説明

有害節足動物の防除方法、組成物、及び静電噴霧装置

【課題】広範な種類の有害節足動物を防除対象とする組成物を用いた有害節足動物の防除
方法であり、組成物の散布のために熱、加圧(例えば、ガス圧もしくは機械圧)、または
煙霧を必要とせず、効果的に防除処理を行うことができる有害節足動物の防除方法を提供
することを目的とする。
【解決手段】静電噴霧装置を用いて、式(1)で示されるエステル化合物を含有する組成
物を、有害節足動物又は有害節足動物の生息場所に噴霧することを特徴とする。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛翔昆虫を含む有害節足動物の防除方法、組成物、及び静電噴霧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記に示す式(1)で表されるエステル化合物は、いわゆる害虫の防除に有効であることが知られており、特許文献1に開示されている。以下、本明細書において防除対象である昆虫類等を「有害節足動物」と総称することがある。また、本明細書において、「有害節足動物の防除」とは、忌避、誘引、ノックダウンまたは殺滅による有害節足動物の挙動変更を意味する。「防除に有効」とは、対象となる有害節足動物の挙動を変更させることができる量のエステル化合物を供給することを意味する。
【0003】
【化1】

【0004】
一方、液体の環状噴流散布によるエレクトロスプレーは、当技術分野で公知である(例えば特許文献2、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6908945号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1399265号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Proceedings of the Royal Society - 1964, p383-397
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上式(1)で示されるエステル化合物は常温で固体であるため、効率的に噴霧することが困難であった。それゆえ、効率的に噴霧して有害節足動物の防除を行う方法や、効率的に噴霧することが可能な組成物が求められている。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、散布のために熱、加圧(例えば、ガス圧もしくは機械圧)、または煙霧を必要とせず、効果的に防除処理を行うことが可能な有害節足動物の防除方法を提供することを目的とする。また、広範な種類の有害節足動物を防除処理することが可能な組成物であって、例えば静電噴霧に適した組成物を提供することをあわせて目的とする。さらに、散布のために熱、加圧(例えば、ガス圧もしくは機械圧)、または煙霧を必要とせず、簡便に本発明の組成物を噴霧することができ、効果的に有害節足動物の防除処理を行うことを可能とする静電噴霧装置を提供することをあわせて目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決する手段として、本発明は、以下の発明群を包含する。
(1)式(1)で示されるエステル化合物を含有する組成物を、有害節足動物又は有害節足動物の生息場所に静電噴霧する工程を含む有害節足動物の防除方法。
【0010】
【化2】

【0011】
(2)前記組成物は、電気抵抗値が20℃で1×10Ωm以上1×10Ωm以下、且つ粘度が20℃で1mPa・s以上10mPa・s以下、且つ表面張力が20℃で20mN/m以上40mN/m以下である(1)に記載の有害節足動物の防除方法。
【0012】
(3)前記静電噴霧する工程は、前記組成物が供給されるスプレー電極と、前記スプレー電極の近傍に配置された放電電極と、を有する静電噴霧装置を用いて行われる工程であって、
前記スプレー電極に前記組成物を供給するとともに、前記スプレー電極と前記放電電極との間に電界を印加することで、前記組成物を前記スプレー電極から前記有害節足動物又は前記生息場所に噴霧する工程である(1)または(2)に記載の有害節足動物の防除方法。
【0013】
(4)前記組成物は、式(2a)
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、X1は酸素原子またはC〜Cアルキルイミノ基を表し、X2はメチレン基、酸素原子またはC〜Cアルキルイミノ基を表し、R1は水素原子またはメチル基を表す)
で示される第1の環状化合物、及び、式(2b)
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、R2は水素原子またはメチル基を表す。)
で示される第2の環状化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの環状化合物を含有するものである(1)〜(3)のいずれかに記載の有害節足動物の防除方法。
【0018】
(5)前記環状化合物がγ−ブチロラクトンである(4)に記載の有害節足動物の防除方法。
【0019】
(6)式(1)で示されるエステル化合物を含有し、その電気抵抗値が20℃で1×10Ωm以上1×10Ωm以下、且つ粘度が20℃で1mPa・s以上10mPa・s以下、且つ表面張力が20℃で20mN/m以上40mN/m以下である組成物。
【0020】
【化5】

【0021】
(7)式(2a)
【0022】
【化6】

【0023】
(式中、X1は酸素原子またはC〜Cアルキルイミノ基を表し、X2はメチレン基、酸素原子またはC〜Cアルキルイミノ基を表し、R1は水素原子またはメチル基を表す)
で示される第1の環状化合物、及び、式(2b)
【0024】
【化7】

【0025】
(式中、R2は水素原子またはメチル基を表す。)
で示される第2の環状化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの環状化合物を含有する(6)に記載の組成物。
【0026】
(8)前記環状化合物がγ−ブチロラクトンである(7)に記載の組成物。
【0027】
(9)静電噴霧によって有害節足動物を防除するためのものである(6)〜(8)のいずれかに記載の組成物。
【0028】
(10)前記(6)〜(9)のいずれか1項に記載の組成物が保持された貯液槽と、前記組成物が前記貯液槽から供給されるスプレー電極と、前記スプレー電極近傍に配置された放電電極と、を備え、前記スプレー電極と前記放電電極との間に電界を印加することで、前記組成物を液滴として前記スプレー電極から噴霧するものである静電噴霧装置。
【発明の効果】
【0029】
本発明の防除方法によれば、散布のために熱、加圧(例えば、ガス圧もしくは機械圧)、または煙霧を必要とせず、効果的に防除処理を行うことができる。また、本発明の組成物によれば、広範な種類の有害節足動物を防除処理することができる。さらに、本発明の静電噴霧装置によれば、散布のために熱、加圧(例えば、ガス圧もしくは機械圧)、または煙霧を必要とせず、簡便に組成物を噴霧することができ、効果的に有害節足動物の防除処理を行うことが可能となる。また、本発明の組成物の使用によれば、散布のために熱、加圧(例えば、ガス圧もしくは機械圧)、または煙霧を必要とせず、効果的に防除処理を行うことができる。
【0030】
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明によって明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態の組成物の噴霧に用いられる静電噴霧装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態を示しながら説明する。なお、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中の一部として援用される。本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きく)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
【0033】
本実施形態に係る組成物は、後述するように本実施形態の有害節足動物の防除方法に好適に用いられるものであり、(i)式(1)で示されるエステル化合物、(ii)式(2)で示される環状化合物、(iii)分散媒を含んでいる。これらのうち、(ii)環状化合物は、組成物の中に含まないこととしてもよい。また、(iii)分散媒として選択可能な物質の中には、組成物の物性、特に、電気抵抗値、粘度および表面張力を調節するための物性調整機能を有する分散媒(以下、物性調整成分と記すことがある。)を含んでいても構わない。
【0034】
(エステル化合物)
本実施形態の組成物は、式(1)のエステル化合物を含む。エステル化合物は、有害節足動物に対する優れた防除効力を有する化合物である。
【0035】
【化8】

