説明

有害生物の防除に有効なトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体

【課題】 殺虫又は殺ダニに有効な化合物を提供する。
【解決手段】 次式で示されるトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体。


(式中、A及びBは、同一でも、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C3アルキルチオ基、C1〜C3ハロアルキルチオ基、C1〜C3アルキルスルフィニル基、C1〜C3ハロアルキルスルフィニル基、C1〜C3アルキルスルホニル基、C1〜C3ハロアルキルスルホニル基、ニトロ基、又はシアノ基を表し、更にA又はBが各々複数存在する場合には、それらは同一でも、異なっていてもよく、m及びnは、1〜5の任意の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体及びその製造法、並びにその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種の殺虫剤等の有害生物防除剤が検討されている。例えば、特開昭56−22704号公報や、特開平5−1034号公報、特開平6−293738号公報には、アミジン化合物を使用する有害生物防除剤が開示されている。
しかしながら、特開昭56−22704号公報は、農園芸用殺菌剤に関するものであり、アミジン結合におけるアミノ窒素の置換基は、フェニル基を含有せず、しかも、カルボニルイミノ基(C=N)の窒素置換基として、トリフルオロメチルスルホニル基について全く開示していない。
また、特開平5−1034号公報は、殺虫剤に使用されるアミジン誘導体を開示しているが、カルボニルイミノ基の炭素原子置換基としてフェニル基は言及されておらず、しかも、アミジン結合のアミノ窒素の置換基として、トリフルオロメチルスルホニル基は全く言及されていない。
更に、特開平6−293738号公報は、除草剤に関するものであり、カルボニルイミノ基の窒素置換基として、トリフルオロメチルスルホニル基とは大きく異る窒素含有複素環基を有する化合物に関し、アミノ窒素の置換基として、フェニル基について全く言及していない。
【0003】
一方、特開昭57−156407号公報や、特公昭63−24483号公報、特開平10−218857号公報には、トリフルオロメチルスルホンアミド基を有する有害生物防除剤が開示されている。
しかしながら、特開昭57−156407号公報及び特公昭63−24483号公報は、殺虫、殺ダニ剤に関するものであるが、アミジン結合を有するものではなく、単にスルホンアミド化合物を開示するに過ぎない。
また、特開平10−218857号公報は、屋内塵性ダニ類防除剤に使用される化合物について開示するが、アミジン結合を有するものではなく、単にスルホンアミド化合物を開示するに過ぎない。
更に、J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2, 2002,1950-1955には、トリフルオロメチルスルホニル基を有するアミジン化合物について開示しているが、用途に関する記載は全くなく、しかも、アミジン結合におけるアミノ窒素の置換基として、フェニル基について全く開示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、従来より公知の化合物について調査検討した結果、アミジン結合のカルボニルイミノ基の窒素置換基として特定のトリフルオロメチルスルホニル基を有する化合物が、優れた殺虫、殺ダニ活性を有することを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、以下の発明に関するものである。
1.次式(I)、




【0005】
【化1】

(I)
【0006】
で示されるトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体。
(式中、
A及びBは、同一でも、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C3アルキルチオ基、C1〜C3ハロアルキルチオ基、C1〜C3アルキルスルフィニル基、C1〜C3ハロアルキルスルフィニル基、C1〜C3アルキルスルホニル基、C1〜C3ハロアルキルスルホニル基、ニトロ基、又はシアノ基を表し、
m及びnは、1〜5の任意の整数を表し、
但し、A又はBが複数存在する場合には、それらは同一でも、異なっていてもよい。)
【0007】
2.次式(II)、
【0008】
【化2】

(II)
【0009】
(式中、A及びmは、上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物と、
次式(III)、
【0010】
【化3】

(III)
【0011】
(式中、B、及びnは、上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物と、
を塩基の存在下で反応させることを特徴とする、式(I)で示されるトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体の製造方法。
3.次式(IV)、
【0012】
【化4】

(IV)
【0013】
(A、B、m及びnは、上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物と、
次式(V)、
【0014】
【化5】

(V)
【0015】
(式中、Xは、脱離基を表す。)
で表される化合物と、
を塩基の存在下又は不存在下で反応させることを特徴とする、式(I)で示されるトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体の製造方法。
4.次式(VI)、
【0016】
【化6】

