説明

月経前不機嫌性障害の処置のための組成物および方法

本発明は、少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンを少なくとも100日間、女性対象に投与することを通じた、月経前不機嫌性障害を処置するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本願出願は、2004年5月26日に出願された米国暫定特許出願第60/574,651について優先権を主張する。
【0002】
1つの態様において、本発明は、少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンの女性対象への投与による、月経前不機嫌性障害(PMDD)を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
月経前不機嫌性障害は、月経中の女性の3%〜5%に影響を及ぼすと推定されている。American Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorder. 第4版,Text Revision.Washington, DC: American Psychiatric Association; 2000。PMDDは、月経後の週には見られなくなる、黄体期後期の前週の顕著な抑うつ気分、不安および/または情緒不安定性により説明される。これらの症状は、仕事もしくは学校、または通常の社会活動や他人との関係を大きく妨害し得る。卵巣周期の抑制が、PMDDの症状を緩和することが知られている。Freemanら、J Women Health Gend Based Medi., 10: 561-569, 2001。
【0004】
PMDDの基準を満たす女性についての治療的介入は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗うつ薬および抗不安薬、並びに抗うつ薬アルプラゾラム(XANAX(登録商標))を含む。これらの介入は、ほとんど副作用を伴うことなく、その効果が実証されている。SSRIによる最近の介入では低用量での成功も実証された。例えば、20mgまたは60mgのいずれかの日用量のフルオキセチンは、症状を軽減するにあたって、偽薬(プラセボ)よりも優れていることが証明された。Steinerら、New Engl. J Med. 332: 1529-34, 1995。女性対象における、避妊薬としての及び月経症状の軽減のための、81〜89日間のエストロゲンおよびプロゲスチンの経口投薬製剤、次いで2〜10日間のエストロゲンの経口1日投薬量が、米国特許出願第20030139381号にて報告された。PMDDを含む月経症状を好ましくは軽減または取り除く、既存のものでない新しい治療計画に対する必要性が当分野には存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの態様において、本発明は、月経前不機嫌性障害を患っている女性対象を処置するための方法を提供する。多くのそのような方法の中で好ましいものは、女性対象に、少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンの有効量を投与することを含むものである。特定の実施形態において、少なくとも1つのプロゲスチンの少なくとも約4μg(好ましくは約60μg〜約120μg、より好ましくは約90μg)および/または少なくとも1つのエストロゲンの少なくとも約1μg(または、好ましくは約15μg〜約20μg、またはより好ましくは約20μg)が投与される。
【0006】
本発明はまた、少なくとも約100日間、毎日女性対象に少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンを投与することを含む方法を提供する。好ましい方法は、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約6ヶ月、より好ましくは少なくとも約9ヶ月、またはさらにより好ましくは約12ヶ月間、毎日投与することを含む。特定の方法において、女性対象は月経前不機嫌性障害を患っており、少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンがその処置に有効な量で投与される。よりさらなる方法において、少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンは、避妊に有効な量で投与される。
【0007】