【0036】
式(1)のエステル化合物(以下、本エステル化合物と記す。)は、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2−2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである。本エステル化合物は、例えば特開2004−2363号公報、米国特許第6908945号明細書等に記載の方法により製造することができる。
【0037】
本エステル化合物には、シクロプロパン環上に存在する2つの不斉炭素原子に由来する異性体(R体、S体およびシス体、トランス体)、及びシクロプロパン環に置換している置換基の二重結合に由来する異性体(E体、Z体)が存在するが、本発明では活性な異性体を任意の比率で含有するものを使用することができる。異性体の比率は、例えば本エステル化合物を製造する際に用いる反応の立体選択性によって定まる値である。また、各異性体を任意の比率で混合して使用することとしても良い。
【0038】
本エステル化合物の形態としては、例えば、
[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−シス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−トランス−3−((E)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート等が挙げられる。
【0039】
なお、式(1)のエステル化合物において、シクロプロパン環におけるカルボキシル基が結合する炭素が1位、炭素−炭素二重結合を有する置換基が結合する炭素が3位である。
【0040】
このようなエステル化合物は、組成物中に約0.1質量%〜10質量%、例えば0.6質量%〜8質量%(例えば1.0質量%〜6質量%)の割合で存在する。
【0041】
(環状化合物)
本実施形態の組成物は、式(2a)で示される第1の環状化合物、又は、式(2b)で示される第2の環状化合物のいずれか一方または両方を含むことができる。
【0042】
【化9】

【0043】
(式中、X1は酸素原子またはC〜Cアルキルイミノ基を表し、X2はメチレン基、酸素原子またはC〜Cアルキルイミノ基を表し、R1は水素原子またはメチル基を表す。)
【0044】
【化10】

