説明

有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法

【課題】正孔注入層の厚膜化を実現することができる有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】不活性ガスの雰囲気下で正孔注入材料層を焼成する工程(工程404)に加えて、当該正孔注入材料層に紫外線を照射する工程(工程405)を有するので、紫外線照射により正孔注入材料層に含まれる高分子化合物材料の共役系を切断することができ、キシレンなどの溶剤に対して不溶性にすることができる。これにより、正孔注入材料層上に当該キシレンなどの溶剤を塗布したときに溶解する可溶性部分が少なくなるため、溶解後の中間層の層厚を厚くすることができ、正孔注入層の厚膜化を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネセンス(以下、有機EL:electroluminescenceという)装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL装置は、一般的に、発光層と正孔や電子を輸送及び注入する機能を有するキャリア輸送層とを含む有機層を陽極と陰極とで挟んだ構成の有機EL素子を基板上に有する構成になっている。発光層には、正孔輸送層を介して陽極から正孔が注入されると共に、陰極からは電子が注入される。この正孔と電子とが発光層内で再結合し、再結合によって励起状態から失括する際に発光する。有機EL素子は、この発光現象を利用して光を発光する素子である。
【0003】
有機層は、例えば高分子化合物から構成されている。この有機層を形成する手順としては、例えば特許文献1に記載されているように、正孔を輸送及び注入する機能層を構成する高分子化合物を溶剤に溶解させた組成物によって層を形成し、この層を不活性雰囲気中にて加熱処理をし、その後、トルエンなどの溶剤でこの層の一部を溶解する。加熱処理を行うことで、この層に含まれる高分子化合物の共役系が切断され、共役系の切断された部分が溶剤に対して不溶性になる。加熱処理後、この層の一部、すなわち、不溶性部分以外の部分(可溶性部分)を溶解することで、不溶性部分が正孔輸送層として残存する。
【特許文献1】特開2005−251734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高分子化合物の中でも架橋性を有さない材料の共役系については加熱しただけでは切断されにくい。特許文献1に記載の手順では、上記の層を加熱処理するだけであるため、このような架橋性を有さない材料が含まれる場合には、その共役系を十分に切断することができず、不溶性部分を僅かしか形成することができない。このため、溶解後には例えば10nm程度の薄い正孔輸送層しか残存しない。正孔輸送層が薄いと、正孔輸送機能など、正孔輸送層の機能を十分に発揮することが困難になる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、正孔輸送層の厚膜化を実現することができる有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明に係る有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法は、発光層と当該発光層に正孔を輸送し注入する正孔輸送層とを含む有機層と、前記有機層を挟持する陰極及び陽極とを有する有機エレクトロルミネセンス素子が基板上に設けられた有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法であって、前記基板上に前記陽極を形成する陽極形成工程と、前記陽極上に前記正孔輸送層を構成する材料を含む正孔輸送材料層を形成する正孔輸送材料層形成工程と、不活性ガスの雰囲気下で、前記正孔輸送材料層を焼成する焼成工程と、前記正孔輸送材料層に紫外線を照射する紫外線照射工程と、前記焼成工程が終了し、かつ、前記紫外線照射工程が終了した後、前記正孔輸送材料層の一部を除去する除去工程と、前記除去工程の後、前記正孔輸送材料層上に前記発光層を形成する発光層形成工程と、前記発光層上に前記陰極を形成する陰極形成工程とを具備することを特徴とする。
【0006】
本発明では、不活性ガスの雰囲気下で正孔輸送材料層を焼成する焼成工程に加えて、正孔輸送材料層に紫外線を照射する紫外線照射工程を有するので、正孔輸送層を構成する材料として例えば架橋性を有さない材料を用いた場合であっても、紫外線照射により正孔輸送層を構成する材料の共役系を十分に切断することができる。このように正孔輸送材料層のうち不溶性となる部分を十分に形成することができるため、除去工程で除去される正孔輸送材料層を従来の手法に比べて少なくすることができ、除去後の正孔輸送層の層厚を厚くすることができる。これにより、正孔輸送層の厚膜化を実現することができる。
【0007】
