説明

有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置および表示装置

下記一般式(1)で表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【化1】


(式中、R、Rは各々独立に置換基を表し、Aは芳香族炭素環または複素環を形成するのに必要な残基を表し、Lは連結基を表し、Xは不対電子を持ちホウ素原子と配位結合可能な元素を表し、Rxは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表し、nは0又は1を表し、mは1又は2を表し、RxはLの任意の元素と結合して環を形成してもよく、また、RとRは結合して環を形成してもよい。RxはAの任意の元素と結合して縮合環を形成してもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置、表示装置に関し、詳しくは発光輝度、発光効率及び耐久性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置、及びそれらを有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)が挙げられる。
【0003】
無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
【0004】
一方、有機EL素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに、自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
【0005】
今後の実用化に向けた有機EL素子の開発としては、さらに低消費電力で効率よく高輝度に発光する有機EL素子が望まれているわけであり、例えば、スチルベン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体またはトリススチリルアリーレン誘導体に、微量の蛍光体をドープし、発光輝度の向上、素子の長寿命化を達成する技術(例えば、特許文献1参照。)、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これに微量の蛍光体をドープした有機発光層を有する素子(例えば、特許文献2参照。)、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これにキナクリドン系色素をドープした有機発光層を有する素子(例えば、特許文献3参照。)等が知られている。
【0006】
上記特許文献に開示されている技術では、励起一重項からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため発光性励起種の生成確率が25%であることと、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率(ηext)の限界は5%とされている。
【0007】
ところが、プリンストン大より、励起三重項からのリン光発光を用いる有機EL素子の報告(例えば、非特許文献1参照。)がされて以来、室温でリン光を示す材料の研究が活発になってきている(例えば、非特許文献2及び特許文献4参照。)。
【0008】
励起三重項を使用すると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得られ照明用にも応用可能であり注目されている。
【0009】
例えば、多くの化合物がイリジウム錯体系等重金属錯体を中心に合成検討されている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0010】
また、ドーパントとして、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウムを用いた検討がされている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0011】
その他、ドーパントとしてLIr(acac)、例えば(ppy)Ir(acac)(例えば、非特許文献4参照。)を、また、ドーパントとして、トリス(2−(p−トリル)ピリジン)イリジウム(Ir(ptpy))、トリス(ベンゾ[h]キノリン)イリジウム(Ir(bzq))、Ir(bzq)ClP(Bu)等を用いた検討(例えば、非特許文献5参照。)が行われている。
【0012】
また、高い発光効率を得るために、ホール輸送性の化合物をリン光性化合物のホストとして用いている(例えば、非特許文献6参照。)。
【0013】
また、各種電子輸送性材料をリン光性化合物のホストとして、これらに新規なイリジウム錯体をドープして用いている(例えば、非特許文献4参照)。さらに、ホールブロック層の導入により高い発光効率を得ている(例えば、非特許文献5参照。)。
【0014】
現在、このリン光発光を用いた有機EL素子の更なる発光の高効率化、長寿命化が検討されている。
【0015】
しかし、緑色発光については理論限界である20%近くの外部取り出し効率が達成されているものの、低電流領域(低輝度領域)のみであり、高電流領域(高輝度領域)では、いまだ理論限界は達成されていない。さらに、その他の発光色についてもまだ十分な効率が得られておらず改良が必要であり、また、今後の実用化に向けた有機EL素子では、更に、低消費電力で効率よく高輝度に発光する有機EL素子の開発が望まれている。特に青色リン光発光の有機EL素子において高効率に発光する素子が求められている。
【0016】
これらの問題を解決するリン光発光の有機EL素子として、分子内にホウ素原子を含む化合物を発光材料または電子輸送材料として用いることが記載されている(例えば、特許文献5参照)が、更なる発光効率と発光寿命向上が求められている。
【0017】
また、8−ヒドロキシキノリン誘導体のホウ素錯体を含む有機EL素子が記載されている(例えば、特許文献6参照)が、ホウ素化合物が不安定で、更なる長寿命化が要求されていた。
【特許文献1】特許第3093796号明細書
【特許文献2】特開昭63−264692号公報
【特許文献3】特開平3−255190号公報
【特許文献4】米国特許第6,097,147号明細書
【特許文献5】特開2003−234192号公報
【特許文献6】特開2000−150163号公報
【非特許文献1】M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151−154ページ(1998年)
【非特許文献2】M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750−753ページ(2000年)
【非特許文献3】S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ(2001年)
【非特許文献4】M.E.Tompson et al.,The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)
【非特許文献5】Moon−Jae Youn.0g,Tetsuo Tsutsuiet al.,The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)
【非特許文献6】Ikai et al.,The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)
【発明の開示】
【0018】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、発光効率が高くなる有機EL素子用材料、該有機EL素子用材料を用いた有機EL素子、照明装置および表示装置を提供することである。さらに、長寿命となる有機EL素子用材料、該有機EL素子用材料を用いた有機EL素子、照明装置および表示装置を提供することである。
【0019】
本発明の上記目的を達成するための一つの態様は、不対電子を持ちホウ素と配位結合可能な元素を含み、特定の構造を有する事を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用材料にある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】アクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を示す。
【図2】フルカラー表示装置の表示部Aの模式図を示す。
【図3】画素の模式図を表す。
【図4】パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。
【図5】照明装置の概略図である。
【図6】照明装置の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の上記目的は下記構成により達成された。
(1) 下記一般式(1)で表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【0022】
【化1】