【0045】
(式中、R2は水素原子またはメチル基を表す。)
ここで、式(2a)においてX及びXで示される「C〜Cアルキルイミノ基」としては、例えばメチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基、ペンチルイミノ基、ヘキシルイミノ基、ヘプチルイミノ基及びオクチルイミノ基が挙げられる。
【0046】
以上のような式(2a)で示される第1の環状化合物、又は式(2b)で示される第2の環状化合物(以下、本環状化合物と記す)は、例えば市販されている化合物を使用することができる。
【0047】
なお、式(2a)で示される本環状化合物としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
【0048】
式(2a)において、Xが酸素原子であり、Xがメチレン基である化合物;
式(2a)において、Xが酸素原子であり、Xが酸素原子である化合物;
式(2a)において、Xが酸素原子であり、XがC〜Cアルキルイミノ基である化合物;
式(2a)において、XがC〜Cアルキルイミノ基であり、Xがメチレン基である化合物;
式(2a)において、XがC〜Cアルキルイミノ基であり、Xが酸素原子である化合物;
式(2a)において、XがC〜Cアルキルイミノ基であり、XがC〜Cアルキルイミノ基である化合物;
式(2a)において、Xが酸素原子であり、Xがメチレン基又はC〜Cアルキルイミノ基である化合物;
式(2a)において、XがC〜Cアルキルイミノ基であり、Xが酸素原子又はC〜Cアルキルイミノ基である化合物;
(i)γ−ブチロラクトン(式(2a)において、Xが酸素原子であり、Xがメチレン基であり、Rが水素原子である化合物。);
(ii)N−メチル−2−ピロリドン(式(2a)において、Xがメチルイミノ基であり、Xがメチレン基であり、Rが水素原子である化合物。);
(iii)N−エチル−2−ピロリドン(式(2a)において、Xがエチルイミノ基であり、Xがメチレン基であり、Rが水素原子である化合物。);
(iv)N−オクチル−2−ピロリドン(式(2a)において、Xがオクチルイミノ基であり、Xがメチレン基であり、Rが水素原子である化合物);
(v)1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(式(2a)において、Xがメチルイミノ基であり、Xがメチルイミノ基であり、Rが水素原子である化合物。);
(vi)炭酸プロピレン(式(2a)において、Xが酸素原子であり、Xが酸素原子であり、Rがメチル基である化合物。);
(vii)炭酸エチレン(式(2a)において、Xが酸素原子であり、Xが酸素原子であり、Rが水素原子である化合物。)。
【0049】
このような式(2a)で表される化合物のうち特に適切なものは、γ-ブチロラクトンである。
【0050】
また、式(2b)で示される本環状化合物としては、例えば、スルホラン(式(2b)において、Rが水素原子である化合物。)が挙げられる。
【0051】
本発明の組成物に含有される本環状化合物は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
【0052】
本発明において、本エステル化合物と本環状化合物との含有割合は重量比で通常4:1〜1:300であり、好ましくは3:1〜1:200であり、さらに好ましくは1:1〜1:100である。
【0053】
このような式(2a)または(2b)で表される環状化合物は、組成物中に約0.4質量%〜40質量%、例えば3質量%〜35質量%、さらには6質量%〜30質量%の割合で存在させることができる。
【0054】
(分散媒)
本実施形態の組成物は、式(1)のエステル化合物を溶解または分散させる分散媒を含む。分散媒は、溶媒または溶媒混合物、例えば、有機溶媒または有機溶媒混合物である。溶媒は、極性または非極性でもよいが、通常は極性溶媒が好適に用いられる。
【0055】
本実施形態においては、組成物を効果的に散布するために、後述するように小液滴の安定なスプレーを静電噴霧装置で発生させる。そのため組成物は、次のような性質を具備していることが望まれる。組成物が具備すべき性質としては、第1に式(1)の化合物が組成物中に均一に分散または溶解していること、第2に組成物が、適当な電気抵抗値、粘度および表面張力を有することを特徴とすること、ならびに第3に分散媒の毒性が低いこと(低リスク指定)、が挙げられる。
【0056】
組成物の分散媒は、適切には、1分子中に水酸基を1個以上有するポリオール、たとえば、エチルアルコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等、およびグリコールエーテル、例えばグリコールメチルエーテルなどのポリオールエーテルを含むものが挙げられる。特に適切なポリオールエーテルは、ジプロピレングリコールメチルエーテル(または(2−メトキシメチルオキシ)プロパノール)である。他の特に適切なポリオールエーテルには、プロピレングリコールメチルエーテル(または1−メトキシ−2−プロパノール)、およびトリプロピレングリコールメチルエーテル(または2−(2−メトキシメチルエトキシ)メチルエトキシ)プロパノール)が挙げられる。
【0057】
更なる分散媒には、1−メトキシ−2−プロパノール酢酸エステル、1−ブトキシ−2−プロパノール)および1−プロポキシ−2−アセトキシプロパン、ならびにオキシビス(メトキシ)プロパンが挙げられる。また、他の分散媒としてはエタノールが挙げられる。
【0058】
このような分散媒は、組成物中に好ましくは少なくとも25質量%、特に好ましくは少なくとも30質量%、非常に特に好ましくは少なくとも31質量%の割合で存在する。更なる好ましい実施形態では、分散媒は、組成物中に多くとも99%、好ましくは多くとも95%、最も好ましくは多くとも89.67質量%の割合で存在する。
【0059】
本実施形態の組成物に用いる分散媒は、物性調整成分である場合がある。当該分散媒の複数を適宜組み合わせて用いることによって、本実施形態の組成物の物性を調整することができる。
【0060】
物性調整成分としては、エステル系溶剤、石油系(パラフィン系、芳香族系、ナフテン系)溶剤、(たとえばIsopar L(登録商標))、シリコーン油(例えば、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンおよびそれらの混合物)、ポリエチレングリコール、水(例えば、HPLC(High performance liquid chromatography)用の水)、ならびに電解質の希釈水溶液(例えば、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、アスコルビン酸、クエン酸および酢酸の希釈溶液)が挙げられる。
【0061】
例えば、Isopar Lなどのイソパラフィンを添加することにより、組成物の表面張力を下げることができる場合がある。なお、該組成物には、例えば、イソパラフィンを0質量%〜9.99質量%含み得る。
【0062】
また、平均分子量400Da超、例えば500Da〜700Daのポリエチレングリコールなどの比較的高い平均分子量のポリエチレングリコールの添加により、組成物の粘度を調節することができる場合がある。