また、本発明では、例えば架橋性を有さない材料のように、焼成だけでは十分に共役系を切断することができなかった材料についても正孔輸送層を構成する材料として用いることができるようになるため、当該正孔輸送層を構成する材料の選択の幅が広がるという利点もある。
【0008】
また、前記焼成工程を、前記紫外線照射工程よりも先に行うことが好ましい。
本発明では、焼成工程を、紫外線照射工程よりも先に行うので、正孔輸送材料層の形状を安定させた状態で紫外線照射を行うことができる。
【0009】
また、前記紫外線照射工程を、前記焼成工程よりも先に行うことが好ましい。
本発明では、紫外線照射工程を焼成工程よりも先に行うことによって、紫外線照射工程では正孔輸送材料層の表面の共役系を切断し、焼成工程によって内部の共役系を切断することができるので、正孔輸送材料層の表面及び内部の広い範囲にわたって段階的に共役系を切断することが可能となる。これにより、不溶性部分の分布にムラができるのを抑えることができるので、除去工程後の正孔輸送材料層の形状が乱れてしまうのを抑制することができる。
【0010】
また、前記紫外線照射工程を、不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明では、紫外線照射工程を、不活性ガスの雰囲気下で行うこととしたので、正孔輸送材料層に紫外線照射する間に有機エレクトロルミネセンス素子が劣化するのを防ぐことができる。
【0011】
また、前記紫外線照射工程を、大気雰囲気下で行うことが好ましい。
ここで、「大気雰囲気」については、温度が20℃程度、湿度が50%程度、酸素濃度が23%程度の雰囲気をいうものとする。本発明では、紫外線照射工程を、このような大気雰囲気下で行うこととしたので、大気中に含まれる水分子や酸素分子などに紫外線が照射されて活性化され、正孔輸送材料層の共役系の切断に寄与することになる。これにより、正孔輸送材料層を十分に不溶性にすることができ、また、紫外線照射工程に要する時間を短縮することができる。
【0012】
また、前記焼成工程と前記紫外線照射工程とを同時に行うことが好ましい。
ここで、「同時」とは、焼成工程と紫外線照射工程とを同時刻に開始して同時刻に終了する場合だけでなく、焼成工程と紫外線照射工程とが一瞬でも重なって行われる場合をも含む意味である。したがって、一瞬でも重なって行われるのであれば、焼成工程と紫外線照射工程のうち一方を先に開始若しくは終了し、他方を後で開始若しくは終了しても構わない。
【0013】
本発明では、焼成工程と紫外線照射工程とを同時に行うので、焼成による共役系の切断と紫外線照射による共役系の切断とが同時に行われることになる。このため、共役系が相乗的に切断されることになり、正孔輸送材料層をより大きな範囲で不溶性にすることができ、さらなる厚膜化を図ることが可能となる。また、焼成工程と紫外線照射工程とを同時に行うことによって、工程数及び時間の短縮を図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。更には、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0015】
図1は本実施形態に係る有機EL装置を示す側断面図である。
図1に示すように、有機EL装置Sは、基板1と、基板1上に設けられた発光素子(有機EL素子)2と、基板1に接続され、有機EL素子2を覆う封止部材20とを備えている。有機EL素子2は基板1の表面(能動面)1Aに設けられている。有機EL装置Sは、有機EL素子2を駆動するための図示しない駆動素子(チップ)を備えている。駆動素子は、例えば封止部材20によって形成される封止空間10の外部に設けられている。基板1の表面1Aには、有機EL素子2と駆動素子とを電気的に接続する接続部材(配線)が設けられている。封止部材20は、基板1との間に有機EL素子2を配置するための封止空間10を形成しつつ、基板1に接着剤8を介して接続されている。
【0016】
封止部材20は断面視下向きコ状に形成されており、基板1との間で封止空間10を形成している。封止部材20は、基板1の第1領域41と貼り合わせられる第2領域42を有している。第1領域41は、基板1の表面1Aのうち有機EL素子2が設けられている部分の外側に設定されている。第2領域42は、封止部材20の下端面に設定されており、第1領域41と対向している。第1領域41と第2領域42とが接着剤8を介して貼り合わせられることによって、平板状の基板1と封止部材20との間で、有機EL素子2を封止する封止空間10が形成されている。
【0017】
有機EL素子2は、基板1の表面1Aに形成された陽極3と、発光可能な有機層11と、陰極7とを備えている。陽極3及び陰極7は、有機層11を挟むように設けられている。有機層11は、正孔注入層4と、中間層(正孔輸送層)5と、発光層6とを有している。正孔注入層4及び中間層5は、発光層6と陽極3との間に設けられた層である。
【0018】
封止空間10に設けられた有機EL素子2の陽極3は、駆動素子と接続部材(配線)を介して電気的に接続されている。また図示を省略するが、有機EL素子2の陰極7も駆動素子と電気的に接続されている。有機EL素子2の陽極3及び陰極7には、駆動素子より駆動信号を含む電力(電流)が供給されるようになっている。
