説明

有刺鉄線防護柵の製造方法、並びに有刺鉄線防護柵製造装置

【課題】形状維持に優れ、容易に作成できる安価な有刺鉄線防護柵及びその製造方法、並びに有刺鉄線防護柵製造装置を提供する。
【解決手段】有刺鉄線11を螺旋状に隣接間との巻回の間隔を略等間隔とさせ有刺鉄線11の両端を巻回に結合してなる有刺鉄線円筒体12と、有刺鉄線円筒体12の長さ方向外表部に有刺鉄線11を直線状に延設させ巻回の全てに結合してなる複数本の有刺鉄線直線体13を備える。そして、有刺鉄線直線体13が有刺鉄線円筒体12を断面視する円上に3本以上の複数本をそれぞれが略等間隔として有するのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの無断侵入を防止するための有刺鉄線を用いる有刺鉄線防護柵及びその製造方法、並びに有刺鉄線防護柵製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、外部から施設等への侵入を防止するための有刺鉄線防護柵には、一般的に、フェンス等の構造体の上部に鉄線等からなる有刺鉄線を支柱間に直線状に張り巡らして形成されることが多い。また、有刺鉄線を支柱間に直線状に張り巡らして形成される有刺鉄線防護柵には、安価で敷設を迅速容易に行うことができる防護柵として、中央部から折り曲げ可能な多数の支柱を所定間隔をおいて並列させ、各支柱間に有刺鉄線を架設させた鉄条網を連続的に支柱を逆V字状に折り曲げながら接地させて敷設して形成するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のような有刺鉄線を支柱間に直線状に張り巡らして形成される防護柵は、敷設のための場所をあまり必要としなく、容易に形成できるという利点があるものの、直線状の有刺鉄線を破壊するだけで容易に侵入が可能となり、防護性の低いものとなっている。
【0004】
従来の外部から施設等への侵入を防止するための防護柵には、有刺鉄線を螺旋状に架設する作業の容易化を図るために、フェンス等の構造体の上部に相対向する支持ディスクを溶接によらずに固定可能とし、この支持ディスク間に横直線ループ状に張り巡らせた有刺鉄線の外側に、更に螺旋状に架設する有刺鉄線を有するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、螺旋状に巻回させた有刺鉄線の製造方法及び装置には、縦線と横線の有刺鉄線からなる平形の有刺バンドから螺旋状の有刺防護柵を作製するのに、縦線と横線を結合するのを1つおきにして結合させる有刺防護柵の製造方法、及び製造装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−223049号公報
【特許文献2】特許第2999194号公報
【特許文献3】特公昭54−4334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述したような従来の有刺鉄線防護柵及びその製造方法、並びに有刺鉄線防護柵製造装置は、未だ解決すべき次のような問題がある。
(1)特許第2999194号公報で開示されるような有刺鉄線を用いた防護柵は、相対向する支持ディスク間にループ状に引っ張った状態の有刺鉄線の外側に、更に螺旋状の有刺鉄線を巻き付けているので、ループ状に引っ張った状態の有刺鉄線の緊張が解けた場合には、円筒状の形状が維持できなくなり、有刺鉄線防護柵としての機能が果たせなくなっている。
(2)特公昭54−4334号公報で開示されるような有刺鉄線を用いた防護柵の製造方法及び装置は、製造方法が複雑であると共に、装置が高価なものであって、有刺鉄線防護柵のコストアップとなっている。また、必要とする円筒形状とした時の有刺鉄線防護柵は、形状が不揃い、且つ不安定となりやすく、修正、手直しの作業に多くの労力を要している。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、形状維持に優れ、容易に作成できる安価な有刺鉄線防護柵及びその製造方法、並びに有刺鉄線防護柵製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的に沿う本発明に係る有刺鉄線防護柵は、有刺鉄線を螺旋状に隣接間との巻回の間隔を略等間隔とさせ有刺鉄線の両端を巻回に結合してなる有刺鉄線円筒体と、有刺鉄線円筒体の長さ方向外表部に有刺鉄線を直線状に延設させ巻回の全てに結合してなる複数本の有刺鉄線直線体を備える。
