説明

有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法および有機エレクトロルミネッセンス装置

【課題】多大なコストをかけずに隔壁上方の所定位置に補助配線層を効率よく形成することのできる有機EL装置の製造方法、および有機EL装置を提供すること。
【解決手段】有機EL装置の補助配線層を形成する工程では、転写材1において導電層11が形成されている側を、基板120において隔壁116が形成されている面側に圧接させた後、基板120から基材10を引き離す。その結果、基板120側において隔壁116に起因する凸部上に導電層11が自己整合的に転写され、補助配線層12が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence/以下、ELという)装置の製造方法、および有機EL装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL装置は、基板上に複数の回路素子、画素電極、正孔注入層や有機EL層(発光層)を含む有機機能層、対向電極(共通電極)層などを積層した構成となっている。また、有機EL装置では、絶縁材料によって形成された隔壁(バンク)により、画素間が区画された構造になっている。かかる有機EL装置としては、有機機能層で発光した光を回路素子が形成された基板側から取り出すボトムエミッション型と、有機機能層で発光した光を回路素子が形成された基板側とは反対側から取り出すトップエミッション型とが知られている。
【0003】
かかる有機EL装置のうち、特にトップエミッション型では、対向電極層が透光性電極である必要上、低抵抗な金属を用いることができない。そこで、対向電極層の抵抗を下げる目的で、隔壁上にアルミニウム等からなる補助配線層を形成することがある。
【0004】
かかる補助電極を形成する場合、従来、マスク蒸着法やフレキソ印刷法等が用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−95515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法のように、マスク蒸着法やフレキソ印刷法等によって補助配線層を形成するには、蒸着マスクや版が必要であるため、コストが嵩むという問題点がある。特に、有機EL装置の仕様によって、補助配線層の形成位置などが相違する場合、全ての種類に対応する場合には、蒸着マスクや版を多種類、準備しておく必要であるため、多大なコストがかかる。また、マスク蒸着法やフレキソ印刷法等によって補助配線層を形成する場合、基板と蒸着マスクや版とのアライメントに多大な手間がかかるとともに、アライメントずれを完全に防止することは困難である。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、多大なコストをかけずに隔壁上方の所定位置に補助配線層を効率よく形成することのできる有機EL装置の製造方法、およびかかる方法で製造した有機EL装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る有機EL装置の製造方法では、基板の一方面側に複数の画素電極を形成する画素電極形成工程と、少なくとも前記画素電極の周囲を囲むように隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記画素電極上に有機機能層を形成する有機機能層形成工程と、前記有機機能層および前記隔壁に上層側で重なる対向電極層を形成する対向電極層形成工程と、前記対向電極層形成工程の前あるいは後、前記隔壁に上層側に重なる領域において前記対向電極層の上面あるいは下面に接する補助配線層を形成する補助電極層形成工程と、を有し、前記補助配線層形成工程では、転写材において基材に積層された導電層を前記基板に対して前記隔壁が形成されている面側に圧接した後、当該基板から前記基材を引き離して前記基板側において前記隔壁に起因する凸部上に前記導電層を転写して前記補助配線層を形成することを特徴とする。
【0009】
本発明では、補助配線層形成工程において、転写材において導電層が形成されている側を、基板において隔壁が形成されている面側に圧接させた後、基板から基材を引き離す。その結果、基板側において隔壁に起因する凸部上に導電層が自己整合的に転写され、補助配線層が形成される。このため、マスク蒸着法やフレキソ印刷法等によって補助配線層を形成する場合と違って、蒸着マスクや版が不要であるため、コストを低減することができる。特に、有機EL装置の仕様によって、補助配線層の形成位置などが相違する場合でも、蒸着マスクや版を準備しておく必要でないため、コストを大幅に低減することができる。また、補助配線層は、隔壁に起因する凸部上に自己整合的に形成されるため、マスク蒸着法やフレキソ印刷法等と違って、補助配線層を形成する際にアライメントを必要とせず、それ故、アライメント誤差も発生しない。さらに、補助配線層は、補助配線層の下層側に位置する凸部の上端面に対して平面視で重なる全域に当該凸部と同一の幅寸法をもって設けられるため、補助配線層の幅寸法が広い。それ故、対向電極層の抵抗を大幅に低減することができる。
【0010】