(VI)
【0017】
(A、B、m及びnは、上記と同じ意味を表す。)
で表される化合物と、
次式(VII)、
【0018】
【化7】

(VII)
【0019】
で表される化合物と、
を塩基の存在下で反応させることを特徴とする、式(I)で示されるトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体の製造方法。
5.上記1に記載のトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体を有効成分として含有することを特徴とする殺虫剤又は殺ダニ剤。
【発明の効果】
【0020】
本発明のアミジン誘導体は、優れた殺虫又は殺ダニ効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のアミジン誘導対は、上記式(I)に示される構造を有する化合物である。
上記式中、A又はBは、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C3アルキルチオ基、C1〜C3ハロアルキルチオ基、C1〜C3アルキルスルフィニル基、C1〜C3ハロアルキルスルフィニル基、C1〜C3アルキルスルホニル基、C1〜C3ハロアルキルスルホニル基、ニトロ基、又はシアノ基を示す。
【0022】
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子や、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
1〜C6アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert-ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられ、好ましくは、メチル基等が挙げられる。
1〜C6ハロアルキル基としては、例えば、クロロメチル基や、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−iso−プロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基が挙げられ、好ましくは、トリフルオロメチル基、パーフルオロ−iso−プロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基等が挙げられる。
1〜C6アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基や、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基が挙げられ、好ましくは、メトキシ基等が挙げられる。
【0023】
1〜C6ハロアルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基や、ブロモジフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロ−n−プロピルオキシ基、パーフルオロ−iso−プロピルオキシ基、パーフルオロ−n−ブチルオキシ基、パーフルオロ−n−ペンチルオキシ基、パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ基が挙げられ、好ましくはトリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
1〜C3アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基や、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基が挙げられ、好ましくは、メチルチオ基等が挙げられる。
1〜C3ハロアルキルチオ基としては、例えば、トリフルオロメチルチオ基や、2,2,2−トリフルオロエチルチオ基や、パーフルオロエチルチオ基、1H,1H−パーフルオロ−n−プロピルチオ基、パーフルオロ−n−プロピルチオ基、パーフルオロ−iso−プロピルチオ基が挙げられ、好ましくは、トリフルオロメチルチオ基等が挙げられる。
【0024】
1〜C3アルキルスルフィニル基としては、例えば、メチルスルフィニル基や、エチルスルフィニル基、n−プロピルスルフィニル基、iso−プロピルスルフィニル基が挙げられ、好ましくはメチルスルフィニル基等が挙げられる。
1〜C3ハロアルキルスルフィニル基としては、例えば、トリフルオロメチルスルフィニル基や、2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル基、パーフルオロエチルスルフィニル基、1H,1H−パーフルオロ−n−プロピルスルフィニル基、パーフルオロ−n−プロピルスルフィニル基、パーフルオロ−iso−プロピルスルフィニル基が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチルスルフィニル基等が挙げられる。
1〜C3アルキルスルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル基や、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、iso−プロピルスルホニル基が挙げられ、好ましくはメチルスルホニル基等が挙げられる。
【0025】
1〜C3ハロアルキルスルホニル基としては、例えば、トリフルオロメチルスルホニル基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル基、パーフルオロエチルスルホニル基、1H,1H−パーフルオロ−n−プロピルスルホニル基、パーフルオロ−n−プロピルスルホニル基、パーフルオロ−iso−プロピルスルホニル基が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチルスルホニル基等が挙げられる。
脱離基としては、反応に際して脱離する基であれば特に制限なく、各種の公知の脱離基を使用することができ、例えば、ハロゲン原子や、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の官能基を好適に挙げることができる。
【0026】
次に本発明のアミジン誘導体の製造法について説明する。本発明のアミジン誘導体は、例えば、以下の製造法1、製造法2又は製造法3に従って製造することができる。なお、特に規定がない場合を除き、式中の記号は、上記の意味を有する。
【0027】
製造法1
(工程1)
以下の化合物(VIII)と、以下の化合物(III)とを反応させることによって化合物(IV)を得、次いで、得られた化合物(IV)を塩基の存在下に、化合物(V)と反応させて本発明の化合物(I)を得る。
【0028】
【化8】

【0029】
該反応は、多くの公知の方法が知られており、様々な書籍や文献を参考にして製造でき、例えば、新実験化学講座14−IIIpp1608〜1621、Chem. Commun., 1971, 498-499、Bull. Soc. Chim. Fr., 1970,200、Org. Synth., IV, 769 (1963) などを参考に合成することができる。
反応に塩基触媒を用いる場合には、塩基としては、例えば、水素化ナトリウム等の無機塩基類が挙げられる。
反応温度は、例えば、−40℃〜反応溶媒の沸点であり、好ましくは、0℃〜室温の範囲であることが適当である。
反応終了後は、例えば、反応液を氷冷水に投入し、析出した固体をろ取することにより化合物[IV]を単離することができる。また、必要に応じて、クロマトグラフィーや、再結晶等で精製することもできる。
【0030】
反応に酸触媒を用いる場合には、酸としては、例えば、塩化アルミニウム等のルイス酸が挙げられる。
反応温度は、例えば、100℃〜250℃であり、好ましくは、150℃〜200℃の範囲である。
反応終了後は、例えば、反応液をアルカリ水溶液に投入し、析出した固体をろ取することにより、化合物[IV]を単離することができる。また、必要に応じてクロマトグラフィーや再結晶等で精製することもできる。
【0031】
(工程2)
該反応は、通常不活性溶媒中、塩基の存在下に行われる。反応に用いられる不活性溶媒としては、反応を阻害するもので無ければ何でもよく、例えば、N−メチルピロリドンや、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類や、テトラヒドロフランや、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等の有機硫黄類、ベンゼンや、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタンや、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類あるいはそれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば、ピリジンや、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基類、炭酸カリウム等の無機塩基類、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。
塩基の量は、化合物(IV)1モルに対して、通常1〜10モルの割合であり、好ましくは、1〜2モルの割合である。
反応に供される化合物(V)の量は、化合物(IV)1モルに対して、通常1〜10モルの割合であり、好ましくは、1〜2モルの割合である。
反応温度は、通常、−20℃〜反応溶媒の沸点であり、好ましくは、0℃〜室温の範囲である。
反応時間は、例えば、1〜72時間であり、好ましくは、1〜24時間である。
反応終了後は、塩をろ過後そのまま濃縮、又は反応混合物を水に注加し、有機溶媒抽出して濃縮する等の後処理操作を行い、式(I)で示される化合物を単離することができる。必要に応じてクロマトグラフィー、再結晶等で精製することもできる。
【0032】
製造法2
化合物(IX)と、化合物(VII)とを塩基の存在下に反応させて、化合物(X)を得て、更に、得られた化合物(X)にハロゲン化剤を反応させて、化合物(II)を得、塩基の存在下、化合物(III)と反応させることにより、本発明の化合物(I)を得る。
【0033】
【化9】