【0023】
(式中、R、Rは各々独立に置換基を表し、Aは芳香族炭素環または複素環を形成するのに必要な残基を表し、Lは連結基を表し、Xは不対電子を持ちホウ素原子と配位結合可能な元素を表し、Rxは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表し、nは0又は1を表し、mは1又は2を表し、RxはLの任意の元素と結合して環を形成してもよく、また、RとRは結合して環を形成してもよい。RxはAの任意の元素と結合して縮合環を形成してもよい。)
(2) 下記一般式(2)で表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【0024】
【化2】

【0025】
(式中、R、Rは各々独立に置換基を表し、Aは芳香族炭素環または複素環を形成するのに必要な残基を表し、Lは連結基を表し、Xは不対電子を持ちホウ素原子と配位結合可能な元素を表し、Rxは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表し、nは0又は1を表し、mは1又は2を表し、RxはLの任意の元素と結合して環を形成してもよく、また、RとRは結合して環を形成してもよい。RxはAの任意の元素と結合して縮合環を形成してもよい。)
(3) 下記一般式(3)で表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【0026】
【化3】

【0027】
(式中、R、Rは各々独立に置換基を表し、Lは連結基を表し、Xは不対電子を持ちホウ素原子と配位結合可能な元素を表し、Rxは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表し、R、R、R、Rは各々独立に水素原子又は置換基を表し、nは0又は1を表し、mは1又は2を表し、RxはLの任意の元素と結合して環を形成してもよく、また、RとRは結合して環を形成してもよい。RxはRと結合して縮合環を形成してもよい。)
(4) 下記一般式(4)で表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【0028】
【化4】

