説明

有孔ラミネート

【課題】形状に関して特定の感圧性を有する3次元の形状を有する有孔熱可塑性構造を生成すること。
【解決手段】前記隆起5を有する穿孔ローラ2と、該隆起5が少なくとも部分的に係合する対向ローラ3とを有する穿孔デバイス1であって、該穿孔ローラ2の該隆起5が、少なくとも部分的に係合する第3のローラ4が存在することを特徴とする、穿孔デバイス1、または、この穿孔デバイスにおいて、該隆起5を有する穿孔ローラ2と、該隆起5が少なくとも部分的に係合する対向ローラ3とを有する穿孔デバイスであって、穿孔されるべき構造用のフィードは、穿孔が実行可能である前に、該構造7が、120°より大きい、好適には、150°より大きい巻き付け角度を介して、該対向ローラ3に沿って送られるように配置されることを特徴とする、穿孔デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第1のシートおよび少なくとも1つの第2のシートを有する有孔ラミネート、ならびに製作方法および製品に関する。
【背景技術】
【0002】
有孔材料は、例えば、EP 0 472 992 B1号から明らかである。ここでは、開口部を備える隆起した表面領域を有するフリース状物が記載される。この開口部は、加熱されない複数のピンを有するローラ、および、これに対向する、複数の対応する開口部を有するローラを用いて生成される。開口部付近のフリース状物の繊維は、実質的に、硬化されない。従って、繊維が可動の状態であるため、対応する加圧の際に、この繊維は、開口部を再び閉じ得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、形状に関して特定の感圧性を有する3次元の形状を有する有孔熱可塑性構造を生成することを課題とする。
この課題は、請求項1の特徴を有する有孔熱可塑性構造、請求項7の特徴を有する有孔ラミネーションを製作する方法、請求項11の特徴を有する生成物、および、請求項12または13の特徴を有する穿孔デバイスによって解決される。さらなる有利な実施形態は、それぞれの従属請求項に記載され、以下の記載において、さらなる実施形態が説明される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によって以下が提供される:
(1) 有孔熱可塑性構造(7)であって、
少なくとも1つの第1のシート(8)と、
該第1のシート(8)を通って伸びる複数の孔であって、3次元、好適には、ほぼ円錐または円筒の形状(18)を有する、複数の孔と
を有し、
少なくとも1つの第2のシート(9)が、少なくとも部分的に該第1のシート(8)と結合されることと、
該孔が、さらに、該第2のシート(9)を通って伸びることと、
該第2のシート(9)が、該形状(18)の内側の面(20)を成し、これに対して、該第1のシート(8)が、該形状(18)の外側の面(21)を成すことと、
該第1のシート(8)が、該第2のシート(9)の該熱可塑性材料の融点よりも低い融点の熱可塑性材料を有することと
を特徴とする、有孔熱可塑性構造(7)。
(2) 前記孔の領域において、前記第1のシート(8)が少なくとも部分的に溶融されて、前記形状が安定化することを特徴とする、項目1に記載の有孔構造(7)。
(3) 前記第2のシート(9)は、前記穿孔の領域において、少なくとも広範囲に溶融されないことを特徴とする、項目1または2に記載の有孔構造(7)。
(4) 前記第2のシート(9)は、前記穿孔の領域において、全く溶融されないことを特徴とする、項目3に記載の有孔構造(7)。
(5) 前記第1のシート(8)および前記第2のシート(9)は、前記穿孔の領域において、少なくとも部分的に混ぜ合わされる繊維を有することを特徴とする、項目1〜4のいずれか1項に記載の有孔構造(7)。
(6) 前記第1のシート(8)および前記第2のシート(9)は、同じ方法で製作されることを特徴とする、項目1〜5のいずれか1項に記載の有孔構造(7)。
(7) 少なくとも1つの第1のシート(8)および少なくとも1つの第2のシート(9)を有する有孔ラミネートを製作する方法であって、ここで、該第1のシート(8)の熱可塑性材料は、該第2のシート(9)の熱可塑性材料よりも低い融点を有し、該第1のシート(8)および該第2のシート(9)は、一緒に穿孔カレンダ(6)に送られ、ここで、該穿孔カレンダ(6)において、穿孔ローラ(2)の隆起(5)、好適には、少なくともピン状の突起部が、該第1のシート(8)および該第2のシート(9)を貫通し、ここで、該第2のシート(9)は、該第1のシート(8)の前で該隆起(5)と接触する、方法。
