる動作のもとで装置から流体を追い出すように配置されている、処置器具ガードとからなる装置を提供する工程と、
b)装置を血管の内部にその収縮構成において挿入する工程と、
c)狙った領域に届くように、血管内で装置を前進させる工程と、
d)血管壁を接触するように器具を露出させるように拡張可能部分を拡張する拡張力を提供する工程と、
e)拡張力を取り除いて、収縮力が、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するようになす工程と、
f)全ての狙った領域が処置されるまで、工程c)から工程e)までを繰り返す工程と、
g)装置を血管から引き出す工程と、
を有することを特徴とする方法を提供する。
【0122】
また、本発明の態様は、本発明の特許請求の範囲に記載されている。発明の概要に記載され、以下の発明の詳細な説明に記載した装置、鞘、装填装置、方法の態様は、添付の特許請求の範囲に記載した本発明の態様と組み合わせることができることは理解される。
【図面の簡単な説明】
【0123】
本発明は、添付の図面を参照して、更に詳しくここに説明する。
【図1】図1は、本発明の装置の図である。
【図2】図2は、血管の空洞内の生体手術中の本発明の1実施例による装置の断面図である。
【図3a】図3aは、図2の装置の前バルーン展開での断面図である。
【図3b】図3bは、図3aの装置の図3aの線A−A’に沿った端部断面図である。
【図4a】図4aは、図2の装置の後バルーン展開および薬送りでの側面断面図である。
【図4b】図4bは、図4aの装置の図4aの線A−A’に沿った端部断面図である。
【図5】図5は、本発明の装置の更なる3つの実施例の斜視図である。
【図6】図6は、本発明の1実施例による鞘の斜視図である。
【図7】図7は、本発明の装置の展開構成における断面図である。
【図8】図8は、図7の装置の収縮構成における断面図である。
【図9a】図9aは、本発明の1実施例による切断鞘の断面図である。
【図9b】図9bは、図9aの鞘のブレード領域の詳細図である。
【図9c】図9cは、図9aの鞘のブレードが露出された変形時の一部の断面図である。
【図10】図10は、本発明の代替鞘構造の斜視図である。
【図11】図11は、バルーンカテーテルの斜視図である。
【図12】図12は、図11のカテーテルに取り付けられた、図10の鞘からなる組立体の斜視図である。
【図13】図13は、本発明で使われる切断器具の1実施例の斜視図である。
【図14】図14は、更に円錐頭を有する、図12による組立体の斜視図を示す。
【図15】図15は、拡張しない構成での、図10の鞘の断面図を示す。
【図16】図16は、部分的に拡張した構成での、図10の鞘の断面図を示す。
【図17】図17は、完全に拡張した構成での、図10の鞘の断面図を示す。
【図18】図18は、図15から図17の(矢印で示した)反転可能な順序を一枚の図で示す。
【図19】図19は、更に可能な鞘・処置器具構造の斜視図を示す。
【図20】図20は、図19の線A−A’に沿った、図19の構造の断面図を示す。
【図21】図21は、ニードルのような器具を内部に(ポケットに)収容するようになった、本発明の鞘の更に可能な構造の斜視図を示す。
【図22】図22は、展開しない構成における図21における鞘で器具を取り付けられた鞘の断面図を示す。
【図23】図23は、展開構成における図21における鞘で作動位置における器具を備えた鞘の断面図を示す。
【図24】図24は、鞘をバルーンカテーテル上に配置した位置における本発明の鞘装填装置の1実施例の斜視図を示す。
【図25】図25から図27は、鞘を装填装置からカテーテルに移動するための順番を示す。
【図28】図28は、装填されたカテーテルの斜視図を示す。
【図29】図29は、本発明の鞘装填装置の2つの部分を示す。
【図30】図30は、図29から組み立てられた部分を示す。
【図31】図31は、本発明の鞘装填装置の追加の部分を示す。
【図32】図32は、鞘が取り付けられた、図29と図30の部分を示す。
【図33】図33は、完全に組み立てられた鞘装填装置を示す。
【図34】図34は、装填前のバルーンカテーテルの原位置での鞘装填装置を示す。
【図35】図35から図38は、鞘がカテーテルバルーンに装填されたときの鞘装填装置の分解段階を示す。
【図39】図39は、本発明の1実施例の鞘を示す。
【図40】図40は、図39の鞘の断面を示す。
【図41】図41は、動脈空洞内での生体での手術の間の図39と図40の鞘の断面斜視図である。
【図42】図42は、本発明の1実施例のカテーテル型処置装置である。
【図43】図43は、本発明の更なる実施例のカテーテル型処置装置である。
【図44】図44は、図43の貯蔵バルーンの断面図である。
【図45】図45は、本発明の更なる実施例のカテーテル型処置装置である。
【図46】図46は、図45の貯蔵バルーンの断面図である。
【図47】図47は、本発明の更なる実施例のカテーテル型処置装置である。
【図48】図48は、更に詳細に示された貯蔵部分を備えた貯蔵バルーンの断面図である。
【図49】図49は、本発明の更なる実施例の鞘の部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0124】
図面に示したのは、動脈や静脈やその他の中空器官のような内部体腔の処置のための、本発明によるカテーテル型装置である。同様に、本発明による後から取り付ける鞘と、鞘装填装置が示されている。図1から図9及び図21から図23は、ニードルである器具を備えた装置を示しているが、図示の装置や鞘は、その他の図面を参照して図示し記載した1つ以上のブレードのような代替的な器具と共に使うようにされてもよいことは理解される。
【0125】
図1は、本発明の1実施例によるカテーテル型薬供給装置1を示している。この装置は、ガイドワイヤ(図2に示す)を介して脈間構造に挿入可能であり、収縮位置と拡張位置の2つの位置を有するマイクロニードル2を有している。ニードル2は、バルーンカテーテル4の表面に取り付けられており、多内腔供給ホース8へと可とう性管6を介して接合されている。ニードルやマイクロニードル、または(直接薬を注入するための)ステムは、中空のニードル型リザーバ12に取り付けられている。ニードルステム10は、リザーバ12から外側に突出しており、ゴム製スリーブまたは鞘14内に保護されている。バルーン4の膨張に伴い、ニードル2は、(半径方向で)外向きに動き、保護鞘14の伸縮が生じ、次に、ニードル2を露出するように作用する。ニードル2は、露出されると、体腔の壁に埋め込まれる。ニードル2が、動脈壁のような体腔に埋め込まれて、続いてバルーン4が膨張するときに、薬は、例えば、病気の血管壁に、局所的に送られる。バルーン収縮が生じると、ニードル2は、鞘14の張り出しで引っ込む。収縮された組立体は、ガイドワイヤ16を介して、体から安全に取り除かれる。この過程において、ニードル2は、隠されており、装置の挿脱によって内皮細胞に損傷を与えることはない。
【0126】
停止しているとき、弾性のある鞘14の内径は、つぶれた状態のバルーンカテーテル4の外径よりも小さくなるようにされている。これにより、鞘がバルーンに装てんされる時にはいつも、鞘とバルーン間の嵌めあいがしっかりなるようになる。したがって、鞘は、バルーンカテーテルに伸縮可能に嵌められなければならない。鞘の弾性は、鞘が常にバルーンに圧縮力を作用するようにする。バルーンは、従って、膨張させるためにバルーンに加えられる圧力下で導入される空気や流体の影響によって、大きな対抗力がバルーンによって鞘に加えられるときに、常に収縮した状態に維持される。
【0127】
全ての実施例において、膨張可能部材(バルーン)は、バルーン内に何らの空気や膨張流体が実質的に存在しないような、つぶれ構成を、一般に有している。一般に、バルーンは、つぶれると、折りたたまれた構成になる。望ましくは、鞘の圧縮力が、その折りたたみ構成においてバルーンに作用する。鞘は、バルーンをその折りたたみ構成へと偏奇する。
【0128】
バルーンが膨張すると、鞘は、漏れのない送りができるように、ニードルと動脈間の密封を生じる。この密封は、シリコン材料のような鞘のための柔軟な材料を選ぶことによって達成される。鞘のためのその他の適切な材料としては、ポリウレタンやゴムが含まれる。
【0129】
上述したように、鞘の弾性は、バルーンが一旦収縮されると、ニードルが収縮するようになす。このことは、装置がその最初の構成に戻ることを可能とし、装置が1つの過程で複数の場所で使われることを可能とする。
【0130】
保護気泡ゴムカバーまたは鞘14が、図2に示される。選択される材料は、ニードルステム2が、バルーンの展開で露出することを可能にする程度に可とう性で伸縮自在であるが、より重要には、バルーン収縮が起こるときに、ニードルステムの収縮と保護を時宜に適って提供したり補助したりする。このことは、装置の安全な挿入と時宜に適った取り外しのために特に重要である。
【0131】
図3及び図4は、部分的に閉塞された血管空洞24内での生体内手術の間の、装置の断面概略を示す。図3において、血小板26が、部分閉塞を引き起こす内部空洞壁28の周囲に局所的に生じることが示されている。装置は、原位置に配置されて示されている。矢印27は、バルーン展開力を示し、矢印29は、圧縮スリーブの反力を示している。
【0132】
図3及び図4は、展開中及び展開後の手術に示される、装置の重要な特色の1つを示している。図示するように、バルーン圧力27は、マイクロニードル2が半径方向外側に動くようにする。圧縮力と周方向伸縮のために、保護鞘14は、圧縮され(一般に、鞘の圧縮は、ポアソン効果によって生じる)、これにより、空洞壁28の血小板26への直接の薬供給(線25で示される)を許容するマイクロニードルステム10を露出する。
【0133】
図5のAからCは、本発明の装置の3つの実施例を示している。実施例Aは、鞘14が複数の材料リング30を備えたモジュラー設計に基づく、特に柔軟性のある実施例である。これらのリング30は、互いに完全に分離しており、1つ以上の相互連結リンクによって接合されてもよい。実施例Bは、短いバルーン4を有しており、鞘14は、バルーンの先端に隣接する処置器具2を有している。この実施例は、治療的送りが閉塞部に可能な限り近づくので、慢性の完全閉塞を処置するのに最も適している。このことは、治療溶液が、病変部にできるだけ近く、脈間構造を作り直すことを可能にし、例えば、脈関係性促進が、手足や器官のあらゆる領域が血液流を供給されるようにするために閉塞部のすぐ上流に側副動脈を形成する。実施例Cは、ステント装填カテーテルに取り付けられるのに適した近接及び末端再狭窄モジュールである。ステント70は、バルーン4の端部に閉じ込められる鞘リング30の間の、バルーン4の中央周辺の原位置に示されている。このモジュールは、ステントが埋め込まれる領域の末端、近接端或いはその両方の動脈壁に治療薬を送る能力を有しており、これは、縁部再狭窄の危険を取り除いたり減らしたりする。
【0134】
図6は、本発明の1つの実施例による後から取り付ける鞘32を示している。この鞘は、内側鞘34と外側鞘36を有する2部品鞘である。内側鞘34は、その該表面40に(例えば、成形により)凹状のリザーバ38を有しており、一方、外側鞘36は、ニードルが着座できるように、内部に画定される小さな穴39を有している。ニードル・プレート組立体42は、外側鞘36の下に着座する。外側鞘36の高さhは、ニードル44の高さHよりも大きい。一旦、ニードル組立体42が、凹状リザーバ上にプレート46を位置決めして、設置されると、外側鞘36は、内側鞘34の上に取り付けられ、図7及び図8に示す完成鞘が形成される。鞘がカテーテルに装填されると、治療溶液は、凹状キャビティやリザーバの鞘内に貯蔵される。カテーテルが脈管の病変部に操作された後、バルーンが膨張される。バルーンの膨張によって、鞘は、伸ばされ、鞘内のキャビティは、その容積を減らす。この容積の減少は、治療溶液がリザーバから追い出され、病変部に送られるようにする。
【0135】
図7は、バルーンカテーテルの装填される、図6の後から組み付ける鞘を示しており、バルーンカテーテルは、その拡張構成である。図8は、収縮構成におけるカテーテルを備えた同様の装置を示している。
【0136】
後から組み付ける鞘が切断装置として用いられる場合には、簡単化された鞘が用いられる。図9aから図9cは、処置器具がマイクロサージカルメスであるブレード50であるような後から組み付ける切断鞘48を示している。メスは、最初は、鞘48の外側輪郭によって動脈の壁から隠されており、このことは、健康な血管壁を損傷することなく、動脈の病変部にカテーテルが操縦されることを可能にする。使用前及び使用後に動脈壁からブレード50を隠すのは、図9に示すように鞘48の隆起51である。鞘がバルーンに位置決めされ、バルーンが膨張されると、隆起51の穴52が図9cに示すように平らになり、鞘48の輪郭は滑らかになり、ブレード50の切断縁は露出される。これらのブレード50は、狭窄した動脈壁に接触し、アテローム性病変が制御されて溶解されるようにする。この方法は、バルーンの拡張力が複数の分離した点に集中することを可能にし、困難な病変が低圧(4から8気圧、4から8x105パスカル)で成功裏に溶解されるようにする。
【0137】
鞘またはスリーブ50は、いかなるバルーンカテーテルにも後から組みつけられるようになっている。本発明の場合は、鞘48は、弾性材料でできており、器具50を隠すことは、スリーブ48の弾性によって達成されていることが理解される。鞘の穴52は、バルーンの膨張と鞘の変形によりブレード50の露出を可能にしており、これは、図9の最終概要に示されている。図5aに示したニードルと同様に、不連続の点で連結された不連続管を有する切断鞘の多くのその他の設計がある。
【0138】
図10は、本発明による鞘80の斜視(先端を切った)図を示す。鞘80は、図11に示すタイプのバルーンカテーテル90に嵌めるのに適している。バルーンカテーテル90は、本実施例では、膨張可能バルーンである拡張可能部分91を有している。鞘80がカテーテル90にかぶさると、図12に示す組立構成・装置100の形態をとる。図13に示すタイプの(実施例3の)可とう性マイクロブレードは、以下により詳しく説明する、鞘80の各対の隆起の間の鞘80に取り付けられる。本実施例は、切断ブレードを有するものとして記載されているが、鞘は、代替的な追加の処置器具を保持できることは理解される。ブレード90は、切断チップ96とベースエンド97を有している。ベースエンド97は、接着によって鞘80に取り付けられているが、他の取り付け方法が利用されてもよい。実施例では、ブレード95は、ほぼ鞘の全長さにわたり、バルーンの長さに沿った切断作用をする。ブレードは、可とう性の材料でできており、実質的に連続している。ブレードは、一連の短いブレード部分で形成されてもよいことは理解される。
【0139】
図12に示す装置の構成は、バルーンの収縮構成を示している。この構成において、装置は、体の内腔や血管内で、器具が鞘内に隠されたままで狙った領域まで移動するようになっている。
【0140】
多数の隆起が鞘80の一部として形成されている。各隆起は、それぞれ中空内部ポケット82を備えた楕円形隆起81として形成されている。実施例では、ポケット82は、鞘80の略全(作動)長さに沿って延びており、鞘の管状リング85上に形成されている。しかしながら、装置が内腔内を移動するために動かされるときに、隆起が器具を内腔との接触から保護し、隆起の長さと位置は、要求される保護機能に応じて調節されることが理解される。各ポケット82は、鞘材料のひだによって中空に形成される。
【0141】
図からわかるように、隆起はついで設けられる。実施例では、3対の隆起がある。各1対の隆起は、処置器具の対向側に設けられる。実施例では、隆起はそれぞれ、曲面状の該表面84を有している。表面84は、凸形状をしている。図からわかるように、隆起は、断面で略楕円形をしている。各対の隆起は、作用器具上部の何らの点で(その主軸に沿って)互いに収束している。このようにして、各作用器具が効果的に(側方に)保護されることを保証するように、隆起が(最高点が)作用器具に向けて輪郭を形成される。この構成では、作用器具は、隆起内にある。
【0142】
図14に示すように、円錐頭101は、カテーテル90と鞘80間の移行を滑らかにするために設けられてもよい。「円錐頭」という用語は、そのような移行を提供する適切な突出部を示すために用いられ、円錐形状に制限されないことが理解される。望ましくは、円錐頭101は、テーパ状の輪郭を有している。円錐頭101は、カテーテルやカテーテルと鞘の組立体の先端102に設けられている。実施例では、円錐頭は、カテーテルチップ102と鞘100の間の滑らかな表面移行を提供するフレアスカート103である。円錐頭は、その隆起を含む鞘の外側輪郭に適合するようになっていてもよい。実施例では、(下方)移行部105によって接合される突起104によって示されている。同様の装置が組立体100の対向端に同様にして設けられうることが理解される。そのような場合には、第2装置が「テールコーン」と考えられても良い。これは、(組立体の後端にある)体から装置を引き出すのを助ける。
【0143】
図15から図17は、カテーテルのバルーンの拡張の間の鞘の構成における変化を示している。カテーテルは、明瞭化のために、図面から除かれている。しかし、鞘に(内方へと)加えられる拡張力は、バルーンカテーテルからもたらされる。
【0144】
最初は、図15に示すように、拡張していない構成において、作用器具95は、対になった隆起内に保護されている。図に示すように、鞘80の周囲に略120度ずつ離されて3つの作用器具が設けられている。この構成では、組み立てられた鞘とカテーテルは、器具95がぶつかる心配なく体内腔を動くことができる。
【0145】
図16が示すように、カテーテルのバルーンによって内部から加えられる拡張圧力が鞘80によって処理されるとき、鞘の厚みは、器具を血管壁の狙った領域に接触するようにさらすために減少する。図16から分るように、隆起81及び特にポケット82は、鞘80の有効厚さが実質的に減らされるように、平らになり始める。器具95(特に切断チップ96)が、対向する隆起の間の入れ子位置から偏奇され、血管壁との接触からもはや保護されないようになる。管状リング85は、厚みを減じ、隆起81は、共に厚みを減じて平らになり始める(両効果は、器具を露出するのに寄与する)。実際、拡張が続くと、図17に示すように、隆起は、平らになり、これらが1つの大きな(円形の)伸縮リング87に実質的に吸収される限度まで伸縮する。図16または図17の構成では(或いは、その中間の位置では)、器具は、作用することができる。バルーンが上記した拡張と反対の位置に収縮すると、収縮が起こる。
【0146】
図18は、(左から右への)拡張と(右から左への)収縮の間の鞘構成の可逆的順序を示すために便宜上設けられている。
【0147】
一旦、装置がその収縮構成に戻ると、ぶつかったりする心配なく、体内を自在に動くようになることは明らかである。
【0148】
図19は、上記した鞘80の構成と類似の鞘110を示している。この場合、処置器具(ブレード111)は、体との接触から保護されたブレードの先端112を備えて、保護位置に示されている。上記した鞘と比較して、追加の特徴の1つは、作用器具(ブレード111)が鞘内にへこまされていることである。特に、ベース部分113が鞘の表面を貫通し、鞘に埋め込まれている。器具は、凹部内に収容されたその基部を備えて鞘内にへこまされている。この実施例では、器具は、鞘が形成される時にその位置に形成される。或いは、導管やその他の凹部が、器具が後ほど取り付けられる鞘に設けられ得る。そのへこんだ位置からの器具の取り外しを避けるために、補強部材を器具のそばに設けて、鞘が鞘への器具の固定位置でのまたはその周辺での伸縮の可能性を禁ずるようにすることが賢明であるかもしれない。実施例では、補強部材115は、器具112の下の位置で鞘に沿って延びる。補強部材115は、このようにして、器具のいかなる点での取り外しをも禁ずるような十分な長さである。
【0149】