【0029】
(式中、R、Rは各々独立に置換基を表し、Aは芳香族炭素環または複素環を形成するのに必要な残基を表し、Aは複素環を形成するのに必要な残基を表し、Aの任意の元素とAの任意の元素が結合して環を形成してもよい。RとRは結合して環を形成してもよい。)
(5) 前記R、Rが共に芳香族炭素環基または複素環基であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
(6) 前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を用いたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(7) リン光性発光材料を含有する発光層を有することを特徴とする前記(6)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(8) 前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を前記発光層に含有することを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(9) 前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する正孔阻止層を有することを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(10) 青色に発光することを特徴とする前記(6)〜(9)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(11) 白色に発光することを特徴とする前記(6)〜(9)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(12) 前記(6)〜(11)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
(13) 前記(6)〜(11)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
(14) 前記(13)に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えたことを特徴とする表示装置。
【0030】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0031】
本発明において、前記一般式(1)で表されるボロン化合物は、有機EL素子材料において、ホスト化合物として又は正孔阻止材料として用いられるものである。
【0032】
一般式(1)において、Aは芳香族炭素環または複素環を形成するのに必要な残基を表し、Aにより形成される芳香族炭素環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、アズレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、ペリレン環、ペンタセン環、ヘキサセン環等が挙げられ、これらは置換基を有してもよい。これらのうちで好ましいのは、ベンゼン環及びナフタレン環であり、更に好ましいのはベンゼン環である。
【0033】
により形成される複素環の例としては、カルバゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、チオフェン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソオキサゾール、イソチアゾール環、インドール環、フェナントロリン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリン環、オキサジアゾール環等が挙げられ、これらは置換基を有してもよい。これらのうちで好ましいのは、カルバゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、オキサジアゾール環等であり、更に好ましくは、カルバゾール環及びピリジン環である。
【0034】
一般式(1)において、R、Rは各々独立に置換基を表し、R、Rで表される置換基の例としては、脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭素環基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基等が挙げられる。
【0035】
一般式(1)において、Lは連結基を表し、Lで表される連結基の例としては、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基等)、アリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基等)、複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等から誘導される2価の基)等が挙げられる。
【0036】
一般式(1)において、Xは不対電子を持ちホウ素原子と配位結合可能な元素を表し、Xで表される不対電子を持ちホウ素原子と配位結合可能な元素の例としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
【0037】
一般式(1)において、Rxは水素原子、脂肪族基、芳香族炭素環基、複素環基を表し、Rxで表される脂肪族基、芳香族炭素環基、複素環基の例としては、Rで挙げた例が挙げられる。
【0038】
一般式(1)において、nは0又は1を表し、mは1又は2を表す。
【0039】
また、RxはLの任意の元素と結合して環を形成してもよく、RxとLの任意の元素が形成した環の例としては、チオフェン環、フラン環、イソベンゾフラン環、クロメン環、イソクロメン環、ピロール環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、インドール環、イソインドール環、キノリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、カルボリン環等が挙げられる。
【0040】
また、RxはAの任意の元素と結合して縮合環を形成してもよく、RxとAの任意の元素が形成した環の例としては、クロメン環、インドール環、キノリン環、キナゾリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナントロリン環等が挙げられる。
【0041】
一般式(2)において、Aは芳香族炭素環または複素環を形成するのに必要な残基を表し、Aにより形成される芳香族炭素環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、アズレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、ペリレン環、ペンタセン環、ヘキサセン環が挙げられ、これらは置換基を有してもよい。これらのうちで好ましいのは、ベンゼン環、ナフタレン環であり、更に好ましいのはベンゼン環である。
【0042】
により形成される複素環の例としては、カルバゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、チオフェン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソオキサゾール、イソチアゾール環、インドール環、フェナントロリン環、キノリン環、イソキノリン環等が挙げられ、これらは置換基を有してもよい。これらのうちで好ましいのは、カルバゾール環、ピリジン環、ピリミジン環であり、更に好ましくは、カルバゾール環及びピリジン環である。
【0043】
一般式(2)におけるR,R,L,X,Rx,m,nは、各々前記一般式(1)におけるR,R,L,X,Rx,m,nと同義である。
【0044】
また、RxはLの任意の元素と結合して環を形成してもよく、RxとLの任意の元素が結合して形成した環の例としては、一般式(1)において挙げた例が挙げられる。
【0045】
また、RxはAの任意の元素と結合して縮合環を形成してもよく、RxとAの任意の元素が結合して形成した環の例としては、一般式(1)において、RxとAの任意の元素が結合して形成した環の例を挙げられる。
【0046】
一般式(3)におけるR,R,L,X,Rx,m,nは、前記一般式(1)におけるR,R,L,X,Rx,m,nと同義である。
【0047】
一般式(3)において、R、R、R、Rは各々独立に水素原子又は置換基を表し、R、R、R、Rで表される置換基の例としては、脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。
【0048】
一般式(4)におけるR,Rは、前記一般式(1)におけるR,Rと同義である。
【0049】
一般式(4)におけるAは、前記一般式(2)におけるAと同義である。
【0050】
一般式(4)において、Aは複素環を形成するのに必要な残基を表し、Aで表される複素環の例としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、カルボリン環、フェナントロリン環等が挙げられる。
【0051】
以下に本発明の有機EL素子用材料の例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0052】
【化5】

