説明

有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法及び有機エレクトロルミネッセンスパネル

【課題】密着タイプの封止方法で封止した有機ELパネルを製造するために、封止部材を接着剤で固着する時、工程を増やすことなく、有機EL素子の性能劣化を生じさせない有機ELパネルの製造方法及び有機ELパネルの提供。
【解決手段】基板の上に第1電極と、発光層を含む少なくとも1層の有機化合物層と、第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子を、接着剤を介して封止部材を貼合する密着封止構造を形成する有機ELパネルの製造方法において、工程に少なくとも1つ配設した洗浄工程で、封止部材、有機EL素子、接着剤の貼合面の何れかを洗浄することで、封止部材、有機EL素子、接着剤の貼合面の何れかに混入する、粒径1μm以上の異物の個数を100個/cm2以下にすることを特徴とする有機ELパネルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機エレクトロルミネッセンスパネル(以下、有機ELパネルとも言う)の製造方法及びこの方法により製造された有機ELパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機物質を使用した有機EL素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視されており、活発な研究開発が進められている。有機EL素子は、基板上に形成された第1電極(陽極又は陰極)と、その上に積層された有機発光物質を含有する有機化合物層(単層部又は多層部)すなわち発光層と、この発光層上に積層された第2電極(陰極又は陽極)とを有する薄膜型の素子である。この様な有機EL素子に電圧を印加すると、有機化合物層に陰極から電子が注入され陽極から正孔が注入される。この電子と正孔が発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出することにより発光が得られることが知られている。
【0003】
この様に、有機EL素子は薄膜型の素子であるため、1個又は複数個の有機EL素子を基板上に形成した有機ELパネルをバックライト等の面光源として利用した場合には、面光源を備えた装置を容易に薄型にすることが出来る。又、画素としての有機EL素子を基板上に所定個数形成した有機ELパネルをディスプレイパネルとして用いて表示装置を構成した場合には視認性が高い、視野角依存性がないなど、液晶表示装置では得られない利点がある。
【0004】
ところで、有機EL素子に用いられる有機発光材料等の有機物は水分や酸素等に弱く性能が劣化し、又電極も、酸化により大気中では特性が急激に劣化すため、これらの劣化を防止するために最上層に封止層を設けて使用しているのが一般的である。
【0005】
有機EL素子の封止方法としてはこれまでに多くの検討がされてきており、ケーシングタイプの封止方法と、密着タイプの封止方法との2つの方法に大別される。
【0006】
ケーシングタイプの封止方法とは有機EL素子をケース内に入れて外界と遮断し、前記のケース内に有機EL素子と共に所定の封止用の気体又は流体を充填しておくことにより封止する方法である。密着タイプの封止方法とは、基板上に形成されている有機EL素子の背面(基板側からみて有機EL素子の表面)にガラス板等の封止部材を接着剤で面接着することにより封止する方法である。
【0007】
ケーシングタイプの封止方法の場合は、薄型とすることが出来ない、ケース内に封止用気体又は流体を充填するための工程を必要とする、大量生産には不向き等の課題があるため、薄型対応が可能、大量生産が比較的容易、高い封止効果を容易に得ることが可能であることから密着タイプの封止方法が主流となり検討が進められている。
【0008】
密着タイプの封止方法としては、例えば、バリア層とJIS K 7210規定のメルトフローレートが5g/10min以上、20g/10min以下の熱可塑性接着性樹脂からなるシーラント層を含む封止フィルムで封止した有機EL素子が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。有機EL素子上に接着剤層として、有機EL素子側の接着剤の収縮率を、封止部材側の接着剤の収縮率よりも小さい接着剤を使用し2層とすることで接着剤の硬化収縮による応力の影響を発光素子が受けない様にして封止部材を接着剤で固着する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0009】
特許文献1、特許文献2に記載の密着タイプの封止方法により、大量生産が比較的容易、接着剤の硬化時の収縮による発光素子へのダメージ軽減、高い封止効果を有した薄型の有機EL素子対応が可能となるのであるが、未だ密着封止(有機エレクトロルミネッセンス素子上への面接着)に起因する発光素子へのダメージが散見され、生産効率が上がらない要因の1つになっており、接着剤の硬化時の収縮による発光素子への影響に対する対応が不十分となっている。
【0010】
この様な状況から、封止材を接着剤を介して固着する密着タイプの封止方法で有機エレクトロルミネッセンス素子(以下有機EL素子とも言う)、を封止した有機ELパネルを製造するために、封止部材を接着剤で固着する時、有機EL素子の性能劣化を生じさせない有機ELパネルの製造方法及び有機ELパネルの開発が望まれている。尚、本発明では基板上に第一電極と有機層と第二電極まで形成した状態を、有機EL素子と言い、封止部材で密着封止した状態を有機ELパネルと言う。
【特許文献1】特開2001−307871号公報
【特許文献2】特開2003−109750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は根上記状況を鑑みなされたものであり、その目的は、密着タイプの封止方法で封止した有機ELパネルを製造するために、封止部材を接着剤で固着する時、工程を増やすことなく、有機EL素子の性能劣化を生じさせない有機ELパネルの製造方法及び有機ELパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0013】
1.基板の上に第1電極と、発光層を含む少なくとも1層の有機化合物層と、第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子を、接着剤を介して封止部材を貼合する密着封止構造を形成する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記封止部材を供給する第1供給工程と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を供給する第2供給工程と、前記接着剤の配置工程と、前記封止部材と前記有機エレクトロルミネッセンス素子とを前記接着剤を介して貼合する貼合工程と、回収工程とを有する製造装置を有し、前記製造装置は、前記第1供給工程又は前記第2供給工程から前記貼合工程の間に少なくとも1つの洗浄工程を有し、前記洗浄工程で、前記封止部材の前記接着剤の配置面、前記封止部材又は前記有機エレクトロルミネッセンス素子に配置された前記接着剤の貼合面、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の前記接着剤の配置面の何れかを洗浄することで、前記貼合工程で前記有機エレクトロルミネッセンス素子と前記封止部材とを貼合終了後、前記封止部材と前記接着剤との貼合面、前記接着剤の層中、前記接着剤と前記有機エレクトロルミネッセンス素子との貼合面の何れかに混入する、粒径1μm以上の異物の個数を100個/cm2以下にすることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【0014】
2.前記洗浄工程は第1供給工程と配置工程との間に配設されており、封止部材の接着剤の配置面又は有機エレクトロルミネッセンス素子に配置された該接着剤の表面を洗浄することを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【0015】
3.前記洗浄工程は配置工程と第2供給工程との間に配設されており、封止部材に配置されたの接着剤の貼合面又は有機エレクトロルミネッセンス素子の該接着剤の配置面を洗浄することを特徴とする前記1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【0016】
4.前記洗浄工程は第2供給工程と貼合工程の間に配設されており、有機エレクトロルミネッセンス素子に配置された接着剤の表面を洗浄することを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【0017】
5.前記洗浄工程は第1供給工程と貼合工程の間に配設されており、封止部材に配置された接着剤の表面を洗浄することを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【0018】
6.前記貼合工程は、クリーン度クラス1000(米国連邦規格209D)以下の環境であることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【0019】
7.前記基板と封止部材又はどちらか一方が、樹脂基材と、ガスバリア層とを有する可撓性封止部材であることを特徴とする前記1〜6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【0020】
8.前記基板と封止部材又はどちらか一方が、ガラス板であることを特徴とする前記1〜6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【0021】
9.前記基板と封止部材又はどちらか一方が、金属シートであることを特徴とする前記1〜6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【0022】
10.基板の上に第1電極と、発光層を含む少なくとも1層の有機化合物層と、第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子を接着剤層を介して封止部材により密着封止した有機エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、前記封止部材の貼合面、前記接着剤の層中、又は前記有機エレクトロルミネッセンス素子の貼合面の何れかに混入する、粒径1μm以上の異物の個数が100個/cm2以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【0023】
11.前記基板と封止部材又はどちらか一方が樹脂基材とガスバリア層とを有する可撓性部材であることを特徴とする前記10に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル素子。
【0024】
12.前記基板と封止部材又はどちらか一方が、ガラスであることを特徴とする前記10に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【0025】