【0019】
封止空間10にはゲッター剤と呼ばれる乾燥剤9が設けられている。乾燥剤9は、封止部材20のうち、基板1の表面1Aと対向する天井面20Bに設けられている。乾燥剤9により、有機EL素子2の水分等による劣化が抑制され、良好な封止性能を長期間維持することができるようになっている。
【0020】
封止部材20は、外部空間から封止空間10に対して、水分及び酸素等を含む大気が侵入することを遮断するものである。封止部材20を形成するための形成材料としては、所望の封止性能を有していれば特に限定されず、例えばガラスや石英、合成樹脂、あるいは金属など水分透過率の小さい材料を用いることができる。ガラスとしては、例えば、ソーダ石灰ガラス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカガラスなどを用いることができる。合成樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの透明な合成樹脂などを用いることができる。金属としては、アルミニウムやステンレス等を用いることができる。
【0021】
乾燥剤9としては、封止空間10において所望の乾燥機能(吸湿機能)を有していれば特に限定されないが、例えば、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、酸化カルシウム、酸化ゲルマニウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、五酸化リン、塩化カルシウムなどを用いることができる。
【0022】
接着剤8は、第1領域41(又は第2領域42)の全域に設けられる。接着剤8としては、安定した接着強度を維持することができ、気密性が良好なものであれば特に限定されない。本実施形態の接着剤8には、紫外光(UV)の照射により硬化する光硬化性エポキシ樹脂が用いられている。なお、接着剤8としては、光硬化性材料に限られず、熱硬化性材料でもよいし、互いに異なる2種類以上の材料を混合することによって硬化させるものであってもよい。
【0023】
本実施形態の有機EL装置Sは、有機EL素子2からの発光を基板1側から装置外部に取り出す形態、所謂ボトム・エミッションである。基板1は、光を透過可能な透明あるいは半透明材料、例えば、透明なガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの透明な合成樹脂などによって形成されている。
【0024】
陽極3は、印加された電圧によって正孔を正孔注入層4に注入するものであり、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)などの透明導電膜により形成されている。
【0025】
正孔注入層4は、陽極3から正孔輸送層や発光層等の機能性有機層に正孔を注入する層であり、陽極3上に50nm程度の厚さに設けられている。正孔注入層4としては、公知の材料を用いることができ、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどを用いることができる。更に具体的には、3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)などを用いることができる。
【0026】
中間層5は、陽極3から発光層6に対する正孔の輸送性(注入性)を向上させると共に発光層6に直接正孔を注入する正孔輸送層であり、正孔注入層4と発光層6との間に40nm程度の厚さに設けられている。また、陽極3が無機物を含んで構成されている場合、中間層5は、陽極3から発生した無機物が正孔注入層4を介して発光層6に浸入することを抑制する機能も有している。更に、中間層5は、発光層6から正孔注入層4に対して電子が浸入することを抑制する機能も有している。中間層5は、正孔輸送性の良好な材料、例えば[化1]に示す材料(TFB)などのトリフェニルアミン系ポリマーを含んで構成されている。
【0027】
【化1】

【0028】
発光層6は、陽極3から正孔注入層4及び中間層5を経て注入された正孔と、陰極7から注入された電子とを結合して蛍光を発生させる機能を有する。発光層6を形成する材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料、例えば[化2]に示す材料(F8BT)などを用いることができる。このほか、例えば、ポリフルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などを用いることもできる。
【0029】
【化2】

【0030】
また、発光層6と陰極7との間に電子輸送層を設けてもよい。電子輸送層は、発光層6に電子を注入する役割を果たすものである。電子輸送層を形成する材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体などを用いることができる。
【0031】