【0009】
ここで、上記の有刺鉄線防護柵は、有刺鉄線直線体が有刺鉄線円筒体を断面視する円上に3本以上の複数本をそれぞれが略等間隔として有するのがよい。
【0010】
前記目的に沿う本発明に係る有刺鉄線防護柵の製造方法は、長手方向に延設する複数の凹部が円筒状の側板の上面にはめ板を設けて形成され、側板の内側を骨材で支持する円筒状の中心軸を有し、中心軸を水平方向にして両端部を支持体に載置し回動自在とする円筒状のドラムに、ドラムを回動させながら有刺鉄線を1巻回させて先端を従属する有刺鉄線に針金片で結び付けた後、有刺鉄線を隣接間との巻回の間隔を略等間隔にして螺旋状に巻き付けると共に、有刺鉄線の終端を針金片で有刺鉄線に結び付けて有刺鉄線円筒体を形成する工程と、ドラムの凹部に沿って有刺鉄線円筒体の上に直線状の有刺鉄線を当接させると共に、針金片を凹部の中を潜らせて有刺鉄線円筒体に結び付けて有刺鉄線直線体を形成して有刺鉄線防護柵を作製する工程と、ドラムを構成する長さ方向に延設する側板の3枚の内の2枚を観音開き状に中心軸方向に折曲させて有刺鉄線円筒体の緊張を解放させ有刺鉄線防護柵をドラムの長さ方向に移動可能とすると共に、中心軸の円筒内部に挿入されたパイプを中心軸の一方の端部側の途中まで引き出し、パイプの先端を上部空中に吊り上げてドラムを傾斜させ、有刺鉄線防護柵をパイプ側に引き出す工程と、パイプの先端の吊り上げを開放させてドラムの中心軸を支持体に載置すると共に、パイプを中心軸の円筒内部に収納させて有刺鉄線防護柵を取り出す工程を有する。
【0011】
前記目的に沿う本発明に係る有刺鉄線防護柵製造装置は、有刺鉄線を巻回するための3枚に分割されてそれぞれが長手方向に延設し、断面視して1個の半円形状体の両側面のそれぞれに2個の1/4円形状体のそれぞれの一方の側面が連接されて円形が形成される側板と、側板の上面に沿って長手方向に延設し、隣り合い間で略等間隔を設けて側板との間に断面視して凹部を設けて配列してなる短冊状のはめ板と、側板のそれぞれの内面の長手方向両側部に沿って取り付けられて延設する補強部材と、半円形状体の補強部材と隣接する1/4円形状体のそれぞれの一方の補強部材との間に1/4円形状体のそれぞれの他方の補強部材側が円形の内側に折曲自在となるように設ける蝶番と、側板の断面視する中心部に長手方向に延設する円筒状の中心軸と、中心軸と半円形状体の補強部材との間を固定する骨材と、中心軸を支点として長手方向に90度回動自在からなり、1/4円形状体のそれぞれの他方の補強部材を両端部のそれぞれで支持するサポートロックと、中心軸の円筒内部に引き出し入れ自在からなるパイプを備えてなるドラムと、ドラムが中心軸長手方向両端部で水平に載置されて回転自在になると共に、ドラムが中心軸長手方向の一方の端部側を支点とし他方の端部側を吊り上げ自在になるように上方側が開放する回転ローラーを備えてなる支持体を有する。
【0012】
ここで、上記の有刺鉄線防護柵製造装置は、パイプに引っ掛けてドラムを上方に持ち上げるためのリフターを有するのがよい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1又はこれに従属する請求項2記載の有刺鉄線防護柵は、有刺鉄線を螺旋状に隣接間との巻回の間隔を略等間隔とさせ有刺鉄線の両端を巻回に結合してなる有刺鉄線円筒体と、有刺鉄線円筒体の長さ方向外表部に有刺鉄線を直線状に延設させ巻回の全てに結合してなる複数本の有刺鉄線直線体を備えるので、円筒体としての形状維持に優れ、容易に作成できる安価な有刺鉄線防護柵を提供することができる。