本発明はまた、少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンを別個に含む少なくとも約100回の投薬形態を含む、女性対象を処置するためのキットを提供する。好ましいキットにおいて、投薬形態は、少なくとも1つのプロゲスチンを約90μgおよび/または少なくとも1つのエストロゲンを約20μg含む。キットは、例えばブリスター包装または他の適切な投薬形態アレイの形式であってよく、そのような投薬形態の少なくとも約100個、そのような投薬形態の少なくとも約185個、好ましくはそのような投薬形態の少なくとも約275個、またはより好ましくはそのような投薬形態の少なくとも約365個を含んでいてよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特定の方法は、女性対象を処置することを含む。本明細書で用いられる用語「処置する」または「処置」は、いずれかの客観的もしくは主観的パラメータを含む、傷害、病変または状態の改善における成功のしるし、例えば、緩解;阻害;軽快;症状を軽減すること、または傷害、病変もしくは状態を対象が耐えうるようにすること;変性または消耗の進行を遅らせること;変性の最終症状をより低く抑えること;あるいは、対象の肉体的または精神的健康を改善すること、を意味する。症状の処置または改善は、身体検査、神経学的検査および/または精神鑑定の結果を含む;客観的または主観的パラメータに基づき得る。本明細書中に開示されるいずれかの疾患または状態を処置することまたは処置は、疾患または状態に罹患し易くなっているが、疾患または状態の症状をまだ経験していない、または顕在化していない対象において、症状の発症を予防すること(予防処置);疾患または状態の症状を抑制すること(その進行を遅らせることまたは止めること);疾患または状態の症状もしくは副作用からの救済を提供すること(緩和処置を含む);および/または疾患または状態の症状を和らげること(後退させること)、を含む。従って、用語「処置する」は、病状に関連する症状または状態の進行を、予防しまたは遅延し、緩和し、または止め若しくは抑制するための、対象に対する化合物または試薬の投与を含む。ベテランの医師であれば、対象が月経前不機嫌性障害に罹患しているかどうか、またはその程度を測定する標準方法を用いる方法を知っているであろう。その測定は、プロゲスチンおよびエストロゲンの有効量の投与前および/または投与後に行うことができる。
【0009】
本発明の好ましい方法は、女性対象に少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンの有効量を投与することを含む。本明細書で用いられる、用語「プロゲスチン」は、全てのプロゲステロン類似活性化合物、即ち、いずれかのプロゲステロン受容体と結合し活性化する、全ての化合物を意味する。代表的なプロゲスチンは、プロゲステロン合成誘導体、例えば、17−ヒドロキシプロゲステロンエステル、19−ノル−17−ヒドロキシプロゲステロンエステル、17α−エチニルテストステロンおよびその誘導体、17α−エチニル−19−ノル−テストステロンおよびその誘導体、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、エチノジオールジアセテート、ジドロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノエルエチノドレル、アリルエストレノール、リノエストレノール(lynoestrenol)、酢酸フインゲスタノール(fuingestanol acetate)、メドロゲストン、ノルゲストリエノン(norgestrienone)、ジメチデローム(dimethiderome)、エチステロン、酢酸シプロテロン、レボノルゲストレル、d1−ノルゲストレル、d−17α−アセトキシ−13β−エチル−17α−エー−エチニル−ゴン−4−エン−3−オンオキシム、酢酸シプロテロン、ゲストデン(gestodene)、デソゲストレル、エトノゲストレル(etonorgestrel)、ノルゲスチメート(norgestimate)、およびノルゲストロミン(norelgestromin)を含む。経口避妊薬に用いられるプロゲステロン類似活性を有する他の化合物には、クロルマジノン、ジエノゲスト(dienogest)およびドロスピレノン(drospirenone)が挙げられる。1つの好ましいプロゲスチンは、レボノルゲストレルである。
【0010】
本明細書中で用いられる、用語「エストロゲン」は、ステロイドおよび非ステロイドエストロゲンを含む、合成または天然のエストロゲン群を意味する。天然エストロゲンは、哺乳動物誘導体または植物誘導体であってよい。ヒトにおいて、エストロゲンは、卵巣において、可能性として副腎皮質、精巣、胎児胎盤系において形成され、両性で種々の機能を発揮する。エストロゲンは、排卵周期間中のブレークスルー(中間周期)出血を防ぐための排卵阻害剤部類の範囲内に含まれる。エストロゲン環系は、エストロゲン性ステロイドの親構造である、エストラン、18個の炭素原子の四環系炭化水素核である。エストロゲンは、C17にフェノールの3−OH基および酸素官能基を有する芳香族A環を典型的に有する。エストロゲンは、いずれかのエストロゲン受容体と結合し活性化する、全ての化合物と定義される。合成エストロゲンは、例えば、エチニルエストラジオール、エチノジオールジアセテート、メストラノールおよびキネストロールであってよい。特に興味があるのは、17α−エチニルエストラジオールおよびエステルおよびそのエーテルである。1つの好ましいエストロゲンは、17α−エチニルエストラジオールである。天然のエストロゲンは、例えば、抱合型ウマエストロゲン、エステル化エストロゲン、17β−エストラジオール、吉草酸エストラジオール、エストロン、硫酸ピペラジンエストロン、エストリオール、クエン酸エストリオールおよびリン酸ポリエストロール(polyestrol phosphate)を含んでいてよい。他の使用可能なエストロゲンは、エストラジオール、エストロンおよびエチニルエストラジオールのエステル、例えば酢酸エステル、硫酸エステル、吉草酸エステルまたは安息香酸エステル、抱合型ウマエストロゲン、アゴニスト抗エストロゲンおよび選択エストロゲン受容体モジュレーターを含む。
