説明

最適形状の設計方法及び設計システム

本発明は、構造物の最適形状を容易且つ的確に設計することが可能な最適形状の設計方法及びこれを用いた最適形状の設計システムを提供することを可能にすることを目的としている。そして、その構成は、CAD部2bにより定義された構造物のCADデータMと、CAE構造解析部2dにより検出された力学的応答量と、製作可否判断部2cにより判断された製作可否情報と、コスト算出部2fにより検出された製作コスト情報との相関関係を検出し、該相関関係に基づいて力学的応答量が構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能で、且つ最小製作コストとなるように構造物の最適形状が検出されるまで構造物のCADデータMを変更し、その変更したCADデータMに基づいて前記相関関係を更新し、その更新された相関関係に基づいて構造物の最適形状を検出する最適化制御部2aを設けて構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、構造物の最適形状の設計方法及び設計システムに関するものである。
【背景技術】
従来、構造物の最適形状の設計においては、構造物各部の寸法や形状関数を設計変数とし、その設計変数を変えてCAE(Computer Aided Engineering)構造解析を行って最適形状を探索する設計方法が採られている。
この従来の設計方法においては、当該設計変数はCAEデータに含まれる節点の座標で定義され、当該節点座標を移動させることにより最適形状を求める手法が採られている。
従来の構造最適化方法としては、最適化領域を入力することで構造物の最適形状が得られ、リブやボス等の追加/削除によるトポロジ(位相・形態)変化を伴う構造物の形状を短時間に最適化出来るもの(例えば、特許文献1参照)や、構造物の設計仕様、初期形状、設計パラメータの適用範囲、境界条件を入力することで設計仕様を満足する最適モデルを設計するもの(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
また、緩衝包装における緩衝材の設計では、板状緩衝材の緩衝性能データを参考にした設計者の勘や経験に頼った設計方法が一般的であり、CAD(Computer Aided Design)は用いているもののCAE構造解析を併用し、且つ成型可否及び製作コストを含めた最適化を行える最適形状の設計システムは存在しない。
【特許文献1】 特開2001−297118号公報
【特許文献2】 特開平3−224063号公報
しかしながら、前述の従来技術のように、強度といった力学的な諸量を制約条件にして構造物の体積或いは重量を最小にする最適形状の設計は様々な分野で行われているが、成型性の可否及び製作コストを同時に扱った最適形状の設計システムは無く、力学的な最適形状を求めてから成型性やコストを評価し、妥当かどうかを判断する手法が一般的であり、必要に応じて形状の制約条件を再度見直し、再度最適化計算を行う場合があった。
【発明の開示】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、構造物の最適形状を容易且つ的確に成型可否及び製作コストまで考慮して設計することが可能な最適形状の設計方法及びこれを用いた最適形状の設計システムを提供せんとするものである。
前記目的を達成するための本発明に係る最適形状の設計方法の代表的な構成は、構造物の設計データに基づいて作成された該構造物のCADデータをCAEデータに変換し、前記CAEデータに変換された構造物形状についてCAE構造解析により力学的応答量を検出すると共に、前記CADデータとして定義された構造物形状について製作可否を判断し、前記構造物のCADデータと、前記力学的応答量と、前記製作可否との相関関係を検出し、前記相関関係に基づいて前記力学的応答量が前記構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能となるように前記構造物の最適形状が検出されるまで前記構造物のCADデータを変更し、その変更した前記構造物のCADデータに基づいて該構造物のCADデータと、前記力学的応答量と、前記製作可否との相関関係を更新し、その更新された相関関係に基づいて前記力学的応答量が前記構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能となるように前記構造物の最適形状を検出することを特徴とする。