【0063】
さらに、電解質を添加することにより、組成物の電気抵抗値を調節することが可能である。適切な電解質は当技術分野で公知であり、たとえば、酢酸ナトリウムの希釈溶液(例えば、0.4質量%酢酸ナトリウム溶液)を含む、アルカン酸塩の希釈水溶液が挙げられる。
【0064】
さらに、電気抵抗値に影響し得る分散媒としては、界面活性剤(非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤)があげられる。
【0065】
本発明の組成物の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステルとしてステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン等が挙げられ、グリセリン脂肪酸エステルとしてステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル等が挙げられ、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしてポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル等が挙げられ、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしてヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられ、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしてはテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等が挙げられ、その他としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルフェノールポリグリコールエーテル等が挙げられる。
【0066】
両性界面活性剤としては、ベタインとしてラウリルベタイン、ステアリルベタイン等が挙げられ、イミダゾリン誘導体としてはジ-ナトリウムN-ラウリル−p−イミノジプロピオネート等が挙げられ、その他としてレシチン等が挙げられる。
【0067】
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩としてラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられ、アルキルベンゼンスルホン酸塩としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられ、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩としてはジポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ジポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0068】
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩として、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0069】
さらに、電気抵抗値に影響し得る分散媒として、上述したものとは異なる他の四級アミンの塩、防腐剤、クロルヘキシジンジグルコネートを含むクロルヘキシジンの塩、および本明細書に開示したものを含む他の空気清浄化薬剤等も混合することができる。
【0070】
組成物の物性測定の方法には特に限定がなく、公知の方法を用いることができる。まず、組成物の電気抵抗値は、液体抵抗セルを用いて比抵抗計で測定することができる。測定値は、MΩ・m単位の値として得られる。
【0071】
また、組成物の表面張力は、例えばDu Nouy法(リング法)を用いて測定することができる。測定値は、mN/m単位の値として得られる。
【0072】
さらに、組成物の粘度は、粘度計を用いて測定することができる。測定値は、mPa・s単位の値として得られる。粘度計は、例えば「JIS Z8803液体の粘度-測定方法」に準拠したものを用いることができる。
【0073】
そして、スプレー後における組成物の液滴の直径は、空間粒度分布測定装置を用いて測定することができる。測定値は、μm単位の値として得られる。
【0074】
もちろん、各物性は他の方法を用いて測定することとしても良い。
【0075】
組成物の電気抵抗値は、適切には20℃で1×10Ωm〜1×10Ωmの範囲にあるように調製することができる。また、組成物の粘度は、適切には20℃で1mPa・s〜10mPa・sの範囲にあるように調製することができる。さらに、組成物の表面張力は、適切には20℃で20mN/m〜40mN/mの範囲にあるように調製することができる。各物性の値を上述の範囲に設定することで、効率的に静電噴霧することができる。例えば、後述する静電噴霧装置を用いて組成物を良好に噴霧することができる。
【0076】
本発明において使用される組成物には、さらに、香料又は空気清浄化薬剤を加えることができる。
【0077】
前記香料としては、エッセンシャルオイル及びその他のフレグランスオイルが例示できる。そして、前記香料としては、これらオイルに含まれる全ての画分(成分油)のうちの一部のみを使用しても良い。
【0078】
前記香料の好ましいものとして、より具体的には、コバノブラッシノキ(Melaleuca)のオイル、テルピネン−4−オール型等のティーツリーオイル;ネペタカテリア(Nepeta cateria)、ネペタカテリアの精製油等のイヌハッカオイル;ネペタラクトンを含む画分等のイヌハッカオイルの画分;タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)のオイル等のタイムオイル;チモールを含む画分等のタイムオイルの画分等を含むものが例示できる。
【0079】
また、フレグランスオイル等の香料は、例えば、骨格の鎖長が異なる複数種の化合物を含む混合物や、複数種の立体異性体を含む混合物であることが多いが、このような混合物を使用してもよい。
【0080】
上記の中でも、前記香料としては、ティーツリーオイル、イヌハッカオイル及びタイムオイルからなる群から選択される1種以上のオイルの成分油が好ましい。
【0081】
本発明の組成物がフレグランスオイルを含有する場合、該組成物におけるフレグランスオイルの含有量は、5質量%〜35質量%であることが好ましい。
【0082】
また、フレグランスオイルとしては、20℃で270Pa以下の蒸気圧を有するものが好適である。
【0083】