本発明に係る製造方法で得られた有機EL装置は、基板の一方面側に設けられた複数の画素電極と、少なくとも前記画素電極の周囲を囲む隔壁と、前記画素電極上に積層された有機機能層と、前記有機機能層および前記隔壁に上層側で重なる対向電極層と、前記隔壁に上層側に重なる領域において前記対向電極層の上面あるいは下面に接する補助配線層と、を有し、前記補助配線層は、当該補助配線層の下層側に位置する前記隔壁に起因する凸部の上端面に対して平面視で重なる全域に当該凸部の上端面と同一の幅寸法をもって設けられていることを特徴とする。かかる構成によれば、補助配線層は、補助配線層の下層側に位置する隔壁の上端面に対して平面視で重なる全域に当該上端面と同一の幅寸法をもって設けられるため、補助配線層の幅寸法が広い。それ故、対向電極層の抵抗を大幅に低減することができる。
【0011】
本発明において、前記転写材は、前記基材としてのシート状基材に前記導電層が積層されてなることが好ましい。かかる構成によれば、隔壁に起因する凸部上のみで転写材の導電層と基板側とを圧接することができる。
【0012】
本発明において、前記補助配線層形成工程では、互いにロール面が隙間を介して対向するように配置されたロール間に前記転写材と前記基板とを重ねた状態で通過させることにより、前記導電層を前記基板に圧接させることが好ましい。かかる構成によれば、ロール間に転写材と基板とを重ねた状態で通過させるだけで、隔壁に起因する凸部上のみで転写材の導電層と基板側とを圧接することができるので、補助配線層を隔壁に起因する凸部上に自己整合的に形成することができる。また、ロール間に転写材と基板とを重ねた状態で通過させるだけでよいので、連続処理に適しており、高い生産性を実現することができる。
【0013】
本発明において、前記隔壁は、全体が略同一の高さ寸法を有し、前記補助電極層形成工程では、前記導電層を前記隔壁の形成領域全体に転写する構成を採用することができる。かかる方法を採用した有機EL装置では、前記隔壁は、全体が略同一の高さ寸法を有し、前記補助配線層は、前記隔壁の形成領域全体に設けられている構成となる。
【0014】
本発明において、前記隔壁は、高さ寸法の異なる複数の隔壁部分を備え、前記補助電極層形成工程では、前記複数の隔壁部分のうち、高さ寸法が最大の隔壁部分の形成領域に転写する構成を採用してもよい。かかる方法を採用した有機EL装置では、前記隔壁は、高さ寸法の異なる複数の隔壁部分を備え、前記補助配線層は、前記複数の隔壁部分のうち、高さ寸法が最大の隔壁部分の形成領域に設けられている構成となる。すなわち、隔壁の一部を高くしておくだけで、かかる隔壁部分のみに補助配線層を選択的に形成することができる。それ故、転写方式であっても、基板上の必要な箇所のみに補助配線層を設けることができる。
【0015】
本発明に係る有機EL装置は、携帯電話機、テレビ、車載パネル、パーソナルコンピューターやPDAなどの電子機器においてフルカラー表示装置として用いることができる。また、本発明に係る有機EL装置はプリンターや複写機などの画像形成装置の露光ヘッドとして用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明が適用される有機EL装置の電気的構成を示すブロック図である。有機EL装置のブロック図である。
【図2】本発明を適用した有機EL装置の画素構成を示す説明図である。
【図3】本発明を適用した有機EL装置を製造する方法を示す工程断面図である。
【図4】本発明を適用した有機EL装置を製造する方法を示す工程断面図である。
【図5】本発明を適用した有機EL装置の製造工程のうち、補助配線層形成工程の様子を示す説明図である。
【図6】本発明を適用した別の有機EL装置の画素構成を示す説明図である。
【図7】本発明を適用したさらに別の有機EL装置の画素構成を示す説明図である。
【図8】本発明に係る有機EL装置を用いた電子機器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明に用いた各図では、各層や各部材を図面上で認識可能とするため、各層や各部材毎に縮尺を相違させてある。また、薄膜トランジシスターや配線など、本発明と直接、関係しない構成要素については、その形成位置をずらすことにより、その構成を図面上で認識しやすくしてある。
【0018】
(有機EL装置の全体構成)
図1は、本発明が適用される有機EL装置の電気的構成を示すブロック図である。なお、図1において各画素が赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のいずれの色に対応するかは、(R)、(G)、(B)を付すことにより表わしてある。
【0019】
図1に示す有機EL装置100は、駆動電流が流れることによって発光する有機EL素子を薄膜トランジスターで駆動制御する装置であり、このタイプの有機EL装置100では、有機EL素子が自己発光するため、バックライトを必要とせず、また、視野角依存性が少ないなどの利点がある。
【0020】