【0011】
本発明のプロゲスチンおよびエストロゲンは、月経前不機嫌性障害を処置するために、および/または避妊を達成するために、いずれかの有効量で投与することができる。好ましい実施形態において、少なくとも1つのプロゲスチン、例えばレボノルゲストレルの少なくとも約4μg(好ましくは約4〜約120μg、より好ましくは約60μg〜約110μg、またはより好ましくは約90μg)および少なくとも1つのエストロゲン、例えばエチニルエストラジオールの少なくとも約1μg(好ましくは約1μg〜約20μg、より好ましくは約15〜約20μg、またはより好ましくは約20μg)が投与される。プロゲスチン投薬量は、(レボノルゲストレルが用いられる場合)1日あたり120μgを超えないことが好ましく、エストロゲン投薬量は、(エチニルエストラジオールが用いられる場合)1日あたり20μgを超えないことが好ましい。プロゲスチンおよびエストロゲンを連続してまたは比較的不断で、1日投薬量を投与することもまた好ましい。
【0012】
1日あたり約20μg投薬量のエチニルエストラジオールおよび1日あたり約90μg投薬量のレボノルゲストレルの投与が好ましいが、少なくとも約1μgのエチニルエストラジオール(好ましくは約1〜約20μg、より好ましくは約15〜約20μg、またはより好ましくは約20μg)、および少なくとも約4μgのレボノルゲストレル(好ましくは約4μg〜約120μg、より好ましくは約60〜約110μg、またはより好ましくは約90μg)を用いることができる。他のエストロゲンおよびプロゲスチンは、それぞれエチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルとは効力が異なる。単独で若しくはエチニルエストラジオールと組み合わせて、他のエストロゲンが用いられる場合、用いられるエストロゲン量はエチニルエストラジオールの規定量に相当することが好ましい。同様に、単独で若しくはレボノルゲストレルと組み合わせて、他のプロゲスチンが用いられる場合、用いられるプロゲスチン量はレボノルゲストレルの規定量に相当することが好ましい。種々のエストロゲンとプロゲスチンとの間の効力における相関は、当業者には一般的に知られており、欧州特許出願第0253607号;米国特許出願第2003/0139381号を参照のこと(それぞれ出典明示により本明細書の一部とする)。
【0013】
本発明の方法は、好ましくは、プロゲスチンおよびエストロゲンを少なくとも約100日間、毎日投与することを含む。特定の実施形態において、投与は、少なくとも約4ヶ月間毎日、少なくとも約6ヶ月間毎日、少なくとも約9ヶ月間毎日、および/または少なくとも約12ヶ月間毎日である。本発明の特定の方法は、エストロゲンおよびプロゲスチン、好ましくは1回にて28日間連続して投与することを含む、いわゆる28日の処方計画を含む。28日間の処置周期は、エストロゲンおよびプロゲスチンの一定量を提供するため、複数の周期の間、6ヶ月まで、12ヶ月まで、18ヶ月まで、24ヶ月までまたはそれ以上の期間続けられる。好ましい実施形態において、女性は、1日から28日の月経周期の日に、1日あたり90μgのレボノルゲストレルおよび20μgのエチニルエストラジオールを含む、経口避妊薬を投与される。従って、28日の処方計画予定では、1年に約13回の処置周期があるため、1年の全ての月経周期を制限または無くすこととなる。処置処方計画は、延長された投与期間、例えば、1年またはそれ以上、あるいは2年またはそれ以上、続けることができる。
【0014】
本発明の製剤は、経口、非経口、舌下、経皮、局所、膣内、鼻腔内または頬側(バッカル)に、種々の適切な投薬形態にて投与することができる。投与方法は、用いられるエストロゲンおよびプロゲスチンの型、並びに単位投薬あたりの量に依存する。本発明の製剤および適切な担体を含む医薬製剤または調剤薬は、本発明の教示としてエストロゲン、プロゲスチンおよび抗うつ剤の有効量を含む、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、オブラート剤、ペレット剤、ピル剤、粉剤または顆粒剤を含む固体投薬形態;液剤、粉剤、流体乳剤、流体懸濁剤、半固体、軟膏、ペースト剤、クリーム剤、ゲル剤またはゼリー剤、発泡剤および制御放出持続性デポー単位を含む局所投薬形態;経皮、膣リング、バッカル製剤;および液剤、懸濁剤、乳剤または乾燥粉剤を含む非経口投薬形態であってよい。「デポー」または「薬物デポー」は、化合物が対象に輸送されるように対象に埋め込まれる、または対象と繋がれる何らかの様式の、組成物を含む貯蔵物を意味する。デポーは、化合物の投与を制御してもしなくてもよい。
【0015】
