説明

有機エレクトロルミネッセンス部品

【課題】有機EL素子の電極の端子と回路基板の回路の電極とを十分に接触させ、これらの電極同士を接続した後、その接続部に、接続が外れる方向に力が働いて接続不良が生じることを防止した、印刷技術を使用して作製されてなる有機EL部品を提供する。
【解決手段】本発明の有機EL部品10は、陽極22が透明樹脂基材21の一方の面21aに設けられ、陰極23が有機EL層24および透明樹脂基材21の一方の面21aを覆う導電性の印刷層からなり、有機EL層24が陽極22を覆う印刷層からなり、回路基板31の一方の面31aと封止基材26の有機EL素子20の一方の面26aが同一面をなすように、回路基板31と封止基材26が一体をなしており、回路基板31の一方の面31aに設けられた第一電極32a、33aに、陽極22の端子22aおよび陰極23の端子23aがそれぞれ接続されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた有機エレクトロルミネッセンス部品に関し、さらに詳しくは、印刷技術を使用して作製された有機エレクトロルミネッセンス素子と、回路基板とを電気的に接続してなる有機エレクトロルミネッセンス部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷技術を転用して電子回路を作製するプリンテッドエレクトロニクス(Printed Electronics)と呼ばれる技術分野においては、電子回路や配線、電極を銀ペーストなどのポリマー型導電インクを用いて印刷により形成する方法が採用されている。
このプリンテッドエレクトロニクスを適用して作製された電子部品としては、例えば、シート状の有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro−Luminescence、以下、「有機EL」と略すこともある。)素子が挙げられる。
【0003】
図9は、プリンテッドエレクトロニクスを適用して作製されたシート状の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。
この有機EL素子100は、透明基材101上において、対向する一対の陽極102と陰極103の間に、少なくとも発光層を含む有機EL層104が挟持されるとともに、陰極103および有機EL層104を覆う接着層105を介して、陰極103に封止基材106が接着されてなるものである(例えば、特許文献1参照)。
陽極102は、透明基材101の一方の面101aに設けられた透明電極からなる。また、陰極103は、有機EL層104のほぼ全域と、透明基材101の一方の面101aの一部とを覆うように設けられた導電性の印刷層からなる。
また、有機EL層104、これを挟持する陽極102および陰極103、接着層105、並びに、封止基材106からなる積層部が、有機EL素子100の発光部107をなしている。
【0004】
この有機EL素子100では、透明基材101の他方の面101bが発光面となる。そして、透明基材101の一方の面101aにおいて、発光部107が配された領域以外の領域では、陽極102の一部および陰極103の一部、詳細には、陽極102の端子およびその近傍、並びに、陰極103の端子およびその近傍が露出している。
【0005】
有機EL素子100の製造では、透明電極からなる陽極102が設けられた透明基材101上に、有機EL層104をなす有機化合物や陰極103をなすポリマー型導電インクなどの機能性材料を積層印刷して、最後に封止基材106を貼着するという製造工程を経るため、有機EL素子100の発光面(透明基材101の他方の面101b)の裏面(透明基材101の一方の面101a)に、陽極102および陰極103が露出するのは避けられない構造となっている。
また、陽極102および陰極103を露出させるために、接着層105を介して陰極103に接着した封止基材106の一部を削り取らなければならない。そのため、最終的に得られた有機EL素子100の断面形状は、図9に示すように、透明基材101の一方の面101aにおいて、発光部107のみが突出した形状をなしている。
【特許文献1】特開2007−35514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような有機EL素子100を回路基板に実装するには、回路基板の電極に、有機EL素子100の陽極102および陰極103を接続させなければならない。
図10に示すように、回路基板120に有機EL素子100を実装する場合、回路基板120の電極121、122と、有機EL素子100の陽極102および陰極103とが、導電性接着剤130を介して接続される。
しかしながら、上述したように、有機EL素子100では、透明基材101の一方の面101aに発光部107が突設されているため、発光部107の厚み自体が障害となり、電極121、122と、陽極102および陰極103とを十分に接触させることができないため、これらの電極間において接続不良を生じるという問題があった。
また、透明基材101を撓ませて、電極121、122と、陽極102および陰極103とを強引に接触させたとしても、これらの電極の接続部には、常に接続が外れる方向に力が働くため、いずれ接続不良を生じる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、有機エレクトロルミネッセンス素子の電極の端子と、これを実装する回路基板の回路の電極とを十分に接触させることができ、これらの電極同士を接続した後、その接続部に、接続が外れる方向に力が働いて接続不良が生じることを防止した、印刷技術を使用して作製されてなる有機エレクトロルミネッセンス部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス部品は、対向する一対の陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層が挟持され、前記