本形態の有機EL装置100では、複数の走査線163と、この走査線163の延設方向に対して交差する方向に延設された複数のデータ線164と、これらのデータ線164に並列する複数の共通給電線165と、データ線164と走査線163との交差点に対応する画素115とが構成され、画素115は、画像表示領域にマトリクス状に配置されている。データ線164に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ線駆動回路151が構成されている。走査線163に対しては、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査線駆動回路154が構成されている。また、複数の画素115の各々には、走査線163を介して走査信号がゲート電極に供給される画素スイッチング用の薄膜トランジスター106と、この薄膜トランジスター106を介してデータ線164から供給される画像信号を保持する保持容量133と、この保持容量133によって保持された画像信号がゲート電極に供給される電流制御用の薄膜トランジスター107とが形成されている。また、複数の画素115の各々には、薄膜トランジスター107を介して共通給電線165に電気的に接続したときに共通給電線165から駆動電流が流れ込む有機EL素子110とが形成されている。
【0021】
(画素構成)
図2は、本発明を適用した有機EL装置の画素構成を示す説明図であり、図2(a)、(b)は各々、本発明を適用した有機EL装置の複数の画素の平面図および断面図である。なお、図2(a)の右側には、図2(b)のA−A′線で切断した様子を示し、図2(a)の左側には、図2(b)のB−B′線で切断した様子を示してある。また、図2(b)には、後述する隔壁116の形成領域については右上がりの斜線を付した領域として示し、後述する補助配線層12の形成領域について右下がりの斜線を付した領域として示してある。
【0022】
図1および図2(a)、(b)に示すように、本形態の有機EL装置100は、カラー表示装置であるため、各画素115は各々、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に対応し、本形態では、複数の画素115が、対応する色(R)、(G)、(B)毎に直線的に配列されたストライプ配列が採用されている。
【0023】
本形態の有機EL装置100を構成するにあたっては、素子基板を構成するガラス基板などからなる基板120(有機EL装置用基板)上にシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、感光性樹脂などからなる複数の絶縁膜121、122、123が形成されており、かかる絶縁膜121、122、123の層間などを利用して、図1を参照して説明した薄膜トランジスター106、107、保持容量133、走査線163、データ線164、共通給電線165が形成されている。
【0024】
また、絶縁膜123上には、ITO(酸化インジウム−スズ/Indium Tin Oxide)などからなる光透過性の画素電極111が形成され、この画素電極111は、絶縁膜123のコンタクトホールを介して薄膜トランジスター107に電気的に接続されている。従って、画素電極111は、薄膜トランジスター107を介して共通給電線165に電気的に接続したとき、共通給電線165から駆動電流が流れ込む。
【0025】
各画素115には、陽極層としての画素電極111と、有機機能層113と、陰極層としての対向電極層112がこの順に積層された有機EL素子110が形成されている。有機機能層113は、画素電極111上に積層された正孔注入層113aと、この正孔注入層113aの上層側に形成された発光層113bとを備えている。発光層113bは、正孔注入層113aの側から注入される正孔と、対向電極層112の側から注入される電子とが結合して発光する領域としての機能を担っており、各画素115が赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれの色に対応するかは、発光層113bを構成する有機材料の種類によって規定されている。本形態では、正孔注入層113aが、正孔を発光層113bに輸送する正孔輸送層としての機能も担っている。
【0026】
なお、各画素115は赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に対応しているが、各色の画素115において、有機EL素子110を構成する発光層113bの組成のみが相違し、その他の構成は共通である。
【0027】
本形態の有機EL装置100は、基板120とは反対側に向けて光を出射するトップエミッション型である。このため、対向電極層112は、例えば、薄いカルシウム層とITO層などからなる光透過性電極層として構成されている。かかるトップエミッション型の有機EL装置100の場合、画素電極111に対して下層側は、画素電極111の略全体と重なるようにアルミニウム膜などからなる光反射層(図示せず)が形成される。有機EL装置100は、基板120側に向けて光を出射するボトムエミッション型として構成される場合もある。なお、基板120の素子形成面側には、水や酸素の侵入を防ぐことによって、陰極層あるいは機能層の酸化を防止する封止樹脂(図示せず)が形成され、さらに封止基板(図示せず)が貼られることがある。
【0028】
(隔壁の構成)
本形態では、隣り合う画素115の境界領域には、画素電極111の周縁部を取り囲むように、感光性樹脂からなる隔壁116が形成されており、かかる隔壁116は、図1に示すデータ線164の延在方向に延在する第1隔壁部分116aと、図1に示す走査線163の延在方向に延在する第2隔壁部分116bとからなる。第1隔壁部分116aおよび第2隔壁部分116bは、いずれも同一材料により形成され、感光性のアクリル樹脂から形成されている。