本発明は、上述の如く構成したので、構造物のCADデータと、該CADデータからCAEデータに変換された構造物形状についてCAE構造解析により検出された力学的応答量と、製作可否との相関関係を検出し、その相関関係に基づいて力学的応答量が構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能となるように構造物の最適形状が検出されるまで構造物のCADデータを変更し、その変更した構造物のCADデータに基づいて該構造物のCADデータと、力学的応答量と、製作可否との相関関係を更新し、その更新された相関関係に基づいて力学的応答量が構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能となるように構造物の最適形状を検出することで、構造物の最適形状を容易且つ的確に設計することが出来る。
また、本発明に係る最適形状の設計システムの代表的な構成は、構造物の設計データを入力する入力手段と、前記入力手段により入力された構造物の設計データに基づいて構造物形状を定義するCAD手段と、前記CAD手段により定義された構造物のCADデータをCAEデータに変換するCAD/CAE変換手段と、前記CAEデータに変換された構造物形状について力学的応答量を検出するCAE構造解析手段と、前記CAD手段により定義された構造物形状について製作可否を判断する製作可否判断手段と、前記CAD手段により定義された構造物のCADデータと、前記CAE構造解析手段により検出された力学的応答量と、前記製作可否判断手段により判断された製作可否情報との相関関係を検出し、該相関関係に基づいて前記力学的応答量が前記構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能となるように前記構造物の最適形状が検出されるまで前記構造物のCADデータを変更し、その変更した前記構造物のCADデータに基づいて該構造物のCADデータと、前記力学的応答量と、前記製作可否との相関関係を更新し、その更新された相関関係に基づいて前記力学的応答量が前記構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能となるように前記構造物の最適形状を検出する最適化制御手段と、前記最適化制御手段により検出された前記構造物の最適形状を出力表示するための表示手段とを有することを特徴とする。
本発明は、上述の如く構成したので、入力手段により入力された構造物のCADデータと、CAD/CAE変換手段によりCADデータからCAEデータに変換された構造物形状についてCAE構造解析手段により検出された力学的応答量と、製作可否判断手段により判断された製作可否情報との相関関係を検出し、その相関関係に基づいて力学的応答量が構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能となるように構造物の最適形状が検出されるまで構造物のCADデータを変更し、その変更した構造物のCADデータに基づいて該構造物のCADデータと、力学的応答量と、製作可否との相関関係を更新し、その更新された相関関係に基づいて力学的応答量が構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能となるように最適化制御手段が構造物の最適形状を検出し、表示手段により、その構造物の最適形状を出力表示することが出来る。これにより、構造物の最適形状を容易且つ的確に設計することが出来る。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明に係る最適形状の設計システムの概略構成を示すブロック図である。
図2は最適形状検出時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図3は被緩衝物と、その被緩衝物を包装する緩衝材の設計初期段階での形状をCADデータで示した図である。
図4は図3に示すCADデータをCAEデータに変換した様子を示す図である。
図5は構造物のCADデータと、力学的応答量と、製作可否と、製作コストとの相関関係を示す図である。
図6は最適形状を求める過程において設計条件を満足しない緩衝材の形状の一例をCADデータで示した図である。
図7は緩衝材の最適形状の一例をCADデータで示した図である。
図8は緩衝材の設計初期段階での他の形状をCADデータで示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
図により本発明に係る最適形状の設計方法及び設計システムの一例として緩衝包装に使用する緩衝材の最適形状の設計方法及び設計システムに適用した場合の一実施形態を具体的に説明する。
図1において、1は設計対象の構造物として、成形金型を用いて製作される物品であって緩衝包装に使用する緩衝材4を設計するために必要とする設計データを入力するための入力手段としての入力装置であって、パーソナルコンピュータ等に設けられたキーボードやマウス或いはインターネット等の通信回線を介して設計データを入力可能な入力装置である。