図21は、本発明のもう一つの実施例を示している。鞘120は、その拡張していない構成で示されている。鞘120は、材料121の環状リングを有している。開口122が上記したようなカテーテルバルーンを受容するようになっている。一連のポケットが鞘120に形成されている。特に、鞘120は、多くのポケットを備えた変形可能なヘッド部分126を有している。実施例では、単一のヘッド部分が示されているが、複数が設けられてもよいことは理解され、例えば、そのようなヘッド部分の構成が鞘の他の部分に繰り返されてもよい。ポケット124は、器具をその中に収容するようになっている。一連のポケット123が器具ポケット124の各側に設けられる。更に、より大きなポケット125が器具のポケット124の対向側に設けられてもよい。実施例では、鞘120は、開口127を備えて形成されており、これらの開口は、作用器具、本実施例では、ニードルが望ましい、上に配置される。器具の露出は、以下で詳細に記載するように、開口127を通って生じる。
【0150】
図22は、鞘内のポケットに収容される器具、実施例ではニードル130を有する鞘120の端面図を示している。特に、ニードル130は、器具ポケット124内に設けられる。複数のニードル130のような複数の器具が、例えば、開口127を通って露出するように設けられてもよいことは理解される。明瞭化のために、1つのニードル130の作動がここでは示される。図22の構成は、鞘によって保護される器具を備えた拡張しない構成である。
【0151】
図23は、拡張バルーンの力の下で拡張された鞘120を備えた拡張構成を示している。この図面から明瞭に分るように、拡張力の下では、鞘の厚みが減る。このことは、鞘自体の伸縮によって生じ、鞘のポケット(全て)が平らになることによって生じる。特に、鞘のヘッド部分126は実質的に厚みを減らすことは理解される。図23から分るように、効果は、ニードル130が開口127を通って押し出され、作用構成となることである。流体が、他の実施例で上記したように、ニードルに送られうる。
【0152】
図24から図28は、本発明の装填装置140の実施例を示す。装填装置は、伸縮可能な管状鞘141をバルーンカテーテルに装填するものである。装填装置は、伸縮部146を有している。伸縮部146は、複数の部材、この実施例では、フィンガ144を有している。フィンガは、鞘の伸縮のために互いに拡張可能である。図24は、フィンガ144が鞘内に挿入され、プッシュロッド143の挿入によって離されるようになった、鞘の伸縮構成を示している。プッシュロッド143は、操作を簡単にするためのハンドル148を備えている。プッシュロッド143は、中空の管状構成を有している。これは、カテーテル143を摺動可能に収容することができる。プッシュロッド143は、バルーンを鞘に対して正しく位置決めするために、透明であるか、或いは、標識を備えているのが望ましい。ここで、「透明」というのは、カテーテルの位置を目視で決められる程度に半透明であることをいい、または、カテーテルが確認されるような1つ以上の開口窓をも含むものである。
【0153】
フィンガ144は、取り付け部分145に取り付けられている。フィンガは、その関連グリップ151によって、以下に説明するように、折りたたみ可能である。実施例では、3つのフィンガ144が設けられており、それぞれ約120度離れている。図24に示すように、プッシュロッド143をやじる152方向に引くことによって、ロッド143は、フィンガ144間で折りたたまれる。プッシュロッド143の取り外しの結果は、図25に示される構成である。
【0154】
図26に示す過程における次の段階は、フィンガ144の取り外しである。これは、3つのフィンガを取り付ける取り付け部分145のハンドル147を握ることによってなされる。3つのフィンガは、ガイド154によって隔置した構成を維持されている。ガイド154は、フィンガが貫通する開口155を有している。図26に示すように、フィンガ144は、矢印156で示すようにグリップ155を引くことによって折りたたまれる。これは、フィンガ144を鞘下から引き出し、鞘をカテーテル142に解放する。これは、フィンガが鞘の下にもはやない図27の構成へと導く。このことは、取り付け部分が、カテーテル142の適所に鞘141を置くために取り去られることを意味している。装填された鞘141を備えたカテーテル142が、図28に示される。拡張部材(フィンガ)が可とう性であることが理解される。
【0155】
図29から図34は、本発明による更なる鞘装填装置54の組立工程を示している。組み立てられた装置は、4つのそうと連結部分を有している。
【0156】
図29に示すように、第1部分は、その長さの一部を機械加工したスロットを備えた管56である。第2部分は、2つの異なる外径d1とd2を有する管58である。直径d1は、管56の直径d1と同じである。内面57によって画定される、管58の内径は、バルーンカテーテルを嵌めるのに十分な大きさである。
【0157】
図30は、管58を組み立てられた第1と第2の部分が、管56の端部に押し入れられているところを示している。長さL1は、器具つきの鞘が置かれる位置である。
【0158】
図31で、第3と第4の部分は、2つの管60と62として示されている。管60と62は、鞘が取り付けられる時に、組み立てられた管56と58に嵌まる。管60と62は、組み立てられると、以下の機能を有する。(i)鞘がバルーンカテーテルに配置される時に器具から使用者の手を保護する。(ii)管60と62が鞘の取り付け過程で取り除かれるときに鞘を適所に保持する。管60と62は、1部品を形成するか、互いにプレス嵌めされるように互いにねじ込まれている。部分60と62の最小の内径は、管56と58の直径d1に等しい。図12に示すように、鞘64は器具(図示せず)を備えている。その緊張していない直径は、それが取り付けられるバルーンカテーテルの直径よりも少なくとも10%小さい。
【0159】
図32は、その外表面59に取り付けられた鞘64を備えた組立部分56と58を示している。鞘64は、これら組立部分に嵌まるように、周方向に伸縮されている。
【0160】
図33は、鞘64上に装填された部分60と62を備えた完全組立体を示している。このようにして製品が顧客に送られる。
【0161】
図34から図38は、鞘装填過程を示している。図34に示すように、バルーンカテーテル66は、完全組立体の内側管56と58内に配置されている。
【0162】
図36に示すように、組立体の分解を始めるに当たって、部品60と62が操作者によって保持され、部品58が大きな矢印の方向に引き戻されて、カテーテルから取り外される。これは、部品56のへこんだ端部がバルーンカテーテル66上に落下させ、鞘が部品56に加える圧力をいくらか取り除くことを可能にする。これはまた、部分56を取り除きやすくする。
【0163】
図36に示すように、部品60と62は、操作者によって保持され、部品56は、大きな矢印の方向に引かれ、カテーテルから取り除かれる。
【0164】
最終工程が、図37に示されている。部分60と62は、大きな矢印の方向に引き離され、カテーテルから取り除かれる。
【0165】
図38は、バルーンカテーテル66に装填される鞘64を示す簡略斜視図であり、鞘64はバルーンを圧縮している。
【0166】
部品56、58、60と62は、いかなる材料でできてもよいが、最も好適な材料は、透明材料であり、操作者は、鞘がどこに取り付けられているかを見ることができる。
【0167】
放射線不透過性目印は、過程(バルーン血管形成過程)における配列を助けるために、鞘に追加されてもよい。
【0168】
部分58が取り除かれる前にカテーテルを適所に保持するのに追加の部品が必要とされ、これは、部分58に組み込まれてもよい。そうでなければ、追加の手が必要となる。部品56は、取り除くのを容易にするために傾斜をつけられても良い。部品56と58は、その取り除きを容易にするために潤滑されてもよい。装填装置の全ての部品は、人間工学的に設計された握りを、制御を補助するために備えてもよい。
【0169】
図39と図41は、本発明による保護鞘200の代替実施例を示している。鞘は、以下の特徴を除いて、図10と図12、図14から図18に示す鞘と実質的に同じ形状を有している。
【0170】
図39に示すように、複数の薬物注入ポート202が、各突出部204に設けられている。ポート202は、各突出部204の長さに沿って軸方向に整合されている。図40は、図39の鞘の断面図である。図示したように、各ポートは、鞘の外側表面206からその突出部のポケット208の内部へと延びている。この鞘と図10と図12、図14から図18に示す鞘との更なる違いは、各突出部内の内腔の両端が、楕円断面の部分的に密封されたポケット208を形成するように密封されており、薬物注入ポートを介して外側にのみ開口していることである。ポケットは、楕円に限らず、あらゆる断面形状を取りうる。ポケットの実質的な密封性は、薬を含む治療流体のような流体が、各ポケット内に貯蔵されるのを可能にする。鞘の上述した実施例を参照して説明したように、鞘がバルーンに位置決めされ、バルーンが膨張されると、隆起の内腔(ポケット)は、平らになり、鞘の輪郭は、滑らかになる。本発明では、隆起が平らになることやつぶれることは、各ポケットに貯蔵された流体が薬物注入ポートを通ってポケットから引き出され搾り出されるようにする。
【0171】
使用において、図13に示したような切断ブレードのような、複数の処置器具が、各対の隆起の間で鞘に取り付けられることが理解される。しかし、明瞭化のために、図39と図40の鞘は、処置器具なしで示されている。
【0172】
図41は、動脈空洞内での手術中の図39と図40の鞘の断面概略である。鞘は、動脈212の内壁に形成される血小板210を処置するためのカテーテル型処置装置の一部を形成する。鞘は、案内ワイヤ216を介して処置位置に挿入されたカテーテルバルーン214に取り付けられている。装置は、その拡張構成においてバルーン展開を示されている。図示したように、バルーン圧力は、鞘上のブレード218が半径方向外側に動くようにする。圧縮力と周方向伸縮によって、保護鞘200は圧縮され、突出部204は平らにされ、これにより、ブレードを空洞壁の血小板に露出し駆動する。各ポケットは、治療物質を含む流体220を装填される。各ポケットがつぶれると、その中に装填された流体は、鞘の伸縮によるポケットの容積の減少により、薬物注入ポートを通って追い出される。治療流体は、このようにして、ブレードが血小板に接触するときに、病変壁の処置領域に送られる。
【0173】
鞘は、使用後に再充填されてもよいことは理解される。ポケットを充填することは、鞘が治療溶液に沈められるときに、バルーンに鞘を取り付け、バルーンを膨張させることでなされてもよい。このことは、ポケットから空気を抜き、バルーンの収縮に伴い、真空を保証することによって、溶液が薬物注入ポートを通ってポケット内に吸い込まれる。
【0174】
図42は、カテーテル型処置装置350の一部としての鞘300の更なる実施例を示す。この実施例においては、各突出部304のポケット308の末端のみが、鞘の材料によって密封されている。流体供給内腔330は、鞘の近接端において各ポケットの開口端に接続されている。流体がポケット内で予め装填されるよりもむしろ、供給内腔は流体をポケットに供給する。各供給内腔の他端は、治療物質を血管壁の所望の位置に均一に送るカテーテル334の近接端で注射器332に接合されている。分配されうる流体の容積は、これまでの実施例と同様、ポケットの大きさに制限されない。図示したように、鞘を出た各供給内腔330の少なくとも長さは、バルーン314の膨張による鞘の拡大を制限しないように、下にあるバルーンカテーテルに取り付けられていない。
【0175】
図43と図44は、図42の鞘・供給内腔装置と同じものを有するが、異なる流体リザーバを備えたカテーテル型処置装置450の代替実施例を示している。分離流体リザーバ460は、機能的切断バルーン414に近接して配置されている。このリザーバは、各隆起内の各導管に供給内腔430を介して接続されている。リザーバは、可とう性材料(例えば、シリコンやゴム)でできている。リザーバは第2バルーン470を囲んでおり、この第2バルーンが拡張されると、それは治療材料を鞘400の薬物注入ポート402を通ってリザーバから搾り出す。切断鞘バルーンが膨張され動脈壁に接触するまで、第2バルーンは、膨張される。第2バルーンは、バルーンリザーバ膨張内腔480を介して膨張される。
【0176】
このリザーバを充填することは、切断鞘が治療溶液に沈められるときに、第2バルーンを膨張することによって行われる。これは、空気をリザーバから抜き出し、バルーンの収縮によって、治療溶液は、真空を保証することによってリザーバに吸い込まれる。溶液は、切断鞘上の注入ポートを通ってリザーバに吸い込まれる。リザーバは、この実施例の治療溶液の容積を決定する。
【0177】
図45と図46は、カテーテル型処置装置550の更なる実施例を示しており、装置は、上記した実施例と同様の分離流体リザーバ560を有している。この実施例の第2バルーンリザーバ570は、主バルーン514と同じ膨張源によって膨張される。第2バルーン570は、鞘500を拡張する主バルーン514と、異なる態様で製造され、両バルーンのための分離した膨張内腔の必要性をなくしている。使用においては、主バルーンが、まず膨張されて、ブレード518を露出し血管壁へと駆動する。そして、第2バルーンが膨張され、流体をリザーバ560から注入ポート502を通って血管内部に追い出す。
【0178】
図47と図48は、カテーテル型処置装置650の更なる実施例を示している。供給内腔630を接続するリザーバ660が、切断鞘600に直接近接して、鞘に取り付けられている。リザーバ660と鞘600は、主バルーン670を囲んでいる。主バルーン670は、2つの領域を有しており、1領域670aは、2領域670bよりも少ない剛性を有している。バルーンがその呼び圧力に膨張されると、1領域は、その最大直径まで拡張し、ブレード618と鞘600を動脈壁に接触するように押し付ける。更に圧力が上昇すると、2領域670bが拡張し始め、2領域670bをリザーバ660が取り囲み、領域2のバルーンが拡張すると、リザーバ660の容積は減少し、治療物質が注入ポート602を通って搾り出される。リザーバは、弾性材料によって作られている。リザーバを充填することは、リザーバの外側を圧縮し(切断鞘が治療溶液に沈められながら)空気を排出することによって達成される。この保持を解放すると、治療薬は注入ポートを通ってリザーバに吸い込まれる。
【0179】
図49は、本発明による鞘700の更なる実施例の断面を示す。図39の実施例と対照的に、鞘700の各突出部704は、多孔性材料の断面706を有している。明瞭化のために図39から外されていた処置器具705が示されている。多孔性によって、突出部は、細胞質や泡・スポンジ状である。特徴的には、多孔性材料706は、吸収によって流体を注入されうる。鞘の多孔性部分に適した材料は、多孔性シリコン材料を含むが、代替的材料を使うこともでき、制限されるわけではないが、多孔性ポリウレタンや多孔性ゴムを含んでもよい。多孔性断面は、鞘の残りの材料の多孔性のものからなってもよいし、鞘に取り付けられることなる材料からなってもよい。使用においては、処置されるべき血管に導入される前に、流体につけられるか、または、多孔性材料706に直接流体を塗布することによって、鞘は流体に導入されてもよい。その後、バルーンが一旦膨張されると、突出部内の孔や細胞は、平らになり、そこに蓄えられた流体を突出部から血管へと追い出す。
【0180】
明瞭化のために別々の実施例の内容に記載された、本発明の特徴は、1つの実施例にまとめて備えられてもよいことは理解される。反対に、簡潔にするために1つの実施例の内容に記載された本発明の様々な特徴は、別々に、または、いくつかの適切な組み合わせで設けられてもよい。
【0181】
ここで記載される処置器具ガード、鞘及び装置は、2007年8月29日に出願された、同時継続の米国特許出願番号11/846,887号(2007年2月23日に出願された米国特許出願番号11/710,266号の一部継続出願)に記載されたブレード、ベースプレート及びブレード装置と組み合わせて用いられてもよい。例えば、ここに記載された(特に請求項に記載された)処置器具ガード、鞘及び装置は、関連出願(特に請求項に記載された)ブレード、ベースプレート及びブレード装置と組み立てられてもよい。
【0182】
「からなる」及び「有する・含む」なる用語は、本発明と関連して用いられる場合には、その特徴、数、工程数または要素を具体化するために用いられ、1つ以上の他の特徴、数、工程数、要素または郡の追加を排除するものではない。特に、別々の独立した請求項に記載された特徴が組み合わされることは理解される。いかなる従属請求項の特徴も、他の独立請求項に適用可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用具に関する。特に、本発明は、動脈や静脈やその他の中空器官のような内部体腔の処理のためのカテーテルを基本とする医療用具に関する。
【背景技術】
【0002】
循環系の病気は、世界中で主な死亡原因であり、若い患者におけるこの病気の普及が拡大している。加えて、世界規模の社会で流行して、多くの人口が欠陥の病気に関連する危険因子により多くさらされているのである。
【0003】
例えば、アイルランド社会における肥満の増加率は、アイルランド国営新聞の最近の第1面の記事「規模の予想:子供の肥満は3倍になる」(アイルランドの調査官2004年11月22日)において、公衆に提供された。更に、死亡原因の統計は問題の真の規模を提供しており、アイルランドでは、1998年から2003年の間に国内の死者の40%が循環系の病気である(出典:アイルランド中央統計局)。この傾向は、国内の問題ばかりではなく、国際的にも反響を呼んでおり、1998年に米国では全死者の39%が、循環系の病気が原因となっていた(米国人口統計報告2000、48巻、第11、7月24日)。
【0004】
アテローム性動脈硬化(血管疾患)は、動脈壁内の血小板の蓄積である。病気が進行期であると、心臓のような器官への血液の流れが減り、結果として、心臓発作やその他の緊急事態が生じる。バルーン血管形成は、粥状硬化性動脈の再開のために開発された。この手順は、動脈障害物の位置で小型のバルーンを膨らませる。バルーンの拡張は、血小板を圧縮し、動脈壁を拡張し、これにより、動脈をその元の直径に再開し、血液の流れを回復する(バルーン血管形成は、それ自体、或いは、ステントの付加的治療として使われる)。血管形成術用バルーンは、24気圧(自動車タイヤの平均膨張圧力の10倍以上に相当する350p.s.i(2.4x106パスカル)に等しい)にまで、高圧に膨張される。このような高圧で、動脈壁への厳しい損傷が生じる。多くの場合、高圧バルーン血管形成は、動脈の障害物を膨張させることができず、専門的な装置が、障害を膨張させるために必要とされるか、或いはバイパス手術が行われる。
【0005】
これにより、米国特許No.5,196,024号に開示されるようなカッティングバルーンが開発された。この特許は、血管壁に縦方向カットを形成するための切断縁を備えたバルーンカテーテルを用いて、病気の欠陥を膨張したり再疎通する装置及び方法を開示している。
【0006】
この最初の特許が提出されたので、カッティングバルーンのブレード遮蔽能力を改善することに注目した改良カッティングバルーンの開発が著しく行われるようになった。
【0007】
前述した米国特許No.5,196,024号に開示されたバルーンカテーテルにおいては、折りたたみ状態でのバルーンの折り目は、バルーンカテーテルの挿入と除去の間にブレードを血管壁から保護するために用いられる。この装置の1つの欠点は、ブレードがバルーン自体を損傷することから保護されていないことである。
【0008】
米国特許出願番号2005/0137617号は、この短所を解消することを目的とするカッティングバルーンを開示している。伸縮自在の膨張可能折りたたみ部材が、折りたたみ部材が応力を受けていない状態のときに実質的に管状に形成された壁を備えて形成され得るものとして開示されている。管状に形成された折りたたみ部材は、管軸を画定し、壁を貫通する軸方向に整合されたスリットを有することができる。折りたたみ部材は、バルーンに取り付けられ、管状折りたたみ部材の内腔に位置決めされる切り込み要素を覆うように使われる。バルーン膨張の間、折りたたみ部材は、組織の切込みを可能とするように、切込み要素の先をさらすように変形可能である。