(8) 前記第2のシート(9)は、溶融されない状態であり、これに対して、前記第1のシート(8)は、少なくとも部分的に粘着性になることを特徴とする、項目7に記載の方法。
(9) 前記第2のシート(9)は、溶融されない状態であり、これに対して、前記第1のシート(8)は、少なくとも部分的に溶融することを特徴とする、項目7に記載の方法。
(10) 前記第1のシート(8)のフィラメントが溶かされ、ここで、フィラメント形状を保持することを特徴とする、項目9に記載の方法。
(11) 前記隆起(5)は加熱されることを特徴とする、項目7〜10のいずれか1項に記載の方法。
(12) 前記第1のシート(8)は、少なくとも、前記第2のシート(9)の前記熱可塑性材料の軟化温度まで加熱されることを特徴とする、項目7〜11のいずれか1項に記載の方法。
(13) 前記第2のシート(9)は、製品の表面を少なくとも部分的に形成することを特徴とする、項目1による構造(7)を有する、および/または項目7による方法によるラミネートを有する製品。
(14) 前記隆起(5)を有する穿孔ローラ(2)と、該隆起(5)が少なくとも部分的に係合する対向ローラ(3)とを有する穿孔デバイス(1;16)であって、
該穿孔ローラ(2)の該隆起(5)が、少なくとも部分的に係合する第3のローラ(4)が存在することを特徴とする、穿孔デバイス(1;16)。
(15) 前記隆起(5)を有する穿孔ローラ(2)と、該隆起(5)が少なくとも部分的に係合する対向ローラ(3)とを有する穿孔デバイス(19)であって、
穿孔されるべき構造用のフィードは、穿孔が実行可能である前に、該構造(7)が、120°より大きい、好適には、150°より大きい巻き付け角度を介して、該対向ローラ(3)に沿って送られるように配置されることを特徴とする、穿孔デバイス(19)。
(16) 前記対向ローラは、前記穿孔ローラの温度よりも少なくとも約30℃低い温度を有することを特徴とする、項目12または13に記載の穿孔デバイス(1;16;19)。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、穿孔されるべき構造が穿孔ローラ上に直接供給される第1の穿孔デバイスである。
【図2】図2は、穿孔される構造が、まず循環するローラ上に付与される第2の穿孔デバイスである。
【図3】図3は、さらなる穿孔デバイスである。
【図4】図4および5は、原理の手順である。
【図5】図4および5は、原理の手順である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、少なくとも1つのシート、および複数の孔を備える有孔熱可塑性構造を有する。孔は、第1のシートを通って伸び、ここで、孔は、3次元、好適には、例えば、円錐または円筒の形状を有する。少なくとも1つの第2のシートが少なくとも部分的に第1のシートと結合される。孔は、さらに、第2のシートを通って伸びる。第2のシートは形状の内側の面を成し、第1のシートは形状の外側の面を成す。第1のシートは、さらに、第2のシートの熱可塑性材料の融点よりも低い融点の熱可塑性材料を有する。
好適には、第1のシートは、孔の領域において少なくとも部分的に溶融され、これにより、形状を安定化させる。改良点は、第2のシートは、穿孔の領域において、少なくとも可能な限り広範囲に溶融されないことを提供する。別の実施形態によると、第2のシートは、穿孔の領域において、全く溶融されない。
【0007】
従って、有孔構造を生成するための機械的作用に基づいた有孔構造の後に残る変形は、対応する温度の影響によって生じる。温度の影響は、好適には、同時に、無孔の構造から有孔の構造への変形と同時に結び付く。例えば、これは、少なくとも1つの第1のローラおよび第2のローラを有するカレンダを用いて行われ得る。第1のローラは、好適には、ポジ型構造を有し、これは、特に、第2のローラのネガ型構造と係合する。このカレンダを構造が通過する場合、変形工程が生じる。同時にポジ型構造が(従って、第1のローラの上面からの隆起も)が加熱され、第1のシートの熱可塑性材料に影響を及ぼす一方で、第2のシートの熱可塑性材料が広範囲に影響を受けない状態である場合、形状を安定化することが達成される。
【0008】