13.前記基板と封止部材又はどちらか一方が、金属シートであることを特徴とする前記10に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【発明の効果】
【0026】
密着タイプの封止方法で封止した有機ELパネルを製造するために、封止部材を接着剤で固着する時、工程を増やすことなく、有機EL素子の性能劣化を生じさせない有機ELパネルの製造方法及び有機ELパネルを提供することが出来、工程を増やすことなく、生産効率を下げずに、高品質の薄型・軽量の有機ELパネルの生産が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施の形態を図1〜図9を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
図1は有機ELパネルの層構成の一例を示す概略断面図である。
【0029】
図中、1は有機ELパネルを示す。有機ELパネル1は、基板101上に、第1電極を含む陽極層102と、正孔輸送層(正孔注入層)103と、有機化合物層(発光層)104と、電子注入層105と、第2電極を含む陰極層106と、接着剤層107と、封止部材108とをこの順番に有している。本図に示される有機ELパネルにおいて、第1電極を含む陽極層102と正孔輸送層103の間に正孔注入層(不図示)を設けてもよい。又、第2電極を含む陰極層106と有機化合物層(発光層)104と電子注入層105との間に電子輸送層(不図示)を設けてもよい。102aは第1電極の外部取り出し用電極を示し、102bは第2電極の外部取り出し用電極を示す。
【0030】
本図に示す有機ELパネルの層構成は一例を示したものであるが、他の代表的な有機EL素子の層構成としては次の構成が挙げられる。
【0031】
(1)基板/陽極(第1電極)/発光層/電子輸送層/陰極(第2電極)/封止部材
(2)基板/陽極(第1電極)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極(第2電極)/封止部材
(3)基板/陽極(第1電極)/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極(第2電極)/封止部材
(4)基板/陽極(第1電極)/陽極バッファー層(正孔注入層)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極(第2電極)/封止部材
有機ELパネルの場合、通常、陽極(第1電極)102側が観察側になり、陽極(第1電極)102には、ITO(酸化スズと酸化インジウム混合物)、IZO(酸化亜鉛と酸化インジウム混合物)、ZnO、SnO2、In23等が知られている。中でも、ITO電極は、90%以上の高い光透過率と、10Ω/□以下の低いシート抵抗値が可能で、液晶ディスプレイや太陽電池などの透明電極としても用いられている。又、IZO電極は、形成時に基板を加熱せずに所定の低い抵抗値が得られ、ITO電極よりも膜表面が平滑であるという利点がある。
【0032】
本発明は図1に示す撓性封止部材を使用し、ガラス基板上に少なくとも1つ形成された有機EL素子を封止部材を使用し接着剤を介して密着封止する時に、封止部材と接着剤との貼合面、接着剤層中、接着剤と有機EL素子との貼合面の何れかに混入する異物の大きさと個数とを規定した有機ELパネルの製造方法及び有機ELパネルに関するものである。尚、接着剤層中の異物とは封止部材と接着剤との貼合面及び接着剤と有機EL素子との貼合面において、接着剤層中に押し込まれた状態を指す。
【0033】
図2は図1のTで示される部分の拡大概略断面図である。
【0034】
封止部材108は樹脂基材108aと、ガスバリア層108bとを有する可撓性封止部材で構成されている。尚、ガスバリア層108bの上(本図ではガスバリア層108bと接着剤層の間となる)に保護層(不図示)を設けてもよい。樹脂基材108aは単体でもよいし、積層体であってもよく必要に応じて適宜選択することが可能である。ガスバリア層108bは単体でもよいし、積層体であってもよく必要に応じて適宜選択することが可能である。封止部材108は接着剤を介して第2電極上及び第2電極の周面に貼合されている。
【0035】
本図では封止部材108として、樹脂基材108aと、ガスバリア層108bとを有する可撓性封止部材を使用した場合を示しているが、他の封止部材108としては、ガラス板、金属シートを使用することが可能となっている。
【0036】
ガスバリア層108bの特性としては、水蒸気透過度は、有機層の結晶化、第2電極の剥離等によりダークスポットの発生、及び有機EL素子の長寿命化等を考慮し、0.01g/m2・day以下であることが好ましい。水蒸気透過度はJIS K7129B法(1992年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した値を示す。
【0037】
酸素透過度は、有機層の結晶化、第2電極の剥離等によりダークスポットの発生、及び有機ELス素子の長寿命化等を考慮し、0.01ml/m2・day・atm以下であることが好ましい。酸素透過度はJIS K7126B法(1987年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した値である。
【0038】
使用する可撓性封止部材の厚さは、製造時の取扱い性、引っ張り強さやガスバリア層の耐ストレスクラッキング性等を考慮し、10〜500μmが好ましい。厚さは、マイクロメータを使用し、縦方向、幅方向で各10箇所を測定した平均値を示す。
【0039】
可撓性封止部材の封止時のASTM D570に準じて測定した水分量は、可撓性封止部材の持ち込み水分により有機層の結晶化、第2電極の剥離等によりダークスポットの発生、及び有機EL素子の長寿命化等を考慮し、1.0%以下が好ましい。
【0040】
本発明に使用する可撓性封止部材を構成している樹脂基材108aとしては特に限定はなく、例えばエチレンテトラフルオロエチル共重合体(ETFE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、延伸ポリプロピレン(0PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、延伸ナイロン(ONy)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリエーテルスチレン(PES)など一般の包装用フィルムに使用されている熱可塑性樹脂フィルム材料を使用することが出来る。又、これら熱可塑性樹脂フィルムは、必要に応じて異種フィルムと共押出しで作った多層フィルム、延伸角度を変えて貼り合せて作った多層フィルム等も当然使用出来る。更に必要とする物性を得るために使用するフィルムの密度、分子量分布を組合せて作ることも当然可能である。
【0041】
防湿層としては、無機蒸着膜、金属箔が挙げられる。無機蒸着膜としては薄膜ハンドブックp879〜p901(日本学術振興会)、真空技術ハンドブックp502〜p509、p612、p810(日刊工業新聞社)、真空ハンドブック増訂版p132〜p134(ULVAC 日本真空技術K.K)に記載されている如き無機膜が挙げられる。例えば、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2、Cr23、Sixy(x=1、y=1.5〜2.0)、Ta23、ZrN、SiC、TiC、PSG、Si34、SiN、単結晶Si、アモルファスSi、W、等が用いられる。
【0042】
又、金属箔の材料としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料や、ステンレス、アルミニウム合金などの合金材料を用いることが出来るが、加工性やコストの面でアルミニウムが好ましい。膜厚は、1〜100μm程度、好ましくは10μm〜50μm程度が望ましい。
【0043】
使用するガラス板の厚さは、製造時の取扱い性及びパネルの薄板化等を考慮し、0.1〜2.0mmが好ましい。厚さは、マイクロメータを使用し、縦方向、幅方向で各10箇所を測定した平均値を示す。ガラスとしては特に限定はなく、例えば珪酸塩ガラス、珪酸アルカリガラス、鉛アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、バリウムガラス、硼珪酸ガラス、燐酸塩ガラス等が挙げられる。
【0044】
使用する金属シートの厚さは、製造時の取扱い性及びパネルの薄板化等を考慮し、20μm〜2mmが好ましい。厚さは、マイクロメータを使用し、縦方向、幅方向で各10箇所を測定した平均値を示す。金属としては特に限定はなく、例えばアルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料や、ステンレス、アルミニウム合金などの合金材料等が挙げられる。
【0045】
図3は封止部材により密着封止した有機ELパネルの製造工程の模式図である。本図で示す製造工程は封止部材に接着剤を配置する場合を示している。
【0046】
図中、2は製造工程を示す。製造工程2は、封止部材201aの第1供給工程201と、有機EL素子202aの第2供給工程202と、接着剤の配置工程203と、封止部材201aと有機EL素子202aとを接着剤を介して貼合する貼合工程204と、回収工程205と、洗浄工程206a〜206cとを有している。
【0047】
第1供給工程201は有機EL素子202aの大きさに断裁された枚葉状態の封止部材201aの保管箱201bと、保管箱201bから封止部材201aを取り出す吸引板201c1を備えた供給ロボット201cを有している。供給ロボット201cは上下方向(図中の矢印A方向)の移動、水平方向(図中の矢印B方向)の移動及び回転(図中の矢印C方向)移動が可能となっている。
【0048】
供給ロボット201cにより保管箱201bから取り出された封止部材201aは載置台207に載置される。載置台207は載置され封止部材201aを固定するため吸引手段(不図示)を有していることが好ましい。又、接着剤の配置工程203で封止部材201aに接着剤を配置する時の位置合わせのためX軸、Y軸方向への移動及び角度の変更が可能となっている。封止部材201aは載置台207に載置され固定した後、移動手段により洗浄工程206aに送られる。尚、載置台207は第1供給工程201から貼合工程204を移動手段(不図示)によりガイドレール208に沿って順次移動可能となっている。載置台207は移動手段によりガイドレール208に沿って各工程に移動する時、各工程には載置台207に付けられたアライメントマーク(不図示)を検出する検出装置(不図示)が設けられており、検出装置(不図示)の情報に従って本体内の規定された位置に停止するように制御されている。検出装置(不図示)の種類としては特に限定はなく、例えばCCDカメラによる画像認識手段等が挙げられる。
【0049】
洗浄工程206aでは第1供給工程201と接着剤の配置工程203との間に配設されており、封止部材201aの接着剤が配置される面を接着剤が配置される前に洗浄が行われる。洗浄工程206aの前又は洗浄工程206aに、帯電除去手段(不図示)を配設することが好ましく、特に接触によるゴミの発生を避けるため非接触式の帯電除去手段(不図示)が更に好ましく、例えばコロナ放電式イオナイザー、軟X線式イオナイザー、紫外線照射方式イオナイザー等が挙げられる。
【0050】