【0009】
オブライエン等(O’Brien et al.)の米国特許出願番号2005/0119678号は、比較的低ディロメータの柔軟な材料でできた圧縮性鞘がバルーンに搭載されてカッティングバルーンの組み立てとカッティングバルーンの処理位置への輸送の間にそれぞれの切り込み要素の有効切断表面を保護するようになった代替解決法を開示している。各鞘は、対応する切り込み要素よりも縦方向軸から遠くまで延びており、バルーンの膨張の間に組織と最初に接触する。組織と鞘の間に接触が起こると、更なるバルーンの膨張は、鞘が組織と組織の切り込みのための有効切断表面をさらす膨張可能バルーンの間を半径方向に圧縮するようにする。
【0010】
ウィーバー(Weber)の米国特許出願番号2004/0133223号は、カッティングバルーン上のブレードのカッティングエッジ上を延びる弾性のある材料の使用を開示しており、この弾性材料は、カッティングエッジが突き刺すことができるように圧縮下で変形する。
【0011】
上述した米国特許No.5,196,024号は、バルーン全体を覆う保護鞘の使用を開示している。鞘の連続性は、(バルーンの)切れ刃の先を収容し、案内し、保護するように作用する縦方向溝によって中断されている。保護鞘は、バルーンを膨張する前に切れ刃を適切な位置に送り保持する間に血管が傷つくのを防止する。バルーンが膨張すると、保護鞘の溝は、鋭い縁で切り込みを作るように切れ刃が血管の壁に侵入するように切り開く。収縮した後、切れ刃は、保護鞘の後に引っ込み、カッティングバルーンの回収の間に血管が損傷することを防止する。露出したブレードがバルーンを損傷する問題の代替的な解決策は、米国特許No.5,196,024号1つの実施例に開示されており、ここでは、ブレードは、バルーンを取り囲むプラスチック外被に位置決めされている。外被の連続性は、バルーンが膨張したときに大きくなる縦スロットによって中断される。
【0012】
同様の装置が、米国特許No.5,797,935号に開示されており、膨張可能な血管形成術用バルーンと共に使用されるバルーン活性化力濃縮器は、少なくとも1つの細長い可とう性パネルと、細長い可とう性パネルの外側面に取り付けられる細長い切断刃と、細長い可とう性パネルを血管形成術用バルーンに固定するための細長い可とう性パネルの各端部に取り付けられる伸縮自在の円形バンドを有している。
【0013】
上述したようなカッティングバルーンは、高度に石灰化した病変やしつこい病変に一般に使われ、時としてこれら病変に関して或いはステント留置の前に使われる。しかし、このような装置は、故障する傾向があることが分っており、比較的大きく脈管構造内で操作するのが難しく、また、時として高価である。
【0014】
最大の問題の1つは、膨張後のカッティングバルーンの除去に関連している。バルーンの圧力は、場合によっては、切れ刃或いはブレードが血管壁に深く侵入するようにすることができる。後にブレードを回収するには、強い力が必要である。カッティングバルーンの上記した例のそれぞれでは、この引き込める力を提供するのは、バルーン自体の収縮である。ブレードを引き込めるのは困難であるとわかっており、極端な場合には、カッティングバルーンの除去は不可能であり、カッティングバルーンが患者の冠動脈に残され、(予め打ち込まれた)ステントに挟まる可能性があった。
【0015】
必要とされるのは、従って、より効果的で、使い易く、安全なカッティングバルーンを提供する代替策である。
【0016】
上述したように、カッティングバルーンは、一般的に血管疾患によって閉塞された血管を再開するために用いられる。しかし、カッティングバルーンは、そのような血管疾患の処理に取り組まない。血管疾患による死亡の継続傾向と糖尿病の関連する増加リスクと共に肥満症に若い患者が増加的にさらされているので、革新的で効果的な治療が、血管疾患の若者と伝統的な高齢の被災者の双方を処置するように概念化されねばならない。このような傾向は、技術の進歩と共に、経カテーテル技術において概ね20%の年間成長率をもたらしている。
【0017】
この成長率の主たる原動力の1つは、冠動脈薬溶離ステントである。しかし、このようなステントが効率的に使えない領域、すなわち、慢性総閉塞や、末梢動脈の病気や、損傷しやすい血小板が存在する。更に、新たな装置や処置が、薬物溶離ステントの縁部と関連する狭窄や鉄肌ステントと関連するインステント再狭窄を処理するのに必要とされる。上記した領域の全てが、いかなる技術もこれらの条件を適切に処理することができないような著しくまだ対処されたことのない臨床的必要性を表わしている。
【0018】
局所的薬物供給の進歩は、冠動脈領域において極めて効果的であることが証明され、よって、薬物溶解ステントは、インステント再狭窄の防止において、著しい突破口を開いた。エクスプレス1(Express−1)プラットフォームのタクサス・エスアール(TAXUS SR)薬物溶解ステントと、同等の鉄肌エクスプレス1(Express−1)ステントを比較したボストン科学(Boston Scientific)の提供するタクサスIV(TAXUS IV)試験においては、9ヶ月のインステント再狭窄が、同等の薬物溶解ステントを使うことによって、鉄肌ステントの24.4%から5.5%に減るということが実証された(インターベンショナル心臓学ジャーナル2004;第17巻、第5、279頁)。全身治療よりも局所的薬物供給は、冠動脈薬物溶解ステントの場合にすぐれた結果をもたらし、遺伝子治療や基幹細胞治療のような将来の治療が、局所的供給装置のいくつかの形態を必要とし、このような治療が、高価でごく少量の分子や化合物の時間のかかる生産物を必要とする。分子や化合物のほとんどが必要とされる目的位置に到達しないので、全身の非効率的なやり方は、遺伝子治療にとって費用的に効率の良いものではなく、異なる更に効率的なやり方が必要とされる。
【0019】
アテローム性動脈硬化の現在の状況、特に閉塞された冠状動脈の処理は、薬物溶解冠動脈ステントの移植を必要とする。この動作は、心筋の虚血領域に血液の流れを再構築する。しかし、ステントが移植できないような病気や血管疾患が影響する異なる血管の異なる段階によって引き起こされる状態が存在する。このような状態では、異なる方策が採用されねばならない。分子心臓学や分子血管干渉のための生物学的局所的供給のような将来の治療は、臨床医学の最先端にあり、次世代の患者のための治療上の処置を提供することを約束する。これらの新しい処置方法は、以下の状況を有する患者の生命の質に変化をもたらす。
【0020】
慢性全体閉塞(CTO)
CTOは、動脈管腔の完全閉塞であり、全冠動脈血管形成術過程の10から20%が、CTOに関係していると思われる(フリード(Freed)とサフィアン(Safian)、介入心臓学の手引き、第3版、287頁)。CTOは、他の動脈、例えば、大腿動脈でも起こりうる。大腿動脈のCTOは、患者の足の残り部分への血液の流れを制限し、重大な手足の虚血を引き起こす可能性があり、結果として、潰瘍形成や壊疽が起こり得、時には、切断が必要となる。加えて、僅かな脈管形成(新たな血管の形成)は、少量の血液が下肢に届くようにする。いくつかの場合の脈管形成は、生き残るために極めて重要である。血管形成の過程は、血管内皮成長要素(VEGF)の注入によって人工的に加速され得、このことは、CTOの動物モデルで実証されている。ニコル(Nikol)等(生理学上のスカンヂナビア議事録2002、第176巻、第2刷、151頁)は、VEGFの注入がCTOの豚モデルにおいて、動脈分岐の数や分岐の面積を著しく増やしたことを示している。動物モデルからの励みとなる結果によって、もし、医者が治療の解決策の提供のために安全な効率的なカテーテルを必要としているのであれば、CTOの遺伝子治療のこの形態が近い将来、臨床的適用へと伝達されることを期待させる。
【0021】
末梢動脈障害(PAD)
PADは、冠動脈障害に類似した状況である。PADにおいては、脂肪沈殿物が、動脈壁の内部層、主に、腎臓、胃、腕、脚、足への動脈に積みあがる。これは、ここの器官や手足の機能障害を引き起こす。PADは、心臓の(外部の機械的負荷から)良く保護された動脈と較べて人体の表面に近い動脈に影響するので、冠動脈障害とは少し異なっている。ステンレス或いはコバルトクロムのステントは、過度の外部負荷を経験すると、材料の可塑性のためにその形状を維持しないので、安全に使うことができない。この場合の外部負荷は、動脈管腔内の瞬時の障害と血液流の間接損害をもたらす。末梢動脈のやりがいのある解剖や、長期の総合的な閉塞の普及や多くの独特の機械負荷は全て、大腿膝窩動脈や膝窩干渉の高狭窄率につながり、表面的な大腿動脈狭窄を持つ患者が、1から3年の臨床的追跡調査で50%より少ない開放度である(放射線学、1994;191;第727〜733頁)。ステントは、末梢動脈のための不十分な処置選択肢であるように思われ、生物学的問題のための機械的解決策に頼らない抹消干渉用の追加的方法や処置策が用いられねばならない、すなわち、このような病変への治療薬の局所的な供給が用いられねばならない。
【0022】
ステント縁狭窄とインステント狭窄
鉄肌ステント(BMS)と薬物溶解ステント(DES)の縁部に局部的に生物学的に供給する潜在性がある。セリー(Serruys)等において、DESとBMSの近位縁部における著しい狭窄率が、IVUS研究において報告され、ステント後6ヶ月の追跡で、近位の内腔領域における著しい減少が、緩開放で観察され、TAXUS溶解ステントと鉄肌ステントで中程度の開放で観察された(循環2004、第109巻、第627〜633頁)。
【0023】
傷つきやすい血小板
傷つきやすい血小板は、動脈壁内に埋もれた病変の一種であり、必ずしも膨れ出るわけではなく血液の流れを閉鎖するわけでもない。これは、この種の血小板が、急性冠動脈症候群の大部分の原因となるという認められた事実である(心血管研究1999、第41巻、第323〜333頁)。傷つきやすい血小板は、無症候性で、現在の技術では診断が困難である。しかしながら、ふるいわけ技術や診断技術の進歩(仮想組織学IVUS及びサーモグラフィカテーテル)は、これらの病変が確認されるようにする。この種の病変は、非狭窄性で、機械的な解決策を必要としないが、生物学的解決策を病変位置に送ることによって組織の機能を変えることがより有利である。
【0024】
血管や動脈内の対象位置を直接ねらう遺伝子治療製品(または薬)の送り出しのための非常に多くのカテーテルに基づく局部的治療送り出し装置が、開発されてきている。
【0025】
「窪みのある多孔性注入バルーン」という名称の米国特許No.6,048,332号(ダフィー(Duffy)等)は、カテーテルの遠位端に取り付けられた、窪みのある多孔性バルーンを有する薬物供給カテーテルを開示している。1つの実施例では、バルーンは、人体の内腔の組織壁に治療薬を送るようにされており、このために、バルーンの外面に形成された複数の窪みを含み、各窪みが、バルーンの内部に送られた流体が噴出することができるような少なくとも1つの開口を有している。ここに記載されたバルーンは、特に、薬が送られるべき組織壁の範囲を増加し、送られる薬と組織壁の間の外傷性接触を少なくすることが理解される。
【0026】
米国特許No.5,336,178号(カプラン(Kaplan)等)は、注入列を備えた血管内カテーテルを開示している。血管内カテーテルは、薬を人体内腔の処置位置に注入する手段と、処置位置に隣接する注入手段を配置する手段を提供し、これらは、互いに独立して作用する。1つの実施例では、可とう性のカテーテル本体が、膨張通路と連絡してその遠位端に取り付けられた膨張部材と、1つ以上の供給通路に連絡して膨張部材のまわりに配置された注入列を有している。この注入列は、側方に向けられたオリフィスを有する複数の供給導管を含んでいる。この供給導管は、カテーテル本体から半径方向に延びて、膨張流体で膨張部材を膨張することによって処置位置に接触する。薬は、供給通路に導入され、供給導管のオリフィスを通って処置位置に注入される。膨張部材は、注入前、注入の間、または注入後に拡張のために膨張させられる。
【0027】
「高効率局部的薬供給」という名称の米国特許No.6,369,039号(パラシス(Palasis)等)は、治療薬を体腔や、脈管構造や組織内の狙った位置に送る、特定の場所への供給方法を開示している。この方法は、関連する治療薬の実質的な飽和溶液を有する医療装置を提供する工程と、医療装置を体腔や、脈管構造や組織に導入する工程と、多量の治療薬の溶液を約5分に至るまで約0から約5気圧の圧力で狙った位置で医療装置から解放する工程と、医療装置を体腔や、脈管構造や組織から引き出す行程を有している。この装置の1つの問題は、その低送り圧力である。
【0028】
「治療薬の壁内供給のためのカテーテル装置」という名称の米国特許No.5,112,305号(バラス(Parath)等)は、アテローム性血管の処理方法を開示している。特に、治療薬は、特殊なカテーテルシステムによって、血管内皮への最小の侵入を伴って血管壁の深い層へと送られる。このシステムは、アテローム性血小板の位置に直接毒薬を他の方法で高度の局所的な集中をすることを可能にする。カテーテルシステムと方法は、病気であるが薬を血液循環に末端まで拡散することのないような正確な血管部分に、化学薬品を送る。開示された1つの例は、最も外側の内腔の外表面から様々な角度で突出する追加的な管状延長部を有する2重内腔カテーテルを用いる。外側内腔の圧力を急に上げることによって、管状延長部は、治療薬を血管壁内の深い位置へと送る。
【0029】
バルーンとニードルを結合する技術が開発されていないときに、これは、ニードルを用いる初期の装置の例であった。更に、バルーンは、突出部に関連した孔のために気密ではない時に膨張される必要があり、これは、実用にかなっておらず、治療薬が目的位置よりも血液流を過度に送られてしまうという問題を引き起こす。バルーンの収縮にも問題がある。
【0030】
バラスは、後の米国特許No.5,615,149号において、切れ刃を備えたバルーンカテーテルを開示している。1つの実施例には、鞘が設けられている(図12及び図13参照)。ナイマーク(Naimark)等(以下を参照)と共通して、バルーンは、鞘が接触する前に拡張されねばならない。
【0031】
「流体を血管の壁に注入する装置」という名称の米国特許No.5,873,852号(ビジル(Vigil)等)は、流体を血管壁の処置領域に注入する方法及び装置を開示している。この装置の第1例は、カテーテルに取り付けられる膨張可能なバルーンと、外向きに延びバルーンと共に移動する複数のインジェクタを有する。少なくとも1つの流体通路が各インジェクタを流体連絡して流体源に接続する。この装置の使用中には、バルーンは、処置領域に最も近い血管に、まず位置決めされる。次に、バルーンは、インジェクタを血管壁にはめ込むために膨張される。続いて、流体源からの流体は、流体通路に導入されインジェクタを通って処置領域に案内される。
【0032】
従って、装置の供給と戻しの際に、ニードルが内皮の表面を自由に傷つけることが理解される。
【0033】
「複数のニードルインジェクションカテーテル」という名称の米国特許No.5,354,279号(ホフリング(Hofling)は、流体、例えば、薬を静脈やその他の中空器官のような体腔に注入するカテーテルを開示している。カテーテルは、体腔に挿入可能で、引き込め位置と延長位置の間で移動可能に設けられた中空のニードルを内部に有するヘッドを備え、ヘッドに対向するカテーテルの端部に取り付けられ、流体や薬を処理されるべき体腔の壁部分に直接中空のニードルを通って供給するための体腔の壁に外から接触する前端を動かすためのニードルに作動連結された作動機構を備えている。バルーンは、カテーテルヘッドの前に配置されてもよいし、カテーテルを貫通する通路によって膨張収縮されてもよい。このニードルインジェクションカテーテルは、使いづらく、操作者によって精密に制御される必要のある追加の工程を必要とし、何らの間違いを起こしやすい。ニードル前進機構の制御の困難のためにニードルの予測できない前進が起こり得、そして、血管に穴が開くかもしれない、これらは共に、望ましくない。
【0034】
「薬と遺伝子を供給する方法及び装置」という名称の米国特許No.6,197,013号(リード(Reed)等)は、患者を処置する装置及び方法を開示している。この装置は、表面を有する展開機構を有している。この装置は、展開機構表面に設けられた少なくとも1つのプローブを有している。プローブは、展開機構の表面から25ミクロンから1000ミクロン延びている。この装置は、また、プローブに塗布された材料を有している。処置方法は、展開機構の表面から1000ミクロンより少なく延びるプローブに材料を配置する工程を有している。次に、プローブを好ましくは患者の血管に挿入する工程がある。そして、展開機構を作動することによってプローブを血管の内壁に貫通させ、材料が血管に接触するようにする工程がある。
【0035】
この装置の問題は、膨張の前に取り除かれる保護鞘の記載があるが、ステントまたはカテーテルの外側の鋭いプローブが、ステントの送り或いは戻しの間に傷つくかもしれないということである。
【0036】
「局所的な薬供給インジェクションカテーテル」という名称の米国特許No.6,283,947号(ミルザー(Mirzaee))は、患者の中の特定部位に薬物を注入するカテーテルであって、カテーテルの近位端から注入口に延びる薬供給内腔を備えたものを開示している。このカテーテルは、注入口をカテーテルの本体から動脈壁へと外向きに角度をつけて押して、薬物が動脈壁に直接注入されるようにする機構を備えている。カテーテルは、その末端に或いは末端の近くに注入口を備え、注入口をカテーテルの中心軸から動脈壁へと角度をつけて方向付ける機構を備えている。(注入口は、薬物やその他の材料を患者に導入するために使われる構成である。注入口は、一般に中空ニードルである。)1つの実施例では、カテーテルは、医者がカテーテルを患者の脈管系内の所望の位置に向けることができるようにするガイドワイヤを収容するガイドワイヤ内腔を有している。また、1つの実施例では、カテーテルは、複数のニードルを有しており、各ニードルは、カテーテルの中央縦軸から外向きに角度をつけて操作され、ニードルが薬或いは、薬物を周辺組織に注入することができるようになっている。ニードルの展開前に、ニードルは、カテーテルの縦軸に略平行になるように保持されている。1つの実施例では、ニードルを動脈壁に外向きに押すように、バルーンがカテーテルの末端に向けて設けられている。別の実施例では、他の機械的手段がニードルを外向きに押すように設けられている。
【0037】
この装置によって経験される問題は、操作上の困難と、使用後鞘を前進することの困難と、柔軟性の欠如を含んでいる。
【0038】
「物質供給装置及び治療物質を解剖学の通路に供給する方法」という名称の米国特許No.6,494,862号(レイ(Ray)等)は、その末端に設けられたバルーンを有するカテーテル組立体を開示している。このバルーンは、折りたたみ形状から展開形状へと選択的に膨張させるように膨らませ可能となっている。注射器組立体が、治療物質が通路の組織内に注入されるように、カテーテル組立体の供給内腔と流体連絡している。注射器組立体は、バルーンが折りたたみ形状から展開形状に膨らまされるときに、第1位置から第2位置へと枢動可能な部分を含んでいる。注射器組立体の部分は、バルーンが収縮される時に、第2位置から第1位置へと枢動することができる。この装置の1つの問題は、枢動が内部動脈壁の引き裂き・損傷を引き起こすかもしれないことである。
【0039】
「再狭窄を防止するための動脈壁への薬物供給方法」という名称の米国特許No.6,695,830号(ビジル(Vigil)等)は、血管壁内での再狭窄を防止するための方法であって、薬物が血管の所定の位置に送られるように要求され、続いて所定のパターンで分散されるような、方法を開示している。薬物を送るためには、拡張部材を備えたカテーテルは、拡張部材が所望の位置決めがされるまで、患者の脈間構造に前進される。拡張部材は、分配器を血管壁の適切な深さに強制するように膨張される。薬剤は、血管壁内の管状の容積を治療するために続いて分散する、複数の等間隔で配置された薬品を作るように分配器を通って送られる。