前記空気清浄化薬剤としては、活性空気クリーナー成分、活性空気フレッシュナー成分、活性抗菌成分、活性抗真菌成分、活性抗アレルギー成分が例示でき、好ましいものとしてより具体的には、ポリヘキサメチレンビガウアニドポリマー、ポリヘキサメチルグアニドポリマー、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、オクチルデシルジメチルアンモニウム塩化物、クロルヘキシジン、ジグルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、次亜塩素酸ナトリウム、2−フェニルフェノール、ポリエチレングリコール300、2−ベンジル−4−クロロフェノール、2−フェノキシエタノール、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロロキシレノール、トリクロロフェノール、フェノール、銀塩(特に、水溶性銀塩)、ヘキサクロロフェン、過酢酸、乳酸、過ギ酸、過マンガン酸カリウム、ペルオキシモノ硫酸カリウム、n−アルキルジメチルベンジル塩化アンモニウム、n−アルキルジメチルエチルベンジル塩化アンモニウム、アルキルジメチル 1−ナフチルメチル塩化アンモニウム、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、イソプロパノール、オルソベンジルパラクロロフェノール、オルソフェニルフェノール、パラ-tert-アミルフェノール、SDSが例示できる。
【0084】
本発明の組成物が空気清浄化薬剤を含有する場合、該組成物における空気清浄化薬剤の含有量は、0.05質量%〜20質量%であることが好ましく、0.1質量%〜17質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜15質量%であることが特に好ましい。
【0085】
前記活性抗菌成分としては、トリクロサン、トリクロロカルバニリド、イソプロピルメチルフェノール、N−(ジクロロフルオロメチルチオ)−フタルアミド、N’−(ジクロロフルオロメチルチオ)N,N’−ジメチル−N’−フェニル−スルファミド、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、チアベンタゾール、二酸化塩素、2−ブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1 ,3− ジオール、2 ブロモ−2−ニトロプロパノール、1−ブロモ−1−ニトロプロパノール、1,4−ジブロモ−1,4−ジニトロブタンジオール−2,3−セチルピリジニウム、1−ブロモ−1−ニトロ−2−メチルプロパノール−2−セチルピリジニウムおよび塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、アクリノール、ポビドンヨード、マーキュロクロム、クロラムフェニコール、硫酸フラジオマイシン、硫酸ゲンタマイシン、塩酸オキシテトラサイクリン、硫酸ポリミキシンB、トリコマイシン、グリセオフルビンをさらに挙げることができる。
【0086】
前記活性抗真菌成分としては、安息香酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、パラオキシ安息香酸エステル類、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸、ポリリジン、チアペンダゾール;リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、α−ターピネオール、ターピネン−4−オール、イソプレゴール等のテルペン系アルコール;2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、4−イソプロピルシクロヘキサンメタノール、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)−エタノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール等の炭素数7〜15の脂環式アルコール;ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、カルバクロール、オイゲノール等の炭素数7〜15のアリールアルキルアルコール又はアルキルアリールアルコールをさらに挙げることができる。
【0087】
前記活性抗アレルギー成分としては、ハイドロキシアパタイト、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、没食子酸および没食子酸と炭素数1から4までのアルコールとのエステル化合物をさらに挙げることができる。
【0088】
消臭等のための活性空気クリーナー成分としては、タンニン、フラボノイド(カルコン、フラバノン、フラバノール、フラボン、フラボノール、イソフラボン)等のポリフェノール、シクロデキストリン、メタクリル酸ラウリル、ゲラニルクロリネート、4−ヒドロキシ−6−メチル−3−(4−メチルペンタノイル)−2−ピロン、ホルマリン、グリオキサール、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ジヒドロキシ−アセトン、3,5,5−トリメチルヘキサノール、β−エトキシプロピオンアルデヒド、グルタロアルデヒド、メタアクリル酸エステル、マレイン酸エステル、マレイン酸モノアミド、マレイン酸イミド、フマル酸エステル、β−アシルアクリル酸およびその塩、セネシオン酸シトロネリル、1,3−ペンタジエン−1−カルボン酸アルキルエステル、ピナンハイドロパーオキサイド、p−サイメンパーオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、グリシジルエーテル、オクタアセチルサッカロース、Fe(III)−オクタカルボキシフタロシアニン、Fe(III)−テトラカルボキシフタロシアニン、5−メチル−2−イソプロピル−2−ヘキセナール、p−ブトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−メチルカテコール、1,2,4−トリハイドロキシベンゼン、3−メチルカテコール、3−メトキシカテコール、カルノソール、ロズマノール、ブラジリン、ヘマトキシリン、シコニン、ミリセチン、バイカレイン、バイカリン、シトラール、バニリン、クマリンをさらに挙げることができる。
【0089】
前記組成物の性質に影響を与えない範囲内で、その他の成分を含んでいてもよい。例えば、Uvitex-OBのような光学的トレーサーを、50質量%を上限として使用できる。1又はそれ以上の活性成分を使用してもよく、1又はそれ以上の活性成分として、例えば、ピレスリン、ピレスロイド、有機リン系化合物等の殺虫成分、共力剤、誘引剤、忌避薬を含んでいてもよい。これらの成分は、0.01〜30質量%で包含させ得る。
【0090】
前記組成物は、1種の活性成分又は1クラス(例えば、殺虫化合物のクラス、例えば、ピレスリン及びピレスロイドは組み合わせて使用可能である)由来あるいは複数のクラス(例えば、殺虫化合物とフレグランス成分)の混合物由来の活性成分の混合物を含めることもできる。ある物質は、それ自体が化合物の混合体であり得る。例えば、フレグランスオイルは、種々の鎖長の混合物であり、殺虫化合物は、立体異性体の混合物であり得る。
【0091】
本実施形態に係る組成物としては、以下のような組成物を例示できる。
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
【表3】

