説明

有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】有機EL素子において光取出し効率を高める。
【解決手段】有機EL素子1は、基板2、第1電極3、有機層4、及び第2電極5をこの順に積層して成る。有機層4は発光層43を含み、発光層43は発光材料44に多孔質粒子45を混合して形成されている。多孔質粒子45は低屈折率であり、これにより、発光層43は屈折率が下がるので、発光層43から外部への光路中に在る各界面での臨界角を大きくすることができる。従って、それらの界面で全反射してロスする光を少なくすることができ、光取出し効率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ、液晶表示器用バックライト、又は照明用光源等に用いられる有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の有機EL素子の構造(例えば、非特許文献1参照)を図2に示す。この有機EL素子100は、基板10上に陽極11、ホール輸送層12と発光層13とを含む有機層14、及び陰極15がこの順に積層されて成る。基板10において陽極11とは反対側の面は大気16と接している。電圧が印加されると、陽極11は発光層13にホールを注入し、陰極15は発光層13に電子を注入し、それらホールと電子とが発光層13内で再結合する。そして、この再結合により励起子が生成され、この励起子が基底状態に遷移するときに光子が放出され、陽極11と基板10とを通って外部に取り出される。
【0003】
ところで、屈折率が高い媒質から屈折率が低い媒質へ光が伝搬する場合、その界面では媒質間の屈折率に基づいてスネルの法則から臨界角が決定され、その臨界角以上の入射角を持つ光は界面で全反射し、屈折率の高い媒質に閉じ込められ、導波光として失われる。
【0004】
ここで、有機EL素子100の各層の屈折率について説明する。基板10は、優れた透明性、強度、低コスト、ガスバリア層、耐薬品性、及び耐熱性等の観点から、もっぱらガラスが用いられ、一般的なソーダライムガラス等の屈折率は1.52程度である。
【0005】
陽極11には、酸化インジウムに酸化錫をドープした酸化インジウム錫(ITO)又は酸化インジウム亜鉛(IZO)がその優れた透明性と電気伝導性とから広く用いられている。それらの屈折率は、組成、成膜方法、又は結晶構造等に応じて変化するが、ITOはおよそ1.7〜2.3であり、IZOはおよそ1.9〜2.4であり、非常に高い。
【0006】
有機層14に用いられる発光材料、電子輸送性材料、又はホール輸送性材料等の屈折率は、一般的なベンゼン環をその分子構造内に多く含んだπ共役結合系の材料であるので、屈折率はおよそ1.6〜2.0程度である。
【0007】
従って、有機EL素子100においては、各層の屈折率の大小関係が、基板10と接する大気16<基板10<有機層14<陽極11となる。このため、有機層14内の発光層13の発光源13aから斜めに高角度に出射した光は、陽極11と基板10との界面、及び基板10と大気16との界面で全反射する(破線矢印で示す)。
【0008】
ここで、大気16、基板10、陽極11、ホール輸送層12、及び発光層13の屈折率をそれぞれn16、n10、n11、n12、n13とする。また、発光層13からホール輸送層12、ホール輸送層12から陽極11、陽極11から基板10、基板10から大気16への入射角をそれぞれθ13−12、θ12−11、θ11−10、θ10−16とし、基板10から大気16への出射角をθ16とする。スネルの法則より下記の式1の関係が成り立つ。
【数1】

【0009】
上記数1の数式から、発光層13と発光層13よりも屈折率の低いホール輸送層12、基板10、大気16との関係に着目して下記の数2〜4の数式を抜き出す。
【数2】

【数3】

【数4】

【0010】
上記数2〜4の数式に基づき、発光層13から見たホール輸送層12、基板10、及び大気16のそれぞれの臨界角θc12、θc10、θc16は下記の数5〜7の数式により求められる。
【数5】

【数6】

【数7】

【0011】
上記数5〜7の数式に、例えばn13=1.8、n12=1.6、n10=1.52、n16=1.0を代入すると、臨界角θc12、θc10、θc16はそれぞれ、63°、58°、34°となる。発光層13の発光源13aから上記角度以上で出射された光は発光層13、陽極11又は基板10に閉じ込められてロス光となる。従って、有機EL素子100の光取出し効率が下がり、外部量子効率が低くなる。光取出し効率は、発光層中で発生した光子と、それらのうち任意の層まで到達し又は大気に放出された光子との割合である。外部量子効率は、発光層中で再結合した電子の数に対する、任意の層まで到達し又は大気に放出された光子の割合である。外部量子効率は、上述の光取出し効率に内部量子効率を乗じて得られる。内部量子効率は、発光層中で再結合した電子の数に対する、生み出された光子の割合である。
【0012】