2は入力装置1により入力された設計データに基づいて所定の演算処理を行って構造物である緩衝材4の最適形状を演算する演算処理装置であり、3は演算処理装置2で演算された緩衝材4の最適形状を出力表示するための表示手段となるCRT(ブラウン管)或いはプリンタ等の表示装置であって、この表示装置3はデータベース・ファイル等に格納された設計結果を読み込んで出力表示する機能も備えている。
演算処理装置2は、その演算処理部で行う演算処理を制御し、構造物である緩衝材4の最適形状を検出する最適化制御手段となる最適化制御部2aと、入力装置1により入力された構造物となる緩衝材4の設計データに基づいて該緩衝材4の構造物形状を定義するCAD手段となるCAD部2bと、このCAD部2bで定義された構造物となる緩衝材4のCADデータをCAEデータに変換するCAD/CAE変換手段となるCAD/CAE変換部2cと、このCAEデータに変換された緩衝材4の構造物形状についてCAE構造解析により力学的応答量を検出するCAE構造解析手段となるCAE構造解析部2dと、CAD部2bで定義された緩衝材4の構造物形状について製作可否を判断する製作可否判断手段となる製作可否判断部2eと、CAD部2bで定義された緩衝材4の構造物形状について製作コストを検出するコスト算出手段となるコスト算出部2f等を有して構成されている。
最適化制御部2aでは、図5に示して後述するように、CAD部2bで構造物となる緩衝材4の設計データに基づいて作成されたCADデータと、CAE構造解析部2dで検出された力学的応答量と、製作可否判断部2eで判断された製作可否情報と、コスト算出部2fで検出された製作コスト情報との相関関係を検出すると共に、この相関関係に基づいて製作可能で且つ力学的応答量が緩衝材4の設計条件を満足し、且つ最小製作コストとなるような緩衝材4の最適形状が検出されるまで該緩衝材4のCADデータを変更し、その変更したCADデータに基づいて、該CADデータと、CAE構造解析部2dで新たに検出された力学的応答量と、製作可否判断部2eで再度判断された製作可否情報と、コスト算出部2fで新たに検出された製作コスト情報とに基づいて先の相関関係を更新し、その更新された相関関係に基づいて力学的応答量が緩衝材4の設計条件を満足し、且つ製作可能で、且つ最小製作コストとなるように構造物である緩衝材4の最適形状を検出する最適化演算処理を行う。
本実施形態では、製作可否判断部2eにより製作可能を判断する場合、緩衝材4と成形金型とを離型する際に図3、図6及び図7に示す抜き方向aに対して垂直な複数の平面で分割される各断面の断面形状の外周が該抜き方向aから投影して交差しないことで製作可能を判断している。
また、CAE構造解析部2dにより検出する力学的応答量の一例として、本実施形態では、落下衝撃時に緩衝材4により包装される被緩衝物5に生じる最大減速度、最大変位及び緩衝材4の長期使用時に生じるクリープ変位のうちの少なくとも1つを検出するように設定している。
次に、図2を用いて、本発明に係る最適形状の設計方法により構造物となる緩衝材4の最適形状が検出されるまでの処理手順の一例について説明する。先ず、ステップS1において、入力装置1としてキーボード或いはインターネット等の通信回線等を経由して、設計対象の構造物となる緩衝材4の設計データを入力する。
例えば、緩衝包装用の緩衝材4の最適形状を設計する場合には、設計データとして、被緩衝物5の形状、重量、落下高さ、落下方向、設計許容値(例えば、被緩衝物5に生じる最大減速度、底付き或いは緩衝材4からの脱落を判定するための被緩衝物5の最大変位、長期使用時の緩衝材4のへたりを判定するための緩衝材4のクリープ変位、被緩衝物5に生じる最大応力、被緩衝物5に生じる最大歪み、緩衝材4に生じる最大応力、緩衝材4に生じる最大歪み、及び緩衝材4の反発係数等の機械的応答量の許容値等)、被緩衝物(包装される物品)5、外箱及び緩衝材4に使用する素材の機械的物性値(例えば、応力・歪み曲線、ポアソン比、密度等)を入力する。また、段ボール箱等の外箱の寸法、外箱に収める被緩衝物5の位置等も必要に応じて設計条件として入力する。
尚、被緩衝物5、外箱、緩衝材4に使用する素材の機械的物性値は、それ等の各種データを格納した記憶装置或いはデータベース・ファイルを用意しておき、ここから、用いる素材に応じて機械的物性値を検索し、これを利用するようにしても良い。
演算処理装置2ではこれ等の設計データが入力されると、ステップS2に移行し、緩衝材4の設計初期形状をCAD部2bを用いて、例えば、図3に示すようなCADデータMを作成する。このときに、設計変数となる形状データ(例えば、寸法、角度、リブや穴の有無等)を定義しておく。
尚、この設計初期形状は新たに作成する方法以外に、先に設計した事例のCADデータMをデータベース等から選択して使用しても良い。このとき、更にデータベースに格納されている図3及び図8に示すような異なる緩衝材4の設計初期形状を複数選択し、複数選択された緩衝材4の設計初期形状と各々の設計初期形状に含まれる前記形状データを設計変数として定義するようにしても良い。