洗浄工程206aは洗浄装置206a1を有しており、洗浄装置206a1としてはドライ洗浄方式が好ましく、例えばガス吹き付け、超音波ガス吹き付け、ガス吹き付けと吸引方式の併用方式、超音波ガス吹き付けと吸引方式の併用方式、粘着ロール方式等が挙げられる。ガスの種類としては特に限定はなく、有機EL素子への化学的ダメージを考慮し、不活性ガスが好ましく、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスが挙げられる。本図の場合はガス吹き付けと吸引方式の併用方式の場合を示している。尚、洗浄手段206a1に付いては図5で説明する。
【0051】
洗浄工程206aで洗浄した後、載置台に載置した状態で接着剤の配置工程203へ移動手段(不図示)により移動する。
【0052】
配置工程203は接着剤の配置装置203aを有している。配置装置203aとしては、使用する接着剤が溶融タイプと、シート状タイプの場合があるため接着剤の種類に応じて対応することが可能である。例えば接着剤が溶融タイプの場合、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等の接着剤、エポキシ系などの熱及び化学硬化型(二液混合)等の接着剤、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤等が挙げられる。これらの中で、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤が、生産効率、膜厚安定性を考慮し、スクリーン印刷で塗設することが好ましい。
【0053】
シート状タイプの場合、シート状の接着剤と、熱可塑性樹脂とが挙げられる。シート状の接着剤としては、常温(25℃程度)では非流動性を示し、且つ、加熱すると50℃〜100℃の範囲で流動性を発現し、シート状に成形された接着剤を言う。使用する接着剤としては、例えば分子の末端又は側鎖にエチレン性二重結合を有する化合物と、光重合開始剤とを主成分とする光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、JIS K 7210規定のメルトフローレートが5〜20g/10minである熱可塑性樹脂が好ましく、更に好ましくは、6〜15g/10min以下の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂は、上記数値を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば機能性包装材料の新展開株式会社東レリサーチセンター記載の高分子フィルムである低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレンHDPE、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン(CPP)、OPP、ONy、PET、セロハン、ポリビニルアルコール(PVA)、延伸ビニロン(OV)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVOH)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン(PVDC)等の使用が可能である。これらの熱可塑性樹脂の中で特にLDPE、LLDPE及びメタロセン触媒を使用して製造したLDPE、LLDPE、又、LDPE、LLDPEとHDPEフィルムの混合使用した熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。配置方法は一般的に知られている各種の方法、例えばウェットラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、熱ラミネート法を利用することが可能である。
【0054】
配置する接着剤の厚さは、溶融タイプ、シート状タイプ共に硬化反応時間、有機層への影響、端部からの水分浸透等を考慮し、5〜100μmが好ましい。封止部材に接着剤を配置した後、載置台に載置した状態で洗浄工程206cに移動手段(不図示)によりガイドレール208に沿って移動する。
【0055】
洗浄工程206cは接着剤の配置工程203と貼合工程204との間に配設されており、封止部材201aに配置された接着剤の面の洗浄が行われる。洗浄工程206cに、帯電除去手段(不図示)を配設することが好ましく、特に接触によるゴミの発生を避けるため非接触式の帯電除去手段(不図示)が更に好ましく、例えばコロナ放電式イオナイザー、軟X線式イオナイザー、紫外線照射方式イオナイザー等が挙げられる。
【0056】
洗浄工程206cは洗浄装置206c1を有している。洗浄装置206c1としてはドライ洗浄方式が好ましく、例えばガス吹き付け、超音波ガス吹き付け、ガス吹き付けと吸引方式の併用方式、超音波ガス吹き付けと吸引方式の併用方式等が挙げられる。
【0057】
第2供給工程202は有機EL素子202aの棚式保管箱202bと、棚式保管箱202bから有機EL素子202aを取り出す2本の取り出しアーム202c1を備えた供給ロボット202cを有している。取り出しアーム202c1cは棚式保管箱202bに保管保管されている有機EL素子202aの両端を保持するために水平方向(図中の矢印D方向)の移動及び保持した状態で載置台209に有機EL素子202aを載置するため及び棚式保管箱202bの上段から下段に納められている有機EL素子202aを取り出すために上下方向(図中の矢印E方向)への移動が可能となっている。供給ロボット202cにより棚式保管箱202bから取り出された有機EL素子202aは載置台209に載置され移動手段により洗浄工程206bに送られる。棚式保管箱202bに保管されている有機EL素子202aは表面(封止部材を貼合する面)が下向きの状態となっている。載置台209は有機EL素子202aの4端辺を保持し、中央部分は洗浄工程206bで有機EL素子202aの表面を下側から洗浄するため空洞となっている。
【0058】
洗浄工程206bは第2供給工程202と貼合工程204との間に配設されており、有機EL素子202aの封止部材201aにより封止される面を封止部材201aが貼合される前に洗浄が行われる。洗浄工程206bの前又は洗浄工程206bに、帯電除去手段(不図示)を配設することが好ましく、特に接触による有機EL素子202aの第2電極面の損傷を避けるため非接触式の帯電除去手段(不図示)が更に好ましく、例えばコロナ放電式イオナイザー、軟X線式イオナイザー、紫外線照射方式イオナイザー等が挙げられる。
【0059】
洗浄工程206bは洗浄装置206b1を有している。洗浄装置206b1としてはドライ洗浄方式が好ましく、例えばガス吹き付け、超音波ガス吹き付け、ガス吹き付けと吸引方式の併用方式、超音波ガス吹き付けと吸引方式の併用方式等が挙げられる。洗浄装置206b1に付いては図6で説明する。洗浄工程206bで洗浄した後、載置台209に載置した状態で貼合工程204へ移動手段(不図示)により移動する。
【0060】
貼合工程204は供給ロボット204aと、貼合装置204bと、硬化処理装置204cとを有している。供給ロボット204aは、供給ロボット201cと同じ機構、機能を有しており、上下方向(図中の矢印G方向)の移動、水平方向(図中の矢印H方向)の移動及び回転(図中の矢印I方向)移動が可能となっている。貼合工程204では、載置台207の上に載置されている封止部材201aの接着剤201a1面へ、供給ロボット204aにより、載置台208に載置した状態の洗浄済みの有機EL素子202aの第2電極側を重ね合わせ、この後、貼合装置204bで圧着し、硬化処理装置204cで処理することで封止部材201aによる有機EL素子202aの密着封止が終了し有機ELパネルが出来上がる。密着封止が終了した後、回収工程205で回収される。尚、貼合装置204bによる貼合時の面圧は、封止部材の貼合性、有機EL素子のダメージ等を考慮し、0.5×104Pa〜9.8×104Paが好ましい。貼合装置204bによる貼合は、気泡の混入を考慮し、1Pa〜30kPaの減圧環境下で行うことが好ましい。
【0061】
硬化処理装置204cは使用する接着剤の種類に応じて変更することが可能である。例えば、接着剤が熱硬化型の場合は加熱装置を有した硬化処理装置となり、又、紫外線硬化型の場合は紫外線照射装置を有した硬化処理装置となる。選定する接着剤の硬化時間とタクトにより、硬化処理装置204cは仮硬化装置及び本硬化装置としての使い分けが可能である。尚、本図では貼合装置204bと硬化処理装置204cとを分離した場合を示しているが、貼合装置204bに硬化処理装置204cの機能を持たせることも可能である。以上の硬化処理装置204cによる硬化処理までは、有機EL素子の劣化による寿命低減の観点より、水分濃度、酸素濃度が低いことが重要であり、好ましくは水分濃度10ppm以下、酸素濃度10ppm以下の環境下で行うことが好ましい。
【0062】
本図に示される洗浄工程206a〜206cの洗浄装置206a1〜206c1は、異なっていてもよく、且つ第1供給工程201から貼合工程の間に少なくとも1つの洗浄工程を有していればよい。本図では、第1供給工程201と接着剤の配置工程203との間、第2供給工程202と貼合工程204との間、接着剤の配置工程203と貼合工程204との間に配設された場合を示している。又、洗浄装置206a1〜206c1も同じ方式の場合を示している。
【0063】
図4は封止部材により密着封止した有機ELパネルの他の製造工程の模式図である。本図で示す製造工程は有機EL素子に接着剤を配置する場合を示している。
【0064】
図中、3は製造工程を示す。製造工程3は、有機EL素子301aの第2供給工程301と、封止部材302aの第1供給工程302と、接着剤の配置工程303と、有機エレクトロルミネッセンス素子301aと封止部材302aとを接着剤を介して貼合する貼合工程304と、回収工程305と、洗浄工程306a〜306cとを有している。
【0065】
第2供給工程301は有機EL素子301aの棚式保管箱301bと、棚式保管箱301bから有機EL素子301aを取り出す2本の取り出しアーム301c1を備えた供給ロボット301cを有している。取り出しアーム301c1cは棚式保管箱301bに保管保管されている有機EL素子301aの両端を保持するために水平方向(図中の矢印J方向)の移動及び保持した状態で載置台307に有機EL素子301aを載置するため及び棚式保管箱301bの上段から下段に納められている有機EL素子301aを取り出すために上下方向(図中の矢印K方向)への移動が可能となっている。供給ロボット301cにより棚式保管箱301bから取り出された有機EL素子301aは載置台307に載置され固定した後、移動手段(不図示)により移動用のガイドレール308に沿って移動手段により洗浄工程306aに送られる。棚式保管箱301bに保管されている有機EL素子301aは表面(封止部材を貼合する面)が上向きの状態となっている。有機EL素子301aは載置台307に載置され固定した後、移動手段(不図示)により移動用のガイドレール308に沿って洗浄工程306aに送られる。載置台307は図3に示す載置台207と同じ機構、機能を有しているので説明は省略する。
【0066】