上述のロス光を減らす方法としては、発光層13の屈折率n13を低くし、これにより臨界角を大きくすることが考えられる。非特許文献1には、その方法として、MEH−PPV(poly[2-methoxy-5-(2'-ethyl-hexyloxy)-p-phenylene vinylene])により形成した発光層13にSiOを混合する技法が示されている。SiOの屈折率は1.6であり、MEH−PPVよりも低いので、SiO粒子を混合することにより、発光層13の屈折率が低くなり、量子効率が1.45倍に改善される。
【0013】
しかしながら、屈折率1.6のSiO粒子を混合しても発光層13の屈折率は1.6よりは低くならず、基板10の屈折率n10=1.52及び大気16の屈折率n16=1.0よりも高いままである。このため、依然として、陽極11及び基板10に閉じ込められてロスとなる光が多い。そこで、発光層13の屈折率をさらに下げ、光取出し効率を向上させることが要請されていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Carter, S. A. et al, “Enhanced luminance in polymer composite light emitting devices,” Applied Physics Letters, 1997, 71(9), p.1145
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、光取出し効率の向上を図ることができる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、基板、第1電極、発光層を含む有機層、及び第2電極をこの順に積層して成るものであって、前記発光層が、発光材料に多孔質粒子を混合して形成されていることを特徴とする。
【0017】
この有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記発光層の屈折率が1.6より低いことが好ましい。
【0018】
この有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記多孔質粒子が多孔質シリカ粒子であることが好ましい。
【0019】
この有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記多孔質シリカ粒子がメソポーラスシリカナノ粒子であることが好ましい。
【0020】
この有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記メソポーラスシリカナノ粒子の内部に孔径2nm以上の複数のメソ孔が等間隔に配置されていることが好ましい。
【0021】
この有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記メソポーラスシリカナノ粒子の表面に鎖式炭化水素構造を有することが好ましい。
【0022】
この有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記メソポーラスシリカナノ粒子の表面にπ共役結合を有する有機官能基を有することが好ましい。
【0023】
この有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記多孔質粒子の粒径が10〜100nmであることが好ましい。
【0024】
この有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記発光材料が塗布型材料であることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、発光層は、低屈折率である多孔質粒子が混入されて屈折率が下がるので、発光層から外部への光路中に在る各界面での臨界角を大きくすることができる。従って、それらの界面で全反射してロスする光を少なくすることができ、光取出し効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る有機EL素子の断面図。
【図2】従来の有機EL素子の断面図。
【図3】本発明の実施例1におけるメソポーラスシリカ粒子をTEM観察した写真。
【図4】本発明の実施例1乃至実施例3におけるメソポーラスシリカ粒子の赤外線吸収スペクトルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る有機EL素子について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の有機EL素子の構成を示す。有機EL素子1は、基板2上に、第1電極3、有機層4、及び第2電極5が第1電極3側からこの順に積層して成る。第1電極3は、光透過性の陽極である。有機層4は、ホール注入層41とホール輸送層42と発光層43とを第1電極3側からこの順に有する。発光層43は、発光材料44に多孔質粒子45を混合して形成されている。第2電極5は、光反射性の陰極である。発光層43と第2電極5との間に、ホールブロック層、電子輸送層、電子注入層をさらに積層してもよい。有機EL素子1に電圧が印加されると、第1電極3は発光層43にホールを注入し、第2電極5は発光層43に電子を注入する。これらホールと電子とが発光層43内で結合する。この結合により励起子が生成され、励起子が基底状態に遷移することにより発光し、この光が第1電極3と基板2とを通って外部に取り出される。