陰極7は、発光層6へ効率的に電子注入を行うことができる仕事関数の低い金属が好適に用いられている。本実施形態では、陰極7は下層7a及び上層7bの2層構造になっている。下層7aはカルシウムからなる層であり、有機層11上に設けられている。この下層7aは、例えば10nm程度の厚さに設けられている。上層7bはアルミニウムからなる層であり、例えば200nm程度の厚さに設けられている。
駆動素子より有機EL素子2に駆動信号が供給されると、陽極3と陰極7との間に電流が流れ、有機EL素子2が発光して透明な基板1の外面側に光が射出されるようになっている。
【0032】
(液滴吐出装置)
上記有機EL装置Sの有機層11は、液滴吐出法(インクジェット法)によって形成されている。図2に基づいて、上記有機層11を形成する液滴吐出装置について説明する。図2は、インクジェット法に用いられる液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。
【0033】
同図に示すように、液滴吐出装置IJは、有機層11の構成材料を溶媒に溶解させてなる液体材料を液滴吐出ヘッド301のノズル325から基板1上に吐出し、基板1上に発光層6を含む有機層11を成膜するための装置である。この液滴吐出装置IJは、基台309と、基台309上に設けられ、基板1を支持するステージ307と、基台309上でステージ307をY軸方向に駆動するY軸方向駆動モータ303と、ステージ307のY軸方向への移動をガイドするY軸方向ガイド軸305と、ステージ307に支持された基板1上に対して液体材料を吐出する液滴吐出ヘッド301と、液滴吐出ヘッド301をX軸方向に駆動するX軸方向駆動モータ302と、液滴吐出ヘッド301のX軸方向への移動をガイドするX軸方向ガイド軸304と、クリーニング機構308と、液滴吐出装置IJの動作を制御する制御装置C1とを備えている。
【0034】
ステージ307は、基板1を支持するものであって、基板1を基準位置に固定する図示しない固定機構を備えている。Y軸方向ガイド軸305は、基台309に対して動かないように固定されている。ステージ307は、Y軸方向駆動モータ303を備えている。Y軸方向駆動モータ303はステッピングモータ等であり、制御装置C1からY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ307をY軸方向に移動する。
【0035】
液滴吐出ヘッド301は、複数のノズル325を備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、その長手方向とX軸方向とが一致している。複数のノズル325は、液滴吐出ヘッド301の下面にX軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド301のノズル325からは、ステージ307に支持されている基板1に対して液体材料の液滴が吐出される。X軸方向ガイド軸304には、X軸方向駆動モータ302が接続されている。X軸方向駆動モータ302はステッピングモータ等であり、制御装置C1からX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向ガイド軸304を回転させる。X軸方向ガイド軸304が回転すると、液滴吐出ヘッド301はX軸方向に移動する。
【0036】
制御装置C1は、液滴吐出ヘッド301に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ302に液滴吐出ヘッド301のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ303にステージ307のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
【0037】
クリーニング機構308は、液滴吐出ヘッド301をクリーニングするものである。クリーニング機構308には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構308は、Y軸方向ガイド軸305に沿って移動する。クリーニング機構308の移動も制御装置C1により制御される。
【0038】
図3は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための液滴吐出ヘッドの概略構成図である。図3において、液体材料を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、供給系323を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させて液体室321を弾性変形させる。そして、この弾性変形時の内容積の変化によってノズル325から液体材料の液滴が吐出されるようになっている。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度を制御することができる。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0039】