【0095】
その他の実施形態に係る組成物としては、以下の組成物を例示できる。
【0096】
また、本実施形態の組成物が、上述したその他の含有成分を含む場合は、次のような組成比で構成される。
【0097】
まず、その他の含有成分として香料成分である香油を含む場合、本実施形態に係る組成物は、下表4に示す組成比で構成される。
【0098】
【表4】

【0099】
また、その他の含有成分として消毒用化合物(例えば、空気清浄化薬剤など)を含む場合、本実施形態に係る組成物は、下表5に示す組成比で構成される。
【0100】
【表5】

【0101】
(有害節足動物)
本実施形態の組成物を用いて防除される対象としては、昆虫およびダニ類等の節足動物が挙げられ、特に有害な昆虫および有害なダニ類等の有害な節足動物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
【0102】
鱗翅目:ニカメイガ、コブノメイガ、ノシメマダラメイガ、スジコナマダラメイガ等のメイガ類、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ等のヨトウ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、コカクモンハマキ等のハマキガ類、シンクイガ類、ハモグリガ類、ドクガ類、ウワバ類、カブラヤガ、タマナヤガ等のアグロティス属(Agrotis spp.)、ヘリコベルパ属(Helicoverpa spp.)ヘリオティス属(Heliothis spp.)、コナガ、イチモンジセセリ、イガ、コイガ等。
【0103】
双翅目:アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ハモグリバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類等。
【0104】
網翅目:チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等。
【0105】
膜翅目:クロオオアリ、トビイロシワアリ、トビイロケアリ、オオハリアリ、ヒメアリ、クロクサアリ、イエヒメアリ、クロヤマアリ、ルリアリ、アミメアリ、オオズアリ、アルゼンチンアリ等のアリ類、フタモンアシナガバチ、トガリフタモンアシナガバチ、セグロアシナガバチ、キアシナガバチ、キボシアシナガバチ、コアシナガバチ、ヤマトアシナガバチ等のアシナガバチ類、オオスズメバチ、キイロスズメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチ、ヒメスズメバチ、クロスズメバチ、シダクロスズメバチ、キオビホオナガスズメバチ等のスズメバチ類、アリガタバチ類、ニホンカブラバチ等のハバチ類等。
【0106】
隠翅目:イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ等。
【0107】
シラミ目:ヒトジラミ、ケジラミ、アタマジラミ、コロモジラミ等。
【0108】
チャタテムシ目:チャタテムシ類。
【0109】
等翅目:ヤマトシロアリ、イエシロアリ、イースタンサブテラニアンターマイト、ウエスタンサブテラニアンターマイト、ダークサザンサブテラニアンターマイト、アリッドランドサブテラニアンターマイト、デザートサブテラニアンターマイト(等のサブテラニアンターマイト類、アメリカカンザイシロアリ等のドライウッドターマイト類、ネバダダンプウッドターマイト等のダンプウッドターマイト類等。
【0110】
半翅目:ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アブラムシ類、アオクサカメムシ、ホソヘリカメムシ、オオトゲシラホシカメムシ、トゲシラホシカメムシ、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、アカスジカスミカメ、アカヒゲホソミドリカスミカメ等のカメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、トコジラミ等のトコジラミ類、グンバイムシ類、キジラミ類等。
【0111】
鞘翅目:ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウムシ、イネミズゾウムシ、ワタミゾウムシ、アズキゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属(Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、ヒョウホンムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ等。
【0112】
総翅目:ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ハナアザミウマ等。
【0113】
直翅目:ケラ類、バッタ類、コオロギ類等。
【0114】
ダニ類:コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類、チリニクダニ、イエニクダニ、サナアシニクダニ等のニクダニ類、クワガタツメダニ、フトツメダニ、ミナミツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等のハダニ類、タカラダニ類、フタトゲチマダニ等のマダニ類、トリサシダニ、ワクモ等のワクモ類等。
【0115】
ゲジ類、トビズムカデ等のムカデ類;ヤケヤスデ、アカヤスデ等のヤスデ類;オカダンゴムシ等のダンゴムシ類、ワラジムシ類;チャコウラナメクジ、キイロコウラナメクジ等の腹足綱類;ジョロウグモ、カバキコマチグモ、セアカゴケグモ等のクモ類等。
【0116】
(防除方法、静電噴霧装置)
上述の組成物を用いた有害節足動物の防除処理方法は、上述の組成物を、処理対象である有害節足動物または有害節足動物の生息場所に静電噴霧することによって行う。
【0117】
「有害節足動物の生息場所」とは、有害節足動物が実際に生息する領域のみならず、少なくとも有害節足動物が通過または移動する領域、および生息や通過等が予測される領域のほか、有害節足動物の接近を忌避したい領域等を意図する。
【0118】
また、前記組成物の電気抵抗値が20℃で1×10Ωm以上1×10Ωm以下、且つ粘度が20℃で1mPa・s以上10mPa・s以下、且つ表面張力が20℃で20mN/m以上40mN/m以下であることが望ましい。
【0119】
また、前記静電噴霧は、静電噴霧装置を用いて行うことができる。すなわち、前記静電噴霧する工程は、前記組成物が供給されるスプレー電極と、前記スプレー電極の近傍に配置された放電電極と、を有する静電噴霧装置を用いて行われる工程であって、前記スプレー電極に前記組成物を供給するとともに、前記スプレー電極と前記放電電極との間に電界を印加することで、前記組成物を前記スプレー電極から前記有害節足動物又は前記生息場所に噴霧する工程であることが望ましい。
【0120】
静電噴霧装置は、スプレー電極(液体をその中に供給し、荷電させる)と近傍のいずれかにある参照電極との間に電位差を印加することにより、電場を用いて、コーンジェット状態での液体を微細化させる。この種のスプレー法は、Geoffrey Taylor卿によりProceedings of the Royal Society, 1964, p383-397にて公開されているように、当技術分野で周知である。
【0121】
適切な静電噴霧装置の一例は、欧州特許公開第1399265号(国際公開公報WO03/000431)に記載されており、図1を参照することにより例示される。
【0122】
図に示す静電噴霧装置では、筒状のスプレー電極1は、静電噴霧装置の本体側面(スプレー排出表面5)に設けられたスプレー窪み2の内部に収容されており、スプレー電極1と対を成す放電極電3は、同様に静電噴霧装置の本体側面(スプレー排出表面5)に設けられた放電窪み4の内部に収容されている。スプレー電極1からは、帯電した組成物が噴霧され、組成物の霧状粒子を形成する。放電電極3では、帯電した組成物の霧状粒子とは逆の電圧が印加され、噴霧された霧状粒子を引き寄せることで、霧状粒子の流動方向を偏向する。例えば、スプレー電極1は、27ゲージ金属または導電性プラスチックキャピラリーを備え、放電電極3は、直径0.6mmのステンレス鋼先鋭ピンを備える。
【0123】