【0028】
基板2は、透明ガラス板、透明プラスチックフィルム又は透明プラスチック板等により構成される。透明ガラスには、ソーダライムガラス又は無アルカリガラス等が用いられる。透明プラスチックには、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂又はフッ素系樹脂等が用いられる。基板2は、鉛等の重金属を混合した透明ガラス板でもよい。基板2の屈折率は例えば1.52程度とする。
【0029】
第1電極3は、発光層43にホールを注入するための電極であり、仕事関数が例えば略4eV(電子ボルト)以上で、光透過率が例えば略70%以上の電極材料により構成されている。この電極材料は、CuI、ITO(インジウム−スズ酸化物)、SnO、ZnO、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム−亜鉛酸化物)、PEDOT又はポリアニリン等の導電性高分子、若しくはこれらにアクセプタをドープした導電性高分子により形成することができる。第1電極3は、金等の金属、合金、又はカーボンナノチューブ等の導電性材料を分散配置させた透明シートであってもよい。第1電極3のシート抵抗は、数百Ω/□以下とすることが好ましく、100Ω/□以下が特に好ましい。第1電極3の膜厚は、光透過率及びシート抵抗等を上記の特性とするため、電極材料にもよるが、500nm以下、好ましくは10〜200nmの範囲に設定される。
【0030】
ホール注入層41は、銅フタロシアニン(CuPc)等の低分子量の有機化合物、又はポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)等の高分子材料等により構成される。
【0031】
ホール輸送層42は、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、2−TNATA、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、スピロ−NPD、スピロ−TPD、スピロ−TAD、TNB等を代表例とする、トリアリールアミン系化合物、カルバゾール基を含むアミン化合物、又はフルオレン誘導体を含むアミン化合物等により構成される。
【0032】
ホール注入層41及びホール輸送層42は、蒸着法又は転写法等の乾式プロセスにより成膜されていてもよいし、スピンコート、スプレーコート、ダイコート又はグラビア印刷等の塗布法により成膜されていてもよい。
【0033】
発光層43の発光材料44は塗布型材料であり、発光層43は発光材料44に多孔質粒子45が予め混合され、スピンコート、スプレーコート、ダイコート又はグラビア印刷等の塗布法により成膜されている。
【0034】
発光材料44は、例えばアントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体(Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、MEH−PPV、又は各種蛍光材料、若しくはこれらのうちから適宜選択した材料の混合物等とする。上述の各種材料は蛍光発光材料であるが、発光材料44は、燐光発光材料等の、スピン多重項状態から基底状態に遷移して発光する材料、又はそれから成る部位を分子内の一部に有する化合物であってもよい。
【0035】
多孔質粒子45は、多孔質シリカ粒子であり、多孔質シリカとしてメソポーラスシリカが用いられる。多孔質シリカとして中空シリカ、ナノポーラスシリカを用いてもよい。多孔質粒子45の材料は多孔質シリカに限定されず、他の金属酸化物等であってもよい。
【0036】
多孔質粒子45は、粒子内の空隙に空気が含まれているので屈折率が低い。多孔質粒子45の空隙率は可能な限り高いことが望ましい。ここで、多孔質粒子45の空隙率[%]と、多孔質粒子45の材料の屈折率とから多孔質粒子45の屈折率を求める数式を下記の数8に示す。
[数8]
多孔質粒子の屈折率=(多孔質粒子材料の屈折率)×(1−空隙率/100)+空隙率/100
【0037】
上記数8の数式に示されるように、多孔質粒子45の屈折率を低くするためには、多孔質粒子45の空隙率を高める必要がある。
【0038】
