説明

月と太陽との関係の学習具

【課題】 この発明は、太陽の位置、太陽光の照射状態と月の満ち欠けとの関係を一目で理解できるようにすることを課題とするものである。
【解決手段】 この発明の月と太陽との関係の学習具は、第1のシート3の上に第2のシート4を相対的に回転自在に固定して構成する。
前記第1のシート3にはその回転軸を中心とした第1の円周上に満月から新月を経て満月に至るまでの月の満ち欠けの図柄11を複数表示し、回転軸を中心とした第2の円周上に前記各満ち欠けの図柄に対応した月への太陽光の照射状態を示す図柄12を表示する。
前記第2のシート4には前記第1のシート3に表示された一組の月の満ち欠けの図柄11と太陽光の照射状態を示す図柄12が表示される表示窓8を設け、満ち欠けの図柄を表示窓に表示すると、対応した太陽光の照射状態の図柄が表示窓に表示され、月の形と太陽光との関係を理解することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、月と太陽との関係、具体的には月の満ち欠けと太陽光の月への照射状態との関係を理解させるための学習具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
子どもの理科の学習において、月の満ち欠けが何故起こるのかを理解させることは極めて重要な課題とされている。そのために、従来は太陽を中心において月がその周りを回転するようにした立体模型などが用いられているが、これを用いても月の見え方と太陽の位置との関係をよく理解することができず、子どもにとって理解が難しいテーマとなっている。
【特許文献1】登録実用新案公報第3051276号
【0003】
上記文献に開示されている発明は、月の満ち欠けの状態と太陽の位置を表した回転板を時刻を円周的に表示した台紙に設けたポケットに入れ、前記太陽の位置を所望の時刻に合わせることによって、月の見え方と太陽の位置との関係を理解できるようにしたものである。
しかしながら、この発明においては、太陽の位置と月の見え方との関係を理解することはできても、具体的に太陽の光が月にどのように照射されているかを直感的に理解することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、実際に月を観察しつつ、その月に太陽光が今どのように照射されているのかを直接的に理解すること、太陽の位置、太陽光の照射状態と月の満ち欠けとの関係を一目で理解できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の月と太陽との関係の学習具は、第1のシートの上に第2のシートを相対的に回転自在に固定して構成する。
前記第1のシートにはその回転軸を中心とした第1の円周上に満月から新月を経て満月に至るまでの月の満ち欠けの図柄を複数表示し、回転軸を中心とした第2の円周上に前記各満ち欠けの図柄に対応した月への太陽光の照射状態を示す図柄を表示する。
前記第2のシートには前記第1のシートに表示された一組の月の満ち欠けの図柄と太陽光の照射状態を示す図柄が表示される表示窓を設ける。
上記のように構成することにより、子どもは今見ている月の形に近い満ち欠けの図柄を第2のシートの表示窓に表示すると、対応した太陽光の照射状態の図柄が表示窓に表示され、月の形と太陽光の照射状態との関係を理解することができる。
【0006】
前記表示窓は、月の満ち欠けを表示する窓と太陽光の照射状態を表示する窓を個別に設けても、両者が合わせて表示されるひとつの窓としてもよい。また窓の構成は、孔としても透明部分としてもよい。
前記第2のシートは、表示窓によって今観察している月の形と太陽の照射状態を特定するためのものである。したがって、第1のシートの表示された全ての図柄が隠される必要はない。
また、2枚のシートの相対回転を容易にするために、2枚のシートの直径に大小を付けたり、一方のシートに回転のための摘み片を突設したりすることが好ましい。
【0007】
請求項2の発明は、第1のシートを透明シートとし、第1のシートの下方に光源を配設したものである。光源から照射される光によって、暗い場所でも第1のシートに表された図柄を容易に認識することができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2の学習具を天体望遠鏡に取り付けたもので、第1のシート及び第2のシートは中央部に天体望遠鏡の支柱に嵌装するための孔を設け、第1のシート及び第2のシートを前記支柱に取り付けたものである。
第2のシートは表示窓を天体望遠鏡の鏡胴方向に固定し、第1のシートのみが回転するように構成すると、現在自分が見ている方向(望遠鏡の向き)を保ちつつ、その月が太陽光で照射されている状態を理解することができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、第1のシート又は第2のシートを回転させて、観察者が今見ている月の形に近い形の図柄を第2のシートの表示窓に表示すると、同時に表示窓には太陽光の照射状態を表す図柄が表示されるので、その時月がどのような状態で太陽光の照射を受けているかを即座に知ることができる。そして、太陽光の照射状態と月の見える状態とを比較することにより、今見えている月が何故そのような形のものとして見えているのかを理解することができる。
なお、現実の天体観測はせずに、教室などで使用することも可能である。
【0009】
請求項2の発明によれば、光源から照射される光によって、暗い場所でも第1のシートに表された図柄を容易に認識することができる。
請求項3の発明によれば、天体望遠鏡で月を観察しつつ、月の照射状態を知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1において、天体望遠鏡1の支柱2に月と太陽との関係の学習具Aが取り付けてある。