【0053】
【化6】

【0054】
【化7】

【0055】
【化8】

【0056】
【化9】

【0057】
【化10】

【0058】
【化11】

【0059】
以下の本発明の化合物の合成例を記す。
【0060】
(化合物1の合成)
【0061】
【化12】

【0062】
200ml三頭フラスコに中間体1 2.53g(10.8mmol)を入れた後、窒素置換した。これにジエチルエーテル60ml加え、−78℃に冷却した後、n−BuLi 6.81ml(10.8mmol)を滴下し30分攪拌した。この後、BF・OEt 0.45ml(3.59mmol)加え、−78℃で1時間、室温に昇温して更に2時間攪拌した。これを分液漏斗に移し、酢酸エチル100mlを加えてから、3回水洗した。この後、減圧下有機溶媒を除去して、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて分離精製し、化合物1を1.0g得た。
【0063】
次に、本発明に係る有機EL素子の構成について説明する。
【0064】
《有機EL素子の構成層》
本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
《発光層》
本発明に係る発光層は、リン光性化合物を含有し、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
【0065】
本発明に係る発光層には、前記一般式(1)で表される化合物がホスト化合物(発光ホスト)として含有されることが好ましい。
【0066】
また、本発明に係る発光層には、前記一般式(1)で表される化合物と共にリン光性ドーパントを用いることで、更に発光効率が高く、長寿命の有機EL素子とすることができる。
【0067】
リン光性化合物の発光は、原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光性化合物に移動させることでリン光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光性化合物上でキャリアの再結合が起こりリン光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
【0068】
本発明においては、リン光性化合物のリン光発光極大波長としては特に制限されるものではなく、原理的には、中心金属、配位子、配位子の置換基等を選択することで得られる発光波長を変化させることができるが、リン光性化合物のリン光発光波長が380nm〜480nmにリン光発光の極大波長を有することが好ましい。
【0069】
このようなリン光発光波長を有するものとしては、青色に発光する有機EL素子や白色に発光する有機EL素子が挙げられるが、これらの素子はより発光電圧を抑え、低消費電力で作動させることができる。
【0070】
また、リン光性化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。リン光性化合物の種類、ドープ量を調整することで白色発光が可能であり、照明、バックライトへの応用もできる。
【0071】
また、発光層には、リン光性化合物の他にホスト化合物を含有してもよい。
【0072】
本発明に係る発光層においては、前記一般式(1)で表される化合物をホスト化合物として用い、更に、公知のホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種もちいることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。これらの公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
【0073】
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
【0074】
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等である。
【0075】
また、発光層は、ホスト化合物としてさらに蛍光極大波長を有するホスト化合物を含有していてもよい。この場合、他のホスト化合物とリン光性化合物から蛍光性化合物へのエネルギー移動で、有機EL素子としての電界発光は蛍光極大波長を有する他のホスト化合物からの発光も得られる。蛍光極大波長を有するホスト化合物として好ましいのは、溶液状態で蛍光量子収率が高いものである。ここで、蛍光量子収率は10%以上、特に30%以上が好ましい。具体的な蛍光極大波長を有するホスト化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素等が挙げられる。蛍光量子収率は、前記第4版実験化学講座7の分光IIの362頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定することができる。
【0076】
本明細書の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
【0077】
発光層は、上記化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。発光層としての膜厚は特に制限はないが、通常は5nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で選ばれる。この発光層は、これらのリン光性化合物やホスト化合物が1種または2種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは、同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0078】
《ドーパント(蛍光性、リン光性)》
本発明に係る発光層は、ドーパントを含有することが好ましく、更にドーパントしてはリン光性ドーパントを含有することが好ましい。その結果、更に高い発光効率を得ることができる。
【0079】
本発明のホスト化合物と併用可能なドーパント(発光性ドーパントともいう)について述べる。
【0080】
ドーパントは、大きくわけて、蛍光を発光する蛍光性ドーパントとリン光を発光するリン光性ドーパントの2種類がある。
【0081】
前者(蛍光性ドーパント)の代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または、希土類錯体系蛍光体、その他公知の蛍光性化合物等が挙げられる。
【0082】
本発明に係る発光層に含有されるリン光性ドーパントとしては、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、特開2001−247859号公報に挙げられるイリジウム錯体、あるいは、国際公開第00/70,655号パンフレット16〜18ページに挙げられるような式で表される、例えば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム等やオスミウム錯体、あるいは2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金錯体のような白金錯体もドーパントとして挙げられる。ドーパントとしてこのようなリン光性化合物を用いることにより、内部量子効率の高い発光有機EL素子を実現できる。
【0083】
本発明で用いられるリン光性化合物としては、好ましくは元素周期表で8属、9属、10属に属するいずれか1種の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくは、イリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
【0084】
これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
【0085】
このほかにも、例えば、J.Am.Chem.Soc.123巻4304〜4312頁(2001年)、国際公開第00/70655号パンフレット、同第02/15645号パンフレット、特開2001−247859号公報、同2001−345183号公報、同2002−117978号公報、同2002−170684号公報、同2002−203678号公報、同2002−235076号公報、同2002−302671号公報、同2002−324679号公報、同2002−332291号公報、同2002−332292号公報、同2002−338588号公報等に記載の一般式であげられるイリジウム錯体、あるいは、具体的例として挙げられるイリジウム錯体、特開2002−8860号公報記載の式(IV)で表されるイリジウム錯体等が挙げられる。
【0086】
本発明に係るリン光性化合物は、溶液中のリン光量子収率が25℃において0.001以上であることが好ましく、更に好ましくは0.01以上であり、特に好ましくは0.1以上である。
【0087】
リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398ページ(1992年版、丸善)に記載の方法で測定することが出来る。
【0088】
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層であり、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