多孔質材料としてのメソポーラスシリカは、中空シリカよりも空隙率を高くできるため、低屈折率化することができる。メソポーラスシリカ粒子は、空隙率を保ったまま粒径を制御可能であるので好ましい。さらに粒子表面に有機構造を形成することで他の材料への分散性を向上しやすい特徴を有し、特に好ましい。メソポーラスシリカの表面の有機構造は炭素数3以上の鎖式炭化水素構造又はπ共役結合を有する有機官能基等である。炭素数3以上の鎖式炭化水素構造としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素とそれらを組み合わせたものが挙げられ、直鎖状でも分岐構造があっても良く、構造の一部分に環状炭化水素構造や窒素や酸素などの原子が結合していてもよい。π共役結合を有する有機官能基としては、有機官能機内のπ電子が非局在化できる有機官能基であれば特に限定されないが、フェニル基やナフチル基やスチリル基やフルオレン構造を有した官能基といったアリール基やそれらの誘導体を挙げることができる。また、発光材料44に含まれる有機官能基と同じ官能基を粒子表面に備えていても、粒子の分散性を向上しやすいため、特に好ましい。
【0039】
多孔質粒子45の平均粒径は、発光層43の厚さが数十nm〜数百nmである場合、略10〜100nmとする。平均粒径は、発光層43の厚さに応じて決められる。
【0040】
多孔質粒子45としてのメソポーラスシリカ粒子は、上記粒径を有するので、メソポーラスシリカナノ粒子又はメソポーラスシリカ微粒子とも称される。メソポーラスシリカ粒子は、内部に孔径2nm以上の複数のメソ孔を有する。粒子内のメソ孔は、配置に規則性を有していることが多く、等間隔の2次元ヘキサゴナル上に配列されていることが多い。メソポーラスシリカ粒子の空隙率は、本発明では、円柱状のメソ孔の柱方向に垂直な平面における空隙率を適用する。メソポーラスシリカ粒子をX線回折測定して得られるメインピークは、100面である。計算される面間隔d100の2/√3倍が隣り合うメソ孔の中心間の距離となる。また、窒素吸着法によって得られた細孔径分布のピーク値をメソ孔径とする。メソポーラスシリカ粒子の空隙率は、メソ孔配列の対称性を考慮すると、隣り合うメソ孔中心間の距離の半分が対辺の距離となる六角形の面積に対するメソ孔の断面積の割合となる。多孔質粒子45としてのメソポーラスシリカ粒子の空隙率は、このような測定で略20%以上であり、25%以上が好ましい。
【0041】
メソポーラスシリカナノ粒子の製造方法は特に限定しないが、粒子表面に有機官能基を有し、2次元ヘキサゴナル構造のメソ孔を有したメソポーラスシリカナノ粒子は例えば、非特許文献Chem. Mater. 22, pp.12-14 (2010)に示される方法で得ることができる。界面活性剤は水中で疎水部含有添加物を界面活性剤の疎水部に取り込みながらミセルを形成しミセルは規則配列する。シリコンアルコキシドを添加し塩基触媒を用いて加水分解反応させるとミセルの外側を覆うようにシリカ骨格が粒子状に形成し界面活性剤複合シリカ粒子を生成する。更にアミノプロピル基等の有機官能基含有シリコンアルコキシドを用いることで粒子に有機官能基を形成できる。界面活性剤複合シリカ粒子から界面活性剤のミセルを除去することでミセルの形状をそのまま細孔として残すことでメソポーラスシリカナノ粒子を作製する。ミセルの除去は酸やアルコールによる抽出が好ましく、酸による抽出時にヘキサメチルジシロキサンを用いると抽出と同時に、粒子表面をシリル化しメチル基を付与できる。更にヘキサメチルジシロキサンの代わりに1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンや1,3−ジ−n−オクチルテトラメチルジロキサンなどの有機官能基を有したシロキサンを用いることで任意の有機官能基を粒子表面に形成することができる。更に、粒子表面にシラノール基やアミノ基やエポキシ基やビニル基などの反応性官能基を有していれば、反応性有機官能基を介してメソポーラスシリカナノ粒子に所望の有機官能基を結合することができる。
【0042】
発光層43は、発光材料に予め多孔質粒子45を混合したものが発光層43の下地層であるホール輸送層42の上に積層されて形成される。ホール輸送層42の上に予めメソポーラスシリカ膜を形成した上に、発光材料を積層して発光層43を形成してもよい。また、ホール輸送層42の上に発光材料44をある膜厚積層した上にメソポーラスシリカ膜を形成し、さらに発光材料44を積層してメソポーラスシリカが混合された発光層43を形成してもよい。予め積層しておく発光材料44の膜厚は薄いほうがよく、例えば略20nm以下とされる。
【0043】
発光層43の屈折率は1.6よりも低いことが好ましい。発光層43の屈折率の調整は、発光材料44の選択、又は多孔質粒子45の材料の選択若しくは空隙率の調整等によりなされる。
【0044】
第2電極5は、発光層43に電子を注入するための電極であり、仕事関数が例えば略5eV以下である。第2電極5は、発光層43からの光を基板2方向へ反射する光反射性を有する光反射性電極であっても、上述の光を透過する光透過性電極であってもよい。第2電極5が光反射性電極である場合、その反射率は例えば略80%以上とされ、90%以上が好ましい。第2電極5が光透過性電極である場合、その光透過率は例えば略70%以上とされる。
【0045】