【0040】
ナイマーク(Naimark)等の米国特許出願番号US 2004/0044308号は、カテーテルと、バルーンと、バルーン上のマイクロニードルを有し、更に鞘を有することができる生物活性物質の供給装置を開示している。鞘は、金属製として記載されている。1つの代替例は、鞘を拡張可能な材料で作るようにしている。鞘は、マイクロニードル用の複数のポートを有し、或いは、これらニードルによって穴あけ可能な材料によって作られている。ナイマーク等の装置のバルーンは、鞘に接触するように動くように膨張され、一旦接触されると、鞘は、バルーンと共に膨張する。この構成は、例えば、明細書の図5aに見ることができる。鞘を半径方向外側に間隔をあけマイクロニードルから離す(バラス(上記)では、ブレードの外側にする)ことにより、バルーンが拡張されなかったときに血管壁が擦られることから保護される。
【0041】
米国特許No.5,336,178号(カプラン(Kaplan)等)は、薬剤を処置位置に注入する血管内カテーテルを記載している。これは、液体薬剤を注入するための一連の開口を用いている。内部エラストマースリーブが、実施例に記載されている(図13と図14A参照)。この装置は、ニードルや切断ブレードのような処置器具を用いていない。
【0042】
米国特許No.6,051,001号(ボルギ(Borghi))、欧州特許0 697 226号(イガキ(Igaki))、米国特許No.6,018,857号(ダフィー(Duffy)ら)及びWO 98/22044号は全て、ステントを例えばカテーテルに装填する装置を記載している。
【0043】
治療薬を動脈壁に供給する、または切断動作を提供する現在の装置は、安全上と効率の面での問題に直面している。これは、挿入と取り除きの間に器具が血管壁に接触せず、血管壁の狙った領域に接触するように展開可能で、使用後、装置が血管壁に器具が接触することなく安全に人体から取り出せるような位置に戻すことができるような状態で、(鋭利な)作動器具を人体、例えば、人体の内腔に導入することが困難であることによる。更に、現在の装置は、適用領域が制限されている。現在の装置による共通の問題は、バルーンが完全には収縮しなかったり、収縮しそこなったりすることである。これにより、バルーンが速く完全に収縮して、カテーテルが血管から血管壁への損傷なく取り除くことができることが基本であるという重大な安全性の提供を必要とする。
【0044】
従って、必要とされるのは、ニードルやブレードのような処置器具が、カテーテルが位置決めされる時に隠され、所望の処置領域へ装置を安全に送ることを可能にし、送りの間に動脈壁の内壁を傷つけることの無いようにすることのできる局所的カテーテル型治療供給装置である。また、必要とされるのは、カテーテルへの装填をする代替的装填装置である。
【0045】
上記したように、注入装置は、カテーテル型切断装置として知られている。同様のものの更なる例が、米国特許No.5558642号、米国特許No.6638246号、米国特許No.6733474号、米国特許No.6280414号、米国特許No.5571086号、米国特許No.6478778号及び米国特許No.5336178に開示されている。しかし、今までに、カテーテルが位置決めされて供給中に動脈壁の内部壁に損傷を与えることなく所望の処置領域に装置を安全に送ることができるようにするときに、ブレードのような切断器具が隠されるようになった、切断と注入の両技術を用いた装置は、実現されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】米国特許No.5,196,024号
【特許文献2】米国特許出願番号2005/0137617号
【特許文献3】米国特許出願番号2005/0119678号
【特許文献4】米国特許出願番号2004/0133223号
【特許文献5】米国特許No.5,797,935号
【特許文献6】米国特許No.6,048,332号
【特許文献7】米国特許No.5,336,178号
【特許文献8】米国特許No.6,369,039号
【特許文献9】米国特許No.5,112,305号
【特許文献10】米国特許No.5,615,149号
【特許文献11】米国特許No.5,873,852号
【特許文献12】米国特許No.5,354,279号
【特許文献13】米国特許No.6,197,013号
【特許文献14】米国特許No.6,283,947号
【特許文献15】米国特許No.6,494,862号
【特許文献16】米国特許No.6,695,830号
【特許文献17】米国特許出願番号US 2004/0044308号
【特許文献18】米国特許No.6,051,001号
【特許文献19】欧州特許0 697 226号
【特許文献20】米国特許No.6,018,857号
【特許文献21】WO 98/22044号
【特許文献22】米国特許No.5558642号
【特許文献23】米国特許No.6638246号
【特許文献24】米国特許No.6733474号
【特許文献25】米国特許No.6280414号
【特許文献26】米国特許No.5571086号
【特許文献27】米国特許No.6478778号
【特許文献28】米国特許出願番号11/846,887号
【非特許文献】
【0047】
【非特許文献1】アイルランド国営新聞の最近の第1面の記事「規模の予想:子供の肥満は3倍になる」(アイルランドの調査官2004年11月22日)
【非特許文献2】米国人口統計報告2000、48巻、第11、7月24日
【非特許文献3】インターベンショナル心臓学ジャーナル2004;第17巻、第5、279頁
【非特許文献4】フリードとサフィアン、介入心臓学の手引き、第3版、287頁
【非特許文献5】生理学上のスカンヂナビア議事録2002、第176巻、第2刷、151頁
【非特許文献6】放射線学、1994;191;第727〜733頁
【非特許文献7】循環2004、第109巻、第627〜633頁
【非特許文献8】心血管研究1999、第41巻、第323〜333頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0048】
従って、遺伝子治療製品(または薬)を直接、狙った位置に送るようにされた、及び/または体内の位置を処置するのに使われ得る切断器具を備えた、効率的で効果的なカテーテル型の局所的な治療装置を提供することが望ましい。
【0049】
多くの生産物の応用に用いられうる局所的なカテーテル型の治療供給装置を提供することが望ましい。
【0050】
血管や動脈内での少なくとも1つの処置箇所に使うことができる装置を提供することが更に望ましい。この特徴は、多くの傷つきやすい血小板を有する動脈の周辺の病気を拡散するのに特に有用である。
【0051】
使用後に即座に安全に収縮する供給装置を提供することが望ましい。
【0052】
カテーテルが、曲がりくねった動脈を航行することを可能とする十分な可とう性を備えた供給装置を提供することが更に望ましい。
【0053】
薬を含んだ流体のような治療流体が、現在の利用可能なカテーテルに較べて均一に供給され(そして分配され)るような、供給装置を提供することが望ましい。
【0054】
閉塞された血管を開放するのに使われる改良された切断器具を提供することが更に望ましい。
【0055】
切断と注入技術の両方を用いた供給装置を提供することが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0056】
従って、本発明によれば、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置であって、
血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用し、収縮構成における拡張可能部分に収縮力を作用するために拡張可能部分に伸縮可能に嵌まる保護鞘と、
拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも2つの隔置された処置器具とを有し、装置の収縮構成において、該器具が保護鞘内に隠されており、装置の拡張構成において、鞘の厚みが血管壁の狙った領域に接触するように器具を外に出すために減少することを特徴とする装置が提供される。
【0057】
本発明は、このようにして、折りたたまない拡張可能な部分の以下の使用を含む上記した従来技術に関連した多くの問題を未然に防ぐ簡単で効率的な構成を提供する。
【0058】
拡張可能な部分の拡張していない構成における鞘の予め拡げた構成は、拡張可能部分を拡張していない構成に戻すのに十分である。一般に、鞘は、少なくとも10%、望ましくは、少なくとも15%のように、少なくとも12%、(予め)拡げられて、拡張可能部分の拡張していない構成にかぶさるように構成される。このようにして、拡張可能部材の(弾性的)伸張適合における位置エネルギが得られる。
【0059】
好ましくは、拡張可能部分は、バルーンである。これは、簡単で効果的な構成である。
【0060】
一般に、本発明で利用される処置器具は、血管壁を切ったり刻んだりするためのブレードでありうる。代わりに、処置器具は、別の形態をとることもでき、例えば、(中空ニードルやマイクロニードルのような)ニードルであり、この場合、装置は、治療薬を血管壁に送るための薬供給装置として作用する。ニードルが使われるときには、装置は、好ましくは、ニードルを通って血管壁に治療化合物を送るためのニードルと流体連絡する薬供給装置を有している。薬供給装置は、保護鞘に、複数のリザーバを有している。代替的には、薬供給装置は、(可とう性)管を介してニードルに接続される(多数内腔)供給ホースを有してもよい。鞘は、このようにして、狙った位置を処置するための1つ以上の器具を備えた装置にバルーンカテーテルを適合させる目的を提供する。
【0061】
好ましくは、保護鞘は、シリコンやポリウレタン材料やゴムのような弾性ポリマーからなる。ポリウレタンは、器具を鞘に固定するのに多くの方法を許す。好ましくは、保護鞘は、処置器具が設けられるための複数の穴をその中に画定する。
【0062】
装置は、更に、装置の位置決めを補助する(放射線不透過性の目印のような)少なくとも1つの目印を有してもよい。これにより、装置の位置がきっちりと観察される。
【0063】
装置は、円錐型頭部で嵌められる。円錐型頭部は、その先端で、カテーテルと鞘の間の転換形状を提供する。このことは、前進の間に、装置が、カテーテルとそこに取り付けられる鞘との大きさ(直径)の違いによる移動の抵抗に出会う可能性を低くすることを意味している。円錐型頭部は、装置が移動する血管の緩やかな伸縮を許容する。同様にして、その作動位置からの装置の引き戻しのために、後部円錐が設けられ、これは、その後端でのカテーテルと鞘の間の転換形状を提供する。これは、引き戻しをやさしくする。
【0064】
本発明によれば、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置に嵌まる保護鞘であって、
血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも2つの隔置された処置器具と、
装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用するように拡張可能部分に嵌まる(任意には、伸縮可能に嵌まる)保護鞘とを有し、装置の収縮構成において、該器具が保護鞘内に隠されており、装置の拡張構成において、鞘の厚みが血管壁の狙った領域に接触するように器具を外に出すために減少することを特徴とする保護鞘が提供される。一般に、拡張可能部分は、鞘からの収縮力下にあるか、或いは、鞘からの収縮力の拡張を即座に経験する。
【0065】
本発明によれば、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するためのバルーンカテーテルに嵌まる鞘であって、該鞘は、バルーンを拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するためのバルーンに圧縮力を作用するようにバルーンに伸縮可能に嵌まるようになっており、該鞘が、
バルーンから半径方向外方に延びるように前記鞘内に取り付けられる、少なくとも2つの隔置された処置器具を有し、バルーンの収縮構成において、該器具が保護鞘内に隠されており、装置の拡張構成において、鞘の厚みが血管壁の狙った領域に接触するように器具を外に出すために減少することを特徴とする保護鞘が提供される。
【0066】
バルーンのような拡張可能部材を被せるために、鞘は環状の(壁または本体)構造を有していることが理解される。鞘は、環状方向に実質的に連続しているのが望ましい。例えば、もし、鞘が環状方向に不連続、例えば、実質的な範囲で溝を付けられていれば、拡張中の効果は、不連続となり大きくなり、例えば、溝で広がる。そのような場合には、鞘の厚みは、血管壁の狙った領域に接触する器具を外に出すように減少しない。
【0067】
このような実施例では、鞘は、鞘に連結、取り付けられる処置器具の運搬具として作用することが理解される。好ましくは、鞘は、シリコンのような弾性ポリマーからなる。一般に、器具は、鞘から外側に突出するように取り付けられる。器具は、一般に、拡張可能部材に直接取り付けられるわけではない。この装置は、器具と拡張可能部材の相互作用の問題を未然に防ぎ、穴あきやはがれなどの装置の故障の原因となりうる。
【0068】
1つの実施例では、処置器具は、1つ以上のニードル、例えば、中空ニードルでありうる。鞘は、更に、
複数のリザーバが治療化合物を貯蔵するために設けられる外側表面を有する内側鞘と、
内側鞘の上に位置決めされる外側鞘と、
を有し、各ニードルが、基部と注射器部分を有し、各基部が、内側鞘の外側表面でリザーバに取り付けられ、各注射器部分が、内側鞘から半径方向外側に延び外側鞘内に画定された協働穴を通って受容されるようになっていてもよい。
【0069】
処置器具がニードルであるときには、鞘は、標準的なバルーンカテーテルをカテーテル型薬供給装置に転換するために使われる。
【0070】
代替的実施例では、処置器具は、切断器具、例えば、ブレードや小型外科用メスであってもよい。鞘は、好ましくは、その外表面にたくさんの小型外科用メスを含む。このような外科用メスは、最初は、鞘の外側輪郭によって動脈壁から隠されてもよい。
【0071】
鞘は、その外側表面上に少なくとも1つの隆起を有してもよく、各隆起は、各切断器具よりも鞘の外側表面から半径方向外側に更に延びている。
【0072】
好ましくは、各隆起は、折りたたみ可能である。好ましい実施例では、各隆起は、中空の内部ポケット(中空中心)を有しており、バルーンの拡張構成においては、鞘の変形がポケットを平らにして、隆起の大きさを半径方向に小さくして、各切断器具を外に出すようになる。鞘がバルーンの膨張で変形するときに、隆起はそれ故、平らになる。バルーンが膨張すると、鞘の輪郭は、滑らかになり、切れ刃が外に出る。更に、鞘は、より安全でより簡単に装置を使えるようにするようにするバルーンの最適なたたみと最小のバルーン引き抜き抵抗を可能にする。(シリコン)鞘は、以下の多くの機能を有している。(i)カテーテルが所定位置に操作される時に器具(外科用メスのブレード)から動脈壁を保護する、(ii)バルーンがブレードで切り裂かれないように、バルーンや器具(ブレード)の直接の接触を防止している、(iii)器具(ブレード)の全てが常にバルーンと直角になるようにしている、(iv)バルーンの引き抜き抵抗を引き続き減らすようなその最初の輪郭へのバルーンの収縮を助ける、(v)鞘は、現在の技術と比較した時にカテーテルの輪郭を減じるようなバルーンの適切な折り畳みを可能にする。
【0073】
処置器具がブレードであるときには、鞘は、標準的な血管形成バルーンをカッティングバルーンに変換するのに使われ得ることが理解される。
【0074】
鞘は、鞘の位置決めを補助するために、放射線不透過性の目印のような少なくとも1つの目印を備えてもよい。
【0075】
隆起は、一対で設けられてもよく、望ましくは、少なくとも1対の隆起が、処置器具の対向側にそれぞれ設けられる。このことは、器具の効果的な遮蔽を保証している。望ましくは、少なくとも1つの隆起が曲面状外表面を有している。この曲面状の輪郭は、血管での装置の移動を容易にし、引っかかったりぶつかったりするような角のある形状がない。この点で、凸面として曲面状の外表面を有することは有用である。
【0076】
本発明者は、効果的な遮蔽を提供するが、血管内での移動にふさわしい形状を有する1つの適切な構成が、少なくとも1つの隆起が実質的にその断面形状において楕円形であるということを発見した。そのような形状は、効果的な遮蔽を提供し本質的に円形構造に効果的に折りたたむことができることがわかっている。望ましくは、1対の隆起は、作動器具上方の点に互いに収束する。この器具へ向かう輪郭は、効果的な遮蔽と隆起の効果的な収縮を許容する(そして、鞘の厚みにおける全体としての実質的な減少に帰結する)。
【0077】
複数組の隆起が設けられると、複数組の隆起は、その断面形状が実質的に楕円形としてもよい。
【0078】
上記したように、拡張構成においては、少なくとも1つの隆起を含む鞘は、隆起が平らになると、実質的に円形断面と見なされるのが望ましい。基本的に、このことは、鞘の厚みが、拡張されていない鞘や隆起の厚みから拡張された鞘や平らにされた隆起の厚みへと減少することを意味している。
【0079】
1つの実施例では、器具の基端は、鞘に沈められている。望ましくは、器具は、切断器具であり、切断器具の基端は、鞘に沈められる。このことは、例えば、鞘が形成される時に、器具が鞘の中に型成形されうることを意味している。(例えば、凹部の伸縮によって)器具が凹部から外れてしまうのを避けるために、耐伸縮要素が、鞘の局部的な伸縮を防止するように、沈められた切断器具に近接した鞘に、例えば、切断器具の下方に設けられるのが望ましい。
【0080】
本発明の鞘は、一般に、環状リングの形状を有することが理解される。
【0081】
1つの代替例としては、或いは、鞘の環状リングから突出する隆起の存在により中断される外形輪郭を有することに加えて、本願の発明者等は、少なくとも1つの中空内部ポケット内に形成することが有用であり、バルーンの拡張構成において、鞘の変形が、ポケットを平らにすることを発見した。ポケットの存在は、リングの厚みが大きくなるが、外側輪郭は隆起によって中断されないことを意味している。
【0082】
処置器具は、少なくとも1つの中空ポケット内に収納され、バルーンの拡張構成においては、鞘の変形は、ポケットが平らになって処置器具を使用のために外に出す。このことは、ポケット内の内側ハウジングであり、ポケットは器具を横断して、器具はポケットの外側輪郭を越えて延びることはない。器具は、このようにして、非常に効果的に遮蔽される。随意的に、ポケットは、作動器具がバルーンの拡張構成に延びるための開口を備えている。
【0083】
複数のポケットが、各ハウジングの作動器具に設けられてもよいことは理解される。しかし、代替的或いは追加的に、(材料のリング内に)作動器具を収容しない、少なくとも1つのポケットが設けられることが望ましい。そのようなポケットは、鞘の厚みの減少を制御するための制御ポケットとして用いられうる。そのようなポケットは、一般に、鞘の厚みの大きな減少を保証するように作用器具に近接して配置される。このことは、器具のより大きな露出を可能にする。作用器具を収容しないような複数のポケットが設けられるのが望ましい。
【0084】
本発明のいずれの鞘も、バルーンカテーテルのような拡張可能部材を有するカテーテルに作動のために組みつけられうることが理解される。
【0085】
本発明は、伸縮自在な環状鞘をバルーンカテーテルに装填するためのバルーンカテーテル鞘装填装置であって、該装置は、
バルーンカテーテルが鞘内に収容されるように、バルーンカテーテルに鞘を嵌めるために鞘を伸縮する伸縮部を有し、