【0034】
更に、詳細に説明する。
(工程1)
該反応は、通常不活性溶媒中、塩基の存在下に行われる。反応に用いられる不活性溶媒としては、反応を阻害するもので無ければ何でもよく、例えば、N−メチルピロリドンや、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類や、テトラヒドロフランや、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等の有機硫黄類、ベンゼンや、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタンや、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類あるいはそれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン等の有機塩基類や、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等の無機塩基類が挙げられる。
【0035】
反応に用いられる塩基の量は、化合物(VII)1モルに対して、通常1〜10モルの割合であり、好ましくは、2〜3モルの割合である。反応に供される化合物(IX)の量は、化合物(VII)1モルに対して、通常1〜10モルの割合であり、好ましくは、1〜2モルの割合である。
反応温度は、通常−20℃〜反応溶媒の沸点の範囲であり、好ましくは、0℃〜室温の範囲である。
反応時間は、例えば、1〜72時間であり、好ましくは、1〜24時間である。
反応終了後は、塩をろ過後濃縮し、得られた油状物又は固体を硫酸や塩酸等で処理することにより、化合物(X)を単離することができる。必要に応じてクロマトグラフィーや、再結晶等で精製することもできる。また、例えば、Eur. J. Org., Chem. 2001, 1225-1233や、米国特許第3637845号明細書又はそれに準じた方法で製造することができる。
【0036】
(工程2)
該反応は、通常溶媒中、ハロゲン化剤との反応により製造することができる。
ハロゲン化剤としては、例えば,五塩化リンや、オキシ塩化リン、オキシ塩化リンとジメチルホルムアミドから調整されるビルスマイヤー試薬などが挙げられる。
反応に用いられる溶媒としては、例えば、ヘキサンや、ヘプタン、リグロイン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、及びそれらの混合物が挙げられ、又はハロゲン化剤をそのまま溶媒として用いることもできる。
反応温度は、通常−5℃〜反応溶媒の沸点の範囲であり、好ましくは、室温〜反応溶媒の沸点の範囲である。
反応時間は、通常10分〜72時間であり、好ましくは、1〜6時間である。
反応終了後は、蒸留等の操作により目的物を得ることができる。
また、例えば、Eur. J. Org., Chem. 2001, 1225-1233、又はそれに準じた方法で製造することができる。
【0037】
(工程3)
該反応は、通常不活性溶媒中、塩基の存在下に行われる。
反応に用いられる不活性溶媒としては、反応を阻害するもので無ければ何でもよく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類や、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等の有機硫黄類、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類あるいはそれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば、ピリジンや、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基類、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等の無機塩基類が挙げられる。
【0038】
塩基の量は、化合物(II)1モルに対して、通常1〜10モルの割合であり、好ましくは、1〜2モルの割合である。
反応に供される化合物(III)の量は、化合物(II)1モルに対して、通常1〜10モルの割合であり、好ましくは1〜1.5モルの割合である。
反応温度は、通常−20℃〜反応溶媒の沸点の範囲であり、好ましくは、0℃〜室温の範囲である。
反応時間は、通常、1〜72時間であり、好ましくは、1〜24時間である。
反応終了後は、塩をろ過後そのまま濃縮、又は反応混合物を水に注加し、有機溶媒抽出して濃縮する等の後処理操作を行い、目的とする本発明化合物を単離することができる。必要に応じてクロマトグラフィー、再結晶等で精製することもできる。
【0039】
製造法3
化合物(IX)と、化合物(III)とを、塩基の存在下又は不存在下に反応させて、化合物(XI)を得て、更に得られた化合物(XI)にハロゲン化剤を反応させて得られた化合物(VI)を塩基の存在下、化合物(VII)と反応させることにより、化合物(I)を得る。