第2電極5の電極材料は、金属、合金、又は電気伝導性化合物、若しくはこれらの混合物である。具体的な電極材料は、アルカリ金属、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の酸化物、又はアルカリ土類金属、若しくはこれらと他の金属との合金、例えば、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/LiF混合物等である。アルミニウム、銀(Ag)、金(Au)、プラチナ(Pt)、Al/Al混合物等も電極材料として使用可能である。電極材料は、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、又は金属酸化物を第2電極5の下地とし、その上に金属等の導電材料を1層以上積層したものであってもよい。積層される導電材料は、アルカリ金属/Al、アルカリ金属のハロゲン化物/アルカリ土類金属/Al、アルカリ金属の酸化物/Al等である。第2電極5の有機層4との界面付近には、リチウム、ナトリウム、セシウム又はカルシウム等のアルカリ金属、若しくはアルカリ土類金属をドープしてもよい。第2電極5は、光透過性を持たせる場合、ITO又はIZO等の透明電極により基板6上に形成される。第2電極5は、光反射性を持たせる場合、透明電極と光反射層との組み合わせにより形成してもよい。
【0046】
各電極3、5は、それぞれ、真空蒸着法、スパッタリング法又は塗布等により上述の電気材料から薄膜を形成して成る。各電極3、5の膜厚は、各電極3、5の光透過率等の各種特性を上述のものとするために材料に応じて設定されており、例えば略500nm以下に設定されている。膜厚は略10〜200nmの範囲内が好ましい。各電極3、5のシート抵抗は数百Ω/□以下とするが、略100Ω/□以下であることが望ましい。
【0047】
本発明の実施例としての有機EL素子1を4種類、比較例としての有機EL素子を2種類作製した。
【実施例1】
【0048】
基板2は、厚さが0.7mmの無アルカリガラス板(No.1737、コーニング製)とした。まず、この基板2上にITOターゲット(東ソー製)を用いてスパッタを行い、厚さが150nmのITO層を形成した。このITO層付きの基板2を、Ar雰囲気下、200℃で約1時間アニール処理を行い、ITOから成るシート抵抗が18Ω/□の第1電極3を形成した。第1電極3の波長550nmでの屈折率は、光学式薄膜測定システム(SCI社製「FilmTek」)で測定すると、2.1であった。
【0049】
次に、第1電極3上にポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)(スタルクヴィテック社製「Baytron P AI4083」、PEDOT:PSS=1:6)を膜厚が30nmとなるようにスピンコータにより塗布し、約150℃で10分間焼成し、ホール注入層41を得た。ホール注入層41の波長550nmでの屈折率は、第1電極3と同様に測定すると、1.55であった。
【0050】
ホール注入層41の形成後、TFB(Poly[(9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl)-co-(4,4’-(N-(4-sec-butylphenyl))diphenylamine)])(アメリカンダイソース社製「Hole Transport Polymer ADS259BE」)をTHF溶媒に溶解した溶液を、ホール注入層41の上に膜厚が12nmとなるようにスピンコータを用いて塗布し、これによりTFB被膜を作製した。その後、これを200℃で10分間焼成するにより、ホール輸送層42を得た。ホール輸送層42の波長550nmでの屈折率は、1.64であった。
【0051】
次に、発光材料44としての赤色高分子(アメリカンダイソース社製「Light Emittingpolymer ADS111RE」)をTHF溶媒に溶解した溶液を、ホール輸送層42の上に膜厚20nmとなるようにスピンコータを用いて塗布し、これを100℃で10分間焼成した。その上に予め作製した多孔質粒子45としてのメソポーラスシリカ粒子をブタノールに分散させた溶液を塗布し、さらに、全体で膜厚100nmとなるように赤色高分子ADS111REをスピンコータを用いて塗布し、これを100℃で10分間焼成し、発光層43を得た。発光層43の波長550nmでの屈折率は、1.55であった。
【0052】
最後に、真空蒸着法により、発光層43の上にBaを5nm、アルミニウムを80nmの厚さで成膜して第2電極5を作製し、有機EL素子1を得た。
【0053】
実施例1における多孔質粒子45としてのメソポーラスシリカ粒子の作製について説明する。冷却管、攪拌機、温度計を取り付けたセパラブルフラスコに、H0:120g、25%NH水溶液:5.4g、エチレングリコール:20g、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB):1.2g、1,3,5−トリメチルベンゼン(TMB):1.58g(物質量比TMB/CTAB=4)、TEOS:1.29g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン:0.23gを混合し、60℃で4時間攪拌することにより、界面活性剤複合シリカ粒子を得た。