該装置は、鞘が伸縮される間にバルーンカテーテルが摺動できるようになっているような装置に関する。この装置は、鞘を装置へ嵌めるのを容易にする。特に、この装置は、本発明による鞘をカテーテルに装填するのに使われてもよい。
【0086】
伸縮部は、鞘を伸縮するために互いに拡張可能な複数の部材からなってもよい。このことは、つかんだり嵌めたりするのが容易になる。随意的には、鞘を内部につかむために部材が設けられる。鞘は、その環状リング内につかまれ、外向きに伸縮されてもよい。1つの簡単な構成は、部材がつかみフィンガであることである。一般に、拡張可能部材は、鞘を伸縮するように離れることによって拡がる。
【0087】
1つの例においては、拡張可能部材間に挿入可能なプッシュロッドは、拡張可能部材を離すようになっている。望ましくは、プッシュロッドは、カテーテルがプッシュロッドに挿入できるように中空となっている。適切に位置決めし及び/または保護するために、カテーテルは、鞘への挿入の間、中空の保護部材内に収容される。中空の保護部材は、拡張可能部材を離すようになったプッシュロッドであってもよい。
【0088】
1つの例においては、伸縮部は、伸縮鞘をカテーテルに解放するために分解されうる。代替的には、伸縮部は、鞘をカテーテルに解放するために、切断または破壊されうる。
【0089】
望ましくは、伸縮部は、伸縮された鞘をカテーテルに解放するために、鞘から摺動可能に取り外し可能である。このことは、鞘をカテーテルに解放する効果的な方法である。
【0090】
本発明は、更に、管状鞘をバルーンカテーテルに装填するための代替的バルーンカテーテル鞘装填装置であって、該装填装置は、
バルーンカテーテルが送られる中央通路を画定する内側表面と、鞘が伸縮嵌めされる外側表面を有する内側管を形成するように端部方向に解放可能に相互連結可能な第1と第2の中空で細長い(円筒形)管状部と、
該内側管とそこに取り付けられる鞘を包囲する外側スリーブを形成するように端部方向に解放可能に相互連結可能な第1と第2の中空(円筒状)スリーブ部とを有する、装置を提供する。
【0091】
本発明は、更に、鞘をバルーンカテーテルに装填するための方法であって、該方法は、伸縮部を有する装填装置を提供する工程と、鞘を伸縮部に係合する工程と、必要に応じて十分に鞘を伸縮するために伸縮部を拡張し、伸縮された鞘をカテーテルに嵌める工程と、鞘をカテーテルに解放する工程とを有する方法を提供する。
【0092】
本発明は、更に、管状鞘をバルーンカテーテルに装填するための組み立てられたバルーンカテーテル鞘装填装置であって、該装填装置は、装填装置とそこに嵌められる鞘からなる、装置を提供する。
【0093】
従って、血管壁内の病変や損傷の部位を処置するために効率的で安全な技術を利用する技術基盤に基づいて、治療薬供給装置或いは切断装置として使われる、局所的なカテーテル型処置装置が提供される。この技術は、カテーテルがその使用位置に前進される時に動脈壁から(注射針のような)処置器具を隠すために(例えば、シリコンやミクロ組織材料からなる)柔らかい鞘の材料特性を利用した、カテーテル型装置である。
【0094】
カテーテルがその意図した使用位置に配置されると、バルーンが膨張される。処置器具がニードルである、1つの実施例では、これは一連のニードルを半径方向外向きに強制し、バルーン拡張が鞘をバルーンを越えて伸縮するようになし、バルーンと鞘の間にあるニードルが鞘に設けられた穴を通って押され、動脈壁の病気や薬供給を所望する位置へと押される。
【0095】
装置は、バルーンが膨張される時にニードルが治療的供給の部位に露出されるようにする鞘の圧縮不可能な材料特性を利用するようにニードルを隠すこの原理に基づいている。この技術は、カテーテルが位置決めされる時に動脈に最小限の損傷を与えるように治療薬を送る安全方法論を提供する。
【0096】
拡散ニードル装置は、現在利用可能なカテーテルと較べて均一に薬が分配されるようにする。最小の損傷が、この方法によって生じるので、新内膜過形成は、本発明の装置では重大な問題ではなくなる。
【0097】
装置は、鞘がバルーンとニードルがその最初の位置に引っ込むようにするときに、1ヶ所以上で使われることが理解される。これに続いて、装置は、処置の次の位置に動かされうる。この特徴は、周辺の病気を拡散したり、多くの傷つきやすい血小板を備えた動脈にとって有用でありうる。この特徴は、装置のバルーン引き込み抵抗を減じる。
【0098】
鞘は、器具との接触に対してバルーンを保護することが理解される。器具とバルーンの間の接触は、バルーンの穴あけを引き起こしかねなく、望ましくない。
【0099】
本発明の装置の一時的な利点は、処置器具がカテーテル内に隠されるような、また、鞘の材料特性が正しい位置で器具を見せるように使われるということである。
【0100】
更に、この装置を使うと、薬供給方法は、現在利用可能な方法よりも効率的となる。
【0101】
これら2つの局面が、利用可能な生産物と現在は臨床的に使われていない特許された生産物と本発明を差別化している。動脈壁への損傷を引き起こす、露出されたニードルを受け入れる以前の設計と、以前の局所薬供給カテーテルは、効率のよいものではなく、薬の約15%だけを所望の領域に送るものであった。
【0102】
本発明の装置によれば、弾性の鞘が自動的なバルーンの収縮とニードルの引き込みを引き起こすときに、処置後のバルーンの収縮が起こる。このことは、バルーンの収縮の問題点の疑念を取り除く。従来技術の装置は、このフェールセーフ機構を有してはいない。
【0103】
本発明と従来技術の更なる違いは、以下のようである。
スリーブは、引き込みと拡張の両位置において、常に、バルーンにしっかりとはまっている。
弾税材料は、器具を隠すのに使われる。
鞘は、いかなるバルーンカテーテルにも後から取り付けられる。
【0104】
更に、本発明は、多くの異なる出願のための基本技術として用いられてもよく、単独の装置としても、現在の過程の追加の特徴、すなわち、薬溶解ステントの供給の間の近接端や末端の再狭窄を防止するモジュールとして用いられうる。
【0105】
技術は、動脈壁に治療薬を送るための現在の装置として、著しい商業的な利益を提供することができ、病気の血管を拡張する装置は、提案された基本の技術ほど安全でも効率的でもなく、更に、この本願技術の基本が、多くの生産物の適用が可能であるように設計されているのに対して、現在の装置は、その適用領域が制限されている。
【0106】
装置の形状寸法や設計は、その意図する適用に合わせて適用可能であることが理解される。例えば、慢性全閉塞カテーテルとして使われるときには、あらゆるニードルは、カテーテルの前部に向けて偏せられ、輪郭は、僅かに変更され、特別のバルーン形状寸法が、損傷形状寸法の原因となるように使われる。
【0107】
本発明の装置は、鉄肌ステント(BMS)の縁や薬溶解ステント(DES)への局所的な生物療法的供給のために使われ得る。
【0108】
本発明の装置は、ステント送りカテーテルを組み込まれてもよい。このモジュールの設計は、ステンと送りカテーテルの交雑能力や輪郭を解決するわけではない。BMSでは、本発明のこのような利用は、ステント内再狭窄を減らすかもしれない。このモジュールは、複雑で費用のかかる薬溶解ポリマー被覆剤の開発の必要性なく、反増殖的な薬の動脈壁への直接の注入を可能にする。
【0109】
DESに配置された薬送りモジュールのために、材料特性や寸法形状が、単一のバルーンが全供給(ステントや薬)のために用いられるようなステント拡張の寸法形状に適合するように少し変更されねばならず、ステントが心臓内科医によって保持される時に薬が注入されるということが期待される。
【0110】
本発明は、病変部位に生物学的両方の解決策を送るのに使われ得る。
【0111】
本発明によれば、人体または動物の血管壁の1つ以上の狙った領域を処置するための方法であって、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用し、収縮構成における拡張可能部分に収縮力を作用するために拡張可能部分に嵌まる(随意的には、伸縮可能に嵌まる)保護鞘と、
拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも2つの隔置された処置器具とを有し、装置の収縮構成において、該器具が保護鞘内に隠されており、装置の拡張構成において、鞘の厚みが血管壁の狙った領域に接触するように器具を外に出すために減少することを特徴とする装置を提供する工程と、
b)装置を血管の内部にその収縮構成において挿入する工程と、
c)狙った領域に届くように、血管内で装置を前進させる工程と、
d)血管壁を接触するように器具を露出させるように拡張可能部分を拡張する拡張力を提供する工程と、
e)拡張力を取り除いて、収縮力が、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するようになす工程と、
f)全ての狙った領域が処置されるまで、工程c)から工程e)までを繰り返す工程と、
g)装置を血管から引き出す工程とを有することを特徴とする方法が提供される。
【0112】
本発明の一態様においては、この方法は、血管壁との接触のための器具を露出した後、治療化合物を処置器具を通って血管壁に送る工程を含む。
【0113】
傷つきやすい血小板カテーテルとして使われるときには、病変の繊維質皮膜によって生じる最小の損傷を伴ってニードルを血小板皮膜に侵入することを可能とするように改良する。
【0114】
本発明は、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置のための折りたたみ可能な処置器具ガードであって、該装置が、
血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
拡張可能部分から半径方向外側に延びる少なくとも1つの処置器具と
を有しており、装置の収縮構成において、器具が少なくとも部分的にガードによって保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、ガードが提供される。
【0115】
従って、ガードは、2つの機能を有しており、第1は、装置がその収縮構成において血管を移動するときに、血管の壁を処置器具から保護することである。ガードの第2の機能は、治療物質のような流体をまず貯蔵し、そしてブレードが血管壁に接触するときに血管の狙った領域に追い出すことである。治療物質は、薬を含んでもよい。
【0116】
好ましくは、ガードは、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するために拡張可能部分に圧縮力を加えるように、また、その収縮構成において拡張可能部分に圧縮力を加えるように、装置の拡張可能部分に伸縮可能に嵌められる保護鞘の一部である。
【0117】
本発明は、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置に嵌まる保護鞘であって、該装置が、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
b)拡張可能部分から半径方向外側に延びる少なくとも1つの処置器具と
を有しており、該保護鞘は、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するために拡張可能部分に圧縮力を加えるように、拡張可能部分に伸縮可能に嵌められるようになっており、少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、器具はガードによって少なくとも部分的に保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、保護鞘が提供される。
【0118】
本発明は、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置に嵌まる保護鞘であって、該装置が、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
b)拡張可能部分から半径方向外側に延びる少なくとも1つの処置器具と
を有しており、該保護鞘は、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するために拡張可能部分に圧縮力を加えるように、拡張可能部分に嵌められるようになっており、少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、器具はガードによって少なくとも部分的に保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、保護鞘が提供される。
【0119】
本発明は、人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するためのバルーンカテーテルに嵌まる鞘であって、該鞘が、バルーンをその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するためにバルーンに圧縮力を加えるように、バルーンに伸縮可能に嵌められるようになっており、該鞘は、
バルーンから半径方向外側に延びるように鞘内に取り付けられる少なくとも1つの処置器具と、
少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードと、
を有し、装置の収縮構成において、該器具はガードによって少なくとも部分的に保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、鞘が提供される。
【0120】
本発明は、更に、人体または動物の血管壁の狙った領域を処置するための装置であって、該装置は、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
b)装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用し、収縮構成における拡張可能部分に収縮力を作用するために拡張可能部分の第1領域に伸縮可能に嵌まる保護鞘と、
c)保護鞘上にあり拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも1つの処置器具と、
d)保護鞘上の少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、該器具がガードによって少なくとも部分的に隠されており、装置の拡張構成において、ガードが血管壁の狙った領域に接触するように器具を露出させるためにつぶれ、ガードは、ガードのつぶれる動作のもとで装置から流体を追い出すように配置されている、装置を提供する。
【0121】
最後に、本発明は更に、人体または動物の血管壁の1つ以上の狙った領域を処置するための方法であって、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用し、収縮構成における拡張可能部分に収縮力を作用するために拡張可能部分に伸縮可能に嵌まる保護鞘と、拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも1つの処置器具とを有し、装置の収縮構成において、該器具が保護鞘内に隠されており、装置の拡張構成において、鞘の厚みが血管壁の狙った領域に接触するように器具を外に出すために減少する、処置器具と、少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、該器具がガードによって少なくとも部分的に隠されており、装置の拡張構成において、ガードが血管壁の狙った領域に接触するように器具を露出させるためにつぶれ、ガードは、ガードのつぶれる動作のもとで装置から流体を追い出すように配置されている、処置器具ガードとからなる装置を提供する工程と、
b)装置を血管の内部にその収縮構成において挿入する工程と、
c)狙った領域に届くように、血管内で装置を前進させる工程と、
d)血管壁を接触するように器具を露出させるように拡張可能部分を拡張する拡張力を提供する工程と、
e)拡張力を取り除いて、収縮力が、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するようになす工程と、
f)全ての狙った領域が処置されるまで、工程c)から工程e)までを繰り返す工程と、
g)装置を血管から引き出す工程と、
を有することを特徴とする方法を提供する。
【0122】
また、本発明の態様は、本発明の特許請求の範囲に記載されている。発明の概要に記載され、以下の発明の詳細な説明に記載した装置、鞘、装填装置、方法の態様は、添付の特許請求の範囲に記載した本発明の態様と組み合わせることができることは理解される。
【図面の簡単な説明】
【0123】
本発明は、添付の図面を参照して、更に詳しくここに説明する。
【図1】図1は、本発明の装置の図である。
【図2】図2は、血管の空洞内の生体手術中の本発明の1実施例による装置の断面図である。
【図3a】図3aは、図2の装置の前バルーン展開での断面図である。
【図3b】図3bは、図3aの装置の図3aの線A−A’に沿った端部断面図である。
【図4a】図4aは、図2の装置の後バルーン展開および薬送りでの側面断面図である。
【図4b】図4bは、図4aの装置の図4aの線A−A’に沿った端部断面図である。
【図5】図5は、本発明の装置の更なる3つの実施例の斜視図である。
【図6】図6は、本発明の1実施例による鞘の斜視図である。
【図7】図7は、本発明の装置の展開構成における断面図である。
【図8】図8は、図7の装置の収縮構成における断面図である。
【図9a】図9aは、本発明の1実施例による切断鞘の断面図である。
【図9b】図9bは、図9aの鞘のブレード領域の詳細図である。
【図9c】図9cは、図9aの鞘のブレードが露出された変形時の一部の断面図である。
【図10】図10は、本発明の代替鞘構造の斜視図である。
【図11】図11は、バルーンカテーテルの斜視図である。
【図12】図12は、図11のカテーテルに取り付けられた、図10の鞘からなる組立体の斜視図である。
【図13】図13は、本発明で使われる切断器具の1実施例の斜視図である。
【図14】図14は、更に円錐頭を有する、図12による組立体の斜視図を示す。
【図15】図15は、拡張しない構成での、図10の鞘の断面図を示す。
【図16】図16は、部分的に拡張した構成での、図10の鞘の断面図を示す。
【図17】図17は、完全に拡張した構成での、図10の鞘の断面図を示す。
【図18】図18は、図15から図17の(矢印で示した)反転可能な順序を一枚の図で示す。
【図19】図19は、更に可能な鞘・処置器具構造の斜視図を示す。
【図20】図20は、図19の線A−A’に沿った、図19の構造の断面図を示す。
【図21】図21は、ニードルのような器具を内部に(ポケットに)収容するようになった、本発明の鞘の更に可能な構造の斜視図を示す。
【図22】図22は、展開しない構成における図21における鞘で器具を取り付けられた鞘の断面図を示す。
【図23】図23は、展開構成における図21における鞘で作動位置における器具を備えた鞘の断面図を示す。
【図24】図24は、鞘をバルーンカテーテル上に配置した位置における本発明の鞘装填装置の1実施例の斜視図を示す。
【図25】図25から図27は、鞘を装填装置からカテーテルに移動するための順番を示す。
【図28】図28は、装填されたカテーテルの斜視図を示す。
【図29】図29は、本発明の鞘装填装置の2つの部分を示す。
【図30】図30は、図29から組み立てられた部分を示す。
【図31】図31は、本発明の鞘装填装置の追加の部分を示す。
【図32】図32は、鞘が取り付けられた、図29と図30の部分を示す。
【図33】図33は、完全に組み立てられた鞘装填装置を示す。
【図34】図34は、装填前のバルーンカテーテルの原位置での鞘装填装置を示す。
【図35】図35から図38は、鞘がカテーテルバルーンに装填されたときの鞘装填装置の分解段階を示す。
【図39】図39は、本発明の1実施例の鞘を示す。
【図40】図40は、図39の鞘の断面を示す。
【図41】図41は、動脈空洞内での生体での手術の間の図39と図40の鞘の断面斜視図である。