洗浄工程306aでは第2供給工程301と接着剤の配置工程303との間に配設されており、有機EL素子301aの接着剤が配置される面を接着剤が配置される前に洗浄が行われる。洗浄工程306aの前又は洗浄工程306aの中に、帯電除去手段(不図示)を配設することが好ましく、特に接触による第2電極の損傷を避けるため、非接触式の帯電除去手段(不図示)が更に好ましく、例えばコロナ放電式イオナイザー、軟X線式イオナイザー、紫外線照射方式イオナイザー等が挙げられる。
【0067】
洗浄工程306aは洗浄装置306b1を有している。洗浄装置306b1としてはドライ洗浄方式が好ましく、例えば空気吹き付け、超音波空気吹き付け、空気吹き付けと吸引方式の併用方式、超音波空気吹き付けと吸引方式の併用方式等が挙げられる。洗浄装置306a1に付いては図3に示した洗浄装置206a1と同じ構造を有している。洗浄工程306bで洗浄した後、載載置台307に載置した状態で貼合工程304へ移動手段(不図示)によりガイドレール308に沿って移動する。
【0068】
配置工程303は接着剤の配置装置303aを有している。配置装置303aとしては、使用する接着剤が溶融タイプと、シート状タイプの場合があるため接着剤の種類に応じて対応することが可能であり、図3に示す接着剤の配置装置203aと同じ機能、構造を有している。又、使用する接着剤も図3に示す接着剤の配置装置203aと同じものの使用が可能である。配置する接着剤の厚さは、溶融タイプ、シート状タイプ共に硬化反応時間、有機層への影響、端部からの水分浸透等を考慮し、5〜100μmが好ましい。
【0069】
有機EL素子301aに接着剤を配置した後、載置台に載置した状態で洗浄工程306cに移動手段(不図示)によりガイドレール308に沿って移動する。
【0070】
洗浄工程306cは接着剤の配置工程303と貼合工程304との間に配設されており、有機EL素子301aに配置された接着剤の面の洗浄が行われる。洗浄工程306cに、帯電除去手段(不図示)を配設することが好ましく、特に接触によるゴミの発生を避けるため非接触式の帯電除去手段(不図示)が更に好ましく、例えばコロナ放電式イオナイザー、軟X線式イオナイザー、紫外線照射方式イオナイザー等が挙げられる。洗浄工程306cは洗浄装置306c1を有している。洗浄装置306c1は、洗浄装置306a1と同じ構造を有している。
【0071】
第1供給工程302は有機EL素子301aの大きさに断裁された枚葉状態の封止部材302aの保管箱302bと、保管箱302bから封止部材302aを取り出す吸引板302c1を備えた供給ロボット302cを有している。供給ロボット302cは図3に示す供給ロボット201cと同じ機構、機能を有している。供給ロボット302cにより保管箱302bから取り出された封止部材302aは載置台309に載置され移動手段により洗浄工程306bに送られる。棚式保管箱302bに保管されている封止部材302aは表面(有機EL素子301aを貼合する面)が下向きの状態となっている。載置台309は封止部材302aの4端辺を保持し、中央部分は洗浄工程306bで封止部材302aの表面を下側から洗浄するため空洞となっている。載置台309は図3に示す載置台209と同じ構造を有していることが好ましい。
【0072】
洗浄工程306bは第1供給工程302と貼合工程304との間に配設されており、封止部材302aの有機EL素子301a上の接着剤と貼合する面の洗浄が貼合する前に行われる。洗浄工程306aの前又は洗浄工程306aに、帯電除去手段(不図示)を配設することが好ましく、特に接触によるゴミの発生を避けるため非接触式の帯電除去手段(不図示)が更に好ましく、例えばコロナ放電式イオナイザー、軟X線式イオナイザー、紫外線照射方式イオナイザー等が挙げられる。
【0073】
洗浄工程306bの洗浄装置306b1としては、図3に示した洗浄装置206b1と同じ構造を有しており、封止部材の洗浄方法も同じである。洗浄工程306aで洗浄した後、載置台に載置した状態で貼合工程304へ移動手段(不図示)により移動用のガイドレール308に沿って移動する。
【0074】
貼合工程304は供給ロボット304aと、貼合装置304bと、硬化処理装置304cとを有している。供給ロボット304aは図3に示す供給ロボット204aと同じ機構、機能を有している。貼合工程304では、載置台307の上に載置されている有機EL素子301aの接着剤面301a1面へ、供給ロボット304aにより、載置台309に載置した状態の洗浄済みの封止部材302aを重ね合わせ、この後、貼合装置304bで圧着し、硬化処理装置304cで処理することで封止部材302aによる有機EL素子301aの密着封止が終了し有機ELパネルが出来上がる。密着封止が終了した後、回収工程305で回収される。尚、貼合装置304bによる貼合時の面圧は、封止部材の貼合性、有機EL素子のダメージ等を考慮し、0.5×104Pa〜9.8×104Paが好ましい。貼合装置304bによる貼合は、気泡の混入を考慮し、1Pa〜30kPaの減圧環境下で行うことが好ましい。
【0075】
硬化処理装置304cは使用する接着剤の種類に応じて変更することが可能である。例えば、接着剤が熱硬化型の場合は加熱装置を有した硬化処理装置となり、又、紫外線硬化型の場合は紫外線照射装置を有した硬化処理装置となる。選定する接着剤の硬化時間とタクトにより、硬化処理装置304cは仮硬化装置及び本硬化装置としての使い分けが可能である。尚、本図では貼合装置304bと硬化処理装置304cとを分離した場合を示しているが、貼合装置304bに硬化処理装置304cの機能を持たせることも可能である。以上の硬化処理装置304cによる硬化処理までは、有機EL素子の劣化による寿命低減の観点より、水分濃度、酸素濃度が低いことが重要であり、好ましくは水分濃度10ppm以下、酸素濃度10ppm以下の環境下で行うことが好ましい。
【0076】
本図に示される洗浄工程306a〜306cの洗浄装置306a1〜306c1は、異なっていてもよく、且つ第2供給工程301から貼合工程303の間に少なくとも1つの洗浄工程を有していればよい。本図では、第2供給工程301と接着剤の配置工程303との間、第1供給工程302と貼合工程304との間、接着剤の配置工程303と貼合工程304との間に配設された場合を示している。又、洗浄装置306a1〜306c1も同じ方式で且つ図3に示す洗浄装置306a1〜306c1と同じ場合を示している。
【0077】
図5は図3に示す第1供給工程の洗浄装置の拡大概略図である。
【0078】
洗浄装置206a1は、側壁206a5と、側壁206a6と、底面206a7と、天面206a8と、入り口206a2と、出口206a9とを有する箱形構造を有している。入り口206a2はシャッタ206a10を有し、出口206a9もシャッタ206a11を有しており、洗浄効果を上げるため洗浄中は閉じ、洗浄後は開ける様になっている。206a12は空気供給ポンプ(不図示)に繋がっているガス供給管を示し、206a13は吸引ポンプ(不図示)に繋がっている排気管を示し、天面206a8に取り付けられている。206a14は洗浄装置206a1の中に取り付けられたヘッダを示し、複数の空気吹き出し用のノズル206a15を有している。ノズル206a15はガス吹き付け面(本図の場合は、載置台207上の封止部材201aの表面)に対して、異物除去性能、乱流による異物再付着防止、等を考慮し、30〜90°の角度でヘッダ206a14に取り付けられている。ガス供給管206a12からヘッダ206a14に送られたガスはノズル206a15から封止部材201aの表面に吹き付けられ、排気管206a13から排気され封止部材201aの表面の洗浄が行われる。図中の矢印は、空気の流れを示す。
【0079】
ガス吹き付けと吸引方式の併用方式による封止部材が樹脂基材とガスバリア層とから構成される封止部材の場合の洗浄条件としては、例えばガスの吹き付け風量5.5m3/min、ガスの吹き付け風速100m/sec、時間3minが挙げられる。
【0080】
封止部材がガラス板の場合の洗浄条件としては、例えばガスの吹き付け風量7m3/min、ガスの吹き付け風速140m/sec、時間3minが挙げられる。
【0081】
封止部材が金属シートの場合の洗浄条件としては、例えばガスの吹き付け風量8m3/min、ガスの吹き付け風速150m/sec、時間3minが挙げられる。
【0082】
尚、ガスの吹き付け風量は、ガス供給管内の風量を風量計により測定した値とガス供給管の断面積から算出した値を示す。ガスの吹き付け風速は、風量とノズル断面積から算出したガス吹き出し部の平均風速値を示す。
【0083】
尚、洗浄装置206c1も本図に示される洗浄装置206a1と同じ構造を有しており、封止部材の上に配置された接着剤の表面の洗浄条件としては、例えばガスの吹き付け風量7m3/min、ガスの吹き付け風速140m/sec時間3minが挙げられる。
【0084】
上記条件は、封止部材が可撓性部材、ガラス板、金属シートの場合、何れも同じである。
【0085】
図4に示す洗浄装置306a1も本図に示される洗浄装置206a1と同じ構造を有しており、空気吹き付けと吸引方式の併用方式による基材にガラスを使用した有機EL素子の場合の洗浄条件としては、例えばガスの吹き付け風量5.5m3/min、ガスの吹き付け風速100m/sec、時間3minが挙げられる。
【0086】
基材に可撓性基材を使用した場合の洗浄条件としては、例えばガスの吹き付け風量7m3/min、ガスの吹き付け風速140m/sec、時間3minが挙げられる。
【0087】
基材に金属シートを使用したの場合の洗浄条件としては、例えばガスの吹き付け風量8m3/min、ガスの吹き付け風速150m/sec、時間3minが挙げられる。
【0088】
図4に示される洗浄装置306c1も本図に示される洗浄装置206a1と同じ構造を有しており、有機EL素子の上に配置された接着剤の表面の洗浄条件としては、例えばガスの吹き付け風量7m3/min、ガスの吹き付け速度風速140m/sec時間3minが挙げられる。上記条件は、基板が可撓性部材、ガラス板、金属シートの場合、何れも同じである。
【0089】
図6は図3に示す第2供給工程の洗浄装置の拡大概略図である。図6(a)は図3に示す第2供給工程の洗浄装置の拡大概略斜視図である。図6(b)は図6(a)のB−B′に沿った拡大概略断面図である。
【0090】
洗浄装置206b1は、側壁206b5と、側壁206b6と、底面206b7と、天面206b8と、入り口206a2と、出口206b9とを有する箱形構造を有している。入り口206b2はシャッタ206b10を有し、出口206b9もシャッタ206b11を有しており、洗浄効果を上げるため洗浄中は閉じ、洗浄後は開ける様になっている。206b12はガス供給ポンプ(不図示)に繋がっているガス供給管を示し、側壁206b5に取り付けられている。206b13は吸引ポンプ(不図示)に繋がっている排気管を示し、側壁206b6に取り付けられている。206b14は洗浄装置206b1の中に取り付けられたヘッダを示し、複数の空気吹き出し用のノズル206b15を有している。ノズル206b15は空気吹き付け面(本図の場合は、載置台207上の封止部材201aの表面)に対して、異物除去性能、乱流による異物再付着防止、等を考慮し、30〜90°の角度でヘッダ206b14に取り付けられている。206b16は載置台209に載置された有機EL素子202aを洗浄時に動かない様にするため裏面側から押し、載置台208に固定する押圧板を示す。206b17は押圧板206b16を上下方向(図中の矢印L方向)に移動させる移動軸を示し、駆動源206b18に繋がっている。