【0040】
【化10】

【0041】
(工程1)
該反応は、通常不活性溶媒中、塩基の存在下、又は不存在下に行われる。反応に用いられる不活性溶媒としては、反応を阻害するもので無ければ何でもよく、例えば、N−メチルピロリドンや、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類や、テトラヒドロフランや、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等の有機硫黄類、ベンゼンや、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタンや、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類あるいはそれらの混合物が挙げられる。
必要に応じて反応に用いられる塩基としては、例えば、ピリジンや、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基類、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等の無機塩基類が挙げられる。
【0042】
反応に用いられる塩基の量は、化合物(III)1モルに対して、通常1〜10モルの割合であり、好ましくは、1〜2モルの割合である。
反応に供される化合物(IX)の量は、化合物(III)1モルに対して、通常1〜10モルの割合であり、好ましくは、1〜1.2モルの割合である。
反応温度は、通常−20℃〜反応溶媒の沸点の範囲であり、好ましくは、0℃〜室温の範囲である。
反応時間は、例えば、1〜72時間であり、好ましくは、1〜24時間である。
反応終了後は、塩をろ過後そのまま濃縮、又は反応混合物を水に注加し、有機溶媒抽出して濃縮する等の後処理操作を行い、化合物(XI)を単離することができる。必要に応じて、クロマトグラフィー、再結晶等で精製することもできる。
【0043】
(工程2)
この反応は、通常溶媒中、ハロゲン化剤との反応により製造することができる。反応に用いられるハロゲン化剤としては、例えば、五塩化リンや、オキシ塩化リン、オキシ塩化リンとジメチルホルムアミドから調整されるビルスマイヤー試薬などが挙げられる。
反応に用いられる溶媒としては、例えば、ヘキサンや、ヘプタン、リグロイン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類及びそれらの混合物が挙げられ、又はロゲン化剤をそのまま溶媒として用いることもできる。
反応温度は、通常−5℃〜反応溶媒の沸点の範囲であり、好ましくは、室温〜反応溶媒の沸点の範囲である。
反応時間は、通常10分〜72時間であり、好ましくは、30分〜6時間である。
反応終了後は、蒸留等の操作により目的物を得ることができる。
また、例えば、Eur. J. Org., Chem. 2001, 1225-1233、特開2001-342170号公報、J. Org., Chem. 1981, 46, 608-610、J. C. S. Perkin II, 1980, 1318-1325、J. Heterocyclic chem., 1992, 29, 703-706、J. Org. Chem. 1992, 57, 196-201、米国特許第2003-0040521号明細書又はそれに準じた方法で製造することができる。
【0044】
(工程3)
この反応は、通常不活性溶媒中、塩基の存在下に行われる。反応に用いられる不活性溶媒としては、反応を阻害するもので無ければ何でもよく、例えば、N−メチルピロリドンや、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類や、テトラヒドロフランや、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等の有機硫黄類、ベンゼンや、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタンや、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類あるいはそれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば、ピリジンや、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基類、炭酸カリウム等の無機塩基類、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。
反応に用いられる塩基の量は、化合物(VII)1モルに対して、通常1〜10モルの割合であり、好ましくは、1〜2モルの割合である。
反応に供される化合物(VI)の量は、化合物(VII)1モルに対して、通常1〜10モルの割合であり、好ましくは、1〜1.5モルの割合である。
反応温度は、通常−20℃〜反応溶媒の沸点の範囲であり、好ましくは、0℃〜室温の範囲である。
反応時間は、例えば、1〜72時間であり、好ましくは、1〜24時間である。
反応終了後は、塩をろ過後そのまま濃縮、又は反応混合物を水に注加し、有機溶媒抽出して濃縮する等の後処理操作を行い、目的とする本発明化合物を単離することができる。必要に応じてクロマトグラフィー、再結晶等で精製することもできる。
【0045】
本発明のアミジン誘導体は、以下のように、例えば、カルボニルイミノ基(C=N)の二重結合に基づく幾何異性体、及びN=C−NH−に基づく互変異性体が存在するが、本発明にはこれらの異性体のいずれもが含まれる。
【0046】
【化11】