医薬上許容される担体は、投与される特定の組成物によって、ならびに組成物を投与するために用いられる特定の方法によって、部分的に決定される。従って、ホルモン性避妊製品を投与するにあたっての適切な医薬組成物の製剤は多種多様である。活性成分は、医薬上許容される希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性媒体、水溶性媒体、乳剤、緩衝剤、湿潤剤、加湿剤、可溶化剤、防腐剤およびその類似物を加えて、製剤に含ませることができることは当分野では既知である。投与手段および方法は、当分野で知られており、当業者であれば指導用の種々の医薬参考文献を参照することができる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Marck Publishing Co., Easton, PA第18版., 1990; Modern Pharmaceutics, Banker & Rhodes, Marck Dekker, Inc., 1979;またはGoodman & Gilman's The Pharmaceutical Basis of Therapeutics, 第6版, MacMillan Publishing Co., New York, 1980を参照のこと(その全部および全ての目的について、それぞれ出典明示により本明細書の一部とされる)。医薬組成物は、一般的に、滅菌で、実質的に等張性で、そして米国食品医薬品局(U.S Food and Drug Administration)の適正製造基準(GMP)規則を遵守して、製剤化される。
【0016】
概して、製剤は、投与方法に従って周知の手順に基づいて調製される。従って、活性成分は、投与のために医薬上許容される剤形に、既知方法に従って調製される。それらの成分は、必要とされる量で、適当な医薬担体、例えば、添加剤、媒体および/または風味改善物質と組み合わされる。これらの物質は、希釈剤、結合剤および潤滑剤と称されることがある。ゴム、澱粉および砂糖もまた共通の用語である。これらの物質または賦形剤型の典型例は、医薬品等級のマンニトール、ラクトース澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム(sodium saccharin)、滑石粉、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムおよびその類似物である。活性成分(群)は、製剤全体の重量あたり約0.01%〜約99.99%含まれていてよく、その残りは医薬上許容される担体が含まれる。活性成分(群)の百分率は、輸送系または投与方法に応じて変更されてよく、当分野で既知の慣用方法に従って選択される。
【0017】
エストロゲンのほとんどは、経口で活性であるため、経口投与経路(好ましくは錠剤またはカプセル剤の形態において)が好ましい。経口使用のための医薬投薬形態は、本発明の化合物と固体賦形剤との組み合わせにより、場合により得られる混合物を研削し、所望により錠剤またはコアを得るために、適切な更なる化合物を加えた後に、顆粒混合物を処理して、得ることができる。錠剤形態は、1つまたはそれ以上のラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、微結晶性セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、潤滑剤、防腐剤、香味料、染料、崩壊剤および医薬適合性担体を含んでいてよい。関連する製造方法を含む、経皮投与についての方法は、当分野で周知である。この関連について、参照例としては、米国特許第4,752,478号、第4,685,911号、第4,438,139号および第4,291,014号があろう(それぞれ出典明示により本明細書の一部に組み入れる)。
【0018】
本発明に基づく投薬形態は、適当な容器に入れられ、処置のためのラベルがなされてよい。そのような容器(ブリスター包装、錠剤、取り出し容器またはその類似物の形態のいずれか)は、本明細書中ではキットと称され、典型的には、連続投与に適するように準備された1日投薬量を含む。好ましいキットは、その順序または取り合わせが連日投与の段階に対応する、シンクロナイズさせ、固定した順序での複数投薬形態を含む。例えば、投薬形態は、28日処方計画のための約18個〜約28個の錠剤、好ましくは約21個〜約28個の錠剤を含む、キットの形態で提供されることができる。これらの錠剤は、連日の摂取のために意図される。より長期の処方計画のために、投薬形態は、連日の摂取を意図する、少なくとも約60個の錠剤、さらに好ましくは少なくとも約81個〜約89個の錠剤、さらに110個までの錠剤を含むキットの形態で提供され得る。好ましくは、投与は、少なくとも100日間、毎日行われる。少なくとも168日間、少なくとも336日間、または1年もしくはそれ以上の連日投与もまた効果的であろう。キットの複数投薬形態の投与について、添付のラベルは、典型的には、例えば、各投薬形態についての量、頻度および投与方法に関する指示を含むであろう。好ましいキットは、それぞれが少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンを含む、少なくとも100個の投薬形態を含むものである。そのようなキットは、特定の実施形態において、少なくとも約185個の投薬形態、少なくとも約275個の投薬形態、および/または少なくとも約365個の投薬形態を含み得る。
【0019】
我々は、いかなる特定の理論または作用機構にも束縛されることは望まないが、本発明の処置計画は、低エストロゲン症(hypoestrogenemia)を伴うことなく、視床下部−下垂体−卵巣軸を抑制すると考えられる。一定投薬におけるエストロゲンおよびプロゲスチンの組み合わせは、内因性および外因性両方のホルモン変動、並びに卵巣活動および循環性のエストロゲン、プロゲステロン、黄体形成ホルモンおよび卵胞刺激ホルモンを抑制すると考えられる。