【図42】図42は、本発明の1実施例のカテーテル型処置装置である。
【図43】図43は、本発明の更なる実施例のカテーテル型処置装置である。
【図44】図44は、図43の貯蔵バルーンの断面図である。
【図45】図45は、本発明の更なる実施例のカテーテル型処置装置である。
【図46】図46は、図45の貯蔵バルーンの断面図である。
【図47】図47は、本発明の更なる実施例のカテーテル型処置装置である。
【図48】図48は、更に詳細に示された貯蔵部分を備えた貯蔵バルーンの断面図である。
【図49】図49は、本発明の更なる実施例の鞘の部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0124】
図面に示したのは、動脈や静脈やその他の中空器官のような内部体腔の処置のための、本発明によるカテーテル型装置である。同様に、本発明による後から取り付ける鞘と、鞘装填装置が示されている。図1から図9及び図21から図23は、ニードルである器具を備えた装置を示しているが、図示の装置や鞘は、その他の図面を参照して図示し記載した1つ以上のブレードのような代替的な器具と共に使うようにされてもよいことは理解される。
【0125】
図1は、本発明の1実施例によるカテーテル型薬供給装置1を示している。この装置は、ガイドワイヤ(図2に示す)を介して脈間構造に挿入可能であり、収縮位置と拡張位置の2つの位置を有するマイクロニードル2を有している。ニードル2は、バルーンカテーテル4の表面に取り付けられており、多内腔供給ホース8へと可とう性管6を介して接合されている。ニードルやマイクロニードル、または(直接薬を注入するための)ステムは、中空のニードル型リザーバ12に取り付けられている。ニードルステム10は、リザーバ12から外側に突出しており、ゴム製スリーブまたは鞘14内に保護されている。バルーン4の膨張に伴い、ニードル2は、(半径方向で)外向きに動き、保護鞘14の伸縮が生じ、次に、ニードル2を露出するように作用する。ニードル2は、露出されると、体腔の壁に埋め込まれる。ニードル2が、動脈壁のような体腔に埋め込まれて、続いてバルーン4が膨張するときに、薬は、例えば、病気の血管壁に、局所的に送られる。バルーン収縮が生じると、ニードル2は、鞘14の張り出しで引っ込む。収縮された組立体は、ガイドワイヤ16を介して、体から安全に取り除かれる。この過程において、ニードル2は、隠されており、装置の挿脱によって内皮細胞に損傷を与えることはない。
【0126】
停止しているとき、弾性のある鞘14の内径は、つぶれた状態のバルーンカテーテル4の外径よりも小さくなるようにされている。これにより、鞘がバルーンに装てんされる時にはいつも、鞘とバルーン間の嵌めあいがしっかりなるようになる。したがって、鞘は、バルーンカテーテルに伸縮可能に嵌められなければならない。鞘の弾性は、鞘が常にバルーンに圧縮力を作用するようにする。バルーンは、従って、膨張させるためにバルーンに加えられる圧力下で導入される空気や流体の影響によって、大きな対抗力がバルーンによって鞘に加えられるときに、常に収縮した状態に維持される。
【0127】
全ての実施例において、膨張可能部材(バルーン)は、バルーン内に何らの空気や膨張流体が実質的に存在しないような、つぶれ構成を、一般に有している。一般に、バルーンは、つぶれると、折りたたまれた構成になる。望ましくは、鞘の圧縮力が、その折りたたみ構成においてバルーンに作用する。鞘は、バルーンをその折りたたみ構成へと偏奇する。
【0128】
バルーンが膨張すると、鞘は、漏れのない送りができるように、ニードルと動脈間の密封を生じる。この密封は、シリコン材料のような鞘のための柔軟な材料を選ぶことによって達成される。鞘のためのその他の適切な材料としては、ポリウレタンやゴムが含まれる。
【0129】
上述したように、鞘の弾性は、バルーンが一旦収縮されると、ニードルが収縮するようになす。このことは、装置がその最初の構成に戻ることを可能とし、装置が1つの過程で複数の場所で使われることを可能とする。
【0130】
保護気泡ゴムカバーまたは鞘14が、図2に示される。選択される材料は、ニードルステム2が、バルーンの展開で露出することを可能にする程度に可とう性で伸縮自在であるが、より重要には、バルーン収縮が起こるときに、ニードルステムの収縮と保護を時宜に適って提供したり補助したりする。このことは、装置の安全な挿入と時宜に適った取り外しのために特に重要である。
【0131】
図3及び図4は、部分的に閉塞された血管空洞24内での生体内手術の間の、装置の断面概略を示す。図3において、血小板26が、部分閉塞を引き起こす内部空洞壁28の周囲に局所的に生じることが示されている。装置は、原位置に配置されて示されている。矢印27は、バルーン展開力を示し、矢印29は、圧縮スリーブの反力を示している。
【0132】
図3及び図4は、展開中及び展開後の手術に示される、装置の重要な特色の1つを示している。図示するように、バルーン圧力27は、マイクロニードル2が半径方向外側に動くようにする。圧縮力と周方向伸縮のために、保護鞘14は、圧縮され(一般に、鞘の圧縮は、ポアソン効果によって生じる)、これにより、空洞壁28の血小板26への直接の薬供給(線25で示される)を許容するマイクロニードルステム10を露出する。
【0133】
図5のAからCは、本発明の装置の3つの実施例を示している。実施例Aは、鞘14が複数の材料リング30を備えたモジュラー設計に基づく、特に柔軟性のある実施例である。これらのリング30は、互いに完全に分離しており、1つ以上の相互連結リンクによって接合されてもよい。実施例Bは、短いバルーン4を有しており、鞘14は、バルーンの先端に隣接する処置器具2を有している。この実施例は、治療的送りが閉塞部に可能な限り近づくので、慢性の完全閉塞を処置するのに最も適している。このことは、治療溶液が、病変部にできるだけ近く、脈間構造を作り直すことを可能にし、例えば、脈関係性促進が、手足や器官のあらゆる領域が血液流を供給されるようにするために閉塞部のすぐ上流に側副動脈を形成する。実施例Cは、ステント装填カテーテルに取り付けられるのに適した近接及び末端再狭窄モジュールである。ステント70は、バルーン4の端部に閉じ込められる鞘リング30の間の、バルーン4の中央周辺の原位置に示されている。このモジュールは、ステントが埋め込まれる領域の末端、近接端或いはその両方の動脈壁に治療薬を送る能力を有しており、これは、縁部再狭窄の危険を取り除いたり減らしたりする。
【0134】
図6は、本発明の1つの実施例による後から取り付ける鞘32を示している。この鞘は、内側鞘34と外側鞘36を有する2部品鞘である。内側鞘34は、その該表面40に(例えば、成形により)凹状のリザーバ38を有しており、一方、外側鞘36は、ニードルが着座できるように、内部に画定される小さな穴39を有している。ニードル・プレート組立体42は、外側鞘36の下に着座する。外側鞘36の高さhは、ニードル44の高さHよりも大きい。一旦、ニードル組立体42が、凹状リザーバ上にプレート46を位置決めして、設置されると、外側鞘36は、内側鞘34の上に取り付けられ、図7及び図8に示す完成鞘が形成される。鞘がカテーテルに装填されると、治療溶液は、凹状キャビティやリザーバの鞘内に貯蔵される。カテーテルが脈管の病変部に操作された後、バルーンが膨張される。バルーンの膨張によって、鞘は、伸ばされ、鞘内のキャビティは、その容積を減らす。この容積の減少は、治療溶液がリザーバから追い出され、病変部に送られるようにする。
【0135】
図7は、バルーンカテーテルの装填される、図6の後から組み付ける鞘を示しており、バルーンカテーテルは、その拡張構成である。図8は、収縮構成におけるカテーテルを備えた同様の装置を示している。
【0136】
後から組み付ける鞘が切断装置として用いられる場合には、簡単化された鞘が用いられる。図9aから図9cは、処置器具がマイクロサージカルメスであるブレード50であるような後から組み付ける切断鞘48を示している。メスは、最初は、鞘48の外側輪郭によって動脈の壁から隠されており、このことは、健康な血管壁を損傷することなく、動脈の病変部にカテーテルが操縦されることを可能にする。使用前及び使用後に動脈壁からブレード50を隠すのは、図9に示すように鞘48の隆起51である。鞘がバルーンに位置決めされ、バルーンが膨張されると、隆起51の穴52が図9cに示すように平らになり、鞘48の輪郭は滑らかになり、ブレード50の切断縁は露出される。これらのブレード50は、狭窄した動脈壁に接触し、アテローム性病変が制御されて溶解されるようにする。この方法は、バルーンの拡張力が複数の分離した点に集中することを可能にし、困難な病変が低圧(4から8気圧、4から8x105パスカル)で成功裏に溶解されるようにする。
【0137】
鞘またはスリーブ50は、いかなるバルーンカテーテルにも後から組みつけられるようになっている。本発明の場合は、鞘48は、弾性材料でできており、器具50を隠すことは、スリーブ48の弾性によって達成されていることが理解される。鞘の穴52は、バルーンの膨張と鞘の変形によりブレード50の露出を可能にしており、これは、図9の最終概要に示されている。図5aに示したニードルと同様に、不連続の点で連結された不連続管を有する切断鞘の多くのその他の設計がある。
【0138】
図10は、本発明による鞘80の斜視(先端を切った)図を示す。鞘80は、図11に示すタイプのバルーンカテーテル90に嵌めるのに適している。バルーンカテーテル90は、本実施例では、膨張可能バルーンである拡張可能部分91を有している。鞘80がカテーテル90にかぶさると、図12に示す組立構成・装置100の形態をとる。図13に示すタイプの(実施例3の)可とう性マイクロブレードは、以下により詳しく説明する、鞘80の各対の隆起の間の鞘80に取り付けられる。本実施例は、切断ブレードを有するものとして記載されているが、鞘は、代替的な追加の処置器具を保持できることは理解される。ブレード90は、切断チップ96とベースエンド97を有している。ベースエンド97は、接着によって鞘80に取り付けられているが、他の取り付け方法が利用されてもよい。実施例では、ブレード95は、ほぼ鞘の全長さにわたり、バルーンの長さに沿った切断作用をする。ブレードは、可とう性の材料でできており、実質的に連続している。ブレードは、一連の短いブレード部分で形成されてもよいことは理解される。
【0139】
図12に示す装置の構成は、バルーンの収縮構成を示している。この構成において、装置は、体の内腔や血管内で、器具が鞘内に隠されたままで狙った領域まで移動するようになっている。
【0140】
多数の隆起が鞘80の一部として形成されている。各隆起は、それぞれ中空内部ポケット82を備えた楕円形隆起81として形成されている。実施例では、ポケット82は、鞘80の略全(作動)長さに沿って延びており、鞘の管状リング85上に形成されている。しかしながら、装置が内腔内を移動するために動かされるときに、隆起が器具を内腔との接触から保護し、隆起の長さと位置は、要求される保護機能に応じて調節されることが理解される。各ポケット82は、鞘材料のひだによって中空に形成される。
【0141】
図からわかるように、隆起はついで設けられる。実施例では、3対の隆起がある。各1対の隆起は、処置器具の対向側に設けられる。実施例では、隆起はそれぞれ、曲面状の該表面84を有している。表面84は、凸形状をしている。図からわかるように、隆起は、断面で略楕円形をしている。各対の隆起は、作用器具上部の何らの点で(その主軸に沿って)互いに収束している。このようにして、各作用器具が効果的に(側方に)保護されることを保証するように、隆起が(最高点が)作用器具に向けて輪郭を形成される。この構成では、作用器具は、隆起内にある。
【0142】
図14に示すように、円錐頭101は、カテーテル90と鞘80間の移行を滑らかにするために設けられてもよい。「円錐頭」という用語は、そのような移行を提供する適切な突出部を示すために用いられ、円錐形状に制限されないことが理解される。望ましくは、円錐頭101は、テーパ状の輪郭を有している。円錐頭101は、カテーテルやカテーテルと鞘の組立体の先端102に設けられている。実施例では、円錐頭は、カテーテルチップ102と鞘100の間の滑らかな表面移行を提供するフレアスカート103である。円錐頭は、その隆起を含む鞘の外側輪郭に適合するようになっていてもよい。実施例では、(下方)移行部105によって接合される突起104によって示されている。同様の装置が組立体100の対向端に同様にして設けられうることが理解される。そのような場合には、第2装置が「テールコーン」と考えられても良い。これは、(組立体の後端にある)体から装置を引き出すのを助ける。
【0143】
図15から図17は、カテーテルのバルーンの拡張の間の鞘の構成における変化を示している。カテーテルは、明瞭化のために、図面から除かれている。しかし、鞘に(内方へと)加えられる拡張力は、バルーンカテーテルからもたらされる。
【0144】
最初は、図15に示すように、拡張していない構成において、作用器具95は、対になった隆起内に保護されている。図に示すように、鞘80の周囲に略120度ずつ離されて3つの作用器具が設けられている。この構成では、組み立てられた鞘とカテーテルは、器具95がぶつかる心配なく体内腔を動くことができる。
【0145】
図16が示すように、カテーテルのバルーンによって内部から加えられる拡張圧力が鞘80によって処理されるとき、鞘の厚みは、器具を血管壁の狙った領域に接触するようにさらすために減少する。図16から分るように、隆起81及び特にポケット82は、鞘80の有効厚さが実質的に減らされるように、平らになり始める。器具95(特に切断チップ96)が、対向する隆起の間の入れ子位置から偏奇され、血管壁との接触からもはや保護されないようになる。管状リング85は、厚みを減じ、隆起81は、共に厚みを減じて平らになり始める(両効果は、器具を露出するのに寄与する)。実際、拡張が続くと、図17に示すように、隆起は、平らになり、これらが1つの大きな(円形の)伸縮リング87に実質的に吸収される限度まで伸縮する。図16または図17の構成では(或いは、その中間の位置では)、器具は、作用することができる。バルーンが上記した拡張と反対の位置に収縮すると、収縮が起こる。
【0146】
図18は、(左から右への)拡張と(右から左への)収縮の間の鞘構成の可逆的順序を示すために便宜上設けられている。
【0147】
一旦、装置がその収縮構成に戻ると、ぶつかったりする心配なく、体内を自在に動くようになることは明らかである。
【0148】
図19は、上記した鞘80の構成と類似の鞘110を示している。この場合、処置器具(ブレード111)は、体との接触から保護されたブレードの先端112を備えて、保護位置に示されている。上記した鞘と比較して、追加の特徴の1つは、作用器具(ブレード111)が鞘内にへこまされていることである。特に、ベース部分113が鞘の表面を貫通し、鞘に埋め込まれている。器具は、凹部内に収容されたその基部を備えて鞘内にへこまされている。この実施例では、器具は、鞘が形成される時にその位置に形成される。或いは、導管やその他の凹部が、器具が後ほど取り付けられる鞘に設けられ得る。そのへこんだ位置からの器具の取り外しを避けるために、補強部材を器具のそばに設けて、鞘が鞘への器具の固定位置でのまたはその周辺での伸縮の可能性を禁ずるようにすることが賢明であるかもしれない。実施例では、補強部材115は、器具112の下の位置で鞘に沿って延びる。補強部材115は、このようにして、器具のいかなる点での取り外しをも禁ずるような十分な長さである。
【0149】
図21は、本発明のもう一つの実施例を示している。鞘120は、その拡張していない構成で示されている。鞘120は、材料121の環状リングを有している。開口122が上記したようなカテーテルバルーンを受容するようになっている。一連のポケットが鞘120に形成されている。特に、鞘120は、多くのポケットを備えた変形可能なヘッド部分126を有している。実施例では、単一のヘッド部分が示されているが、複数が設けられてもよいことは理解され、例えば、そのようなヘッド部分の構成が鞘の他の部分に繰り返されてもよい。ポケット124は、器具をその中に収容するようになっている。一連のポケット123が器具ポケット124の各側に設けられる。更に、より大きなポケット125が器具のポケット124の対向側に設けられてもよい。実施例では、鞘120は、開口127を備えて形成されており、これらの開口は、作用器具、本実施例では、ニードルが望ましい、上に配置される。器具の露出は、以下で詳細に記載するように、開口127を通って生じる。
【0150】
図22は、鞘内のポケットに収容される器具、実施例ではニードル130を有する鞘120の端面図を示している。特に、ニードル130は、器具ポケット124内に設けられる。複数のニードル130のような複数の器具が、例えば、開口127を通って露出するように設けられてもよいことは理解される。明瞭化のために、1つのニードル130の作動がここでは示される。図22の構成は、鞘によって保護される器具を備えた拡張しない構成である。
【0151】
図23は、拡張バルーンの力の下で拡張された鞘120を備えた拡張構成を示している。この図面から明瞭に分るように、拡張力の下では、鞘の厚みが減る。このことは、鞘自体の伸縮によって生じ、鞘のポケット(全て)が平らになることによって生じる。特に、鞘のヘッド部分126は実質的に厚みを減らすことは理解される。図23から分るように、効果は、ニードル130が開口127を通って押し出され、作用構成となることである。流体が、他の実施例で上記したように、ニードルに送られうる。
【0152】
図24から図28は、本発明の装填装置140の実施例を示す。装填装置は、伸縮可能な管状鞘141をバルーンカテーテルに装填するものである。装填装置は、伸縮部146を有している。伸縮部146は、複数の部材、この実施例では、フィンガ144を有している。フィンガは、鞘の伸縮のために互いに拡張可能である。図24は、フィンガ144が鞘内に挿入され、プッシュロッド143の挿入によって離されるようになった、鞘の伸縮構成を示している。プッシュロッド143は、操作を簡単にするためのハンドル148を備えている。プッシュロッド143は、中空の管状構成を有している。これは、カテーテル143を摺動可能に収容することができる。プッシュロッド143は、バルーンを鞘に対して正しく位置決めするために、透明であるか、或いは、標識を備えているのが望ましい。ここで、「透明」というのは、カテーテルの位置を目視で決められる程度に半透明であることをいい、または、カテーテルが確認されるような1つ以上の開口窓をも含むものである。
【0153】
フィンガ144は、取り付け部分145に取り付けられている。フィンガは、その関連グリップ151によって、以下に説明するように、折りたたみ可能である。実施例では、3つのフィンガ144が設けられており、それぞれ約120度離れている。図24に示すように、プッシュロッド143をやじる152方向に引くことによって、ロッド143は、フィンガ144間で折りたたまれる。プッシュロッド143の取り外しの結果は、図25に示される構成である。
【0154】
図26に示す過程における次の段階は、フィンガ144の取り外しである。これは、3つのフィンガを取り付ける取り付け部分145のハンドル147を握ることによってなされる。3つのフィンガは、ガイド154によって隔置した構成を維持されている。ガイド154は、フィンガが貫通する開口155を有している。図26に示すように、フィンガ144は、矢印156で示すようにグリップ155を引くことによって折りたたまれる。これは、フィンガ144を鞘下から引き出し、鞘をカテーテル142に解放する。これは、フィンガが鞘の下にもはやない図27の構成へと導く。このことは、取り付け部分が、カテーテル142の適所に鞘141を置くために取り去られることを意味している。装填された鞘141を備えたカテーテル142が、図28に示される。拡張部材(フィンガ)が可とう性であることが理解される。
【0155】
図29から図34は、本発明による更なる鞘装填装置54の組立工程を示している。組み立てられた装置は、4つのそうと連結部分を有している。