【0014】
特に、請求項2記載の有刺鉄線防護柵は、有刺鉄線直線体が有刺鉄線円筒体を断面視する円上に3本以上の複数本をそれぞれが略等間隔として有するので、円筒体としての強固な形状維持に優れる有刺鉄線防護柵を提供することができる。
【0015】
請求項3記載の有刺鉄線防護柵の製造方法は、長手方向に延設する複数の凹部が円筒状の側板の上面にはめ板を設けて形成され、側板の内側を骨材で支持する円筒状の中心軸を有し、中心軸を水平方向にして両端部を支持体に載置し回動自在とする円筒状のドラムに、ドラムを回動させながら有刺鉄線を1巻回させて先端を従属する有刺鉄線に針金片で結び付けた後、有刺鉄線を隣接間との巻回の間隔を略等間隔にして螺旋状に巻き付けると共に、有刺鉄線の終端を針金片で有刺鉄線に結び付けて有刺鉄線円筒体を形成する工程と、ドラムの凹部に沿って有刺鉄線円筒体の上に直線状の有刺鉄線を当接させると共に、針金片を凹部の中を潜らせて有刺鉄線円筒体に結び付けて有刺鉄線直線体を形成して有刺鉄線防護柵を作製する工程と、ドラムを構成する長さ方向に延設する側板の3枚の内の2枚を観音開き状に中心軸方向に折曲させて有刺鉄線円筒体の緊張を解放させ有刺鉄線防護柵をドラムの長さ方向に移動可能とすると共に、中心軸の円筒内部に挿入されたパイプを中心軸の一方の端部側の途中まで引き出し、パイプの先端を上部空中に吊り上げてドラムを傾斜させ、有刺鉄線防護柵をパイプ側に引き出す工程と、パイプの先端の吊り上げを開放させてドラムの中心軸を支持体に載置すると共に、パイプを中心軸の円筒内部に収納させて有刺鉄線防護柵を取り出す工程を有するので、円筒体としての形状維持に優れ、容易に作成できる安価な有刺鉄線防護柵の製造方法を提供することができる。
【0016】
請求項4又はこれに従属する請求項5記載の有刺鉄線防護柵製造装置は、有刺鉄線を巻回するための3枚に分割されてそれぞれが長手方向に延設し、断面視して1個の半円形状体の両側面のそれぞれに2個の1/4円形状体のそれぞれの一方の側面が連接されて円形が形成される側板と、側板の上面に沿って長手方向に延設し、隣り合い間で略等間隔を設けて側板との間に断面視して凹部を設けて配列してなる短冊状のはめ板と、側板のそれぞれの内面の長手方向両側部に沿って取り付けられて延設する補強部材と、半円形状体の補強部材と隣接する1/4円形状体のそれぞれの一方の補強部材との間に1/4円形状体のそれぞれの他方の補強部材側が円形の内側に折曲自在となるように設ける蝶番と、側板の断面視する中心部に長手方向に延設する円筒状の中心軸と、中心軸と半円形状体の補強部材との間を固定する骨材と、中心軸を支点として長手方向に90度回動自在からなり、1/4円形状体のそれぞれの他方の補強部材を両端部のそれぞれで支持するサポートロックと、中心軸の円筒内部に引き出し入れ自在からなるパイプを備えてなるドラムと、ドラムが中心軸長手方向両端部で水平に載置されて回転自在になると共に、ドラムが中心軸長手方向の一方の端部側を支点とし他方の端部側を吊り上げ自在になるように上方側が開放する回転ローラーを備えてなる支持体を有するので、円筒体としての形状維持に優れ、容易に作成できる安価な有刺鉄線防護柵製造装置を提供することができる。
【0017】
特に、請求項5記載の有刺鉄線防護柵製造装置は、パイプに引っ掛けてドラムを上方に持ち上げるためのリフターを有するので、容易にドラムを上方に持ち上げることができ、ドラムから有刺鉄線防護柵を容易に取り出すことができる有刺鉄線防護柵製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る有刺鉄線防護柵の説明図、図2(A)〜(C)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る有刺鉄線防護柵の製造方法の一部説明図、図3(A)、(B)はそれぞれ同有刺鉄線防護柵の製造方法の一部説明図、図4は本発明の一実施の形態に係る有刺鉄線防護柵製造装置の説明図、図5(A)、(B)はそれぞれ同有刺鉄線防護柵製造装置の図4におけるA−A’線矢視図、B−B’線矢視図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る有刺鉄線防護柵10は、長い金属線の所定の間隔毎に外側に向かって突出する短い針金の先端を尖らせたような有刺を結び付けて設けた有刺鉄線11を用いて形成されている。