【0020】
本発明の方法は、例えば、自己管理される視覚アナログ尺度(VAS)を含む精神測定尺度、並びに精神症状および身体症状を評価するための予測日常症状チャートまたは日記を用いる月経前症候学において、その効果を評価することができる。精神症状および身体症状の総得点は、コンピュータで計算される。VASは、緊張、興奮性、不快気分、睡眠および食事の様式、頭痛、鼓脹、疼痛および乳房の圧痛、および体重増加症状を測定する。
【0021】
本発明は、以下の実施例においてさらに実証される。実施例は、例示を目的としており、本発明の範囲を制限するものとは解されない。
【0022】
実施例1
この研究のために選択されたレボノルゲストレル/エチニルエストラジオール(LNG/EE)用量は、低用量連続LNG/EE処方計画を用いた卵巣抑制の程度を評価するために用いられた卵巣抑制研究に基づいている。これらの研究の結果により、排卵は≧LNG90μg/EE15μg用量の24日処方計画で抑制されるが、卵巣活動はLNG90μg/EE15μg用量を用いても顕性であることが実証されている。これは、卵胞刺激ホルモンを抑制するための付加的なエストロゲンが有益であり得ることを示唆している。加えて、一連の研究で、21日処方計画よりも24日処方計画を用いた方が、より一層の卵巣抑制が示された。連続処方計画においてピル剤摂取を延長すること、例えば100日またはそれ以上の1日投薬は、さらに卵巣活動を抑制することが期待される。従って、LNG90μg/EE20μgは、1日低用量で優れた避妊効果を提供することが期待されるため、連続臨床プログラムに選択される用量である。
【0023】
実施例2
連日処方計画におけるレボノルゲストレルおよびエチニルエストラジオールの組み合わせ処方計画の多中心、無作為、二重盲、プラセポ対照試験
試験計画
3段階、多中心、無作為、二重盲、プラセボ対象試験は、約75箇所で実施される。第1の評価項目は、基準から最終の治療効果期間までの21項目の平均デイリーレコード・オブ・セベリティー・オブ・プロブレム(DRSP)の毎日の合計点における平均変化に基づいて、プラセボに対する連日処方計画で投与されるLNG/EEを用いた処置の効果を評価するものである。各治療周期の有効期間は、個々の対象の基底に基づいて決定されるであろう。それぞれの対象の平均周期長は、前処置スクリーニング周期2とプラセボ実施周期3のデータを用いて計算されよう。第2の評価項目は、以下の項目:
・臨床全般印象度−重傷度(CGI−S)成績の基準からの平均変化
・CGI−S成績、DRSP成績およびPMDD基準における改善百分率に基づく応答解析
・臨床上定められたDRSPクラスター(症状の部分群)成績の平均の基準からの変化
・ワーク・リミテーション・クエスチョネイア(WLQ)の基準からの変化
・全112日期間のDRSP成績の曲線下面積(AUC)解析
・被験者の包括的評価平均成績
・体重の変化
に基づいて、プラセボに対して連日処方計画で投与されるLNG/EEを用いた処置の効果を評価するものである。
【0024】
研究の最初の2周期は、前処置スクリーニング周期、次いで単重盲検プラセボ実施処置の1周期であろう。その後、4回の28日間ピル剤パックの二重盲検処置に続いて、処置後の臨検が続くであろう。対象の研究参加は、約8ヶ月であろう。
【0025】
この研究の二重盲検処置段階を無作為に割り当てるために、対象は、前処置スクリーニング周期2とプラセボ実施周期3の両方の期間中、DRSP試験対象患者基準を満たさなければならない。各二重盲検処置周期中の基準値からの変化も同様に検定するが、基準効果期間から最終の治療効果期間までのDRSP成績の平均変化が、主な関心対象である。
【0026】
二重盲検処置間隔の間に、各対象は、LNG90μgおよびEE20μgを含む錠剤または対応するプラセボを含む錠剤のいずれかを受けるために、無作為に割り当てられよう。周期4の開始を除き、対象は、毎日1錠のピル剤を経口で約112日間、毎日決まった時間に服用するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
月経前不機嫌性障害を患っている女性対象を処置する方法であって、少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンの有効量を該女性対象に、少なくとも約100日間、毎日投与することを含む方法。
【請求項2】
女性対象が月経前不機嫌性障害を患っており、有効量が月経前不機嫌性障害を処置するのに有効であるところの、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも約4μgのレボノルゲストレル、または相当する効能を有するプロゲスチン投薬量が投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項4】
約60〜約110μgのレボノルゲストレル、または相当する効能を有するプロゲスチン投薬量が投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項5】
少なくとも約1μgのエチニルエストラジオール、または相当する効能を有するエストロゲン投薬量が投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項6】