【0047】
本発明のアミジン誘導体は、殺虫又は殺ダニ剤として有用である。従って、本発明のアミジン誘導体を使用する殺虫又は殺ダニ剤は、以下の昆虫又はダニ類に効果的に適用できる。
鱗翅目害虫
ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガなどのヨトウ類、タマナヤガなどのヤガ類、ニカメイガ、コブノメイガ、ヨーロピアンコンボーラーなどのメイガ類、モンシロチョウなどのシロチョウ類、ナシヒメシンクイ、コドリングモスなどのハマキガ類、モモシンクイガなどのシンクイガ類、リオネティア属などのハモグリガ類、コナガどのスガ類、ワタアカミムシなどのキバガ類、アメリカシロヒトリなどのヒトリガ類、イガ、コイガなどのヒロズコガ類など。
【0048】
半翅目害虫
ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカなどのウンカ類、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイなどのヨコバイ類、ワタアブラムシ、モモアカアブラムシなどのアブラムシ類、アオクサカメムシ、ホソヘリカメムシなどのカメムシ類、オンシツコナジラミ、シルバーリーフコナジラミなどのコナジラミ類、アカマルカイガラムシ、ルビーロウムシなどのカイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類など。
【0049】
双翅目害虫
アカイエカ、コガタアカイエカなどのイエカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエなどのイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、ヒメイエバエ類、タネバエ、タマネギバエなどのハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ブユ類、アブ類、サシバエ類、ハモグリバエ類など。
鞘翅目害虫
ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワームなどのコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネなどのコガネムシ類、メイズウィービル、イネミズゾウムシ、アズキゾウムシなどのゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキなどのゴミムシダマシ類、ウリハムシ、キスジノミハムシ、コロラドハムシなどのハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウなどのエピラクナ類、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシなど。
【0050】
直翅目網翅類害虫
チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、トウヨウゴキブリなど。
アザミウマ目害虫
ミナミキイロアザミウマ、ネギアザミウマ、ハナアザミウマなど。
膜翅目害虫
アリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、カブラハバチ等のハバチ類など。
直翅目害虫
ケラ類、バッタ類など。
【0051】
隠翅目害虫
ヒトノミなど。
【0052】
シラミ目害虫
ヒトジラミ、ケジラミなど。
等翅目害虫
ヤマトシロアリ、イエシロアリなど。
【0053】
ダニ目害虫
ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、オリゴニカス属などのハダニ類、ミカンサビダニ、リンゴサビダニなどのフシダニ類、チャノホコリダニなどのホコリダニ類、ヒメハダに類、ケナガハダニ類、フタトゲチマダニ、ヤマトチマダニ、タイワンカクマダニ、ヤマトマダニ、シュルツマダニ、オウシマダニ、などのマダニ類、ケナガコナダニなどのコナダニ類、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニなどのヒョウヒダニ類、ホンツメダニ、クワガタツメダニ、ミナミツメダニなどのツメダニ類、ワクモ類など。)、クモ類(カバキコマチグモ、セアカゴケグモなど。
【0054】
唇脚網類
ゲジ、トビスムカデなど。
倍脚網類
ヤケヤスデ、アカヤスデなど。
等脚目類
オカダンゴムシなど。
腹足網類
チャコウラナメクジ、キイロコウラナメクジなど。
【0055】
線虫類
ミナミネグサレセンチュウ、キタネグサレセンチュウ、ダイズシストセンチュウ、ジャガイモシストセンチュウ、キタネコブセンチュウ、サツマイモネコブセンチュウなど。
【0056】
本発明のアミジン誘導体は、更に既存の殺虫剤に対し抵抗性の発達した害虫にも有効である。このようにして得られた本発明のアミジン誘導体を実際に施用する際には他成分を加えず純粋な形で使用できるし、また農薬として使用する目的で、一般の農薬の取り得る形態、例えば、水和剤や、粒剤、粉剤、乳剤、水溶剤、懸濁剤、乳濁剤、可溶化製剤、液剤等の形態で使用することもできる。
添加剤及び担体としては、固形剤を目的とする場合は、大豆殻粒や、小麦粉、くるみ殻粒等の植物性粉末、珪藻土や、石灰石、石こう、炭カル、タルク、べントナイト、パイロフィライト、クレイ等の鉱物性微粉末、硫酸塩、燐酸塩、尿素、芒硝、糖類、水溶性高分子粉体等の有機及び無機化合物が使用される。
【0057】
液体の剤型を目的とする場合は、ケロシンや、キレシン、ソルベントナフサ等の石油留分、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、アセトン、トリクロルエチレン、メチルイソブチルケトン、キシリルキシレン鉱物油、植物油、水等を溶剤として使用する。
これらの製剤において均一かつ安全な形態をとるためには、必要ならば界面活性剤や、その他補助剤を添加することが有用である。有効成分量は、それぞれ製剤に調製した場合、その質量に基づいて、一般的には、0.1〜90%、好ましくは0.5〜70%である。
このようにして得られた水和剤や、乳剤、懸濁剤、乳濁剤等は、水で所定の濃度に希釈して、粉剤又は粒剤等は、そのまま一般的な散布する方法で使用される。
【0058】
このようにして得られる製剤は、そのままで又は水等で希釈して用いることができる。また、他の市販の殺虫剤や、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、除草剤、植物成長調節剤、共力剤、肥料、土壌改良剤、動物用飼料等と混合して、又は混合せずに同時に用いることによって、適用範囲を拡大し、省力化を図ることもできる。
【0059】
以下、本発明を実施例、製剤例及び試験例を参照しながら、更に詳しく説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例等によって何ら限定されるものではない。