異なった熱可塑性材料の異なった融点を選択することによって、それぞれのシートに異なった特性を割り当てることが可能になる。好適には、変形工程において、可能な限りエネルギー付与による影響を受けない第2のシートは、生成物において、少なくとも部分的に外側の面を成す。第2のシートの溶融温度は、特に、第2のシートにおける表面特性が可能な限り不変の状態であるように選択される。これは、特に、フリース繊維等の繊維の使用に関して、例えば、衛生用品、さらに、工業製品および衣料用品に応用する際に、特に重要である。従って、硬化された材料は、好適には、第1のシートに存在するが、第2のシートは、エネルギー付与による影響を受けない状態であり、従って、不変の軟性を有する。変形工程の間のエネルギーの蓄積と並んで、このエネルギー付与を変形工程と結び付けて実行するということがさらに可能である。例えば、これは、超音波、熱放射を用いて、または化学反応によって可能である。化学反応は、例えば、化学薬品の塗布、化学薬品の活性化、または第1のシートからの化学薬品の溶け出し(Herausloesen)によって行われ、これにより、第1のシートの熱可塑性材料の少なくとも部分的な硬化が生じる。例えば、これに加えて、少なくとも孔の領域において、好適には、噴霧デバイスを介して、硬化剤が直接第1のシート上に塗布される。第2のシートは、実質的にこの影響を受けない状態で残る。この硬化剤の塗布は、変形工程の前または後に行われ得る。
【0009】
さらなる実施形態によると、第1のシートと第2のシートとの間にも材料が塗布され得る。変形工程の間、例えば、エネルギーが構造に供給され、これにより、例えば、ラテックスの場合、硬化剤が化学的に反応し、および/または、例えば、ホットメルトの場合、物理的に反応する。この反応は、好適には、硬化剤自体の硬化をもたらし、これにより、第1および第2のシートが安定化される。さらに、この硬化剤は、接着剤として利用されるような性質を有し得る。これにより、孔のすぐ近くに位置する領域だけでなく、構造の他の領域も安定化される。
【0010】
有利な熱可塑性材料の組み合わせの例は、以下の表から明らかである。
【0011】
【表1】

面積重量(Flaechengewichte)が以下のように試験された。
【0012】
【表2】

好適には、第1のシートは、第2のシートの面積重量よりも大きい面積重量を有する。
【0013】
実験結果は、以下の通りである。
【0014】
【表3】

サンプルAは、PPからなるスピンフリースであり、比較材料として利用される。サンプルBは、第2のシートにおいて、スピンフリースを、第1のシートにおいてカーディングされたBico材料を有する。サンプルCは、第2のシートにおいてスピンフリース、および第1のシートにおいてカーディングされた材料を有する。サンプルDは、第2のシートにおいてBICOスピンフリース、および第1のシートにおいてカーディングされたBicoフリースを有する。サンプルEは、第2のシートにおいて、HDPEスピンフリース、および第1のシートにおいてカーディングされたBico材料を有する。すべてのサンプルは、穿孔される前に、個々のシートとしてそれぞれ接着されている。
【0015】
特に、測定されたオープンエリアと理論的オープンエリアとの間の比較、ならびに、好適には、穴径(MD/CD)の比率が示すように、特に、穿孔の丸い開口部を安定化させることも達成する。穴の直径は、MDにおいて、1〜1.8mmであり、CDにおいて0.8〜1.7mmである。
【0016】
構造が穿孔デバイスを通り抜ける速度は、穴径へのさらなる影響を有する。構造は、5m/s〜130m/sの速度で通り抜ける。安定した穿孔を製作するために有利であるのは、45m/s〜120m/s、特に、60m/s〜95m/sの速度であることが判明している。0.5mm未満の範囲で上下する穴の直径の場合、より高い動作速度を設定することが可能である。ここで、200m/sまでの速度、好適には、150m/sより高い速度を設定することが可能である。さらに、穴の直径は、例えば、0.5〜0.1mmの範囲にある。穿孔ローラは、材料に依存して、好適には、ローラの底面に約100℃〜
160℃の温度を有する。加熱する際の油温は、例えば、135℃〜180℃に設定される一方で、対向ローラは、好適には、45℃〜95℃、特に、55℃〜75℃の温度を有する。
【0017】
さらなる考察によると、穿孔デバイスは、穿孔されるべき構造のためにフィードを有し、このフィードは、穿孔が実行される前に、構造が120°よりも大きい、好適には、150°よりも大きい巻き付け角度(Umschlingungswinkel)を介して、対向ローラに沿って供給されるように配置される。これによって、特に、加熱された対向ローラにおいて、構造が少し加熱されて穿孔ローラに供給されることが達成される。さらに、巻き付けに基づいて、対向ローラと接触している材料における張力が低減される。これによって、特に安定した穿孔が達成される。
【0018】