【0156】
図29に示すように、第1部分は、その長さの一部を機械加工したスロットを備えた管56である。第2部分は、2つの異なる外径d1とd2を有する管58である。直径d1は、管56の直径d1と同じである。内面57によって画定される、管58の内径は、バルーンカテーテルを嵌めるのに十分な大きさである。
【0157】
図30は、管58を組み立てられた第1と第2の部分が、管56の端部に押し入れられているところを示している。長さL1は、器具つきの鞘が置かれる位置である。
【0158】
図31で、第3と第4の部分は、2つの管60と62として示されている。管60と62は、鞘が取り付けられる時に、組み立てられた管56と58に嵌まる。管60と62は、組み立てられると、以下の機能を有する。(i)鞘がバルーンカテーテルに配置される時に器具から使用者の手を保護する。(ii)管60と62が鞘の取り付け過程で取り除かれるときに鞘を適所に保持する。管60と62は、1部品を形成するか、互いにプレス嵌めされるように互いにねじ込まれている。部分60と62の最小の内径は、管56と58の直径d1に等しい。図12に示すように、鞘64は器具(図示せず)を備えている。その緊張していない直径は、それが取り付けられるバルーンカテーテルの直径よりも少なくとも10%小さい。
【0159】
図32は、その外表面59に取り付けられた鞘64を備えた組立部分56と58を示している。鞘64は、これら組立部分に嵌まるように、周方向に伸縮されている。
【0160】
図33は、鞘64上に装填された部分60と62を備えた完全組立体を示している。このようにして製品が顧客に送られる。
【0161】
図34から図38は、鞘装填過程を示している。図34に示すように、バルーンカテーテル66は、完全組立体の内側管56と58内に配置されている。
【0162】
図36に示すように、組立体の分解を始めるに当たって、部品60と62が操作者によって保持され、部品58が大きな矢印の方向に引き戻されて、カテーテルから取り外される。これは、部品56のへこんだ端部がバルーンカテーテル66上に落下させ、鞘が部品56に加える圧力をいくらか取り除くことを可能にする。これはまた、部分56を取り除きやすくする。
【0163】
図36に示すように、部品60と62は、操作者によって保持され、部品56は、大きな矢印の方向に引かれ、カテーテルから取り除かれる。
【0164】
最終工程が、図37に示されている。部分60と62は、大きな矢印の方向に引き離され、カテーテルから取り除かれる。
【0165】
図38は、バルーンカテーテル66に装填される鞘64を示す簡略斜視図であり、鞘64はバルーンを圧縮している。
【0166】
部品56、58、60と62は、いかなる材料でできてもよいが、最も好適な材料は、透明材料であり、操作者は、鞘がどこに取り付けられているかを見ることができる。
【0167】
放射線不透過性目印は、過程(バルーン血管形成過程)における配列を助けるために、鞘に追加されてもよい。
【0168】
部分58が取り除かれる前にカテーテルを適所に保持するのに追加の部品が必要とされ、これは、部分58に組み込まれてもよい。そうでなければ、追加の手が必要となる。部品56は、取り除くのを容易にするために傾斜をつけられても良い。部品56と58は、その取り除きを容易にするために潤滑されてもよい。装填装置の全ての部品は、人間工学的に設計された握りを、制御を補助するために備えてもよい。
【0169】
図39と図41は、本発明による保護鞘200の代替実施例を示している。鞘は、以下の特徴を除いて、図10と図12、図14から図18に示す鞘と実質的に同じ形状を有している。
【0170】
図39に示すように、複数の薬物注入ポート202が、各突出部204に設けられている。ポート202は、各突出部204の長さに沿って軸方向に整合されている。図40は、図39の鞘の断面図である。図示したように、各ポートは、鞘の外側表面206からその突出部のポケット208の内部へと延びている。この鞘と図10と図12、図14から図18に示す鞘との更なる違いは、各突出部内の内腔の両端が、楕円断面の部分的に密封されたポケット208を形成するように密封されており、薬物注入ポートを介して外側にのみ開口していることである。ポケットは、楕円に限らず、あらゆる断面形状を取りうる。ポケットの実質的な密封性は、薬を含む治療流体のような流体が、各ポケット内に貯蔵されるのを可能にする。鞘の上述した実施例を参照して説明したように、鞘がバルーンに位置決めされ、バルーンが膨張されると、隆起の内腔(ポケット)は、平らになり、鞘の輪郭は、滑らかになる。本発明では、隆起が平らになることやつぶれることは、各ポケットに貯蔵された流体が薬物注入ポートを通ってポケットから引き出され搾り出されるようにする。
【0171】
使用において、図13に示したような切断ブレードのような、複数の処置器具が、各対の隆起の間で鞘に取り付けられることが理解される。しかし、明瞭化のために、図39と図40の鞘は、処置器具なしで示されている。
【0172】
図41は、動脈空洞内での手術中の図39と図40の鞘の断面概略である。鞘は、動脈212の内壁に形成される血小板210を処置するためのカテーテル型処置装置の一部を形成する。鞘は、案内ワイヤ216を介して処置位置に挿入されたカテーテルバルーン214に取り付けられている。装置は、その拡張構成においてバルーン展開を示されている。図示したように、バルーン圧力は、鞘上のブレード218が半径方向外側に動くようにする。圧縮力と周方向伸縮によって、保護鞘200は圧縮され、突出部204は平らにされ、これにより、ブレードを空洞壁の血小板に露出し駆動する。各ポケットは、治療物質を含む流体220を装填される。各ポケットがつぶれると、その中に装填された流体は、鞘の伸縮によるポケットの容積の減少により、薬物注入ポートを通って追い出される。治療流体は、このようにして、ブレードが血小板に接触するときに、病変壁の処置領域に送られる。
【0173】
鞘は、使用後に再充填されてもよいことは理解される。ポケットを充填することは、鞘が治療溶液に沈められるときに、バルーンに鞘を取り付け、バルーンを膨張させることでなされてもよい。このことは、ポケットから空気を抜き、バルーンの収縮に伴い、真空を保証することによって、溶液が薬物注入ポートを通ってポケット内に吸い込まれる。
【0174】
図42は、カテーテル型処置装置350の一部としての鞘300の更なる実施例を示す。この実施例においては、各突出部304のポケット308の末端のみが、鞘の材料によって密封されている。流体供給内腔330は、鞘の近接端において各ポケットの開口端に接続されている。流体がポケット内で予め装填されるよりもむしろ、供給内腔は流体をポケットに供給する。各供給内腔の他端は、治療物質を血管壁の所望の位置に均一に送るカテーテル334の近接端で注射器332に接合されている。分配されうる流体の容積は、これまでの実施例と同様、ポケットの大きさに制限されない。図示したように、鞘を出た各供給内腔330の少なくとも長さは、バルーン314の膨張による鞘の拡大を制限しないように、下にあるバルーンカテーテルに取り付けられていない。
【0175】
図43と図44は、図42の鞘・供給内腔装置と同じものを有するが、異なる流体リザーバを備えたカテーテル型処置装置450の代替実施例を示している。分離流体リザーバ460は、機能的切断バルーン414に近接して配置されている。このリザーバは、各隆起内の各導管に供給内腔430を介して接続されている。リザーバは、可とう性材料(例えば、シリコンやゴム)でできている。リザーバは第2バルーン470を囲んでおり、この第2バルーンが拡張されると、それは治療材料を鞘400の薬物注入ポート402を通ってリザーバから搾り出す。切断鞘バルーンが膨張され動脈壁に接触するまで、第2バルーンは、膨張される。第2バルーンは、バルーンリザーバ膨張内腔480を介して膨張される。
【0176】
このリザーバを充填することは、切断鞘が治療溶液に沈められるときに、第2バルーンを膨張することによって行われる。これは、空気をリザーバから抜き出し、バルーンの収縮によって、治療溶液は、真空を保証することによってリザーバに吸い込まれる。溶液は、切断鞘上の注入ポートを通ってリザーバに吸い込まれる。リザーバは、この実施例の治療溶液の容積を決定する。
【0177】
図45と図46は、カテーテル型処置装置550の更なる実施例を示しており、装置は、上記した実施例と同様の分離流体リザーバ560を有している。この実施例の第2バルーンリザーバ570は、主バルーン514と同じ膨張源によって膨張される。第2バルーン570は、鞘500を拡張する主バルーン514と、異なる態様で製造され、両バルーンのための分離した膨張内腔の必要性をなくしている。使用においては、主バルーンが、まず膨張されて、ブレード518を露出し血管壁へと駆動する。そして、第2バルーンが膨張され、流体をリザーバ560から注入ポート502を通って血管内部に追い出す。
【0178】
図47と図48は、カテーテル型処置装置650の更なる実施例を示している。供給内腔630を接続するリザーバ660が、切断鞘600に直接近接して、鞘に取り付けられている。リザーバ660と鞘600は、主バルーン670を囲んでいる。主バルーン670は、2つの領域を有しており、1領域670aは、2領域670bよりも少ない剛性を有している。バルーンがその呼び圧力に膨張されると、1領域は、その最大直径まで拡張し、ブレード618と鞘600を動脈壁に接触するように押し付ける。更に圧力が上昇すると、2領域670bが拡張し始め、2領域670bをリザーバ660が取り囲み、領域2のバルーンが拡張すると、リザーバ660の容積は減少し、治療物質が注入ポート602を通って搾り出される。リザーバは、弾性材料によって作られている。リザーバを充填することは、リザーバの外側を圧縮し(切断鞘が治療溶液に沈められながら)空気を排出することによって達成される。この保持を解放すると、治療薬は注入ポートを通ってリザーバに吸い込まれる。
【0179】
図49は、本発明による鞘700の更なる実施例の断面を示す。図39の実施例と対照的に、鞘700の各突出部704は、多孔性材料の断面706を有している。明瞭化のために図39から外されていた処置器具705が示されている。多孔性によって、突出部は、細胞質や泡・スポンジ状である。特徴的には、多孔性材料706は、吸収によって流体を注入されうる。鞘の多孔性部分に適した材料は、多孔性シリコン材料を含むが、代替的材料を使うこともでき、制限されるわけではないが、多孔性ポリウレタンや多孔性ゴムを含んでもよい。多孔性断面は、鞘の残りの材料の多孔性のものからなってもよいし、鞘に取り付けられることなる材料からなってもよい。使用においては、処置されるべき血管に導入される前に、流体につけられるか、または、多孔性材料706に直接流体を塗布することによって、鞘は流体に導入されてもよい。その後、バルーンが一旦膨張されると、突出部内の孔や細胞は、平らになり、そこに蓄えられた流体を突出部から血管へと追い出す。
【0180】
明瞭化のために別々の実施例の内容に記載された、本発明の特徴は、1つの実施例にまとめて備えられてもよいことは理解される。反対に、簡潔にするために1つの実施例の内容に記載された本発明の様々な特徴は、別々に、または、いくつかの適切な組み合わせで設けられてもよい。
【0181】
ここで記載される処置器具ガード、鞘及び装置は、2007年8月29日に出願された、同時継続の米国特許出願番号11/846,887号(2007年2月23日に出願された米国特許出願番号11/710,266号の一部継続出願)に記載されたブレード、ベースプレート及びブレード装置と組み合わせて用いられてもよい。例えば、ここに記載された(特に請求項に記載された)処置器具ガード、鞘及び装置は、関連出願(特に請求項に記載された)ブレード、ベースプレート及びブレード装置と組み立てられてもよい。
【0182】
「からなる」及び「有する・含む」なる用語は、本発明と関連して用いられる場合には、その特徴、数、工程数または要素を具体化するために用いられ、1つ以上の他の特徴、数、工程数、要素または郡の追加を排除するものではない。特に、別々の独立した請求項に記載された特徴が組み合わされることは理解される。いかなる従属請求項の特徴も、他の独立請求項に適用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置のための折りたたみ可能な処置器具ガードであって、該装置が、
血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
拡張可能部分から半径方向外側に延びる少なくとも1つの処置器具と、
を有しており、装置の収縮構成において、器具が少なくとも部分的にガードによって保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、ガード。
【請求項2】
前記ガードは、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するために拡張可能部分に圧縮力を加えるように、また、その収縮構成において拡張可能部分に圧縮力を加えるように、装置の拡張可能部分に伸縮可能に嵌められる保護鞘の一部である、請求項1に記載のガード。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガードが、鞘の外表面上の隆起であり、バルーンの収縮構成において、各隆起が各処置器具よりも鞘の外表面から半径方向外側に延びる、請求項1または2に記載のガード。
【請求項4】
処置器具がブレードである、請求項1から3の何れか1項に記載のガード。
【請求項5】
流体リザーバと流体連結する少なくとも1つの中空内部ポケットと、
流体が追い出される前記内部ポケットと流体連結する少なくとも1つの注入ポートと、
を有する、請求項1から4の何れか1項に記載のガード。
【請求項6】
前記流体リザーバが内部ポケット内に設けられ、装置の拡張構成において、前記ポケットが、平らになり、これにより、少なくとも1つの処置器具を露出し注入ポートを通って流体を追い出すように半径方向にガードの大きさを減じる、請求項5に記載のガード。
【請求項7】
前記ガードが多孔性であり、吸収によって流体にしみ込まない、請求項1から6の何れか1項に記載のガード。
【請求項8】
人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置に嵌まる保護鞘であって、該装置が、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
b)拡張可能部分から半径方向外側に延びる少なくとも1つの処置器具と、
を有しており、該保護鞘は、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するために拡張可能部分に圧縮力を加えるように、拡張可能部分に伸縮可能に嵌められるようになっており、少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、器具はガードによって少なくとも部分的に保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、保護鞘。
【請求項9】
人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置に嵌まる保護鞘であって、該装置が、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
b)拡張可能部分から半径方向外側に延びる少なくとも1つの処置器具と、
を有しており、該保護鞘は、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するために拡張可能部分に圧縮力を加えるように、拡張可能部分に嵌められるようになっており、少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、器具はガードによって少なくとも部分的に保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、保護鞘。
【請求項10】
人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するためのバルーンカテーテルに嵌まる鞘であって、該鞘が、バルーンをその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するためにバルーンに圧縮力を加えるように、バルーンに伸縮可能に嵌められるようになっており、該鞘は、
バルーンから半径方向外側に延びるように鞘内に取り付けられる少なくとも1つの処置器具と、
少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードと、
を有し、装置の収縮構成において、該器具はガードによって少なくとも部分的に保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、鞘。
【請求項11】
前記少なくとも1つのガードが、鞘の外表面上の隆起であり、バルーンの収縮構成において、各隆起が各処置器具よりも鞘の外表面から半径方向外側に延びる、請求項10に記載の鞘。
【請求項12】
各隆起が、実質的に鞘の長さに沿って延びる、請求項11に記載の鞘。
【請求項13】
流体リザーバと流体連結する少なくとも1つの中空内部ポケットと、流体が追い出される前記内部ポケットと流体連結する少なくとも1つの注入ポートとを有する、請求項11または12に記載の鞘。
【請求項14】
前記流体リザーバが内部ポケット内に設けられ、装置の拡張構成において、前記ポケットが、平らになり、これにより、少なくとも1つの処置器具を露出し注入ポートを通って流体を追い出すように半径方向にガードの大きさを減じる、請求項13に記載の鞘。
【請求項15】
少なくとも1対の隆起が設けられ、それぞれが処置器具の対向側に設けられる、請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の鞘。
【請求項16】
収縮構成において、1対の隆起が互いに作用器具の上部の点に収束する、請求項15に記載の鞘。
【請求項17】
複数の処置器具を備え、各処置器具が実質的に鞘の長さ分伸びるブレードである、請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の鞘。
【請求項18】
各ブレードが1対の隆起の間に位置決めされ、各隆起が、実質的に鞘の長さに沿って延びる、請求項17に記載の鞘。
【請求項19】
各隆起が、複数の長手方向に整合された注入ポートからなる、請求項18に記載の鞘。
【請求項20】
前記少なくとも1つのガードが多孔性であり、吸収によって流体にしみ込まない、請求項10から19の何れか1項に記載のガード。
【請求項21】
人体または動物の血管壁の狙った領域を処置するための装置であって、該装置は、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
b)装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用し、収縮構成における拡張可能部分に収縮力を作用するために拡張可能部分の第1領域に伸縮可能に嵌まる保護鞘と、
c)保護鞘上にあり拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも1つの処置器具と、
d)保護鞘上の少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、該器具がガードによって少なくとも部分的に隠されており、装置の拡張構成において、ガードが血管壁の狙った領域に接触するように器具を露出させるためにつぶれ、ガードは、ガードのつぶれる動作のもとで装置から流体を追い出すように配置されている、装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つのガードが、鞘の外表面上の隆起であり、バルーンの収縮構成において、各隆起が各処置器具よりも鞘の外表面から半径方向外側に延びる、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