まず、本発明のアミジン誘導体の調製について示す。
【0060】
実施例1
N−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−((トリフルオロメチル)スルホニル)−4−クロロベンゼンカルボキシイミダミド(化合物8)の製造
ジクロロメタン20mlにN−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−4−クロロベンゼンカルボキシイミダミド2.0g、ピリジン0.8gを溶解し、氷冷撹拌下、トリフルオロメタンスルホニルクロリド1.2gを滴下した。滴下終了後、室温に戻し一晩撹拌した。反応液に水を加え、ジクロロメタンで抽出し、希塩酸、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことによって目的物0.6gを得た。
1H−NMR(300MHz,DMSO−d6/TMS):σ(ppm)=11.37(s,1H),8.48(s,2H),7.93(s,1H),7.86(dd,2H),7.72(dd,2H)
m.p.(57−59℃)
【0061】
実施例2
N−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−((トリフルオロメチル)スルホニル)−4−クロロベンゼンカルボキシイミダミド(化合物9)の製造 (化合物8の異性体)
テトラヒドロフラン10mlに3,5−ビス−トリフルオロメチルアニリン0.8g、トリエチルアミン0.4gを溶解し、氷冷撹拌下、4−クロロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンズイミドイル クロリド1.0gを添加した。室温に戻した後、反応終了まで撹拌し、トリエチルアミン塩酸塩をろ別し残渣を濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことによって、目的物1.1gを得た。
1H−NMR(300MHz,DMSO-d6/TMS):σ(ppm)=12.03(s、1H)、8.29(s、2H)、8.02(s、1H)、7.80(dd、2H)、7.71(dd、2H)
m.p.(186−187℃)
実施例3(実施例2の別法)
N−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−((トリフルオロメチル)スルホニル)−4−クロロベンゼンカルボキシイミダミド(化合物9)の製造 (化合物8の異性体)
テトラヒドロフラン10mlにトリフルオロメタンスルホンアミド0.3g、トリエチルアミン0.6g、4−(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン0.1gを溶解し、室温撹拌下、4−クロロ−N−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズイミドイル クロリド1.0gを添加した。そのまま室温で反応終了まで撹拌し、トリエチルアミン塩酸塩をろ別し残渣を濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことによって、目的物0.5gを得た。
1H−NMR(300MHz,DMSO-d6/TMS):σ(ppm)=12.00(s、1H)、8.31(s、2H)、8.06(s、1H)、7.84(dd、2H)、7.73(dd、2H)
m.p.(186−187℃)
【0062】
実施例4
N−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−((トリフルオロメチル)スルホニル)−4−ヨードベンゼンカルボキシイミダミド(化合物18)の製造
テトラヒドロフラン20mlに3,5−ビス−トリフルオロメチルアニリン1.8g、トリエチルアミン1.5gを溶解し、氷冷撹拌下、4−ヨード−N−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンズイミドイル クロリド3.0gを添加した。室温に戻した後、反応終了まで撹拌し、トリエチルアミン塩酸塩をろ別し残渣を濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことによって、目的物1.6gを得た。
1H−NMR(300MHz,DMSO-d6/TMS):σ(ppm)=11.97(s、1H)、8.29(s、2H)、8.06(s、1H)、8.01(dd、2H)、7.60(dd、2H)
m.p.(219−220℃)
【0063】
実施例5
N−(2,6−ジメチル−4−(パーフルオロイソプロピル)フェニル)−N’−((トリフルオロメチル)スルホニル)−4−クロロベンゼンカルボキシイミダミド(化合物47)の製造
テトラヒドロフラン20mlに2,6−ジメチル−4−(パーフルオロイソプロピル)アニリン1.5g、トリエチルアミン0.7gを溶解し、氷冷撹拌下、4−クロロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンズイミドイル クロリド1.5gを添加した。室温に戻した後、反応終了まで撹拌し、トリエチルアミン塩酸塩をろ別し残渣を濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことによって、目的物1.0gを得た。
1H−NMR(300MHz,DMSO-d6/TMS):σ(ppm)=11.56(s、1H)、7.87−7.71(m、4H)、7.49(s、2H)、2.31(s、6H)
m.p.(191−192℃)
【0064】
実施例6
N−(4−クロロフェニル)−N’−((トリフルオロメチル)スルホニル)−3,5−ビス−トリフルオロメチルベンゼンカルボキシイミダミド(化合物11)の製造
テトラヒドロフラン20mlに4−クロロアニリン0.49g、トリエチルアミン0.48gを溶解し、氷冷撹拌下、3,5−ビス−トリフルオロメチル−N−(トリフルオロメチルスルホニル)ベンズイミドイル クロリド1.5gを添加した。室温に戻した後、反応終了まで撹拌し、トリエチルアミン塩酸塩をろ別し残渣を濃縮した。得られた粗成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことによって、目的物1.54gを得た。
1H−NMR(300MHz,DMSO-d6/TMS):σ(ppm)=11.94(s、1H)、8.55(s、2H)、8.46(s、1H)、7.68−7.57(m、4H)
m.p.(122−124℃)
【0065】
実施例1〜6、及びそれらと同様にして製造した一般式(I)で表される化合物の例を表に示す。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、表中に記載のn-はノルマル−を、iso-はイソ−を、tert−はターシャリー−の意味を表す。
【0066】
【化12】