さらなる実施形態によると、対向ローラは、コーティング、好適には、ゴムコーティング(Gummierung)を有する。このコーティングは、特に1.5mm〜15mmの厚さ、特に、少なくとも4mmである。穿孔ローラの隆起は、コーティングの中に係合し得る。好適には、このコーティングは、約2.5〜約6mmの深さで係合する。
【0019】
穿孔されるべき2層シートの構造は、実施形態により、統合された製作方法で生成される。例えば、フリースを製作する場合、1つ以上のビームを有するスピンフリース機が利用可能にされる。ビームの1つを用いて、例えば、低い融点のポリマー混合物が、および、第2のビームを用いてBICO PP/PEフリースが製作される。さらに、事前に製作された材料上に第2のシートを付与し、続いて、穿孔することも可能である。さらに、第1および第2のシートをインラインで製作し、ここから分離された作業工程で穿孔することが可能である。フリース材の例で示されたように、さらに、フィルムとフリース材との組み合わせを用いることが可能である。例えば、カーディングされたフリース上に、例えば、フィルムが押し出され、次に、穿孔ユニットが供給され得る。
【0020】
1実施形態によると、フリース材料が第1のシートとして用いられた場合、これにより、フリース繊維が部分的に溶かされ得、このようにして、形状のジオメトリの安定化が達成される。フリース繊維は、ここで、例えば、少なくとも部分的にその形態を失い得る。さらなる実施形態によると、フリース繊維は、その形態の大部分を保持し、かつ粘着性である。さらなる実施形態によると、第1のシートの繊維は、少なくとも部分的に第2のシートのフリースの繊維と、特に、絡合した形態で混ぜ合わされる。例えば、2つの別々に製作されたフリースシートが、それらのシート間に材料境界部分を有し得る一方で、これらの部分的に混ぜ合わされた2つのフリースシートは、材料遷移部分を有する。材料遷移部分の外側において、一方のシートも他方のシートも、それぞれ、ただ1つの熱可塑性材料を有する。このような構成は、特に、インライン法を用いて製作される。好適には、有孔構造は位相遷移部を有し、または、さらなる実施形態によると、例えば、繊維の完全な混合を、穿孔の領域において少なくとも部分的に有する。好適には、第1および第2のシートは、同じ方法で製作される。両方のシートは、例えば、同じマシン上で製作される押出しフリース(extrudierte Vliese)である。それぞれ異なった特性を有する異なった材料を1つの有孔構造に形成し得ることも可能である。1つのフリースが少なくとも大部分にPPを有する一方で、別のフリースは、大部分がHDPEまたはDAPPからなる。さらに、フリースの種々の製作方法を組み合わせる可能性があり、特に、スピンフリースとハイボリュームスタック繊維フリース(hochvoluminoese Stapelfaservliese)、または、スピンフリースとメルトブローフリース、ならびにさらなる組み合わせの使用がある。
【0021】
さらなる実施形態によると、第1のシートは、第3のシートと結合される。第3のシートは、第1のシートの熱可塑性材料の融点よりも高い融点の熱可塑性材料を有する。これにより、いわゆる「サンドイッチ」の生成が達成され、ここで、中間シートは、3つのシートに存在する3次元形状の安定をもたらす。
【0022】
本発明のさらなる考察によると、少なくとも1つの第1のシートおよび少なくとも1つの第2のシートを有する有孔ラミネートを製作する方法が利用可能にされる。第1のシートの熱可塑性材料は、第2のシートの熱可塑性材料よりも低い融点を有する。第1および第2のシートは、1つの穿孔カレンダに一緒に供給され、ここで、穿孔カレンダにおいて、カレンダローラからの隆起、好適には、少なくとも、針状の突出部が第1および第2のシートに差しこまれ、かつ、隆起が、好適には加熱され、ここで、第2のシートは、第1のシートの前で隆起と接触する。
【0023】
改良点によると、隆起との接触により、第2のシートは溶解されないが、第1のシートは、少なくとも部分的に粘着性になる。さらなる方法によると、溶融されない状態の第2のシートは、カレンダに通されるが、第1のシートは、少なくとも部分的に溶融する。しかしながら、さらなる実施形態によると、温度およびエネルギー付与が非常に高いので、第1のシートの熱可塑性材料は、少なくとも部分的にもとの形状を失い、冷却されると再び硬化され得る。対応する温度設定において、さらに、第1のシートにおけるフィラメントが溶かされ、その際、そのフィラメントの形状を保持することが可能である。
【0024】