【0089】
正孔阻止層は、正孔輸送層から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物により形成される。正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、及び正孔を効率的に発光層内に閉じこめるために、発光層のイオン化ポテンシャルより大きいイオン化ポテンシャルの値を有するか、発光層のバンドギャップより大きいバンドギャップを有することが好ましい。
【0090】
本発明の一般式(1)で表される化合物を正孔阻止材料として用いることが好ましい。又、公知の正孔阻止材料としては、スチリル化合物、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ボロン誘導体の少なくとも1種を用いることも本発明の効果を得るうえで有効である。
【0091】
その他の正孔阻止材料の例として、特開2003−31367号、同2003−31368号、特許第2721441号等に記載の例示化合物が挙げられる。
【0092】
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層であり、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
【0093】
この正孔阻止層、電子阻止層は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
【0094】
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。
【0095】
例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等の従来公知の材料を用いてもよい。
【0096】
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0097】
芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0098】
さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si,p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
【0099】
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。この正孔輸送層は、上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
【0100】
《電子輸送層》
本発明に係る電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0101】
この電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引性基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。
【0102】
更に、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0103】
または、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
【0104】
その他、メタルフリーまたはメタルフタロシアニン、更には、それらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。または、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
【0105】
この電子輸送層は、上記化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。
【0106】
(電子輸送層の膜厚)
電子輸送層は、上記電子輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。電子輸送層は、上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
【0107】
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1000nm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
【0108】
《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
【0109】
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
【0110】
また、陰極に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
【0111】
《バッファ層》:陽極バッファ層、陰極バッファ層
注入層は必要に応じて設け、陰極バッファ層(電子注入層)と陽極バッファ層(正孔注入層)があり、上記のごとく陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び、陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
【0112】
バッファ層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、陽極バッファ層と陰極バッファ層とがある。
【0113】
陽極バッファ層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファ層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファ層、アモルファスカーボンバッファ層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファ層等が挙げられる。
【0114】
陰極バッファ層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファ層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファ層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファ層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファ層等が挙げられる。上記バッファ層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
【0115】
《基体(基板、基材、支持体等ともいう)》
本発明の有機EL素子は基体上に形成されているのが好ましい。
【0116】
本発明の有機EL素子に係る基体としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はないが、好ましく用いられる基板としては例えばガラス、石英、光透過性樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基体は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
【0117】
樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等を有するフィルム等が挙げられる。また、樹脂フィルムの表面には、無機物または有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよい。
【0118】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光の室温における外部取り出し量子効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
【0119】
また、カラーフィルタ等の色相改良フィルタ等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルタを併用してもよい。色変換フィルタを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
【0120】
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/陽極バッファ層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファ層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
【0121】
まず適当な基体上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質ITOからなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に有機EL素子材料である陽極バッファ層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極バッファ層の有機化合物薄膜を形成させる。
【0122】
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