ステップS2において、緩衝材4と被緩衝物5とを組み合わせた際に被緩衝物5に突起部5aや曲面部がある場合のために、CAD/CAE変換手段となるCAD/CAE変換部2cは緩衝材4(例えば、体積集合A)と被緩衝物5(例えば、体積集合B)との干渉を調べ、互いに干渉している場合(A∩B≧0)には、緩衝材4側から被緩衝物5との干渉部分(A∩B)を引き算処理{A−(A∩B)}する。緩衝材4の凹部4aは、該緩衝材4側から干渉部分となる被緩衝物5の突起部5aを引き算処理して形成される。
この際、CAE構造解析手段となるCAE構造解析部2dでの緩衝材4と被緩衝物5との間の接触計算が可能となるように該緩衝材4と被緩衝物5との境界に1mm程度の隙間を設ける。
次いで、ステップS3、ステップS6及びステップS7に移行し、ステップS1で入力された設計データ及びステップS2で定義したCADデータMについて以下の処理を夫々のステップS3,S6,S7で行う。
先ず、ステップS3では、CAD/CAE変換部2cによりステップS2で定義したCADデータMをステップS1で入力された設計データを含めてCAE構造解析に用いるCAEデータNに変換する。これにより、例えば、図4に示すCAEデータNが得られる。
CAD/CAE変換部2cに設けられるCADデータMをCAEデータNに変換するプログラムには、例えば、Simulation Works,Inc.製のKUBRIX(商品名)といった汎用自動要素分割プログラムが適用される。
次いで、ステップS4に移行し、CAE構造解析部2dにおいてステップS3で作成されたCAEデータNに対して落下衝撃解析を実行する。この落下衝撃解析には、例えば、Hibbitt,Karlsson&Sorensen,Inc.製のABAQUS(商品名)、MECALOG S.A.R.L.製のRADIOSS(商品名)、Livermore Software Technology Corporation製のLS−DYNA(商品名)、Engineering Systems International S.A.製のPAM−CRASH(商品名)といった汎用CAEプログラムが適用される。
次いで、ステップS5に移行し、前記ステップS4で実行された落下衝撃解析の結果から被緩衝物5に生じる最大減速度等といった設計許容値との大小を比較する力学的応答量を算出する。この力学的応答量の算出には、上記汎用CAEプログラムに備わっているポストプロセッサを適用したり、解析結果をテキストデータで出力させ当該データを編集するプログラムを作成して使用しても良い。
一方、ステップS6では、製作可否判断部2eにおいて、前記ステップS2で定義したCADデータMに対し、成形金型を用いて製作される場合の離型のための抜き勾配が適切に施されているか否かを判断することにより製作可否を判断する。
この成形可否判断は抜き方向aと垂直な複数の平面で分割した緩衝材4の各々の断面が該抜き方向aに対して、その断面積が徐々に小さくなり且つ断面の外周或いは内周が抜き方向aから見たときに他の断面の外周或いは内周と交差していないことを調べるプログラムを用いたり、或いは一部のCADソフト(例えば、Solid Works Corporation製のSolid Works;商品名)に備わっている抜き勾配確認機能を適用しても良い。
また、ステップS7では、コスト算出部2fにおいて、前記ステップS2で定義したCADデータMに対して製作コストを算出する。例えば、緩衝材4としてビーズ発泡成型品を使用する場合には、材料費として素材使用量に相当するCADデータMの体積に素材単価を乗じた値、加工費として成形機のランニングコスト等が適用され、製作コストが算出される。
また、緩衝材4として押出発泡品を使用する場合には、材料費として原反単価を板取りを考慮した原反取数で割った値、加工費としてカット費、熱貼加工費、抜き型代等が適用され、製作コストが算出される。
そして、ステップS8に移行し、ステップS5、ステップS6及びステップS7で算出された力学的応答量、製作可否情報、製作コスト情報を用いて、図3に示すCADデータMの設計変数と力学的応答量、製作可否及び製作コストとの相関関係を、例えば、図5に示すグラフのように導き、この相関関係に基づいて製作可能で且つ力学的応答量が設計対象の緩衝材4の設計許容値を満足し、且つ製作コストが最小となる緩衝材4の最適形状を求める。
設計対象の緩衝材4の最適形状を求める過程において、例えば、図5及び図6に示すCADデータMのように設計条件を満足しない(製作不可能、力学的応答量が設計許容値を超える)、或いは製作コストがより安価になる緩衝材形状が存在し得る場合には最適形状が求まるまでステップS8から前記ステップS2に移行し、図5に示すように、CADデータMを変更して力学的応答量、製作可否及び製作コストとの相関関係を更新し、最終的に最適形状を求める。