この有刺鉄線防護柵10は、有刺鉄線11を螺旋状に巻回させて隣接間との間隔を略等間隔とさせると共に、有刺鉄線11の両端を巻回に結び付けて有刺鉄線円筒体12を設けている。また、この有刺鉄線防護柵10は、有刺鉄線円筒体12の長さ方向外表部に有刺鉄線11を直線状に延設させ当接する巻回の全てに結び付けてなる複数本の有刺鉄線直線体13を設けている。有刺鉄線防護柵10の大きさは、長さや、巻回の直径が限定されるものではなく、敷設される条件に応じて適宜選択することができる。なお、有刺鉄線11は、鉄製以外に、ステンレス製や、銅製等の金属線であってもよく、鉄製に限定されるものではない。
【0020】
この有刺鉄線防護柵10は、有刺鉄線円筒体12の巻回の全てに結び付けた複数本の有刺鉄線直線体13で形成されているので、円筒体としての所定の形状維持に優れている。また、この有刺鉄線防護柵10は、形状維持に優れているので、予め作製したものを必要とする場所に運んで取り付けることができ、外部から施設等の侵入を防止するための防護柵を容易に形成することができる。
【0021】
上記の有刺鉄線防護柵10は、有刺鉄線直線体13が有刺鉄線円筒体12を断面視する円上に3本以上の複数本をそれぞれが略等間隔になるようにして設けられているのがよい。このようにした有刺鉄線防護柵10は、円筒体としての所定の形状維持が更に強固になって、取り扱いが更に容易となり、複数個を並べて防護設備を組立る時の作業性を向上させることができる。
【0022】
次いで、図2(A)〜(C)、図3(A)、(B)を参照しながら本発明の一実施の形態に係る有刺鉄線防護柵の製造方法を説明する。
図2(A)に示すように、有刺鉄線11は、円筒状のドラム14を回動させながら巻回されることとなっている。このドラム14は、長手方向に延設する複数の凹部15が円筒状の側板16の上面にはめ板17を設けて形成され、側板16の内側を骨材18(図5(A)参照)で支持する円筒状の中心軸19を有している。そして、ドラム14は、中心軸19を水平方向にして両端部のそれぞれを支持体20に載置させて回動自在となるようになっている。
【0023】
有刺鉄線11は、先ず、有刺鉄線11の先端をドラム14の一方の端部側に固定させた後、ドラム14を回動させながら長手方向に対して垂直に1巻回させて有刺鉄線11の先端を従属してくる有刺鉄線11に針金片で結び付けている。次に、有刺鉄線11は、結び付けた位置から更に、ドラム14を回転させながら隣接間との巻回の間隔を所定の略等間隔にして螺旋状に巻き付けている。そして、有刺鉄線11の終端の1巻回は、ドラム14の長手方向に対して垂直に1巻回させ針金片で有刺鉄線11に結び付けることで有刺鉄線円筒体12を形成している。なお、有刺鉄線11の巻回の間隔を所定の略等間隔にして螺旋状に巻き付けるためには、ドラム14の外表面に有刺鉄線11を案内して正確に巻回させるための罫書き線を予め設けておくのがよい。
【0024】
次に、図2(B)に示すように、有刺鉄線円筒体12の上には、ドラム14の長手方向に設けた複数のそれぞれの凹部15に沿って直線状の有刺鉄線11を当接させると共に、針金片を凹部15の中を潜らせて有刺鉄線円筒体12のそれぞれの巻回全てに結び付けて有刺鉄線直線体13を形成している。そして、ドラム14の外周には、これに巻き付けられた有刺鉄線円筒体12と、有刺鉄線直線体13の結合体による有刺鉄線防護柵10が作製される。なお、有刺鉄線直線体13は、予め、有刺鉄線11を所定の長さに切断しておいたものをそれそれ有刺鉄線円筒体12に結び付けてもよいし、あるいは、長い状態の有刺鉄線11を有刺鉄線円筒体12に結び付けた後に所定の長さに切断してもよい。