【0123】
これらの層を形成後、その上に陰極用物質、例えばAlからなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施してもかまわない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
【0124】
本発明の多色の表示装置は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、他層は共通であるのでシャドーマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
【0125】
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においてはシャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
【0126】
また作製順序を逆にして、陰極、陰極バッファ層、電子輸送層、正孔輸送層、発光層、正孔輸送層、陽極バッファ層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0127】
本発明の表示装置は、表示デバイス、ディスプレー、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレーにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることにより、フルカラーの表示が可能となる。
【0128】
表示デバイス、ディスプレーとしてはテレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリックス(パッシブマトリックス)方式でもアクティブマトリックス方式でもどちらでもよい。
【0129】
本発明の照明装置は、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサの光源等が挙げられるがこれに限定するものではない。
【0130】
また、本発明に係る有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよい。
【0131】
このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザ発振をさせることにより、上記用途に使用してもよい。
【0132】
《表示装置》
本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような1種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。または、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を3種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。または、一色の発光色、例えば白色発光をカラーフィルタを用いてBGRにし、フルカラー化することも可能である。さらに、有機ELの発光色を色変換フィルタを用いて他色に変換しフルカラー化することも可能であるが、その場合、有機EL発光のλmaxは480nm以下であることが好ましい。
【0133】
本発明の有機EL素子を構成として有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
【0134】
図1は、有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
【0135】
ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
【0136】
制御部Bは、表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
【0137】
図2は、表示部Aの模式図を表す。
【0138】
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。図2においては、画素3の発光した光が、白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
【0139】
配線部の走査線5及び複数のデータ線6は、各々導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。
【0140】
画素3は、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を、適宜、同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
【0141】
次に、画素の発光プロセスを説明する。
【0142】
図3は、画素の模式図を表す。
【0143】
画素は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
【0144】
図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
【0145】
画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
【0146】
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じで駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
【0147】
すなわち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
【0148】
ここで、有機EL素子10の発光は、複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。
【0149】
また、コンデンサ13の電位の保持は、次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
【0150】
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
【0151】
図4は、パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図4において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
【0152】
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子がなく、製造コストの低減が計れる。
【実施例】
【0153】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0154】
実施例1
〈有機EL素子1−1〜16の作製〉
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにα−NPDを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにホスト化合物として化合物1を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにバソキュプロイン(BCP)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにIr−12を100mg入れ、更に別のモリブデン製抵抗加熱ボートにAlqを200mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
【0155】
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで透明支持基板に蒸着して膜厚25nmの第一正孔輸送層を設けた。更に、化合物1とIr−12の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.2nm/sec、0.012nm/secで前記正孔輸送層上に共蒸着して膜厚30nmの発光層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。更に、BCPの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで前記発光層の上に蒸着して膜厚10nmの正孔阻止の役割も兼ねた電子輸送層を設けた。その上に、更に、Alqの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで前記電子輸送層の上に蒸着して更に膜厚40nmの電子注入層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
【0156】
引き続きフッ化リチウム0.5nm及びアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子1−1を作製した。
【0157】
有機EL素子1−1の作製において、発光層のホスト化合物として用いている例示化合物1を表1に示す化合物に置き換えてホスト化合物とした以外は有機EL素子1−1と同じ方法で1−2〜1−16を作製した。上記で使用した各化合物の構造を以下に示す。
【0158】
【化13】