図5は図3に示すCADデータMから開始して、順次、CADデータM2,M3,…,M8と変更し、9回目に、例えば、図7に示すような緩衝材4の最適形状のCADデータMoptが得られた様子を示す。設計対象の緩衝材4の最適形状を求める最適化制御部2aには、例えば、Engineous Software Inc.製のiSight(商品名)といった汎用最適化プログラムが適用される。
図8は緩衝材の設計初期段階での他の形状をCADデータで示した図である。図8中、4bは緩衝材4の4隅に穿設される孔であり、4cは該孔4bから緩衝材4の開口部まで延長されたスリットである。このように、データベースに格納されている前述した図3及び図8に示すような異なる緩衝材4の設計初期形状を複数選択し、複数選択された緩衝材4の設計初期形状と各々の設計初期形状に含まれる前記形状データを設計変数として定義するようにしても良い。
本実施形態では、設計変数としてCADデータMを用いているため、求められた最適形状に対して、その図面や機械加工用のNCデータを作成する作業が容易となる。
また、形状が変更される度にCADデータMについて要素分割を行うため、歪んだ要素が発生し難く、CAE構造解析における解析精度が悪化する可能性が低く、リブや穴を増やすといった複雑な形状変更にも容易に対応出来る。
更に、力学的応答量だけではなく、製作可否や製作コストも最適化の条件に加えているため、加工性、経済性も含めたより生産性の高い最適形状を得ることが出来る。
尚、前記実施形態では、構造物として緩衝材4を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、他の種々の構造物であっても適用することが出来る。この場合には設計対象とする構造物に応じて、CAE構造解析部2dに用いる汎用のCAEプログラムを変更し、評価対象の力学的応答量と製作コスト算出方法等を変更すれば良い。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の設計データに基づいて作成された該構造物のCADデータをCAEデータに変換し、
前記CAEデータに変換された構造物形状についてCAE構造解析により力学的応答量を検出すると共に、前記CADデータとして定義された構造物形状について製作可否を判断し、
前記構造物のCADデータと、前記力学的応答量と、前記製作可否との相関関係を検出し、
前記相関関係に基づいて前記力学的応答量が前記構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能となるように前記構造物の最適形状が検出されるまで前記構造物のCADデータを変更し、
その変更した前記構造物のCADデータに基づいて該構造物のCADデータと、前記力学的応答量と、前記製作可否との相関関係を更新し、その更新された相関関係に基づいて前記力学的応答量が前記構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能となるように前記構造物の最適形状を検出することを特徴とする最適形状の設計方法。
【請求項2】
構造物の設計データに基づいて作成された該構造物のCADデータをCAEデータに変換し、
前記CAEデータに変換された構造物形状についてCAE構造解析により力学的応答量を検出すると共に、前記CADデータとして定義された構造物形状について製作可否を判断すると共に、前記CADデータとして定義された構造物形状について製作コストを検出し、
前記構造物のCADデータと、前記力学的応答量と、前記製作可否及び前記製作コストとの相関関係を検出し、
前記相関関係に基づいて前記力学的応答量が前記構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能で、且つ最小製作コストとなるように前記構造物の最適形状が検出されるまで前記構造物のCADデータを変更し、
その変更した前記構造物のCADデータに基づいて、該構造物のCADデータと、前記力学的応答量と、前記製作可否及び前記製作コストとの相関関係を更新し、その更新された相関関係に基づいて前記力学的応答量が前記構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能で、且つ最小製作コストとなるように前記構造物の最適形状を検出することを特徴とする最適形状の設計方法。
【請求項3】
前記構造物は成形金型を用いて製作される物品であって、該物品と成形金型とを離型する際に抜き方向に対して垂直な複数の平面で分割される各断面の断面形状の外周が該抜き方向から投影して交差しないことで製作可能を判断することを特徴とするクレーム1またはクレーム2に記載の最適形状の設計方法。
【請求項4】
前記構造物は緩衝包装に使用する緩衝材であって、落下衝撃時に被緩衝物に生じる最大減速度、最大変位及び前記緩衝材の長期使用時に生じるクリープ変位のうちの少なくとも1つを前記力学的応答量として検出することを特徴とするクレーム1〜3のいずれか1項に記載の最適形状の設計方法。
【請求項5】