【0054】
次に、イソプロパノール:30g、5N−HCl:60g、ヘキサメチルジシロキサン:26gを混合し、72℃で攪拌しておき、界面活性剤複合シリカ粒子の合成反応液を添加し、30分間攪拌・還流した。以上の操作により、界面活性剤複合シリカ粒子から界面活性剤CTAB及び疎水部含有添加物TMBが抽出され、粒子表面がトリメチルシリル化されたメソポーラスシリカ粒子を得た。
【0055】
トリメチルシリル化後の溶液を20,000rpm、20分間で遠心分離後、液を除去した。沈殿した固相にエタノールを加え、振とう機で粒子をエタノール中で振とうすることでメソポーラスシリカ粒子を洗浄した。20,000rpm、20分間で遠心分離し、液を除去しメソポーラスシリカ粒子を得た。
【0056】
作製したメソポーラスシリカ粒子0.2gにブタノール3.8gを加えて、振とう機で再分散させたところ、ブタノールに分散したメソポーラスシリカ粒子を得た。メソポーラスシリカ粒子の粒子径は、約50nmであった。
【実施例2】
【0057】
多孔質粒子45としてのメソポーラスシリカ粒子の作製方法以外は実施例1と同様にして実施例2の有機EL素子1を得た。この有機EL素子1において、発光層43の波長550nmでの屈折率は、1.51であった。
【0058】
実施例2における多孔質粒子45としてのメソポーラスシリカ粒子の作製について説明する。先ず、実施例1と同様にして界面活性剤複合シリカ粒子を得た。
【0059】
次に、イソプロパノール:30g、5N−HCl:60g、1,3−ジ−n−オクチルテトラメチルジロキサン:57.4gを混合し、72℃で攪拌しておき、界面活性剤複合シリカ粒子の合成反応液を添加し、30分間攪拌・還流した。以上の操作により、界面活性剤複合シリカ粒子から界面活性剤及び疎水部含有添加物が抽出され、粒子表面に炭素数8の炭化水素であるオクチル基とメチル基が形成されたメソポーラスシリカ粒子を得た。
【0060】
作製したメソポーラスシリカ粒子から実施例1と同様にして、ブタノールに分散したメソポーラスシリカ粒子を得た。メソポーラスシリカ粒子の粒子径は、約50nmであった。
【実施例3】
【0061】
赤色高分子(アメリカンダイソース社製「Light Emitting Polymer ADS111RE」)と予め作製したメソポーラスシリカ粒子を重量比1:1でTHF溶媒に溶解した溶液を、ホール輸送層42の上に膜厚が100nmになるようにスピンコーターで塗布した。これを100℃で10分間焼成することによって、発光層43を得た。それ以外は実施例1と同様にして有機EL素子1を得た。この有機EL素子1において、発光層43の波長550nmでの屈折率は、1.51であった。
【0062】
実施例3におけるメソポーラスシリカ粒子の作製について説明する。先ず、実施例1と同様にして界面活性剤複合シリカ粒子を得た。
【0063】
次に、イソプロパノール:30g、5N−HCl:60g、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン:45.8gを混合し、72℃で攪拌しておき、界面活性剤複合シリカ粒子の合成反応液を添加し、30分間攪拌・還流した。以上の操作により、界面活性剤複合シリカ粒子から界面活性剤及び疎水部含有添加物が抽出され、粒子表面にフェニル基とメチル基が形成されたメソポーラスシリカ粒子を得た。
【0064】
作製したメソポーラスシリカ粒子から実施例1と同様にして、ブタノールに分散したメソポーラスシリカ粒子を得た。メソポーラスシリカ粒子の粒子径は、約50nmであった。
【実施例4】
【0065】
多孔質粒子45としてのメソポーラスシリカ粒子の作製方法以外は実施例1と同様にして実施例4の有機EL素子1を得た。この有機EL素子1において発光層43の波長550nmでの屈折率は1.51であった。
【0066】
実施例4における多孔質粒子45としてのメソポーラスシリカ粒子の作製について説明する。まず、実施例1と同様にしてトリメチルシリル化後の液から遠心分離によりメソポーラスシリカ粒子を回収し、トルエン10gに分散した。この液にエポキシ基含有フルオレン(オグソールEG200、大阪ガスケミカル社製)2gを添加し、室温で12時間攪拌し、メソポーラスシリカ表面のアミノ基にエポキシ基を反応させ、表面にフルオレン構造を結合した。反応後の液を遠心分離し粒子を回収し、1−ブタノールに振とうすることで再分散した。
【0067】
(メソポーラスシリカ粒子の評価)
作製した実施例1〜4のメソポーラスシリカ粒子を乾燥し、透過型電子顕微鏡観察(TEM)と窒素吸着測定とFT−IR測定を実施した。
【0068】
(TEM観察)
JEM 2000EXII(JEOL社製)にて、実施例1のメソポーラスシリカ粒子について微細構造をTEM観察した。実施例1のTEM像を図3に示した。メソ孔が2次元ヘキサゴナル構造を形成している様子が確認された。実施例2〜4のメソポーラスシリカ粒子においても同様の結果であった。
【0069】
(窒素吸着測定)