【0091】
ガス供給管206b12からヘッダ206b14に送られたガスは載置台209の空洞209aへノズル206b15から供給され、有機EL素子202aの表面に下側から吹き付けられ洗浄が行われる。洗浄に使用されたガスは載置台の側面から排気管206b13で排気される。図中の矢印Mは、ガスの流れを示す。
【0092】
本図に示す洗浄装置206b1による有機EL素子202aの表面の洗浄条件を以下に示す。有機EL素子202aの基板が可撓性部材の場合の洗浄条件としては、例えばガスの吹き付け風量5.5m3/min、ガスの吹き付け風速100m/sec、時間3minが挙げられる。
【0093】
有機EL素子202aの基板がガラス板の場合の洗浄条件としては、例えばガスの吹き付け風量5.5m3/min、ガスの吹き付け風速100m/sec、時間3minが挙げられる。
【0094】
有機EL素子202aの基板が金属シートの場合の洗浄条件としては、例えばガスの吹き付け風量5.5m3/min、ガスの吹き付け風速100m/sec、時間3minが挙げられる。尚、ガスの吹き付け風量は、ガス供給管内の風量を風量計により測定した値とガス供給管の断面積から算出した値を示す。ガスの吹き付け速度は、風量とノズル断面積から算出したガス吹き出し部の平均風速値を示す。
【0095】
尚、図4に示される第1供給工程302の洗浄工程302bの洗浄装置306b1も本図に示される洗浄装置206b1と同じ構造を有しており、載置台304上に載置された封止部材の有機EL素子との貼合面の洗浄条件としては、例えばガスの吹き付け風量7m3/min、ガスの吹き付け風速140m/sec時間3minが挙げられる。上記条件は、封止部材が可撓性部材、ガラス板、金属シートの場合、何れも同じである。
【0096】
図5及び図6に示す洗浄装置を使用し、先に示した条件で洗浄することで貼合工程で有機エレクトロルミネッセンス素子と封止部材とを貼合終了後、封止部材と接着剤層との貼合面、接着剤層中、接着剤層と有機エレクトロルミネッセンス素子との貼合面の何れかに混入する、粒径1μm以上の異物の個数を100個/cm2以下、好ましくは75個以下、特に好ましくは50個以下にすることが可能となる。
【0097】
粒径1μm以上の異物の個数が100個/cm2を越える場合は、異物噛み込みによる貼合圧着時の応力集中発生箇所が増大し、有機エレクトロルミネッセンス素子のダメージが発生する確率が増してしまう。
【0098】
尚、異物の測定は金属顕微鏡(オリンパス社製BX61)を使用し暗視野観察にて行った。貼合前の各部材(封止部材、有機EL素子、接着剤)貼合面について、試料1cm2をランダムに5箇所採取し、粒径1μm以上の異物をカウントした平均値を示し、各部材における平均値の合計を貼合終了後の貼合面に混入する異物個数とした。
また、封止部材が光透過性のある場合は、有機EL素子と封止部材とを貼合終了後、封止部材側面より同様な測定方法で異物をカウントし、貼合面に混入する異物個数とすることも可能である。尚、異物の粒径は金属顕微鏡(オリンパス社製BX61)で測定し、異物の投影形状における最大の長さを粒径とした。
【0099】
以下、本発明に係る有機EL素子を構成しているガスバリア層、第1電極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、第2電極、封止層等に付き説明する。
【0100】
本発明に係わる基板としては、枚葉基板、帯状可撓性基板が挙げられる。枚葉基板としては、透明ガラス板、金属シート、シート状透明樹脂フィルムが挙げられる。透明ガラス板としては封止部材と同じガラスの使用が可能である。金属シートとしては、封止部材と同じ金属シートの使用が可能である。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。帯状可撓性基板としては、透明樹脂フィルムが挙げられ、枚葉基板と同じ樹脂フィルムが使用可能である。
【0101】
基板として透明樹脂フィルムを使用する場合、樹脂フィルムの表面にはガスバリア膜が必要に応じて形成されることが好ましい。ガスバリア膜としては無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が挙げられる。ガスバリア膜の特性としては、水蒸気透過度が0.01g/m2・day・atm以下であることが好ましい。更には、酸素透過度10-3ml/m2/day以下、水蒸気透過度10-5g/m2/day以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
【0102】
ガスバリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることが出来る。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。ガスバリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることが出来るが、特開2004−68143号に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
【0103】
第1電極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。この様な電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。又、IDIXO(In23・ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、或いはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、又陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
【0104】
第1電極と発光層又は正孔輸送層の間、正孔注入層(陽極バッファー層)を存在させてもよい。正孔注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123−166頁)に詳細に記載されている。陽極バッファー層(正孔注入層)に使用する材料の一例としては、特開2000−160328号公報に記載されている材料が挙げられる。
【0105】
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることが出来る。正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性の何れかを有するものであり、有機物、無機物の何れであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
【0106】
正孔輸送材料としては上記のものを使用することが出来るが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0107】
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることも出来る。又、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することが出来る。
【0108】
又、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂p型正孔輸送材料を用いることも出来る。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
【0109】
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。又、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることも出来る。その例としては、特開平4−297076号、特開2000−196140号、特開2001−102175号、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。この様なp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の有機EL素子を作製することが出来るため好ましい。
【0110】
本発明に係わる、発光層とは青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を指す。発光層を積層する場合の積層順としては、特に制限はなく、又各発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい。本発明に係わる発光層においては、少なくとも一つの青発光層が、全発光層中最も陽極に近い位置に設けられていることが好ましい。又、発光層を4層以上設ける場合には、陽極に近い順から、例えば青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層/赤色発光層のように青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を順に積層することが、輝度安定性を高める上で好ましい。発光層を多層にすることで白色素子の作製が可能である。
【0111】
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性、発光に必要な電圧等を考慮し、通常2nm〜5μm、好ましくは2〜200nmの範囲で選ばれる。更に10〜20nmの範囲にあるのが好ましい。膜厚を20nm以下にすると電圧面のみならず、駆動電流に対する発光色の安定性が向上する効果があり好ましい。個々の発光層の膜厚は、好ましくは2〜100nmの範囲で選ばれ、2〜20nmの範囲にあるのが更に好ましい。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はないが、3発光層中、青発光層(複数層ある場合はその総和)が最も厚いことが好ましい。
【0112】
発光層は発光極大波長が各々430〜480nm、510〜550nm、600〜640nmの範囲にある発光スペクトルの異なる少なくとも3層以上の層を含む。3層以上であれば、特に制限はない。4層より多い場合には、同一の発光スペクトルを有する層が複数層あってもよい。発光極大波長が430〜480nmにある層を青発光層、510〜550nmにある層を緑発光層、600〜640nmの範囲にある層を赤発光層と言う。又、前記の極大波長を維持する範囲において、各発光層には複数の発光性化合物を混合してもよい。例えば、青発光層に、極大波長430〜480nmの青発光性化合物と、同510〜550nmの緑発光性化合物を混合して用いてもよい。
【0113】