スプレー窪み2および放電窪み4は、誘電材料から製造されているスプレー排出表面5において鉛直方向(重力方向)に配列している。ここでは、その材料はポリプロピレンであり、スプレー排出表面5が平坦である。しかし、筒状のスプレー電極1から噴出された組成物を偏向させるのに十分な電荷保持がスプレー排出表面5で行なわれ、電荷が装置および電極から運び去られる限り、他の材料および湾曲表面も使用することができる。
【0124】
スプレー電極1および放電電極3は、シーズ金属管6,7を介して駆動回路10(バッテリーによって電力を供給される)と電気的に接続されており、一方の電極を正極、他方を負極(例えばスプレー電極1を正極、放電電極3を負極)に印加することができる。
【0125】
噴霧する組成物は、貯液槽8中に保持されており、不図示のポンプおよび配管を介してスプレー電極1に供給される。また貯液槽8は、組成物の供給にともなって内部が負圧にならないように、空気導入小孔9を介して外部と接続されている。
【0126】
このような静電噴霧装置によれば、まず貯留槽8から筒状のスプレー電極1内に組成物が供給され、スプレー電極1において組成物に高電圧が印加される。上述のように組成物は、所定範囲の電気抵抗を有しているために帯電し、静電気力でスプレー電極1の先端から噴射される。噴射された組成物は、スプレー電極1に印加された電荷に帯電しているため、クーロン力により反発し、微細化しながら空間に噴霧される。このとき、上述のように組成物は、所定範囲の粘度と所定範囲の表面張力とを有しているため、良好に噴射され微細化する。
【0127】
例えば、電池の挿入または内蔵電子タイマーの作用によって、駆動回路10によりこの装置に通電すると、貯液槽8の液体は、その蒸気圧および装置近傍の周囲条件に従って素早く蒸発するように、非常に微細な形態でスプレー電極1から吐出される。吐出量は、対象とする有害節足動物に対するエステル化合物の有効量によって定めることができる。
【0128】
静電噴霧装置は、本発明による組成物を時折(例えば、一定の負荷サイクルにて)または連続的に供給するように適合させ得る。供与速度は、例えば、1日当たり組成物最大5g(例えば最大3g)でもよいが、このようなレベルに制限されない。
【0129】
このような静電噴霧装置では、揮発性の低い組成物成分がスプレー電極の上またはその回りに堆積してくることがあるが、これは静電噴霧装置の一般的な制約である。成分の堆積が起こると、スプレー電極は、部分的に目詰まりまたは遮断さえも受け、スプレーが非効率または無効になり得る。これは、スプレー電極がスプレーする液体を発する細管である場合に、特に当てはまる。本実施形態の組成物では、2分間に25秒噴霧する負荷サイクルで14日間、エステル化合物の比較的高濃度(例えば、エステル化合物を1.2質量%)でさえスプレーした際に、スプレー電極の上またはその回りに殆どまたは全く堆積を起こさずに安定な噴霧が可能であった。
【0130】
組成物の分散効率は、スプレーした物質の細い液柱を生成するためにスプレー装置を目視検査することにより、近接部の堆積を調べることによって定性的に決定し得る。
【0131】
このような静電噴霧装置を用いた防除処理の効果は、当業者に公知の一連の手段を介して可能になる。例えば、害虫母集団の50%が、寸法既知の試験チャンバー(例えばPeet-Gradyチャンバー)中でノックダウンするまでの時間(KT50)、または暴露してから一定時間後のノックダウン率として定量的に分析することができる。近接部の長期堆積の定量化は、スプレー装置の近接部を拭き取り、使用したトレーサーの種類に適当な方法(例えば、HPLCまたは分光光度法)で調査することにより、決定し得る。長期の質量損失は、重量の変化をモニターすることにより決定し得る。
【0132】
このようにすることにより、常温では固体である組成物を良好に有害節足動物または有害節足動物の生息場所に静電噴霧することができる。したがって、以下のような効果を得ることができる。
【0133】
すなわち、本実施形態の防除方法によれば、標準気圧下で固体である式(1)で表されるエステル化合物を含む組成物を静電噴霧によって噴霧することにより、組成物の散布のために熱、加圧(例えば、ガス圧もしくは機械圧)、または煙霧を必要とせず、エステル化合物の噴霧開始および停止を即時に行うことができる。そのため、エステル化合物の噴霧量の制御が容易となり、エステル化合物の浪費を抑制することができる。したがって、本実施形態の防除方法によれば、組成物が空気中を広範囲に拡散し、効果的に様々な有害節足動物の防除処理を行うことができる。
【0134】
また、本実施形態の防除方法では、式(1)で表されるエステル化合物を含む組成物の電気抵抗値、粘度、表面張力が所定の範囲の値となっているために、静電噴霧に適した物性となっている。そのため、組成物を確実に噴霧することができ有害節足動物を処理することができる。
【0135】
また、本実施形態の防除方法では、静電噴霧に適した装置を用いることで、組成物を確実に噴霧することができる。
【0136】
また、本実施形態の組成物によれば、標準気圧下で固体である式(1)で表されるエステル化合物を含む組成物が、電気抵抗値、粘度、表面張力が所定の範囲の値を有しているために、広範な有害節足動物の防除を可能とし、静電噴霧に適した組成物とすることができる。
【0137】
また、本実施形態の静電噴霧装置では、散布のために熱、加圧(例えば、ガス圧もしくは機械圧)、または煙霧を必要とせず、簡便に組成物を噴霧することができる。そのため、噴霧量の制御が容易であることから活性成分であるエステル化合物の浪費を抑制することができ、効果的に有害節足動物の防除処理を行うことを可能とする静電噴霧装置とすることができる。
【0138】
さらに、本実施形態に係る発明によれば、有効成分の消耗を減らし、環境に応じた処理を行うことが可能であり、短期間の(急性の)、あるいは長期にわたっての有害節足動物の防除処理を行うことができる。従来の技術では、短期間の処理は、エアロゾル装置の駆動によって、防除組成物を噴霧することでしか行い得なかった。このようなエアロゾル装置の駆動は、手動あるいは機械的タイマーによって機械的に行われていた。エアロゾルスプレーは、非効率的な防除処理となりがちで、しばしば多分散である。また、長期間または継続的な拡散処理は、有効成分の揮発により行われている。式(1)のエステル化合物は、標準気圧下で固体であり、長期間または継続的に拡散させるために、加熱または煙霧を必要としていた。しかし、加熱工程の初期段階において、無視できない遅延が生じるという問題があった。また同様に、揮発を止める際にも、無視できない遅延が生じるという問題があった。しかし、本実施形態に係る発明によれば、上記問題を解決できる。
【0139】
また、本実施形態の組成物は、組成物を再調製せずとも、短期間の、あるいは長期間の防除処理を行うことが可能である。
【0140】
また、本実施形態の組成物は、有害節足動物又は有害節足動物の生息場所に静電噴霧して有害節足動物を防除するために使用することもできる。かかる使用によれば、効果的に有害節足動物の防除処理を行うことができる。
【0141】
さらに、本実施形態の組成物を用いることにより、防除機能を効果的に発現させるのに必要な、防除のための有効成分を空気中に拡散させる量につき、従来技術に比べて、減らすことができる。これにより、ヒトや環境に対して、化学物質による汚染等の問題を効果的に回避することができる。
【0142】
また、本実施形態の組成物であれば、有効成分を含浸させた線香(コイル型など)による煙霧や、加圧ガスの成分による害を与えることなく、防除処理を行うことができる。
【0143】
本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、明細書に記載した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0144】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0145】
本実施例においては、試験チャンバー(1.8m×1.8m×1.8m)における飛翔昆虫(イエバエ、Musca domestica)のノックダウン率について比較を行った。本実施例では、イエバエの成虫100匹を各方法にて防除処理を行った試験チャンバー内に放ち、15分後にノックダウンした個体の割合をノックダウン率として、ノックダウン率を測定した。試験においては、ノックダウン率を二重試験の平均値として求めた。
【0146】
(実施例1)
実施例1の組成物は、次の処方に従って調製した。
【0147】
【表6】