Autosorb-3(Quantachrome社製)を使用し、等温吸着線を計測し、BJH解析法により細孔径分布を得た。実施例1〜4の粒子の細孔径のピークトップは約5nm、細孔容量は1.9cc/gであった。
【0070】
(FT−IR測定)
FT/IR−670Plus(日本分光社製)測定装置を用いて実施例1〜3の赤外線吸収スペクトルを測定し、粒子表面の官能基を確認した。図4に、実施例1〜3で得られたメソポーラスシリカ粒子の赤外線吸収スペクトルを示す。それぞれのスペクトルには、特徴的な吸収を記載している。スペクトルに示すように、実施例1ではトリメチルシリル基(Si−(CH)が確認され、実施例2では実施例1に比べCHのピークの増大が確認されオクチル基の存在が示唆されると同時にトリメチルシリル基のピークがなくなり、(Si−(CH)が見られ、オクチル基とメチル基が形成されていることが示唆された。実施例3では実施例1と比べてフェニル基が確認されるとともにトリメチルシリル基のピークがなくなり、(Si−(CH)が見られ、フェニル基とメチル基が形成されていることが示唆された。これにより、分子中にシロキサン結合を含んだ有機ケイ素化合物によって、各種の有機官能基を表面に有するメソポーラスシリカ微粒子が形成されたことを確認した。
【0071】
(比較例1)
発光層43に多孔質粒子45を混合しなかった以外は実施例1と同様にして比較例1の有機EL素子を得た。この有機EL素子において、発光層43の波長550nmでの屈折率は、1.67であった。
【0072】
(比較例2)
発光層43に混合する多孔質粒子をSiO粒子としたこと以外は実施例1と同様にして比較例2の有機EL素子を得た。この有機EL素子において、発光層43の波長550nmでの屈折率は、1.65であった。
【0073】
(評価試験)
上記のように作製した実施例1〜3及び比較例1、2の有機EL素子1について、評価試験を行った。本評価試験においては、各電極3、5間に電流密度10mA/cmの電流を流し、積分球を用いて、大気へ放射される光を計測した。また、材質がガラスの半球レンズをガラスと同じ屈折率のマッチングオイルを介して有機EL素子1の発光面上に配置し、上記と同様に計測して、発光層43から基板2まで到達する光を計測した。そして、これらの計測結果に基づいて大気放射光の外部量子効率と基板到達光のそれとを算出した。大気放射光の外部量子効率は有機EL素子1への供給電流と大気放射光量とから算出され、基板到達光の外部量子効率は有機EL素子1への供給電流と基板到達光量とから算出される。
【0074】
上述の評価試験の結果を下記の表1に示す。各有機EL素子1の大気放射光と基板到達光の夫々の外部量子効率は、比較例1を基準として算出した。
【表1】

【0075】
上記の表1に示されるように、多孔質粒子45をメソポーラスシリカ粒子とした実施例1〜4の有機EL素子1は、多孔質粒子45を混合しなかった比較例1、及び、多孔質粒子45をSiO粒子とした比較例2と比べて外部量子効率が高かった。また、実施例2〜4の有機EL素子1は、実施例1と比べると、発光層43の屈折率が低く、外部量子効率が高くなった。
【0076】
本実施形態の有機EL素子1においては、発光層43は、低屈折率である多孔質粒子45が混入されて屈折率が下がるので、発光層43から外部への光路中に在る各界面での臨界角を大きくすることができる。従って、それらの界面で全反射してロスする光を少なくすることができる。このため、基板2と大気への光取出し効率を高めることができ、上記評価試験結果に示されるように、基板到達光及び大気放射光の夫々の外部量子効率を高めることができる。
【0077】
発光層43の屈折率は、1.6以下とすることにより、従来よりも低くすることができ、有機EL素子1の光取出し効率を向上できる。
【0078】
また、多孔質粒子45を多孔質シリカ粒子とすることにより、多孔質シリカは屈折率が低いので、発光層43の屈折率を低くすることができ、有機EL素子1の光取出し効率を向上できる。
【0079】
多孔質シリカ粒子としてメソポーラスシリカ粒子を用いることにより、メソポーラスシリカは中空シリカより屈折率が低いので、発光層43の屈折率を低くすることができ、有機EL素子1の光取出し効率を向上できる。
【0080】
メソポーラスシリカ粒子は、内部に孔径2nm以上の複数のメソ孔が等間隔に配置されていることにより、空隙率を高くし、屈折率を低くすることができる。これにより、発光層43の屈折率を低くすることができ、有機EL素子1の光取出し効率を向上できる。
【0081】
メソポーラスシリカ粒子は、表面に鎖式炭化水素構造を有することにより、粒子同士が反発して均一な分散ができる。
【0082】
また、発光層43の発光材料44は、一般的なベンゼン環をその分子構造内に多く含んだπ共役結合系の材料である。このため、メソポーラスシリカ粒子は、表面にπ共役系のフェニル基やフルオレン構造を有することにより、発光材料44と混ざりやすくなる。
【0083】
また、多孔質粒子45は、粒径が10〜100nmであり、大き過ぎないので、発光層43内の多孔質粒子45の密度を高くすることができ、発光層43の屈折率をより下げることができる。しかも、粒径が小さ過ぎることもないので、多孔質粒子45の密度が高くなり過ぎて発光層43の発光量が低下することがない。