(I)













【0067】
【表1】






















【0068】
【表2】



















【0069】
【表3】

【0070】
1H−NMRデータ
化合物番号7
1H−NMR(300MHz,CDCl3/TMS):σ(ppm)=8.06,8.14(ss、1H)、7.80−7.40(m、7H)
化合物番号14
1H−NMR(300MHz,DMSO-d6/TMS):σ(ppm)=11.41(s、1H)、8.38−8.00(m、6H)
化合物番号16
1H−NMR(300MHz,DMSO-d6/TMS):σ(ppm)=12.27(s、1H)、8.63(s、1H)、8.28(s、2H)、8.15−8.11(m、3H)
【0071】
化合物番号22
1H−NMR(300MHz,CDCl3/TMS):σ(ppm)=8.1(s、1H)、7.98−7.71(m、7H)
化合物番号33
1H−NMR(300MHz,DMSO-d6/TMS):σ(ppm)=11.85(s、1H)、8.31(s、2H)、8.04(s、1H)、7.75(dd、2H)、7.48(dd、2H)、2.56(s、3H)
化合物番号36
1H−NMR(300MHz,DMSO-d6/TMS):σ(ppm)=12.25(s、1H)、8.60(s、2H)、8.52(s、1H)、8.29(s、2H)、8.14(s、1H)
化合物番号59
1H−NMR(300MHz,DMSO-d6/TMS):σ(ppm)=8.48(s、1H)、8.28(d、1H)、7.93(d、1H)、7.80−7.70(m、4H)
【0072】
次に、本発明のアミジン誘導体の製剤例を示す。尚、部は質量部を表す。
製剤例1(水和剤)
ハンマーミルで平均粒径10μmに微粉砕した化合物56、50部、リグニンスルホン酸ナトリウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、合成含水珪酸10部及びクレー35部をよく混合した後、ジェットミルにより粉砕し各々の水和剤を得た。
製剤例2(乳剤)
化合物47、10部、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル9部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部、N-メチルピロリドン20部及びキシレン55部を均一に溶解して各々の乳剤を得た。
【0073】
製剤例3(粒剤)
ハンマーミルで平均粒径10μmに微粉砕した化合物48、5部にリグニンスルホン酸ナトリウム3部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、ベントナイト30部及びクレー61部を加え、リボンミキサーにより充分撹拌混合した後、これらの混合物に適量の水を加え、更に混練し、押し出し型造粒機(スクリーン孔:0.8mm)で造粒し、通風乾燥した後、整粒及び篩別して各々の粒剤を得る。
製剤例4(粉剤)
ハンマーミルで平均粒径8μmに微粉砕した化合物67、1部、合成含水珪酸5部、PAP 0.3部及びクレー93.7部を加え、ピンミルで撹拌混合して各々の粉剤を得た。
【0074】
製剤例5(フロアブル剤)
ハンマーミルで平均粒径8μmに微粉砕した化合物9、20部、ポリオキシエチレンスチレンスチレン化フェニルエーテルフォスフェートアンモニウム塩7部、シリコン消泡剤0.2部及び水22.8部を加え、ミキサーで撹拌し、分散液を得た。この分散液をビーズミルによって平均粒径1.5μmまで微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.5部及び防腐剤0.2部を含む水溶液40部を加え、更に、プロピレングロコール10部を加えて緩やかに撹拌混合して各々の10%フロアブル剤を得る。
【0075】
次に、本発明のアミジン誘導体が殺虫剤の有効成分として有用であることを試験例により示す。なお、本発明のアミジン誘導体は、表に記載の化合物番号で示し、比較対照に用いた化合物は、下記に示す化合物Aで示す。
【0076】
化合物A:特開昭56−26803号公報に記載の化合物番号58










【0077】
【化13】

【0078】
試験例1(ハスモンヨトウに対する殺虫試験)
製剤例2に準じて得られた化合物の各々の乳剤を、有効成分濃度が500ppmとなるように水で希釈した。得られた水希釈液を6〜7葉期の白菜葉に散布し風乾した後、タテ21cm×ヨコ13cm×深さ3cmのプラスチック容器に入れ、その中にハスモンヨトウ(Spodoptera litura)3令幼虫を10頭放飼した。蓋をして26℃の定温室内に静置し、48時間後における生死虫数を調査し死虫率を求めた。その結果を以下の表に示した。
【0079】
【表4】
