発光層6を液滴吐出法を用いて成膜することにより、製造コストを低減することができる。すなわち、液滴吐出法では、基板1上の所望の局所領域に材料を配置することが可能であるから、フォトリソグラフィ法等に比べて膜形成のプロセスが簡素であるとともに使用材料に無駄が少ない。
【0040】
(製造方法)
次に、上述した構成を有する有機EL装置Sの製造方法について、図4に示すフローチャートをもとにして説明する。
まず、基板1に例えばCVD法などの公知の手法によって陽極3を形成する(工程401)。陽極3を形成したら、図5に示すように、この陽極3上に、例えば上述した液滴吐出装置IJを用いて正孔注入層4を構成する材料を溶剤に溶解させた組成物の膜11をインクジェット法によって形成し、当該膜11を焼成して、正孔注入層4を形成する(工程402)。次に、図6に示すように、正孔注入層4上に、インクジェット法によって、中間層5を構成する材料をキシレンに溶解させた組成物の層(正孔輸送材料層)12を50nm程度に形成する(工程403)。
【0041】
次に、正孔輸送材料層12が形成された基板1を不活性ガス雰囲気下、例えばアルゴン雰囲気下に配置して、図7に示すように、正孔輸送材料層12をアルゴン雰囲気下で焼成する(工程404)。このときの焼成温度は約200℃であり、焼成時間は約60分である。焼成によって、正孔輸送材料層12に含まれる有機化合物の共役系が切断され、当該共役系の切断された部分が、キシレンなどの溶剤に対して不溶性になる。
【0042】
次に、図8に示すように、基板1の周辺をアルゴン雰囲気にしたまま、正孔輸送材料層12の直上から当該正孔輸送材料層12に紫外線(UV)を照射する(工程405)。このときの紫外線の波長は約365nmであり、紫外線の照度は約30mW/cmである。紫外線の照射時間は約1分間である。正孔輸送材料層12に紫外線を照射することによって、正孔輸送材料層12に含まれる有機化合物の共役系が切断され、当該共役系の切断された部分がキシレンなどの溶剤に対して不溶性になる。
【0043】
次に、図9に示すように、正孔輸送材料層12にキシレンなどの溶剤50を塗布し、正孔輸送材料層12の不溶性部分以外の部分(可溶性部分)を除去する(工程406)。可溶性部分を除去した後、約40μm程度の厚さの中間層5が残存する。
【0044】
次に、図10に示すように、インクジェット法によって、発光層6を構成する材料を溶解させた組成物の膜13を形成し、当該膜13を約130℃で1時間程度焼成して発光層6を形成する(工程407)。発光層6を形成したら、図11に示すように、蒸着法によって陰極7(下層7a及び上層7b)を形成する(工程408)。その後、形成された有機EL素子2を封止して(工程409)、有機EL装置Sが完成する。
【0045】
このように、本実施形態によれば、不活性ガスの雰囲気下で正孔輸送材料層12を焼成する工程(工程404)に加えて、当該正孔輸送材料層12に紫外線を照射する工程(工程405)を有するので、紫外線照射により正孔輸送材料層12に含まれる高分子化合物材料の共役系を切断することができ、キシレンなどの溶剤に対して不溶性にすることができる。これにより、正孔輸送材料層12上に当該キシレンなどの溶剤を塗布したときに溶解する可溶性部分が少なくなるため、除去後の中間層5の層厚を厚くすることができ、正孔輸送層の厚膜化を実現することができる。
【0046】
また、本実施形態では、例えば架橋性を有さない材料のように、焼成だけでは十分に共役系を切断することができなかった材料についても中間層5を構成する材料として用いることができるようになるため、当該中間層5を構成する材料の選択の幅が広がるという利点もある。
【0047】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態では、基板の周辺を大気雰囲気にして紫外線を照射する点で第1実施形態とは異なっている。なお、本実施形態に係る有機EL装置は、第1実施形態に係る有機EL装置Sと構成が同一であるため、各構成部分については同一の符号を付して説明する。
【0048】
本実施形態に係る有機EL装置Sの製造方法について、図12に示すフローチャートをもとにして説明する。
まず、第1実施形態と同様の方法によって、基板1に陽極3を形成し(工程1201)、当該陽極3上に正孔注入層4を形成し(工程1202)、当該正孔注入層4上に正孔輸送材料層を50nm程度に形成する(工程1203)。
【0049】
次に、正孔輸送材料層が形成された基板1を不活性ガス雰囲気下、例えばアルゴン雰囲気下に配置して、正孔輸送材料層をアルゴン雰囲気下で焼成する(工程1204)。このときの焼成温度は約200℃であり、焼成時間は約60分である。焼成によって、正孔輸送材料層に含まれる有機化合物の共役系が切断され、当該共役系の切断された部分がキシレンなどの溶剤に対して不溶性になる。
【0050】