陰極および前記有機エレクトロルミネッセンス層を覆う接着層を介して、前記陰極に封止基材が接着されてなる有機エレクトロルミネッセンス素子と、該有機エレクトロルミネッセンス素子と電気的に接続された回路基板とを備えた有機エレクトロルミネッセンス部品であって、前記陽極は、透明樹脂基材の一方の面に設けられた透明電極からなり、前記陰極は、前記有機エレクトロルミネッセンス層および前記透明樹脂基材の一方の面を覆うように設けられた導電性の第一印刷層からなり、前記有機エレクトロルミネッセンス層は、前記陽極を覆うように設けられた第二印刷層からなり、前記回路基板の一方の面と前記封止基材の前記有機エレクトロルミネッセンス素子との接着面が同一面をなすように、前記回路基板と前記封止基材が一体をなし、前記回路基板の一方の面に設けられた異なる2つの電極に、前記陽極および前記陰極がそれぞれ接続されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス部品によれば、対向する一対の陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層が挟持され、前記陰極および前記有機エレクトロルミネッセンス層を覆う接着層を介して、前記陰極に封止基材が接着されてなる有機エレクトロルミネッセンス素子と、該有機エレクトロルミネッセンス素子と電気的に接続された回路基板とを備えた有機エレクトロルミネッセンス部品であって、前記陽極は、透明樹脂基材の一方の面に設けられた透明電極からなり、前記陰極は、前記有機エレクトロルミネッセンス層および前記透明樹脂基材の一方の面を覆うように設けられた導電性の第一印刷層からなり、前記有機エレクトロルミネッセンス層は、前記陽極を覆うように設けられた第二印刷層からなり、前記回路基板の一方の面と前記封止基材の前記有機エレクトロルミネッセンス素子との接着面が同一面をなすように、前記回路基板と前記封止基材が一体をなし、前記回路基板の一方の面に設けられた異なる2つの電極に、前記陽極および前記陰極がそれぞれ接続されたので、有機EL素子の陽極の端子および陰極の端子と、回路基板の2つの電極とを十分に接触させることができ、これらの電極同士を接続した後、その接続部に、接続が外れる方向に力が働くのを防止することができる。したがって、有機EL素子と回路基板との間で、接続不良が生じるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス部品の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0011】
図1は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス部品の一実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。図2は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス部品の一実施形態を示す概略底面図である。
この有機EL部品10は、互いに電気的に接続された、有機EL素子20と、回路基板31とから概略構成されている。
有機EL素子20は、平面視した場合の形状が長方形の透明樹脂基材21上において、対向する一対の陽極22と陰極23の間に、少なくとも発光層を含む有機EL層24が挟持されるとともに、陰極23の主要部および有機EL層24の全域を覆う接着層25を介して、陰極23に封止基材26が接着されてなるものである。
【0012】
陽極22は、透明樹脂基材21の一方の面21aに設けられ、その主要部、すなわち、有機EL層24に電流を流すための部分は、平面視した場合の形状が円形の透明電極からなる。
陰極23は、有機EL層24のほぼ全域と、透明樹脂基材21の一方の面21aの一部とを覆うように設けられ、その主要部、すなわち、有機EL層24に電流を流すための部分は、平面視した場合の形状が円形の導電性の第一印刷層からなる。
【0013】
有機EL層24は、陽極22のほぼ全域を覆うように設けられ、平面視した場合の形状が円形の第二印刷層からなる。
有機EL層24は、発光層のみからなる単層であってもよいが、少なくとも発光層を含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を設けた構造をなす。
そして、有機EL層24、これを挟持する陽極22および陰極23、接着層25、並びに、封止基材26からなる積層部が、有機EL素子20の発光部27をなしている。
【0014】
有機EL素子20では、透明樹脂基材21の他方の面21bが発光面となる。
また、透明樹脂基材21の一方の面21aにおいて、発光部27が配された領域以外の領域に、陽極22の一部および陰極23の一部、詳細には、陽極22の端子22aおよびその近傍、並びに、陰極23の端子23aおよびその近傍が配されている。
【0015】
また、回路基板31の中央部に封止基材26が配置され、回路基板31の一方の面31aと封止基材26の有機EL素子20との接着面(以下、「封止基材26の一方の面」と言う。)26aが同一面をなすように、回路基板31と封止基材26が一体をなしている。
なお、回路基板31の一方の面31aと封止基材26の一方の面26aが同一面をなしていれば、回路基板31の厚みと封止基材26の厚みが異なっていてもよいが、有機EL部品10に外力が加えられた場合に、封止基材26が破損するのを防止するためには、回路基板31の厚みと封止基材26の厚みが等しく、回路基板31の一方の面31aとは反対側の面(導電部32、33が設けられている面とは反対側の面、回路基板31の最表面)31bと、封止基材26の一方の面26aとは反対側の面(封止基材26の最表面)26bが同一面をなしていることが好ましい。
【0016】
また、回路基板31の一方の面31aには、第一電極32aおよび第二電極32bを有する導電部(回路)32と、第一電極33aおよび第二電極33bを有する導電部(回路)33とが設けられている。
【0017】