【0148】
【化11】

【0149】
本実施例では、式(1)のエステル化合物として、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/9))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを用いた。
【0150】
上記表6で示される組成物を、欧州特許公開第1399265号に開示されている静電噴霧装置(Cleanaerモデル、Atrium Innovation Ltd.)の貯液槽中に供給した。静電噴霧装置を試験チャンバー内に設置し、スイッチを入れた直後の最初2分間は連続噴霧し、その後2分間に25秒噴霧する負荷サイクルで装置を作動してチャンバー中に組成物25mgを噴霧し、その後で装置を停止させることにより、試験チャンバー内を防除処理した。
【0151】
その後、イエバエの成虫100匹(雌雄各50匹)を試験チャンバー中に放出した。イエバエを放出してから15分後に結果を記録し、ノックダウン率を決定した。
【0152】
(比較例1)
虫取り線香の基材(Union Insecticide Co., Inc.)0.5gに、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/9))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートのアセトン溶液0.25mlを含浸させた。ここで、基材には、エステル化合物が0.2質量%含有するように、均一に含浸した。
【0153】
生成した基材を風乾することにより、虫取り線香を得た。虫取り線香を、試験チャンバーの底部中心に配置したホルダー上にセットし、虫取り線香の一端に着火して、線香の燃焼を完了させることにより、試験チャンバー内を防除処理した。
【0154】
その後、イエバエの成虫100匹(雌雄各50匹)を試験チャンバー中に放出した。イエバエを放出してから15分後に結果を記録し、ノックダウン率を決定した。
【0155】
(比較例2)
[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/9))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート0.04部、γ−ブチルラクトン0.16部、イソパラフィン(Isopar M(登録商標))59.8部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取り付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)40部を充填して、100部を含有するエアゾール(以下、比較例2と記す。)を得た。
【0156】
イエバエの成虫100匹(雌雄各50匹)を試験チャンバー内に放出した。
【0157】
その後、比較例2を750mg試験チャンバー内に噴霧処理した。噴霧処理してから15分後に結果を記録し、ノックダウン率を決定した。
【0158】
実施例1および比較例1,2の結果を表7に示す。
【0159】
【表7】

【0160】
測定の結果、実施例1では比較例1,2と比べ高いノックダウン率を示し、高効率で防除できることが分かった。これにより、本発明の有用性が確かめられた。
【0161】
(実施例2,3)
実施例2〜3の組成物は、次の処方にしたがって調製した。
【0162】
【表8】

【0163】
【化12】

【0164】
本実施例2,3では、式(1)のエステル化合物として、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/9))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを用いた。また、実施例2,3の組成物の物性値を以下に示す。
【0165】
【表9】

【0166】
上記の表8の組成物を欧州特許公開第1399265号に開示されている静電噴霧装置(Cleanaerモデル、Atrium Innovation Ltd.)の貯液槽中に供給した。静電噴霧装置を試験チャンバー内に設置し、スイッチを入れた直後の最初2分間は連続噴霧し、その後2分間に25秒噴霧する負荷サイクルで装置を作動してチャンバー中に組成物30mgを噴霧し、その後で装置を停止させることにより、試験チャンバー内を防除処理した。
【0167】
その後、イエバエの成虫100匹(雌雄各50匹)を試験チャンバー中に放出した。イエバエを放出してから15分後まで経時的にノックダウンした個体数をカウントし、KT50値を算出した(6反復平均)。
【0168】
実施例2,3の結果を下記表に示す。
【0169】
【表10】

【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明によれば、有害節足動物を効果的に防除することができる。このため、本防除技術を利用可能な種々の産業において利用することができる。
【符号の説明】
【0171】
1 スプレー電極
2 スプレー窪み
3 放電極
4 放電窪み
5 スプレー排出表面
6 シーズ金属管
7 シーズ金属管
8 貯液槽
9 空気導入小孔
10 駆動回路




【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で示されるエステル化合物を含有する組成物を、有害節足動物又は有害節足動物の生息場所に静電噴霧する工程を含むことを特徴とする有害節足動物の防除方法。
【化1】

【請求項2】
前記組成物は、電気抵抗値が20℃で1×10Ωm以上1×10Ωm以下、且つ粘度が20℃で1mPa・s以上10mPa・s以下、且つ表面張力が20℃で20mN/m以上40mN/m以下であることを特徴とする請求項1に記載の有害節足動物の防除方法。
【請求項3】
前記静電噴霧する工程は、前記組成物が供給されるスプレー電極と、前記スプレー電極の近傍に配置された放電電極と、を有する静電噴霧装置を用いて行われる工程であって、
前記スプレー電極に前記組成物を供給するとともに、前記スプレー電極と前記放電電極との間に電界を印加することで、前記組成物を前記スプレー電極から前記有害節足動物又は前記生息場所に噴霧する工程であることを特徴とする請求項1または2に記載の有害節足動物の防除方法。
【請求項4】
前記組成物は、式(2a)
【化2】

(式中、X1は酸素原子またはC〜Cアルキルイミノ基を表し、X2はメチレン基、酸素原子またはC〜Cアルキルイミノ基を表し、R1は水素原子またはメチル基を表す)
で示される第1の環状化合物、及び、式(2b)
【化3】

(式中、R2は水素原子またはメチル基を表す。)
で示される第2の環状化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの環状化合物を含有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有害節足動物の防除方法。
【請求項5】
前記環状化合物がγ-ブチロラクトンであることを特徴とする請求項4に記載の有害節足動物の防除方法。
【請求項6】
式(1)で示されるエステル化合物を含有し、その電気抵抗値が20℃で1×10Ωm以上1×10Ωm以下、且つ粘度が20℃で1mPa・s以上10mPa・s以下、且つ表面張力が20℃で20mN/m以上40mN/m以下であることを特徴とする組成物。
【化4】

【請求項7】
式(2a)
【化5】

(式中、X1は酸素原子またはC〜Cアルキルイミノ基を表し、X2はメチレン基、酸素原子またはC〜Cアルキルイミノ基を表し、R1は水素原子またはメチル基を表す)
で示される第1の環状化合物、及び、式(2b)
【化6】

(式中、R2は水素原子またはメチル基を表す。)
で示される第2の環状化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの環状化合物を含有することを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記環状化合物がγ-ブチロラクトンであることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
静電噴霧によって有害節足動物を防除するためのものである請求項6〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の組成物が保持された貯液槽と、前記組成物が前記貯液槽から供給されるスプレー電極と、前記スプレー電極近傍に配置された放電電極と、を備え、
前記スプレー電極と前記放電電極との間に電界を印加することで、前記組成物を液滴として前記スプレー電極から噴霧するものであることを特徴とする静電噴霧装置。



【図1】
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【公開番号】特開2012−77070(P2012−77070A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190937(P2011−190937)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】