【0025】
次に、上記の有刺鉄線防護柵10を外周に設けたドラム14は、これを構成する長さ方向に延設する1枚の半円形状体16a(図5(A)参照)と、2枚の1/4円形状体16b(図5(A)参照)の3枚からなる側板16の内の2枚の1/4円形状体16bを観音開き状に中心軸19方向に折曲させている。これにより、ドラム14の外周に設けられた有刺鉄線防護柵10は、有刺鉄線円筒体12の緊張が解放されて、ドラム14の長さ方向に移動可能となっている。そして、次に、図2(C)に示すように、中心軸19の円筒内部に挿入されているパイプ21は、中心軸19の一方の端部側の途中まで引き出されてパイプ21の先端を上部空中に吊り上げて、中心軸19の支持体20に載置されている他方の端部側を支点としてドラム14を傾斜させている。次いで、図3(A)に示すように、有刺鉄線防護柵10は、ドラム14からパイプ21側に引き出せるようになる。
【0026】
次に、図3(B)に示すように、上記のパイプ21は、先端の吊り上げを開放させて、ドラム14の中心軸19を支持体20に載置している。そして、有刺鉄線防護柵10は、パイプ21を中心軸19の円筒内部に収納させることで取り出すようにしている。また、ドラム14は、次の作業に備えて、これを構成する長さ方向に延設する側板の3枚の内の2枚を観音開き状に外側に折曲させて円筒状に戻しておくのがよい。なお、ドラム14から取り出した有刺鉄線防護柵10は、重量が軽いと共に、形状維持が強固であるので、取り扱いが容易であり運搬等の作業性にも優れている。
【0027】
次いで、図4、図5(A)、(B)を参照しながら本発明の一実施の形態に係る有刺鉄線防護柵製造装置を説明する。
図4に示すように、本発明の一実施の形態に係る有刺鉄線防護柵製造装置30は、後述するドラム14と、支持体20を有している。
図5(A)に示すように、有刺鉄線防護柵製造装置30のドラム14は、有刺鉄線11を巻回するための3枚に分割されてそれぞれが長手方向に延設し、断面視して1個の半円形状体16aの両側面のそれぞれに1/4円形状体16bのそれぞれの一方の側面が連接されて円形が形成される側板16を有している。この側板16は、材質を特に限定するものではないが、例えば、適当な直径と、厚さからなる塩化ビニール製のヒューム管や、金属製のパイプ管等を長さ方向に3枚に切断して用いることができる。
【0028】
この有刺鉄線防護柵製造装置30のドラム14は、側板16の上面に沿って長手方向に延設し、それぞれが隣り合う間で略等間隔を設けて側板16との間に断面視して凹部15を設けて配列してなる短冊状のはめ板17を、例えば、ボルトナット等で締め付け接合させて有している。このはめ板17は、材質を特に限定するものではないが、例えば、凹部15の適当な深さが確保できる厚さをもった木製や、塩化ビニール製等の板を用いることができる。
【0029】
このドラム14は、側板16のそれぞれの内表面の長手方向両側部に沿って取り付けられて延設する、例えば、L字鋼等からなる補強部材22を、例えば、ボルトナット等で締め付け接合させて有している。また、このドラム14は、半円形状体16aの補強部材22と隣接する1/4円形状体16bのそれぞれの一方の補強部材22との間に、1/4円形状体16bのそれぞれの他方の補強部材22側が円形の内側に折曲自在となるように設ける蝶番23を有している。
【0030】
このドラム14は、側板16の断面視する中心部に長手方向に延設する円筒状の中心軸19を有している。そして、このドラム14は、中心軸19と半円形状体16aの補強部材22との間を固定させる、例えば、L字鋼等からなる骨材18をそれぞれに溶接等で固定させて有している。更に、このドラム14は、中心軸19の外側部分を支点として長手方向に90度回動自在からなり、1/4円形状体16bのそれぞれの他方の補強部材22を両端部のそれぞれで支持するサポートロック24を有している。ドラム14の形状は、このサポートロック24によって、サポートロック24を中心軸19に対して垂直に起こし上げることで最大径の円筒状にすることができ、サポートロック24を中心軸19に対して水平にすることで歪な縮小径の筒状にすることができる。このドラム14は、更に、中心軸19の円筒内部に引き出し入れ自在からなるパイプ21を有している。このパイプ21は、これを引き出してドラム14自体を吊り上げることができるだけの強度が必要であるので、鋼鉄製のパイプ21が好ましい。