【0029】
隔壁116において、第1隔壁部分116aおよび第2隔壁部分116bはいずれも同一の高さ寸法をもって形成され、画素電極111からみて上方に大きく突出している。また、隔壁116(第1隔壁部分116aおよび第2隔壁部分116b)の高さ寸法は、画素電極111、正孔注入層113aおよび発光層113bの厚さ寸法の和、さらには、画素電極111、正孔注入層113a、発光層113bおよび対向電極層112の厚さ寸法の和よりも大である。
【0030】
このように構成した隔壁116は、有機機能層113(正孔注入層113aおよび発光層113b)を形成するのにインクジェット法(液体吐出法)を用いるとき、塗布される液状組成物の塗布領域を規定するものであり、有機機能層113は、隔壁116により形成された凹部内に形成されている。隔壁116の表面は、有機機能層113を形成する際に用いる液状組成物に対する撥液性が付与されており、液状組成物の表面張力によって、有機機能層113が凹部から外側にはみ出すことを防止し、かつ、有機機能層113の膜厚ばらつきを防止している。なお、インクジェット式の液滴吐出装置としては、後述するように、圧電振動子の体積変化により液状組成物を吐出させるピエゾジェットの液滴吐出装置や、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いた液滴吐出装置などが採用される。ここで、液状組成物は、水性であると油性であるとを問わない。また、液状組成物については、流動性を備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。また、液体材料に含まれる固体物質は融点以上に加熱されて溶解されたものでも、溶媒中に微粒子として分散させたものでもよく、溶媒の他に染料や顔料その他の機能性材料を添加したものであってもよい。
【0031】
(補助配線層の構成)
本形態の有機EL装置100は、基板120とは反対側に向けて光を出射するトップエミッション型である。このため、対向電極層112については厚い金属膜等、遮光性の導電膜を用いることができず、対向電極層112単体では抵抗が高い。そこで、本形態では、隔壁116に対して上層側に重なる領域には、対向電極層112の上面あるいは下面に接する補助配線層12が形成されている。本形態において、補助配線層12は、隔壁116の上端面116e(第1隔壁部分116aの上端面116f、および第2隔壁部分116bの上端面116g)と対向電極層112との間に形成されており、対向電極層112の下面に接している。
【0032】
また、補助配線層12は、隔壁116に起因する凸部の上端面(隔壁116の上端面116e(第1隔壁部分116aの上端面116f、および第2隔壁部分116bの上端面116g))に対して平面視で重なる全域に、隔壁116に起因する凸部の上端面(隔壁116の上端面116e(第1隔壁部分116aの上端面116f、および第2隔壁部分116bの上端面116g))と同一の幅寸法をもって形成されている。
【0033】
(有機EL装置の製造方法)
図3および図4は、本発明を適用した有機EL装置100を製造する方法を示す工程断面図である。図5は、本発明を適用した有機EL装置100の製造工程のうち、補助配線層形成工程の様子を示す説明図である。
【0034】
本形態の有機EL装置100を製造するには、まず、図3(a)に示すように、基板120に対して、周知の半導体プロセスを利用して、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、感光性樹脂などからなる複数の絶縁膜121、122、123の層間に薄膜トランジスター106、107、保持容量133、走査線163、データ線164、共通給電線165などを形成する。次に、画素電極形成工程において、絶縁膜123上にITO膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてITO膜をパターニングし、画素電極111を形成する。次に、大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行い、画素電極111、および絶縁膜123のうち、画素電極111から露出している部分に親液性を付与する。
【0035】
次に、隔壁形成工程において、感光性のアクリル樹脂を塗布した後、露光、現像し、有機機能層113の形成場所を囲むように、感光性のアクリル樹脂により、高さが例えば1〜2μmの隔壁116を形成する。その際、第1隔壁部分116aおよび第2隔壁部分116bは同時に形成される。隔壁116については、アクリル樹脂の他、ポリイミド樹脂などの絶縁性有機材料で形成してもよく、ポリシラザンなどの絶縁性無機材料で形成してもよい。隔壁116の表面に対して撥液化処理を行い、隔壁116の表面に対して、有機機能層113を形成するための液状組成物に対する撥液性を付与する。このような撥液性を付与するためには、例えば、隔壁116の表面をフッ素系化合物などで表面処理するといった方法が採用される。フッ素系化合物としては、例えばCF4、SF5、CHF3などがあり、表面処理としては、例えばプラズマ処理、UV照射処理などが挙げられる。
【0036】