約15〜約20μgのエチニルエストラジオール、または相当する効能を有するエストロゲン投薬量が投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのプロゲスチンが、酢酸クロマジノン、酢酸ノルエチステロン、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、ゲストデン、ドロスピレノン、エトノゲストレル、ノルゲスチメート、ノルエルゲストロミンまたはレボノルゲストレルであるところの、請求項1記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのエストロゲンが、エチニルエストラジオール、メストラノール、エストラジオール、エストリオール、エストロンまたはエストランであるところの、請求項1記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのプロゲスチンが、1日あたり90μgを超えない投薬量で投与されるレボノルゲストレルであるか、または相当する効能を有するプロゲスチン投薬量が投与されるところの、請求項7記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのエストロゲンが、1日あたり20μgを超えない投薬量で投与されるエチニルエストラジオールであるか、または相当する効能を有するエストロゲン投薬量が投与されるところの、請求項8記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのエストロゲンが1日あたり約20μgの投薬量で投与されるエチニルエストラジオールであり、少なくとも1つのプロゲスチンが1日あたり約90μgの投薬量で投与されるレボノルゲストレルであるか、または相当する効能を有するエストロゲン投薬量および相当する効能を有するプロゲスチン投薬量が投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項12】
有効量が、経口的に、経皮的に、またはデポーを介して、対象に投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項13】
有効量が、少なくとも約4ヶ月間、毎日投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項14】
有効量が、少なくとも約6ヶ月間、毎日投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項15】
有効量が、少なくとも約9ヶ月間、毎日投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項16】
有効量が、少なくとも約12ヶ月間、毎日投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項17】
有効量が、投薬形態で投与されるところの、請求項1記載の方法。
【請求項18】
投薬形態が、錠剤またはカプセル剤であるところの、請求項1記載の方法。
【請求項19】
投薬形態が、経口的に、経皮的に、またはデポーを介して、対象に投与されるところの、請求項17記載の方法。
【請求項20】
女性対象が月経前不機嫌性障害を患っている程度を測定することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
測定が、投与工程前に行われるところの、請求項20記載の方法。
【請求項22】
測定が、投与工程後に行われるところの、請求項20記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンを、少なくとも約100日間、毎日女性対象に投与することを含む方法。
【請求項24】
女性対象が、月経前不機嫌性障害を患っており、少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンが、月経前不機嫌性障害を処置するのに有効な量で投与されるところの、請求項23記載の方法。
【請求項25】
少なくとも約4μgのレボノルゲストレル、または相当する効能を有するプロゲスチン投薬量が投与されるところの、請求項23記載の方法。
【請求項26】
約60〜約110μgのレボノルゲストレル、または相当する効能を有するプロゲスチン投薬量が投与されるところの、請求項23記載の方法。
【請求項27】
少なくとも約1μgのエチニルエストラジオール、または相当する効能を有するエストロゲン投薬量が投与されるところの、請求項23記載の方法。
【請求項28】
約15〜約20μgのエチニルエストラジオール、または相当する効能を有するエストロゲン投薬量が投与されるところの、請求項23記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つのプロゲスチンが、酢酸クロマジノン、酢酸ノルエチステロン、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、ゲストデン、ドロスピレノン、エトノゲストレル、ノルゲスチメート、ノルエルゲストロミンまたはレボノルゲストレルであるところの、請求項23記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1つのエストロゲンが、エチニルエストラジオール、メストラノール、エストラジオール、エストリオール、エストロンまたはエストランであるところの、請求項23記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つのプロゲスチンが、1日あたり90μgを超えない投薬量で投与されるレボノルゲストレルであるか、または相当する効能を有するプロゲスチン投薬量が投与されるところの、請求項29記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つのエストロゲンが、1日あたり20μgを超えない投薬量で投与されるエチニルエストラジオールであるか、または相当する効能を有するエストロゲン投薬量が投与されるところの、請求項30記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つのエストロゲンが、1日あたり約20μgの投薬量で投与されるエチニルエストラジオールであり、少なくとも1つのプロゲスチンが、1日あたり約90μgの投与量で投与されるレボノルゲストレルであるか、または相当する効能を有するエストロゲン投薬量および相当する効能を有するプロゲスチン投薬量が投与されるところの、請求項23記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンが、経口的に、経皮的に、またはデポーを介して、対象に投与されるところの、請求項32記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンが、少なくとも約6ヶ月間、毎日投与されるところの、請求項23記載の方法。
【請求項36】
少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンが、少なくとも約9ヶ月間、毎日投与されるところの、請求項23記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンが、少なくとも約12ヶ月間、毎日投与されるところの、請求項23記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンが、避妊に有効な量で投与されるところの、請求項23記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つのエストロゲンを別個に含む少なくとも約100個の投薬形態を含む、女性対象を処置するためのキット。
【請求項40】
それぞれの投薬形態が、少なくとも約4μgのレボノルゲストレル、または相当する効能を有するプロゲスチン投薬形態を含むところの、請求項39記載のキット。
【請求項41】
それぞれの投薬形態が、約60〜110μgのレボノルゲストレル、または相当する効能を有するプロゲスチン投与形態を含むところの、請求項39記載のキット。
【請求項42】
それぞれの投薬形態が、少なくとも約1μgのエチニルエストラジオール、または相当する効能を有するエストロゲン投薬形態を含むところの、請求項39記載のキット。
【請求項43】
それぞれの投薬形態が、約15〜20μgのエチニルエストラジオール、または相当する効能を有するエストロゲン投与形態を含むところの、請求項39記載のキット。
【請求項44】
少なくとも1つのプロゲスチンが、プロゲステロン、酢酸クロマジノン、酢酸ノルエチステロン、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、ドロスピレノン、エトノゲストレル、ノルゲスチメート、ノルエルゲストロミンまたはレボノルゲストレルであるところの、請求項39記載のキット。
【請求項45】
少なくとも1つのエストロゲンが、エチニルエストラジオール、メストラノール、エストラジオール、エストリオール、エストロンまたはエストランであるところの、請求項39記載のキット。
【請求項46】
それぞれの投薬形態が、90μgを超えない量のレボノルゲストレル、または相当する効能を有するプロゲスチン投薬形態を含むところの、請求項44記載のキット。
【請求項47】
それぞれの投薬形態が、20μgを超えない量のエチニルエストラジオール、または相当する効能を有するエストロゲン投薬形態を含むところの、請求項45記載のキット。
【請求項48】
それぞれの投薬形態が、約20μgのエチニルエストラジオールおよび約90μgのレボノルゲストレル、または相当する効能を有するエストロゲン投薬形態およびプロゲスチン投薬形態を含むところの、請求項39記載のキット。
【請求項49】
少なくとも約185個の投薬形態を含む、請求項39記載のキット。
【請求項50】
少なくとも約275個の投薬形態を含む、請求項39記載のキット。
【請求項51】
少なくとも約365個の投薬形態を含む、請求項39記載のキット。
【請求項52】
投薬形態が、錠剤、カプセル剤またはその組み合わせであるところの、請求項39記載のキット。

【公表番号】特表2008−500340(P2008−500340A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515131(P2007−515131)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/016180
【国際公開番号】WO2005/117898
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】