発光層の材料として使用する有機発光材料は、(a)電荷の注入機能、すなわち、電界印加時に陽極或いは正孔注入層から正孔を注入することが出来、陰極或いは電子注入層から電子を注入することが出来る機能、(b)輸送機能、すなわち、注入された正孔及び電子を電界の力で移動させる機能、及び(c)発光機能、すなわち、電子と正孔の再結合の場を提供し、これらを発光に繋げる機能、の3つの機能を併せもつものであれば特に限定はない。例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤や、スチリルベンゼン系化合物を用いることが出来る。上記の蛍光増白剤の具体例としては、ベンゾオキサゾール系では、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4’−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、4,4’−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾオリル]スチルベン、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス[5−α,α−ジメチルベンジル−2−ベンゾオキサゾリル]チオフェン、2,5−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ビフェニル、5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−d]オキサゾール等が挙げられる。ベンゾチアゾール系では、2,2’−(p−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾール等が挙げられ、ベンゾイミダゾール系では、2−[2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等が挙げられる。更に、他の有用な化合物は、ケミストリー・オブ・シンセティック・ダイズ(1971),第628〜637頁及び第640頁に列挙されている。
【0114】
又、上記のスチリルベンゼン系化合物の具体例としては、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等が挙げられる。
【0115】
更に、上述した蛍光増白剤及びスチリルベンゼン系化合物以外にも、例えば、12−フタロペリノン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、ナフタルイミド誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラジリン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、スチリルアミン誘導体、クマリン系化合物、国際公開公報WO90/13148やAppl.Phys.Lett.,vol 58,18,P1982(1991)に記載されているような高分子化合物、芳香族ジメチリディン系化合物が挙げられる。芳香族ジメチリディン系化合物の具体例としては、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4’−フェニレンジメチリディン、2,5−キシリレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、4,4’−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、及びこれらの誘導体が挙げられる。又、上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
【0116】
その他、上述した有機発光材料をホストとし、当該ホストに青色から緑色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系或いは前記ホストと同様の蛍光色素をドープした化合物も、有機発光材料として好適である。有機発光材料として前記の化合物を用いた場合には、青色から緑色の発光(発光色はドーパントの種類によって異なる)を高効率で得ることが出来る。前記化合物の材料であるホストの具体例としては、ジスチリルアリーレン骨格の有機発光材料(特に好ましくは、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル)が挙げられ、前記化合物の材料であるドーパントの具体例としては、ジフェニルアミノビニルアリレーン(特に好ましくは、例えば、N,N−ジフェニルアミノビフェニルベンゼンや4,4’−ビス[2−[4−(N,N−ジ−p−トリル)フェニル]ビニル]ビフェニル)が挙げられる。
【0117】
発光層には、発光層の発光効率を高くするために公知のホスト化合物と公知の燐光性化合物(燐光発光性化合物とも言う)を含有することが好ましい。
【0118】
ホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃)において燐光発光の燐光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくは燐光量子収率が0.01未満である。ホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することが出来る。又、燐光性化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることが出来る。燐光性化合物の種類、ドープ量を調整することで白色発光が可能であり、照明、バックライトへの応用も出来る。
【0119】
これらのホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、尚且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。公知のホスト化合物としては、例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0120】
複数の発光層を有する場合、これら各層のホスト化合物の50質量%以上が同一の化合物であることが、有機層全体に渡って均質な膜性状を得やすいことから好ましく、更にはホスト化合物の燐光発光エネルギーが2.9eV以上であることが、ドーパントからのエネルギー移動を効率的に抑制し、高輝度を得る上で有利となることからより好ましい。燐光発光エネルギーとは、ホスト化合物を基板上に100nmの蒸着膜のフォトルミネッセンスを測定し、その燐光発光の0−0バンドのピークエネルギーを言う。
【0121】
ホスト化合物は、有機EL素子の経時での劣化(輝度低下、膜性状の劣化)、光源としての市場ニーズ等を考慮し、燐光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。すなわち、輝度と耐久性の両方を満足するためには、燐光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。Tgは、更に好ましくは100℃以上である。
【0122】
燐光性化合物(燐光発光性化合物)とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物である。先に説明したホスト化合物と合わせ使用することで、より発光効率の高い有機EL素子とすることが出来る。
【0123】
本発明に係る燐光性化合物は、燐光量子収率は好ましくは0.1以上である。上記燐光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定出来る。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定出来るが、本発明に用いられる燐光性化合物は、任意の溶媒の何れかにおいて上記燐光量子収率が達成されればよい。
【0124】
燐光性化合物の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光性化合物に移動させることで燐光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つは燐光性化合物がキャリアトラップとなり、燐光性化合物上出来ャリアの再結合が起こり燐光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、何れの場合においても、燐光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
【0125】
燐光性化合物は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることが出来る。燐光性化合物としては、好ましくは元素の周期表で8族−10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
【0126】
本発明においては、燐光性化合物の燐光発光極大波長としては特に制限されるものではなく、原理的には中心金属、配位子、配位子の置換基等を選択することで得られる発光波長を変化させることが出来る。
【0127】
本発明に係わる有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当て嵌めた時の色で決定される。
【0128】
本発明で言うところの白色素子とは、2℃視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/m2でのCIE1931 表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.07の領域内にあることを言う。
【0129】
電子注入層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり広い意味で電子輸送層に含まれる。電子注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。電子注入層(陰極バッファー層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
【0130】
他に発光層側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることが出来、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることが出来る。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることも出来る。
【0131】
又、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることが出来る。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることが出来る。又、ジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることが出来るし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることが出来る。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
【0132】
又、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることも出来る。その例としては、特開平4−297076号公報、特開平10−270172号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。この様なn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することが出来るため好ましい。
【0133】