次に、有機機能層形成工程を行う。それには、まず、正孔注入層形成工程において、図3(b)に示す吐出工程では、基板120の上面を上に向けた状態で、液滴吐出ヘッドから正孔注入層形成液(液状組成物)の液滴Maを、隔壁116で囲まれた凹部内に吐出する。正孔注入層形成液としては、例えば、ポリオレフィン誘導体である3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(導電性高分子材料)と、ポリスチレンスルホン酸(ドーパント)とを溶媒に分散させた溶液を用いる。このような正孔注入層形成液としては、溶媒として水単独を用い、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸を水に分散させたものを用いる。但し、正孔注入層形成液の液滴Maをノズル開口から安定した状態に吐出するために、正孔注入層形成液の粘度などを調整する必要がある場合には、ポリスチレンスルホン酸および3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させる溶媒として、水に有機溶剤を配合した混合溶媒を用い、有機溶剤により正孔注入層形成液の性質を最適化する。このような混合溶媒に使用可能な有機溶剤としては、アルコール類、エーテル類、グリコールモノエーテル類、ラクトン類、オキサゾリジノン類、カーボネート類、ニトリル類、アミド類、スルホン類などが挙げられる。
【0037】
次に、乾燥工程において、大気圧以下、例えば10-4〜10-6パスカル(Pa)程度の減圧雰囲気中で減圧乾燥を行い、正孔注入層形成材料中の溶媒を蒸発させる。その結果、図6(c)に示すように、画素電極111上に、正孔注入層113aが約10〜100nmの膜厚で形成される。
【0038】
次に、発光層形成工程では、図3(d)に示す吐出工程において、基板120の上面を上に向けた状態で、液滴吐出ヘッドから発光層形成液(液状組成物)の液滴Mbを、隔壁116で囲まれた凹部内に吐出する。発光材料としては、例えば分子量が1000以上の高分子材料が用いられる。具体的には、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、またはこれらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、例えばルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドンなどをドープしたものが用いられる。このような高分子材料としては、二重結合のπ電子がポリマー鎖上で非極在化しているπ共役系高分子材料が、導電性高分子でもあることから発光性能に優れるため、好適に用いられる。特に、その分子内にフルオレン骨格を有する化合物、すなわちポリフルオレン系化合物がより好適に用いられる。また、このような材料以外にも、例えば特開平11−40358号公報に示される有機EL素子用組成物、すなわち共役系高分子有機化合物の前駆体と、発光特性を変化させるための少なくとも1種の蛍光色素とを含んでなる有機EL素子用組成物も、発光層形成材料として使用可能である。このような発光材料を溶解あるいは分散する有機溶媒としては、非極性溶媒が好適とされ、特に発光層113bが正孔注入層113aの上に形成されることから、この正孔注入層113aに対して不溶なものが用いられることが好ましい。具体的には、キシレン、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼンなどが好適に用いられる。なお、発光層形成液の吐出による発光層113bの形成は、赤色の発色光を発光する発光層113b(R)の形成材料、緑色の発色光を発光する発光層113b(G)の形成材料、青色の発色光を発光する発光層113b(B)の形成材料を、それぞれ対応する画素115に吐出し塗布することによって行う。
【0039】
次に、乾燥工程では、大気圧以下、例えば10-4〜10-6パスカル(Pa)程度の減圧雰囲気中で減圧乾燥を行い、発光層形成材料中の溶媒を蒸発させる。その結果、図4(a)に示すように、正孔注入層113a上に固形の発光層113bが形成される。これにより、正孔注入層113aおよび発光層113bからなる有機機能層113が形成される。
【0040】
次に、図4(b)に示す補助配線層形成工程を行なう。補助配線層形成工程では、基材10にアルミニウム箔など金属箔からなる導電層11が積層された転写材1を用い、かかる転写材1において導電層11が形成されている面側を、基板120において隔壁116が形成されている面側に圧接させる。かかる圧接は、例えば、図4(b)に矢印P1で示すように、基材10を基板120に向けて押圧する力や、図4(b)に矢印P2で示すように、基板120を基材10に向けて押圧する力によって実現できる。その結果、転写材1では、隔壁116に起因する凸部(隔壁116の上端面116e)に密着するとともに、導電層11において、隔壁116の上端面116eの縁部分では導電層11が脆弱化する。従って、基板120から基材10を引き離すと、導電層11において隔壁116の上端面116eと密着している部分は、基材10の側から切り取られ、図4(c)に示すように、基板120側において隔壁116に起因する凸部上に導電層11が補助配線層12として転写される。このため、補助配線層12は、隔壁116に起因する凸部の上端面(隔壁116の上端面116e)に対して平面視で重なる全域に、隔壁116に起因する凸部(隔壁116の上端面116e)と同一の幅寸法をもって形成されることになる。