回路基板31と一体化された封止基材26が、接着層25に接着されているので、回路基板31の導電部(回路)32、33に対して、有機EL素子20の陽極22および陰極23が位置合わせされる。すなわち、有機EL素子20の陽極22の端子22aと、回路基板31の導電部32の第一電極32aとが近接して対向するとともに、有機EL素子20の陰極23の端子23aと、回路基板31の導電部33の第一電極33aとが近接して対向する。
さらに、陽極22の端子22aと導電部32の第一電極32aとが導電性接着剤40を介して接続され、陰極23の端子23aと導電部33の第一電極33aとが導電性接着剤40を介して接続されている。
【0018】
また、図2に示すように、透明樹脂基材21には、透明樹脂基材21の四隅のうちの1つの一部を除去した切欠部21cが設けられている。この切欠部21cにおいて、導電部32の第二電極32bと導電部33の第二電極33bが露出している。
【0019】
透明樹脂基材21としては、光透過性かつ可撓性のものが用いられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体およびこれらの金属架橋物などからなるフィルム、シートまたは板などが挙げられる。
【0020】
陽極22をなす透明電極としては、スズドープ酸化インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO:Fluoride−doped TinOxide)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO:Antimony−doped Tin Oxide)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO:aluminum−doped Zinc Oxide)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO:Gallium−doped Zinc Oxide)などの導電性金属酸化物の薄膜からなるものが挙げられる。
【0021】
陰極23をなす導電性の第一印刷層を形成する材料としては、ポリマー型導電インクが用いられる。
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が、樹脂組成物に配合されてなる、熱硬化型、光硬化型、浸透乾燥型または溶剤揮発型ものが用いられる。
【0022】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度で導電部をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型かあるいは架橋/熱可塑併用型(ただし熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型かあるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0023】
有機EL層24をなす第二印刷層を形成する材料としては、有機溶剤に可溶なπ共役系ポリマーもしくは色素含有系ポリマーが用いられる。
【0024】
接着層25をなす接着剤としては、有機EL層24を封止して、有機EL層24と空気との接触を遮断することができる封止用接着剤であれば特に限定されないが、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤などが用いられる。
熱硬化型接着剤としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂などが挙げられる。
紫外線硬化型接着剤としては、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
電子線硬化型接着剤としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが挙げられる。
【0025】
封止基材26としては、フィルム状、シート状または板状のものであれば特に限定されないが、透明樹脂基材21と同様のものや、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたものや、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した被覆部材、ガラス基材、各種金属基材などが挙げられる。
【0026】
回路基板31としては、特に限定されないが、有機EL素子20の作動を制御するCPU(中央演算処理装置)などの電子部品、有機EL素子20を作動させるための電源となる電池を装着する電池装着部、有機EL素子20と、電子部品や電池装着部とを接続するための導電部(回路)、有機EL素子20を実装するための導電部32、33などを備え、各種樹脂や各種金属からなるフィルム状、シート状または板状の基板が用いられる。
【0027】
導電性接着剤40としては、ACP(Anisotropic Conductive Paste:異方性導電ペースト)、NCP(Non Conductive ResinPaste:無導電粒子ペースト)などが用いられる。
【0028】
有機EL部品10は、陽極22が透明樹脂基材21の一方の面21aに設けられ、陰極23が有機EL層24および透明樹脂基材21の一方の面21aを覆うように設けられた導電性の第一印刷層からなり、有機EL層24が陽極22を覆うように設けられた第二印刷層からなり、回路基板31の一方の面31aと封止基材26の有機EL素子20の一方の面26aが同一面をなすように、回路基板31と封止基材26が一体をなしており、回路基板31の一方の面31aに設けられた2つの第一電極32a、33aに、陽極22の端子22aおよび陰極23の端子23aがそれぞれ接続されているので、有機EL素子20の陽極22の端子22aおよび陰極23の端子23aと、回路基板31の第一電極32a、33aとを十分に接触させることができ、これらの電極同士を接続した後、その接続部に、接続が外れる方向に力が働くのを防止することができる。したがって、有機EL素子20と回路基板31との間で、接続不良が生じるのを防止することができる。
【0029】
なお、この実施形態では、平面視した場合の主要部の形状が円形の陽極22、陰極23および有機EL層24が設けられた有機EL素子20を備えた有機EL部品10を例示したが、本発明の有機EL部品はこれに限定されない。本発明の有機EL部品にあっては、有機EL層の平面形状を任意の形状とすることができるとともに、この有機EL層の平面形状に応じて、陽極および陰極の主要部の平面形状を調整することもできる。
【0030】
次に、図3〜図8を参照して、この実施形態の有機EL部品の製造方法を説明する。
まず、図3に示すように、スパッタリング法などにより、透明樹脂基材21の一方の面21aに、ITO、FTO、ATOなどの導電性金属酸化物を蒸着し、この導電性金属酸化物の薄膜からなる所定形状の陽極22を形成する。
【0031】
次いで、図4に示すように、有機溶剤に可溶なπ共役系ポリマーもしくは色素含有系ポリマーを用いた印刷法により、陽極22のほぼ全域を覆うように有機EL層24をなす所定形状の第二印刷層を形成する。
この工程において、印刷法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法などが用いられる。
【0032】
次いで、図5に示すように、ポリマー型導電インクを用いた印刷法により、有機EL層24のほぼ全域と、透明樹脂基材21の一方の面21aの一部とを覆うように陰極23をなす所定形状の第一印刷層を形成する。
この工程において、印刷法としては、インクジェット法、スクリーン印刷法などが用いられる。
【0033】
次いで、図6に示すように、陰極23の主要部および有機EL層24の全域を覆うように封止用接着剤を塗布して、この封止用接着剤からなる接着層25を形成する。
【0034】
次いで、図7に示すように、接着層25に、回路基板31と一体化された封止基材26を接着するとともに、導電性接着剤40を介して陽極22の端子22aと、回路基板31の導電部32の第一電極32aとを接続し、導電性接着剤40を介して陰極23の端子23aと、回路基板31の導電部33の第一電極33aとを接続する。
この工程において、端子22aと第一電極32aとの間、および、端子23aと第一電極33aとの間に介在させる導電性接着剤40の塗布量を調整することにより、回路基板31と透明樹脂基材21が撓まないようにする。
【0035】
以上の工程を経ることにより、図8に示す有機EL部品10が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の有機エレクトロルミネッセンス部品の一実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】本発明の有機エレクトロルミネッセンス部品の一実施形態を示す概略底面図である。
【図3】本発明の有機エレクトロルミネッセンス部品の一実施形態の製造方法を示す概略断面図である。
【図4】本発明の有機エレクトロルミネッセンス部品の一実施形態の製造方法を示す概略断面図である。
【図5】本発明の有機エレクトロルミネッセンス部品の一実施形態の製造方法を示す概略断面図である。
【図6】本発明の有機エレクトロルミネッセンス部品の一実施形態の製造方法を示す概略断面図である。
【図7】本発明の有機エレクトロルミネッセンス部品の一実施形態の製造方法を示す概略断面図である。
【図8】本発明の有機エレクトロルミネッセンス部品の一実施形態の製造方法を示す概略断面図である。
【図9】プリンテッドエレクトロニクスを適用して作製されたシート状の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。
【図10】プリンテッドエレクトロニクスを適用して作製されたシート状の有機EL素子を回路基板に実装した状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0037】
10・・・有機EL部品、20・・・有機EL素子、21・・・透明樹脂基材、22・・・陽極、23・・・陰極、24・・・有機EL層、25・・・接着層、26・・・封止基材、27・・・発光部、31・・・回路基板、32,33・・・導電部(回路)、40・・・導電性接着剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層が挟持され、前記陰極および前記有機エレクトロルミネッセンス層を覆う接着層を介して、前記陰極に封止基材が接着されてなる有機エレクトロルミネッセンス素子と、該有機エレクトロルミネッセンス素子と電気的に接続された回路基板とを備えた有機エレクトロルミネッセンス部品であって、
前記陽極は、透明樹脂基材の一方の面に設けられた透明電極からなり、
前記陰極は、前記有機エレクトロルミネッセンス層および前記透明樹脂基材の一方の面を覆うように設けられた導電性の第一印刷層からなり、
前記有機エレクトロルミネッセンス層は、前記陽極を覆うように設けられた第二印刷層からなり、
前記回路基板の一方の面と前記封止基材の前記有機エレクトロルミネッセンス素子との接着面が同一面をなすように、前記回路基板と前記封止基材が一体をなし、
前記回路基板の一方の面に設けられた異なる2つの電極に、前記陽極および前記陰極がそれぞれ接続されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス部品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−61959(P2010−61959A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225810(P2008−225810)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】