さらなる有利な特徴、実施形態および改良点が、以下の図面を用いてより詳細に説明される。そこで記載される特徴は、上記の詳述と組み合わされ得る。
【0025】
図1は、穿孔ローラ2を有する穿孔デバイス1を示す。穿孔ローラ2に対向して対向ローラ3が配置される。これに加えて、さらなる第3のローラ4が位置する。穿孔ローラ2から伸びる隆起5は、対向ローラ3よび第3のローラ4に少なくとも部分的に係合する。穿孔ローラ2、対向ローラ3および第3のローラ4は、1つの穿孔カレンダ6を形成する。ローラの回転速度は、電動モータによる対応する駆動および制御を介して設定可能である。穿孔カレンダ6に、熱可塑性構造7が導入される。熱可塑性構造は、平坦な形成物であり、この実施形態によると、第1のシート8および第2のシート9を有する。第1のシート8および第2のシート9は、この場合、巻出し機10から穿孔カレンダ6にそれぞれ供給される。しかしながら、その前に、第1のシート8および第2のシート9は、分岐ローラ11を介して一緒に送られる。分岐ローラ11を用いて2つのシート8、9を一緒に送ることによって、両方のシート8、9の全面が、しわを形成することなく重ね合わされることが達成される。熱可塑性構造7を張力下に置くために、穿孔デバイス1は、この実施形態により、少なくとも1つの偏向ロール12をさらに有する。従って、本明細書中で示されるように、偏向ロール12は、分岐ローラ11には依存しない。しかしながら、第1のシート8および第2のシート9が分岐ローラ11を介して穿孔カレンダ6に直接送られることによって、偏向ロールと分岐ローラ11との組み合わせを介して材料を引張ることを達成することも可能である。熱可塑性構造7は、穿孔デバイス1において、少なくとも部分的に加熱される。この場合、熱エネルギーは、熱風送風機13を用いて構造7に導入される。熱風送風機13が、穿孔カレンダ6のすぐ隣に設けられる。好適には、熱風送風機13は、穿孔ローラ2に直接的に配置される。熱風送風機13から流れ出す加熱された媒体の温度は、第1のシートの熱可塑性材料の軟化温度に適合される。実施形態によると、この媒体は、少なくとも、この温度に近くなるように加熱される。さらなる実施形態によると、この媒体は、第1のシートが、第1のシートの熱可塑性材料の軟化温度と、第2のシートの熱可塑性材料の軟化温度との間の温度に加熱されるような温度を有する。穿孔されるべき構造のこのような温度範囲は、好適には、別のエネルギー付与方法においても選択される。その際に決定的なのは、第1のシートの熱可塑性材料が反応する温度である。例えば、熱風送風機13から吹き出され、構造7に到着するまで、および第1のシート8にエネルギーを伝達するまでのエネルギー損失に基づいて、媒体は、より高い温度に
設定される。対応することが、例えば、穿孔ローラ2の隆起5を加熱する際にも、または他のエネルギー付与の可能性においても当てはまる。
【0026】
図1に示された対向ローラ3は、好適には、その表面に、対向ローラ3の中に伸びる開口部14を有する。開口部14は、穿孔ローラ2の例えば隆起5の寸法に対応する。開口部14は、丸穴、長い穴、またはチャネルであり得、これらは、例えば、対向ローラ3の表面にウェブを形成することによって生じる。穿孔ローラ2と対向ローラ3との相互作用により、熱可塑性構造7が穿孔される。有孔熱可塑性構造7は、対向ローラ3に沿ってさらに第3のローラ4に送られ、ここで、好適には、熱可塑性構造7は冷却される。対向ローラ3と第3のローラ4との係合により、熱可塑性有孔構造7を第3のローラ上に降ろされ、そこから偏向ロール12に送られ、有孔熱可塑性構造7は、このロールから再び分岐ローラ11に到達する。熱可塑性構造7は、分岐ローラ11から巻出し機15に到達する。有孔構造7の巻出しは、偏向ロール12および分岐ローラ11を介して設定可能である特定の張力下で行われる。特に、構造7が巻出し機15に到達する速度に依存して張力を適合させる。分岐ローラ11は、巻出しの際にしわの形成を起こさないようにする。同時に、張力は、3次元形状が引き伸ばされ、従って、破壊されないように設定される。このようにして製作された3次元形状は、融合していない熱可塑性構造7と比べて高い張力で巻き付けられ得る。
【0027】
図1から明らかなように、事前に製作されたシートが一緒に送られ、次に巻き付けられる。穿孔によって達成された、第1のシートと第2のシートとの結合は、材料のさらなる加工のために巻き付け機15を用いて保管することに耐え、ここで、2つのシート8、9が再び分離する危険はない。しかしながら、ここで詳細に示されない改良点によると、穿孔の前および/後に、従来技術において公知の方法で、少なくとも部分的に互いに結合された構造を用いることが可能である。