【0041】
図5を参照して、補助配線層形成工程の様子をより具体的に説明する。図5(a)に示すように、補助配線層形成工程では、基材10としてのシート状基材に導電層11が積層された転写材1を用いる。シート状の基材10としては、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックシートを用いることができる。また、基材10と導電層11との間には剥離樹脂層13が形成されていることが好ましく、かかる剥離樹脂層13としては、エポキシ系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂などからなる光硬化型接着性樹脂、熱硬化型接着性樹脂、2液硬化型接着性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの酸変性物からなる熱可塑性接着性樹脂などを用いることができる。また、基材10と剥離樹脂層13との接着強度が、剥離樹脂層13と導電層11(金属箔)界面の接着強度よりも高くなるよう、転写材の基材10表面にプラズマ処理、コロナ放電処理、UVオゾン処理などの表面処理を施しておくことが好ましく、さらには、酸化珪素、窒化珪素、窒酸化珪素、酸窒化珪素などの無機絶縁膜や、チタンなどの金属薄膜などの薄膜を介在させもよい。また、必要に応じて、イソシアネート系、有機チタン系、ポリエチレンイミン系などの下塗り材を用いて接着強度を高めてもよい。また、導電層11と剥離樹脂層13が剥離しやすくなるよう、必要に応じて、ポリエステルアクリレート、ポリエステルアリルアクリルアミドなどの長鎖アルキル基含有ポリマーや、フェニルメチルシロキサンとジメチルシロキサンのコポリマーなどのシリコーン系ポリマーや、ポリ(1,1−シヒドロパ−フロロヘキシルメタクリレート)、ポリ(N−エチル、N−パーフロロオクタンスルホアミドエチルメタクリレート)などのパーフロロ系ポリマーなどを導電層12と剥離樹脂層13との間に介在させてもよい。
【0042】
また、本形態では、補助配線層形成工程において、互いにロール面31a、32aが隙間を介して対向するように配置されたロール31、32を設けておき、かかるロール31、32の間に転写材1と基板120とを重ねた状態で通過させる。その際、ロール31、32は、転写材1および基板120の送りに従動して回転する構成、あるいはロール31、32の少なくとも一方が転写材1および基板120の送り方向に回転駆動されている構成のいずれであってもよい。いずれの場合でも、ロール31、32では、少なくともロール32についてはロール面32aがゴムなどの弾性をもった構成や、バネなどによってロール31、32に対して互いに近接する方向の付勢力が作用していることが好ましい。
【0043】
このような送り動作を行なうと、ロール31、32の間において、転写材1の導電層11は、隔壁116に起因する凸部の上端面(隔壁116の上端面116e)に密着するとともに、導電層11において、隔壁116の上端面116eの縁部分では導電層11が脆弱化する。従って、基板120がロール31、32の間を通過し、基材10と基板120が離れると、導電層11において隔壁116の上端面116eと密着している部分は、基材10の側から切り取られ、図5(b)に示すように、基板120側において隔壁116に起因する凸部上に導電層11が補助配線層12として転写される。
【0044】
しかる後には、図2(a)に示すように、基板120の表面全体に、あるいはストライプ状に、LiF/Al(LiFとAlとの積層膜)やMgAg、あるいはLiF/Ca/Al(LiFとCaとAlとの積層膜)をマスク蒸着法などによって成膜し、対向電極層112を形成する。その後、封止を行なえば、有機EL素子110を各画素115に備えた有機EL装置100が完成する。
【0045】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、補助配線層形成工程において、転写材1において導電層11が形成されている側を、基板120において隔壁116が形成されている面側に圧接させた後、基板120から基材10を引き離す。その結果、基板10側において隔壁116に起因する凸部上に導電層11が自己整合的に転写され、補助配線層12が形成される。このため、マスク蒸着法やフレキソ印刷法等によって補助配線層12を形成する場合と違って、蒸着マスクや版が不要であるため、コストを低減することができる。特に、有機EL装置100の仕様によって、補助配線層12の形成位置などが相違する場合でも、蒸着マスクや版を準備しておく必要でないため、コストを大幅に低減することができる。
【0046】
また、補助配線層12は、隔壁116に起因する凸部上に自己整合的に形成されるため、マスク蒸着法やフレキソ印刷法等と違って、補助配線層12を形成する際にアライメントを必要とせず、それ故、アライメント誤差も発生しない。
【0047】
さらに、補助配線層12は、隔壁116の上端面116eに対して平面視で重なる全域に上端面116eと同一の幅寸法をもって設けられるため、補助配線層12の幅寸法が広い。それ故、対向電極層112の抵抗を大幅に低減することができる。
【0048】