【0031】
図5(B)に示すように、有刺鉄線防護柵製造装置30の支持体20は、上記のドラム14が中心軸19長手方向両端部で水平に載置されて回転自在となるように設けられている。これと共に、支持体20は、ドラム14が中心軸19長手方向の一方の端部側を支点として他方の端部側を吊り上げ自在となるように設けられている。このために支持体20は、上方側が開放する回転ローラー25を備えている。この回転ローラー25は、上方側を開放させると共に、中心軸19を載置させて回転させるために、少なくとも2個以上を必要とする。しかしながら、この回転ローラー25は、中心軸19の脱落防止を考慮して中心軸19の軸芯と、回転ローラー25の軸芯をできるだけ水平として両側から支えて回転させるための2個と、下側で中心軸19を支えて回転させるための合わせて3個以上を設けるのが好ましい。なお、支持体20上でドラム14を回転させるためには、モータ等の動力を使って回転させることができるが、簡易的には、中心軸19に取手等を取り付けて手動で回転させることもできる。
【0032】
上記の有刺鉄線防護柵製造装置30には、中心軸19の円筒内部から引き出したパイプ21に引っ掛けてドラム14を上方に持ち上げるためのリフター(図示せず)を有することもできる。このリフターを用いてドラム14を上方に持ち上げる場合には、大型のドラム14であっても容易に持ち上げることができると共に、迅速、且つ安全な作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の有刺鉄線防護柵及びその製造方法、並びに有刺鉄線防護柵製造装置は、予め工場等で作製した有刺鉄線防護柵を必要とする場所に運んで組み立てるだけで防護柵となるので、あらゆる施設の有刺鉄線防護柵として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態に係る有刺鉄線防護柵の説明図である。
【図2】(A)〜(C)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る有刺鉄線防護柵の製造方法の一部説明図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ同有刺鉄線防護柵の製造方法の一部説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る有刺鉄線防護柵製造装置の説明図である。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ同有刺鉄線防護柵製造装置の図4におけるA−A’線矢視図、B−B’線矢視図である。
【符号の説明】
【0035】
10:有刺鉄線防護柵、11:有刺鉄線、12:有刺鉄線円筒体、13:有刺鉄線直線体、14:ドラム、15:凹部、16:側板、16a:半円形状体、16b:1/4円形状体、17:はめ板、18:骨材、19:中心軸、20:支持体、21:パイプ、22:補強部材、23:蝶番、24:サポートロック、25:回転ローラー、30:有刺鉄線防護柵製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有刺鉄線を螺旋状に隣接間との巻回の間隔を略等間隔とさせ前記有刺鉄線の両端を前記巻回に結合してなる有刺鉄線円筒体と、該有刺鉄線円筒体の長さ方向外表部に前記有刺鉄線を直線状に延設させ前記巻回の全てに結合してなる複数本の有刺鉄線直線体を備えることを特徴とする有刺鉄線防護柵。
【請求項2】