次に、基板1の周辺を大気雰囲気にして、正孔輸送材料層の直上から当該正孔輸送材料層に紫外線(UV)を照射する(工程1205)。このときの紫外線の波長は約365nmであり、紫外線の照度は約30mW/cmである。ここで、「大気雰囲気」については、温度が20℃程度、湿度が50%程度、酸素濃度が23%程度の雰囲気をいうものとする。また、紫外線の照射時間は約20秒間である。正孔輸送材料層に紫外線を照射することによって、正孔輸送材料層に含まれる有機化合物の共役系が切断され、当該共役系の切断された部分がキシレンなどの溶剤に対して不溶性になる。また、大気中に含まれる水分子や酸素分子などに紫外線が照射されて活性化され、有機化合物の共役系の切断に寄与する。
【0051】
次に、正孔輸送材料層にキシレンなどの溶剤50を塗布し、正孔輸送材料層の可溶性部分を溶解させ除去する(工程1206)。可溶性部分を除去した後、約40μm程度の厚さの中間層5が残存する。
次に、第1実施形態と同様の手法によって発光層6を形成し(工程1207)、陰極7(下層7a及び上層7b)を形成し(工程1208)、形成された有機EL素子2を封止して(工程1209)、有機EL装置Sが完成する。
【0052】
本実施形態では、大気雰囲気下で正孔輸送材料層に紫外線を照射することとしたので、大気中に含まれる水分子や酸素分子などに紫外線が照射されて活性化され、正孔輸送材料層の共役系の切断に寄与することになる。これにより、正孔輸送材料層を十分に不溶性にすることができ、また、紫外線の照射に要する時間を短縮することができる。
【0053】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を説明する。本実施形態では、正孔輸送材料層を焼成する工程と正孔輸送材料層に紫外線を照射する工程との順序が第1実施形態とは逆になっている、すなわち、紫外線照射を焼成よりも先に行う点で、第1実施形態とは異なっている。なお、本実施形態に係る有機EL装置は、第1実施形態に係る有機EL装置Sと構成が同一であるため、各構成部分については同一の符号を付して説明する。
【0054】
本実施形態に係る有機EL装置Sの製造方法について、図13に示すフローチャートをもとにして説明する。
まず、第1実施形態と同様の方法によって、基板1に陽極3を形成し(工程1301)、当該陽極3上に正孔注入層4を形成し(工程1302)、当該正孔注入層4上に正孔輸送材料層を50nm程度に形成する(工程1303)。
【0055】
次に、正孔輸送材料層が形成された基板1を不活性ガス雰囲気下、例えばアルゴン雰囲気下に配置して、正孔輸送材料層の直上から当該正孔輸送材料層に紫外線(UV)を照射する(工程1304)。このときの紫外線の波長は約365nmであり、紫外線の照度は約30mW/cmである。紫外線の照射時間は約1分間である。正孔輸送材料層に紫外線を照射することによって、正孔輸送材料層に含まれる有機化合物の共役系が切断され、当該共役系の切断された部分がキシレンなどの溶剤に対して不溶性になる。
【0056】
次に、基板1の周辺をアルゴン雰囲気に維持したまま、正孔輸送材料層をアルゴン雰囲気下で焼成する(工程1305)。このときの焼成温度は約200℃であり、焼成時間は約60分である。焼成によって、正孔輸送材料層の有機化合物の共役系が切断され、当該共役系の切断された部分がキシレンなどの溶剤に対して不溶性になる。
【0057】
次に、不溶性部分が形成された正孔輸送材料層にキシレンなどの溶剤50を塗布し、正孔輸送材料層の可溶性部分を溶解させ除去する(工程1306)。可溶性部分を除去した後、約40μm程度の厚さの中間層5が残存する。
次に、第1実施形態と同様の手法によって発光層6を形成し(工程1307)、陰極7(下層7a及び上層7b)を形成し(工程1308)、形成された有機EL素子2を封止して(工程1309)、有機EL装置Sが完成する。
【0058】
本実施形態では、紫外線照射を焼成よりも先に行うことによって、紫外線照射では正孔輸送材料層の表面の共役系を切断し、焼成によって内部の共役系を切断することができるので、正孔輸送材料層の表面及び内部の広い範囲にわたって段階的に共役系を切断することが可能となる。これにより、不溶性部分の分布にムラができるのを抑えることができるので、可溶性部分の除去後の中間層5の形状が乱れてしまうのを抑制することができる。
【0059】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を説明する。本実施形態では、正孔輸送材料層を焼成する工程と正孔輸送材料層に紫外線を照射する工程との順序が第1実施形態とは逆になっている点で、第1実施形態とは異なっている。また、基板の周辺を大気雰囲気にして正孔輸送材料層に紫外線を照射する点でも第1実施形態とは異なっている。なお、本実施形態に係る有機EL装置は、第1実施形態に係る有機EL装置Sと構成が同一であるため、各構成部分については同一の符号を付して説明する。
【0060】
(製造方法)
次に、上述した構成を有する有機EL装置Sの製造方法について、図14に示すフローチャートをもとにして説明する。
まず、第1実施形態と同様の方法によって、基板1に陽極3を形成し(工程1401)、当該陽極3上に正孔注入層4を形成し(工程1402)、当該正孔注入層4上に正孔輸送材料層を50nm程度に形成する(工程1403)。