(別の実施の形態)
図6は、本発明を適用した別の有機EL装置の画素構成を示す説明図であり、図6(a)、(b)は各々、当該有機EL装置の複数の画素の平面図および断面図である。なお、図6(a)の右側には、図6(b)のA1−A1′線で切断した様子を示し、図6(a)の左側には、図6(b)のB1−B1′線で切断した様子を示してある。また、図6(b)には、後述する隔壁116の形成領域については右上がりの斜線を付した領域として示し、後述する補助配線層12の形成領域について右下がりの斜線を付した領域として示してある。
【0049】
図2に示す実施の形態では、隔壁116において、図1に示すデータ線164の延在方向に延在する第1隔壁部分116aと、図1に示す走査線163の延在方向に延在する第2隔壁部分116bとは、同一の高さ寸法をもって形成されていた。これに対して、本形態では、図6に示すように、隔壁116は、高さ寸法の異なる複数の隔壁部分を備え、かかる複数の隔壁部分のうち、高さ寸法が最大の隔壁部分の上層に補助配線層12が形成されている。より具体的には、図6に示すように、隔壁116は、図1に示すデータ線164の延在方向に延在する第1隔壁部分116aと、第1隔壁部分116aで挟まれた領域において、図1に示す走査線163の延在方向に延在する第2隔壁部分116bとを備えており、第1隔壁部分116aは、第2隔壁部分116bよりも高さ寸法が大である。かかる構成の隔壁116は、ハーフ露光を用いた方向や、2回の隔壁形成工程を行なうことにより形成することができる。
【0050】
このように構成した有機EL装置100でも、補助配線層12を形成するには、図4(b)および図5を参照して説明した方法を行なう。このため、補助配線層形成工程において、ロール31、32の間に転写材1と基板120とを重ねた状態で通過させた際、転写材1の導電層11は、高い方の第1隔壁部分116aに起因する凸部の上端面(第1隔壁部分116aの上端面116f)に密着するが、低い方の第2隔壁部分116bの上端面116gに密着しない。このため、基板120側において第1隔壁部分116aに起因する凸部上に導電層11が補助配線層12として転写される。それ故、本形態によれば、隔壁116の高さ分布を変えるだけで任意の領域に補助配線層12を形成することができる。
【0051】
(さらに別の実施の形態)
図7は、本発明を適用したさらに別の有機EL装置の画素構成を示す説明図であり、図7(a)、(b)は各々、当該有機EL装置の複数の画素の平面図および断面図である。なお、図7(a)の右側には、図7(b)のA2−A2′線で切断した様子を示し、図7(a)の左側には、図7(b)のB2−B2′線で切断した様子を示してある。また、図7(b)には、後述する隔壁116の形成領域については右上がりの斜線を付した領域として示し、後述する補助配線層12の形成領域について右下がりの斜線を付した領域として示してある。
【0052】
図2および図6に示す実施の形態では、隔壁116の上端面に補助配線層12が形成されており、補助配線層12は、対向電極層112の下面に接していた。これに対して、本形態では、隔壁116の上層に対向電極層112が形成され、かかる対向電極層112の上層に補助電極層12が形成されている。このため、補助配線層12は、対向電極層112の上面に接している。
【0053】
かかる構成の有機EL装置100でも、補助配線層12を形成するには、図4(b)および図5を参照して説明した方法を行なう。その際、対向電極層112の上面には、隔壁116に起因する凸部が形成されている。このため、補助配線層形成工程において、ロール31、32の間に転写材1と基板120とを重ねた状態で通過させると、転写材1の導電層11は、対向電極層112の上面のうち、隔壁116に起因する凸部が形成されている領域に密着する。従って、対向電極層112の上面には、隔壁116と重なる領域に補助配線層12が形成される。かかる補助配線層12は、隔壁116の上端面116eと略同一の幅寸法を有している。より厳密にいえば、対向電極層112の上面において、隔壁116に起因する凸部の上端面と同一の幅寸法を有していることになる。
【0054】
[その他の実施の形態]
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料や構成などは一例に過ぎず、適宜変更が可能である。例えば、有機機能層113をマスク蒸着法で形成した有機EL装置100に本発明を適用してもよい。また、上記形態では、対応する色が相違する画素間で異なる組成の発光層113bを形成する構成であったが、いずれの画素に対しても、白色光を出射する発光層113bを形成し、この白色光にカラーフィルターによって着色し、カラー表示を行う有機EL装置に本発明を適用してもよい。また、いずれの画素に対しても、同一の色光を出射する発光層113bを形成し、この光を通して各色の光を出射することにより、カラー表示を行う有機EL装置に本発明を適用してもよい。また、有機EL装置を備えた照明装置に本発明を適用しても良い。この場合、画素は上記の実施例と同様に複数形成しても良いし、大きな一つの画素を隔壁116で囲むように形成しても良い。
【0055】
[電子機器への搭載例]