【0084】
また、発光材料44は塗装型材料であるので、多孔質粒子45を発光材料44に予め混合してから成膜することができる。従って、多孔質粒子45の密度むらを無くすことができる。このため、発光層43の屈折率を均一なものとすることができ、光むらを無くすことができる。
【0085】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、有機EL素子1は、複数の発光層43を有していてもよく、この場合は基板2上に第1電極3、発光層43を含む複数の有機層4が電荷供給層を介して積層され、その上に第2電極5が形成される。電荷供給層は、例えば、Ag、Au、Al等の金属薄膜、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化レニウム又は酸化タングステン等の金属酸化物、ITO、IZO、AZO、GZO、ATO又はSnO等の透明導電膜、いわゆるn型半導体とp型半導体の積層体、金属薄膜又は透明導電膜とn型半導体及び/又はp型半導体との積層体、n型半導体とp型半導体との混合物、n型半導体及び/又はp型半導体と金属との混合物等により形成することができる。n型半導体又はp型半導体は、無機材料であっても、有機材料であってもよく、有機材料と金属との混合物、有機材料と金属酸化物、有機材料と有機系アクセプタ/ドナー材料、無機系アクセプタ/ドナー材料等のうちのいずれかの組み合わせであっても構わない。
【0086】
また、1つの有機層4内に複数の発光層43が積層されていてもよい。発光層43を複数設ける場合には、その積層数は特に制限されないが、層数が増大すると光学的及び電気的な素子設計の難易度が増大するので、5層以内が望ましく、3層以内が特に好ましい。また、発光層43は蒸着法又は転写法等の乾式プロセスにより成膜されていても構わない。
【0087】
また、有機層4は、発光層43に必要に応じて電子注入層、電子輸送層、ホールブロック層、ホール注入層、ホール輸送層等の有機層を適宜積層して構成することができる。電子輸送層を設ける場合、その材料は、Alq等の電子輸送性材料として知られる金属錯体、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、テトラジン誘導体、又はオキサジアゾール誘導体等のヘテロ環を有する化合物等であり、電荷輸送性の高いものが望ましい。
【0088】
また、有機EL素子1において、第1電極3を陰極、第2電極5を陽極にしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)
2 基板
3 第1電極(陽極)
4 有機層
43 発光層
44 発光材料
45 多孔質粒子
5 第2電極(陰極)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、第1電極、発光層を含む有機層、及び第2電極をこの順に積層して成る有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記発光層が、発光材料に多孔質粒子を混合して形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
前記発光層の屈折率が1.6より低いことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記多孔質粒子が多孔質シリカ粒子であることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記多孔質シリカ粒子がメソポーラスシリカ粒子であることを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記メソポーラスシリカ粒子の内部に孔径2nm以上の複数のメソ孔が等間隔に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記メソポーラスシリカ粒子の表面に鎖式炭化水素構造を有することを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記メソポーラスシリカ粒子の表面にπ共役結合を有する有機官能基を有することを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記多孔質粒子の粒径が10〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
前記発光材料が塗布型材料であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−14534(P2011−14534A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125639(P2010−125639)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】