【0061】
次に、次に、基板1の周辺を大気雰囲気にして、正孔輸送材料層の直上から当該正孔輸送材料層に紫外線(UV)を照射する(工程1404)。第2実施形態と同様、紫外線の波長は約365nmであり、紫外線の照度は約30mW/cmである。また、「大気雰囲気」については、温度が20℃程度、湿度が50%程度、酸素濃度が23%程度の雰囲気をいうものとする。紫外線の照射時間は約20秒間である。正孔輸送材料層に紫外線を照射することによって、正孔輸送材料層に含まれる有機化合物の共役系が切断され、当該共役系の切断された部分が、キシレンなどの溶剤に対して不溶性になる。また、大気中に含まれる水分子や酸素分子などに紫外線が照射されて活性化され、中間層5の共役系の切断に寄与する。
【0062】
次に、基板1を不活性ガス雰囲気下、例えばアルゴン雰囲気下に配置して、正孔輸送材料層をアルゴン雰囲気下で焼成する(工程1405)。このときの焼成温度は約200℃であり、焼成時間は約60分である。焼成によって、正孔輸送材料層に含まれる有機化合物の共役系が切断され、当該共役系の切断された部分がキシレンなどの溶剤に対して不溶性になる。
【0063】
次に、正孔輸送材料層にキシレンなどの溶剤50を塗布し、正孔輸送材料層の可溶性部分を溶解させ除去する(工程1406)。可溶性部分を除去した後、約40μm程度の厚さの中間層5が残存する。
【0064】
次に、第1実施形態と同様の手法によって発光層6を形成し(工程1407)、陰極7(下層7a及び上層7b)を形成し(工程1408)、形成された有機EL素子2を封止して(工程1409)、有機EL装置Sが完成する。
【0065】
本実施形態では、紫外線照射を焼成よりも先に行うことによって、紫外線照射では正孔輸送材料層の表面の共役系を切断し、焼成によって内部の共役系を切断することができるので、正孔輸送材料層の表面及び内部の広い範囲にわたって段階的に共役系を切断することが可能となる。これにより、不溶性部分の分布にムラができるのを抑えることができるので、可溶性部分の除去後の中間層5の形状が乱れてしまうのを抑制することができる。
【0066】
また、大気雰囲気下で正孔輸送材料層に紫外線を照射することとしたので、大気中に含まれる水分子や酸素分子などに紫外線が照射されて活性化され、正孔輸送材料層の共役系の切断に寄与することになる。これにより、正孔輸送材料層を十分に不溶性にすることができ、また、紫外線の照射に要する時間を短縮することができる。
【0067】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態を説明する。本実施形態では、正孔輸送材料層を焼成する工程と正孔輸送材料層に紫外線を照射する工程とを同時に行う点で、第1実施形態とは異なっている。なお、本実施形態に係る有機EL装置は、第1実施形態に係る有機EL装置Sと構成が同一であるため、各構成部分については同一の符号を付して説明する。
【0068】
(製造方法)
次に、上述した構成を有する有機EL装置Sの製造方法について、図14に示すフローチャートをもとにして説明する。
まず、第1実施形態と同様の方法によって、基板1に陽極3を形成し(工程1501)、当該陽極3上に正孔注入層4を形成し(工程1502)、当該正孔注入層4上に正孔輸送材料層を50nm程度に形成する(工程1503)。
【0069】
次に、図16に示すように、基板1を不活性ガス雰囲気下、例えばアルゴン雰囲気下に配置して、正孔輸送材料層を大気雰囲気下で焼成すると同時に、正孔輸送材料層の直上から当該正孔輸送材料層に紫外線(UV)を照射する(工程1504)。ここで「同時」とは、焼成と紫外線照射とを同時刻に開始して同時刻に終了する場合だけでなく、焼成と紫外線照射とが一瞬でも重なって行われる場合をも含む意味である。なお、第1実施形態と同様、焼成温度は約200℃である。また、紫外線の波長は約365nmであり、紫外線の照度は約30mW/cmである。焼成・紫外線照射の時間は約10分間である。焼成・紫外線照射によって、正孔輸送材料層に含まれる有機化合物の共役系が切断され、当該共役系の切断された部分がキシレンなどの溶剤に対して不溶性になる。
【0070】
次に、正孔輸送材料層にキシレンなどの溶剤50を塗布し、正孔輸送材料層の可溶性部分を除去する(工程1505)。可溶性部分を除去した後、約40μm程度の厚さの中間層5が残存する。
【0071】
次に、第1実施形態と同様の手法によって発光層6を形成し(工程1506)、陰極7(下層7a及び上層7b)を形成し(工程1507)、形成された有機EL素子2を封止して(工程1508)、有機EL装置Sが完成する。
【0072】
このように、本実施形態では、焼成と紫外線照射とを同時に行うので、焼成による共役系の切断と紫外線照射による共役系の切断とが同時に行われることになる。このため、共役系が相乗的に切断されることになり、中間層5をより大きな範囲で不溶性にすることができ、さらなる厚膜化を図ることが可能となる。また、焼成と紫外線照射とを同時に行うことによって、工程数及び時間の短縮を図ることもできる。