次に、上述した実施形態に係る有機EL装置100を搭載した電子機器について説明する。図8(a)に、有機EL装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピューターの構成を示す。パーソナルコンピューター2000は、表示ユニットとしての有機EL装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図8(b)に、有機EL装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての有機EL装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、有機EL装置100に表示される画面がスクロールされる。図8(c)に、有機EL装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての有機EL装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が有機EL装置100に表示される。
【0056】
なお、有機EL装置100が適用される電子機器としては、図8に示すものの他、デジタルスチールカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。また、本発明に係る有機EL装置100はプリンターや複写機などの画像形成装置の露光ヘッドとして用いることもできる。
【符号の説明】
【0057】
1・・転写材、10・・転写材の基材、11・・導電層、12・・補助配線層、100・・有機EL装置、116・・隔壁、116a・・第1隔壁部分、116b・・第2隔壁部分、110・・有機EL素子、111・・画素電極、112・・対向電極層、113・・有機機能層、113a・・正孔注入層、113b・・発光層、115・・画素、120・・基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方面側に画素電極を形成する画素電極形成工程と、
少なくとも前記画素電極の周囲を囲むように隔壁を形成する隔壁形成工程と、
前記画素電極上に有機機能層を形成する有機機能層形成工程と、
前記有機機能層および前記隔壁に上層側で重なる対向電極層を形成する対向電極層形成工程と、
前記対向電極層形成工程の前あるいは後、前記隔壁に上層側に重なる領域において前記対向電極層の上面あるいは下面に接する補助配線層を形成する補助電極層形成工程と、
を有し、
前記補助配線層形成工程では、転写材において基材に積層された導電層を前記基板に対して前記隔壁が形成されている面側に圧接した後、当該基板から前記基材を引き離して前記基板側において前記隔壁に起因する凸部上に前記導電層を転写して前記補助配線層を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項2】
前記転写材は、前記基材としてのシート状基材に前記導電層が積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項3】
前記補助配線層形成工程では、互いのロール面が隙間を介して対向するように配置されたロール間に前記転写材と前記基板とを重ねた状態で通過させることにより、前記導電層を前記基板に圧接させることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項4】
前記隔壁は、全体が略同一の高さ寸法を有し、
前記補助電極層形成工程では、前記導電層を前記隔壁の形成領域全体に転写することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項5】
前記隔壁は、高さ寸法の異なる複数の隔壁部分を備え、
前記補助電極層形成工程では、前記複数の隔壁部分のうち、高さ寸法が最大の隔壁部分の形成領域に転写することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項6】
基板の一方面側に設けられた画素電極と、
少なくとも前記画素電極の周囲を囲む隔壁と、
前記画素電極上に積層された有機機能層と、
前記有機機能層および前記隔壁に上層側で重なる対向電極層と、
前記隔壁に上層側に重なる領域において前記対向電極層の上面あるいは下面に接する補助配線層と、
を有し、
前記補助配線層は、当該補助配線層の下層側に位置する前記隔壁に起因する凸部の上端面に対して平面視で重なる全域に当該凸部の上端面と同一の幅寸法をもって設けられていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項7】
前記隔壁は、全体が略同一の高さ寸法を有し、
前記補助配線層は、前記隔壁の形成領域全体に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項8】
前記隔壁は、高さ寸法の異なる複数の隔壁部分を備え、
前記補助配線層は、前記複数の隔壁部分のうち、高さ寸法が最大の隔壁部分の形成領域に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−244695(P2010−244695A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88676(P2009−88676)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】