第2電極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。この様な電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することが出来る。又、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の第1電極(陽極)又は第2電極(陰極)の何れか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
【0134】
又、第2電極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、第1電極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の第2電極(陰極)を作製することが出来、これを応用することで第1電極(陽極)と第2電極(陰極)の両方が透
過性を有する素子を作製することが出来る。
【0135】
本発明に係わる有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
【0136】
又、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
【0137】
本発明に係わる有機EL素子は、発光層で発生した光を効率よく取り出すために以下に示す方法を併用することが好ましい。有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光の内15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことが出来ないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
【0138】
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435)。基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)。素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)。基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)。基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)。基板、透明電極層や発光層の何れかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
【0139】
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。又、更に1.35以下であることが好ましい。低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。全反射を起こす界面もしくは何れかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることが出来る性質を利用して、発光層から発生した光の内、層間での全反射等により外に出ることが出来ない光を、何れかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
【0140】
回折格子を導入する位置としては前述の通り、何れかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。この時、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
【0141】
更に、本発明に係わる有機EL素子は、発光層で発生した光を効率よく取り出すために、基板の光取り出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、或いは、所謂集光シートと組合せることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることが出来る。マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大き過ぎると厚みが厚くなり好ましくない。
【0142】
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。この様なシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることが出来る。プリズムシートの形状としては、例えば基板に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。又、発光素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることが出来る。
【実施例】
【0143】
以下、実施例を挙げて本発明の具体的な効果を示すが、本発明の態様はこれに限定されるものではない
実施例1
〈有機EL素子の作製〉
基板上に第1電極と、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層と、第2電極とをこの順番で形成した、一つのドットの大きさが2mm×2mmで、7ドット×10ドットの合計70ドット(発光領域)で構成される有機EL素子を以下に示す方法で準備した。
【0144】
(基板の準備)
基板として厚さ1.1mm、幅40mm、長さ60mmのソーダ石灰ガラスを準備した。尚、ソーダ石灰ガラスの全面には、酸やアルカリから保護するためのシリカコートしたものを使用した。
【0145】
(第1電極の形成)
準備したガラス基板を波長184.2nmの低圧水銀ランプを使用し、照射強度15mW/cm2で、距離12mmで照射し洗浄を行った。この後、気相堆積装置を使用し、5×10-4Paの真空下にてインジウムチンオキシド(ITO)を使用し、準備したガラス基板の堆積膜形成領域(第1電極形成領域)に幅2mm、長さ58mm、間隔2mm、厚さ150nm、7列のパターン化した第1電極を形成した。
【0146】
(正孔輸送層の形成)
第1電極が形成されたガラス基板を使用し、ガラス基板上に形成された第1電極の外部取り出し電極形成用の端部を除き第1電極の上に、正孔輸送層形成用材料としてN,N′−ジフェニル−N,N′−m−トリル4,4′−ジアミノ−1,1′−ビフェニル(以下、TPD)を使用し、5×10-4Paの真空下にて気相堆積装置で蒸着(気相堆積)した。尚、正孔輸送層の厚さは50nmとした。
【0147】
(発光層の形成)
正孔輸送層が形成されたガラス基板を使用し、正孔輸送層の上に発光層形成用材料としてAlq3を使用し、5×10-4Paの真空下にて気相堆積装置で蒸着した。尚、発光層の厚さは50nmとした。
【0148】
(電子輸送層の形成)
発光層が形成されたガラス基板を使用し、発光層を含め正孔輸送層が形成された領域に、電子輸送層形成用材料としてLiFを使用し、5×10-4Paの真空下にて気相堆積装置でLiFを蒸着した。尚、電子輸送層の厚さは0.5nmとした。
【0149】
(第2電極の形成)
電子輸送層が形成されたガラス基板を使用し、図3に示す様に電子輸送層の上に第2電極形成用材料としてAlを使用し、5×10-4Paの真空下にて第2電極形成気相堆積装置でAlを蒸着した。尚、形成した第2電極は第1電極と直交する様に、幅2mm、長さ38mm、間隔2mm、厚さ150nm、10列のパターンとした。
【0150】
(封止部材の洗浄)
PET120μm/SiO30nmμm/SiN100nmの構成を有する可撓性封止部材を準備し、図3に示す製造装置の第1供給工程の図5に示す洗浄装置を使用し、表1に示す様な洗浄条件で可撓性封止部材の表面を洗浄しNo.1−1〜1−3とした。又、洗浄しない可撓性封止部材を準備しNo.1−4とした。使用した可撓性封止部材のJIS K7129B法(1992年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した水蒸気透過度は0.01g/m2・dayであった。JIS K7126B法(1987年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した酸素透過度は0.01ml/m2・day・atmであった。
【0151】
可撓性封止部材の表面の粒径1μm以上の異物の個数は次の方法で測定した。
【0152】
異物の個数
可撓性封止部材の表面1cm2をランダムに5箇所選択し、金属顕微鏡(オリンパス社製BX61)を使用し暗視野観察にて粒径1μm以上の異物をカウントした。5箇所の平均値を異物の個数とした。
【0153】
尚、角度は洗浄装置のノズルの載置台の上の封止部材の表面に対するガスの吹き付け角度を示す。
【0154】
【表1】

【0155】
(可撓性封止部材への接着剤の配置)
図3に示す製造工程の接着剤の配置装置を使用し、紫外線硬化型の液状接着剤(ThreeBond3124C(株)スリーボンド製)を使用し、準備した可撓性封止部材No.1−1〜1−4にスクリーン印刷法で厚さ50μmに配置した後、洗浄装置にて表2に示す様な洗浄条件で接着剤の表面を洗浄しNo.1−a〜1−eとした。又、接着剤の表面を洗浄しない可撓性封止部材を準備しNo.1−f〜1−hとした。
【0156】
接着剤の表面の粒径1μm以上の異物の個数は可撓性封止部材と同じ方法で測定した。
【0157】
尚、角度は洗浄装置のノズルの載置台の上の接着剤の表面に対するガスの吹き付け角度を示す。
【0158】
【表2】

【0159】
〈有機EL素子の洗浄〉
準備した有機EL素子の可撓性封止部材を貼合する面を図3に示す製造装置の第2供給工程の図6に示す洗浄装置にて表3に示す様な洗浄条件で有機EL素子の表面(封止部材を貼合する側)を洗浄しNo.1−A〜1−Cとした。又、有機EL素子の表面(封止部材を貼合する側)を洗浄しない有機EL素子を準備しNo.1−Dとした。
【0160】
有機EL素子の表面の粒径1μm以上の異物の個数は可撓性封止部材と同じ方法で測定した。尚、角度は洗浄装置のノズルの載置台の上の有機EL素子の表面に対するガスの吹き付け角度を示す。
【0161】
【表3】

【0162】
〈可撓性封止部材による有機EL素子の密着封止〉
図3に示す製造装置の貼合工程で、準備した各有機EL素子No.1−A〜1−Dと準備した各接着剤配置済み可撓性封止部材No.1−a〜1−hとを表4に示す様に組合せ貼合し、密着封止した有機ELパネルを作製、試料No.101〜132とした。尚、貼合は、1×10-2Paの減圧環境下で押圧力0.1MPaで圧着し、可撓性封止部材側より主波長365nmの紫外線を照射(100mW/cm2で90sec)により硬化処理を行った。尚、貼合工程は、クリーン度クラス1000(米国連邦規格209D)以下の環境で行った。
(評価)
作製した各試料No.101〜132に付き、ダークスポット(スポット状の非発光部)の発生割合を以下に示す試験方法により試験し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表4に示す。
ダークスポット発生割合の試験方法
定電圧電源を用いて、有機EL素子の1ドットに直流5Vを印加し、ダークスポットの有無をルーペ(倍率8倍)を用い目視にて観察した。70ドット(発光領域)全てにおいて測定を行い、ダークスポットの発生したドットの数からダークスポットの発生割合を算出した。
ダークスポット発生割合の評価ランク