【0159】
〈有機EL素子1−1〜1−16の評価〉
以上のようにして作製した有機EL素子1−1〜1−16の評価を行い、その結果を表1に示す。
【0160】
(外部取りだし量子効率)
作製した有機EL素子について、23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で2.5mA/cm定電流を印加した時の外部取り出し量子効率(%)を測定した。なお測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ製)を用いた。
【0161】
表1の外部取りだし量子効率の測定結果は、有機EL素子1−16の測定値を100とした時の相対値で表した。
【0162】
【表1】

【0163】
表1から、本発明の有機EL素子は、外部取り出し量子効率に非常に優れていることが分かった。
【0164】
実施例2
〈有機EL素子2−1〜2−16の作製〉
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにα−NPDを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにCBPを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに正孔阻止材料として化合物1を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにIr−1を100mg入れ、更に別のモリブデン製抵抗加熱ボートにAlqを200mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
【0165】
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで透明支持基板に蒸着して膜厚25nmの第一正孔輸送層を設けた。更に、CBP(実施例1における比較化合物1)とIr−1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.2nm/sec、0.012nm/secで前記正孔輸送層上に共蒸着して膜厚30nmの発光層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。更に、化合物1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで前記発光層の上に蒸着して膜厚10nmの正孔阻止層の役割も兼ねた電子輸送層を設けた。その上に、更に、Alqの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで前記電子輸送層の上に蒸着して更に膜厚40nmの電子注入層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
【0166】
引き続きフッ化リチウム0.5nm及びアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子2−1を作製した。
【0167】
有機EL素子2−1の作製において、正孔阻止材料として用いている化合物1を表2に示す化合物に置き換えた以外は有機EL素子2−1と同じ方法で2−1〜2−16を作製した。尚、比較化合物3は実施例1における正孔阻止化合物として用いたBCPである。
【0168】
〈有機EL素子2−1〜2−16の評価〉
実施例1と同様にして有機EL素子2−1〜2−16の外部取り出し量子効率の評価を行った。さらに下記に示す測定法に従って、寿命の評価を行った。
【0169】
(寿命)
2.5mA/cmの一定電流で駆動したときに、輝度が発光開始直後の輝度(初期輝度)の半分に低下するのに要した時間を測定し、これを半減寿命時間(τ0.5)として寿命の指標とした。なお測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ製)を用いた。
【0170】
表2の外部取り出し量子効率、寿命の測定結果は、有機EL素子2−15を100とした時の相対値で表した。
【0171】
【表2】

【0172】
表2から、本発明の有機EL素子は、長寿命化が達成されていることが分かった。
【0173】
実施例3
実施例1で作製した本発明の有機EL素子1−1と、実施例2で作製した本発明の有機EL素子2−7と、本発明の有機EL素子2−7のリン光性化合物を下記BtpIr(acac)に置き換えた以外は同様にして作製した赤色発光有機EL素子を同一基板上に並置し、図1に示すアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製した。図2には作製したフルカラー表示装置の表示部Aの模式図のみを示した。即ち同一基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、並置した複数の画素3(発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有し、配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。前記複数の画素3は、それぞれの発光色に対応した有機EL素子、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタと駆動トランジスタそれぞれが設けられたアクティブマトリクス方式で駆動されており、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。このように各赤、緑、青の画素を適宜、並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
【0174】
【化14】