【0073】
[光書き込みヘッド]
図17は、上述の有機EL装置Sを、電子写真方式プリンタの光書き込みヘッド(プリンタヘッド)に適用した場合の一例を示す図である。図17において、有機EL装置Sの基板1の上方には光学系70が設けられており、光学系70の上方には感光ドラム(感光体)71が設けられている。有機EL装置Sは、光学系70を介して、感光ドラム71に対して光を照射する。有機EL装置Sの基板1から射出された光は、光学系70を通って感光ドラム71上に集光されるようになっている。有機EL装置Sは長寿命化されているため、感光ドラム71を良好に感光させることができ、その感光ドラム71を用いて良好に画像形成することができる。
【0074】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上述の有機EL装置Sの有機層11を形成する際にインクジェット法によって形成すると説明したが、これに限られることは無く、例えばスピンコート法など、他の方法によって形成しても勿論構わない。
【0075】
また、例えば、上述の有機EL装置Sは、面発光が可能な照明用光源として用いることができ、液晶表示装置の表示部を構成するバックライトとして用いることができる。また、上述の各実施形態の有機EL装置Sは、例えばモノクロームのディスプレイに適用することができる。
【0076】
また、上記実施形態では、上述の発光層6や接着剤8を成膜する際に、液滴吐出法(インクジェット法)を用いているが、他の所定の手法を用いることももちろん可能である。例えば発光層6を成膜するために、スピンコート法やディップ法などを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機EL装置を示す断面図。
【図2】液滴吐出装置を説明するための図。
【図3】液滴吐出ヘッドを説明するための図。
【図4】本実施形態に係る有機EL装置の製造工程を示すフローチャート。
【図5】本実施形態に係る有機EL装置の製造過程を示す工程図。
【図6】同、工程図。
【図7】同、工程図。
【図8】同、工程図。
【図9】同、工程図。
【図10】同、工程図。
【図11】同、工程図。
【図12】第2実施形態に係る有機EL装置の製造方法を示すフローチャート。
【図13】第3実施形態に係る有機EL装置の製造方法を示すフローチャート。
【図14】第4実施形態に係る有機EL装置の製造方法を示すフローチャート。
【図15】第5実施形態に係る有機EL装置の製造方法を示すフローチャート。
【図16】本実施形態に係る有機EL装置の製造過程を示す工程図。
【図17】有機EL装置を光書き込みヘッドに適用した構成を示す図。
【符号の説明】
【0078】
S…EL装置 1…基板 2…有機EL素子 3…陽極 4…正孔注入層 5…中間層6…発光層 7…陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一層の発光機能を有する層と正孔輸送性を有する層とを含む有機層と、前記有機層を挟持する陰極及び陽極とを有する有機エレクトロルミネセンス素子が基板上に設けられた有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法であって、
前記基板上に前記陽極を形成する陽極形成工程と、
前記陽極上に正孔輸送材料層を形成する正孔輸送材料層形成工程と、
不活性ガスの雰囲気下で、前記正孔輸送材料層を焼成する焼成工程と、
前記正孔輸送材料層に紫外線を照射する紫外線照射工程と、
前記焼成工程が終了し、かつ、前記紫外線照射工程が終了した後、前記正孔輸送材料層の一部を除去する除去工程と、
前記除去工程の後、前記正孔輸送材料層上に前記発光層を形成する発光層形成工程と、
前記発光層上に前記陰極を形成する陰極形成工程と
を具備することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法。
【請求項2】
前記焼成工程を、前記紫外線照射工程よりも先に行う
ことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法。
【請求項3】
前記紫外線照射工程を、前記焼成工程よりも先に行う
ことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法。
【請求項4】
前記紫外線照射工程を、不活性ガスの雰囲気下で行う
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法。
【請求項5】
前記紫外線照射工程を、大気雰囲気下で行う
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法。
【請求項6】
前記焼成工程と前記紫外線照射工程とを同時に行う
ことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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