◎:発生率0%(ダークスポットの発生が全くない。)
○:発生率1%以上5%未満
△:発生率5%以上20%未満
×:発生率20%以上50%未満
××:発生率50%以上
【0163】
【表4】

【0164】
本発明の有効性が確認された。
【0165】
実施例2
〈有機EL素子の準備〉
実施例1と同じ材料を使用し、同じ構成の有機EL素子を準備した。
【0166】
〈有機EL素子の洗浄〉
準備した有機EL素子の可撓性封止部材を貼合する面を図4に示す製造装置の第1供給工程の図5に示す洗浄装置にて表5に示す様な洗浄条件で有機EL素子の表面(封止部材を貼合する側)を洗浄しNo.2−A〜2−Cとした。又、有機EL素子の表面(封止部材を貼合する側)を洗浄しない有機EL素子を準備しNo.2−Dとした。
有機EL素子の表面の粒径1μm以上の異物の個数は次の方法で測定した。
【0167】
異物の個数
有機EL素子の表面1cm2をランダムに5箇所選択し、金属顕微鏡(オリンパス社製BX61)を使用し暗視野観察にて粒径1μm以上の異物をカウントした。5箇所の平均値を異物の個数とした。
【0168】
尚、角度は洗浄装置のノズルの載置台の上の有機EL素子の表面に対するガスの吹き付け角度を示す。
【0169】
【表5】

【0170】
(有機EL素子の表面への接着剤の配置及び接着剤表面の洗浄)
図4に示す製造工程の接着剤配置装置で、紫外線硬化型の液状接着剤(ThreeBond3124C(株)スリーボンド製)を使用し、準備した有機EL素子No.1−A〜1−Dの表面にスクリーン印刷法で厚さ50μmに配置した後、接着剤配置装置の後に配設した洗浄装置にて表6に示す様な洗浄条件で接着剤の表面を洗浄しNo.2−a〜2−eとした。又、接着剤の表面を洗浄しない可撓性封止部材を準備しNo.2−f〜2−hとした。接着剤の表面に付着している粒径1μm以上の異物の個数は有機EL素子の表面と同じ方法で測定した。尚、角度は洗浄装置のノズルの載置台の上の接着剤の表面に対するガスの吹き付け角度を示す。
【0171】
【表6】

【0172】
(封止部材の洗浄)
PET120μm/接着剤5μm/Al箔20μmの構成を有する可撓性封止部材を準備し、図4に示す製造装置の第2供給工程の図6に示す洗浄装置を使用し、表7に示す様な洗浄条件で可撓性封止部材の表面を洗浄しNo.2−1〜2−3とした。又、洗浄しない可撓性封止部材を準備しNo.2−4とした。使用した可撓性封止部材のJIS K7129B法(1992年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した水蒸気透過度は0.01g/m2・dayであった。JIS K7126B法(1987年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した酸素透過度は0.01ml/m2・day・atmであった。
【0173】
可撓性封止部材の表面の粒径1μm以上の異物の個数は有機EL素子と同じ方法で測定した。
【0174】
尚、角度は洗浄装置のノズルの載置台の上の封止部材の表面に対するガスの吹き付け角度を示す。
【0175】
【表7】

【0176】
〈可撓性封止部材による有機EL素子の密着封止〉
図4に示す製造装置の貼合工程で、準備した各接着剤配置済み有機EL素子2−a〜2−hと準備した各可撓性封止部材No.2−1〜2−4とを表8に示す様に組合せ貼合し、密着封止した有機ELパネルを作製、試料No.201〜232とした。尚、貼合は、1×10-2Paの減圧環境下で押圧力0.1MPaで圧着し、可撓性封止部材側より主波長365nmの紫外線を照射(100mW/cm2で90sec)により硬化処理を行った。尚、貼合工程は、クリーン度クラス1000(米国連邦規格209D)以下の環境で行った。
(評価)
作製した各試料No.201〜232に付き、ダークスポット(スポット状の非発光部)の発生割合を実施例1と同じ試験方法により試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表8に示す。
ダークスポット発生割合の試験方法
【0177】
【表8】

【0178】
本発明の有効性が確認された。
【0179】
実施例3
実施例2の試料No.208を作製する時、準備した有機EL素子と準備した可撓性封止部材とを、図4に示す製造装置の貼合工程で、貼合工程のクリーン度を表9のように変えた工程環境にて貼合し、密着封止した有機EL素子を作製し、試料No.301〜303とした。尚、貼合は、1×10-2Paの減圧環境下で押圧力0.1MPaで圧着し、可撓性封止部材側より主波長365nmの紫外線を照射(100mW/cm2で90sec)により硬化処理を行った。
(評価)
作製した各試料No.301〜303に付き、ダークスポットの発生割合を実施例1と同じ試験方法により試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表5に示す。
【0180】
【表9】

【0181】
本発明の有効性が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】有機EL素子の層構成の一例を示す概略断面図である。
【図2】図1のTで示される部分の拡大概略断面図である。
【図3】封止部材により密着封止した有機EL素子の製造工程の模式図である。
【図4】封止部材により密着封止した有機EL素子の他の製造工程の模式図である。
【図5】図3に示す第1供給工程の洗浄装置の拡大概略図である。
【図6】図3に示す第2供給工程の洗浄装置の拡大概略図である。
【符号の説明】
【0183】
1 有機ELパネル
101 基板
102 陽極層
103 正孔輸送層(正孔注入層)
104 有機化合物層(発光層)
105 電子注入層
106 陰極層
107 接着剤層
108、201a、302a 封止部材
108a 樹脂基材
108b ガスバリア層
2、3 製造工程
201、302 第1供給工程
202、301 第2供給工程
202a、301a 有機EL素子
203、303 接着剤の配置工程
204、304 貼合工程
205、305 回収工程
206a〜206c、306a〜306c 洗浄工程
206a1、206b1 洗浄装置
206a14、206b14 ヘッダ
206a15、206b15 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に第1電極と、発光層を含む少なくとも1層の有機化合物層と、第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子を、接着剤を介して封止部材を貼合する密着封止構造を形成する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記封止部材を供給する第1供給工程と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を供給する第2供給工程と、前記接着剤の配置工程と、前記封止部材と前記有機エレクトロルミネッセンス素子とを前記接着剤を介して貼合する貼合工程と、回収工程とを有する製造装置を有し、
前記製造装置は、前記第1供給工程又は前記第2供給工程から前記貼合工程の間に少なくとも1つの洗浄工程を有し、
前記洗浄工程で、前記封止部材の前記接着剤の配置面、前記封止部材又は前記有機エレクトロルミネッセンス素子に配置された前記接着剤の貼合面、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の前記接着剤の配置面の何れかを洗浄することで、
前記貼合工程で前記有機エレクトロルミネッセンス素子と前記封止部材とを貼合終了後、前記封止部材と前記接着剤との貼合面、前記接着剤の層中、前記接着剤と前記有機エレクトロルミネッセンス素子との貼合面の何れかに混入する、粒径1μm以上の異物の個数を100個/cm2以下にすることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項2】
前記洗浄工程は第1供給工程と配置工程との間に配設されており、封止部材の接着剤の配置面又は有機エレクトロルミネッセンス素子に配置された該接着剤の表面を洗浄することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項3】
前記洗浄工程は配置工程と第2供給工程との間に配設されており、封止部材に配置されたの接着剤の貼合面又は有機エレクトロルミネッセンス素子の該接着剤の配置面を洗浄することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項4】
前記洗浄工程は第2供給工程と貼合工程の間に配設されており、有機エレクトロルミネッセンス素子に配置された接着剤の表面を洗浄することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項5】
前記洗浄工程は第1供給工程と貼合工程の間に配設されており、封止部材に配置された接着剤の表面を洗浄することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項6】
前記貼合工程は、クリーン度クラス1000(米国連邦規格209D)以下の環境であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項7】
前記基板と封止部材又はどちらか一方が、樹脂基材と、ガスバリア層とを有する可撓性封止部材であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項8】
前記基板と封止部材又はどちらか一方が、ガラス板であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項9】
前記基板と封止部材又はどちらか一方が、金属シートであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項10】
基板の上に第1電極と、発光層を含む少なくとも1層の有機化合物層と、第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子を接着剤層を介して封止部材により密着封止した有機エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、
前記封止部材の貼合面、前記接着剤の層中、又は前記有機エレクトロルミネッセンス素子の貼合面の何れかに混入する、粒径1μm以上の異物の個数が100個/cm2以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項11】
前記基板と封止部材又はどちらか一方が樹脂基材とガスバリア層とを有する可撓性部材であることを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項12】
前記基板と封止部材又はどちらか一方が、ガラスであることを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項13】
前記基板と封止部材又はどちらか一方が、金属シートであることを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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