【0175】
フルカラー表示装置を駆動することにより、外部とりだし量子効率が高く耐久性の良好な、鮮明なフルカラー動画表示が得られた。
【0176】
実施例4
実施例1で作製した有機EL素子1−1において、化合物1の入った加熱ボートとIr−12の入ったボート、BtpIr(acac)の入ったボートをそれぞれ独立に通電して発光ホストである化合物1と発光ドーパントであるIr−12及びBtpIr(acac)の蒸着速度が100:5:0.6になるように調節し、膜厚が30nmになるように発光層を設けた以外は有機EL素子1−1と同様の方法で有機EL素子1−1Wを作製した。得られた有機EL素子1−1Wの非発光面をガラスケースで覆い、図5及び図6で示す照明装置とした。照明装置は、発光効率が高く発光寿命の長い白色光を発する薄型の照明装置として使用することができた。図5は照明装置の概略図で、図6は照明装置の断面図である。有機EL素子100は、ガラスカバー102で覆われ、透明電極付きガラス基板101とガラスカバー102とは封止剤107で封止され、電源線(陽極)103と、電源線(陰極)104が接続されている。105は陰極で106は有機EL層である。なおガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、補水剤109が設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明により、発光効率が高い有機EL素子用材料、該有機EL素子用材料を用いた有機EL素子、照明装置および表示装置を提供することができた。さらに、長寿命となる有機EL素子用材料、該有機EL素子用材料を用いた有機EL素子、照明装置および表示装置を提供することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)〜(4)のいずれか一つで表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【化1】

(式中、R、Rは各々独立に置換基を表し、Aは芳香族炭素環または複素環を形成するのに必要な残基を表し、Lは連結基を表し、Xは不対電子を持ちホウ素原子と配位結合可能な元素を表し、Rxは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表し、nは0又は1を表し、mは1又は2を表し、RxはLの任意の元素と結合して環を形成してもよく、また、RとRは結合して環を形成してもよい。RxはAの任意の元素と結合して縮合環を形成してもよい。)
【化2】

(式中、R、Rは各々独立に置換基を表し、Aは芳香族炭素環または複素環を形成するのに必要な残基を表し、Lは連結基を表し、Xは不対電子を持ちホウ素原子と配位結合可能な元素を表し、Rxは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表し、nは0又は1を表し、mは1又は2を表し、RxはLの任意の元素と結合して環を形成してもよく、また、RとRは結合して環を形成してもよい。RxはAの任意の元素と結合して縮合環を形成してもよい。)
【化3】

(式中、R、Rは各々独立に置換基を表し、Lは連結基を表し、Xは不対電子を持ちホウ素原子と配位結合可能な元素を表し、Rxは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表し、R、R、R、Rは各々独立に水素原子又は置換基を表し、nは0又は1を表し、mは1又は2を表し、RxはLの任意の元素と結合して環を形成してもよく、また、RとRは結合して環を形成してもよい。RxはRと結合して縮合環を形成してもよい。)
【化4】

(式中、R、Rは各々独立に置換基を表し、Aは芳香族炭素環または複素環を形成するのに必要な残基を表し、Aは複素環を形成するのに必要な残基を表し、Aの任意の元素とAの任意の元素が結合して環を形成してもよい。RとRは結合して環を形成してもよい。)
【請求項2】
請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料が、一般式(1)で表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項3】
請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料が、一般式(2)で表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項4】
請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料が、一般式(3)で表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項5】
請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料が、一般式(4)で表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項6】
前記R、Rが共に芳香族炭素環基または複素環基であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項7】
請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を用いたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
リン光性発光材料を含有する発光層を有することを特徴とする請求の範囲第7項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
リン光性発光材料、および、請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する発光層を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する正孔阻止層を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
青色に発光することを特徴とする請求の範囲第7項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
青色に発光することを特徴とする請求の範囲第8項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項13】
青色に発光することを特徴とする請求の範囲第9項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項14】
青色に発光することを特徴とする請求の範囲第10項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項15】
白色に発光することを特徴とする請求の範囲第7項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項16】
白色に発光することを特徴とする請求の範囲第8項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項17】
白色に発光することを特徴とする請求の範囲第9項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項18】
白色に発光することを特徴とする請求の範囲第10項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項19】
請求の範囲第7項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項20】
請求の範囲第8項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項21】
請求の範囲第9項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項22】
請求の範囲第10項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項23】
請求の範囲第11項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項24】
請求の範囲第15項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項25】
請求の範囲第7項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項26】
請求の範囲第8項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項27】
請求の範囲第9項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項28】
請求の範囲第10項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項29】
請求の範囲第11項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項30】
請求の範囲第15項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項31】
請求の範囲第25項に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えたことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【国際公開番号】WO2005/062676
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【発行日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516466(P2005−516466)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018621
【国際出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】