【0080】
【表5】

【0081】
試験例2(カンザワハダニに対する殺ダニ試験)
水を入れたスチロールカップ上に穴のあいたガラス円盤(直径12cm)を乗せて、細く切った綿を垂らした上にろ紙(直径11cm)を乗せて湿らせた。湿ったろ紙上に縦5cm×横2.5cmに切ったインゲン初生葉のリーフディスクを乗せ、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)雌成虫を10頭ずつ放飼した。26℃定温器内に1日静置した後、製剤例2に準じて得られた化合物の各々の乳剤を有効成分濃度が500ppmとなるように水で希釈した。得られた水希釈液をリーフディスクに散布し風乾して、26℃定温器内に戻した。散布24時間後における成虫の生死虫数を調査し、成虫死虫率を求めた。
更に、成虫の死虫率を調査後、リーフディスク上のハダニ成虫を小筆で取り除き、26℃定温器内に戻して静置した。散布7日後に未ふ化卵数・幼若虫の生死虫数を調査し、未ふ化卵率及びふ化幼虫死虫率を求めた。その結果を以下の表に示した。
【0082】
【表6】




【0083】
【表7】

【0084】
【表8】

【0085】
本発明のトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体は、上記試験例から分かるように、優れた殺虫効果、及び殺ダニ効果を有する。従って、本発明のアミジン誘導体を使用して、殺虫又は殺ダニ剤を製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I)、
【化1】

(I)
で示されるトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体。
(式中、
A及びBは、同一でも、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C3アルキルチオ基、C1〜C3ハロアルキルチオ基、C1〜C3アルキルスルフィニル基、C1〜C3ハロアルキルスルフィニル基、C1〜C3アルキルスルホニル基、C1〜C3ハロアルキルスルホニル基、ニトロ基、又はシアノ基を表し、
m及びnは、1〜5の任意の整数を表し、
但し、A又はBが複数存在する場合には、それらは同一でも、異なっていてもよい。)
【請求項2】
前記Aが、ハロゲン原子である請求項1に記載のアミジン誘導体。
【請求項3】
前記Bが、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基又はハロゲン原子である請求項1に記載のアミジン誘導体。
【請求項4】
次式(II)、
【化2】

(II)
(式中、Aは、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C3アルキルチオ基、C1〜C3ハロアルキルチオ基、C1〜C3アルキルスルフィニル基、C1〜C3ハロアルキルスルフィニル基、C1〜C3アルキルスルホニル基、C1〜C3ハロアルキルスルホニル基、ニトロ基、又はシアノ基を表し、mは、1〜5の任意の整数を表し、Aが、複数存在する場合には、それらは同一でも、異なっていてもよい。)
で表される化合物と、
次式(III)、
【化3】

(III)
(式中、Bは、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C3アルキルチオ基、C1〜C3ハロアルキルチオ基、C1〜C3アルキルスルフィニル基、C1〜C3ハロアルキルスルフィニル基、C1〜C3アルキルスルホニル基、C1〜C3ハロアルキルスルホニル基、ニトロ基、又はシアノ基を表し、nは、1〜5の任意の整数を表し、Bが複数存在する場合には、それらは同一でも、異なっていてもよい。)
で表される化合物と,
を塩基の存在下で反応させることを特徴とする,請求項1に記載のトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体の製造方法。
【請求項5】
次式(IV)、
【化4】

(IV)
(式中、
A及びBは、同一でも、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C3アルキルチオ基、C1〜C3ハロアルキルチオ基、C1〜C3アルキルスルフィニル基、C1〜C3ハロアルキルスルフィニル基、C1〜C3アルキルスルホニル基、C1〜C3ハロアルキルスルホニル基、ニトロ基、又はシアノ基を表し、
m及びnは、1〜5の任意の整数を表し、
A又はBが、複数存在する場合には、それらは同一でも、異なっていてもよい。)
で表される化合物と、
次式(V)、
【化5】

(V)
(Xは、脱離基を表す。)
で表される化合物と、
を塩基の存在下で反応させることを特徴とする、請求項1に記載のトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体の製造方法。
【請求項6】
次式(VI)、
【化6】

(VI)
(式中、
A及びBは、同一でも、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C3アルキルチオ基、C1〜C3ハロアルキルチオ基、C1〜C3アルキルスルフィニル基、C1〜C3ハロアルキルスルフィニル基、C1〜C3アルキルスルホニル基、C1〜C3ハロアルキルスルホニル基、ニトロ基、又はシアノ基を表し、
m及びnは、1〜5の任意の整数を表し、
A又はBが、複数存在する場合には、それらは同一でも、異なっていてもよい。)
で表される化合物と、
次式(VII)、

(VII)
で表される化合物と、
を塩基の存在下で反応させることを特徴とする、請求項1に記載のトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載のトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体を有効成分として含有することを特徴とする殺虫剤又は殺ダニ剤。
【請求項8】
請求項2に記載のトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体を有効成分として含有することを特徴とする殺虫剤又は殺ダニ剤。
【請求項9】
請求項3に記載のトリフルオロメチルスルホニルアミジン誘導体を有効成分として含有することを特徴とする殺虫剤又は殺ダニ剤。

【公開番号】特開2006−117565(P2006−117565A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305808(P2004−305808)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000101123)アグロカネショウ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】