前記学習具Aは、平面円形とした透明シート製の第1のシート3の上に不透明シート製の第2のシート4を重ね、前記第1のシート3の下面にドーナツ状の光源ボックス5を取り付けて構成してあり、第1のシートが光源ボックス5の上蓋を兼ねている。
前記第1のシート3及び第2のシート4には中央部に前記支柱2に嵌装するための円孔6,7が形成してあり、第1のシート3及び第2のシート4は各円孔6,7を介して支柱2に取り付けてある。
ここで、前記第1のシート3及び光源ボックス5は支柱2に回転自在としてあり、第2のシート4は後に述べる表示窓8を天体望遠鏡1の鏡胴9の方向に固定してある(例えば、支柱2と第2のシートの円孔7とに回転を規制する係止部を設ける)。
【0011】
第1のシート3は図4に示す構成としてある。
平面円形の透明シートの中央に円孔6が設けてあり、一側に太陽光の向きを示す矢印10が「太陽の光」の文字と共に表してある。
前記円孔6の中心を軸とした第1の円周上に、月の満ち欠けを示す8個の図柄11が等間隔で表してあり、特記すべき呼び名のある状態の月の図柄にはその呼び名(満月、半月、三日月、新月など)が併記してある。図中白色部分が太陽光を受けて光っている部分である。また、各図柄の間には、月の形が変わる向きを示す矢印12が表してある。なお、前記「太陽の光」の文字に近接して新月の図柄を、その直径対称位置に満月の図柄を表す。矢印14は第1のシートの回転方向を示すもので、この矢印方向に回転させると、第2のシートの表示窓に正しい順序で月の形の変化が表示される。
前記第1の円周と同一軸で第1の円周よりも小径の第2の円周上に、前記各月の満ち欠けを示す図柄に対応した位置に、太陽光の照射状態を示す図柄13が表してある。図柄中、白色部分が月が太陽光の照射を受けている部分、黒色部分が照射を受けていない部分である。
【0012】
前記第2のシート4は、前記第1のシートよりも小径とし、第1のシートの月の満ち欠けの図柄が表れる大きさの平面円形のシートであって、一側を突出させて第1のシートの一つの月の満ち欠けの図柄とこれに対応した太陽光の照射状態の図柄が表れる表示窓8が設けてある。図においては月の満ち欠けの図柄が表示される表示窓8aと、照射状態の図柄が表示される表示窓8bとを個別に設けてある。
【0013】
前記光源ボックス5は、光が上方にのみ照射されるようにした平面ドーナツ状とした皿状であって、内部にライトと電池(図示しない)とが収納してある。
【0014】
以下作動を説明する。
観察者は天体望遠鏡1又は肉眼で月を観察し、第1のシートを回転させて、月の満ち欠けを表す図柄8から観察された月の形に近い図柄を選択して表示窓8aに表示する。このとき表示窓8bには、その時に月が受けている太陽光の照射状態の図柄が表示される。
したがって、例えば満月であれば月の観察者側の面に、全面に亘り太陽光が照射されていることが理解でき、半月であれば月の光っている右半分部分だけに太陽光が照射されていることが、新月であれば月の観察者側の面に太陽光が全く照射されていないことが理解できる。
このとき、光源ボックス5のライトを点灯させれば、透明な第1のシートから光が透過するので、各図柄を明瞭に認識することができる。
【0015】
上記においては、この学習具Aを天体望遠鏡に取り付けた例を説明したが、学習具Aを単独で使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0016】
この発明によれば、簡易な構造で月の満ち欠けと月への太陽光の照射状態との関係を具体的に認識することができ、学習具として産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明実施形態の斜視図
【図2】同じく学習具の側面図
【図3】同じく平面図
【図4】同じく第1のシートの平面図
【図5】同じく第2のシートの平面図
【符号の説明】
【0018】
1 天体望遠鏡
2 支柱
3 第1のシート
4 第2のシート
5 光源ボックス
6、7 円孔
8 表示窓
9 鏡胴
11 満ち欠けを示す図柄
13 照射状態を示す図柄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシートの上に第2のシートが相対的に回転自在に固定され、
前記第1のシートにはその回転軸を中心とした第1の円周上に月の満ち欠けの図柄が複数表示され、回転軸を中心とした第2の円周上に前記各満ち欠けの図柄に対応した月への太陽光の照射状態を示す図柄が表示され、
前記第2のシートには前記第1のシートに表示された一組の月の満ち欠けの図柄と太陽光の照射状態を示す図柄が表示される表示窓が設けられた、
月と太陽との関係の学習具
【請求項2】
第1のシートは透明シートとし、第1のシートの下方に光源が配設された、請求項1記載の月と太陽との関係の学習具
【請求項3】
請求項1又は2に記載された月と太陽との関係の学習具における第1のシート及び第2のシートは中央部に天体望遠鏡の支柱に嵌装するための孔を有し、第1のシート及び第2のシートを前記支柱に取り付けた、
月と太陽との関係の学習具付き天体望遠鏡

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−313183(P2006−313183A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134831(P2005−134831)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(591121498)株式会社ベネッセコーポレーション (30)
【Fターム(参考)】