処置器具がブレードである、請求項21または22に記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つのガードから追い出される流体を貯蔵する、少なくとも1つのリザーバを有する、請求項21から23の何れか1項に記載の装置。
【請求項25】
流体リザーバと流体連結する少なくとも1つの中空内部ポケットと、流体が追い出される前記内部ポケットと流体連結する少なくとも1つの注入ポートとを有する、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記リザーバが内腔を介して内部ポケットに接続されている、請求項24または25に記載の装置。
【請求項27】
前記リザーバが前記拡張部分を囲み、拡張可能部分の拡張によって内部ポケットに流体を送るように配置される、請求項24から26の何れか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記拡張部分の一端に隣接するリザーババルーンを有し、前記リザーバがリザーババルーンを囲み、リザーババルーンの拡張によって内部ポケットに流体を送るように配置される、請求項24から27の何れか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記リザーババルーンを拡張する膨張内腔を有する、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記リザーバが前記拡張可能部分の第2領域を取り囲むリザーバ鞘内に形成され、該第2領域が第1領域に隣接しており、前記拡張可能部分の拡張が前記リザーバの容積を減らし、流体をリザーバから供給内腔へ搾り出す、請求項24に記載の装置。
【請求項31】
前記拡張可能部分の第2領域が、第1領域よりも大きな拡張抵抗を有し、膨張流体が拡張可能部分に導入される時に、第2領域が第1領域の後に拡張する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記流体リザーバが内部ポケット内に設けられ、装置の拡張構成において、前記ポケットが、平らになり、これにより、少なくとも1つの処置器具を露出し注入ポートを通って流体を追い出すように半径方向にガードの大きさを減じる、請求項24に記載の装置。
【請求項33】
各隆起が、実質的に鞘の長さに沿って延びる、請求項22から請求項32の何れか1項に記載の装置。
【請求項34】
少なくとも1対の隆起が設けられ、それぞれ処置器具の対向側に設けられる、請求項22から請求項33の何れか1項に記載の装置。
【請求項35】
収縮構成において、各対の隆起が、処置器具上部の点に互いに収束する、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
複数の処置器具を備え、各処置器具が実質的に鞘の長さ分伸びるブレードである、請求項21から請求項35のいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
各ブレードが1対の隆起の間に位置決めされ、各隆起が、実質的に鞘の長さに沿って延びる、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
各隆起が、複数の長手方向に整合された注入ポートからなる、請求項21に記載の装置。
【請求項39】
前記ガードが多孔性であり、吸収によって流体にしみ込まない、請求項21から38の何れか1項に記載の装置。
【請求項40】
人体または動物の血管壁の1つ以上の狙った領域を処置するための方法であって、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用し、収縮構成における拡張可能部分に収縮力を作用するために拡張可能部分に伸縮可能に嵌まる保護鞘と、
拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも1つの処置器具と、を有し、装置の収縮構成において、該器具が保護鞘内に隠されており、装置の拡張構成において、鞘の厚みが血管壁の狙った領域に接触するように器具を外に出すために減少する、処置器具と、
少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、該器具がガードによって少なくとも部分的に隠されており、装置の拡張構成において、ガードが血管壁の狙った領域に接触するように器具を露出させるためにつぶれ、ガードは、ガードのつぶれる動作のもとで装置から流体を追い出すように配置されている、処置器具ガードとからなる装置を提供する工程と、
b)装置を血管の内部にその収縮構成において挿入する工程と、
c)狙った領域に届くように、血管内で装置を前進させる工程と、
d)血管壁を接触するように器具を露出させるように拡張可能部分を拡張する拡張力を提供する工程と、
e)拡張力を取り除いて、収縮力が、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するようになす工程と、
f)全ての狙った領域が処置されるまで、工程c)から工程e)までを繰り返す工程と、
g)装置を血管から引き出す工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項1】
人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置のための折りたたみ可能な処置器具ガードであって、該装置が、
血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
拡張可能部分から半径方向外側に延びる少なくとも1つの処置器具と、
を有しており、装置の収縮構成において、器具が少なくとも部分的にガードによって保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、ガード。
【請求項2】
前記ガードは、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するために拡張可能部分に圧縮力を加えるように、また、その収縮構成において拡張可能部分に圧縮力を加えるように、装置の拡張可能部分に伸縮可能に嵌められる保護鞘の一部である、請求項1に記載のガード。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガードが、鞘の外表面上の隆起であり、バルーンの収縮構成において、各隆起が各処置器具よりも鞘の外表面から半径方向外側に延びる、請求項1または2に記載のガード。
【請求項4】
処置器具がブレードである、請求項1から3の何れか1項に記載のガード。
【請求項5】
流体リザーバと流体連結する少なくとも1つの中空内部ポケットと、
流体が追い出される前記内部ポケットと流体連結する少なくとも1つの注入ポートと、
を有する、請求項1から4の何れか1項に記載のガード。
【請求項6】
前記流体リザーバが内部ポケット内に設けられ、装置の拡張構成において、前記ポケットが、平らになり、これにより、少なくとも1つの処置器具を露出し注入ポートを通って流体を追い出すように半径方向にガードの大きさを減じる、請求項5に記載のガード。
【請求項7】
前記ガードが多孔性であり、吸収によって流体にしみ込まない、請求項1から6の何れか1項に記載のガード。
【請求項8】
人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置に嵌まる保護鞘であって、該装置が、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
b)拡張可能部分から半径方向外側に延びる少なくとも1つの処置器具と、
を有しており、該保護鞘は、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するために拡張可能部分に圧縮力を加えるように、拡張可能部分に伸縮可能に嵌められるようになっており、少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、器具はガードによって少なくとも部分的に保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、保護鞘。
【請求項9】
人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するための装置に嵌まる保護鞘であって、該装置が、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
b)拡張可能部分から半径方向外側に延びる少なくとも1つの処置器具と、
を有しており、該保護鞘は、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するために拡張可能部分に圧縮力を加えるように、拡張可能部分に嵌められるようになっており、少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、器具はガードによって少なくとも部分的に保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、保護鞘。
【請求項10】
人体または動物の血管の血管壁の狙った領域を処置するためのバルーンカテーテルに嵌まる鞘であって、該鞘が、バルーンをその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するためにバルーンに圧縮力を加えるように、バルーンに伸縮可能に嵌められるようになっており、該鞘は、
バルーンから半径方向外側に延びるように鞘内に取り付けられる少なくとも1つの処置器具と、
少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードと、
を有し、装置の収縮構成において、該器具はガードによって少なくとも部分的に保護されており、装置の拡張構成において、ガードが器具を血管壁の狙った領域と接触のために露出するようにつぶれ、このガードは、ガードのつぶれ動作の元で、装置から流体を追い出すようにされている、鞘。
【請求項11】
前記少なくとも1つのガードが、鞘の外表面上の隆起であり、バルーンの収縮構成において、各隆起が各処置器具よりも鞘の外表面から半径方向外側に延びる、請求項10に記載の鞘。
【請求項12】
各隆起が、実質的に鞘の長さに沿って延びる、請求項11に記載の鞘。
【請求項13】
流体リザーバと流体連結する少なくとも1つの中空内部ポケットと、流体が追い出される前記内部ポケットと流体連結する少なくとも1つの注入ポートとを有する、請求項11または12に記載の鞘。
【請求項14】
前記流体リザーバが内部ポケット内に設けられ、装置の拡張構成において、前記ポケットが、平らになり、これにより、少なくとも1つの処置器具を露出し注入ポートを通って流体を追い出すように半径方向にガードの大きさを減じる、請求項13に記載の鞘。
【請求項15】
少なくとも1対の隆起が設けられ、それぞれが処置器具の対向側に設けられる、請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の鞘。
【請求項16】
収縮構成において、1対の隆起が互いに作用器具の上部の点に収束する、請求項15に記載の鞘。
【請求項17】
複数の処置器具を備え、各処置器具が実質的に鞘の長さ分伸びるブレードである、請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の鞘。
【請求項18】
各ブレードが1対の隆起の間に位置決めされ、各隆起が、実質的に鞘の長さに沿って延びる、請求項17に記載の鞘。
【請求項19】
各隆起が、複数の長手方向に整合された注入ポートからなる、請求項18に記載の鞘。
【請求項20】
前記少なくとも1つのガードが多孔性であり、吸収によって流体にしみ込まない、請求項10から19の何れか1項に記載のガード。
【請求項21】
人体または動物の血管壁の狙った領域を処置するための装置であって、該装置は、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
b)装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用し、収縮構成における拡張可能部分に収縮力を作用するために拡張可能部分の第1領域に伸縮可能に嵌まる保護鞘と、
c)保護鞘上にあり拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも1つの処置器具と、
d)保護鞘上の少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、該器具がガードによって少なくとも部分的に隠されており、装置の拡張構成において、ガードが血管壁の狙った領域に接触するように器具を露出させるためにつぶれ、ガードは、ガードのつぶれる動作のもとで装置から流体を追い出すように配置されている、装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つのガードが、鞘の外表面上の隆起であり、バルーンの収縮構成において、各隆起が各処置器具よりも鞘の外表面から半径方向外側に延びる、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
処置器具がブレードである、請求項21または22に記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つのガードから追い出される流体を貯蔵する、少なくとも1つのリザーバを有する、請求項21から23の何れか1項に記載の装置。
【請求項25】
流体リザーバと流体連結する少なくとも1つの中空内部ポケットと、流体が追い出される前記内部ポケットと流体連結する少なくとも1つの注入ポートとを有する、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記リザーバが内腔を介して内部ポケットに接続されている、請求項24または25に記載の装置。
【請求項27】
前記リザーバが前記拡張部分を囲み、拡張可能部分の拡張によって内部ポケットに流体を送るように配置される、請求項24から26の何れか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記拡張部分の一端に隣接するリザーババルーンを有し、前記リザーバがリザーババルーンを囲み、リザーババルーンの拡張によって内部ポケットに流体を送るように配置される、請求項24から27の何れか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記リザーババルーンを拡張する膨張内腔を有する、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記リザーバが前記拡張可能部分の第2領域を取り囲むリザーバ鞘内に形成され、該第2領域が第1領域に隣接しており、前記拡張可能部分の拡張が前記リザーバの容積を減らし、流体をリザーバから供給内腔へ搾り出す、請求項24に記載の装置。
【請求項31】
前記拡張可能部分の第2領域が、第1領域よりも大きな拡張抵抗を有し、膨張流体が拡張可能部分に導入される時に、第2領域が第1領域の後に拡張する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記流体リザーバが内部ポケット内に設けられ、装置の拡張構成において、前記ポケットが、平らになり、これにより、少なくとも1つの処置器具を露出し注入ポートを通って流体を追い出すように半径方向にガードの大きさを減じる、請求項24に記載の装置。
【請求項33】
各隆起が、実質的に鞘の長さに沿って延びる、請求項22から請求項32の何れか1項に記載の装置。
【請求項34】
少なくとも1対の隆起が設けられ、それぞれ処置器具の対向側に設けられる、請求項22から請求項33の何れか1項に記載の装置。
【請求項35】
収縮構成において、各対の隆起が、処置器具上部の点に互いに収束する、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
複数の処置器具を備え、各処置器具が実質的に鞘の長さ分伸びるブレードである、請求項21から請求項35のいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
各ブレードが1対の隆起の間に位置決めされ、各隆起が、実質的に鞘の長さに沿って延びる、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
各隆起が、複数の長手方向に整合された注入ポートからなる、請求項21に記載の装置。
【請求項39】
前記ガードが多孔性であり、吸収によって流体にしみ込まない、請求項21から38の何れか1項に記載の装置。
【請求項40】
人体または動物の血管壁の1つ以上の狙った領域を処置するための方法であって、
a)血管内で狙った領域への移動を許容する収縮構成から狙った領域の処置を許容する拡張構成へと装置を半径方向に拡張するための拡張可能部分と、
装置を拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するための拡張可能部分に圧縮力を作用し、収縮構成における拡張可能部分に収縮力を作用するために拡張可能部分に伸縮可能に嵌まる保護鞘と、
拡張可能部分から半径方向外方に延びる少なくとも1つの処置器具と、を有し、装置の収縮構成において、該器具が保護鞘内に隠されており、装置の拡張構成において、鞘の厚みが血管壁の狙った領域に接触するように器具を外に出すために減少する、処置器具と、
少なくとも1つの折りたたみ可能な処置器具ガードであって、装置の収縮構成において、該器具がガードによって少なくとも部分的に隠されており、装置の拡張構成において、ガードが血管壁の狙った領域に接触するように器具を露出させるためにつぶれ、ガードは、ガードのつぶれる動作のもとで装置から流体を追い出すように配置されている、処置器具ガードとからなる装置を提供する工程と、
b)装置を血管の内部にその収縮構成において挿入する工程と、
c)狙った領域に届くように、血管内で装置を前進させる工程と、
d)血管壁を接触するように器具を露出させるように拡張可能部分を拡張する拡張力を提供する工程と、
e)拡張力を取り除いて、収縮力が、装置をその拡張構成から収縮構成へと半径方向に収縮するようになす工程と、
f)全ての狙った領域が処置されるまで、工程c)から工程e)までを繰り返す工程と、
g)装置を血管から引き出す工程と、
を有することを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【公表番号】特表2010−537680(P2010−537680A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522399(P2010−522399)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061440
【国際公開番号】WO2009/027531
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(509237767)ナショナル ユニバーシティー オブ アイルランド, ゴールウェイ (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061440
【国際公開番号】WO2009/027531
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(509237767)ナショナル ユニバーシティー オブ アイルランド, ゴールウェイ (12)
【Fターム(参考)】
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