請求項1記載の有刺鉄線防護柵において、前記有刺鉄線直線体が前記有刺鉄線円筒体を断面視する円上に3本以上の複数本をそれぞれが略等間隔として有することを特徴とする有刺鉄線防護柵。
【請求項3】
長手方向に延設する複数の凹部が円筒状の側板の上面にはめ板を設けて形成され、前記側板の内側を骨材で支持する円筒状の中心軸を有し、該中心軸を水平方向にして両端部を支持体に載置し回動自在とする円筒状のドラムに、該ドラムを回動させながら有刺鉄線を1巻回させて先端を従属する前記有刺鉄線に針金片で結び付けた後、前記有刺鉄線を隣接間との巻回の間隔を略等間隔にして螺旋状に巻き付けると共に、前記有刺鉄線の終端を前記針金片で前記有刺鉄線に結び付けて有刺鉄線円筒体を形成する工程と、
前記ドラムの前記凹部に沿って前記有刺鉄線円筒体の上に直線状の前記有刺鉄線を当接させると共に、前記針金片を前記凹部の中を潜らせて前記有刺鉄線円筒体に結び付けて有刺鉄線直線体を形成して有刺鉄線防護柵を作製する工程と、
前記ドラムを構成する長さ方向に延設する側板の3枚の内の2枚を観音開き状に前記中心軸方向に折曲させて前記有刺鉄線円筒体の緊張を解放させ前記有刺鉄線防護柵を前記ドラムの長さ方向に移動可能とすると共に、前記中心軸の円筒内部に挿入されたパイプを前記中心軸の一方の端部側の途中まで引き出し、前記パイプの先端を上部空中に吊り上げて前記ドラムを傾斜させ、前記有刺鉄線防護柵を前記パイプ側に引き出す工程と、
前記パイプの先端の吊り上げを開放させて前記ドラムの前記中心軸を前記支持体に載置すると共に、前記パイプを前記中心軸の円筒内部に収納させて前記有刺鉄線防護柵を取り出す工程を有することを特徴とする有刺鉄線防護柵の製造方法。
【請求項4】
有刺鉄線を巻回するための3枚に分割されてそれぞれが長手方向に延設し、断面視して1個の半円形状体の両側面のそれぞれに2個の1/4円形状体のそれぞれの一方の側面が連接されて円形が形成される側板と、該側板の上面に沿って長手方向に延設し、隣り合い間で略等間隔を設けて前記側板との間に断面視して凹部を設けて配列してなる短冊状のはめ板と、前記側板のそれぞれの内面の長手方向両側部に沿って取り付けられて延設する補強部材と、前記半円形状体の前記補強部材と隣接する前記1/4円形状体のそれぞれの一方の前記補強部材との間に前記1/4円形状体のそれぞれの他方の前記補強部材側が円形の内側に折曲自在となるように設ける蝶番と、前記側板の断面視する中心部に長手方向に延設する円筒状の中心軸と、該中心軸と前記半円形状体の前記補強部材との間を固定する骨材と、前記中心軸を支点として長手方向に90度回動自在からなり、前記1/4円形状体のそれぞれの他方の前記補強部材を両端部のそれぞれで支持するサポートロックと、前記中心軸の円筒内部に引き出し入れ自在からなるパイプを備えてなるドラムと、
前記ドラムが前記中心軸長手方向両端部で水平に載置されて回転自在になると共に、前記ドラムが前記中心軸長手方向の一方の端部側を支点とし他方の端部側を吊り上げ自在になるように上方側が開放する回転ローラーを備えてなる支持体を有することを特徴とする有刺鉄線防護柵製造装置。
【請求項5】
請求項4記載の有刺鉄線防護柵製造装置において、前記パイプに引っ掛けて前記ドラムを上方に持ち上げるためのリフターを有することを特徴とする有刺鉄線防護柵製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−166113(P2009−166113A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9859(P2008−9859)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【特許番号】特許第4279892号(P4279892)
【特許公報発行日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(508019366)有限会社モトヤマ (1)
【Fターム(参考)】