【0028】
図2もまた、穿孔カレンダ6を有する図1と類似の第2の穿孔デバイス16を示す。ここでも、巻出し機10から、熱可塑性構造7が穿孔され、巻き付け機15を用いて巻き付けられる。しかしながら、第1の穿孔デバイス1と異なって、第2の穿孔デバイス16の場合、第1のシート8および第2のシート9は、まず、対向ローラ3に送られ、ここで、熱風送風機13を用いて加熱されてから、ようやく穿孔ローラ2に送られる。従って、熱可塑性構造7において設定されるべき材料張力は、対向ローラ3、ならびに第1および第2のシート8、9の巻出し速度それぞれの回転速度を介して調節される。対向ローラ3への巻き付けは、さらに、第1のシート8においてもたらされるべきエネルギーが第2のシート9を介してもたらされ得、第1のシート8が媒体と直接接触しなくてよいことを可能にする。さらに、穿孔カレンダ6は、穿孔ローラ2の後に配置された偏向ロール17を有する。偏向ロール17は、好適には、構造7が再び第3のローラ4に供給される前に、穿孔された構造7が穿孔ローラ2および第3のローラ4の張力下でまず先に送出されるように配置される。偏向ロール17は、特に、材料幅が500mmより大きい場合に有利である。ここで、穿孔カレンダ6に、分岐ローラが追加され得るが、これらの両方については詳述しない。
【0029】
図1および図2に示された穿孔デバイス1、2は、穿孔カレンダを形成する3つのローラを有する。ローラの相互の配置は、示されるように、そのローラの中心が、ほぼ直線上に配置されるように示される。しかしながら、ローラは、互いにずらして、すなわち、好適には160°〜40°の角度で配置され得る。穿孔デバイス1、2は、さらに、噴霧設備、超音波デバイス、測定デバイス等の追加的デバイスを備え得る。
【0030】
図3は、穿孔カレンダ6が、ただ1つの対向ローラ3および穿孔ローラ2を有する第3の穿孔デバイス19を示す。構造7は、まず、対向ローラ3に付与され、ここで、この構造は、ここで示されるように、好適には180°よりも大きい、特に、190°〜220°の範囲の巻き付け角度に沿って残る。
【0031】
図4および図5は、第1のシート8および第2のシート9を有する熱可塑性構造7の穿孔の工程を模式図で示す。第1のシート8が、少なくとも孔の領域において少なくとも部分的に溶け、好適には、少なくとも部分的に完全に溶融している間、第2のシート9はその形態を保持する。これにより、穿孔により形成された3次元形状18の安定化が達成され、ここで、第1のシート8は、形状18の外側の面21をなす一方で、第2のシート9は、形状18の内側の面22をなす。
【0032】
製品におけるラミネートおよび構造の応用の例は、衛生用品、生理用品および家庭用品、特に、ティッシュ、医療用品、製品の表面用、フィルタ材料、防護服、地盤用シート、使い捨て製品である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記隆起(5)を有する穿孔ローラ(2)と、該隆起(5)が少なくとも部分的に係合する対向ローラ(3)とを有する穿孔デバイス(19)であって、
穿孔されるべき構造用のフィードは、穿孔が実行可能である前に、該構造(7)が、120°より大きいき付け角度を介して、該対向ローラ(3)に沿って送られるように配置されることを特徴とする、穿孔デバイス(19)。
【請求項2】
前記巻き付け角度は、150°より大きい、請求項1に記載の穿孔デバイス。
【請求項3】
前記対向ローラは、前記穿孔ローラの温度よりも少なくとも30℃低い温度を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の穿孔デバイス(1;16;19)。
【請求項4】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−46794(P2010−46794A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234662(P2009−234662)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【分割の表示】特願2006−287019(P2006−287019)の分割
【原出願日】平成14年7月3日(2002.7.3)
【出願人】(597018945)ファイバーウェブ コロビン ゲーエムベーハー (16)
【住所又は居所原語表記】Woltorfer Strasse 124, D−31224 Peine,Germany
【Fターム(参考)】