構造物の設計データを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された構造物の設計データに基づいて構造物形状を定義するCAD手段と、
前記CAD手段により定義された構造物のCADデータをCAEデータに変換するCAD/CAE変換手段と、
前記CAEデータに変換された構造物形状について力学的応答量を検出するCAE構造解析手段と、
前記CAD手段により定義された構造物形状について製作可否を判断する製作可否判断手段と、
前記CAD手段により定義された構造物のCADデータと、前記CAE構造解析手段により検出された力学的応答量と、前記製作可否判断手段により判断された製作可否情報との相関関係を検出し、該相関関係に基づいて前記力学的応答量が前記構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能となるように前記構造物の最適形状が検出されるまで前記構造物のCADデータを変更し、その変更した前記構造物のCADデータに基づいて該構造物のCADデータと、前記力学的応答量と、前記製作可否との相関関係を更新し、その更新された相関関係に基づいて前記力学的応答量が前記構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能となるように前記構造物の最適形状を検出する最適化制御手段と、
前記最適化制御手段により検出された前記構造物の最適形状を出力表示するための表示手段と、
を有することを特徴とする最適形状の設計システム。
【請求項6】
構造物の設計データを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された構造物の設計データに基づいて構造物形状を定義するCAD手段と、
前記CAD手段により定義された構造物のCADデータをCAEデータに変換するCAD/CAE変換手段と、
前記CAEデータに変換された構造物形状について力学的応答量を検出するCAE構造解析手段と、
前記CAD手段により定義された構造物形状について製作可否を判断する製作可否判断手段と、
前記CAD手段により定義された構造物形状について製作コストを検出するコスト算出手段と、
前記CAD手段により定義された構造物のCADデータと、前記CAE構造解析手段により検出された力学的応答量と、前記製作可否判断手段により判断された製作可否情報と、前記コスト算出手段により検出された製作コスト情報との相関関係を検出し、該相関関係に基づいて前記力学的応答量が前記構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能で、且つ最小製作コストとなるように前記構造物の最適形状が検出されるまで前記構造物のCADデータを変更し、その変更した前記構造物のCADデータに基づいて該構造物のCADデータと、前記力学的応答量と、前記製作可否及び前記製作コストとの相関関係を更新し、その更新された相関関係に基づいて前記力学的応答量が前記構造物の設計条件を満足し、且つ製作可能で、且つ最小製作コストとなるように前記構造物の最適形状を検出する最適化制御手段と、
前記最適化制御手段により検出された前記構造物の最適形状を出力表示するための表示手段と、
を有することを特徴とする最適形状の設計システム。
【請求項7】
前記構造物は成形金型を用いて製作される物品であって、前記製作可否判断手段は該物品と成形金型とを離型する際に抜き方向に対して垂直な複数の平面で分割される各断面の断面形状の外周が該抜き方向から投影して交差しないことで製作可能を判断することを特徴とするクレーム5またはクレーム6に記載の最適形状の設計システム。
【請求項8】
前記構造物は緩衝包装に使用する緩衝材であって、前記CAE構造解析手段は被緩衝物に生じる最大減速度、最大変位及び前記緩衝材の長期使用時に生じるクリープ変位のうちの少なくとも1つを前記力学的応答量として検出することを特徴とするクレーム5〜7のいずれか1項に記載の最適形状の設計システム。
【請求項9】
前記構造物は緩衝包装に使用する緩衝材であって、前記CAD/CAE変換手段は、前記緩衝材と前記被緩衝物との干渉を調べ、互いに干渉している場合は前記緩衝材側から前記被緩衝物との干渉部分を引き算処理することを特徴とするクレーム5〜8のいずれか1項に記載の最適形状の設計システム。

【国際公開番号】WO2004/095320
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【発行日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−571067(P2004−571067)
【国際出願番号】PCT/JP2003/005005
【国際出願日】平成15年4月18日(2003.4.18)
【出願人】(303046266)旭化成ライフ&リビング株式会社 (64)
【Fターム(参考)】